JP2020189896A - 防汚塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機防汚剤を低減しても、長期にわたり防汚性が発揮され、また、長期にわたりクラックの発生が抑制されるなど、長期にわたり優れた物性が維持され、乾燥性及び塗膜強度に優れた防汚塗膜が形成され、更に、劣化後の塗膜変色が抑制され、美観性に優れた環境負荷低減型の防汚塗料組成物を提供すること。更に、前記防汚塗料組成物により形成される防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、並びに有機防汚剤(D)を含有する防汚塗料組成物であって、該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である、防汚塗料組成物。
【選択図】なし
【解決手段】金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、並びに有機防汚剤(D)を含有する防汚塗料組成物であって、該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である、防汚塗料組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、防汚塗料組成物、これを用いた、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法に関する。
船舶、水中構造物、漁網などの漁具等の基材において、水中に長期間曝される基材の表面には、カキ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ等の植物類、及びバクテリアなど各種水生生物が付着しやく、更に近年地球温暖化に伴う海水温度上昇が原因で海中生物の活性も高まり、汚損環境が厳しくなっている。その対応として加水分解型防汚塗料を塗装し対応している。加水分解型防汚塗料は、塗膜表面が加水分解により更新され、防汚剤成分を溶出し防汚性を発現する機構である。
特許文献1には、船舶・水中構造物等で安定した塗膜消耗度を有し、かつ長期間に亘って優れた防汚性を発揮する防汚塗膜を形成しうる防汚塗料組成物を提供することを目的として、加水分解性共重合体(A)と防汚剤(B)とを含有する防汚塗料組成物であって、前記加水分解性共重合体(A)が、特定の金属塩結合含有共重合体、及び特定のシリルエステル共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の加水分解性共重合体であり、前記防汚剤(B)として、少なくともメデトミジンを含有することを特徴とする防汚塗料組成物が記載されている。
また、特許文献2には、長期間にわたって高い防汚性が維持され、耐ダメージ性に優れた防汚塗膜を形成できる防汚塗料組成物を提供することを目的として、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、及びメデトミジン(C)含有し、固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が27〜60質量%であることを特徴とする防汚塗料組成物が記載されている。
特許文献1には、船舶・水中構造物等で安定した塗膜消耗度を有し、かつ長期間に亘って優れた防汚性を発揮する防汚塗膜を形成しうる防汚塗料組成物を提供することを目的として、加水分解性共重合体(A)と防汚剤(B)とを含有する防汚塗料組成物であって、前記加水分解性共重合体(A)が、特定の金属塩結合含有共重合体、及び特定のシリルエステル共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の加水分解性共重合体であり、前記防汚剤(B)として、少なくともメデトミジンを含有することを特徴とする防汚塗料組成物が記載されている。
また、特許文献2には、長期間にわたって高い防汚性が維持され、耐ダメージ性に優れた防汚塗膜を形成できる防汚塗料組成物を提供することを目的として、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、及びメデトミジン(C)含有し、固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が27〜60質量%であることを特徴とする防汚塗料組成物が記載されている。
前記特許文献に記載の防汚塗料組成物は、各種防汚剤の選択などによって、長期間において高い防汚性、物性を維持するものである。
具体的には、特許文献1では、金属結合含有共重合体やシリルエステル共重合体といった加水分解型樹脂とメデトミジンとを組み合わせて優れた静置防汚性を発揮する技術に関するものである。また、特許文献2には、メデトミジンと藻類付着抑制物質との併用で、優れた海洋生物付着防止効果が得られることが記載されている。
すなわち、上記特許文献には、防汚性、物性についての評価及び有効性の記載はあるが、劣化後の塗膜変色(例えば、使用による塗膜の乾湿交互部の変色)についての知見はない。
具体的には、特許文献1では、金属結合含有共重合体やシリルエステル共重合体といった加水分解型樹脂とメデトミジンとを組み合わせて優れた静置防汚性を発揮する技術に関するものである。また、特許文献2には、メデトミジンと藻類付着抑制物質との併用で、優れた海洋生物付着防止効果が得られることが記載されている。
すなわち、上記特許文献には、防汚性、物性についての評価及び有効性の記載はあるが、劣化後の塗膜変色(例えば、使用による塗膜の乾湿交互部の変色)についての知見はない。
本発明は、有機防汚剤を低減しても、長期にわたり防汚性が発揮され、また、長期にわたりクラックの発生が抑制されるなど、長期にわたり優れた物性が維持され、乾燥性及び塗膜強度に優れた防汚塗膜が形成され、更に、劣化後の塗膜変色が抑制され、美観性に優れた環境負荷低減型の防汚塗料組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、前記防汚塗料組成物により形成される防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らが鋭意検討した結果、以下に示す防汚塗料組成物を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
<1> 金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、並びに有機防汚剤(D)を含有する防汚塗料組成物であって、該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である、防汚塗料組成物。
<2> 前記金属エステル基が、下記式(1)で表される、<1>に記載の防汚塗料組成物。
本発明の要旨は以下の通りである。
<1> 金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、並びに有機防汚剤(D)を含有する防汚塗料組成物であって、該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である、防汚塗料組成物。
<2> 前記金属エステル基が、下記式(1)で表される、<1>に記載の防汚塗料組成物。
(式(1)中、Mは銅又は亜鉛を示し、*は結合位置を示す。)
<3> 加水分解性重合体(A)が、下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1)及び下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2)よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、<1>又は<2>に記載の防汚塗料組成物。
(式(1−1)中、R11はそれぞれ独立に、末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
(式(1−2)中、R21は末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示し、R22は末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
<4> 加水分解性重合体(A)が、下記式(1−1’)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1’)及び下記式(1−2’)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2’)よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物。
(式(1−1’)中、R12はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
(式(1−2’)中、R23は水素原子又はメチル基を示し、R24は末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
<5> 前記有機防汚剤(D)が、ピリチオン化合物を除く有機防汚剤である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物。
<6> 前記有機防汚剤(D)が、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール、並びに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンよりなる群から選択される少なくとも1種である、<5>に記載の防汚塗料組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜。
<8> <7>に記載の防汚塗膜で被覆された防汚塗膜付き基材。
<9> 前記基材が、船舶、水中構造物、及び漁具よりなる群から選択される、<8>に記載の防汚塗膜付き基材。
<10> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(I)、及び前記塗布体又は含浸体を乾燥する工程(II)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
<11> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物を乾燥させてなる防汚塗膜を形成する工程(i)、及び前記防汚塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
<6> 前記有機防汚剤(D)が、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール、並びに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンよりなる群から選択される少なくとも1種である、<5>に記載の防汚塗料組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜。
<8> <7>に記載の防汚塗膜で被覆された防汚塗膜付き基材。
<9> 前記基材が、船舶、水中構造物、及び漁具よりなる群から選択される、<8>に記載の防汚塗膜付き基材。
<10> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(I)、及び前記塗布体又は含浸体を乾燥する工程(II)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
<11> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の防汚塗料組成物を乾燥させてなる防汚塗膜を形成する工程(i)、及び前記防汚塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する、防汚塗膜付き基材の製造方法。
本発明によれば、有機防汚剤を低減しても、長期にわたり防汚性が発揮され、また、長期にわたりクラックの発生が抑制されるなど、長期にわたり優れた物性が維持され、乾燥性及び塗膜強度に優れた防汚塗膜が形成され、更に、劣化後の塗膜変色が抑制され、美観性に優れた環境負荷低減型の防汚塗料組成物を提供することができる。更に、本発明によれば、前記防汚塗料組成物により形成される防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、並びに防汚方法について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」は、それぞれアクリル酸又はメタクリル酸、及びアクリレート又はメタクリレートを意味する。
なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」は、それぞれアクリル酸又はメタクリル酸、及びアクリレート又はメタクリレートを意味する。
[防汚塗料組成物]
本発明の防汚塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」ともいう。)は、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)(以下、単に「加水分解性重合体(A)」ともいう)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル(以下、「モノカルボン酸成分」ともいう)、並びに有機防汚剤(D)を含有し、該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である。
本発明によれば、有機防汚剤を低減しても長期にわたり防汚性が発揮され、また、長期にわたりクラックの発生が抑制されるなど、長期にわたり優れた物性が維持され、更に、乾燥性及び塗膜強度に優れた防汚塗膜が形成される防汚塗料組成物を提供することができる。また、劣化後の塗膜変色が抑制され、美観性に優れた環境負荷低減型防汚塗料組成物を提供することができる。
昨今の環境問題への関心の高まりから、環境負荷を低減させるために、防汚塗料組成物が含有する防汚剤成分を低減することが望まれている。特に、有機防汚剤は乾燥性、塗膜強度、塗膜物性に影響を与えるものが多いため、添加量は樹脂及びその他成分との相溶性などを考慮し、最適量を使用する塗料設計が必要である。有機防汚剤添加量が多すぎても少なすぎても不具合が発生する。
例えば有機防汚剤の中でトラロピリルは塗膜乾燥性、塗膜強度に影響を与えることがあり、添加量が多すぎると乾燥性、塗膜強度が低下する。
また、有機防汚剤の中には紫外線の影響で塗膜変色を起こすものがあり、美観性を損なうものがある。例えば、ピリチオン化合物は特に変色しやすい傾向がある。上記のように有機防汚剤を極力減量することは環境負荷低減だけでなく、高価な有機防汚剤を減量する経済メリット、塗膜物性、耐変色性向上等の塗膜諸性能の向上にもつながる。
なお、塗膜物性が良好であるとは、形成された乾燥塗膜におけるクラックや膨れの発生が抑制されていることを意味する。
本発明の防汚塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」ともいう。)は、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)(以下、単に「加水分解性重合体(A)」ともいう)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル(以下、「モノカルボン酸成分」ともいう)、並びに有機防汚剤(D)を含有し、該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である。
本発明によれば、有機防汚剤を低減しても長期にわたり防汚性が発揮され、また、長期にわたりクラックの発生が抑制されるなど、長期にわたり優れた物性が維持され、更に、乾燥性及び塗膜強度に優れた防汚塗膜が形成される防汚塗料組成物を提供することができる。また、劣化後の塗膜変色が抑制され、美観性に優れた環境負荷低減型防汚塗料組成物を提供することができる。
昨今の環境問題への関心の高まりから、環境負荷を低減させるために、防汚塗料組成物が含有する防汚剤成分を低減することが望まれている。特に、有機防汚剤は乾燥性、塗膜強度、塗膜物性に影響を与えるものが多いため、添加量は樹脂及びその他成分との相溶性などを考慮し、最適量を使用する塗料設計が必要である。有機防汚剤添加量が多すぎても少なすぎても不具合が発生する。
例えば有機防汚剤の中でトラロピリルは塗膜乾燥性、塗膜強度に影響を与えることがあり、添加量が多すぎると乾燥性、塗膜強度が低下する。
また、有機防汚剤の中には紫外線の影響で塗膜変色を起こすものがあり、美観性を損なうものがある。例えば、ピリチオン化合物は特に変色しやすい傾向がある。上記のように有機防汚剤を極力減量することは環境負荷低減だけでなく、高価な有機防汚剤を減量する経済メリット、塗膜物性、耐変色性向上等の塗膜諸性能の向上にもつながる。
なお、塗膜物性が良好であるとは、形成された乾燥塗膜におけるクラックや膨れの発生が抑制されていることを意味する。
本発明によれば、酸化亜鉛量を増量すること、及びモノカルボン酸成分を特定量使用することで、ピリチオン化合物などの有機防汚剤を大幅に減量しても、長期にわたり防汚性が発揮され、耐クラック性に優れるなど、長期にわたって塗膜物性が維持され、乾燥性及び塗膜強度に優れ、かつ劣化後の塗膜変色が抑制され、美観性に優れた環境負荷低減型の防汚塗料組成物を提供することができた。更に、本発明によれば、前記防汚塗料組成物により形成される防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、並びに前記防汚塗膜を用いた防汚方法を提供することができる。
すなわち、本発明はピリチオン化合物などの有機防汚剤を減量することを一つの特徴としている。特に、ピリチオン化合物は紫外線により変色する傾向があり、また銅ピリチオンはその物自体が濃緑色に着色しており、着色力も高いため、彩度が高い鮮やかな色彩の塗膜を得るには不利である。近年、大型客船等では、鮮やかな色彩の塗膜であり、かつ、経年劣化による変色を防ぎ美観性のよい塗膜を得ることが望まれていた。
一方で、ピリチオン化合物を減量したり、含有しない配合処方とした場合には、初期乾燥性、耐ダメージ性、塗膜物性などが低下する場合があった。
本発明は、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)を含有する防汚塗料組成物において、酸化亜鉛(B)を増量し、かつモノカルボン酸成分を併用することで、有機防汚剤(D)の含有量を少なくした組成であっても、高い防汚性、かつ優れた美観性を両立している点に特徴がある。特に、本発明の防汚塗料組成物は、ピリチオン化合物を除く有機防汚剤(D)のみを使用しても、十分な防汚性を得ることが可能である。
通常、本発明のように酸化亜鉛を多量に添加すると、粘度上昇が起こり塗装作業性の低下、また塗膜にクラックが発生するなどの塗膜欠陥を引き起こす。本発明はモノカルボン酸成分を併用することにも特徴がある。モノカルボン酸成分が分散剤的な役割となり最適量を添加することで、多量の酸化亜鉛を含有しても塗料粘度上昇を抑制し、かつクラック発生抑制効果を同時に発現することが判明した。
特に亜酸化銅を含有しない組成では、ピリチオン化合物などの有機防汚剤の含有量を減らした組成とした場合には、防汚性低下が大きい。亜酸化銅は、赤色〜赤褐色であるため、亜酸化銅を含有する防汚塗料組成物では、彩度が高い鮮やかな色彩の塗膜を得るには不利である。本発明の防汚塗料組成物は、亜酸化銅を含有しない組成とした場合であっても、優れた防汚性が得られるため、特に亜酸化銅を含有しない防汚塗料組成物に有効である。
上述のように高性能で有機防汚剤成分を減量した環境対応型防汚塗料の要望は高く、本発明により上記の課題が解決できる。
すなわち、本発明はピリチオン化合物などの有機防汚剤を減量することを一つの特徴としている。特に、ピリチオン化合物は紫外線により変色する傾向があり、また銅ピリチオンはその物自体が濃緑色に着色しており、着色力も高いため、彩度が高い鮮やかな色彩の塗膜を得るには不利である。近年、大型客船等では、鮮やかな色彩の塗膜であり、かつ、経年劣化による変色を防ぎ美観性のよい塗膜を得ることが望まれていた。
一方で、ピリチオン化合物を減量したり、含有しない配合処方とした場合には、初期乾燥性、耐ダメージ性、塗膜物性などが低下する場合があった。
本発明は、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)を含有する防汚塗料組成物において、酸化亜鉛(B)を増量し、かつモノカルボン酸成分を併用することで、有機防汚剤(D)の含有量を少なくした組成であっても、高い防汚性、かつ優れた美観性を両立している点に特徴がある。特に、本発明の防汚塗料組成物は、ピリチオン化合物を除く有機防汚剤(D)のみを使用しても、十分な防汚性を得ることが可能である。
通常、本発明のように酸化亜鉛を多量に添加すると、粘度上昇が起こり塗装作業性の低下、また塗膜にクラックが発生するなどの塗膜欠陥を引き起こす。本発明はモノカルボン酸成分を併用することにも特徴がある。モノカルボン酸成分が分散剤的な役割となり最適量を添加することで、多量の酸化亜鉛を含有しても塗料粘度上昇を抑制し、かつクラック発生抑制効果を同時に発現することが判明した。
特に亜酸化銅を含有しない組成では、ピリチオン化合物などの有機防汚剤の含有量を減らした組成とした場合には、防汚性低下が大きい。亜酸化銅は、赤色〜赤褐色であるため、亜酸化銅を含有する防汚塗料組成物では、彩度が高い鮮やかな色彩の塗膜を得るには不利である。本発明の防汚塗料組成物は、亜酸化銅を含有しない組成とした場合であっても、優れた防汚性が得られるため、特に亜酸化銅を含有しない防汚塗料組成物に有効である。
上述のように高性能で有機防汚剤成分を減量した環境対応型防汚塗料の要望は高く、本発明により上記の課題が解決できる。
なお、前記の効果が得られる詳細な作用機序は必ずしも明らかではないが、一部は以下のように推定される。すなわち、金属エステル基を有する加水分解性重合体(A)を含有することにより、防汚塗膜に適度な耐水性と水中での表面からの更新性が付与され、更に、特定量の酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸成分及び一定量の有機防汚剤(D)を含有することで、乾燥性、塗膜強度、劣化後の塗膜の耐変色性に優れ、高い防汚性が維持される防汚塗膜が得られたものと考えられる。
なお、本発明において、防汚塗膜は、適度な耐水性を有すると共に、適度な水中での塗膜更新性を有することが好ましい。耐水性が低下することにより、防汚性成分の溶出が早くなりすぎ長期の防汚性が得られない等の問題があり、また、塗膜更新性が低下することにより、防汚性の低下が認められる等の問題が生じる。
以下、本発明の防汚塗料組成物が含有する各成分について詳述する。
なお、本発明において、防汚塗膜は、適度な耐水性を有すると共に、適度な水中での塗膜更新性を有することが好ましい。耐水性が低下することにより、防汚性成分の溶出が早くなりすぎ長期の防汚性が得られない等の問題があり、また、塗膜更新性が低下することにより、防汚性の低下が認められる等の問題が生じる。
以下、本発明の防汚塗料組成物が含有する各成分について詳述する。
<金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)>
本発明の防汚塗料組成物は、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)(加水分解性重合体(A))を含有する。
ここで、「金属エステル基」とは、金属と有機酸とにより形成される塩であり、金属とカルボン酸とが結合することにより生成した基であることが好ましい。また、後述する「多価金属エステル基」又は「2価金属エステル基」とは、多価金属又は2価金属と有機酸とが結合することにより生成した基を指す。
金属エステル基としては多価金属エステル基が好ましく、下記式(1)で表される2価金属エステル基が更に好ましい。
本発明の防汚塗料組成物は、金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)(加水分解性重合体(A))を含有する。
ここで、「金属エステル基」とは、金属と有機酸とにより形成される塩であり、金属とカルボン酸とが結合することにより生成した基であることが好ましい。また、後述する「多価金属エステル基」又は「2価金属エステル基」とは、多価金属又は2価金属と有機酸とが結合することにより生成した基を指す。
金属エステル基としては多価金属エステル基が好ましく、下記式(1)で表される2価金属エステル基が更に好ましい。
(式(1)中、Mは金属を示し、*は結合位置を示す。)
金属エステル基を構成する金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ネオジム、チタン、ジルコニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウム等が挙げられる。
式(1)中、Mは2価の金属であり、上述した金属の中から、2価金属を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、ニッケル、銅、及び亜鉛等の第10〜12族の金属が好ましく、銅、及び亜鉛がより好ましく、亜鉛が更に好ましい。
式(1)における*は結合位置を表し、任意の基、好ましくは任意の有機基に連結していることを示す。
式(1)中、Mは2価の金属であり、上述した金属の中から、2価金属を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、ニッケル、銅、及び亜鉛等の第10〜12族の金属が好ましく、銅、及び亜鉛がより好ましく、亜鉛が更に好ましい。
式(1)における*は結合位置を表し、任意の基、好ましくは任意の有機基に連結していることを示す。
加水分解性重合体(A)は、主鎖又は側鎖末端に、上記の式(1)で表される基を有していてもよく、また、主鎖同士が、式(1)で表される基を含む2価の基によって架橋されていてもよい。また、加水分解性重合体(A)は、エチレン性不飽和化合物の重合によって得られた付加重合型の重合体であってもよく、ポリエステルやポリアミドのように、重縮合により得られた重縮合型の重合体であってもよく、特に限定されない。これらの中でも、エチレン性不飽和化合物の重合によって得られた付加重合型の重合体であることが好ましい。
加水分解性重合体(A)は、下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1)及び下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2)よりなる群から選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。なお、加水分解性重合体(A)は、下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位と、下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位の両方を有していてもよく、その場合には、重合体(A1)であるとする。すなわち、重合体(A1)は、少なくとも下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体であり、重合体(A2)は、下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有し、かつ、下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有しない。
加水分解性重合体(A)が、下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1)である場合、下記式(1−1)で表される重合性化合物を単量体成分として使用して得てもよいし、カルボキシ基を有する重合体を得た後に、金属エステル化することで架橋構造を形成し、重合体(A1)を得てもよく、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、式(1−1)で表される重合性化合物を単量体成分として使用して、重合体(A1)を得ることが好ましい。
同様に、下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2)は、下記式(1−2)で表される重合性化合物を単量体成分として使用して得てもよいし、カルボキシ基を有する重合体を得た後に、金属エステル化することで得てもよく、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、下記式(1−2)で表される重合性化合物を単量体成分として使用して、重合体(A2)を得ることが好ましい。
以下の説明において、下記式(1−1)で表される重合性化合物を単量体(a1−1)、下記式(1−2)で表される基を有する重合性単量体を単量体(a1−2)ともいう。また、単量体(a1−1)及び単量体(a1−2)を総称して、単量体(a1)ともいう。
同様に、下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2)は、下記式(1−2)で表される重合性化合物を単量体成分として使用して得てもよいし、カルボキシ基を有する重合体を得た後に、金属エステル化することで得てもよく、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、下記式(1−2)で表される重合性化合物を単量体成分として使用して、重合体(A2)を得ることが好ましい。
以下の説明において、下記式(1−1)で表される重合性化合物を単量体(a1−1)、下記式(1−2)で表される基を有する重合性単量体を単量体(a1−2)ともいう。また、単量体(a1−1)及び単量体(a1−2)を総称して、単量体(a1)ともいう。
(式(1−1)中、R11はそれぞれ独立に、末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
式(1−1)中、R11は、末端エチレン性不飽和基(CH2=C<)を含有する1価の基を示し、R11の炭素数は、好ましくは2以上50以下、より好ましくは2以上30以下、更に好ましくは2以上10以下、より更に好ましくは2以上6以下である。R11は、末端エチレン性不飽和基を有していればよく、末端以外にエチレン性不飽和基を有していてもよいが、末端のみにエチレン性不飽和基を有することがより好ましい。
R11としては、末端エチレン性不飽和基を含有する不飽和脂肪族基であることが好ましく、前記不飽和脂肪族基は、炭素鎖内にエステル結合、アミド結合、エーテル結合を有していてもよい。R11として具体的には、アクリル酸(2−プロペン酸)、メタクリル酸(2−メチル−2−プロペン酸)、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、10−ウンデセン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロピオン酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸から、カルボキシ基を除いた基が例示される。また、イタコン酸等の末端エチレン性不飽和基を含有する脂肪族不飽和ジカルボン酸から、1つのカルボキシ基を除いた基が例示される。
これらの中でも、R11としては、末端エチレン性不飽和基を含有する脂肪族不飽和モノカルボン酸からカルボキシ基を除いた基であることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシアルキルカルボン酸からカルボキシ基を除いた基であることがより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸からカルボキシ基を除いた基であることが更に好ましい。
R11としては、末端エチレン性不飽和基を含有する不飽和脂肪族基であることが好ましく、前記不飽和脂肪族基は、炭素鎖内にエステル結合、アミド結合、エーテル結合を有していてもよい。R11として具体的には、アクリル酸(2−プロペン酸)、メタクリル酸(2−メチル−2−プロペン酸)、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、10−ウンデセン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロピオン酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸から、カルボキシ基を除いた基が例示される。また、イタコン酸等の末端エチレン性不飽和基を含有する脂肪族不飽和ジカルボン酸から、1つのカルボキシ基を除いた基が例示される。
これらの中でも、R11としては、末端エチレン性不飽和基を含有する脂肪族不飽和モノカルボン酸からカルボキシ基を除いた基であることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシアルキルカルボン酸からカルボキシ基を除いた基であることがより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸からカルボキシ基を除いた基であることが更に好ましい。
式(1−1)で表される重合性化合物(単量体(a1−1))としては、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、アクリル酸(メタクリル酸)亜鉛、ジ(3−アクリロイルオキシプロピオン酸)亜鉛、ジ(3−メタクリロイルオキシプロピオン酸)亜鉛、ジ(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロピオン酸)亜鉛、ジアクリル酸銅、ジメタクリル酸銅、アクリル酸(メタクリル酸)銅、ジ(3−アクリロイルオキシプロピオン酸)銅、ジ(3−メタクリロイルオキシプロピオン酸)銅、ジ(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロピオン酸)銅が例示される。
(式(1−2)中、R21は末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示し、R22は末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
式(1−2)中、R21は末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示す。R21としては、式(1−1)におけるR11と同様の基が例示され、好ましい態様も同様である。
式(1−2)中、R22は、末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示す。R22としては、末端エチレン性不飽和基を含有しない、炭素数1以上30以下の肪族炭化水素基、炭素数3以上30以下の脂環式炭化水素基、炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基が例示される。これらの基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、水酸基が例示される。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、また、飽和脂肪族炭化水素基でも、不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。なお、R22が不飽和脂肪族炭化水素基であるとき、R22は末端エチレン性不飽和基を含有しない。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1以上30以下、好ましくは1以上28以下、より好ましくは1以上26以下、更に好ましくは炭素数1以上24以下である。なお、脂肪族炭化水素基は、更に脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基により置換されていてもよい。
前記脂環式炭化水素基は、飽和脂環式炭化水素基でも、不飽和脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基の炭素数は、3以上30以下、好ましくは4以上20以下、より好ましくは5以上16以下、更に好ましくは6以上12以下である。なお、脂環式炭化水素基は、更に脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基により置換されていてもよい。
前記芳香族炭化水素基の炭素数は、6以上30以下、好ましくは6以上24以下、より好ましくは6以上18以下、更に好ましくは炭素数6以上10以下である。なお、芳香族炭化水素基は、更に脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基により置換されていてもよい。
式(1−2)中、R22は、末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示す。R22としては、末端エチレン性不飽和基を含有しない、炭素数1以上30以下の肪族炭化水素基、炭素数3以上30以下の脂環式炭化水素基、炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基が例示される。これらの基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、水酸基が例示される。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、また、飽和脂肪族炭化水素基でも、不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。なお、R22が不飽和脂肪族炭化水素基であるとき、R22は末端エチレン性不飽和基を含有しない。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1以上30以下、好ましくは1以上28以下、より好ましくは1以上26以下、更に好ましくは炭素数1以上24以下である。なお、脂肪族炭化水素基は、更に脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基により置換されていてもよい。
前記脂環式炭化水素基は、飽和脂環式炭化水素基でも、不飽和脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基の炭素数は、3以上30以下、好ましくは4以上20以下、より好ましくは5以上16以下、更に好ましくは6以上12以下である。なお、脂環式炭化水素基は、更に脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基により置換されていてもよい。
前記芳香族炭化水素基の炭素数は、6以上30以下、好ましくは6以上24以下、より好ましくは6以上18以下、更に好ましくは炭素数6以上10以下である。なお、芳香族炭化水素基は、更に脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基により置換されていてもよい。
R22は、一塩基酸から形成される有機酸残基であることが好ましく、具体的には、バーサチック酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、及びナフテン酸よりなる群から選択される有機酸からカルボキシ基を除いた基が例示される。
これらの中でも、好ましくはアビエチン酸、バーサチック酸、ナフテン酸からカルボキシ基を除いた基、より好ましくはアビエチン酸、バーサチック酸からカルボキシ基を除いた基である。
これらの中でも、好ましくはアビエチン酸、バーサチック酸、ナフテン酸からカルボキシ基を除いた基、より好ましくはアビエチン酸、バーサチック酸からカルボキシ基を除いた基である。
式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2)は、式(1−2)で表される重合性化合物(単量体(a1−2))中の末端エチレン性不飽和基のみが重合することによって得られる構成単位であることが好ましい。単量体(a1−2)としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸(アビエチン酸)亜鉛、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸(バーサチック酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(アビエチン酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(バーサチック酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(ナフテン酸)亜鉛、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸(アビエチン酸)銅、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸(バーサチック酸)銅、(メタ)アクリル酸(アビエチン酸)銅、(メタ)アクリル酸(バーサチック酸)銅、及び(メタ)アクリル酸(ナフテン酸)銅よりなる群から選択された重合性化合物が例示される。
式(1−1)及び式(1−2)中、Mは銅又は亜鉛を示し、亜鉛であることが好ましい。
加水分解性重合体(A)は、下記式(1−1’)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1’)及び下記式(1−2’)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2’)よりなる群から選択される少なくとも1つを含有することがより好ましい。なお、前記重合体(A1)は、重合体(A1’)であることが好ましく、前記重合体(A2)は、重合体(A2’)であることが好ましい。また、加水分解性重合体(A)は、下記式(1−1’)で表される重合性化合物に由来する構成単位と、下記式(1−2’)で表される重合性化合物に由来する構成単位との両方を有していてもよい。
(式(1−1’)中、R12はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
式(1−1’)で表される重合性化合物としては、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、アクリル酸(メタクリル酸)亜鉛、ジアクリル酸銅、ジメタクリル酸銅、アクリル酸(メタクリル酸)銅が例示される。
(式(1−2’)中、R23は水素原子又はメチル基を示し、R24は末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
式(1−2’)中、R24としては、上記式(1−2)中のR22と同様の基が例示され、好ましい態様も同様である。
上記式(1−2’)で表される重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸(アビエチン酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(バーサチック酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(ナフテン酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(アビエチン酸)銅、(メタ)アクリル酸(バーサチック酸)銅、及び(メタ)アクリル酸(ナフテン酸)銅が例示される。
上記式(1−2’)で表される重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸(アビエチン酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(バーサチック酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(ナフテン酸)亜鉛、(メタ)アクリル酸(アビエチン酸)銅、(メタ)アクリル酸(バーサチック酸)銅、及び(メタ)アクリル酸(ナフテン酸)銅が例示される。
式(1−1’)及び式(1−2’)中、Mは、銅又は亜鉛を示し、亜鉛であることが好ましい。
加水分解性重合体(A)中の式(1−1)で表される重合性化合物、式(1−1’)で表される重合性化合物、式(1−2)で表される重合性化合物、及び式(1−2’)で表される重合性化合物に由来する構成単位の総含有量、すなわち、単量体(a1)に由来する構成単位の総含有量は、全構成単位中、好ましくは1質量%以上60質量%以下、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、更に好ましくは10質量%以上35質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上32質量%以下である。
なお、加水分解性重合体(A)中の各単量体に由来する構成単位の各含有量(質量)の比率は、重合反応に用いる前記各単量体の仕込み量(質量)の比率と同じものとしてみなすことができる。
なお、加水分解性重合体(A)中の各単量体に由来する構成単位の各含有量(質量)の比率は、重合反応に用いる前記各単量体の仕込み量(質量)の比率と同じものとしてみなすことができる。
加水分解性重合体(A)は、金属エステル基を有する構成単位以外に、その他の単量体(a2)に基づく構成単位を有することが好ましい。
その他の単量体(a2)としては、エチレン性不飽和基を有する単量体であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシブチルジグリコール(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;
オルガノシロキサン基含有(メタ)アクリレート;
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、塩化ビニルなどのビニル化合物等が挙げられる。これら単量体は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単量体(a2)としては、エチレン性不飽和基を有する単量体であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシブチルジグリコール(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;
オルガノシロキサン基含有(メタ)アクリレート;
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、塩化ビニルなどのビニル化合物等が挙げられる。これら単量体は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数が好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上6以下、より更に好ましくは1以上4以下)、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(アルコキシ基中のアルキル基、及び、アルキル基の炭素数が、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上6以下、より更に好ましくは1以上4以下)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数が好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上6以下、より更に好ましくは1以上4以下)が好ましい。
単量体(a2)として、少なくともアルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましく、単量体(a2)中のアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
加水分解性重合体(A)中の単量体(a2)に由来する構成単位の含有量は、全構成単位中、40質量%以上99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上90質量%以下が更に好ましく、68質量%以上85質量%以下がより更に好ましい。
単量体(a2)として、少なくともアルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましく、単量体(a2)中のアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
加水分解性重合体(A)中の単量体(a2)に由来する構成単位の含有量は、全構成単位中、40質量%以上99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上90質量%以下が更に好ましく、68質量%以上85質量%以下がより更に好ましい。
加水分解性重合体(A)は、例えば、以下の手順で製造することができる。
単量体(a1)は、例えば、金属化合物(好ましくは無機金属化合物、具体的には、銅又は亜鉛の酸化物、水酸化物、塩化物、有機酸塩(例えば、酢酸亜鉛等)等)と、メタクリル酸、アクリル酸等の有機酸又はそのエステル化物とを、有機溶剤及び水の存在下で金属塩の分解温度以下で加熱し、撹拌する等の公知の方法で合成することができる。
より具体的には、まず、溶剤と酸化亜鉛等の金属成分とを混合した混合液を50℃以上80℃以下程度に加温しながら撹拌し、これに、メタクリル酸やアクリル酸等の有機酸又はそのエステル体、及び水等の混合液を滴下し、更に撹拌することにより金属エステル基を有する単量体(a1)を調製する。
次に、新たに用意した反応容器に溶剤を入れ80℃以上120℃以下程度に加温し、これに前記金属エステル基を有する単量体(a1)、前記その他単量体(a2)、重合開始剤、連鎖移動剤、及び溶剤等の混合液を滴下し、重合反応を行うことにより金属エステル基を有する加水分解性重合体(A)を得ることができる。
なお、加水分解性重合体(A)中の各単量体に由来する構造単位の各含有量(質量)の比率は、重合反応に用いる前記各単量体の仕込み量(質量)の比率と同じものとしてみなすことができる。
単量体(a1)は、例えば、金属化合物(好ましくは無機金属化合物、具体的には、銅又は亜鉛の酸化物、水酸化物、塩化物、有機酸塩(例えば、酢酸亜鉛等)等)と、メタクリル酸、アクリル酸等の有機酸又はそのエステル化物とを、有機溶剤及び水の存在下で金属塩の分解温度以下で加熱し、撹拌する等の公知の方法で合成することができる。
より具体的には、まず、溶剤と酸化亜鉛等の金属成分とを混合した混合液を50℃以上80℃以下程度に加温しながら撹拌し、これに、メタクリル酸やアクリル酸等の有機酸又はそのエステル体、及び水等の混合液を滴下し、更に撹拌することにより金属エステル基を有する単量体(a1)を調製する。
次に、新たに用意した反応容器に溶剤を入れ80℃以上120℃以下程度に加温し、これに前記金属エステル基を有する単量体(a1)、前記その他単量体(a2)、重合開始剤、連鎖移動剤、及び溶剤等の混合液を滴下し、重合反応を行うことにより金属エステル基を有する加水分解性重合体(A)を得ることができる。
なお、加水分解性重合体(A)中の各単量体に由来する構造単位の各含有量(質量)の比率は、重合反応に用いる前記各単量体の仕込み量(質量)の比率と同じものとしてみなすことができる。
加水分解性重合体(A)の製造に用いることができる重合開始剤としては、特に制限はなく、各種ラジカル重合開始剤を用いることができる。具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロペルオキシド、tert−ブチルハイドロペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〔AMBN〕、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔ADVN〕、及びtert−ブチルパーオクトエート〔TBPO〕等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのラジカル重合開始剤は、反応開始時にのみ反応系内に添加してもよく、また反応開始時と反応途中との両方で反応系内に添加してもよい。
加水分解性重合体(A)の製造における重合開始剤の使用量は、前記各単量体の合計100質量部に対して2質量部以上20質量部以下が好ましい。
加水分解性重合体(A)の製造における重合開始剤の使用量は、前記各単量体の合計100質量部に対して2質量部以上20質量部以下が好ましい。
加水分解性重合体(A)の製造に用いることができる連鎖移動剤としては、特に制限はなく、例えば、α−メチルスチレンダイマー、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン;tert−ドデシルメルカプタン、及びn−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、及びブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール等の第2級アルコール;グリセリン等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加水分解性重合体(A)の製造において連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、前記各単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
加水分解性重合体(A)の製造において連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、前記各単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
加水分解性重合体(A)の製造に用いることができる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、及びメシチレン等の芳香族系溶剤;プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;水等が挙げられる。
加水分解性重合体(A)の製造において溶剤を用いる場合、その使用量に特に制限はないが、前記各単量体の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上150質量部以下である。
加水分解性重合体(A)の製造において溶剤を用いる場合、その使用量に特に制限はないが、前記各単量体の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上150質量部以下である。
なお、加水分解性重合体(A)の製造方法はこれに限定されるものではなく、カルボキシ基を有する重合体(a3)と、後述するモノカルボン酸化合物(C)と、金属化合物(好ましくは無機金属化合物、具体的には、銅又は亜鉛の酸化物、水酸化物、塩化物、有機酸塩(例えば、酢酸亜鉛等)等)とを反応させて、重合体(a3)が有するカルボキシ基に金属エステル基を導入する方法や、カルボキシ基を有する重合体(a3)と、金属化合物とを反応させて、重合体に金属エステル架橋を導入する方法により製造してもよい。
カルボキシ基を有する重合体(a3)としては、ポリエステル系重合体(a3−1)やアクリル系重合体(a3−2)が挙げられ、好ましくはポリエステル系重合体(a3−1)である。
ポリエステル系重合体(a3−1)としては、酸基を有するポリエステル樹脂が例示される。
ポリエステル系重合体(a3−1)の固形分酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上250mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である。
ポリエステル系重合体(a3−1)は1以上の多価アルコールと1以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物との反応により得られ、任意の種類を任意の量で用いることができ、その組み合わせにより酸価や粘度を調整できる。
ポリエステル系重合体(a3−1)としては、国際公開第2014/010702に記載されているような、3価以上のアルコール(a3−11)と、二塩基酸及び/又はその無水物(a3−12)と、2価のアルコール(a3−13)とを反応させた後、更に脂環式二塩基酸及び/又はその無水物(a3−14)を反応させて得られるものが好適に例示される。
ポリエステル系重合体(a3−1)としては、酸基を有するポリエステル樹脂が例示される。
ポリエステル系重合体(a3−1)の固形分酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上250mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である。
ポリエステル系重合体(a3−1)は1以上の多価アルコールと1以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物との反応により得られ、任意の種類を任意の量で用いることができ、その組み合わせにより酸価や粘度を調整できる。
ポリエステル系重合体(a3−1)としては、国際公開第2014/010702に記載されているような、3価以上のアルコール(a3−11)と、二塩基酸及び/又はその無水物(a3−12)と、2価のアルコール(a3−13)とを反応させた後、更に脂環式二塩基酸及び/又はその無水物(a3−14)を反応させて得られるものが好適に例示される。
上述したように、ポリエステル系重合体(a3−1)と、モノカルボン酸化合物(C)と金属化合物とを反応させる方法や、前記ポリエステル系重合体(a3−1)と、金属化合物とを反応させる方法により加水分解性重合体(A)を製造することもできる。
このようなポリエステル系重合体(a3−1)と反応させるモノカルボン酸化合物(C)としては、後述するようなものを用いることができ、中でもロジン類を用いることが好ましく、金属化合物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化銅等の金属酸化物を用いることができ、中でも酸化亜鉛を用いることが好ましい。
このようなポリエステル系重合体(a3−1)と反応させるモノカルボン酸化合物(C)としては、後述するようなものを用いることができ、中でもロジン類を用いることが好ましく、金属化合物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化銅等の金属酸化物を用いることができ、中でも酸化亜鉛を用いることが好ましい。
アクリル系重合体(a3−2)としては、重合性化合物(単量体)として、アクリル酸、メタクリル酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロピオン酸等の不飽和カルボン酸と、必要に応じてその他の単量体(a2)を使用してラジカル重合により得られたカルボキシ基を含有するアクリル系重合体(a3−2)が挙げられる。
ポリエステル系重合体(a3−1)と同様に、上記アクリル系重合体(a3−2)と、モノカルボン酸化合物(C)と、金属化合物(好ましくは無機金属化合物、具体的には、銅又は亜鉛の酸化物、水酸化物、塩化物、有機酸塩(例えば、酢酸亜鉛等)等)とを反応させる方法や、上記アクリル系重合体(a3−2)と金属化合物とを反応させる方法により、加水分解性重合体(A)を作製することもできる。
ポリエステル系重合体(a3−1)と同様に、上記アクリル系重合体(a3−2)と、モノカルボン酸化合物(C)と、金属化合物(好ましくは無機金属化合物、具体的には、銅又は亜鉛の酸化物、水酸化物、塩化物、有機酸塩(例えば、酢酸亜鉛等)等)とを反応させる方法や、上記アクリル系重合体(a3−2)と金属化合物とを反応させる方法により、加水分解性重合体(A)を作製することもできる。
加水分解性重合体(A)中の銅及び/又は亜鉛の含有量は、塗膜更新性及び防汚性に優れる防汚塗膜を形成する観点から、加水分解性重合体(A)中、好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは1質量%以上20質量%以下、更に好ましくは3質量%以上15質量%以下である。銅及び/又は亜鉛の含有量は、X線回折装置、ICP発光分析装置により測定することができ、加水分解性重合体(A)を合成する際に用いる単量体の配合により、適宜調整することができる。
加水分解性重合体(A)の酸価は、得られる防汚塗膜の水中への溶解速度を所望の範囲とする観点から好ましくは30mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
酸価が30mgKOH/g以上であると、加水分解性重合体(A)中の金属含有量が適切であり、防汚性に優れる防汚塗膜が得られるので好ましい。また、酸価が250mgKOH/g以下であると、長期防汚性に優れる防汚塗膜が得られるので好ましい。
酸価が30mgKOH/g以上であると、加水分解性重合体(A)中の金属含有量が適切であり、防汚性に優れる防汚塗膜が得られるので好ましい。また、酸価が250mgKOH/g以下であると、長期防汚性に優れる防汚塗膜が得られるので好ましい。
加水分解性重合体(A)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、防汚塗料組成物の粘度や貯蔵安定性、得られる防汚塗膜の溶出速度(更新性)等を考慮して、適宜調整することが好ましい。
加水分解性重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上30,000以下、より好ましくは800以上10,000以下である。また、加水分解性重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上200,000以下、より好ましくは1,200以上20,000以下である。
前記数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーショングラフィにより測定し、標準ポリスチレンにて換算することにより求められる。
加水分解性重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上30,000以下、より好ましくは800以上10,000以下である。また、加水分解性重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上200,000以下、より好ましくは1,200以上20,000以下である。
前記数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーショングラフィにより測定し、標準ポリスチレンにて換算することにより求められる。
加水分解性重合体(A)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
防汚塗料組成物中の加水分解性重合体(A)の含有量は、本発明における防汚塗料組成物の塗装作業性や表面更新持続性及び耐水性に優れる防汚塗膜を得る観点から、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは1質量%以上44.9質量%以下、より好ましくは5質量%以上35質量%以下、更に好ましくは10質量%以上30質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上25質量%以下である。
なお、本発明において、加水分解性重合体(A)を2種以上含有する場合、上記の含有量は加水分解性重合体(A)の総含有量としての好ましい範囲であり、後述する各成分についても同様である。
また、防汚塗料組成物の固形分とは、防汚塗料組成物を108℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥して溶剤等を揮散させたときの加熱残分をいう。
防汚塗料組成物中の加水分解性重合体(A)の含有量は、本発明における防汚塗料組成物の塗装作業性や表面更新持続性及び耐水性に優れる防汚塗膜を得る観点から、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは1質量%以上44.9質量%以下、より好ましくは5質量%以上35質量%以下、更に好ましくは10質量%以上30質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上25質量%以下である。
なお、本発明において、加水分解性重合体(A)を2種以上含有する場合、上記の含有量は加水分解性重合体(A)の総含有量としての好ましい範囲であり、後述する各成分についても同様である。
また、防汚塗料組成物の固形分とは、防汚塗料組成物を108℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥して溶剤等を揮散させたときの加熱残分をいう。
<酸化亜鉛(B)>
本発明の防汚塗料組成物は、酸化亜鉛(B)を含有する。加水分解性重合体(A)と共に(B)、を特定量用いることにより、高い防汚性を維持可能な防汚塗膜を得ることができる。
前記効果は、加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)及びそれぞれの有する効果の、単なる組み合わせではなく、これらを併用した時に初めて生じる相乗効果である。
本発明の防汚塗料組成物は、酸化亜鉛(B)を含有する。加水分解性重合体(A)と共に(B)、を特定量用いることにより、高い防汚性を維持可能な防汚塗膜を得ることができる。
前記効果は、加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)及びそれぞれの有する効果の、単なる組み合わせではなく、これらを併用した時に初めて生じる相乗効果である。
本発明の防汚塗料組成物中の酸化亜鉛(B)の含有量は、長期間に良好な防汚性を維持し、良好な塗膜物性を有した防汚塗膜が得られる等の点から、本発明の防汚塗料組成物の固形分中に55質量%以上75質量%以下、好ましくは60質量%以上72質量%以下、より好ましくは63質量%以上70質量%以下である。
酸化亜鉛(B)が上記規程以下であると、防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である場合に、十分な防汚性を得ることができず、上記規程値以上であるとクラックなどの塗膜欠陥が発生し、十分な塗膜物性が得られない。
また、本発明において、酸化亜鉛(B)の含有量を上記範囲内とすることにより、結果として加水分解性重合体(A)の含有量を抑制することができ、防汚塗料組成物を安価に調製することができる点でも好ましい。
酸化亜鉛(B)が上記規程以下であると、防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である場合に、十分な防汚性を得ることができず、上記規程値以上であるとクラックなどの塗膜欠陥が発生し、十分な塗膜物性が得られない。
また、本発明において、酸化亜鉛(B)の含有量を上記範囲内とすることにより、結果として加水分解性重合体(A)の含有量を抑制することができ、防汚塗料組成物を安価に調製することができる点でも好ましい。
<モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル>
本発明の防汚塗料組成物は、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル(モノカルボン酸成分)を含有する。
本発明においてモノカルボン酸成分は、形成される防汚塗膜の水中での表面からの更新性を向上させ、その防汚塗膜が防汚剤を含む場合はその水中への放出の促進による防汚性向上を促進させ、更には防汚塗膜に適度な耐水性を付与するものである。
モノカルボン酸化合物(C)としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジン誘導体などが挙げられ、その他のモノカルボン酸化合物としては、脂肪族又は脂環式のモノカルボン酸などが挙げられる。その他のモノカルボン酸化合物の具体例としては、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、ナフテン酸、バーサチック酸、ステアリン酸、サリチル酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。モノカルボン酸化合物(C)がガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジン誘導体であることが、乾燥性、塗膜強度の観点からより好ましい。
モノカルボン酸化合物(C)は、金属エステルを形成していてもよく、亜鉛エステルや銅エステルが例示される。金属エステルは、防汚塗料組成物の作製前に予め形成されていてもよく、防汚塗料組成物作製時に他の塗料成分との反応により形成されてもよい。
なお、モノカルボン酸化合物(C)の金属エステルが、加水分解性重合体(A)に該当する場合があるが、このような場合には、加水分解性重合体(A)であるとする。
本発明の防汚塗料組成物は、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル(モノカルボン酸成分)を含有する。
本発明においてモノカルボン酸成分は、形成される防汚塗膜の水中での表面からの更新性を向上させ、その防汚塗膜が防汚剤を含む場合はその水中への放出の促進による防汚性向上を促進させ、更には防汚塗膜に適度な耐水性を付与するものである。
モノカルボン酸化合物(C)としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジン誘導体などが挙げられ、その他のモノカルボン酸化合物としては、脂肪族又は脂環式のモノカルボン酸などが挙げられる。その他のモノカルボン酸化合物の具体例としては、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、ナフテン酸、バーサチック酸、ステアリン酸、サリチル酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。モノカルボン酸化合物(C)がガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジン誘導体であることが、乾燥性、塗膜強度の観点からより好ましい。
モノカルボン酸化合物(C)は、金属エステルを形成していてもよく、亜鉛エステルや銅エステルが例示される。金属エステルは、防汚塗料組成物の作製前に予め形成されていてもよく、防汚塗料組成物作製時に他の塗料成分との反応により形成されてもよい。
なお、モノカルボン酸化合物(C)の金属エステルが、加水分解性重合体(A)に該当する場合があるが、このような場合には、加水分解性重合体(A)であるとする。
モノカルボン酸成分は、防汚性を向上させるだけでなく顔料分散剤的な作用があり、酸化亜鉛などの金属化合物の分散効果が高く、塗料粘度上昇抑制、塗装作業性の向上、塗膜クラック抑制効果がある。モノカルボン酸成分の含有量が少ないと、塗料粘度上昇抑制、塗装作業性の向上、塗膜クラック抑制効果がなくなり、反面、含有量が多すぎると耐変色性が低下、耐水性が低下することによるクラック、塗膜消耗性が上がりすぎ必要膜厚が厚くなる、長期防汚性に劣るなどの問題が発生する。
本発明の防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸成分の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上8質量%以下、より好ましくは2質量%以上7質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以上6質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸成分の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上8質量%以下、より好ましくは2質量%以上7質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以上6質量%以下である。
<有機防汚剤(D)>
本発明の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の防汚性を更に向上させるため、本発明の防汚塗料組成物は、有機防汚剤(D)を更に含有することが好ましい。
有機防汚剤(D)は、防汚塗膜の変色を抑制する観点、及び有機防汚剤の使用量を抑制する観点から、ピリチオン化合物を除く有機防汚剤であることが好ましく、有機防汚剤(D)がピリチオン化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明において「ピリチオン化合物を実質的に含有しない」とは、塗料組成物の固形分中のピリチオン化合物の濃度が0.1質量%未満であることを意味し、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以下である。
ここで、ピリチオン化合物としては、銅ピリチオン、亜鉛ピリチオン、ナトリウムピリチオン等が例示される。
本発明の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の防汚性を更に向上させるため、本発明の防汚塗料組成物は、有機防汚剤(D)を更に含有することが好ましい。
有機防汚剤(D)は、防汚塗膜の変色を抑制する観点、及び有機防汚剤の使用量を抑制する観点から、ピリチオン化合物を除く有機防汚剤であることが好ましく、有機防汚剤(D)がピリチオン化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明において「ピリチオン化合物を実質的に含有しない」とは、塗料組成物の固形分中のピリチオン化合物の濃度が0.1質量%未満であることを意味し、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以下である。
ここで、ピリチオン化合物としては、銅ピリチオン、亜鉛ピリチオン、ナトリウムピリチオン等が例示される。
有機防汚剤(D)としては、例えば、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール(別名:メデトミジン)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(別名:DCOIT)、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(別名:トラロピリル)、ピリジントリフェニルボラン、4−イソプロピルピリジンジフェニルメチルボラン、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素(別名:ジウロン)、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタルニトリル、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン(別名:シブトリン)、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(別名:ポリカーバメート)、クロロメチル−n−オクチルジスルフィド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド(別名:ジクロフルアニド)、テトラアルキルチラウムジスルフィド(別名:TMTD)、ジンクジメチルジチオカーバメート(別名:ジラム)、ジンクエチレンビスジチオカーバメート(別名:ジネブ)、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミドなどが挙げられる。有機防汚剤(D)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾールは下記式(2)で表される。
前記(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾールは、光学異性を有するが、一方の光学異性体のみであっても、任意の比率の混合物であってもよい。また、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾールの一部又は全部として、イミダゾリウム塩や金属等への付加物を使用してもよく、あるいは、本発明の防汚塗料組成物若しくは防汚塗膜中で、金属などへの付加体やイミダゾリウム塩を形成していてもよい。
これらの中でも、有機防汚剤(D)が、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(別名:トラロピリル)、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール(別名:メデトミジン)、及び4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(別名:DCOIT)よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール(別名:メデトミジン)及び4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(別名:トラロピリル)よりなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
本発明の防汚塗料組成物において、有機防汚剤(D)の含有量は、形成される防汚塗膜の長期防汚性の向上と塗膜物性のバランス、耐変色性の観点から、本発明の防汚塗料組成物の固形分中、10質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上8質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上6質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物は、酸化亜鉛(B)を多量に含有し、かつ、加水分解性重合体(A)及び特定量のモノカルボン酸成分と併用することで、有機防汚剤(D)の含有量が少ない組成であっても、優れた防汚性を発揮する。
本発明の防汚塗料組成物は、酸化亜鉛(B)を多量に含有し、かつ、加水分解性重合体(A)及び特定量のモノカルボン酸成分と併用することで、有機防汚剤(D)の含有量が少ない組成であっても、優れた防汚性を発揮する。
本発明の防汚塗料組成物は、有機防汚剤(D)以外に、防汚剤として無機銅化合物を含有してもよいが、その含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。本発明の防汚塗料組成物は、実質的に無機銅化合物を含まないことが特に好ましい。
無機銅化合物としては、亜酸化銅、金属銅、ロダン銅が例示される。
防汚塗料組成物が、これらの無機銅化合物を含有すると、塗膜自体が無機銅化合物の有する色によって着色する傾向があり、塗膜の色選択の自由度の観点からは、無機銅化合物の含有量が少ないことが好ましい。
無機銅化合物としては、亜酸化銅、金属銅、ロダン銅が例示される。
防汚塗料組成物が、これらの無機銅化合物を含有すると、塗膜自体が無機銅化合物の有する色によって着色する傾向があり、塗膜の色選択の自由度の観点からは、無機銅化合物の含有量が少ないことが好ましい。
<その他任意成分>
本発明の防汚塗料組成物は必要に応じて、上述の成分に加え、体質顔料(E)、着色顔料(F)、可塑剤(G)、顔料分散剤(H)、タレ止め剤(I)、沈降防止剤(J)、脱水剤(K)、溶剤(L)、その他の樹脂(M)等を含有していてもよい。
以下の、その他任意成分について説明する。
本発明の防汚塗料組成物は必要に応じて、上述の成分に加え、体質顔料(E)、着色顔料(F)、可塑剤(G)、顔料分散剤(H)、タレ止め剤(I)、沈降防止剤(J)、脱水剤(K)、溶剤(L)、その他の樹脂(M)等を含有していてもよい。
以下の、その他任意成分について説明する。
〔体質顔料(E)〕
本発明の防汚塗料組成物は、得られる防汚塗膜の耐水性や耐クラック性などの塗膜物性の向上を目的として、体質顔料(E)を含有してもよい。
体質顔料(E)としては、例えば、タルク、シリカ、マイカ、クレー、カリ長石、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの中でも、タルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、カリ長石、が好ましい。なお、炭酸カルシウム及びホワイトカーボンは、それぞれ後述する沈降防止剤(J)や艶消し剤としても使用される。体質顔料(E)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、得られる防汚塗膜の耐水性や耐クラック性などの塗膜物性の向上を目的として、体質顔料(E)を含有してもよい。
体質顔料(E)としては、例えば、タルク、シリカ、マイカ、クレー、カリ長石、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの中でも、タルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、カリ長石、が好ましい。なお、炭酸カルシウム及びホワイトカーボンは、それぞれ後述する沈降防止剤(J)や艶消し剤としても使用される。体質顔料(E)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の防汚塗料組成物において、体質顔料(E)を含有する場合には、体質顔料(E)の含有量は、形成される防汚塗膜の耐水性、機械的特性、防汚性の向上という観点から、本発明の防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.1質量%以上40質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
〔着色顔料(F)〕
本発明の防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜の色調を調節したり、任意の色調を付与する観点から、本発明の防汚塗料組成物は着色顔料(F)を含有してもよい。
着色顔料(F)としては、公知の有機系又は無機系の各種着色顔料が挙げられる。有機系の着色顔料としては、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等が挙げられる。また、無機系の着色顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ(赤色酸化鉄)、バライト粉、チタン白、黄色酸化鉄等が挙げられる。着色顔料(F)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の防汚塗料組成物において、着色顔料(F)と共に、又は着色顔料(F)の代わりに、染料などの、着色顔料(F)を除く着色剤が含まれていてもよい。
本発明の防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜の色調を調節したり、任意の色調を付与する観点から、本発明の防汚塗料組成物は着色顔料(F)を含有してもよい。
着色顔料(F)としては、公知の有機系又は無機系の各種着色顔料が挙げられる。有機系の着色顔料としては、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等が挙げられる。また、無機系の着色顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ(赤色酸化鉄)、バライト粉、チタン白、黄色酸化鉄等が挙げられる。着色顔料(F)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の防汚塗料組成物において、着色顔料(F)と共に、又は着色顔料(F)の代わりに、染料などの、着色顔料(F)を除く着色剤が含まれていてもよい。
本発明の防汚塗料組成物において、着色顔料(F)の含有量は、得られる防汚塗膜の着色性、隠蔽性、暴露変色性、防汚性、塗膜耐水性(機械的特性)の向上という観点から、本発明の防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上20質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。
〔可塑剤(G)〕
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗膜に可塑性を付与することを目的として、可塑剤(G)を含有してもよい。
可塑剤(G)としては、例えば、トリクレジルホスフェート(TCP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等を挙げることができる。これらの可塑剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の防汚塗料組成物が可塑剤(G)を含有する場合、その含有量は塗料組成物の固形分中、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。可塑剤(G)の含有量が前記範囲内にあると、防汚塗膜の可塑性を良好に保つことができる。
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗膜に可塑性を付与することを目的として、可塑剤(G)を含有してもよい。
可塑剤(G)としては、例えば、トリクレジルホスフェート(TCP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等を挙げることができる。これらの可塑剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の防汚塗料組成物が可塑剤(G)を含有する場合、その含有量は塗料組成物の固形分中、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。可塑剤(G)の含有量が前記範囲内にあると、防汚塗膜の可塑性を良好に保つことができる。
〔顔料分散剤(H)〕
本発明の防汚塗料組成物が体質顔料(E)や着色顔料(F)を含有する場合、顔料分散性の向上を目的として、本発明の防汚塗料組成物は顔料分散剤(H)を含有してもよい。
顔料分散剤(H)としては、公知の有機系又は無機系の各種顔料分散剤が挙げられる。顔料分散剤としては、脂肪族アミン又は有機酸類(例えば、「デュオミンTDO」(LION(株)製)、「Disperbyk101」(BYK(株)製))が挙げられる。顔料分散剤(H)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の防汚塗料組成物が体質顔料(E)や着色顔料(F)を含有する場合、顔料分散性の向上を目的として、本発明の防汚塗料組成物は顔料分散剤(H)を含有してもよい。
顔料分散剤(H)としては、公知の有機系又は無機系の各種顔料分散剤が挙げられる。顔料分散剤としては、脂肪族アミン又は有機酸類(例えば、「デュオミンTDO」(LION(株)製)、「Disperbyk101」(BYK(株)製))が挙げられる。顔料分散剤(H)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の防汚塗料組成物において、顔料分散剤(H)の含有量は、防汚塗料組成物の塗料粘度を低減する効果や、防汚塗膜の色分かれ防止効果の向上という観点から、本発明の防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下である。
〔タレ止め剤(I)〕
本発明の防汚塗料組成物を用いて基材を塗装する際に、該塗料組成物によるタレの発生を低減する観点から、タレ止め剤(I)(流れ止め剤ともいう)を含有してもよい。
タレ止め剤(I)としては、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックスや、これらの混合物、合成微粉シリカ等が挙げられる。タレ止め剤(I)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アマイドワックスとしては、脂肪酸アマイドが好ましい。
これらの中でも、タレ止め剤(I)は、アマイドワックス又は合成微粉シリカであることが好ましい。タレ止め剤(I)としてアマイドワックス又は合成微粉シリカを用いると、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を向上させることや、防汚塗膜を形成した後、該防汚塗膜上に同種塗料組成物(防汚塗料組成物)又は異種塗料組成物からなる塗膜(上塗塗膜)を形成した場合、該防汚塗膜と上塗塗膜との間の密着性(層間密着性、塗り重ね性)の低下を防ぐことが可能になる。
なお、タレ止め剤(I)の市販品としては、「ディスパロンA630−20X」(楠本化成(株)製)や「ASAT−250F」(伊藤精油(株)製)が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、タレ止め剤(I)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物を用いて基材を塗装する際に、該塗料組成物によるタレの発生を低減する観点から、タレ止め剤(I)(流れ止め剤ともいう)を含有してもよい。
タレ止め剤(I)としては、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックスや、これらの混合物、合成微粉シリカ等が挙げられる。タレ止め剤(I)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アマイドワックスとしては、脂肪酸アマイドが好ましい。
これらの中でも、タレ止め剤(I)は、アマイドワックス又は合成微粉シリカであることが好ましい。タレ止め剤(I)としてアマイドワックス又は合成微粉シリカを用いると、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を向上させることや、防汚塗膜を形成した後、該防汚塗膜上に同種塗料組成物(防汚塗料組成物)又は異種塗料組成物からなる塗膜(上塗塗膜)を形成した場合、該防汚塗膜と上塗塗膜との間の密着性(層間密着性、塗り重ね性)の低下を防ぐことが可能になる。
なお、タレ止め剤(I)の市販品としては、「ディスパロンA630−20X」(楠本化成(株)製)や「ASAT−250F」(伊藤精油(株)製)が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、タレ止め剤(I)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
〔沈降防止剤(J)〕
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵中において沈殿物の発生を防止し、また、撹拌性を向上する観点から、沈降防止剤(J)を含有してもよい。
沈降防止剤(J)としては、Al、Ca、又はZnのステアレート、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられる。沈降防止剤(J)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
中でも、沈降防止剤(J)は、酸化ポリエチレン系ワックスであることが好ましい。なお、酸化ポリエチレン系ワックスの市販品としては、「ディスパロン4200−20」、「ディスパロン4200−20X」(以上、楠本化成(株)製)が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、沈降防止剤(J)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵中において沈殿物の発生を防止し、また、撹拌性を向上する観点から、沈降防止剤(J)を含有してもよい。
沈降防止剤(J)としては、Al、Ca、又はZnのステアレート、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられる。沈降防止剤(J)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
中でも、沈降防止剤(J)は、酸化ポリエチレン系ワックスであることが好ましい。なお、酸化ポリエチレン系ワックスの市販品としては、「ディスパロン4200−20」、「ディスパロン4200−20X」(以上、楠本化成(株)製)が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、沈降防止剤(J)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
〔脱水剤(K)〕
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵安定性が良好な加水分解性重合体(A)を使用することにより優れた貯蔵安定性を有するが、必要に応じて脱水剤(K)を含有することにより更に優れた長期貯蔵安定性を得ることができる。脱水剤(K)としては、無機系脱水剤として、合成ゼオライト、無水石膏、半水石膏(別名:焼石膏)が例示され、有機系脱水剤として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン類、又はその縮合物であるポリアルコキシシラン類、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルト蟻酸アルキルエステル類が例示される。脱水剤(K)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
防汚塗料組成物中のこれらの脱水剤(K)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵安定性が良好な加水分解性重合体(A)を使用することにより優れた貯蔵安定性を有するが、必要に応じて脱水剤(K)を含有することにより更に優れた長期貯蔵安定性を得ることができる。脱水剤(K)としては、無機系脱水剤として、合成ゼオライト、無水石膏、半水石膏(別名:焼石膏)が例示され、有機系脱水剤として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン類、又はその縮合物であるポリアルコキシシラン類、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルト蟻酸アルキルエステル類が例示される。脱水剤(K)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
防汚塗料組成物中のこれらの脱水剤(K)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。
〔溶剤(L)〕
本発明の防汚塗料組成物は、加水分解性重合体(A)などの分散性を向上させたり、該防汚塗料組成物の粘度を調整することを目的として、必要に応じて、水又は有機溶剤等の溶剤(L)を含有してもよい。なお、本発明の防汚塗料組成物は、溶剤(L)として、加水分解性重合体(A)を調製する際に使用した溶剤を含有してもよいし、加水分解性重合体(A)と必要に応じてその他の成分とを混合する際に、別途添加された溶剤を含有してもよい。溶剤(L)としては、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール,n−ブタノール、イソブタノール等の脂肪族(炭素数1以上10以下、好ましくは2以上5以下程度)の1価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;等が挙げられる。溶剤(L)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤(L)の配合量は適宜調整することができるが、好ましくは、本発明の防汚塗料組成物の全固形分率が20質量以上90質量%以下、より好ましくは50〜85質量%、更に好ましくは55〜80質量%となるような割合であることが好ましく、作業性に応じて塗装時に添加する溶剤(L)の量を適宜調整してもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、加水分解性重合体(A)などの分散性を向上させたり、該防汚塗料組成物の粘度を調整することを目的として、必要に応じて、水又は有機溶剤等の溶剤(L)を含有してもよい。なお、本発明の防汚塗料組成物は、溶剤(L)として、加水分解性重合体(A)を調製する際に使用した溶剤を含有してもよいし、加水分解性重合体(A)と必要に応じてその他の成分とを混合する際に、別途添加された溶剤を含有してもよい。溶剤(L)としては、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール,n−ブタノール、イソブタノール等の脂肪族(炭素数1以上10以下、好ましくは2以上5以下程度)の1価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;等が挙げられる。溶剤(L)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤(L)の配合量は適宜調整することができるが、好ましくは、本発明の防汚塗料組成物の全固形分率が20質量以上90質量%以下、より好ましくは50〜85質量%、更に好ましくは55〜80質量%となるような割合であることが好ましく、作業性に応じて塗装時に添加する溶剤(L)の量を適宜調整してもよい。
〔その他の樹脂(M)〕
本発明の防汚塗料組成物には、前述した成分の他に、加水分解性重合体(A)以外のその他の樹脂(M)を配合してもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このような樹脂類としては、例えば、塩素化パラフィン、金属エステル基を含有しないアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂(塩化ビニル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリビニルアルキルエーテル、塩化ゴム、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等の非水溶性又は難水溶性の樹脂、パインタール等の水溶性樹脂を用いることができる。
これらの中でも、その他の樹脂(M)としては、塩素化パラフィン、石油樹脂が好ましく、塩素化パラフィンがより好ましい。
本発明の防汚塗料組成物には、前述した成分の他に、加水分解性重合体(A)以外のその他の樹脂(M)を配合してもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このような樹脂類としては、例えば、塩素化パラフィン、金属エステル基を含有しないアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂(塩化ビニル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリビニルアルキルエーテル、塩化ゴム、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等の非水溶性又は難水溶性の樹脂、パインタール等の水溶性樹脂を用いることができる。
これらの中でも、その他の樹脂(M)としては、塩素化パラフィン、石油樹脂が好ましく、塩素化パラフィンがより好ましい。
塩素化パラフィンは、直鎖状又は分枝状のいずれの分子構造を有してもよく、室温(例:23℃)条件下で液状でも固体状(例えば粉末状)であってもよい。
また、塩素化パラフィンの平均炭素数は、一分子中、好ましくは8以上30以下、より好ましくは10以上26以下である。このような塩素化パラフィンを含む防汚塗料組成物は、クラック(割れ)やハガレ等の少ない防汚塗膜を形成することができる。なお、上記平均炭素数が8未満では、防汚塗膜においてクラックの発生を抑制する効果が不足することがあり、一方で、上記平均炭素数が30を超えると、防汚塗膜の加水分解性(更新性、研掃性)が小さくなり、結果として防汚性が劣ってしまうことがある。
また、塩素化パラフィンの平均炭素数は、一分子中、好ましくは8以上30以下、より好ましくは10以上26以下である。このような塩素化パラフィンを含む防汚塗料組成物は、クラック(割れ)やハガレ等の少ない防汚塗膜を形成することができる。なお、上記平均炭素数が8未満では、防汚塗膜においてクラックの発生を抑制する効果が不足することがあり、一方で、上記平均炭素数が30を超えると、防汚塗膜の加水分解性(更新性、研掃性)が小さくなり、結果として防汚性が劣ってしまうことがある。
また、塩素化パラフィンにおいて、粘度(単位ポイズ、測定温度25℃)は、好ましくは1以上500以下、より好ましくは1.2以上100以下、更に好ましくは1.5以上20以下であり、比重(25℃)は、好ましくは1.05g/cm3以上1.80g/cm3以下、より好ましくは1.10g/cm3以上1.70g/cm3以下である。
塩素化パラフィンの塩素化率(塩素含有量)は、塩素化パラフィンを100質量部とした場合、通常35質量部以上70質量部以下であり、好ましくは35質量部以上65質量部以下である。このような塩素化率を有する塩素化パラフィンを含む防汚塗料組成物は、クラック(割れ)、ハガレ等の少ない塗膜を形成することができる。このような塩素化パラフィンの具体例としては、「トヨパラックス150」や「トヨパラックスA−70」(いずれも東ソー(株)製)等が挙げられる。
塩素化パラフィンの塩素化率(塩素含有量)は、塩素化パラフィンを100質量部とした場合、通常35質量部以上70質量部以下であり、好ましくは35質量部以上65質量部以下である。このような塩素化率を有する塩素化パラフィンを含む防汚塗料組成物は、クラック(割れ)、ハガレ等の少ない塗膜を形成することができる。このような塩素化パラフィンの具体例としては、「トヨパラックス150」や「トヨパラックスA−70」(いずれも東ソー(株)製)等が挙げられる。
また、石油樹脂類としては、C5系、C9系、スチレン系、ジクロロペンタジエン系、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。石油樹脂類の具体例としては、「クイントン1500」や「クイントン1700」(いずれも日本ゼオン(株)製)などが挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、その他の樹脂(M)の含有量は、防汚塗料組成物の固形分中、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
[防汚塗料組成物の製造方法]
本発明の組成物は、公知の一般的な防汚塗料と同様の装置、手段等を用いて調製することができる。例えば、予め加水分解性重合体(A)を調製した後、この加水分解性重合体(A)(反応液)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、有機防汚剤(D)、並びに必要によりその他の成分(E)〜(M)等を、一度に又は順次添加して、撹拌、混合して製造すればよい。
本発明の組成物は、公知の一般的な防汚塗料と同様の装置、手段等を用いて調製することができる。例えば、予め加水分解性重合体(A)を調製した後、この加水分解性重合体(A)(反応液)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、有機防汚剤(D)、並びに必要によりその他の成分(E)〜(M)等を、一度に又は順次添加して、撹拌、混合して製造すればよい。
[防汚塗膜及び防汚塗膜付き基材、これらの製造方法、並びに防汚方法]
本発明の防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物から形成され、防汚塗料組成物を乾燥させて得られる。
具体的には、例えば、本発明の防汚塗料組成物を既存の塗膜や基材上に塗布した後、乾燥(硬化)させることにより防汚塗膜を得ることができる。
本発明の防汚塗料組成物を塗布する方法としては、刷毛、ローラー、及びスプレーを用いる方法等の公知の方法を挙げることができる。
前述の方法により塗布した防汚塗料組成物は、例えば、25℃の条件下、好ましくは0.5日間以上7日間以下程度、より好ましくは0.5日間以上5日間以下程度、更に好ましくは0.5日間以上3日間以下程度放置することにより乾燥し、塗膜を得ることができる。なお、防汚塗料組成物の乾燥にあたっては、加熱下で送風しながら行ってもよい。
本発明の防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物から形成され、防汚塗料組成物を乾燥させて得られる。
具体的には、例えば、本発明の防汚塗料組成物を既存の塗膜や基材上に塗布した後、乾燥(硬化)させることにより防汚塗膜を得ることができる。
本発明の防汚塗料組成物を塗布する方法としては、刷毛、ローラー、及びスプレーを用いる方法等の公知の方法を挙げることができる。
前述の方法により塗布した防汚塗料組成物は、例えば、25℃の条件下、好ましくは0.5日間以上7日間以下程度、より好ましくは0.5日間以上5日間以下程度、更に好ましくは0.5日間以上3日間以下程度放置することにより乾燥し、塗膜を得ることができる。なお、防汚塗料組成物の乾燥にあたっては、加熱下で送風しながら行ってもよい。
防汚塗膜の乾燥後の厚さは、防汚塗膜の研掃速度と、使用される期間に応じて任意に選択されるが、例えば30μm以上1,000μm以下程度が好ましい。この厚さの塗膜を製造する方法としては、塗料組成物を1回の塗布あたり好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは30μm以上200μm以下の厚さで、1回〜複数回塗布する方法が挙げられる。
本発明の防汚塗膜付き基材は、前記防汚塗料組成物により形成された防汚塗膜で被覆されており、前記防汚塗膜を基材上に有するものである。
本発明の防汚塗膜付き基材の製造方法は特に限定されないが、例えば、本発明の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(I)、及び前記塗布体又は含浸体を乾燥する工程(II)を有する製造方法により得ることができる。
前記工程(I)において、塗料組成物を基材に塗布する方法は、前述の塗布方法を採用することができる。また、含浸させる方法に特に制限はなく、含浸させるのに十分な量の塗料組成物中に基材を浸すことにより行うことができる。更に前記塗布体又は含浸体を乾燥させる方法に特に制限はなく、防汚塗膜を製造する際の方法と同様の方法で乾燥させることができる。
本発明の防汚塗膜付き基材の製造方法は特に限定されないが、例えば、本発明の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(I)、及び前記塗布体又は含浸体を乾燥する工程(II)を有する製造方法により得ることができる。
前記工程(I)において、塗料組成物を基材に塗布する方法は、前述の塗布方法を採用することができる。また、含浸させる方法に特に制限はなく、含浸させるのに十分な量の塗料組成物中に基材を浸すことにより行うことができる。更に前記塗布体又は含浸体を乾燥させる方法に特に制限はなく、防汚塗膜を製造する際の方法と同様の方法で乾燥させることができる。
また、本発明の防汚塗膜付き基材は、本発明の防汚塗料組成物を乾燥させてなる塗膜を形成する工程(i)、及び前記塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する製造方法により得ることもできる。
工程(i)において塗膜を形成する方法に特に制限はなく、防汚塗膜を製造する際の方法と同様の方法により製造することができる。
工程(ii)において塗膜を基材に貼付する方法に特に制限はなく、例えば、特開2013−129724号公報に記載の方法により貼付することができる。
工程(i)において塗膜を形成する方法に特に制限はなく、防汚塗膜を製造する際の方法と同様の方法により製造することができる。
工程(ii)において塗膜を基材に貼付する方法に特に制限はなく、例えば、特開2013−129724号公報に記載の方法により貼付することができる。
本発明の防汚方法は、本発明の防汚塗料組成物により形成された防汚塗膜を使用するものであり、防汚塗膜により基材の表面を被覆することで、基材の汚染、具体的には、水生生物の付着等を抑制するものである。
本発明の防汚塗料組成物は、船舶、漁業、海洋構造物等の広範な産業分野において、基材の防汚性を長期間にわたって維持するために利用することができる。そのような基材としては、例えば、船舶(コンテナ船、タンカー等の大型鋼鉄船、漁船、FRP船、木船、ヨット等の船体外板、新造船又は修繕船等)、漁業資材(ロープ、漁網、漁具、浮き子、ブイ等)、メガフロート等の海洋構造物等が挙げられる。これらの中でも、基材は、船舶、水中構造物、及び漁具よりなる群から選択されることが好ましく、船舶及び水中構造物よりなる群から選択されることがより好ましく、船舶であることが更に好ましい。
また、本発明の防汚塗料組成物を表面に形成する対象の基材は、防錆剤等その他の処理剤により処理された面や、表面にすでにプライマーなどの何らかの塗膜が形成されているものであってもよく、本発明の塗料組成物が既に塗装されている面に上塗りしてもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、船舶、漁業、海洋構造物等の広範な産業分野において、基材の防汚性を長期間にわたって維持するために利用することができる。そのような基材としては、例えば、船舶(コンテナ船、タンカー等の大型鋼鉄船、漁船、FRP船、木船、ヨット等の船体外板、新造船又は修繕船等)、漁業資材(ロープ、漁網、漁具、浮き子、ブイ等)、メガフロート等の海洋構造物等が挙げられる。これらの中でも、基材は、船舶、水中構造物、及び漁具よりなる群から選択されることが好ましく、船舶及び水中構造物よりなる群から選択されることがより好ましく、船舶であることが更に好ましい。
また、本発明の防汚塗料組成物を表面に形成する対象の基材は、防錆剤等その他の処理剤により処理された面や、表面にすでにプライマーなどの何らかの塗膜が形成されているものであってもよく、本発明の塗料組成物が既に塗装されている面に上塗りしてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。以下では、特にその趣旨に反しない限り、「部」は質量部の意味である。
[加水分解性重合体(A)の製造]
加水分解性重合体(A)の製造にあたり、まず、加水分解性基含有単量体(a1−1)及び(a1−2)を以下の通り調製した。
<調製例1:加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−1)の調製>
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル85.4質量部及び酸化亜鉛40.7質量部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、メタクリル酸43.1質量部、アクリル酸36.1質量部、及び水5.0質量部からなる混合物を滴下装置から3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを36.0質量部添加して、加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−1)を含む反応液を得た。
加水分解性重合体(A)の製造にあたり、まず、加水分解性基含有単量体(a1−1)及び(a1−2)を以下の通り調製した。
<調製例1:加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−1)の調製>
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル85.4質量部及び酸化亜鉛40.7質量部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、メタクリル酸43.1質量部、アクリル酸36.1質量部、及び水5.0質量部からなる混合物を滴下装置から3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを36.0質量部添加して、加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−1)を含む反応液を得た。
<調製例2:加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−2)の調製>
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル72.4質量部及び酸化亜鉛40.7質量部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、メタクリル酸30.1質量部、アクリル酸25.2質量部、バーサチック酸51.6質量部からなる混合物を滴下装置から3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを11.0質量部添加して、加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−2)を含む反応液を得た。
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル72.4質量部及び酸化亜鉛40.7質量部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、メタクリル酸30.1質量部、アクリル酸25.2質量部、バーサチック酸51.6質量部からなる混合物を滴下装置から3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを11.0質量部添加して、加水分解性基含有単量体(金属エステル基含有単量体)(a1−2)を含む反応液を得た。
<製造例1:加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)溶液(A−1)の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15.0質量部、キシレン60.0質量部、及びエチルアクリレート4.0質量部を仕込み、撹拌しながら100±5℃に昇温した。同温度を保持しつつ滴下装置より、前記反応容器内に前記調製例1で得た金属エステル基含有単量体(a1−1)を含む反応液40.2質量部、メチルメタクリレート15.0質量部、エチルアクリレート48.0質量部、n−ブチルアクリレート15.0質量部、重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.5質量部、重合開始剤2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6.5質量部、連鎖移動剤「ノフマーMSD」(α−メチルスチレンダイマー、日油(株)製)1.2質量部、及びキシレン10.0質量部を6時間かけて滴下した。滴下終了後に重合開始剤tert−ブチルパーオクトエート0.5質量部とキシレン7.0質量部とを30分かけて滴下し、更に1時間30分撹拌した後、キシレンを8.0質量部添加して、加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)を含む淡黄色透明の加水分解性重合体溶液(A−1)を調製した。
使用された単量体の構成、並びに後述の方法により測定した加水分解性重合体溶液(A−1)の特性値を表1に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15.0質量部、キシレン60.0質量部、及びエチルアクリレート4.0質量部を仕込み、撹拌しながら100±5℃に昇温した。同温度を保持しつつ滴下装置より、前記反応容器内に前記調製例1で得た金属エステル基含有単量体(a1−1)を含む反応液40.2質量部、メチルメタクリレート15.0質量部、エチルアクリレート48.0質量部、n−ブチルアクリレート15.0質量部、重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.5質量部、重合開始剤2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6.5質量部、連鎖移動剤「ノフマーMSD」(α−メチルスチレンダイマー、日油(株)製)1.2質量部、及びキシレン10.0質量部を6時間かけて滴下した。滴下終了後に重合開始剤tert−ブチルパーオクトエート0.5質量部とキシレン7.0質量部とを30分かけて滴下し、更に1時間30分撹拌した後、キシレンを8.0質量部添加して、加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)を含む淡黄色透明の加水分解性重合体溶液(A−1)を調製した。
使用された単量体の構成、並びに後述の方法により測定した加水分解性重合体溶液(A−1)の特性値を表1に示す。
<製造例2:加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)溶液(A−2)の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15.0質量部、キシレン57.0質量部及びエチルアクリレート4.0質量部を仕込み、撹拌しながら100±5℃に昇温した。同温度を保持しつつ、滴下装置より、前記反応容器内に前記調製例1で得た金属エステル基含有単量体(a1−1)を含む反応液52.0質量部、メチルメタクリレート1.0質量部、エチルアクリレート66.2質量部、2−メトキシエチルアクリレート5.4質量部、並びに重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.5質量部、重合開始剤2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)7.0質量部、連鎖移動剤「ノフマーMSD」(α−メチルスチレンダイマー、日油(株)製)1.0質量部、及びキシレン10.0質量部を6時間かけて滴下した。滴下終了後に重合開始剤tert−ブチルパーオクトエート(TBPO)0.5質量部とキシレン7.0質量部とを30分かけて滴下し、更に1時間30分撹拌した後、キシレンを4.4質量部添加して、加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)を含む淡黄色透明の加水分解性重合体溶液(A−2)を調製した。
使用された単量体の構成、並びに後述の方法により測定した加水分解性重合体溶液(A−2)の特性値を表1に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15.0質量部、キシレン57.0質量部及びエチルアクリレート4.0質量部を仕込み、撹拌しながら100±5℃に昇温した。同温度を保持しつつ、滴下装置より、前記反応容器内に前記調製例1で得た金属エステル基含有単量体(a1−1)を含む反応液52.0質量部、メチルメタクリレート1.0質量部、エチルアクリレート66.2質量部、2−メトキシエチルアクリレート5.4質量部、並びに重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.5質量部、重合開始剤2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)7.0質量部、連鎖移動剤「ノフマーMSD」(α−メチルスチレンダイマー、日油(株)製)1.0質量部、及びキシレン10.0質量部を6時間かけて滴下した。滴下終了後に重合開始剤tert−ブチルパーオクトエート(TBPO)0.5質量部とキシレン7.0質量部とを30分かけて滴下し、更に1時間30分撹拌した後、キシレンを4.4質量部添加して、加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)を含む淡黄色透明の加水分解性重合体溶液(A−2)を調製した。
使用された単量体の構成、並びに後述の方法により測定した加水分解性重合体溶液(A−2)の特性値を表1に示す。
<製造例3:加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)溶液(A−3)の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.0質量部、キシレン63.0質量部、及びエチルアクリレート3.0部を仕込み、撹拌しながら100±5℃に昇温した。同温度を保持しつつ滴下装置より、前記反応容器内に前記調製例2で得た金属エステル基含有単量体(a1−2)を含む反応液50.3質量部、メチルメタクリレート9.0質量部、エチルアクリレート58.0質量部、重合開始剤2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5.0質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10.0質量部を4時間かけて滴下した。滴下終了後に重合開始剤tert−ブチルパーオクトエート0.5質量部とキシレン7.0質量部とを30分かけて滴下し、更に1時間30分撹拌した後、キシレンを12.0質量部添加して、加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)を含む淡黄色透明の加水分解性重合体溶液(A−3)を調製した。
使用された単量体の構成、並びに後述の方法により測定した加水分解性重合体溶液(A−3)の特性値を表1に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、及び加熱冷却ジャケットを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.0質量部、キシレン63.0質量部、及びエチルアクリレート3.0部を仕込み、撹拌しながら100±5℃に昇温した。同温度を保持しつつ滴下装置より、前記反応容器内に前記調製例2で得た金属エステル基含有単量体(a1−2)を含む反応液50.3質量部、メチルメタクリレート9.0質量部、エチルアクリレート58.0質量部、重合開始剤2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5.0質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10.0質量部を4時間かけて滴下した。滴下終了後に重合開始剤tert−ブチルパーオクトエート0.5質量部とキシレン7.0質量部とを30分かけて滴下し、更に1時間30分撹拌した後、キシレンを12.0質量部添加して、加水分解性重合体(金属エステル基含有共重合体)を含む淡黄色透明の加水分解性重合体溶液(A−3)を調製した。
使用された単量体の構成、並びに後述の方法により測定した加水分解性重合体溶液(A−3)の特性値を表1に示す。
[加水分解性重合体溶液の特性値の測定]
なお、得られた加水分解性重合体溶液(A−1)〜(A−3)の特性値の測定方法は以下の通りである。
<重合体溶液の粘度>
重合体溶液の25℃における粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製)により測定した。
なお、得られた加水分解性重合体溶液(A−1)〜(A−3)の特性値の測定方法は以下の通りである。
<重合体溶液の粘度>
重合体溶液の25℃における粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製)により測定した。
<固形分>
本発明において、固形分とは、溶剤等が含まれる混合物・組成物等を108℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥して溶剤等を揮散させたときの加熱残分をいう。
本発明において、固形分とは、溶剤等が含まれる混合物・組成物等を108℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥して溶剤等を揮散させたときの加熱残分をいう。
<加水分解性重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)>
加水分解性重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を下記条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。
GPC条件
装置:「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)
カラム:「TSKgel SuperH2000」及び「TSKgel SuperH4000」を連結(いずれも東ソー(株)製、内径6mm/長さ15cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.500ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
サンプル調製法:各製造例で調製された重合体溶液に少量の塩化カルシウムを加えて脱水した後、メンブレムフィルターで濾過して得られた濾物をGPC測定サンプルとした。
加水分解性重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を下記条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。
GPC条件
装置:「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)
カラム:「TSKgel SuperH2000」及び「TSKgel SuperH4000」を連結(いずれも東ソー(株)製、内径6mm/長さ15cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.500ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
サンプル調製法:各製造例で調製された重合体溶液に少量の塩化カルシウムを加えて脱水した後、メンブレムフィルターで濾過して得られた濾物をGPC測定サンプルとした。
<加水分解性重合体溶液中の亜鉛含有量>
加水分解性重合体溶液中の亜鉛含有量(質量%)は、X線回折装置(Rigaku製、試料水平型多目的X線回折装置Ultima IV)にて測定した。
加水分解性重合体溶液中の亜鉛含有量(質量%)は、X線回折装置(Rigaku製、試料水平型多目的X線回折装置Ultima IV)にて測定した。
[実施例1〜11、及び比較例1〜7:防汚塗料組成物の製造]
下記表2に示す通り(なお、表中の数値は質量部を示す。)、前記製造例により得られた加水分解性重合体組成物、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)、有機防汚剤(D)及びその他の成分を、常温下でペイントシェーカーを用いて均一に混合することにより、防汚塗料組成物を製造した。
表2で使用した各成分は、表3に示す通りである。
なお、表2に記載された各成分の配合量は、表3に固形分の記載がある成分については溶液又は分散液での配合量を示し、固形分の記載がない成分(有機溶剤を除く)については固形分での配合量を示している。
下記表2に示す通り(なお、表中の数値は質量部を示す。)、前記製造例により得られた加水分解性重合体組成物、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)、有機防汚剤(D)及びその他の成分を、常温下でペイントシェーカーを用いて均一に混合することにより、防汚塗料組成物を製造した。
表2で使用した各成分は、表3に示す通りである。
なお、表2に記載された各成分の配合量は、表3に固形分の記載がある成分については溶液又は分散液での配合量を示し、固形分の記載がない成分(有機溶剤を除く)については固形分での配合量を示している。
<評価>
得られた防汚塗料組成物について、以下の評価を行った。
〔乾燥塗膜の外観〕
70×200×3mmのサンドブラスト板にエポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約150μmとなるように塗布した後、その上に、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約100μmとなるように塗布した。その上に、前記実施例及び比較例の防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が約150μmとなる塗装を1回行い、同じように乾燥膜厚が約150μmとなるように塗り重ね(防汚塗料組成物による乾燥膜厚は、計300μm)、室温で7日間乾燥させた後40℃海水に浸漬し、1ヶ月毎に、クラックの発生有無などの塗膜外観を観察した。塗装間隔はいずれも1day/1coatとした。
得られた防汚塗料組成物について、以下の評価を行った。
〔乾燥塗膜の外観〕
70×200×3mmのサンドブラスト板にエポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約150μmとなるように塗布した後、その上に、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約100μmとなるように塗布した。その上に、前記実施例及び比較例の防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が約150μmとなる塗装を1回行い、同じように乾燥膜厚が約150μmとなるように塗り重ね(防汚塗料組成物による乾燥膜厚は、計300μm)、室温で7日間乾燥させた後40℃海水に浸漬し、1ヶ月毎に、クラックの発生有無などの塗膜外観を観察した。塗装間隔はいずれも1day/1coatとした。
〔静置防汚性試験〕
サンドブラスト処理鋼板(縦300mm×横100mm×厚み3.2mm)に、エポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約150μmとなるように塗布した後、その上に、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約100μmとなるように塗布した。更にその上に、前記実施例及び比較例の防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が約100μmとなるように1回塗布し、室温で7日間乾燥させて、防汚塗膜付試験板を作製した。なお、前記の3回の塗装はいずれも1day/1coatとした。
サンドブラスト処理鋼板(縦300mm×横100mm×厚み3.2mm)に、エポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約150μmとなるように塗布した後、その上に、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が約100μmとなるように塗布した。更にその上に、前記実施例及び比較例の防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が約100μmとなるように1回塗布し、室温で7日間乾燥させて、防汚塗膜付試験板を作製した。なお、前記の3回の塗装はいずれも1day/1coatとした。
前述のようにして作製した試験板を長崎県長崎湾内に試験板の2/3を海水中に没水、1/3が海上面より上部になるように垂直に設置し、6ヶ月間静置浸漬し、その間1ヶ月毎に防汚塗膜表面への海中生物の付着面積(%)を測定した。没水部の静置防汚性の評価は下記評価基準に従って評価した。
−海中生物の付着面積による静置防汚性の評価基準−
0:海中生物の付着無し
0.5:海中生物の付着面積が、0%を超え10%以下
1:海中生物の付着面積が、10%を超え20%以下
2:海中生物の付着面積が、20%を超え30%以下
3:海中生物の付着面積が、30%を超え40%以下
4:海中生物の付着面積が、40%を超え50%以下
5:海中生物の付着面積が、50%を超える
0:海中生物の付着無し
0.5:海中生物の付着面積が、0%を超え10%以下
1:海中生物の付着面積が、10%を超え20%以下
2:海中生物の付着面積が、20%を超え30%以下
3:海中生物の付着面積が、30%を超え40%以下
4:海中生物の付着面積が、40%を超え50%以下
5:海中生物の付着面積が、50%を超える
〔乾湿交互部の変色〕
色差計(コニカミノルタ製Spectrophotometer“CM−3700A”)を使用し、C光源/視野2°の条件で、防汚塗膜付試験板の初期塗膜と6ヶ月海水浸漬後の乾湿交互部の塗膜の色差(ΔE値)を測定した。
なお、上記ΔE値は、各試験体の端部より1cm以上離れた箇所を無作為に10点測定し、その平均値として算出した。
なお、ΔEは、分光測色計にて得られたL*、a*、b*の値から、以下の式により算出した。
ΔE={(L* 1−L* 0)2+(a* 1−a* 0)2+(b* 1−b* 0)2}1/2
ここで、L* 1、a* 1、b* 1は6ヶ月海水浸漬後の乾湿交互部の塗膜のL*、a*、b*をそれぞれ表し、L* 0、a* 0、b* 0は初期塗膜のL*、a*、b*をそれぞれ表す。
色差計(コニカミノルタ製Spectrophotometer“CM−3700A”)を使用し、C光源/視野2°の条件で、防汚塗膜付試験板の初期塗膜と6ヶ月海水浸漬後の乾湿交互部の塗膜の色差(ΔE値)を測定した。
なお、上記ΔE値は、各試験体の端部より1cm以上離れた箇所を無作為に10点測定し、その平均値として算出した。
なお、ΔEは、分光測色計にて得られたL*、a*、b*の値から、以下の式により算出した。
ΔE={(L* 1−L* 0)2+(a* 1−a* 0)2+(b* 1−b* 0)2}1/2
ここで、L* 1、a* 1、b* 1は6ヶ月海水浸漬後の乾湿交互部の塗膜のL*、a*、b*をそれぞれ表し、L* 0、a* 0、b* 0は初期塗膜のL*、a*、b*をそれぞれ表す。
〔防汚塗膜の耐ダメージ性(乾燥性)〕
70×150×1.6mmのサンドブラスト処理鋼板に、エポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚150μm、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚100μm、実施例及び比較例で調製した防汚塗料組成物を、エアスプレーで防汚塗膜の乾燥膜厚が150μmになるように1日間隔で塗布し積層防汚塗膜を有する試験板を作製し、防汚塗膜の塗装終了から乾燥温度23℃で1日後、3日後、及び5日後に、防汚塗膜上の中央部に30×30×10mmの木片を置き、その木片の上から垂直方向に40kgf/cm2(3.9MPa)の圧力を20分間加え塗膜表面の状態を観察し(すなわち、塗膜の変形度を観察し)、下記評価基準に基づき評価を行った。なお、各評価の塗膜断面の模式図を、図1に示す。より短い乾燥日数で耐ダメージ性に優れる塗膜が得られることが好ましく、このような防汚塗料組成物は、乾燥性に優れている。
5:塗膜の変形がない
4:塗膜の変形が若干認められる
3、2、1はかなりの変形が認められ、部分的に鋼板の露出が認められる。
ダメージ(変形)の度合は3、2、1の順に大きくなっている。
各実施例及び比較例の防汚塗料組成物と、防汚性促進試験における乾燥塗膜の外観、静置防汚性試験、乾湿交互部の変色、及び防汚塗膜の耐ダメージ性の結果を表2に示す。
70×150×1.6mmのサンドブラスト処理鋼板に、エポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚150μm、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚100μm、実施例及び比較例で調製した防汚塗料組成物を、エアスプレーで防汚塗膜の乾燥膜厚が150μmになるように1日間隔で塗布し積層防汚塗膜を有する試験板を作製し、防汚塗膜の塗装終了から乾燥温度23℃で1日後、3日後、及び5日後に、防汚塗膜上の中央部に30×30×10mmの木片を置き、その木片の上から垂直方向に40kgf/cm2(3.9MPa)の圧力を20分間加え塗膜表面の状態を観察し(すなわち、塗膜の変形度を観察し)、下記評価基準に基づき評価を行った。なお、各評価の塗膜断面の模式図を、図1に示す。より短い乾燥日数で耐ダメージ性に優れる塗膜が得られることが好ましく、このような防汚塗料組成物は、乾燥性に優れている。
5:塗膜の変形がない
4:塗膜の変形が若干認められる
3、2、1はかなりの変形が認められ、部分的に鋼板の露出が認められる。
ダメージ(変形)の度合は3、2、1の順に大きくなっている。
各実施例及び比較例の防汚塗料組成物と、防汚性促進試験における乾燥塗膜の外観、静置防汚性試験、乾湿交互部の変色、及び防汚塗膜の耐ダメージ性の結果を表2に示す。
実施例1〜11の防汚塗料組成物では、40℃の海水に浸漬した防汚性促進試験においても、防汚塗膜の外観に優れ、クラックが発生しなかった。また、静置防汚性においても、良好な防汚性が得られた。また、乾湿交互部の変色が抑制されると共に、塗膜の乾燥性が良好であり、塗装後の塗膜耐ダメージ性に優れていた。
一方、防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%未満である比較例2及び10質量%を超える比較例7では、いずれも、40℃の海水に浸漬した防汚性促進試験において、2ヵ月目以降は、防汚塗膜にクラックが発生し、これに伴い、クラック部に藻類が付着した。特に、比較例7では、乾湿交互部の変色が顕著であり、また、防汚塗膜の耐ダメージ性にも劣るものであった。
一方、防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%未満である比較例2及び10質量%を超える比較例7では、いずれも、40℃の海水に浸漬した防汚性促進試験において、2ヵ月目以降は、防汚塗膜にクラックが発生し、これに伴い、クラック部に藻類が付着した。特に、比較例7では、乾湿交互部の変色が顕著であり、また、防汚塗膜の耐ダメージ性にも劣るものであった。
また、防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%未満である比較例1では、静置防汚性に劣るものであった。更に、防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が75質量%を超える比較例3では、40℃の海水に浸漬後1ヵ月からクラックが発生し、これに伴い、クラック部に藻類が付着した。
防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%を超える比較例4〜6では、いずれも、乾燥塗膜を40℃海水に浸漬した場合に1ヵ月目又は2ヵ月目からクラックが発生し、外観に劣るものとなった。また、クラックの発生に伴って、クラック部に藻類が付着すると共に、静置防汚性にも劣るものであった。更に、乾湿交互部の変色が著しく、特に、ピリチオン化合物を含有する比較例4及び5において、変色が顕著であった。一方、比較例6では、防汚塗膜の耐ダメージ性に劣り、乾燥5日後であっても、十分な耐ダメージ性が得られなかった。
防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%を超える比較例4〜6では、いずれも、乾燥塗膜を40℃海水に浸漬した場合に1ヵ月目又は2ヵ月目からクラックが発生し、外観に劣るものとなった。また、クラックの発生に伴って、クラック部に藻類が付着すると共に、静置防汚性にも劣るものであった。更に、乾湿交互部の変色が著しく、特に、ピリチオン化合物を含有する比較例4及び5において、変色が顕著であった。一方、比較例6では、防汚塗膜の耐ダメージ性に劣り、乾燥5日後であっても、十分な耐ダメージ性が得られなかった。
Claims (11)
- 金属エステル基を含有する加水分解性重合体(A)、酸化亜鉛(B)、モノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステル、並びに有機防汚剤(D)を含有する防汚塗料組成物であって、
該防汚塗料組成物の固形分中の酸化亜鉛(B)の含有量が55質量%以上75質量%以下であり、
該防汚塗料組成物の固形分中のモノカルボン酸化合物(C)及び/又はその金属エステルの含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、
該防汚塗料組成物の固形分中の有機防汚剤(D)の含有量が10質量%以下である、
防汚塗料組成物。 - 前記金属エステル基が、下記式(1)で表される、請求項1に記載の防汚塗料組成物。
(式(1)中、Mは銅又は亜鉛を示し、*は結合位置を示す。) - 加水分解性重合体(A)が、下記式(1−1)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1)及び下記式(1−2)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2)よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1又は2に記載の防汚塗料組成物。
(式(1−1)中、R11はそれぞれ独立に、末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
(式(1−2)中、R21は末端エチレン性不飽和基を含有する1価の基を示し、R22は末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。) - 加水分解性重合体(A)が、下記式(1−1’)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A1’)及び下記式(1−2’)で表される重合性化合物に由来する構成単位を有する重合体(A2’)よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物。
(式(1−1’)中、R12はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。)
(式(1−2’)中、R23は水素原子又はメチル基を示し、R24は末端エチレン性不飽和基を含有しない炭素数1以上30以下の1価の有機基を示し、Mは銅又は亜鉛を示す。) - 前記有機防汚剤(D)が、ピリチオン化合物を除く有機防汚剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物。
- 前記有機防汚剤(D)が、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、(+/−)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール、並びに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の防汚塗料組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜。
- 請求項7に記載の防汚塗膜で被覆された防汚塗膜付き基材。
- 前記基材が、船舶、水中構造物、及び漁具よりなる群から選択される、請求項8に記載の防汚塗膜付き基材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物を基材に塗布又は含浸し、塗布体又は含浸体を得る工程(I)、及び
前記塗布体又は含浸体を乾燥する工程(II)を有する、
防汚塗膜付き基材の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物を乾燥させてなる防汚塗膜を形成する工程(i)、及び
前記防汚塗膜を基材に貼付する工程(ii)を有する、
防汚塗膜付き基材の製造方法。
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JP2019094614A JP2020189896A (ja) | 2019-05-20 | 2019-05-20 | 防汚塗料組成物 |
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JPS5834815A (ja) * | 1981-08-18 | 1983-03-01 | アメロン (ホンコン) リミテツド | 有機錫重合体、その製造法およびそれを含有する塗料 |
JPH11226496A (ja) * | 1998-02-19 | 1999-08-24 | Nippon Steel Corp | 海生生物の付着防止に優れたカラー鋼材 |
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WO2014010702A1 (ja) * | 2012-07-12 | 2014-01-16 | 日立化成ポリマー株式会社 | 防汚塗料用ポリエステル樹脂、その製造方法、防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚基材 |
US11254823B2 (en) * | 2016-07-01 | 2022-02-22 | Chugoku Marine Paints, Ltd. | Antifouling coating material composition, antifouling coating film, substrate provided with antifouling coating film and production method therefor, and antifouling method |
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