JPWO2007013415A1 - 分散装置および方法、分散体製造方法 - Google Patents

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Abstract

容器のキャビティ中で被分散物を撹拌するとき、その撹拌状態が層流であることを特徴とする分散方法、および底部材、容器のキャビティ中で回転する円柱状の回転軸体を備え、その回転軸体に二枚の羽根が回転方向に対して一定の傾きをもって取り付けられ、その二枚の羽根が円周方向に180度ずらされ、軸心方向では二枚の羽根が重なった位置にない分散装置。

Description

本発明は、液体および/または粉粒体を分散する分散装置および方法、その分散方法を用いた分散体製造方法、に関する。
これまで液体同士、液体と固体または固体同士を均一に分散させて、液状または粉状、場合によっては溶融状態で分散体を得るため多くの分散方法が提案され、それに基づいた装置が数多く開発されてきた。
これらの混合分散装置としてロールミル、エクストルーダ、ニーダ、ヘンシェルミキサなどの機械式混練装置が知られている。これら機械式混連装置は、キャビティ中で回転混合撹拌子となる羽根を高速回転させ、羽根とキャビティとの間隙に被分散物を押し込んだり羽根で分散媒や添加物等からなる被分散物に衝撃力を与えたりして混練し分散させるもので、被分散物は乱流撹拌される。
回転混合撹拌子として高速で回転する羽根を供え、この羽根によって被分散物を撹拌することにより均一分散体を与えようとするバッチ式ミキサが、特許文献1〜4に開示されている。
さらに、被分散物である熱可塑性樹脂および着色剤を混合撹拌し、そのとき発生する摩擦熱を利用して熱可塑性樹脂を軟化または溶融させて熱可塑性樹脂と着色剤との均一分散体を与えようとする軟化・溶融方式の混練装置が特許文献5および6に開示されている。
特許文献7には、有機顔料を樹脂に分散させる製造方法において、円板間隙中に有機顔料と樹脂を注入して混練し分散する装置が開示されているが、これら特許文献に記載の分散方法も全て乱流撹拌によるものである。
米国特許3266738号明細書 米国特許4230615号明細書 特公昭64−4892号公報 特開平10−151332号公報 特開2001−105426号公報 特開2001−105427号公報 特開2000−167826号公報
上記で示したロールミル、エクストルーダ、ニーダ、ヘンシェルミキサおよび特許文献1〜4、7に記載の機械式混練装置では被分散物が溶融状態にならないと均一分散体を得ることが難しい場合が多く、溶融状態にするためには長時間の混合、或いは加熱が必要とされる。
長時間の混合では混合撹拌子等との衝撃力で被分散物の構造変化が引き起こされ、これに伴う特性劣化を引き起こす場合がある。加熱が長時間に及ぶ場合には特性劣化が引き起こされる。
さらに、その装置の構造が複雑で被分散物の種類を変更する場合などには、分解および洗浄の作業に時間を要するため、特に多品種を取り扱う場合には生産性が低下する。
そこで、特許文献5および6のように、分解および洗浄が容易な単純な構造を採用し、撹拌による摩擦熱を利用して樹脂の軟化温度を超えた状態で、樹脂と着色剤とを混合撹拌して分散させる方法が考えられる。
しかし、軟化温度を超える高温分散状態となるため粉末状態で分散体を得ることができないうえ、被分散物である樹脂および着色剤が熱による分子量変化や酸化等による特性劣化を受け、さらに製造された分散体でも熱による特性劣化を受けてしまう場合がある。
上記で説明したように、特許文献も含めて従来の分散方法および分散装置はいずれも乱流によるものであるため、分散の効率が悪く微細で均一な分散ができないという問題を抱えていた。
本発明は、上記課題を解決することに鑑みてなされたものであり、特性劣化を抑制しながら微細で均一分散性に優れた分散体を効率良く得ることのできる分散方法、単純な構造でそれを実現する分散装置および該分散装置を用いた分散体製造方法を提供することを目的としている。
本発明の第一の分散装置は、円筒形のキャビティを有する容器と、キャビティと同軸状に回転自在に軸支されていてキャビティの内部に配置されている撹拌部材と、撹拌部材を一定方向に回転駆動する回転駆動部と、を有し、容器のキャビティに収容された被分散物を回転駆動部により回転駆動される撹拌部材により撹拌する分散装置であって、撹拌部材は、回転自在に軸支されていて回転駆動部により回転駆動される円柱状の回転軸体と、回転軸体の外周面上に回転方向で等間隔となる偶数の位置に配置されている複数の羽根と、を有し、回転軸体の軸心方向を上下方向としたときに回転方向で奇数番目の羽根は迎角が負値で相対的に下方に位置しているとともに偶数番目の羽根は迎角が正値で相対的に上方に位置しており、羽根の上下幅Aおよび奇数番目の羽根の上端と偶数番目の羽根の下端との上下方向での間隔Bが、
−A/2≦B≦A/2
を満足していることを特徴とする。
本発明の第二の分散装置は、底部材、円筒形状の壁部材および蓋部材からなる容器、並びにその容器のキャビティ中で回転する円柱状の回転軸体を備え、その回転軸体の軸中心が円筒状の壁部材に平行になるように底部材または蓋部材に取り付けられ、その回転軸体に二枚の羽根が回転方向に対して一定の傾きをもって取り付けられ、その二枚の羽根が円周方向に180度ずらされ、軸心方向では二枚の羽根が重なった位置にない分散装置であって、底部側にある羽根は回転面から回転方向に向かって後部が蓋部側に上がった傾きで設置され、蓋部側にある羽根は回転方向に向かって後部が底部側の羽根と同じ角度で蓋部側から下がって設置され、その設置された二枚の羽根のうち、最も底部近くにある羽根は底部材に、最も蓋部近くにある羽根は蓋部材に、各々接することなく接近して設置され、容器のキャビティ中で被分散物を撹拌するとき、その撹拌状態が層流であることを特徴とする。
本発明の第三の分散装置は、円筒形のキャビティを有する容器と、キャビティと同軸状に回転自在に軸支されていてキャビティの内部に配置されている撹拌部材と、撹拌部材を回転駆動する回転駆動部と、を有し、容器のキャビティに収容された被分散物を回転駆動部により回転駆動される撹拌部材により撹拌する分散装置であって、撹拌部材は、一定方向の回転により被分散物をキャビティの内周面と略平行に回転させるとともに回転軸体の軸心方向に往復させるように形成されていることを特徴とする。
本発明の分散方法は、容器のキャビティ中で被分散物を撹拌するとき、その撹拌状態が層流であることを特徴とする。
さらに、この分散方法において、本発明の分散装置で被分散物を撹拌してもよい。
さらに、この分散方法において、容器に収容された被分散物を撹拌部材によりキャビティの内周面と略平行に回転させるとともに回転軸体の軸心方向に往復させてもよい。
本発明の分散体製造方法は、分散媒とそれに分散させる添加物とからなる被分散物を本発明の分散装置により分散させる。
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
また、本発明では必要により上下方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものである。従って、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
さらに、本発明で云う羽根の迎角が正値であるとは、前方から流入する流体を下方に偏向するように羽根が傾斜していることを意味している。羽根の迎角が負値であるとは、前方から流入する流体を上方に偏向するように羽根が傾斜していることを意味している。
また、本発明で云う平面とは、平面を目標として物理的に形成した面を意味しており、当然ながら幾何学的な完全な平面であることは要しない。本発明で云う失速角とは、羽根の両面から流体の流動が剥離することなく層流となる、最大の迎角を意味している。
本発明の調温流路とは、温度調整を目的とした伝熱流体が流動される流路を意味している。伝熱流体とは、温度調整を目的とした熱媒や冷媒と呼称される流体を意味している。
本発明によると、特性劣化を抑制しながら、液体同士、液体と固体または固体同士の分散において微細で均一分散性に優れた分散体を効率良く与えることのできる分散方法、単純な構造でそれを実現する分散装置および該分散装置を用いた分散体製造方法を提供できる。また、該分散装置を固形物の粉砕に用いて微細で均一な粉砕物を得たり、場合によっては不均一で角張った粉体を均一で球状の粒子へ加工したりすることも可能である。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
(a)は本発明の実施の形態の分散装置の内部構造を示す平面図、(b)は撹拌部材の羽根と被分散物の流動との関係を示す模式図である。 撹拌部材の三面図である。 撹拌部材の斜視図である。 分散装置で被分散物を撹拌している状態を示す模式図である。 (a)は一変形例の分散装置の内部構造を示す平面図、(b)は撹拌部材の羽根と被分散物の流動との関係を示す模式図である。 撹拌部材の三面図である。 撹拌部材の斜視図である。 (a)は他の変形例の分散装置の内部構造を示す平面図、(b)は撹拌部材の羽根と被分散物の流動との関係を示す模式図である。 撹拌部材の三面図である。 撹拌部材の斜視図である。 従来例に相当する撹拌部材の構造を示す二面図である。 従来例に相当する撹拌部材の構造を示す二面図である。 試作品の撹拌部材の構造を示す二面図である。 撹拌部材による実験の状態を示す模式的な平面図である。 撹拌部材の各種の変形例を示す平面図である。 実施例31〜34および比較例10に係る粉末X線結晶回折を示す特性図である。 比較例10に係る電子顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例31に係る電子顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例32に係る電子顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例33に係る電子顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例34に係る電子顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例32に係る電子顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例32に係るエネルギー分散型蛍光X線分析装置による観察結果の模式図である。 実施例31から34および比較例10に係る薬物の溶解速度を表す特性図である。 実施例35に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 比較例11に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例36に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 比較例12に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例37に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 比較例13に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 実施例38に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。 比較例14に係る光学顕微鏡による観察結果の模式図である。
本発明の実施の形態の分散方法および分散装置を図面を参照して以下に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、容器のキャビティ中で被分散物を撹拌するとき、その撹拌状態を層流とすることで液体同士、固体同士または液体と固体とを均一に分散させることのできる分散方法、その方法を実現できる分散装置および該分散装置を用いた分散体製造方法を発案した。
本実施の形態の分散装置100は、図1ないし図4に示すように、円筒形のキャビティ111を有する容器110と、キャビティ111と同軸状に回転自在に軸支されていてキャビティ111の内部に配置されている撹拌部材200と、撹拌部材200を回転駆動する回転駆動部(図示せず)と、を有する。
本実施の形態の分散装置100は、容器110のキャビティ111に収容された被分散物を回転駆動部により回転駆動される撹拌部材200により撹拌する。その撹拌部材200は、一定方向の回転により被分散物をキャビティ111の内周面と略平行に回転させるとともに回転軸体210の軸心方向に往復させる形状に形成されている。
より具体的には、撹拌部材200は、回転自在に軸支されていて回転駆動部により回転駆動される円柱状の回転軸体210と、回転軸体210の外周面上に回転方向で等間隔となる偶数の位置に配置されている複数の羽根220と、を有する。
そして、回転軸体210の軸心方向を上下方向としたときに回転方向で奇数番目の羽根220aは迎角θが負値で相対的に下方に位置しているとともに、偶数番目の羽根220bは迎角θが正値で相対的に上方に位置している。
さらに、羽根220の上下幅Aおよび奇数番目の羽根220aの上端と偶数番目の羽根220bの下端との上下方向での間隔Bが、
0≦B≦A/2
を満足している。
なお、羽根220は、平板状に形成されており、その板厚は翼弦長Cに対して充分に小さい。従って、羽根220の上下幅Aは、翼弦長Cと迎角θに対し、
A≒Csinθ
を満足している。
本実施の形態の分散装置100では、羽根220の迎角θが失速角未満である。羽根220の前縁に連続した部分に、軸心方向と直交した平面221が形成されている。
羽根220の外縁222がキャビティ111の内周面と平行な円弧状に形成されている。羽根220の前縁223と後縁224とが平行である。また、羽根220の回転方向と平行な前後幅が回転軸体210の直径より小さい。
また、本実施の形態の分散装置100では、回転軸体210の軸心を中心に180度の二つの位置に、二枚の羽根220が個々に配置されている。そこで、この二枚の羽根220を、以下では第一番目の羽根220aおよび第二番目の羽根220bと呼称する。
さらに、本実施の形態の分散装置100では、第一番目の羽根220aの前縁がキャビティ111の下面近傍に位置しているとともに、第二番目の羽根220bの前縁がキャビティ111の上面近傍に位置している。
本発明において、層流は乱流と対比されるものである。これまでの分散方法の殆どが乱流による分散方法であると考えられる。しかし、乱流が被分散物の流れを多方向にすることによって被分散物に多様な力をかけようとするのに対し、層流は被分散物の流れを一定方向に抑えながら被分散物に規則的で均一な力をかけようとするものである。
キャビティとして円筒形状の内部空間が用いられる場合、被分散物の流動は、全体的には同心円状に移動し、径方向には殆ど移動しない。その状態は目視により確認することができる。
図1は、本実施の形態の分散装置100で被分散物を撹拌するときの、その被分散物の層流からなる流動を矢印で模式的に示している。この流動は、本願の発明者が実際に分散装置100を試作し、被分散物を撹拌したときの目視による実験結果に基づいている。
図1(a)は分散装置100の内部の模式的な平面図である。本発明者は、分散装置100により撹拌される被分散物を上方から観察した。すると、図1(a)に示すように、被分散物は羽根220a,220bの外縁222とキャビティ111の内周面との間隙付近を、回転しながら直径方向に往復することが確認された。
これは、羽根220a,220bの回転で作られた遠心力によってキャビティ111の内周面に押付けられた被分散物が、反発してキャビティ111の内側に戻ろうとするが、羽根220によって再びキャビティ111の内周面に押付けられ、これを繰り返すものと類推できる。
図1(b)は、撹拌部材200の回転方向に第一第二の羽根220a,220bを展開して表現した模式図である。本発明者は、分散装置100により撹拌される被分散物を側方からも観察した。
すると、図1(b)に示すように、被分散物はキャビティ111の内部を羽根220a,220bと同一方向に回転しつつ、第一番目の羽根220aの上面と第二番目の羽根220bの下面との間を上下に往復するが、その流動は層流であることが確認された。
これは以下のように類推できる。被分散物は羽根220a,220bの回転にともなってキャビティ111の内部を回転するが、その回転速度が羽根220a,220bの回転速度に到達することはない。
このため、被分散物は相対的には羽根220a,220bに対して反対方向に回転していることになる。すると、被分散物は、迎角が負値の第一番目の羽根220aにより上方に誘導され、迎角が正値の第二番目の羽根220bにより下方に誘導される。
ただし、第一番目の羽根220aの前縁はキャビティ111の下面近傍に位置しており、第二番目の羽根220bの前縁はキャビティ111の上面近傍に位置している。このため、第一番目の羽根220aの上面と第二番目の羽根220bの下面により、相対移動する被分散物の全体が上下方向に誘導される。
さらに、前述のように第一番目の羽根220aの上端と第二番目の羽根220bの下端との上下方向での間隔Bが「0≦B」を満足しているので、被分散物の流動に無理がない。このため、分散装置100により撹拌される被分散物の流動は層流となる。
このような層流によると、被分散物にはいつも規則的で均一な力がかかることになる。このため、効率的で均一な分散が可能となる。なお、羽根220の外縁222の周速度が10m/sec未満では層流の状態とならないため、周速度は10m/sec以上が好ましく、より好ましくは20m/sec以上である。
なお、被分散物を効率よく均一微細に分散させるには、被分散物と羽根220、被分散物とキャビティ111の内周面、被分散物同士、の衝突の頻度を高めなければならない。
この頻度は羽根220が作る遠心力によって被分散物が円筒状のキャビティ111の内周面に押し付けられた結果できるドーナツ状の体積の中に含まれる被分散物の体積の割合に依存する。
キャビティ111の直径方向の層流の厚みは、被分散物の密度、羽根220の外縁222の周速度、羽根220の迎角である設置角度、羽根220の外縁222とキャビティ111の内周面との間隙などによって決まり、目視によっても確認できる。
層流の体積は、この層流の直径方向の厚みとキャビティ111の高さから計算できる。層流中の被分散物の割合が大きいほど被分散物同士の衝突の頻度が増大するため分散は効率的になるが、衝突により発生する摩擦熱により被分散物が溶融したり、熱劣化を受けたりすることがある。
また、溶融状態または粉体など得ようとする分散体の状態に合わせて、羽根220の外縁222の周速度、羽根220の迎角である設置角度、羽根220とキャビティ111の内周面との間隙および層流中の被分散物の割合などを調整したり、場合によっては冷却或いは加熱したりすることができる。
なお、上述のような撹拌する被分散物の摩擦熱による温度は、羽根220の速度などの分散装置100の特性の他、分散装置100に投入する被分散物の量にも依存する。
被分散物の投入量を増加させると、衝突頻度の増大により温度も上昇する。換言すると、被分散物を所望の温度で撹拌するためには、分散装置100への被分散物の投入量も調節する必要がある。
本実施の形態の分散装置100では、例えば、被分散物が温度上昇により軟化してから溶融する物性を有する場合でも、被分散物を撹拌による摩擦熱により溶融することなく軟化した状態として分散させることができる。
この分散は、例えば、被分散物を撹拌による摩擦熱により表面部分が溶融して中心部分が溶融していない状態として実行することができる。従って、被分散物として複数の固体粒子を撹拌し、ある固体粒子の成分を他の固体粒子に混練させるようなこともできる。その場合、第一の固体粒子は樹脂粒子であり、第二の固体粒子は顔料でよい。
次に、本実施の形態に係る分散装置100について図を用いて説明する。図4は、図1にドーナツ状の層流を追加して表現した図である。図4(a)は、ドーナツ状の層流の中に小さな円で示されている被分散物が押し込められている様子を示している。
本実施の形態の分散装置100は、上述のように、撹拌部材200の一定方向の回転により、被分散物をキャビティ111の内周面と略平行に回転させるとともに回転軸体210の軸心方向に往復させる。
つまり、被分散物の流動が層流となるので、被分散物に過度な摩擦熱などが発生しない。このため、被分散物を良好に分散しながらも、被分散物の特性劣化を防止することができる。
また、本実施の形態の分散装置100は、回転軸体210の軸心方向を上下方向としたときに回転方向で奇数番目の羽根220aは迎角θが負値で下方に位置しているとともに、偶数番目の羽根220bは迎角θが正値で上方に位置している。
さらに、羽根220の上下幅Aおよび奇数番目の羽根220aの上端と偶数番目の羽根220bの下端との上下方向での間隔Bが、
0≦B≦A/2
を満足している。
このため、簡単な構造の撹拌部材200により、被分散物をキャビティ111の内周面と略平行に回転させるとともに回転軸体210の軸心方向に往復させることができる。
しかも、本実施の形態の分散装置100では、羽根220の迎角θが失速角未満である。このため、被分散物の流動を確実に層流とすることができる。
さらに、第一番目の羽根220aの前縁がキャビティ111の下面近傍に位置しているとともに、第二番目の羽根220bの前縁がキャビティ111の上面近傍に位置している。
このため、下方に位置する第一番目の羽根220aの下端とキャビティ111の下面との隙間、および、上方に位置する第二番目の羽根220bの上端とキャビティ111の上面との隙間に、被分散物が流入することを良好に抑制することができる。従って、被分散物の全体を良好に撹拌することができる。
特に、羽根220の前縁に連続した部分に、軸心方向と直交した平面221が形成されている。従って、下方に位置する第一番目の羽根220aの前縁をキャビティ111の下面まで近接させることができ、上方に位置する第二番目の羽根220bの前縁をキャビティ111の上面まで近接させることができる。
このため、第一番目の羽根220aとキャビティ111の下面との隙間、および、第二番目の羽根220bとキャビティ111の上面との隙間に、被分散物が流入することを良好に抑制することができる。
つまり、上述の隙間は撹拌部材200が容器100を擦過しない範囲で最小であることが好ましい。その隙間は、撹拌部材200の回転の精度、装置のサイズ、等にもよるが、例えば、1mm以上10mm以下である。
さらに、羽根220の外縁222がキャビティ111の内周面と平行な円弧状に形成されている。このため、羽根220の外縁222とキャビティ111の内周面とに異形の隙間が発生することがない。
従って、羽根220の外縁222とキャビティ111の内周面との間隙の流動を良好に層流とすることができる。この結果、キャビティ111の内周面の近傍に被分散物を局在させた状態とし、この状態で被分散物を流動させることができる。このように被分散物が局在するキャビティ111の内周面の近傍の範囲は、平面形状として円環状であり、立体形状としては中空の円筒状である。
しかも、羽根220の前縁223と後縁224とが平行である。このため、羽根220の構造が簡単である。特に、羽根220の上下幅Aおよび奇数番目の羽根220aの上端と偶数番目の羽根220bの下端との上下方向での間隔Bを、簡単な構造で適切な関係とすることができる。
しかも、羽根220の回転方向と平行な前後幅が回転軸体210の直径より小さい。このため、撹拌部材200の回転中心の近傍に乱流を発生させる形状が存在することがない。従って、被分散物を層流で良好に撹拌することができる。
なお、羽根220の外縁222の周速度、翼型、翼平面形、流体の粘性、など他の条件にもよるが、羽根220の迎角が過大であると層流が維持できない。このため、羽根220の迎角は、層流が維持される失速角未満であることが好ましい。より具体的には、羽根220の迎角θの絶対値は0度以上90度以下で、好ましくは5度から45度であり、例えば、30度である。
さらに、本実施の形態の分散装置100は、上述のように撹拌部材200の構造が単純なので、被分散物の種別を切り換えるときの洗浄も容易である。このため、多品種の被分散物を少量生産するようなことも容易である。
なお、上記形態では、奇数番目の羽根220aの上端と偶数番目の羽根220bの下端との上下方向での間隔Bが、0≦B、なる関係を満足していることを例示した。
しかし、羽根220aの上端と羽根220bの下端の軸心方向での距離は、層流を維持できれば、羽根220の形状や回転軸体210の直径や撹拌部材200の回転速度や流体の粘度など、各種の要因を考慮して設定することができる。
このため、羽根の上下幅Aおよび奇数番目の羽根220aの上端と偶数番目の羽根220bの下端との上下方向での間隔Bが、−A/2≦B≦0、なる関係を満足していることも不可能ではない(図示せず)。
また、上記形態では回転軸体210の外周面上に回転方向で等間隔となる偶数の位置に複数の羽根220が配置されており、回転軸体210の軸心方向を上下方向としたときに回転方向で奇数番目の羽根220aは迎角θが負値で下方に位置しているとともに、偶数番目の羽根220bは迎角θが正値で上方に位置していることを例示した。
しかし、これは上記の条件を満足する羽根220が撹拌部材200にあり、その羽根220の流体力学的な機能を阻害する構造が撹拌部材200にないことを意味している。
このため、上記の条件を満足する羽根がある撹拌部材に、被分散物の層流を阻害しない形状および配置の羽根状の凸部などが、さらに形成されていてもよい(図示せず)。
また、第一番目の羽根220に回転方向で隣接する第二番目の羽根220があり、その第一番目の羽根220は迎角θが負値で相対的に下方に位置しているとともに、第二番目の羽根220は迎角θが正値で相対的に上方に位置していれば、層流に関与しない第三番目の羽根が存在してもよい(図示せず)。
また、羽根220の形状は、層流を乱すことがなければ、各種の形状とすることができる。例えば、翼平面形としては、図15に示すように、各種の形状が挙げられるが、層流を維持できれば、これらに限定されるものではない。翼型としても、層流を乱さないため羽根220には角張ったところがないことも重要である。
さらに、上記形態では羽根220の外縁222がキャビティ111の内周面と平行な円弧状に形成されていることを例示した。しかし、羽根220の外縁222とキャビティ111の内周面との間隙については、上記構造に限定されるものではない。
例えば、その間隙、羽根角度、外縁222の周速度などを調整することにより、羽根220の外縁222が被分散物に与える力を調節することが可能である。ただし、被分散物と羽根220およびキャビティ111の内周面との衝撃力、摩擦熱による被分散物の特性劣化を防ぐためには、羽根220の外縁222とキャビティ111の内周面との間隙は1mm以上であることが好ましい。
また、分散で発生する摩擦熱による被分散物および/または分散体の熱劣化を抑制するため、場合によっては、溶融状態、粉末状態など任意の状態で分散体を得るためにも底部材、円筒形状の壁部材および蓋部材からなる容器部材、回転軸体および/または羽根内部に温度調整用に水などの冷媒或いは熱媒を通すことのできる構造を設置してもよい。
その場合、容器110の部材内部と撹拌部材200の内部との少なくとも一方に調温流路が形成されており、調温流路に伝熱流体を流動させる温度調整機構を有すればよい(図示せず)。
撹拌部材200を回転させる回転駆動部としては、回転軸体210にモーターの駆動軸を直結してもよく、回転軸体210とモーターの駆動軸とをギヤ列やベルト機構などで連結してもよい。
また、上記形態では回転軸体が鉛直であることを想定して説明したが、本発明の装置は一定速度の層流が得られるものであれば設置の仕方に制限はない。回転軸体の回転方向が地面に平行でも垂直でも或いは斜めにも設置可能である。
さらに、被分散物をキャビティ内に投入するには、蓋部を開いてそこから投入するようにしてもよいし、キャビティにホッパーなどの被分散物を投入するための装置を設置するなどしてもよい(図示せず)。
また、分散が終了した後、分散体を取り出すには蓋部を開けて取り出したり、底部に取り出し口を設けたりすることができる。
さらに、本発明の装置には、被分散物に含まれている或いは分散時に発生する水分やガスを除くために減圧装置を付属することができる。また、被分散物および分散体の劣化を抑えるため窒素ガスなどの不活性ガスを通すこともできる。
また、上記形態では回転軸体210の軸心を中心に180度の二つの位置に、二枚の羽根220が個々に配置されていることを例示した。しかし、本発明の分散装置は、回転軸体210の外周面上に回転方向で等間隔となる偶数の位置に羽根が配置されており、奇数番目の羽根220は迎角θが負値で相対的に下方に位置しているとともに、偶数番目の羽根220は迎角θが正値で相対的に上方に位置していればよい。
従って、図5ないし図7に例示する分散装置300のように、回転軸体210の軸心を中心に90度の四つの位置に羽根220が配置されていてもよい。この分散装置300は、軸心方向では、撹拌部材230の奇数番目である第一番目の羽根220aと第三番目の羽根220cとが同じ位置にあり、偶数番目である第二番目の羽根220bと第四番目の羽根220dとが同じ位置にある。そして、奇数番目の羽根220a,220cと偶数番目の羽根220b,220dとは、軸心方向で重複しない位置に配置されている。
なお、撹拌部材230の羽根220の枚数は、その羽根220の翼弦長や回転軸体210の直径なども考慮して、被分散物が層流で撹拌されるように設定されればよい。
このため、回転軸体210の軸心を中心に60度の六つの位置に羽根220が配置されていること、45度の八つの位置に羽根220が配置されていること、等でもよい(図示せず)。
また、図8ないし図10に例示する分散装置310のように、奇数番目と偶数番目との羽根220の組み合わせが、回転軸体210の軸心方向にも複数に配列されていてもよい。
その撹拌部材240では、回転軸体210の軸心を中心に180度の二つの位置に羽根220が配置されている。ただし、奇数番目である第一番目の位置に二枚の羽根220a,220cが上下に配置されており、偶数番目である第二番目の位置に二枚の羽根220b,220dが上下に配置されている。
この分散装置310でも、羽根220a〜220dは、上下方向で重ならない位置に配置されている。また、羽根220a〜220dの迎角の絶対値は、例えば、15度である。
また、奇数番目の位置の最下位の羽根220の前縁がキャビティ111の下面近傍に位置するとともに、偶数番目の位置の最上位の羽根220の前縁がキャビティ111の上面近傍に位置している。
当然ながら、回転軸体210の軸心方向での羽根220の枚数も、その羽根220の翼弦長や迎角などを考慮して、被分散物が層流で撹拌されるように設定されればよい。
さらに、回転軸体210の軸心を中心に四つ以上の位置に羽根220が配置されている構造を、軸心方向に複数に配列することもできる(図示せず)。この数を増やすことによって容易に装置の大型化が可能になる。
なお、本発明者は実際に、上述のような構造の撹拌部材240を試作し、その有効性を実験した。そこで、この実験結果を図11ないし図14を参照して以下に説明する。
まず、図11ないし図13に示すように、本発明者は、三種類の構造の撹拌部材240〜260を試作した。さらに、キャビティの内径が100mmで上下長が57.5mmの容器を用意した(図示せず)。
撹拌部材240〜260は、いずれも回転軸体の軸心を中心に180度の二つの位置に羽根が配置されている。
さらに、撹拌部材250は、撹拌部材240と同様に、回転軸体の二つの位置に羽根が二枚ずつ上下に配列されている。その四枚の羽根は、相互に上下方向で重ならない位置に配置されている。
その羽根の上下幅Aは13mm、奇数番目の羽根220の上端と偶数番目の羽根220の下端との上下方向での間隔Bは0mm、とした。また、羽根の外縁とキャビティの内周面との間隙は5mmとした。最下位の羽根の下縁とキャビティの底面との間隙は2mmとした。
ただし、撹拌部材250では、第一番目の位置の下方の羽根の迎角を−30度で上方の羽根の迎角を+30度、第二番目の位置の下方の羽根の迎角を−30度で上方の羽根の迎角を+30度、とした。
また、撹拌部材260は、回転軸体の二つの位置に羽根が一枚ずつ配置されており、羽根の迎角が90度である。羽根の上下長は回転軸体と同一であり、平面形状で羽根に所定の角度が設定されている。この撹拌部材260では、羽根の外縁とキャビティの内周面との間隙は2mmとした。羽根の下縁とキャビティの底面との間隙は2mmとした。
撹拌部材240は、前述のように、奇数番目である第一番目の位置に二枚の羽根が上下に配置されており、偶数番目である第二番目の位置に二枚の羽根が上下に配置されている。
その四枚の羽根は、相互に上下方向で重ならない位置に配置されている。その羽根の上下方向での間隔Bは0mm、羽根の上下幅Aは13mm、とした。また、羽根の外縁とキャビティの内周面との間隙は2mmとした。
最下位の羽根の下縁とキャビティの底面との間隙は2mmとした。そして、第一番目の二枚の羽根の迎角は各々−30度、第二番目の二枚の羽根の迎角は各々+30度、とした。
本発明者は、前述の容器の上部を透明なガラスとし、その内部で撹拌部材240〜260を複数の速度で回転させ、実際に被分散物を撹拌した。被分散物は、ポリエチレン(東ソー株式会社製:ペトロセン354(機械粉砕品)を使用した。
そして、図14に示すように、その流動の厚みを目視で観察した。すると、羽根の外縁の周速度が約24m/secのときの流動の厚みは、撹拌部材250で約15mm、撹拌部材260で約9mm、撹拌部材240で約8mm、となった。
つまり、撹拌部材250では乱流が発生し、被分散物が層流の状態で撹拌されないことが確認された。また、撹拌部材240,260では、被分散物は層流となるが、その厚みは撹拌部材240の方が安定して薄いことが確認された。
なお、このことは回転速度を変化させても同一であった。つまり、撹拌部材250は、良好な層流を形成できず、撹拌部材240は外縁の周速度に関係なく良好に層流を形成できることが確認された。
前述のように、流動が薄いほど、乱流が発生することなく層流が良好に形成されていることになる。層流が良好に形成されると、過剰な摩擦熱による被分散物の劣化を防止することができる。
つぎに、本発明者は、撹拌部材240〜260による被分散物の混合度を実験した。被分散物としては、24.5gの弁柄(平均粒径50nm)、3.5gの軽質炭酸カルシウム(平均粒径20nm)、1.4gのステアリン酸亜鉛、を用意した。
そして、これらの混合物を被分散物として撹拌部材240〜260により複数の周速度で1分間まで撹拌し、その混合度を彩度で評価した。なお、この彩度の評価方法を簡単に説明する。
まず、撹拌部材240〜260により撹拌した混合物を一定量ずつ採取し、加圧して板厚が3mmの平板を形成した。つぎに、その平板を、Macbeth CE7000色差計を用いて、JIS K 5600−4−5に基づいて測色した。その彩度をJIS Z 8729に従って表示した。
すると、羽根の外縁の周速度が約24m/secのときの彩度は、撹拌部材250で約2.7、撹拌部材260で約2.6、撹拌部材240で約3.8、となった。
この場合、彩度が高いほど被分散物が良好に分散されていることになる。つまり、撹拌部材240は突出して混合度が良好であることが確認された。特に、これは周速度が低いときに顕著であることが確認された。
以上の実験結果から、層流を良好に形成する性能は、周速度に関係なく撹拌部材240が最良であった。混合度も、周速度に関係なく撹拌部材240が最良であった。つまり、撹拌部材240は、回転速度に関係なく被分散物を劣化させることなく良好に混合することができる。
また、本発明者は、上述の撹拌部材240と類似の構造で、羽根の迎角は±10度とすることにより、羽根の上下幅Aを6mm、上下方向の間隔Bを6mm、とした撹拌部材(図示せず)も形成した。
すると、この撹拌部材では、被分散物を良好に分散できないことが確認された。つまり、羽根の上下幅Aと上下方向の間隔Bとが同等な構造では、被分散物を良好に分散できないことが確認された。
さらに、本発明者は、八枚の羽根が180度の二つの位置に上下四段に形成されている撹拌部材(図示せず)、八枚の羽根が90度の四つの位置に上下二段に形成されている撹拌部材(図示せず)も形成した。
これらの撹拌部材でも、羽根は相互に上下方向で重ならない位置に配置し、上下方向の間隔Bを0mm、羽根の上下幅Aは6mm、とした。また、羽根の迎角は±10度とした。すると、これらの撹拌部材でも、被分散物を層流で良好に撹拌できることが確認された。
次に、本発明の分散装置を用いて、被分散物として高分子体および添加物を用い、分散媒である高分子体中に添加物が均一かつ微細に分散した分散体を製造する方法を説明する。
被分散物である高分子体および添加物を本発明の分散装置のキャビティ内に投入し、回転軸を回転させて、羽根の外縁の周速度を10m/sec以上200m/sec以下に調整して撹拌する。
所望の分散状態を形成した後、分散体は取り出される。ここでの撹拌状態は層流となっており、被分散物である高分子体および添加物には規則的で均一な力がかかるため効率的に均一微細な分散体を得ることができる。
本発明において、被分散物のうち分散媒として用いられる高分子体の種類には特に制限がないが、ガラス転移温度が−50℃以上の樹脂、特に、熱可塑性樹脂が好ましい。
代表的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリサッカライド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、およびそれらの共重合体が挙げられる。
樹脂単位重量当りの水素結合性基またはイオン性基の割合が20〜60重量%である高水素結合性樹脂なども具体例として挙げられる。高水素結合性樹脂の水素結合性基としては、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基などが挙げられ、イオン性基としてはカルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基などが挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が41モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリベンゼンスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
また、多糖類および蛋白質も高分子体の具体例として挙げられる。多糖類は、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であるが、ここではそれらを化学修飾したものも含まれる。
例えば、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンのようなデンプン類、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、セルロースなどが挙げられる。蛋白質の例としては、トウモロコシ蛋白質のゼインが挙げられる。
被分散物のうち分散媒である高分子体中に分散される添加物は、高分子量化合物、無機物および/または低分子有機化合物である。添加物となる高分子量化合物は上記高分子体のいずれより一種以上、高分子液晶、高分子医薬品、DNAなどを用いてもよい。
添加物として用いられる無機物は例えば、層状粘土鉱物、金属およびその酸化物、炭素(グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン類)、無機顔料などが挙げられ、それらの形状は撹拌を妨げる大きな塊状でなければより好適であり、繊維、球状粒子、鱗片など任意でよい。
低分子有機化合物としては、例えばフタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系もしくはペリレン系顔料もしくは染料、長鎖エステルなどの可塑剤、リン酸エステルなどの離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、医薬品、アミノ酸、DNA、蛋白質およびそれらの断片などが挙げられ、固体もしくは不揮発性液体でよい。
また、本発明では、さらに分散性を向上させるために適宜界面活性剤、滑剤等を用いることができる。該界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系および非イオン系のものが使用できるが、顔料の分散にはアニオン系と非イオン系の界面活性剤が好ましい。
該アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などがあり、好ましくは、カルボン酸塩としてステアリン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩、硫酸エステル系として高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩、スルホン酸塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型と多価アルコール型があり、ポリエチレングリコール型では具体的には高級アルコールエチレンオキサイド系、アルキルフェノールエチレンオキサイド系、脂肪酸エチレンオキサイド系、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド系、高級アルキルアミンエチレンオキサイド系、脂肪酸エステルエチレンオキサイド系、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド系などがある。
多価アルコール型では具体的にはグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどがあり、好ましくは、ソルビタンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド系、ショ糖の脂肪酸エステル、ポリオキシアルキルエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、ポリオキシエチレンソルビタンエステル系、グリセリンエステル系、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系等が挙げられる。
添加物として溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物を用いることができるが、これらの中でも膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましい。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等をあげることができる。
これらの無機層状化合物を膨潤させてもよく、膨潤に用いる溶媒は、特に限定されないが、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノール等のアルコール類が好ましい。
本実施形態に係る製造方法により得られた分散体は既知の分散技術で得られたそれと比較し、均一かつ微細な分散体である。このような分散体であれば、均一分散性が向上したことにより透明性に優れる場合がある。
また、均一分散性が向上したことにより弾性率などの機械特性が向上する場合がある。さらにポリプロピレンやポリエチレンなどの結晶性高分子と造核剤からなる分散体は、均一分散性が向上したことにより、従来法と比較し、結晶化開始温度が3℃以上高くなり成形サイクルの短縮に大きく寄与する場合がある。医薬製剤の分野では、医薬担体中に薬物を均一微細に分散させることにより薬物の溶解性向上、さらには溶出制御に適用できる。
上記では、分散媒中に添加物を分散させる方法を説明してきたが、本発明の分散装置は、固形物の粉砕に用いるといつも均一な力をかけることができるため粉砕機としても優れた能力を示す。さらに、不均一で角張った粉体に用いると均一で球状の粒子へ加工することができるため、流動性の向上を図ることができる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら具体例には限定されるものではない。なお、以下の実施例で使用した分散装置(図示せず)は、図13に例示した撹拌部材240等と同等な構造からなる。
つまり、撹拌部材は、四枚の羽根が180度の二つの位置に上下二段に配置されている構造とした。その四枚の羽根は、相互に上下方向で重ならない位置に配置した。
その羽根の上下方向での間隔Bは0mm、羽根の上下幅Aは10mm、とした。第一番目の二枚の羽根の迎角は各々−20度、第二番目の二枚の羽根の迎角は各々+20度、とした。
さらに、容器のキャビティの内径は100mmとした。キャビティの上下長は57.5mmとした。そして、羽根の外縁とキャビティの内周面との間隙は2mmとした。最下位の羽根の下縁とキャビティの底面との間隙は2mmとした。そして、撹拌部材の回転速度は5400rpmとした。
1.ポリエチレン−造核剤分散体
「実施例1」
密度0.922g/cm3 でMFR値(メルトフローレイト):5g/10分(JIS K−7210に準拠)、軟化温度100.2℃(JIS K−7206に準拠)の低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製:F522N、3mm径ペレット)99.9重量%、ナトリウム 2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート(旭電化工業株式会社製:アデカスタブ(登録商標)NA−11)0.1重量%を、分散装置として前記実施形態に係わる分散装置を用い、周速度27m/secにて34秒間室温で撹拌し、低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「均一分散性および機械的物性の評価試験」
<透明性>
製造されたポリエチレン樹脂組成物の厚さ1mmの試料を株式会社東洋精機製作所製、直読ヘーズメータを用いJIS−K−7136−1に準じ測定し、Haze値により評価した。
<均一分散性の評価試験>
製造されたポリエチレン樹脂組成物から厚さ50μmのインフレーションフィルムを作成し、面積100cm2中のフィルムに存在する0.1mm2以上のブツ(凝集物)個数を測定する。
このブツはポリエチレン樹脂組成物において、造核剤の分散不良および/またはポリエチレン樹脂の劣化に由来するブツである。その結果について、次の基準で均一分散性を評価した。
○: 10個未満であり、均一分散性が十分である
△: 10個〜30個未満であり、均一分散性が若干劣りフィルムなどの薄物には不適当な場合がある
×: 30個以上であり、均一分散性が良好であるとは言えない。
<ヤング率の測定>
株式会社インテスコ製、201B型引張試験機を用い引張速度50mm/minでJIS 7721に準じて測定した。
「成形サイクル性の評価:結晶化温度の測定」
株式会社パーキンエルマージャパン製の示差走査型熱量計DSC−7を用い、1mgの材料を30℃から180℃まで20℃/分で昇温し、同温度で1分間保持した後、20℃/分で降温していったときの発熱開始の温度を結晶化温度とし、これを成形サイクル性評価の指標とした。
「均一分散性、機械的物性向上効果および結晶化温度上昇の評価」
実施例1で得られたポリエチレン樹脂組成物の結晶化温度、透明性、均一分散性およびヤング率を表1にまとめた。
元の低密度ポリエチレンのHaze値;92.6、ヤング率;110.6MPa、結晶化温度;92.9℃と比較して、得られたポリエチレン樹脂組成物はHaze値が小さくなって、ヤング率および結晶化温度が上昇し、かつブツが殆ど見られないことから、造核剤が極めて均一にポリエチレン樹脂中に分散した結果、剛性などの機械的物性および透明性が向上し、結晶化温度が大幅に上昇したことがわかる。
表1の物性データから本実施例の分散装置は、製造されるポリエチレン樹脂組成物に均一な分散性を与えることによりポリエチレン樹脂の特性を改善することができる装置であることがわかる。
「実施例2〜9」
表1に示すように、低密度ポリエチレンは実施例1と同じものを用い、造核剤の種類と濃度、撹拌時間および周速度を変化させた。それ以外は、実施例1と同じ分散装置を用い、同様の製造方法により低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。その物性を表1に示した。
「比較例1」
用いる材料は実施例3と同様で、ブラベンダーミキサ(株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル)を用いて全材料を投入後125℃、5分間、回転数60rpmで溶融混練して低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「比較例2」
用いる材料は実施例5と同様で、製造方法は比較例1と同様の方法よって低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「均一分散性、機械的物性向上および結晶化温度上昇の評価」
実施例2〜9で得られた低密度ポリエチレン樹脂組成物は、表1で示すように元の低密度ポリエチレン樹脂に比べ、ヤング率が上昇しHaze値が小さくなり、ブツが殆ど見られず結晶化温度が上昇していることから造核剤が極めて均一に分散した結果、剛性などの機械的物性および透明性が向上し、結晶化温度が上昇したことがわかる。また、所定の範囲内で造核剤の量、撹拌時間、周速度を変化させても均一分散性を確保していることがわかる。
一方、比較例1および2で得られた低密度ポリエチレン樹脂組成物は、結晶化温度は幾分上昇しているものの、Haze値が大きくは改善されず、ヤング率はわずかな上昇に留まり、ブツが多いことから用いたポリエチレン樹脂の特性が劣化し、分散性も悪いことがわかる。


LDPE(F522N): 宇部丸善ポリエチレン社製 低密度ポリエチレン
NA-11: 旭電化工業社製 造核剤アデカスタブNA-11 ナトリウム 2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート
ゲルオールMD: 新日本理化社製 造核剤 ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール
AL-PTBBA: 大日本インキ化学工業社製 造核剤 4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩。
「造核剤マスターバッチの製造」
密度0.917g/cm3 でMFR値;5g/10分、軟化温度;100.2℃の低密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー製:ミラソン11P、3mm径ペレット)95重量%にナトリウム 2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート (旭電化工業株式会社製:アデカスタブNA―11)5重量%を加えて、実施例1と同じ分散装置を用い、周速度27m/secにて28秒間室温で撹拌し、アデカスタブNA―11の造核剤マスターバッチを得た。
同様の方法で造核剤の種類を変えることにより、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール(新日本理化株式会社製:ゲルオールMD)および4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩(大日本インキ化学工業株式会社製:AL−PTBBA)の造核剤マスターバッチを製造した。
「実施例10」
上記で製造したアデカスタブNA―11の造核剤マスターバッチ2重量%を、密度;0.919g/cm3 、MFR値;2g/10分、軟化温度;117℃の直鎖状低密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー製:IDEMITSU−LL 0234H、3mm径ペレット)98重量%に加え、実施例1と同じ分散装置を用い、周速度27m/secにて44秒間室温で撹拌し、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。その物性を表2に示した。
「実施例11〜17」
表2に示すように、実施例10と同じ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用い、造核剤マスターバッチの種類と濃度、撹拌時間および周速度を変化させた。それ以外は、実施例10と同様の製造方法により直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。その物性を表2に示した。
「比較例3」
実施例16と同様の材料を用いて表2に示す条件で撹拌し、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「比較例4」
実施例11と同様の材料を用いて表2に示す条件で撹拌し、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「均一分散性、機械的物性向上効果および結晶化温度上昇の評価」
実施例10〜17で得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物は、表2で示すように元の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に比べ、ヤング率が上昇しHaze値が小さくなり、ブツが殆ど見られず結晶化温度が上昇しているが、比較例3および4のように所定範囲外の周速度や、所定以上の撹拌温度にすると用いたポリエチレン樹脂が劣化し造核剤の均一分散性が損なわれる結果、ブツが多く、透明性および機械的物性の改善効果がないか小さいことがわかる。

LLDPE(0234H): プライムポリマー社製 直鎖状低密度ポリエチレン。
「実施例18」
前記で製造したアデカスタブNA―11の造核剤マスターバッチ2重量%を、密度0.905g/cm3 、MFR値:4g/10分、軟化温度83℃のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー製:エボリューSP0540、2.5mm径ペレット)98重量%に加え、実施例1と同じ分散装置を用い、周速度27m/secにて22秒間室温で撹拌し、メタロセン直鎖状ポリエチレン樹脂組成物を得た。その物性を表3に示した。
「実施例19〜27」
表3に示すように、実施例18と同じメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用い、造核剤マスターバッチの種類と濃度、撹拌時間および周速度を変化させた。それ以外は、実施例18と同様の製造方法によりメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。その物性を表3に示した。
「比較例5」
実施例20と同様の材料を用いて表3に示す条件で撹拌し、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「比較例6〜8」
材料は表3に示す材料を用い、ブラベンダーミキサ(株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル)を用いて全材料を投入後125℃、5分間、回転数60rpmで溶融混練してメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物を得た。
「均一分散性、機械的物性向上効果および結晶化温度上昇の評価」
実施例18〜27で得られたメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物は、表3で示すように元のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に比べ、ヤング率が上昇しHaze値が小さくなり、ブツが殆ど見られないうえ、結晶化温度が小さなもので14℃程度、大きなものでは20℃以上と大幅に上昇しているが、比較例5のように所定範囲外の周速度にした場合、または比較例6〜8のように従来の方法で溶融混練した場合は、用いたメタロセン直鎖状ポリエチレン樹脂への造核剤の均一分散性および/または特性が損なわれる結果、ブツが多く、透明性および機械的物性の改善効果がないか小さいことがわかる。

メタロセンLLDPE(SP0540): プライムポリマー社製 メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン。
2.医薬製剤
「実施例28」
低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製:F522N、3mm径ペレット)の粉砕品(平均粒径400μm)9重量部、平均粒径4μmのフロセミド1重量部(和光純薬工業株式会社製)を、実施例1と同じ分散装置を用いて周速度21m/secにて3分間室温で撹拌し、フロセミドとポリエチレンの分散体を得た。
「実施例29および30」
表4に示すように、実施例28と同じ材料を同重量比率、同周速度で、同じ分散装置を用い、室温で、撹拌時間を変化させてフロセミドとポリエチレンの分散体を得た。
「比較例9」
表4に示すように、実施例28と同じ材料を同重量比率でポリエチレン袋中に入れ、5分間室温で手振り混合して薬物と高分子体の物理的混合物を得た。
「薬物分散性の評価試験」
実施例28〜30で得られた薬物高分子分散体、および比較例9で得られた物理的混合物の各々一定量を秤量し、アセトンに一昼夜浸漬後、超音波洗浄機で3分間超音波処理した後、濾過し、不溶物をアセトンで5回洗浄した。
得られた不溶物を200℃でプレスしてフィルムに成形し、そこに含まれているフロセミドを、Perkin Elmer社製のFT−IR分光光度計によりフロセミドの特性吸収である3285cm-1の吸収を用いて定量し、フロセミドの残存率を計算した。その結果を表4に示した。

使用材料 薬物:フロセミド(和光純薬製)
高分子体:低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製:F522N)
薬物/高分子体=1/9(重量部)。
表4によると、比較例9のように単に手で振り混ぜた物理的混合物では、薬物であるフロセミドは高分子体の表面に留まって中にまで浸入分散できないためアセトンで容易に洗い出されてしまう。一方、実施例28〜30では、フロセミドは高分子体であるポリエチレン粒子の内部にまで浸入分散するためアセトンで洗っても少なくとも一部はポリエチレン内部に留まり、かつその量は処理時間が長くなると多くなり、30分処理では大部分の薬物が高分子体であるポリエチレン中に留まっていることが分かる。
「実施例31」
平均粒径30μmのヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製:HPC L―Type )9重量部に平均粒径4μmのフロセミド1重量部(和光純薬工業株式会社製)を、実施例1と同じ分散装置を用い、周速度21m/secにて1分間室温で撹拌し、フロセミドとHPCの分散体を得た。
「実施例32〜34」
実施例31と同じ材料を同重量比率、同周速度で、同じ分散装置を用い、室温で、撹拌時間を3分(実施例32)、10分(実施例33)、30分(実施例34)と変化させて高分子薬物分散体を得た。
実施例34の薬物高分子分散体の一定量をアセトンに溶解し、その中に含まれるフロセミドの量を下記の条件で高速液体クロマトグラフィを用いて定量することにより混合撹拌前後でフロセミド量に変化のないことを確認した。
カラム:SUPELCO社製 Ascentis C18、3μm
Catalog#581320−U
溶出液:メタノール、2ml/min、40℃
検出: UV(280nm)。
「比較例10」
実施例31と同じ材料を同重量比率でポリエチレン袋中に入れ、5分間室温で手振り混合して薬物と高分子体の物理的混合物を得た。
「薬物高分子複合体の薬物分散性の評価試験」
実施例31〜34で得られた薬物高分子分散体および比較例10で得られた物理的混合物について、株式会社リガク製X線回折測定装置 Geigerflex Rad IBを用いてX線回折を測定した。その結果を図16に示す。
図16の左上はフロセミド、左下はHPCのX線回折である。図16の右側に比較例10および実施例31〜34のX線回折の測定結果を示す。右上の物理的混合物(比較例10)ではフロセミドの結晶に由来する回折が観察されるが、1分処理(実施例31)ではその結晶に由来する回折が小さくなり、処理時間が長くなるにつれさらにその回折が小さくなり30分(実施例34)では完全に消失している。
また、図17には比較例10で得られた物理的混合物表面の電子顕微鏡による観察結果の模式図を示すが、HPC粒子の表面に数μm程度のフロセミドが付着している様子が観察される。
図18〜図21は各々実施例31〜34で得られた薬物高分子複合体の粒子表面の電子顕微鏡による観察結果の模式図であるが、それらの観察結果では、処理時間が長くなるほどHPC表面のフロセミドによると思われる小粒子が小さくなり、30分の処理(実施例34)ではHPC表面が平滑になり、その粒子が全く見えなくなってしまうことがわかる。
これは薬物であるフロセミドが、処理時間が短い場合はHPC表面に少なくとも一部が留まっているが、処理時間が長くなるに従ってHPCの粒子表面から内部にまで浸入分散していることを示している。
図22には実施例32で得られた薬物高分子分散体の粒子表面の電子顕微鏡による観察結果の模式図を、図23にはその同じ部分のエネルギー分散型蛍光X線分析の結果を示す。これらの図によると、図23において全面に分布している小さな白い点はフロセミドに含まれる硫黄原子に由来するものであるが、HPC粒子表面に極めて均一微細に硫黄原子すなわちフロセミドが分散していることがわかる。
これら実施例31〜34のX線回折の結果と表4の結果とを併せて考察すると、本発明の分散体は担体である高分子体の粒子内部にまで薬物が侵入し均一に分散していることがわかる。
「溶解性の評価」
実施例31〜34で得られた薬物高分子分散体、比較例10の物理的混合物およびフロセミド粉末について、第14改正日本薬局方収載の溶出試験法に従い溶出試験を実施した。図24にその結果示すが、フロセミド粉末および物理的混合物と比べ実施例31〜34の分散体では明らかに溶解速度が向上していることがわかる。
3.ポリエチレン−顔料分散体
「実施例35」
低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製:ペトロセン202Rの機械粉砕品、粒子径200μm〜500μm) 79重量部、微粒子酸化鉄(BASF社製:Sicotrans Red L2715D、粒子径20nm) 20重量部、ステアリン酸亜鉛(堺化学工業株式会社製:SZ−2000) 1重量部および蒸留水20重量部を、実施例1と同じ分散装置を用い、周速度42m/secにて溶融状態となるまで撹拌してポリエチレン−酸化鉄分散体を得た。
「比較例11」
実施例35から蒸留水を除いた配合物をヘンシェルミキサにより羽根の外縁の周速度42m/secで5分間撹拌した後、ブラベンダーミキサ(株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル)を用いて5分間、回転数80rpmで溶融混練してポリエチレン−酸化鉄分散体を得た。
「顔料分散性の評価試験」
得られた分散体を、顔料の含量が3重量%になるまで用いた樹脂で希釈し、厚さ30μmのインフレーションフィルムを作成し、1cmの体積中に存在する面積0.1mm以上のブツの個数を測定し、その結果を表5に示した。他に、当該フィルムを400倍の光学顕微鏡により観察し、その観察結果の模式図を図25〜30に示した。
「実施例36」
低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製:ペトロセン(登録商標)354の機械粉砕品、粒子径200μm〜500μm) 70重量部、キナクリドン(大日本インキ化学工業株式会社製:Fastogen Super Magenta RE−03) 30重量部、蒸留水40重量部、分散剤(ポリエチレングリコールモノステアレート(40E.O.) 和光純薬工業株式会社製)0.6重量部を実施例1と同じ分散装置を用い、周速度37m/secで3分間処理した後、引き続き周速度42m/secで溶融するまで処理してポリエチレン−キナクリドン分散体を得た。
「比較例12」
実施例36から蒸留水を除いた配合物をヘンシェルミキサにより羽根の外縁の周速度42m/secで5分間撹拌した後、2ロールにて120℃、5分間処理してポリエチレン−キナクリドン分散体を得た。
「実施例37」
低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製:ペトロセン354の機械粉砕品、粒子径200μm〜500μm) 55重量部、アゾ系顔料(大日精化工業株式会社製:セイカファストレッド1980) 45重量部、蒸留水40重量部、分散剤(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル 和光純薬工業株式会社製)0.9重量部を実施例1と同じ分散装置を用い、周速度37m/secで5分間処理した後、引き続き周速度42m/secで溶融するまで処理してポリエチレン−アゾ系顔料分散体を得た。
「比較例13」
実施例37と同配合から蒸留水を除いた配合物をヘンシェルミキサにより羽根の外縁の周速度42m/secで5分間撹拌した後、2ロールにて120℃、5分間処理してポリエチレン−アゾ系顔料分散体を得た。
「顔料分散性の評価」
表5に示すように、実施例35と比較例11、実施例36と比較例12、および実施例37と比較例13とを比較すると、いずれも、本発明の実施例ではフィルム中のブツの個数が0となっており優れた分散性を示すことが分かる。また、図25〜図30の光学顕微鏡による観察結果の模式図においても、一見して本発明の実施例の優れた分散性を見て取ることができる。
「実施例38」
低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製:F522Nの機械粉砕品、粒子径200μm〜500μm) 80重量部、微粒子酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製:Nanofine50LP、粒子径20nm) 20重量部を実施例1と同じ分散装置を用い、周速度37m/secにて3分間処理した後、さらに蒸留水を20重量部加え、引き続き周速度42m/secで溶融状態となるまで撹拌してポリエチレン−微粒子酸化亜鉛分散体を得た。
「比較例14」
実施例38から蒸留水を除いた配合物をヘンシェルミキサにより羽根の外縁の周速度42m/secで5分間撹拌した後、ブラベンダーミキサ(株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル)を用いて全材料を投入後120℃、5分間、回転数80rpmで溶融混練してポリエチレン−微粒子酸化亜鉛分散体を得た。
「透明性の評価試験」
実施例38および比較例14で得られた分散体、並びに処理前の低密度ポリエチレンそのものから、厚さ0.5mmのシートを作成し、そのHaze値を株式会社東洋精機製作所製、直読ヘーズメータを用いJIS−K−7136−1に準じ測定し、その結果を表6に示したが、実施例38は比較例14に比べHaze値が小さいことから、分散が優れているため透明性が高いことが分かる。また、図31(実施例38)および図32(比較例14)の光学顕微鏡による観察結果の模式図においても一見して実施例の優れた分散性を見て取ることができる。
本発明によると、特性劣化を抑制しながら、液体同士、液体と固体または固体同士の分散において微細で均一分散性に優れた分散体を効率良く与えることのできる分散方法、分散装置および該分散装置を用いた分散体製造方法を提供できる。
例えば、水中に香料などのオイル状物質を微細に分散させて化粧品の製造に用いたり、水中に顔料などの粉体を微細均一に分散させてインクジェット印刷用インキを製造したり、医薬品担体に薬剤を微細均一に分散させて難溶性薬物の吸収性向上を図ったり、樹脂に微細均一に顔料を分散させて着色樹脂を製造したりできる。
なお、各種の実施例1〜38を例示したが、そのうち、実施例1〜27,31〜38は、固体の被分散物を表面のみ溶融させて混練させる溶融混練に関するものである。

Claims (32)

  1. 円筒形のキャビティを有する容器と、前記キャビティと同軸状に回転自在に軸支されていて前記キャビティの内部に配置されている撹拌部材と、前記撹拌部材を一定方向に回転駆動する回転駆動部と、を有し、前記容器のキャビティに収容された被分散物を前記回転駆動部により回転駆動される前記撹拌部材により撹拌する分散装置であって、
    前記撹拌部材は、回転自在に軸支されていて前記回転駆動部により回転駆動される円柱状の回転軸体と、前記回転軸体の外周面上に回転方向で等間隔となる偶数の位置に配置されている複数の羽根と、を有し、
    前記回転軸体の軸心方向を上下方向としたときに前記回転方向で奇数番目の前記羽根は迎角が負値で相対的に下方に位置しているとともに偶数番目の前記羽根は迎角が正値で相対的に上方に位置しており、
    前記羽根の上下幅Aおよび奇数番目の前記羽根の上端と偶数番目の前記羽根の下端との上下方向での間隔Bが、
    −A/2≦B≦A/2
    を満足していることを特徴とする分散装置。
  2. 前記間隔Bが、さらに、
    0≦B
    を満足していることを特徴とする請求項1に記載の分散装置。
  3. 奇数番目の前記羽根の前縁が前記キャビティの下面近傍に位置しているとともに偶数番目の前記羽根の前縁が前記キャビティの上面近傍に位置している請求項1または2に記載の分散装置。
  4. 前記奇数番目と前記偶数番目との前記羽根の組み合わせが前記回転軸体の軸心方向にも複数に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分散装置。
  5. 奇数番目の位置の最下位の前記羽根の前縁が前記キャビティの下面近傍に位置しているとともに偶数番目の位置の最上位の前記羽根の前縁が前記キャビティの上面近傍に位置している請求項4に記載の分散装置。
  6. 前記羽根の迎角が失速角未満であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の分散装置。
  7. 前記羽根の前縁に連続する部分に前記軸心方向と略直交した平面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の分散装置。
  8. 前記羽根の外縁が前記キャビティの内周面と略平行な円弧状に形成されている請求項1ないし7の何れか一項に記載の分散装置。
  9. 前記羽根の前縁と後縁とが略平行であることを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の分散装置。
  10. 前記羽根の前後幅が前記回転軸体の直径より小さいことを特徴とする請求項9に記載の分散装置。
  11. 前記容器の部材内部と前記撹拌部材の内部との少なくとも一方に調温流路が形成されており、
    前記調温流路に伝熱流体を流動させる温度調整機構を有することを特徴とする請求項1ないし10の何れか一項に記載の分散装置。
  12. 底部材、円筒形状の壁部材および蓋部材からなる容器、並びにその容器のキャビティ中で回転する円柱状の回転軸体を備え、
    その回転軸体の軸中心が円筒状の壁部材に平行になるように底部材または蓋部材に取り付けられ、
    その回転軸体に二枚の羽根が回転方向に対して一定の傾きをもって取り付けられ、
    その二枚の羽根が円周方向に180度ずらされ、軸心方向では二枚の羽根が重なった位置にない分散装置であって、
    底部側にある羽根は回転面から回転方向に向かって後部が蓋部側に上がった傾きで設置され、
    蓋部側にある前記羽根は回転方向に向かって後部が底部側の羽根と同じ角度で蓋部側から下がって設置され、
    その設置された二枚の羽根のうち、最も底部近くにある羽根は前記底部材に、最も蓋部近くにある羽根は前記蓋部材に、各々接することなく接近して設置され、
    容器のキャビティ中で被分散物を撹拌するとき、その撹拌状態が層流であることを特徴とする分散装置。
  13. 請求項12に記載の二枚の前記羽根を設置した前記回転軸体を基本構造として、前記キャビティ中でこの基本構造を回転軸の軸心方向および/または回転面方向に繰り返してなり、
    その設置された偶数個の羽根のうち、最も底部近くにある羽根は前記底部材に、最も蓋部近くにある羽根は前記蓋部材に、各々接することなく接近して設置されていることを特徴とする分散装置。
  14. 前記容器部材、前記回転軸体および/または前記羽根の内部に冷媒または熱媒を通すことのできる構造をもつことを特徴とする請求項12または13に記載の分散装置。
  15. 前記羽根が、一定方向の回転により前記被分散物を前記キャビティの内周面と略平行に回転させるとともに前記回転軸体の軸心方向に往復させる形状および配置となっていることを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の分散装置。
  16. 円筒形のキャビティを有する容器と、前記キャビティと同軸状に回転自在に軸支されていて前記キャビティの内部に配置されている撹拌部材と、前記撹拌部材を回転駆動する回転駆動部と、を有し、前記容器のキャビティに収容された被分散物を前記回転駆動部により回転駆動される前記撹拌部材により撹拌する分散装置であって、
    前記撹拌部材は、一定方向の回転により前記被分散物を前記キャビティの内周面と略平行に回転させるとともに前記回転軸体の軸心方向に往復させるように形成されていることを特徴とする分散装置。
  17. 前記被分散物を層流で流動させることを特徴とする請求項16に記載の分散装置。
  18. 前記キャビティの内周面の近傍に前記被分散物を局在させた状態とし、この状態で前記被分散物を流動させることを特徴とする請求項1ないし17の何れか一項に記載の分散装置。
  19. 前記被分散物として複数の固体を溶融混練することを特徴とする請求項1ないし18の何れか一項に記載の分散装置。
  20. 前記被分散物は、第一の固体粒子と第二の固体粒子とを含み、
    前記第一の固体粒子に前記第二の固体粒子を混入させることを特徴とする請求項1ないし19の何れか一項に記載の分散装置。
  21. 前記第一の固体粒子は樹脂粒子であり、前記第二の固体粒子は顔料であることを特徴とする請求項20に記載の分散装置。
  22. 容器のキャビティ中で被分散物を撹拌するとき、その撹拌状態が層流であることを特徴とする分散方法。
  23. 請求項1ないし21の何れか一項に記載の分散装置で前記被分散物を撹拌する請求項22に記載の分散方法。
  24. 円筒形の前記容器に収容された前記被分散物を前記キャビティの内周面と略平行に回転させるとともに軸心方向に往復させる請求項23に記載の分散方法。
  25. 前記キャビティの内周面の近傍に前記被分散物を局在させた状態とし、この状態で前記被分散物を流動させることを特徴とする請求項22ないし24の何れか一項に記載の分散方法。
  26. 分散媒とそれに分散させる添加物とからなる被分散物を請求項1ないし21の何れか一項に記載の分散装置により分散させることを特徴とする分散体製造方法。
  27. 分散媒が高分子体であることを特徴とする請求項26に記載の分散体製造方法。
  28. 高分子体が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項27に記載の分散体製造方法。
  29. 熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることを特徴とする請求項28に記載の分散体製造方法。
  30. 添加物が無機物および有機物のうち少なくとも一つの高分子量化合物および/または低分子量化合物であることを特徴とする請求項26ないし29の何れか一項に記載の分散体製造方法。
  31. 添加物が顔料であることを特徴とする請求項30に記載の分散体製造方法。
  32. 添加物が薬物であることを特徴とする請求項30に記載の分散体製造方法。
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