JPWO2007074656A1 - ハイソリッド防汚塗料組成物、防汚塗膜、塗膜付き基材、防汚性基材、基材表面への塗膜の形成方法、基材の防汚方法およびハイソリッド多液型防汚塗料組成物セット - Google Patents

ハイソリッド防汚塗料組成物、防汚塗膜、塗膜付き基材、防汚性基材、基材表面への塗膜の形成方法、基材の防汚方法およびハイソリッド多液型防汚塗料組成物セット Download PDF

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Abstract

本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、(A)不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体と、(B)該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物と、(C)防汚剤とを含有することを特徴としている。本発明のハイソリッド防汚塗料組成物を用いると、環境への負荷や人体への影響が少なく、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜が提供される。

Description

本発明はハイソリッド防汚塗料組成物に関し、より詳細には、環境への負荷や人体への影響を少なくしつつ、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具などの基材表面に優れた防汚性等を発揮する防汚塗膜を形成するためのハイソリッド防汚塗料組成物およびその用途等に関する。
船底、漁網、海水の給排水管、水中構造物などは、水中に長期間さらされることにより、その表面に、カキ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ(海苔)等の植物類、あるいはバクテリア類などの各種水棲生物が付着・繁殖すると、外観が損ねられ、その機能が害されることがある。
特に船底にこのような水棲生物が付着・繁殖すると、船底の表面粗度が増加し、船速の低下、燃費の拡大などを招くことがある。また、このような水棲生物を船底から取り除くには、多大な労力、作業時間が必要となる。また、養殖網や定置網等の魚網に水棲生物が付着、繁殖すると網目の閉塞による漁獲生物の酸欠致死等重大な問題を生じることがある。
また、火力、原子力発電所等の海水の給排水管に水棲生物が付着、繁殖すると冷却水の給配水循環に支障をきたすことがある。
従来では、このような被害を防止すべく、船底などには防汚性に優れた防汚塗料として、たとえば、トリブチル錫メタクリレートとメチルメタクリレート等との共重合体と、亜酸化銅(Cu2O)とを含有するものが塗布されていた。この防汚塗料中の該共重合体は、海水中で加水分解されてビストリブチル錫オキサイド(トリブチル錫エーテル,Bu3Sn-O-SnBu3:Buはブチル基)あるいはトリブチル錫ハロゲン化物(Bu3SnX:Xはハロゲン原子)等の有機錫化合物を放出して防汚効果を発揮するとともに、加水分解された共重合体自身も水溶性化して海水中に溶解していく「加水分解性自己研磨型塗料」であるため、船底塗装表面は、樹脂残渣が残らず、常に活性な表面を保つことができる。
ところで、塗料として一般的に使用されてきた溶剤型塗料は、多量の有機溶剤を大気中に揮散させることから環境を汚染するとして、世界的に規制が行われており、環境対応型塗料として、ハイソリッド型塗料、水性型塗料、粉体塗料等が開発されている。しかしながら、有機溶剤の含有量を減少させ、かつ、防汚性と塗膜性能とを高度に両立させた防汚塗料は存在しなかった。
特開昭52−32928号公報(特許文献1)の実施例1〜3には、(メタ)アクリル酸とメタクリル酸メチル等との共重合体および酢酸亜鉛等を含有する防汚塗料組成物が、特開平2−196869号公報(特許文献2)の実施例49〜54には、メタクリル酸・エチルメタクリレート・メトキシエチルアクリレート共重合体と銅ナフテネートまたは亜鉛ロジネートとを含有する防汚塗料組成物が開示されているが、いずれの場合も得られる塗膜の防汚性能は充分ではなかった。
特許3040094号公報(特許文献3)には、アクリル樹脂等のカルボキシル基含有樹脂と、金属含有防汚剤とから形成される金属含有樹脂を含有する防汚塗料組成物が開示され、特表昭62-501293号公報(特許文献4)には、アクリル酸またはメタクリル酸モノマーを一般に約10〜35重量%含有したカルボン酸基含有ポリマーを用いた防汚塗料組成物が開示されているが、いずれの防汚塗料組成物も、経時での貯蔵安定性に問題があり、揮発性有機化合物含有量(VOC)を低く抑えることも困難であった。
特開2002−241676号公報(特許文献5)には、ハイソリッド型防汚塗料として、アクリル樹脂側鎖に、下記式(1)
Figure 2007074656
(式中、Xは、
Figure 2007074656
で表される基、nは0又は1、Yは炭化水素、Mは金属、mは金属Mの価数−1で表される整数、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)で表される基を少なくとも1つ有する金属含有アクリル樹脂のワニスを含み、不揮発分が40重量%以上であり、粘度(25℃)が18ポイズ以下であり、有機溶剤含量(VOC)が400g/l以下である防汚塗料が開示されている。しかしながら、この防汚塗料は、粘度が高過ぎるために塗装作業性が著しく不良であり、それゆえ塗膜形成が困難であり、形成された塗膜においても、静置防汚性が低い、塗膜消耗度が小さいなどの問題があった。
特開昭52−32928号公報 特開平2−196869号公報 特許3040094号公報 特表昭62-501293号公報 特開2002−241676号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、環境への負荷や人体への影響が少なく、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜、ならびにこのような防汚塗膜を形成可能なハイソリッド防汚塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、
(A)不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体と、
(B)該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物と、
(C)防汚剤と
を含有することを特徴としている。
前記ハイソリッド防汚塗料組成物は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、前記多価金属化合物(B)を含有する第2液とを混合してなるハイソリッド多液型防汚塗料組成物であることが好ましい。
前記ハイソリッド防汚塗料組成物は、
第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド二液型防汚塗料組成物であって、
該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、
該第2液は、前記多価金属化合物(B)を含有する
ことが好ましい。
前記ハイソリッド防汚塗料組成物は、
第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド二液型防汚塗料組成物であって、
該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、
該第2液は、前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ
該第1液または該第2液の少なくとも一方は前記防汚剤(C)を含有する
ことが好ましい。
前記ハイソリッド防汚塗料組成物は、
第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド二液型防汚塗料組成物であって、
該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
該第2液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有せず
該第1液または該第2液の少なくとも一方は前記防汚剤(C)を含有する
ことも好ましく、この場合、該第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を、すべての前記カルボキシル基含有共重合体(A)のうちの1〜30重量%含有することが好ましい。
また、前記ハイソリッド防汚塗料組成物は、
第1液と第2液と第3液とを混合してなるハイソリッド三液型防汚塗料組成物であって、
該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、
該第2液は、前記多価金属化合物(B)を含有し、
該第3液は、消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤および塗膜硬度調整剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有し、
該第1液、該第2液および該第3液のうちの少なくとも1つは防汚剤(C)を含有することが好ましい。
前記ハイソリッド防汚塗料組成物は、
第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド三液型防汚塗料組成物であって、
該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
該第2液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有せず
該第3液は、消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤および塗膜硬度調整剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有し、
該第1液、該第2液および該第3液のうちの少なくとも1つは防汚剤(C)を含有することも好ましく、この場合、該第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を、すべての前記カルボキシル基含有共重合体(A)のうちの1〜30重量%含有することが好ましい。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物の揮発性有機化合物含有量(VOC)は、400g/l以下であることが好ましく、100〜350g/lであることが特に好ましい。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)の、GPCで測定した重量平均分子量は、1,300〜5,500であることが好ましく、1,500〜5,000であることが特に好ましい。
本発明の、多液型、二液型または三液型のハイソリッド防汚塗料組成物においては、
前記第1液が、25℃における粘度が不揮発分50wt%の溶液として測定した際に800mPa・s以下であり、かつ不揮発分70wt%の溶液として測定した際に20,000mPa・s以下である前記カルボキシル基含有共重合体(A)の溶液と、必要に応じて他の成分とからなり、
前記カルボキシル基含有共重合体(A)は、不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位を、前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量%に対し5〜50重量%含有する
ことが好ましい。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)は、ラジカル重合開始剤を、原料である単量体の総量100重量部に対して10重量部以上使用して、溶媒中でラジカル溶液重合することにより製造された共重合体であることが好ましい。
前記不飽和カルボン酸単量体(a1)は、好ましくはモノカルボン酸単量体であり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸である。
前記不飽和カルボン酸単量体(a1)は(メタ)アクリル酸であると共に、
前記他の不飽和化合物単量体(a2)は(メタ)アクリル酸アルキルおよびその誘導体、スチレンおよびその誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体ならびに(メタ)アクリロニトリルからなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体であることが好ましい。
前記多価金属化合物(B)は、好ましくは2価または3価の金属の化合物であり、特に好ましくは、2価または3価の金属の、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物およびカルボン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である。
前記多価金属は、亜鉛、銅、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、コバルトおよびアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記多価金属化合物(B)は、好ましくは、亜鉛、銅、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、コバルトからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価金属の酸化物であり、特に好ましくは、活性亜鉛華などの酸化亜鉛および/または酸化銅である。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記多価金属化合物(B)を、前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量部に対して1〜500重量部含有していることが好ましい。
また本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記多価金属の化合物(B)を、前記カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基1モルに対して0.1〜500モルの割合で含有していることが好ましい。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記防汚剤(C)として、銅化合物(c1)を含有することが好ましい。この銅化合物(c1)としては、亜酸化銅が挙げられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)を含有することが好ましい。
また本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記防汚剤(C)として、有機防汚剤(c3)を含有することも好ましい。この場合、前記防汚剤(C)として、実質量の亜酸化銅を含有していなくてもよく、ここで、この「実質量」とは「防汚剤として機能するために必要な量」を意味する。この有機防汚剤(c3)として、好ましくは、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを組み合わせて用いること、あるいはジンクピリチオンと4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることが特に好ましい。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記防汚剤(C)として、銅化合物(c1)と、有機防汚剤(c3)とを含有することが好ましい。前記有機防汚剤(c3)としては、好ましくは、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、特に好ましくは、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物においては、前記防汚剤(C)として、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとを併用することが好ましく、たとえば、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物においては、前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)と、有機防汚剤(c3)とを併用することが好ましい。この有機防汚剤(c3)としては、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、たとえば、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。また、この場合、前記防汚剤(C)として、実質量の銅または銅化合物を含有していなくてもよく、この場合に有機防汚剤(c3)としては、ジンクピリチオンが好ましく、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを組み合わせて用いることが好ましく、ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることも好ましい。ここで「実質量」とは、「防汚剤として機能するために必要な量」を意味する。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、さらに、水(d1)、アセトアセチル基含有化合物(d2)、アルコキシシラン化合物又はその誘導体(d3)、分散剤(d4)、タレ止め剤(d5)、可塑剤(d6)、体質顔料(d7)(ただし、前記多価金属化合物(B)を除く。)、着色顔料(d8)および脱水剤(d9)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(D)を含有していてもよい。
前記分散剤(d4)としては、好ましくは、石炭系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ビニルエーテル(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体および分子量3,000以下のモノカルボン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記可塑剤(d6)としては、好ましくは、塩素化パラフィンおよび/または燐系可塑剤が挙げられる。
前記体質顔料(d7)としては、好ましくは、タルクが挙げられる。
前記着色顔料(d8)としては、好ましくは、弁柄、チタン白、黄色酸化鉄および有機顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、溶剤として、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルイソブチルケトンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤(E)を含有することが好ましい。
本発明の防汚塗膜は、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなることを特徴としている。
本発明の塗膜付き基材は、基材の表面が、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明の防汚性基材は、海水または真水と接触する基材の表面が、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜にて被覆されていることを特徴としている。この基材としては、好ましくは、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具が挙げられる。
本発明の、基材表面への塗膜の形成方法は、基材の表面に、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を塗布あるいは含浸し、次いで硬化させ、塗膜を形成させることを特徴としている。
本発明の、基材の防汚方法は、基材の表面に、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を塗布あるいは含浸し、次いで硬化させ、防汚塗膜を形成させることを特徴としている。この基材としては、好ましくは、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具が挙げられる。
本発明のハイソリッド多液型防汚塗料セットは、
不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、
該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)を含有する第2液と、必要に応じて、さらに
他の成分と
からなり、
該第1液、該第2液または該他の成分の少なくとも1つには防汚剤(C)が含まれる
ことを特徴としている。なお、この「他の成分」は、溶液の形態であってもよい。
本発明のハイソリッド二液型防汚塗料セットは、
不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、
該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)を含有する第2液と
からなり、
該第1液および/または該第2液には防汚剤(C)が含まれる
ことを特徴としている。
このハイソリッド二液型防汚塗料セットは、
前記第1液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
前記第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有しない
態様であってもよい。
本発明のハイソリッド三液型防汚塗料セットは、
不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、
該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)を含有する第2液と、
消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤、塗膜硬度調整剤、溶剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する第3液と
からなり、
該第1液、該第2液および該第3液のうちの少なくとも1つには防汚剤(C)が含まれる
ことを特徴としている。
このハイソリッド三液型防汚塗料セットは、
前記第1液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
前記第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有しない
態様であってもよい。
本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物によれば、環境への負荷や人体への影響を少なく抑えつつ、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成することができる。
また、本発明の防汚塗膜は、防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れている。
本発明の基材表面への塗膜の形成方法によれば、防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成することができる。
また、本発明の基材の防汚方法によれば、好ましくは、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具基材等の基材表面を、長期間防汚することができる。
本発明のハイソリッド多液型防汚塗料セット(あるいは、ハイソリッド二液型防汚塗料セットまたはハイソリッド三液型防汚塗料セット)を用いると、すなわち前記第1液と前記第2液と、必要に応じて他の成分とを混合して、所望の基材上に塗装すると、環境への負荷や人体への影響を少なく抑えつつ、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成することができる。
図1は、共重合体S−1のIRスペクトルのチャートである。 図2は、共重合体S−2のIRスペクトルのチャートである。 図3は、共重合体S−3のIRスペクトルのチャートである。 図4は、共重合体S−4のIRスペクトルのチャートである。 図5は、共重合体S−5のIRスペクトルのチャートである。 図6は、共重合体S−6のIRスペクトルのチャートである。 図7は、共重合体S−7のIRスペクトルのチャートである。 図8は、参考製造例1のPEAのIRスペクトルのチャートである。 図9は、共重合体H−1のIRスペクトルのチャートである。 図10は、共重合体H−2のIRスペクトルのチャートである。 図11は、共重合体H−3のIRスペクトルのチャートである。 図12は、共重合体S−1のGPCクロマトグラムである。 図13は、共重合体S−2のGPCクロマトグラムである。 図14は、共重合体S−3のGPCクロマトグラムである。 図15は、共重合体S−4のGPCクロマトグラムである。 図16は、共重合体S−5のGPCクロマトグラムである。 図17は、共重合体S−6のGPCクロマトグラムである。 図18は、共重合体S−7のGPCクロマトグラムである。 図19は、参考製造例1のPEAのGPCクロマトグラムである。 図20は、共重合体H−1のGPCクロマトグラムである。 図21は、共重合体H−2のGPCクロマトグラムである。 図22は、共重合体H−3のGPCクロマトグラムである。
以下、本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物、防汚塗膜、塗膜付き基材、防汚性基材、防汚塗膜の形成方法、基材の防汚方法およびハイソリッド多液型(あるいは二液型または三液型)防汚塗料組成物セットについてより詳細に説明する。
[ハイソリッド防汚塗料組成物]
本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物は、特定のカルボキシル基含有共重合体(A)(以下「共重合体(A)」ともいう。)と、この共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)と、防汚剤(C)とを含有しており、必要に応じて、さらに、消泡剤等の他の成分を含有していてもよい。
まず、各成分について説明する。
<(A)カルボキシル基含有共重合体>
本発明で用いられる特定のカルボキシル基含有共重合体(A)は、不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量は1,000〜6,000である。
前記不飽和カルボン酸単量体(a1)としては、カルボキシル基と重合性二重結合とを有する化合物であれば、一塩基酸、多塩基酸を問わず、公知の単量体を使用することができる。
具体的には、一塩基酸(モノカルボン酸)としては(メタ)アクリル酸;
2−(メタ)アクロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレートなどの酸無水物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物;
イタコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどの二塩基酸無水物のモノエステル;
などが挙げられる。
なお、本発明においては、前記不飽和カルボン酸単量体(a1)として、(メタ)アクリル酸同士がマイケル付加して生成する(メタ)アクリル酸ダイマー、トリマー、オリゴマーを用いてもよい。
多塩基酸としてはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)としては、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、および(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルならびにその誘導体(たとえば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルおよび(メタ)アクリル酸アルキルポリオキシアルキレン、(メタ)アクリル酸ハイドロジェンポリオキシアルキレン)、スチレンおよびスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ならびに(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)のGPCで測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算値)は1,000〜6,000であり、好ましくは1,300〜5,500であり、さらに好ましくは1,500〜5,000であり、特に好ましくは1,500〜2,500である。前記カルボキシル基含有共重合体(A)の重量平均分子量が上記範囲にあると、有機溶剤を低減した環境適応型の優れた防汚塗料を得られる。
なお、上記GPC測定条件は、以下の通りである:
装置:東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000
6mmI.D.,15cm
溶解液:THF
流速 :0.500ml/min
検出器:IR
カラム恒温槽温度:40℃。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)の不揮発分50重量%溶液の25℃における粘度は800mPa・s以下、好ましくは600mPa・s以下であり、かつ不揮発分70重量%溶液の25℃における粘度は20,000mPa・s以下、好ましくは10,000mPa・s以下であることが望ましい。不揮発分50重量%溶液の粘度が800mPa・s以上であると、揮発性有機化合物含有量(VOC)が400g/l以下でありながら塗布が可能である防汚塗料組成物の調製は困難な傾向にあり、調製できたとしても、その防汚塗料組成物の防汚性にも劣る傾向にある。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)の不揮発分70重量%溶液の粘度を20,000mPa・s以下にし、かつVOCが400g/l以下であって塗布が可能である防汚塗料組成物を調製するためには、単量体の総量100重量部に対してラジカル重合開始剤を10重量部以上使用して前記カルボキシル基含有共重合体(A)を製造することが望ましい。
このラジカル重合開始剤としては、従来公知のアゾ化合物、過酸化物などを用いることができ、具体的には、アゾ化合物であれば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、過酸化物であれば過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシオクトエート、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩(カ
リウム塩、アンモニウム塩)などが挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、製造時単量体混合物中に均一に分散させあるいは単量体混合物とは分割して反応容器中に加えればよい。必要に応じて、前記ラジカル重合開始剤は溶液やスラリーの形態で用いることもできる。
(カルボキシル基含有共重合体(A)の製造方法)
前記カルボキシル基含有共重合体(A)は、溶液重合法により製造することができる。溶液重合に用いる溶媒としては、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を溶解あるいは分散可能な溶媒を適宜用いることができ、有機溶媒や水のいずれも使用可能であるが、塗料組成物の乾燥性を考えると、汎用の塗料用有機溶剤を用いることが望ましい。
汎用の塗料用溶剤としては、ターペンなどの脂肪族系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル系またはエーテルエステル系などの溶剤を使用することができる。
これらの溶媒は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、これらの溶媒は、単量体混合物に対して任意の割合で使用することができ、反応時あるいは反応終了後に適宜加えてもよい。またカルボキシル基含有共重合体(A)をより低分子量とするためには、多量の溶媒中で重合反応を行った後に、必要に応じて不要の溶媒を蒸留により留去してもよい。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)は、重合反応の容易さ、塗料組成物に使用する際の簡便さの観点から、溶媒中でラジカル溶液重合法により製造されることが好ましく、製造の際には、ラジカル重合開始剤を、原料となる単量体の総量100重量部(ただし、ラジカル重合開始剤自体の重量は含まない。)に対して10重量部以上、好ましくは20〜40重量部使用することが望ましい。
反応には、必要に応じてアルキルメルカプタンなどの連鎖移動剤、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)などの重合調整剤等、公知の分子量調整剤を用いてもよい。
反応温度としては50℃〜250℃が好ましく、80℃〜200℃が更に好ましい。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)の分子量をより小さくするために、加圧下で高温の反応を行ってもよい。
本発明の塗料組成物から形成される塗膜の耐水性および長期防汚性の観点から、前記カルボキシル基含有共重合体(A)(100重量%)中の、前記不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構成単位の含量は、好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは10〜40重量%であり、特に好ましくは15〜35重量%である。また、前記他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構成単位の含量は、好ましくは95〜50重量%であり、さらに好ましくは90〜60重量%であり、特に好ましくは85〜65重量%である。
<(B)多価金属化合物>
多価金属化合物(B)は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し、硬化剤として機能する。
前記カルボキシル基含有共重合体(A)と前記多価金属化合物(B)との反応により、前記カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基から水素イオンが脱離した残基である−COO-基、および前記多価金属のイオンであるMx+(xは金属元素Mの価数である。)による金属塩架橋構造(たとえば、−COO-・・M2+・・O-CO−)が形成されるものと考えられる。
前記多価金属化合物(B)と前記共重合体(A)(のカルボキシル基)との反応は、たとえば、前記共重合体(A)の溶液に前記多価金属化合物(B)を混合した前後での溶液の色相の変化から確認できる場合もある。また、混合前後での共重合体(A)のIRスペクトルを比較し、混合後の3000〜3500cm-1のカルボキシル基のO-H伸縮振動に起因する吸収帯の減少、混合後の1700cm-1付近のカルボキシル基のC=O伸縮振動に起因する吸収帯の減少、または混合後の1600cm-1付近のカルボン酸金属塩のC=O伸縮振動に起因する吸収帯の増加から確認できる場合もある。あるいは、混合後の前記共重合体(A)溶液の経時的な粘度増加から確認できる場合もある。
前記多価金属としては、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム、アルミニウム、コバルト、鉄、チタンなどを挙げることができ、これらの中でも亜鉛、銅、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、コバルトおよびアルミニウムが好ましく、銅および亜鉛が特に好ましい。
前記多価金属化合物(B)としては、前記金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩などの有機酸塩を挙げることができ、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩が好ましく、酸化物、水酸化物がより好ましい。
前記多価金属化合物(B)としては、亜鉛、銅、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、コバルトからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価金属の酸化物が好ましく、酸化亜鉛および/または酸化銅がさらに好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい。
この酸化亜鉛としては、様々な粒径のものを用いることができる。活性亜鉛華などの微粒子酸化亜鉛を用いると、粒径の大きな酸化亜鉛を用いる場合よりも、前記カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と酸化亜鉛との反応が促進され、短時間で塗膜硬度が向上し、塗膜の耐ダメージ性が早期に発現するなどの点で好ましい。
本発明の防汚塗料組成物においては、これらの多価金属化合物(B)の含量は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量部に対して好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは5〜400重量部の量である。
また、多価金属化合物(B)の含量は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基1モルに対して、0.1〜500モル、好ましくは0.5〜400モルであることが好ましい。
<(C)防汚剤>
本発明に係る防汚塗料組成物は、防汚剤(C)を含有している。
本発明に係る防汚塗料組成物においては、防汚剤(C)は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量部に対して1〜500重量部、好ましくは5〜400重量部の量で使用することが望ましい。
防汚剤(C)としては、特に限定されないが、有機系、無機系のいずれの防汚剤であってもよく、
亜酸化銅、銅粉、チオシアン化第1銅(ロダン銅);
硫化亜鉛(c2);
銅ピリチオン、ジンクピリチオン等の金属ピリチオン類;テトラメチルチウラムジサルフィド;ジンクジメチルジチオカーバメート等のカーバメート系防汚剤;2,4,5,6‐テトラクロロイソフタロニトリル、N,N‐ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5‐ジクロロ‐2‐n‐オクチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、2,4,6‐トリクロロフェニルマレイミド;ピリジン‐トリフェニルボラン、4‐イソプロピルピリジン‐ジフェニルメチルボラン等のアミン・有機ボラン錯体類などの有機防汚剤(c3)
を用いることができる。
前記防汚剤(C)としては、広範囲な生物に対する防汚性の観点からは、亜酸化銅、チオシアン酸銅および銅ピリチオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の銅化合物(c1)が好ましい。銅化合物(c1)による防汚性を更に補強する観点からは、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)を、銅化合物(c1)と組み合わせて用いることが好ましい。
銅化合物を含まない重金属フリーの防汚剤の観点からは、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)が好ましい。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物においては、この防汚剤(C)として1種の防汚剤を使用しても良いが、特定の組み合わせで複数種を使用することが好ましい。この特定の組み合わせとしては、好ましくは以下の組み合わせが挙げられる。
(i)ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピ
ルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体との組み合わせ
(ii)ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ
(iii)銅化合物(c1)と、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェ
ニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)との組み合わせ;
(iv)亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとの組み合わせ;
(v)亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−
n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ;
(vi)硫化亜鉛(c2)と、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)との組み合わせ;
この組み合わせ(vi)においては、この有機防汚剤(c3)として、ジンクピリチオンを用いることが好ましく、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを組み合わせて用いることも好ましく、ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることも好ましい。
これらの組み合わせのうち、亜酸化銅を含まない組み合わせであれば、環境に対する負荷低減、船舶の水際における、亜酸化銅の塩基性炭酸銅への変質により生じる防汚塗膜の変色が無いため美観に優れる、などの効果が発揮される。
また、亜酸化銅を含む組み合わせであれば、亜酸化銅の安定した防汚性能により多様な海域で防汚塗膜の防汚性が発現される、などの効果が発揮される。
<(D)添加剤>
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、さらに、水(d1)、アセトアセチル基(CH3COCH2CO−基)含有化合物(d2)、アルコキシシラン化合物又はその誘導体(d3)、分散剤(d4)、タレ止め剤(d5)、可塑剤(d6)、体質顔料(d7)(ただし、前記多価金属化合物(B)を除く。)、着色顔料(d8)および脱水剤(d9)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(D)を含有していてもよい。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が多液型の場合には、添加剤(D)は、特に断りのない限り、第1液に配合されていてもよく、第2液に配合されていてもよく、第3液に配合されていてもよく、これらの液の2つ以上に配合されていてもよい。
(d1)水;
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が水(d1)を含有していると、前記カルボキシル基含有共重合体(A)と前記多価金属化合物(B)との反応が促進されるため、短時間で塗膜の硬度を高めたり、塗膜の耐ダメージ性を早期に発現させることができる。
このような前記カルボキシル基含有共重合体(A)と前記多価金属化合物(B)との反応は、塗装された塗膜周囲の水分(すなわち、空気中の水分等)によっても促進されるが、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物に積極的に水(d1)を配合させるのであれば、反応の促進効果、各成分の混合性、塗膜の乾燥性および耐水性の観点から、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(ただし、後述の溶剤(E)を除く。)100重量%中に、0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜5重量%となるように配合することが望ましい。
(d2)アセトアセチル基含有化合物;
前記アセトアセチル基含有化合物(d2)としては、アセチルアセトン、アセトアセチルエチルメタクリレートなどを挙げることができる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物にアセトアセチル含有化合物(d2)が配合されていると、該アセトアセチル含有化合物(d2)が前記多価金属化合物(B)に対してキレート化剤として働き、防汚塗料組成物の低粘度化が可能であり、前記水(d1)の配合による前記カルボキシル基含有共重合体(A)と多価金属化合物(B)との反応の急速な進行を抑制することができ、本発明の塗料組成物の可使時間(ポットライフ)を延ばすことができる。可使時間の延長効果および塗膜の乾燥性を適切に調整する観点から、アセトアセチル基含有化合物(d2)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(ただし、後述の溶剤(E)を除く。)100重量%中に0.01〜10重量%となるような量で配合することが好ましい。
(d3)アルコキシシラン化合物;
アルコキシシラン化合物(d3)としては、メチルシリケート、エチルシリケートやそれらの加水分解縮合物などを挙げることができる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物にアルコキシシラン化合物(d3)が配合されていると塗膜の耐ダメージ性を早期に発現させることができる。
反応の促進効果、各成分の混合性阻害、塗膜の乾燥性および耐水性の観点から、アルコキシシリケート(d3)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(ただし、後述の溶剤(E)を除く。)100重量%中に、0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜5重量%となるように配合することが望ましい。
(d4)分散剤;
前記分散剤(d4)としては、石炭系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ビニルエーテル(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体および分子量3,000以下のモノカルボン酸化合物(ただし、前記共重合体(A)を除く。)を使用することができ、具体的には、
石炭系樹脂としてはクマロン樹脂などを、
石油樹脂としてはC5系、C9系、スチレン系、ジシクロペンタジエン系やそれらの水素添加物、ケトン樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、アルデヒド樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアルキルビニルエーテル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などを、
テルペン樹脂としてはポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などを、
ポリビニルエーテル共重合体としてはポリビニルエチルエーテルなどを、その市販品であれば「ルトナール(BASFジャパン(株)製)」などを、
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体としてはポリエチルアクリレート、オクチルメタアクリレート・メチルアクリレート共重合体などを、
分子量3,000以下のモノカルボン酸化合物としてはロジン及びその誘導体、ナフテン酸、バーサチック酸、イソノナン酸など公知のモノカルボン酸や特開2005−179345に記載のカルボン酸化合物などを、
使用することができる。
なお、ロジン及びその誘導体等の分子量3,000以下のモノカルボン酸化合物は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物あるいは防汚塗膜中で、前記多価金属化合物(B)に含まれる多価金属と共に塩を形成している可能性がある。
この分散剤(d4)を使用することで、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物において、あるいは該組成物が多液型である場合には、多液型組成物を調製するための第1液、第2液および必要に応じて用いられる第3液等の中において溶剤不溶分が均一に分散され、溶剤不溶物と溶剤とを含む組成物がペースト状に調整される。また、これら第1液、第2液および第3液の貯蔵時における溶剤不溶分の凝集を防ぐことができる。さらに、これら第1液、第2液および必要に応じて第3液等を混合して本発明のハイソリッド多液型防汚塗料組成物を調製する際に、前記溶剤不溶分が該組成物中に容易に均一に分散される。
前記分散剤(d4)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(ただし、後述の溶剤(E)を除く。)100重量%中に、0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%となるように配合することが望ましい。
(d5)タレ止め剤;
前記タレ止め剤(d5)としては、有機粘土系Al、Ca、Znのアミン塩、ステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、合成微粉シリカなどの体質顔料が挙げられる。市販品であれば、楠本化成(株)製の「ディスパロン4200−20」、「ディスパロンA630−20X」、伊藤精油(株)製の「ASAT−250F」等が挙げられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物がタレ止め剤(d5)を含有していると、溶剤不溶物の沈殿防止、塗膜の強度や塗装時のタレ止め性等を調整することができる点で好ましい。
前記タレ止め剤(d5)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(ただし、後述の溶剤(E)を除く。)100重量%中に、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%含まれることが望ましい。
(d6)可塑剤;
前記可塑剤(d6)としては、TCP(トリクレジルフォスフェート)、塩化パラフィン、ポリビニルエチルエーテル、ジアルキルフタレート等が挙げられ、これらの中でも塩素化パラフィンおよびジアルキルフタレートが好ましい。これらの可塑剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が可塑剤(d6)を含有していると、該防汚塗料組成物から形成される塗膜(防汚塗膜)の耐クラック性が向上する点で好ましい。
前記塩素化パラフィン(塩化パラフィン)としては、直鎖状でもよく分岐を有していていてもよく、室温で液状でも固体(粉体)でもよいが、その平均炭素数が通常8〜30、好ましくは10〜26のものが好ましく用いられ、その数平均分子量が通常200〜1200、好ましくは300〜1100であり、粘度が通常1以上(ポイズ/25℃)、好ましくは1.2以上(ポイズ/25℃)であり、その比重が1.05〜1.80/25℃、好ましくは1.10〜1.70/25℃のものが好ましく用いられる。このような炭素数の塩素化パラフィンを用いると、得られる防汚塗料組成物を用いて割れ(クラック)、剥がれの少ない塗膜を形成できる。なお塩素化パラフィンの炭素数が8未満では、クラックの抑制効果が不足となることがあり、またその炭素数が30を超えると、得られる塗膜表面の消耗性(更新性)に劣り防汚性が劣ることがある。また、この塩素化パラフィンの塩素化率(塩素含有量)は、通常35〜75%、好ましくは35〜65%であることが好ましい。このような塩素化率の塩素化パラフィンを用いると、得られる防汚塗料組成物を用いて割れ(クラック)、剥がれの少ない塗膜を形成できる。このような塩素化パラフィンとしては、東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「トヨパラックスA-70」などが挙げられる。
前記可塑剤(d6)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(但し、後述する溶剤(E)は除く)100重量%中に、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%含まれることが望ましい。
(d7)体質顔料;
前記体質顔料(d7)としては、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカなどが挙げられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が体質顔料(d7)を含有していると、得られる塗料のコスト低減、塗膜強度の向上、タレ止性の向上、あるいは体質顔料の種類によって、塗膜の消耗度を調整可能である、などの点で好ましい。
前記体質顔料(d7)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(但し、後述する溶剤(E)は除く。)100重量%中に、0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%含まれることが望ましい。
(d8)着色顔料;
前記着色顔料(d8)としては、ベンガラ、チタン白、有機系の着色顔料などが挙げられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が着色顔料(d8)を含有していると、該組成物から得られる防汚塗膜の色相を任意に調節できる点で好ましい。
前記着色顔料(d8)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(但し、後述する溶剤(E)は除く。)100重量%中に、0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%含まれることが望ましい。
(d9)脱水剤;
前記脱水剤(d9)としては、無水石膏、焼石膏、合成ゼオライト、オルソギ酸メチル等のオルソエステル類などが挙げられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が脱水剤(d9)を含有していると、本発明の防汚塗膜の物性、基板への付着性が向上する点で好ましい。
前記脱水剤(d9)は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物(但し、後述する溶剤(E)は除く。)100重量%中に、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%含まれることが望ましい。
<(E)溶剤>
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が含有することのできる溶剤(E)としては、従来公知の広範な沸点の溶剤が使用でき、具体的にはターペンなどの脂肪族系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル系またはエーテルエステル系などの溶剤が挙げられ、好ましくはキシレン、1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これら溶剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、溶剤量が少なくても粘度が低く、溶剤(E)の量は、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物中に1〜45重量%、好ましくは5〜35重量%の量で(ハイソリッド防汚塗料組成物重量を100重量%とする。)含まれることが望ましい。
また、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が多液型である場合には、第1液中の溶剤(E)の量は、10〜45重量%、好ましくは15〜40重量%の量で(第1液重量を100重量%とする。)であることが望ましく、
第2液中の溶剤(E)の量は、1〜45重量%、好ましくは5〜35重量%の量で(第2液重量を100重量%とする。)であることが望ましい。
〔ハイソリッド防汚塗料組成物〕
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、揮発性有機化合物含量(VOC)が少なく、その値は好ましくは400g/l以下であり、さらに好ましくは100〜350g/lである。なお、このVOCは、実施例の欄で説明する測定条件下で値である。
したがって、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物を用いると、環境への負荷や人体への影響を少なくすることができる。
このハイソリッド防汚塗料組成物は、防汚剤(C)を含有すると共に、前記共重合体(A)を含有する第1液と、この前記多価金属化合物(B)を含有する第2液と、必要に応じてさらに他の成分とを含有するハイソリッド多液型防汚塗料組成物であることが好ましい。
このハイソリッド多液型防汚塗料組成物としては、前記共重合体(A)を含有する第1液と、この前記多価金属化合物(B)を含有する第2液とを含有するハイソリッド二液型防汚塗料組成物が特に好ましいが、消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤および塗膜硬度調整剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する第3液をさらに含有するハイソリッド三液型防汚塗料組成物も好ましい。
前記ハイソリッド二液型防汚塗料組成物においては、第1液または第2液の少なくとも一方が前記防汚剤(C)を含有していることが好ましい。
また、二液型、三液型に代表される前記ハイソリッド多液型防汚塗料組成物においては、第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、第2液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有せず、第1液または第2液の少なくとも一方は前記防汚剤(C)を含有する態様であってもよい。この場合、第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を、ハイソリッド防汚塗料組成物中のすべての前記カルボキシル基含有共重合体(A)(100重量%)のうちの1〜30重量%含有することが好ましい。ここで「実質量の水」とは、前記カルボキシル基含有共重合体(A)と前記多価金属化合物(B)との反応を促進させるのに充分な量(たとえば、反応速度を5%以上高める量)の水という意味である。前記第2液は、実質量の水を含んでいなければ、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含んでいても、長期(たとえば3ヶ月)に渡って低粘度を維持し、塗装作業性を困難にさせることがない。
なお、一般に知られているように、「多液型防汚塗料」とは、塗装直前に多液を混合して使用するタイプの防汚塗料であり、同様に「二液型防汚塗料」とは、塗装直前に二液を混合して使用するタイプの防汚塗料であり、「三液型防汚塗料」とは、塗装直前に三液を混合して使用するタイプの防汚塗料である。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、以下のような第1液と第2液とを含み、さらに第3液等を含んでいてもよい、二液型、三液型などのハイソリッド多液型防汚塗料組成物であることが好ましい。本発明のハイソリッド多液型防汚塗料組成物は、貯蔵安定性に優れ、該組成物から得られる防汚塗膜は、防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度にも優れる。
<第1液>
前記第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および溶剤を含有する液であり、さらに前記防汚剤(C)、添加剤(D)等を含有していてもよい。
前記第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)と、必要な他の配合成分とを、常法により混合することで調製できる。
<第2液>
前記第2液は、前記多価金属化合物(B)および溶剤を含有する液であり、さらに前記防汚剤(C)、添加剤(D)等を含有していてもよい。ただし、ハイソリッド二液型防汚塗料組成物の場合には、前記第1液とこの第2液との少なくとも一方に防汚剤(C)が含有される。
また、この第2液は、好ましくは本発明の防汚塗料組成物中の前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量部に対し1〜30重量%の量で、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含んでいてもよい。
前記第2液は、前記多価金属化合物(B)と、必要な他の配合成分とを、常法により混合することで調製できる。
<第3液>
前記第3液は、防汚剤(C)、添加剤(D)、消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤、塗膜硬度調整剤などを含有する液であり、第1液および第2液同様に溶剤を含んでいる。
この消泡剤としては、シリコーン系、オキシアルキレン系、鉱物系などの消泡剤が挙げられ、例えば、「フローレンAC−300」(共栄社油脂(株)製)、「BYK−088、BYK−065、BYK−P104」(ドイツ、ビックケミー社製)、「ディスパロンOX−70」(楠本化成(株)製)等を用いることができる。
また、粘度調整剤としては、前記アセトアセチル基含有化合物(d2)、前記タレ止め剤(d5)などを;
塗膜硬化速度調整剤としては、前記水(d1)、前記アセトアセチル基含有化合物(d2)などを;
前記塗膜硬度調整剤としては、前記可塑剤(d6)などを
用いることができる。
[ハイソリッド防汚塗料組成物の製造方法]
本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物は、1液型である場合には、前記の各成分を攪拌・混合等することにより製造することができ、塗装の際には、該組成物にさらに粉末等、溶液以外の形態の成分を攪拌・混合等してもよい。
また本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物が、二液型、三液型に代表されるハイソリッド多液型防汚塗料組成物である場合には、予め調製した前記第1液と前記第2液と、必要に応じてさらに前記第3液などの他の液とを、攪拌・混合等することにより製造することができる。この際、さらに粉末等、溶液以外の形態の成分を攪拌・混合等してもよい。
前記攪拌・混合あるいは調製の際には、ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、ボールミル、三本ロール、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、万能品川攪拌機など、従来公知の混合・攪拌装置が適宜用いられる。
[防汚塗膜、塗膜付き基材等]
本発明に係る防汚塗膜は、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなることを特徴としている。
本発明に係る塗膜付き基材は、基材の表面が、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明に係る防汚性基材は、海水または真水と接触する基材の表面が、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜にて被覆されていることを特徴としている。
本発明に係る防汚性基材は、ベースとなる前記基材が、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具の何れかであることが好ましい。
本発明に係る、基材表面への塗膜の形成方法は、基材の表面に、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を塗布あるいは含浸させ、次いで硬化させ、塗膜を形成させることを特徴としている。
本発明に係る基材の防汚方法は、基材の表面に、前記ハイソリッド防汚塗料組成物を塗布あるいは含浸させ、次いで該防汚塗料を硬化させ、防汚塗膜を形成させることを特徴としている。
本発明では、防汚方法の対象となる前記基材が、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具の何れかであることが好ましい。
詳説すると、上述した本発明のハイソリッド防汚塗料組成物を例えば、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、漁具、浮き子、ブイ)などの各種成形体の表面に、常法に従って1回〜複数回塗布すれば、防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間に亘って徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜被覆船舶または水中構造物などが得られる。
すなわちこのような本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物を各種成形体の表面に塗布硬化してなる防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れている。
特に、該ハイソリッド防汚塗料組成物は、船舶等の素材が、FRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などである場合にもこれらの素材表面に良好に付着する。鋼船およびアルミ船の場合、通常は基材表面にプライマー、防食塗料、および必要に応じてバインダー塗料を塗装した表面に、本発明のハイソリッド防汚塗料組成物が塗布される。また、該ハイソリッド防汚塗料組成物は、既存の防汚塗膜表面に上塗してもよい。
また例えば、該ハイソリッド防汚塗料組成物を海中構造物表面に塗布すれば、海中生物の付着防止を図ることができ、該構造物の機能を長期間維持でき、漁網に塗布すれば、漁網の網目の閉塞を防止でき、しかも環境汚染の恐れが少ない。
なお、この本発明に係るハイソリッド防汚塗料組成物は、直接漁網に塗布してもよく、また予め防錆剤、プライマーなどの下地材が塗布された船舶または水中構造物等の表面に塗布してもよい。さらには、既に従来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明のハイソリッド防汚塗料組成物による塗装が行われている船舶、特にFRP船あるいは水中構造物等の表面に、補修用として本発明のハイソリッド防汚塗料組成物を上塗りしてもよい。このようにして船舶、水中構造物等の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されないが、例えば、30〜250μm/回程度である。
上記のようにして得られる本発明に係る防汚塗膜、あるいは船舶・水中構造物の接水部表面の塗膜は、前述したようなハイソリッド防汚塗料組成物から形成されており環境汚染の虞が少なく広汎な船舶・水中構造物付着生物に対して長期防汚性に優れている。
本発明によれば、環境への負荷が少なく優れた防汚性を有し、かつ長期に亘り塗膜が一定の速度で均一に消耗し塗膜の均一消耗性に優れ、しかも長期間優れた防汚性能を維持でき塗膜の長期防汚性維持性能に優れ、外航船用として好適である防汚塗膜を形成しうるようなハイソリッド防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網を提供することができる。
[ハイソリッド多液型防汚塗料セット]
本発明に係るハイソリッド多液型防汚塗料組成物セットは、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を必須成分として含有する第1液を収容した第1容器、前記多価金属化合物(B)を必須成分として含有する第2液を収容した第2容器、および必要に応じて前記第3液を収容した第3容器を備えており、各容器に収容された各液、少なくとも第1液と第2液とは、使用直前まで別々となるように貯蔵または搬送される。
本発明のハイソリッド多液型防汚塗料セット、ハイソリッド二液型防汚塗料セットまたはハイソリッド三液型防汚塗料セットを用いると、すなわち前記第1液、前記第2液、および必要に応じて他の成分を任意の順序で混合して所望の基材上に塗装すると、環境への負荷や人体への影響を少なく抑えつつ、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成することができる。
[実施例]
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、係る実施例により何ら限定されるものではない。
<共重合体(A)の物性評価>
共重合体(A)あるいは共重合体(A)溶液の物性は、以下のように評価した。
(1)GPCおよびIR;
以下の条件で測定した。
(GPC測定条件)
装置:東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000
6mmI.D.,15cm
溶解液:THF
流速 :0.500ml/min
検出器:IR
カラム恒温槽温度:40℃
(IR測定条件)
装置:Perkin Elmer製
FT−IR形 型式:Spectrum ONE(B)
測定方法:KBrセル、塗布法。
(2)加熱残分(重量NV);
共重合体溶液1gを平底皿にはかり取り、質量既知の針金を使って均一に広げ、125℃で1時間乾燥後、残渣および針金の質量を量り、加熱残分(重量%)を算出した。なお、「加熱残分」は前述した「不揮発分」と同義である。
(3)粘度;
共重合体溶液の粘度を、EM型粘度計((株)トキメック製)により測定した。
<防汚塗料組成物の物性評価>
防汚塗料組成物および塗膜の物性は、以下のように評価した。
(1)比重;
第1液と第2液とを混合した直後に、25℃において、内容積が100mlの比重カップに充満した防汚塗料組成物の質量を量ることにより、比重(塗料比重)(g/cm3
を測定した。
(2)加熱残分(重量NV);
第1液と第2液とを混合した直後に、防汚塗料組成物1gを平底皿に量り採り、質量既知の針金を使って均一に広げ、125℃で1時間乾燥後、残渣および針金の質量を量り、加熱残分(重量%)を算出した。
(3)揮発性有機化合物(VOC)重量測定;
上記の塗料比重および重量NVの値を用いて下式から算出した;
VOC(g/l)=塗料比重×1000×(100−重量NV)/100。
(4)防汚塗料組成物の粘度測定(Ku);
第1液と第2液とを混合した直後および所定時間経過後に、ストーマー粘度計を用いて、防汚塗料組成物の粘度(Ku値/25℃)を測定した。
(5)防汚塗膜の静置防汚性試験;
100×300×2mmのサンドブラスト鋼板に、エポキシ系ジンクリッチプライマー(商品名:エピコンジンクリッチプライマーB−2(中国塗料)、塗料中の亜鉛末含有量80重量%)、エポキシ系防食塗料(商品名:バンノー500(中国塗料))、エポキシ系防食塗料(商品名:バンノー500N(中国塗料))を、それぞれの乾燥膜厚で20μm、150μm、100μmとなるように、この順序で1日毎に塗装(すなわち、1日目:プライマー、2日目:防食塗料、3日目:防食塗料)した後、該エポキシ系バインダーコートから形成された塗膜の表面に、防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が150μmとなるように塗装し、試験板を作成した。
宮島沖に設置した試験筏から水深1mの位置にこの試験板を浸漬し、12ヶ月後、試験板へのマクロ生物(フジツボ・セルプラ等)の付着面積を評価した。評価基準は以下の通りである;
5点:マクロ生物の付着面積が0%
4点:マクロ生物の付着面積が0%を超え5%以下
3点:マクロ生物の付着面積が5%を超え15%以下
2点:マクロ生物の付着面積が15%を超え40%以下
1点:マクロ生物の付着面積が40%を超える。
(6)防汚塗膜の消耗度試験;
50×50×3mmの塩化ビニル板をサンドペーパーにより面粗し後、この表面にスキマ500μmのアプリケーターを用いて防汚塗料組成物を塗装し、これを室内で室温(約20℃)にて7日間乾燥させ、試験板を作成した。
25℃の海水を入れた恒温槽に設置した回転ドラムの側面にこの試験板を取り付け、周速15ノットで2ヵ月間回転させ、防汚塗膜の消耗度(膜厚減少)を測定した。
(7)塗膜乾燥性試験(盤木加圧試験);
150×70×3.2mmの太祐機材(株)製サンドブラスト鋼板に、エポキシ系防食塗料を乾燥膜厚が150μmとなるように塗装し、室温(約20℃)で1日乾燥させて塗膜を形成し、この塗膜の表面にさらにエポキシ系バインダー塗料を乾燥膜厚が100μmとなるように塗装し、室温(約20℃)で1日乾燥させて塗膜を形成した。この塗膜の表面に、防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が150μmとなるように塗装し、室温(約20℃)で1日乾燥させて塗膜を形成する操作を2度繰り返し、防汚塗膜の乾燥膜厚が300μmである試験板を作成した。
上記試験板を室温でさらに1、3、5、7日乾燥し、塗膜上(中央部)に30×30×10mmの木片を置き、その木片の上から垂直方向に40kgf/cm2(3.9MPa
)の圧力を20分間加え、塗膜表面の状態を観察した(塗膜の変形度を測定した。)。評価基準は以下の表1の通りである;
Figure 2007074656
<共重合体(A)の製造>
[製造例1]
(カルボキシル基含有共重合体(S−1)溶液の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計、2つの滴下装置、窒素導入管、加熱ジャケットおよび冷却ジャケットを備えた反応容器に、溶剤としてキシレン52.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル52.5gを仕込み、これらを窒素雰囲気下で、還流温度(120℃付近)となるまで加熱しながら攪拌した。この還流状態を保持しながら、上記溶剤中に、1つの滴下装置からメチルメタクリレート15g、メタクリル酸30g、エチルアクリレート55gおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1gからなるモノマー溶液を、他の滴下装置からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート30gを、同時にそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、この還流温度でさらに1時間攪拌を行った後、攪拌を続けながら1時間おきに3回t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを加え、さらに30分間攪拌した。その後、昇温しながら溶剤を66.8g回収し、冷却後160gのワニス(共重合体(S−1)溶液)を得た。
得られた共重合体(S−1)溶液の加熱残分(恒温器中で125℃で1時間乾燥後の加熱残分)は71.8重量%であり、25℃における粘度は5,840mPa・sであり、共重合体(S−1)の、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は1,920であった。共重合体(S−1)の原料、物性等を表2に示す。
[製造例2]
(カルボキシル基含有共重合体(S−2)溶液の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計、2つの滴下装置、窒素導入管、加熱ジャケットおよび冷却ジャケットを備えた反応容器に、溶剤としてキシレン83.2g及びエチレングリコールモノブチルエーテル83.2gを仕込み、これらを窒素導入下で、還流温度(120℃付近)となるまで加熱しながら攪拌した。この還流温度を保持しながら、上記溶剤中に、1つの滴下装置からメチルメタクリレート15g、メタクリル酸30g、エチルアクリレート55gおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1gからなるモノマー溶液を、他の滴下装置からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート30gを、同時にそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、この還流温度でさらに1時間攪拌を行った後、攪拌を続けながら1時間おきに3回t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを加え、さらに30間攪拌した。その後、減圧下100〜120℃にて溶剤を回収し、冷却後、147.8gのワニス(共重合体(S−2)溶液)を得た。
得られた共重合体(S−2)溶液の加熱残分(恒温器中で125℃で1時間乾燥後の加熱残分)は、72.3重量%であり、25℃における粘度は4,970mPa・sであり、共重合体(S−2)の、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は1,670であった。共重合体(S−2)の原料、物性等を表2に示す。
[製造例3〜7]
(カルボキシル基含有共重合体(S−3)〜(S−7)溶液の製造)
滴下成分およびその量を表2に記載されたように変えた他は製造例1と同様にして、それぞれ酸基含有共重合体(S−3)〜(S−7)を製造した。共重合体(S−3)〜(S−7)の原料、物性等を表2に示す。
[参考製造例1]
(分散剤(ポリエチルアクリレート)溶液の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計、2つの滴下装置、窒素導入管、加熱ジャケットおよび冷却ジャケットを備えた反応容器に、溶剤としてキシレン41.6gを仕込み、これらを窒素導入下で、還流温度(120℃付近)となるまで加熱しながら攪拌した。この還流温度を保持しながら、上記溶剤中に、1つの滴下装置からエチルアクリレート100gおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1gからなるモノマー溶液を、他の滴下装置からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート30gを、同時にそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、この還流温度でさらに1時間攪拌を行った後、攪拌を続けながら1時間おきに3回t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを加え、さらに同温度で30分間攪拌し、冷却後、164.5gのワニスを得た。
得られたワニス(分散剤(ポリエチルアクリレート)溶液;以下、ポリエチルアクリレートを「PEA」とも記す。)の加熱残分(恒温器中で125℃で1時間乾燥後の加熱残分)は、70.3重量%であり、25℃における粘度は51mPa・sであり、PEAの、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は2,160であった。
上記PEAの原料、物性等を表2に示す。
[比較製造例1]
(共重合体(H−1)の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計、2つの滴下装置、窒素導入管、加熱ジャケットおよび冷却ジャケットを備えた反応容器に、溶剤としてキシレン52.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル52.5gを仕込み、これらを窒素導入下で、還流温度(120℃付近)となるまで加熱しながら攪拌した。この還流温度を保持しながら、上記溶剤中に、1つの滴下装置からメチルメタクリレート15g、メタクリル酸30g、エチルアクリレート55gおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1gからなるモノマー溶液を、他の滴下装置からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5gを、同時にそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、この還流温度でさらに1時間攪拌を行った後、攪拌を続けながら1時間おきに3回t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを加え、さらに30分間攪拌し、その後冷却した。
得られた共重合体(H−1)溶液の加熱残分(恒温器中で125℃で1時間乾燥後の加熱残分)は、50.0重量%であり、25℃における粘度は810mPa・sであり、共重合体(H−1)の、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は6,760であった。共重合体(H−1)の原料、物性等を表3に示す。
[比較製造例2]
(共重合体(H−2)の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計、2つの滴下装置、窒素導入管、加熱ジャケットおよび冷却ジャケットを備えた反応容器に、溶剤としてキシレン52.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル52.5gを仕込み、これらを窒素導入下で、還流温度(120℃付近)となるまで加熱しながら攪拌した。この還流温度を保持しながら、上記溶剤中に、1つの滴下装置からメチルメタクリレート45g、メタクリル酸10g、アクリル酸10g、エチルアクリレート35gおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1gからなるモノマー溶液を、他の滴下装置からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5gを、同時にそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、この還流温度でさらに1時間攪拌を行った後、攪拌を続けながら1時間おきに3回t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを加え、さらに30分間攪拌した。その後、減圧下100〜120℃にて溶剤を60g回収し、冷却後149gのワニス(共重合体(H−2)溶液)を得た。
得られた共重合体(H−2)溶液の加熱残分(恒温器中で125℃で1時間乾燥後の加熱残分)は、69.7重量%であり、25℃における粘度は98,300mPa・sであり、共重合体(H−2)の、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は6,720であった。共重合体(H−2)の原料、物性等を表3に示す。
[比較製造例3]
(共重合体(H−3)の製造)
前記共重合体(S−7)溶液810gを、ポリマーに対する溶解力の低い溶剤であるヘキサン270gに少しずつ滴下し放置した。滴下より2日後、析出した樹脂分を除くためにろ過を行い、ヘキサン可溶成分を濃縮し108gのワニス(共重合体(H−3)溶液)を得た。
共重合体(H−3)溶液の加熱残分(恒温器中で125℃で1時間乾燥後の加熱残分)は、70.3重量%であり、25℃における粘度は2,200mPa・sであり、共重合体(H−3)の、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は716であった。共重合体(H−3)の物性等を表3に示す。
<防汚塗料組成物の製造および塗膜の評価>
[実施例1]
上記分散剤(PEA溶液) 5.7重量部、酸化亜鉛3種 10重量部、ピリジン−トリフェニルボラン 7重量部、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩 2重量部、塩素化パラフィン(トヨパラ150) 2重量部、有機赤顔料 3重量部、弁柄 0.5重量部
、チタン白 2.3重量部、タルク 9重量部、タレ止め剤(ディスパロン4200−20) 1重量部、タレ止め剤(ディスパロン630−20X) 1重量部、1−ブタノール
3.5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM) 3.5重量部、お
よびキシレン 7重量部を、ディスパーを用いて均一に混合し、第2液を調製した。
第1液としての上記共重合体(S−1)溶液 22.3重量部と、上記第2液とをディ
スパーを用いて均一に混合し、防汚塗料組成物を調製した。
この防汚塗料組成物、および該組成物から形成される塗膜の物性を、上記の方法により評価した。組成物および塗膜の原料、物性等を表5に示す。なお、使用された原料の一覧を表4に示す。
[実施例2〜4,7,30〜32]
第2液の配合成分および配合量を表5および7に記載のように変更し、第2液と混合する第1液の種類および量を表5および7に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
各防汚塗料組成物、および該組成物から形成される塗膜の物性を、上記の方法により評価した。組成物および塗膜の原料、物性等を表5および7に示す。
[実施例5]
上記共重合体(S−1)溶液 22.3重量部、およびアセチルアセトン 2重量部を、ディスパーを用いて均一に混合し、第1液を調製した。
また、配合成分および配合量を表5に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして第2液を調製した。
これら第1液および第2液を、ディスパーを用いて均一に混合し、防汚塗料組成物を調製した。
この防汚塗料組成物、および該組成物から形成される塗膜の物性を、上記の方法により評価した。組成物および塗膜の原料、物性等を表5に示す。
[実施例6,8〜29および33〜41]
第1液および第2液それぞれの配合成分および配合量を、表5、8および10に記載のように変更した以外は実施例5と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
この防汚塗料組成物、および該組成物から形成される塗膜の物性を、上記の方法により評価した。組成物および塗膜の原料、物性等を表5、8および10に示す。
[比較例1〜3]
第2液の配合成分および配合量を表6および9に記載のように変更し、第2液と混合する第1液の種類および量を表6および9に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
各防汚塗料組成物、および該組成物から形成される塗膜の物性を、上記の方法により評価した。組成物および塗膜の原料、物性等を表6および9に示す。
[比較例4]
第1液および第2液それぞれの配合成分および配合量を、表10に記載のように変更した以外は実施例5と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
この防汚塗料組成物、および該組成物から形成される塗膜の物性を、上記の方法により評価した。組成物および塗膜の原料、物性等を表10に示す。
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本発明のハイソリッド防汚塗料組成物は、前記防汚剤(C)として、銅化合物(c1)と、有機防汚剤(c3)とを含有することが好ましい。前記有機防汚剤(c3)としては、好ましくは、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、特に好ましくは、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
本発明のハイソリッド防汚塗料組成物においては、前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)と、有機防汚剤(c3)とを併用することが好ましい。この有機防汚剤(c3)としては、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、たとえば、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。また、この場合、前記防汚剤(C)として、実質量の銅または銅化合物を含有していなくてもよく、この場合に有機防汚剤(c3)としては、ジンクピリチオンが好ましく、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを組み合わせて用いることが好ましく、ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることも好ましい。ここで「実質量」とは、「防汚剤として機能するために必要な量」を意味する。
具体的には、一塩基酸(モノカルボン酸)としては(メタ)アクリル酸;
2−(メタ)アクロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタ
レート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレートなどの酸無水物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物;
イタコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどの二塩基酸無水物のモノエステル;
などが挙げられる。
前記防汚剤(C)としては、広範囲な生物に対する防汚性の観点からは、亜酸化銅、チオシアン酸銅および銅ピリチオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の銅化合物(c1)が好ましい。銅化合物(c1)による防汚性を更に補強する観点からは、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)を、銅化合物(c1)と組み合わせて用いることが好ましい。
(i)ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピ
ルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体との組み合わせ
(ii)ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ
(iii)銅化合物(c1)と、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェ
ニルボラン錯体、4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)との組み合わせ;
(iv)亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとの組み合わせ;
(v)亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−
n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ;
(vi)硫化亜鉛(c2)と、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c3)との組み合わせ;
この組み合わせ(vi)においては、この有機防汚剤(c3)として、ジンクピリチオンを用いることが好ましく、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを組み合わせて用いることも好ましく、ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることも好ましい。
[製造例2]
(カルボキシル基含有共重合体(S−2)溶液の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計、2つの滴下装置、窒素導入管、加熱ジャケットおよび冷却ジャケットを備えた反応容器に、溶剤としてキシレン83.2g及びエチレングリコールモノブチルエーテル83.2gを仕込み、これらを窒素導入下で、還流温度(120℃付近)となるまで加熱しながら攪拌した。この還流温度を保持しながら、上記溶剤中に、1つの滴下装置からメチルメタクリレート15g、メタクリル酸30g、エチルアクリレート55gおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1gからなるモノマー溶液を、他の滴下装置からt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート30gを、同時にそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、この還流温度でさらに1時間攪拌を行った後、攪拌を続けながら1時間おきに3回t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを加え、さらに30間攪拌した。その後、減圧下100〜120℃にて溶剤を回収し、冷却後、147.8gのワニス(共重合体(S−2)溶液)を得た。

Claims (71)

  1. (A)不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体と、
    (B)該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物と、
    (C)防汚剤と
    を含有することを特徴とするハイソリッド防汚塗料組成物。
  2. 前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、前記多価金属化合物(B)を含有する第2液とを混合してなるハイソリッド多液型防汚塗料組成物であることを特徴とする請求項1に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  3. 第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド二液型防汚塗料組成物であって、
    該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、
    該第2液は、前記多価金属化合物(B)を含有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  4. 第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド二液型防汚塗料組成物であって、
    該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、
    該第2液は、前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ
    該第1液または該第2液の少なくとも一方は前記防汚剤(C)を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  5. 第1液と第2液とを混合してなるハイソリッド二液型防汚塗料組成物であって、
    該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
    該第2液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有せず
    該第1液または該第2液の少なくとも一方は前記防汚剤(C)を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  6. 前記第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を、すべての前記カルボキシル基含有共重合体(A)のうちの1〜30重量%含有することを特徴とする請求項5に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  7. 第1液と第2液と第3液とを混合してなるハイソリッド三液型防汚塗料組成物であって、
    該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、
    該第2液は、前記多価金属化合物(B)を含有し、
    該第3液は、消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤および塗膜硬度調整剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有し、
    該第1液、該第2液および該第3液のうちの少なくとも1つは防汚剤(C)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  8. 第1液と第2液と第3液とを混合してなるハイソリッド三液型防汚塗料組成物であって、
    該第1液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
    該第2液は、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有せず
    該第3液は、消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤および塗膜硬度調整剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有し、
    該第1液、該第2液および該第3液のうちの少なくとも1つは防汚剤(C)を含有することを特徴とする請求項1、2または7に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  9. 前記第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を、すべての前記カルボキシル基含有共重合体(A)のうちの1〜30重量%含有することを特徴とする請求項8に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  10. 揮発性有機化合物含有量(VOC)が400g/l以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  11. 揮発性有機化合物含有量(VOC)が100〜350g/lであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  12. 前記カルボキシル基含有共重合体(A)の、GPCで測定した重量平均分子量が1,300〜5,500であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  13. 前記カルボキシル基含有共重合体(A)の、GPCで測定した重量平均分子量が1,500〜5,000であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のハイソリッド汚塗料組成物。
  14. 前記第1液が、25℃における粘度が不揮発分50wt%の溶液として測定した際に800mPa・s以下であり、かつ不揮発分70wt%の溶液として測定した際に20,000mPa・s以下である前記カルボキシル基含有共重合体(A)の溶液と、必要に応じて他の成分とからなり、
    前記カルボキシル基含有共重合体(A)は、不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位を、前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量%に対し5〜50重量%含有する
    ことを特徴とする請求項2〜13のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  15. 前記カルボキシル基含有共重合体(A)が、ラジカル重合開始剤を、原料である単量体の総量100重量部に対して10重量部以上使用して、溶媒中でラジカル溶液重合することにより製造された共重合体であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  16. 前記不飽和カルボン酸単量体(a1)がモノカルボン酸単量体であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  17. 前記モノカルボン酸単量体が(メタ)アクリル酸であることを特徴とする請求項16に記載の防汚塗料組成物。
  18. 前記不飽和カルボン酸単量体(a1)が(メタ)アクリル酸であると共に、
    前記他の不飽和化合物単量体(a2)が(メタ)アクリル酸アルキルおよびその誘導体、スチレンおよびその誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体ならびに(メタ)アクリロニトリルからなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体である
    ことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  19. 前記多価金属化合物(B)が2価または3価の金属の化合物であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  20. 前記多価金属化合物(B)が、2価または3価の金属の、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物およびカルボン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項19に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  21. 前記多価金属が、亜鉛、銅、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、コバルトおよびアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  22. 前記多価金属化合物(B)が、亜鉛、銅、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、コバルトからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価金属の酸化物であることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  23. 前記多価金属化合物(B)が、酸化亜鉛および/または酸化銅であることを特徴とする請求項22に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  24. 前記多価金属化合物(B)が、活性亜鉛華であることを特徴とする請求項23に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  25. 前記多価金属化合物(B)を、前記カルボキシル基含有共重合体(A)100重量部に対して1〜500重量部含有することを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  26. 前記多価金属化合物(B)を、前記カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基1モルに対して0.1〜500モルの割合で含有することを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  27. 前記防汚剤(C)として、銅化合物(c1)を含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  28. 前記銅化合物(c1)が亜酸化銅であることを特徴とする請求項27に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  29. 前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)を含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  30. 前記防汚剤(C)として、有機防汚剤(c3)を含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  31. 前記有機防汚剤(c3)が、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項30に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  32. 前記有機防汚剤(c3)として、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを含有することを特徴とする請求項30または31に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  33. 前記有機防汚剤(c3)として、ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有することを特徴とする請求項30または31に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  34. 前記防汚剤(C)として、実質量の亜酸化銅を含有しないことを特徴とする請求項30〜33のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  35. 前記防汚剤(C)として、銅化合物(c1)と、有機防汚剤(c3)とを含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  36. 前記有機防汚剤(c3)が、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項35に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  37. 前記有機防汚剤(c3)が、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項35または36に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  38. 前記防汚剤(C)として、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとを含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  39. 前記防汚剤(C)として、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有することを特徴とする請求項38に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  40. 前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)と、有機防汚剤(c3)とを含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  41. 前記有機防汚剤(c3)が、ピリチオン化合物、アミン・有機ボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項40に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  42. 前記有機防汚剤(c3)が、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項40または41のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  43. 前記防汚剤(C)として、実質量の銅または銅化合物を含有しないことを特徴とする請求項40〜42のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  44. 前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)と、ジンクピリチオンとを含有することを特徴とする請求項43に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  45. 前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)と、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体と、ジンクピリチオンとを含有することを特徴とする請求項43または44に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  46. 前記防汚剤(C)として、硫化亜鉛(c2)と、ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有することを特徴とする請求項43〜45のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  47. さらに水(d1)を含有することを特徴とする請求項1〜46のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  48. さらにアセトアセチル基含有化合物(d2)を含有することを特徴とする請求項1〜47のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  49. さらにアルコキシシラン化合物又はその誘導体(d3)を含有することを特徴とする請求項1〜48のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  50. さらに分散剤(d4)を含有することを特徴とする請求項1〜49のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  51. 前記分散剤(d4)が、石炭系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ビニルエーテル(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体および分子量3,000以下のモノカルボン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項50に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  52. さらにタレ止め剤(d5)を含有することを特徴とする請求項1〜51のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  53. さらに可塑剤(d6)を含有することを特徴とする請求項1〜52のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  54. 前記可塑剤(d6)が塩素化パラフィンおよび/または燐系可塑剤であることを特徴とする請求項53に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  55. さらに体質顔料(d7)を含有することを特徴とする請求項1〜54のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  56. 前記体質顔料(d7)がタルクであることを特徴とする請求項55に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  57. さらに着色顔料(d8)を含有することを特徴とする請求項1〜56のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  58. 前記着色顔料(d8)が弁柄、チタン白、黄色酸化鉄および有機顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項57に記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  59. トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルイソブチルケトンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤(E)を含有することを特徴とする請求項1〜58のいずれかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物。
  60. 請求項1〜59の何れかに記載されたハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなることを特徴とする防汚塗膜。
  61. 基材の表面が、請求項1〜59の何れかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜で被覆されていることを特徴とする塗膜付き基材。
  62. 海水または真水と接触する基材の表面が、請求項1〜59の何れかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物を硬化させてなる塗膜にて被覆されていることを特徴とする防汚性基材。
  63. 前記基材が、水中構造物、船舶外板、漁網または漁具の何れかであることを特徴とする請求項62に記載の防汚性基材。
  64. 基材の表面に、請求項1〜59の何れかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物を塗布あるいは含浸し、次いで硬化させ、塗膜を形成させることを特徴とする、基材表面への塗膜の形成方法。
  65. 基材の表面に、請求項1〜59の何れかに記載のハイソリッド防汚塗料組成物を塗布あるいは含浸し、次いで硬化させ、防汚塗膜を形成させることを特徴とする、基材の防汚方法。
  66. 前記基材が、水中構造物、船舶外板、漁網または漁具の何れかであることを特徴とする請求項65に記載の基材の防汚方法。
  67. 不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、
    該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)を含有する第2液と、必要に応じて、さらに
    他の成分と
    からなり、
    該第1液、該第2液または該他の成分の少なくとも1つには防汚剤(C)が含まれる
    ことを特徴とするハイソリッド多液型防汚塗料セット。
  68. 不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、
    該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)を含有する第2液と
    からなり、
    該第1液および/または該第2液には防汚剤(C)が含まれる
    ことを特徴とするハイソリッド二液型防汚塗料セット。
  69. 前記第1液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
    前記第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有しない
    ことを特徴とする請求項68に記載のハイソリッド二液型防汚塗料セット。
  70. 不飽和カルボン酸単量体(a1)に由来する構造単位と、該不飽和カルボン酸単量体(a1)と共重合可能な他の不飽和化合物単量体(a2)に由来する構造単位とを有し、GPCで測定した重量平均分子量が1,000〜6,000であるカルボキシル基含有共重合体(A)を含有する第1液と、
    該カルボキシル基含有共重合体(A)のカルボキシル基と反応し得る多価金属化合物(B)を含有する第2液と、
    消泡剤、粘度調整剤、塗膜硬化速度調整剤および塗膜硬度調整剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する第3液と
    からなり、
    該第1液、該第2液および該第3液のうちの少なくとも1つには防汚剤(C)が含まれる
    ことを特徴とするハイソリッド三液型防汚塗料セット。
  71. 前記第1液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)を含有し、かつ前記多価金属化合物(B)を含有せず、
    前記第2液が、前記カルボキシル基含有共重合体(A)および前記多価金属化合物(B)を含有し、かつ実質量の水を含有しない
    ことを特徴とする請求項70に記載のハイソリッド三液型防汚塗料セット。
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