JP6581937B2 - 撹拌翼及び撹拌装置 - Google Patents

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Description

本発明は、流体を撹拌すること等に用いられる撹拌翼及び撹拌装置に関するものである。
流体を撹拌すること等に用いられる撹拌翼には種々の形式が採用されている。そのうち軸流型の撹拌翼の形状例が、特許文献1の図9及び図10に多種示されている。しかし、これら撹拌翼は羽根端形状については特段の考慮がされていなかった。
ところで、撹拌に必要な動力は小さい方がコスト低減につながるため有利である。このため、動力を低減するために撹拌翼に作用するトルクを抑える必要がある。しかしながらこの点で、従来の撹拌翼には改良の余地があった。
特開平10−337461号公報(図9、図10)
そこで本発明は、羽根の回転中心軸に対する位置関係及び羽根端形状に着目したものであり、撹拌に必要な動力を低下させることのできる撹拌翼及び撹拌装置を提供することを課題とする。
本発明は、周方向に配置された複数の羽根を備える軸流型の撹拌翼であり、各羽根は、少なくとも回転方向を基準とした前端寄り部分が、周方向断面において回転中心軸に直交する平面に対して20°〜40°の角度で傾斜しており、前記各羽根には、前記回転方向を基準とした前方を向く前面と後方を向く後面とが形成され、前記前面が下方に位置し、前記後面が上方に位置し、前記各羽根は、回転方向を基準とした前端部に、周方向断面における角度が30°〜50°で絞られたテーパー部を備えることを特徴とする撹拌翼である。
また本発明は、前記撹拌翼を備えることを特徴とする撹拌装置である。
これらの構成によると、各羽根の傾斜角とテーパー部の先端角とが前記範囲で設定されたことで、撹拌対象物から羽根が受ける抵抗を低減できる。
また、前記テーパー部は、回転方向を基準とした前面と後面との間に位置する平坦面を有していてもよい。
この構成によると、平坦面により羽根から流れが剥離することで負圧が大きくなることを抑制できる。
また、前記各羽根は、前記テーパー部を除き厚さが一定の平板状であってもよい。
この構成によると、一般的な軸流翼(例えばプロベラ翼)と比べると、形状をシンプルにできる。
また、前記各羽根は、前記前端部と径方向外端部とが湾曲して連結されていてもよい。
この構成によると、羽根の回転に伴い、撹拌対象物に接触するタイミングに羽根の径内位置と径外位置との間で回転方向にずれが生じるため位相差が生じる。これにより、位相差がない場合よりも回転抵抗を小さくすることができる。このため、撹拌翼を回転させる動力を低下させることができる。
また、前記各羽根は、回転方向を基準とした後端部に、周方向断面における角度が30°〜50°で絞られたテーパー部を備えていてもよい。
この構成によると、後端部に形成されたテーパー部により、羽根の後端での急激な断面変化を避けることができる。その結果、圧力抵抗を低減でき、撹拌対象物(流体)に負圧が生成することを抑制できる。
また、前記各羽根は、回転方向を基準とした前面または後面に、周方向に沿う突起または凹部からなる整流部が形成されていてもよい。
この構成によると、撹拌翼の回転によって撹拌対象物を整流部が整流できる。この整流により、撹拌に必要な動力を更に低下させることが可能である。
本発明は、撹拌対象物から羽根が受ける抵抗を低減できる。このため、撹拌に必要な動力を低下できる。
本発明の一実施形態に係る撹拌翼を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)を正面図とした場合の右側面図(ただし、ボスよりも手前側の羽根のみを図示)である。 同撹拌翼を備える撹拌装置の一例を示す縦断面図である。 同撹拌翼における1枚の羽根を抜き出して示したもので、(a)は羽根の上面を基準とした平面図、(b)は(a)のA矢視断面図、(c)は(a)のB矢視断面図、(d)は(a)のC矢視断面図である。 (a)〜(c)とも、同撹拌翼の解析結果を示すグラフであり、(テーパー部の)先端角と羽根にかかる平均力との関係を示す。 図4(c)から読み取ることのできる特性を説明するために追記したグラフである。 同撹拌翼の解析結果を示すグラフであり、羽根の傾斜角が異なる場合の、(テーパー部の)先端角と羽根にかかる平均力との関係を示す。 同撹拌翼に生じる乱流運動エネルギーの分布図であり、羽根の傾斜角が異なる場合を並べて示す。 (a)は本発明の他の実施形態に係る撹拌翼における1枚の羽根を示し、羽根の上面基準の平面図である。(b)は本発明の更に他の実施形態に係る撹拌翼における羽根端形状を示す、周方向断面視の概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係る撹拌翼1について説明する。なお以下における「前後」の表現は、撹拌翼1の回転方向Rを基準とした方向であり、後方から前方へと回転するものとする(図1(a)参照)。
本実施形態の撹拌翼1は図1(a)〜(c)に示す形状で、軸流型の撹拌翼である。この撹拌翼1は例えば、撹拌対象物である流体(特に液体)にレイノルズ数1000以上の流れを形成することができる。この撹拌翼1は、例えば図2に示すような、液体を貯留できる撹拌槽41内において、液体に羽根3が浸かるように配置されて液体、及び、液体と共に撹拌槽41に入れられた固体を撹拌し、液体中に固体粒子を分散させたり浮遊させたりするために使用される。図示はしていないが、使用の際には、撹拌翼1を軸方向に複数連ねて撹拌槽内に配置することもできる。また、撹拌翼1と回転軸42との組み合わせを複数組、例えば回転軸が平行になるよう、撹拌槽内に配置することもできる。
ここで、本実施形態の撹拌翼1を備える撹拌装置4の一例について説明する。図2に示すように、例示した撹拌装置4は竪型撹拌装置である。この撹拌装置4は、撹拌対象物(液体L)を収容する撹拌槽41と、この撹拌槽41内に回転可能に取り付けられた回転軸42と、この回転軸42に取り付けられた撹拌翼1と、回転軸42を回転させる駆動部43とを備えている。また、この撹拌装置4は、撹拌槽41内に他の撹拌対象物(固体)を供給する供給部をさらに備えることができる(図示しない)。なお、本実施形態では、撹拌槽41に収容された被撹拌物が液体L及び固体である。ただし、被撹拌物の種類は前記組み合わせに限定されるものではない。また液体Lには、比較的低粘度で流動性が高い液体の他、比較的高粘度で流動性が低い液体も含まれる。
撹拌槽41は、縦方向に長い円筒形状に形成されている。具体的にこの撹拌槽41は、円筒状の直胴部411と、この直胴部411の下端に取り付けられた断面形状が半楕円または皿型形状等とされた底部412と、直胴部411の上端に取り付けられた断面形状が半楕円または皿型状等とされた頂部413とを備えている。また、撹拌槽41は、回転軸42の軸芯方向L42が鉛直方向(図2における上下方向)と一致するように、回転軸42を保持している。
回転軸42は、撹拌槽41の径方向における中心部に配されている。回転軸42の下端部は、撹拌槽41の底部412に設けられた軸受(図示しない)を介して支持されている。一方、回転軸42の上端部は、撹拌槽41の頂部413よりも上方まで延出され、頂部413よりも上方に配された駆動部43(ここでは、例えばモータMとする。)に接続されている。回転軸42は駆動部43の駆動力を受けて回転方向R42に回転する。なお、回転軸42として、その下端部が全く支持されない構成を採用することもできる。また、回転軸42の下端部が底部412よりも下方まで延出され、底部412よりも下方に配された、モータ等の駆動部と接続される構成を採用することもできる。
本実施形態の撹拌翼1は、図1(a)〜(c)に示すように、ボス2と、ボス2に固定されて径外方向に延びる複数の羽根3…3と、を備える。本実施形態の撹拌翼1は2枚羽根であり、1個のボス2に対して2枚の羽根3,3が固定されており、構成はシンプルである。ボス2は円筒状であり、モータM等の駆動部43により駆動される回転軸42(図2参照)に固定される。2枚の羽根3,3はボス2の径方向側面に、周方向(回転方向Rに沿う方向のことである)に所定角度毎で固定されている。本実施形態では、2枚の羽根3,3が撹拌翼1の回転中心軸C(図1(c)に示す仮想の軸であって、撹拌装置4における回転軸42の中心を通る)を基準に180°の回転対称で位置している。
各羽根3は厚さが一定の平板状で、図3(a)に示すように、径外に向かうにつれ翼幅寸法(周方向寸法)が拡大した「先太り」形状または「扇状」の形状とされている。各羽根3の羽根端のうち前端部3a及び後端部3bは直線状とされている。前端部3aと径方向外端部3cとはアール状の連続部3dを介し、湾曲して連結されている。一方、径方向外端部3cと後端部3bとは鋭角で交わるようにして連結されている。各羽根3は図1(c)に示すように、一般的なパドル型の撹拌翼と同じく、各羽根3が回転中心軸Cに対し傾斜してボス2に固定されている。2枚の羽根3,3は図1(a)に示すように、後端部3bの端縁が撹拌翼1の回転中心軸Cを通る180°の位置関係となっていて一直線に延びた形状である。本実施形態の各羽根3は平板状であるから、後述の整流部32のような整流作用を奏さない形状であり、羽根3に沿う流動を妨げるような凹凸の多い形状に比べると、流体中に存在する固体分や液体が固体化した物質が表面に残留しにくく(こびり付きにくく)、洗浄等のメンテナンスが容易である。
図1(c)に示すように、各羽根3は、回転中心軸Cに直交する仮想線に沿うようにボス2に取り付けられていると共に、少なくとも(回転方向Rを基準とした)前端寄り部分3Xが、周方向断面において回転中心軸Cに直交する仮想の平面P(一点鎖線で図示)に対して20°〜40°の角度(傾斜角)θ1で傾斜している。図示した羽根3の傾斜角θ1は30°である。回転する撹拌翼1における各羽根3が撹拌対象物から受ける抗力は、傾斜角θ1を0°に近づけるほど小さくできる。しかし、傾斜角θ1が小さくなると撹拌対象物に生じる流れは弱くなってしまうので、撹拌対象物が液体と固体からなる場合、液体中に固体を分散させ難くなる。このため、固体分散の観点で傾斜角θ1の範囲を20°〜40°と設定した。なお、前記「前端寄り部分3X」とは、図1(a)(c)に示すように、各羽根3における、回転方向Rを基準とした前端(つまり、最前方に位置する縁部)の近傍部分のことである。また、前記「周方向断面」とは、周方向(回転方向Rに沿う方向)に沿って(本実施形態では縦に)切断した場合の断面のことである。また、前記「仮想の平面P」は、図1(c)には真横から見た形で現れている。
撹拌翼1は、図1(a)に示す回転方向Rで回転する。本実施形態では、撹拌翼1の回転方向Rを基準とした前面3Fの側が下方に、同後面3Bの側が上方に位置する(図1(c)参照)。このため撹拌翼1を回転させると、撹拌対象物である流体には下方向への流れが発生する。この流れにより撹拌槽の底部に位置する液体及び固体を槽内で巻き上げることができるため、高い分散性能を実現できる。なお、参考例として、本実施形態とは逆に、撹拌翼1の回転方向Rを基準とした前面の側が上方に、同後面側が下方に位置することもできる。この場合には、撹拌翼1を回転させると流体に上方向への流れを発生させられる。
各羽根3は、少なくとも回転方向Rを基準とした前端部3aにテーパー部31を備える。本実施形態では、ボス2に接する(つまり流体に接しない)端部を除く全ての端部(羽根端)、具体的には前端部3a、径方向外端部3c、後端部3b、連続部3dにテーパー部31を備える。テーパー部31は、周方向断面における角度(先端角)θ2が30°〜50°で絞られた形状である。このテーパー部31は、例えば羽根端を切削加工することにより形成できる。図3(b)〜(d)には、平板状の各羽根3における各羽根端が45°で切断されて、回転方向Rを基準とした前面(本実施形態では下面)3Fと後面(本実施形態では上面)3Bとの間に平坦面311が現れた形状を示している。この平坦面311は、図3(b)(d)に示すように、前端部3a及び径方向外端部3cでは上方を向いた面であり、図3(c)に示すように、後端部3bでは下方を向いた面である。
一般的には、羽根3から流体の流れが剥離すると負圧が大きくなり、撹拌翼1を回転させる動力が増加すると言われている。前記のように、各羽根3の傾斜角θ1を20°〜40°とし、かつ、テーパー部31の先端角θ2を30°〜50°と設定することにより、特に羽根3の前端部3aにおいて流れの剥離が生じにくくなるため、撹拌翼1を回転させる動力を増加させるような一要因(剥離による渦発生)を抑制できることから、撹拌対象物(流体)から羽根が受ける抵抗を低減できるので、撹拌翼1を回転させる動力を低下させることが可能である。
また、羽根3における前方部分のうちで径外側の位置に形成されたアール状の連続部3dにより、撹拌翼1の回転による羽根3の回転に伴い撹拌対象物(流体)に接触するタイミングに径内側の位置と径外側の位置との間で回転方向Rにずれが生じることから位相差が生じる。これにより、位相差が生じない場合に比べて撹拌対象物(流体)を整流でき、撹拌翼1の回転抵抗を小さくすることができる。これによっても、撹拌翼1を回転させる動力を低下させることができる。
更に、羽根3の後端部3bに形成されたテーパー部31により、後端部3bでの急激な断面変化を避けることができる。その結果、圧力抵抗を低減でき、撹拌対象物(流体)に負圧が生成することを抑制できる。
次に、本願の発明者が行った撹拌翼1の解析(2次元解析)について説明する。解析条件は以下のとおりである。

・解析ソフト:CFX(アンシス・ジャパン株式会社)
・乱流モデル:k-εモデル
・流体物性/対象液:水(密度1000kg/m3、粘度0.001 Pa・s)
・境界条件
翼:すべり無し境界
上側及び下側:すべり境界
手前側及び奥側:対称境界
入口・出口:流入・流出境界
流入速度、流出速度:3.896 m/s
(翼径d=124mmにおける600 rpm時の羽根端速度相当)
解析結果を図4〜図7に示す。各図における囲み内記載は、撹拌翼1の形状及び配置の設定を示している。例えば「0.3d-9mm」は、羽根3の板厚を9mmに設定したことを示す(「0.3d」は後述)。「0.3d-9mm-30°」は、前記設定に加えてテーパー部31の先端角θ2を30°に設定したことを示す。また記載「0.3d」は、翼径(d)が124mmの撹拌翼1を設定し、羽根3の幅寸法(一定)を翼径の0.3倍(37.2mm)とした「0.3d-18mm-90°」の羽根、つまり、板厚が18mmでテーパー部31が絞られていない(テーパー部31の先端角θ2が90°)平板状の羽根を基準とし、羽根3の回転方向(水平方向)における投影面積を一致させたことを示している。なお、本解析にて撹拌翼1が配置される撹拌槽の内径(D)は310mmに設定されている。つまりd=0.4Dである。以上のまとめとして、「0.3d-9mm-30°」の例は、「(0.3d-18mm-90°の羽根に投影面積を合わせた傾斜)−(羽根3の板厚が9mm)−(テーパー部31の先端角θ2が30°)」を意味している。
図4(a)〜(c)に、本解析にてテーパー部31の先端角θ2を30°、45°、90°(テーパー部31の絞り無し)と設定した場合における非定常解析の結果であって、テーパー部31の先端角θ2(横軸)と羽根3にかかる平均力(Fav、単位N)(縦軸)との関係を示す(図4及び図5では「先端角」と表記している)。図4(a)は投影面積0.3d(「0.3d-18mm-90°」の羽根基準)の設定で羽根3の板厚を3mm(図中の(以下同じ)四角ポイント)、9mm(三角ポイント)、18mm(丸ポイント)としたものである。図4(b)は投影面積0.5d(「0.5d-18mm-90°」の羽根基準)の設定で羽根3の板厚を3mm(四角ポイント)、9mm(三角ポイント)、18mm(丸ポイント)としたものである。図4(c)は投影面積0.7d(「0.7d-18mm-90°」の羽根基準)の設定で羽根3の板厚を3mm(四角ポイント)、9mm(三角ポイント)、18mm(丸ポイント)としたものである。羽根3の板厚が18mmのもの(丸ポイント)は、他のテーパー部31の先端角θ2についても解析を行い図4(c)にプロットしている。なお、図4(c)においてテーパー部31の先端角θ2が90°においては、三角ポイントと丸ポイントがほぼ重なった状態となっている。
図4(a)〜(c)から、テーパー部31の先端角θ2が45°近辺で羽根3にかかる平均力が最も小さくなっていることがわかる。
図5は、図4(c)において「0.7d-18mm」に関して本解析で得られた複数のポイントに沿うように曲線で結んだものである。なお、図5に記載した式は横軸をx軸、縦軸をy軸として表示している。この曲線によると、テーパー部31の先端角θ2が約45°において羽根3にかかる平均力が最も小さくなることがわかる。テーパー部31を設けない場合(テーパー部31の先端角θ2が90°)に比べてテーパー部31の先端角θ2が約45°では、図5に矢印で表示したように、力が約40%低減できていることがわかる。
「0.7d-18mm」以外の設定に関しては、テーパー部31の先端角θ2が30°、45°、90°でしか解析を行わなかったが、図4(a)〜(c)の各図上における四角ポイント、三角ポイント、丸ポイントの関係に照らすと、図5に記載した曲線の関係は、「0.7d-18mm」以外の設定でも成立していることを十分に推測できる。
次に図6に、「0.7d-18mm」で羽根3の傾斜角θ1を30°、45°と設定して、テーパー部31の先端角θ2を変化させた場合における非定常解析の結果であり、テーパー部31の先端角θ2(横軸)と羽根3にかかる平均力(Fav)(縦軸)との関係を示す。図6には、羽根3の傾斜角θ1が30°における関係を丸ポイントで示し、羽根3の傾斜角θ1が45°における関係を三角ポイントで示す。平均的には、羽根3の傾斜角θ1を45°と設定した場合よりも羽根3の傾斜角θ1を30°と設定した場合の方が、羽根3にかかる平均力は小さくなることがわかる。
更に図7に、「0.7d-18mm-30°」に設定した撹拌翼1と、「0.7d-18mm-45°」に設定した撹拌翼1とにつき、羽根3の各々の傾斜角θ1を45°と30°に設定した場合における定常解析の結果であり、撹拌翼1に生じる乱流運動エネルギー(単位m2/s2)の分布図を示す。図中、白色の平行四辺形状に示された撹拌翼1に相当する部分の周囲にて色が濃く表示された領域が乱流運動エネルギーの大きい領域である。図示内容から明らかなように、テーパー部31の先端角θ2が30°、45°のいずれの場合であっても、羽根3の傾斜角θ1を45°と設定した場合よりも羽根3の傾斜角θ1を30°と設定した場合の方が撹拌翼1に生じる乱流運動エネルギーは小さい。このことから、羽根3の傾斜角θ1を45°と設定した場合よりも相対的に、羽根3の傾斜角θ1を30°と設定した場合の方が撹拌に必要な動力を低下できていると言える。
本解析の結果から、本実施形態の撹拌翼1は羽根3にかかる平均力を小さくできることが裏付けられた。このため本実施形態の撹拌翼1は、従来の撹拌翼(一般的なパドル型の撹拌翼)に比べて低動力で羽根3の周囲に効率よく流れ場を形成することができ、流体(液体)中に固体粒子を分散させたり浮遊させたりすることが可能である。
そして本実施形態の撹拌翼1は主に以下3点の利点を有するため、撹拌翼1を使用する場合におけるコスト低減の一助となる。
(1)低トルクを実現(これにより、撹拌翼1を使用した装置(撹拌装置等)のイニシャルコスト及びランニングコストを低減できる)。
(2)低動力による高局所分散性能、具体的には、撹拌槽41の底部412付近のみで固体粒子を分散(浮遊)させることのできる高い性能を実現(これにより生産性を向上できるので、ランニングコストを低減できる)。
(3)構造のシンプル化によるメンテナンス時間短縮(これによりメンテナンスコストを低減できる)
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明に係る撹拌翼1は前記実施形態だけに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることができる。
例えば、各羽根3の外縁形状は前記実施形態の形状に限定されない。例えば翼幅寸法(周方向寸法)が一定の略長方形状や、径外に向かうにつれ翼幅寸法(周方向寸法)が縮小した「先細り」形状または「逆扇状」の形状であってもよく、種々の形状とできる。
また前記実施形態では、各羽根3の回転方向Rを基準とした前面(前記実施形態では下面)3F及び後面(前記実施形態では上面)3Bが平面であったが湾曲面であってもよい。なお湾曲面等、平面でない場合においては、羽根3の傾斜角θ1は各羽根3の前端寄り部分で評価するものとする。
また、羽根3は種々の金属材料で形成できるし、金属以外の材料(例えば硬質樹脂やセラミックス等)で形成することもできる。また、材料を切削することにより形成することもできるし、鋳造等、流動性のある原料を成型することで形成することもできる。また、羽根3の表面には撹拌対象物に適したコーティング及びめっき、また、荒らし加工を施すことができる。
また前記実施形態の撹拌翼1は2枚羽根であったが、羽根3の枚数は2枚に限定されず、3枚以上とすることもできる。
また、羽根3における上面、下面の少なくとも一方に突起または凹部からなる整流部32を形成することもできる。なお、本発明における「平板状」の概念は、この整流部32が形成された状態も含む概念である。この整流部32は、少なくとも一部が周方向に沿うように形成でき、例えば、図8(a)に示すような形状とできる。図示の羽根3は整流部32を除けば図3(a)に示したものと同一で、径外に向かうにつれ翼幅寸法(周方向寸法)が拡大した「先太り」形状または「扇状」の形状とされている。これに対応し、径内位置の整流部32よりも径外位置の整流部32の方が長く形成されている。整流部32を突起とする場合は例えば溶接や接着により形成でき、必要によりグラインダ加工を行う。また、整流部32を凹部とする場合は例えば切削により形成できる。また、プレス加工により形成することもできる。
このように形成された整流部32は、撹拌翼1の回転に伴い撹拌対象物である流体を整流できる。この整流により、羽根3の上下面が平滑な面である場合に比べ、撹拌に必要な動力を更に低下させることが可能である。整流部32は、例えば、撹拌翼1の回転方向Rに沿う形状(曲線状の突条または溝)、または回転方向Rの接線方向に沿う形状(直線状の突条または溝)とできる。図8(a)には3本の整流部32…32を形成した羽根3を示したが、1枚の羽根3当たりの整流部32の形成数は限定されず、例えば羽根3の表面全体に多数の突起または凹部を形成することもできる。
図8(a)には、整流部32を形成する羽根3の形状を図3(a)に示した羽根3と同一形状として示したが、これに限定されない。種々の外縁形状を有する羽根3に対して整流部32を形成することができる。
更に、羽根3における上面、下面ではなく、テーパー部31の平坦面311に整流部32を形成することもできる。
また、テーパー部31は種々の形状とできる。前記実施形態では、回転方向Rを基準とした前面(前記実施形態では下面)3Fと後面(前記実施形態では上面)3Bとの間に平坦面311が1面現れた形状であったが、図8(b)に示すように、前面3Fと後面3Bとの間に2面以上の平坦面311…311が現れた形状であってもよい。
また、前記実施形態の羽根3は、前端部3a、径方向外端部3c、後端部3bの全てにテーパー部31を備えていたが、これに限定されない。少なくとも前端部3aにテーパー部31を備えていればよく、具体的には前端部3aのみにテーパー部31を備えたものや、前端部3aと径方向外端部3cとにテーパー部31を備えたものとできる。
また、前記実施形態の撹拌翼1の解析では撹拌対象物を水としたが、水以外の種々の流体(液体)を撹拌対象物の構成物とできる。また、液体に混合させるための種々の固体を撹拌対象物の構成物とできる。
1 撹拌翼
2 ボス
3 羽根
3X 羽根の前端寄り部分
3a 前端部
3b 後端部
3c 径方向外端部
3d 連続部
3F 前面、下面
3B 後面、上面
31 テーパー部
311 平坦面
32 整流部
C 回転中心軸
R 回転方向
θ1 羽根の傾斜角
θ2 羽根のテーパー部の先端角

Claims (7)

  1. 周方向に配置された複数の羽根を備える軸流型の撹拌翼であり、
    各羽根は、少なくとも回転方向を基準とした前端寄り部分が、周方向断面において回転中心軸に直交する平面に対して20°〜40°の角度で傾斜しており、
    前記各羽根には、前記回転方向を基準とした前方を向く前面と後方を向く後面とが形成され、前記前面が下方に位置し、前記後面が上方に位置し、
    前記各羽根は、回転方向を基準とした前端部に、周方向断面における角度が30°〜50°で絞られたテーパー部を備えることを特徴とする撹拌翼。
  2. 前記テーパー部は、回転方向を基準とした前面と後面との間に位置する平坦面を有することを特徴とする、請求項1に記載の撹拌翼。
  3. 前記各羽根は、前記テーパー部を除き厚さが一定の平板状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の撹拌翼。
  4. 前記各羽根は、前記前端部と径方向外端部とが湾曲して連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撹拌翼。
  5. 前記各羽根は、回転方向を基準とした後端部に、周方向断面における角度が30°〜50°で絞られたテーパー部を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の撹拌翼。
  6. 前記各羽根は、回転方向を基準とした前面または後面に、周方向に沿う突起または凹部からなる整流部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の撹拌翼。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の撹拌翼を備えることを特徴とする撹拌装置。
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