JPWO2006112234A1 - 樹脂組成物、硬化膜及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、表層である低屈折率層の耐擦傷性が十分ではなかった。
本発明は、以上のような状況を背景としてなされたものであって、その目的は、低屈折率層と高屈折率層を効率的に製造できる、紫外線によって硬化しうる硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、透明性が高く、基材に対する密着性が大きく、優れた耐擦傷性を有し、しかも環境耐性に優れた硬化膜を提供することにある。
[1]下記成分(A)〜(C):
(A)重合性基を有する含フッ素重合体、
(B)重合性基を有し、硬化後の屈折率が1.55以上となる有機化合物、
(C)ケトン類及びエステル類からなる群から選択される1種以上の有機溶剤、
を有し、全溶剤に占める前記(C)ケトン類及びエステル類からなる群から選択される1種以上の有機溶剤の割合が30質量%以上である硬化性樹脂組成物。
[2]前記(A)重合性基を有する含フッ素重合体が、1個のイソシアネート基と1個以上のエチレン性不飽和基とを有する化合物(A−1)と、水酸基を有する含フッ素重合体(A−2)との反応物である上記[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
(a)下記一般式(1)で表される構造単位。
(b)下記一般式(2)で表される構造単位。
(c)下記一般式(3)で表される構造単位。
若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基、又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基、又はアルコキシカルボニル基を示す]
(d)下記一般式(4)で表される構造単位。
[5]前記水酸基を有するフッ素重合体(A−2)が、前記構造単位(d)を下記構造単位(e)の一部として含むことを特徴とする上記[4]に記載の硬化性樹脂組成物。
(e)下記一般式(5)で表される構造単位。
(f)下記一般式(6)で表される構造単位。
[7]前記1個のイソシアネート基と1個以上のエチレン性不飽和基とを有する化合物(A−1)が、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートである上記[2]〜[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8]前記重合性基を有する有機化合物(B)が、重合性基として1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する上記[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(g)下記一般式(7)で表される構造単位。
(h)下記一般式(8)で表される構造単位。
(i)下記一般式(9)で表される構造単位。
(j)下記一般式(10)で表される構造単位。
(k)下記一般式(11)で表される構造単位。
(l)下記一般式(12)で表される構造単位。
(m)下記一般式(13)で表される構造単位。
[12]さらに、(D)1個以上の重合性基を有する化合物及び/又は1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素化合物を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[13]さらに、(E)シリカ粒子を含有する上記[1]〜[12]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[14]前記(E)シリカ粒子が、(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物(S)によって表面処理されている上記[13]に記載の硬化性樹脂組成物。
(n)下記一般式(14)で表される構造単位。
[16]前記(S)(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である上記[14]又は[15]に記載の硬化性樹脂組成物。
[17]さらに、(F)光ラジカル重合開始剤を含有する上記[1]〜[16]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[19]前記(A)重合性基を有する含フッ素重合体を主成分とする硬化物からなる1以上の層と、前記(B)重合性基を有し、硬化後の屈折率が1.55以上となる有機化合物を主成分とする硬化物からなる1以上の層からなる二層以上の層構造を有する上記[18]に記載の硬化膜。
[20]さらに、前記(E)シリカ粒子が、実質的に、前記(A)重合性基を有する含フッ素重合体を主成分とする硬化物からなる層に存在する、上記[19]に記載の硬化膜。
[21]上記[18]〜[20]のいずれかに記載の硬化膜を有する積層体。
本発明の硬化性樹脂組成物は、
(A)重合性基を有する含フッ素重合体
(B)重合性基を有し、硬化後の屈折率が1.55以上となる有機化合物
(C)ケトン類及びエステル類からなる群から選択される1種以上の有機溶剤
(D)1個以上の重合性基を有する化合物及び/又は1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素(化合物
(E)シリカ粒子
(F)光ラジカル重合開始剤
(G)その他の成分
を含有するものである。これらの内、(A)〜(C)は必須成分、(D)〜(G)は必要に応じて添加する非必須成分である。
(A)重合性基を有する含フッ素重合体
本発明の(A)成分は重合性基を有する含フッ素重合体(以下、「重合性基含有含フッ素重合体」ということがある)である。重合性基としては、特に限定されず、例えば、エポキシ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
化合物(A−1)としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、1個以上の重合性基を有している化合物であれば特に制限されるものではない。尚、イソシアネート基を2個以上有すると、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。また、上記エチレン性不飽和基としては、本発明の硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
水酸基含有含フッ素重合体(A−2)は、下記構造単位(a)、(b)、(c)から構成されていることが好ましく、さらに構造単位(d)、(f)を含むことがより好ましい。
構造単位(a)は、下記一般式(1)で表される。
構造単位(b)は、下記一般式(2)で表される。
構造単位(c)は、下記一般式(3)で表される。
また、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。以下、構造単位(d)について説明する。
構造単位(d)は、下記一般式(4)で表される。
構造単位(e)は、下記一般式(5)で表される。
また、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)は、さらに上記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。以下、構造単位(f)について説明する。
水酸基含有含フッ素重合体(A−2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という。)で、テトラヒドロフラン(以下「THF」という。)を溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、本発明の硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合がるためである。また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
本発明で用いる重合性基含有含フッ素重合体(A)は、上述した、1個のイソシアネート基と、1個以上のエチレン性不飽和基とを含有する化合物(A−1)と、水酸基含有含フッ素重合体(A−2)とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られることが好ましい。この理由は、モル比が1.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、1.1〜1.5とするのがより好ましく、1.2〜1.5とするのがさらに好ましい。
本発明で用いる重合性基を有する有機化合物は、それ単独で硬化させた硬化膜のアッベ屈折率計で測定される屈折率が1.55以上となる重合性有機化合物(以下、「高屈折率重合性基含有有機化合物(B)」ということがある)である。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる(C)有機溶剤は、上記(A)重合性基含有含フッ素重合体に対する溶解性が高い溶剤であり、ケトン類又はエステル類を用いることができる。
本発明においては、(A)成分及び(B)成分の層分離を妨げない範囲で、(D)1個以上の重合性基を有する化合物(以下、「重合性化合物(D1)」又は「化合物(D1)」ということがある)、及び/又は、1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素化合物(以下、「含フッ素(メタ)アクリレート化合物(D2)」又は「化合物(D2)」ということがある)を配合することができる。(化合物(D1)と化合物(D2)とを合わせて、「重合性モノマー(D)」ということがある。)
ここで、重合性基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基及びビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物(D2)は、硬化性樹脂組成物の屈折率を低下させるために用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、シリカを主成分とする粒子を配合することができる。このシリカ粒子は、硬化膜の硬度を高め耐擦傷性を改良するために添加する。
シリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。また、粒径は1〜200nmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜100nmである。粒径が200nm以上となると硬化塗膜の透明性が損なわれる場合がある。さらに、シリカ粒子(E)としては、固形分が10〜40質量%のコロイダルシリカが好ましい。
本発明に用いられる特定有機化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する重合性の化合物である。この化合物は、分子内に、さらに下記式(14)に示す基を含む化合物であること及び分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
特定有機化合物に含まれる重合性不飽和基はアクリロイル基又はメタクリロイル基である。
この重合性基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
特定有機化合物は、分子内に前記式(14)に示す基をさらに含むものであることが好ましい。前記式(m)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1とを併用することが好ましい。
前記式(14)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
特定有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する化合物を挙げることができるが、ケイ素原子上にアルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、シリカ粒子と結合する構成単位である。
特定有機化合物(S)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(19)に示す化合物を挙げることができる。
R25、R26の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。
(a)法;まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させることで、分子中にアルコキシシリル基、[−S−C(=O)−NH−]基及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、次に中間体中に残存するイソシアネートに対して活性水素含有重合性不飽和化合物を反応させて、この不飽和化合物を[−O−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
(b)法;まずポリイソシアネート化合物と活性水素含有重合性不飽和化合物とを反応させることで分子中に重合性不飽和基、[−O−C(=O)−NH−]基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させてこのメルカプトアルコキシシランを[−S−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
等を挙げることができる。さらに両者の中では、マイケル付加反応による重合性不飽和基の減少がない点で(a)法が好ましい。
これらの化合物は1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
特定有機化合物による粒子の表面処理方法としては特に制限はないが、特定有機化合物と粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより製造することも可能である。尚、特定有機化合物が有するシラノール基生成部位と、粒子とを効率よく結合させるため、反応は水の存在下で行われることが好ましい。ただし、特定有機化合物がシラノール基を有している場合は、水はなくてもよい。従って、粒子及び特定有機化合物を少なくとも混合する操作を含む方法により表面処理できる。
表面処理時においてアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下でアルコキシシラン化合物と粒子とを混合して得られる生成物は、粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される粒子を含有する組成物の硬化物においては、高硬度及び耐擦傷性の発現の効果は低い。
これらの溶剤の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸を、塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を、また、塩基としては、例えば、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級、2級又は3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド類等を挙げることができる。
脱水剤としては、ゼオライト、無水シリカ、無水アルミナ等の無機化合物や、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、テトラエトキシメタン、テトラブトキシメタン等の有機化合物を用いることができる。中でも、有機化合物が好ましく、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルトエステル類がさらに好ましい。
尚、粒子に結合したアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱質量分析により求めることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、必要に応じて、放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる(F)光ラジカル重合開始剤(放射線(光)重合開始剤)を配合することができる。
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料、スリップ剤等を適宜配合できる。また、塗工性を改善する目的で、本発明における層分離性を妨げない範囲内において、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(C)成分以外の有機溶剤を用いることもできる。
本発明の組成物は、次のようにして製造する。
重合性基含有含フッ素重合体((A)成分)及び高屈折率重合性基含有有機化合物((B)成分)、有機溶剤((C)成分)、必要に応じて、重合性モノマー((D)成分)、シリカ粒子((E)粒子)、光ラジカル重合開始剤((F)成分)等を攪拌機付きの反応容器に入れ35℃〜45℃で2時間攪拌し本発明の硬化性樹脂組成物とする。
本発明の硬化性樹脂組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらのコーティングによる塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.01〜0.5μmであり、好ましくは、0.05〜0.2μmである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、放射線(光)によって硬化させることができる。その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の硬化膜は、上記本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、二層以上の多層構造を有することを特徴とする。特に、前記(A)重合性基含有含フッ素重合体が高濃度に存在する1以上の層と、前記(B)高屈折率重合性基含有有機化合物が高濃度で存在する1以上の層からなる二層以上の層構造を有していることが好ましい。
本発明の硬化膜は、基材1の上に、必要に応じて、ハードコート層2が形成され、この上に、本発明の硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、硬化させることにより、一の塗膜から、(B)成分が高濃度に存在する高屈折率層3と、(A)成分が高濃度に存在する低屈折率層4が形成される。このようにして形成された二層の電子顕微鏡写真を図3に示す。図3の右側が空気側であり、左側が基材に近い側である。(A)成分が高濃度に存在する層と、(B)成分が高濃度に存在する層とが連続した二層を形成している様子がわかる。
また、(A)成分が高濃度に存在する低屈折率層のみの厚さは、通常0.05〜0.2μmの範囲内、好ましくは0.05〜0.15μmの範囲内である。(B)成分が高濃度に存在する高屈折率層のみの厚さは、通常0.05〜0.9μmの範囲内、好ましくは0.05〜0.5μmの範囲内である。
また、硬化膜の低屈折率部分における屈折率は、例えば、1.30〜1.50であり、高屈折率部分における屈折率は、1.55〜1.70である。
本発明の硬化膜は、基材1の上に、必要に応じて、ハードコート層2が形成され、この上に、本発明の硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、硬化させることにより、一の塗膜から、(B)成分が高濃度に存在する高屈折率層3と、(A)成分が高濃度に存在する低屈折率層4が形成され、同時に、(A)成分が高濃度に存在する低屈折率層4中に、(E)成分のシリカ粒子5が存在している。このようにして形成された二層の電子顕微鏡写真を図4に示す。図4の左側が空気側であり、右側が基材に近い側である。(E)成分のシリカ粒子を含み、かつ(A)成分が高濃度に存在する層と、(B)成分が高濃度に存在する層とが連続した二層を形成している様子がわかる。
本発明の積層体は、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる二層以上の層構造を有する硬化膜を、積層構造の一部とする積層体である。本発明の積層体を構成する基材層以外の任意の二以上の隣接層は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化膜として製造することができる。
本発明の積層体は、例えば、基材が透明基材の場合には、最外層(基材から最も遠い層)に低屈折率層を設けることにより、優れた反射防止膜となる。本発明の積層体は、反射防止膜の他にも、例えば、レンズ、選択透過膜フィルター等の光学用部品に使用できる。
反射防止膜の具体的層構成は、特に限定されるものではない。通常は、基材上に、少なくとも、高屈折率膜、及び低屈折率膜をこの順に積層することにより反射防止機能を持たせたものである。積層体の層構成の一部には、この他にも、ハードコート層、帯電防止層等を含めることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる硬化膜は、一の工程によって、基材の上に、高屈折率層及び低屈折率層を形成できるため、製造工程の簡略化ができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味している。
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1200g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)346.3g、エチルビニルエーテル93.8g、ヒドロキシエチルビニルエーテル114.6g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープER−30」(旭電化工業株式会社製、固形分濃度15%)427.8g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)20.0g及び過酸化ラウロイル3.0gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体(A−2)を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びメチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という)374gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体(A−2)がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−1)16.0gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−3)のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレート1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性基を含む有機化合物を得た。反応液中の残存イソシアネート量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザーの吸収ピーク及び原料イソシアネート化合物に特徴的な2260カイザーの吸収ピークが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザーのピーク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザーのピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、下記式(20)及び(21)で示される化合物が合計で773部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している組成物(S−1)を得た。
製造例3で合成した特定有機化合物を含む組成物(S−1)4.0部、メチルエチルケトンシリカゾル(MEK−ST―L、日産化学工業製、数平均粒子径0.04μm、シリカ濃度30%)91.3部(固形分27.4部)、イソプロパノール0.2部及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで無色透明の粒子分散液(E−1)を得た。粒子分散液(E−1)をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35質量%であった。
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例3と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、下記式(22)で示される化合物が75部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している混合物(D−1)を得た。
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1600g、ヘキサフルオロプロペン405.0g、エチルビニルエーテル32.0g、ヒドロキシエチルビニルエーテル99.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)24.0g及び過酸化ラウロイル4.0gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで1−ビニロキシヘプタフルオロデカン330.0gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.2×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度30%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い740gの含フッ素重合体(A−4)を得た。
製造例2において水酸基含有含フッ素重合体(A−2)の代わりに(A−4)を使用した以外は同様の操作を行いエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−5)のMIBK溶液を得た。製造例2と同様に固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル2100g、エチルビニルエーテル61g、ヒドロキシエチルビニルエーテル186g、1−ビニロキシーヘプタデカフルオロデカン621g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープER−30」(旭電化工業株式会社製、固形分濃度15%)1200g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)45g及び過酸化ラウロイル8gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン760gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度29%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い1500gの含フッ素重合体(A−6)を得た。
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)506g、ヒドロキシエチルビニルエーテル151g、1−ビニロキシ−ヘプタデカフルオロデカン93g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製、固形分濃度15%)150g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)23g及び過酸化ラウロイル4gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去し、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度30%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い720gの含フッ素重合体(A−7)を得た。
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量10リットルのセパラブルフラスコに、製造例8で得られた水酸基含有含フッ素重合体(A−6)を680g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.1g及びMIBK4800gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体(A−6)がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−1)162gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート1.7gを添加して反応を開始し、温度を55〜65℃に保持して5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−8)のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15%であった。
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例9で得られた水酸基含有含フッ素重合体(A−7)を20g、MIBK180g、ジメチルアニリン5gを仕込み、室温で溶液が均一になるまで攪拌を行った。次いで、アクリル酸クロライド3.8gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、温度を55〜65℃に保持し12時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、10%アンモニア水を8g滴下した。こうして得られた反応混合溶液をメタノールと水の混合溶液(混合比メタノール:水=9:1)1リットルに投入しポリマーを沈殿させた。貧溶媒をデカンテーションで取り除き、MIBK200gを加えて溶液が均一になるまで攪拌し、その後無水硫酸マグネシウム2gを加え、さらに1時間攪拌した。一晩放置後、無水硫酸マグネシウムをろ別してエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−9)のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、10%であった。
製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体(A−2)4.75g(重合性基含有フッ素重合体として4.75g)、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(A−BPEF、新中村化学工業製)4.75g、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.05g、MIBK115gを加え攪拌した。得られた硬化性樹脂組成物の固形分濃度は8%であった。
製造例2で得られたアクリロイル基含有含フッ素重合体(A−3)のMIBK溶液31.7g(重合性基含有フッ素重合体として4.75g)、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(A−BPEF、新中村化学工業製)4.75g、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.05g、MIBK88.1gを加え攪拌した。得られた硬化性樹脂組成物の固形分濃度は8%であった。
各成分を表1〜5に示す割合で配合した以外は実施例1〜2と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。実施例7〜13では、製造例2においてMIBKの代わりに表3に記載の各希釈溶剤を使用して、アクリロイル基含有含フッ素重合体(A−3)を合成した以外は製造例2と同様に製造されたアクリロイル基含有含フッ素重合体(A−3)を用いることにより、各実施例に示された希釈溶剤を用いた硬化性樹脂組成物を得た。
シリカ粒子ゾル(MEK−ST、日産化学工業製、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)98.6g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.2g、多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(U−6HA、新中村化学工業製)33.2g、シクロヘキサノン7gを混合攪拌し、シリカ粒子含有ハードコート層用組成物を得た。このシリカ粒子含有ハードコート層用組成物を、ワイヤーバーコータ(#12)を用いて、トリアセチルセルロースフィルム(LOFO製、膜厚80μm)に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cm2の光照射条件で紫外線を照射することにより、ハードコート層を形成した。ハードコート層の膜厚を触針式膜厚計にて測定したところ5μmであった。
得られた硬化膜について、下記特性を評価した。得られた結果を表1〜5に示す。
(1)外観
前記の方法によって得られた硬化膜を蛍光灯下にて目視で、異物によるブツや塗布ムラによる虹模様等の外観上の欠陥を、以下の基準で評価した。
◎:硬化膜にブツや塗布ムラが全く認められない。
○:硬化膜にブツや塗布ムラがわずかに認められるものの、使用上の問題が無い。
△:硬化膜にブツや塗布ムラが認められる。
×:硬化膜にブツや塗布ムラが多く認められる。
得られた積層体における濁度(Haze値)を、Haze計を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:Haze値が0.5%以下である。
○:Haze値が1%以下である。
△:Haze値が3%以下である。
×:Haze値が3%を超える。
得られた反射防止用積層体の反射防止性を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から、反射防止性を、以下の基準で評価した。
◎:反射率が1%以下である。
○:反射率が2%以下である。
△:反射率が3%以下である。
×:反射率が3%を超える。
硬化膜のスチールウール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で評価した。
◎:硬化膜に剥離や傷が全く認められない。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
硬化膜の布耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、ベンコット(S−2、旭化成社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重1kgの条件で100回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で評価した。
◎:硬化膜に剥離や傷が全く認められない。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
硬化膜の薬品耐性テストを次に示す方法で実施した。得られた反射防止膜上に3%水酸化ナトリウム水溶液、1%塩酸、エタノール、MEK、ガラスマイペット(花王製)をそれぞれ1滴滴下し、室温で30分間放置した。その後、ベンコット(S−2、旭化成社製)で薬液を拭取り、室温で3分間乾燥させた。そして、滴下した痕を目視にて、以下の基準で評価した。
○:いずれの薬品でも硬化膜の剥離や傷が全く認められない。
△:1種類以上の薬品で硬化膜の剥離や傷が認められる。
×:すべての薬品で硬化膜の剥離や傷が認められる。
硬化膜の防汚性テストを次に示す方法で実施した。得られた反射防止膜上に指紋を付着させ、ベンコット(S−2、旭化成社製)で指紋を拭取った。拭取り跡を目視にて、以下の基準で評価した。
○:指紋が完全に拭取れる。
△:指紋がわずかに残る。
×:全く指紋が拭取れない。
上記(3)反射率の測定で得られた反射率曲線よりC光源による角度10°からの色空間の値(b*)により、以下の基準で評価した。
◎:b*が−5以下
○:b*が−5を超え−8以下
△:b*が−8を超え−10以下
×:b*が−10以上
(A)成分:
水酸基含有含フッ素重合体A−2(製造例1で製造)
アクリロイル基含有含フッ素重合体A−3(製造例2で製造)
アクリロイル基含有含フッ素重合体A−5(製造例7で製造)
(B)成分:
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学製A−BPEF)
ビスフェノールA EO変性ジアクリレート(サートマー製SR−349)
臭素化ビスフェノールAエポキシジアクリレート(日本ユピカ製ネオポール8330)
ビスフェノールAエポキシアクリレート(日本ユピカ製ネオポール8332)
フルオレンとビスフェノールAとの共重合体のエポキシアクリレート(日本ユピカ製ネオポール8335)
希釈溶剤((C)成分の有機溶剤を含む):
各溶剤はすべて和光純薬製のものを用いた
(D)成分:
フェノキシエチルアクリレート(第一工業製PHE)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製DPHA)
N−ビニル−2−ピロリドン(東亞合成製M−150)
化合物(D−1)(製造例5で製造)
CN4000(サートマー社製末端アクリルのフッ素オリゴマー)
(E)成分:
アクリル変性シリカ粒子(E−1)(製造例3で製造)
(F)成分:
2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製イルガキュア907)
(G)成分:
両末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン(チッソ社製FM7725、両末端メタクリルアクリルポリジメチルシロキサン、スリップ剤)
本発明の硬化性樹脂組成物、その硬化物は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材等として、特に反射防止膜として好適に用いることができる。
Claims (21)
- 下記成分(A)〜(C):
(A)重合性基を有する含フッ素重合体、
(B)重合性基を有し、硬化後の屈折率が1.55以上となる有機化合物、
(C)ケトン類及びエステル類からなる群から選択される1種以上の有機溶剤、
を有し、全溶剤に占める前記(C)ケトン類及びエステル類からなる群から選択される1種以上の有機溶剤の割合が30質量%以上である硬化性樹脂組成物。 - 前記(A)重合性基を有する含フッ素重合体が、1個のイソシアネート基と1個以上のエチレン性不飽和基とを有する化合物(A−1)と、水酸基を有する含フッ素重合体(A−2)との反応物である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記水酸基を有する含フッ素重合体(A−2)が、下記の構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたとき、(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含有し、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜50,000である請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
(a)下記一般式(1)で表される構造単位。
(b)下記一般式(2)で表される構造単位。
(c)下記一般式(3)で表される構造単位。
若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基、又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基、又はアルコキシカルボニル基を示す]
- 前記水酸基を有するフッ素重合体(A−2)が、上記の構造単位(a)〜(c)の合計100モル部に対して、アゾ基含有ポリジメチルシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10モル部を含む請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
(d)下記一般式(4)で表される構造単位。
- 前記水酸基を有するフッ素重合体(A−2)が、前記構造単位(d)を下記構造単位(e)の一部として含むことを特徴とする請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
(e)下記一般式(5)で表される構造単位。
- 前記水酸基を有する含フッ素重合体(A−2)が、上記の構造単位(a)〜(c)の合計を100モル部に対して、下記構造単位(f)0〜5モル部を含む請求項2〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(f)下記一般式(6)で表される構造単位。
- 前記1個のイソシアネート基と1個以上のエチレン性不飽和基とを有する化合物(A−1)が、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートである請求項2〜6に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合性基を有する有機化合物(B)が、重合性基として1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合性基を有する有機化合物(B)が、下記の構造単位(g)〜(i)のいずれか1種類又は2種類以上を繰り返し単位として有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(g)下記一般式(7)で表される構造単位。
(h)下記一般式(8)で表される構造単位。
(i)下記一般式(9)で表される構造単位。
- 前記(B)重合性基を有する有機化合物が、下記構造式(j)〜(m)で表される、前記構造単位(g)〜(i)のいずれか1種類又は2種類以上を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物(Ba)である請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(j)下記一般式(10)で表される構造単位。
(k)下記一般式(11)で表される構造単位。
(l)下記一般式(12)で表される構造単位。
(m)下記一般式(13)で表される構造単位。
- 前記有機溶剤(C)が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルからなる群から選ばれる1種単独又は2種類以上の混合である請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- さらに、(D)1個以上の重合性基を有する化合物及び/又は1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素化合物を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- さらに、(E)シリカ粒子を含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(E)シリカ粒子が、(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物(S)によって表面処理されている請求項13に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(S)(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物が、(メタ)アクリロイル基に加えて、下記構造式(n)に示す基を有する請求項14に記載の硬化性樹脂組成物。
(n)下記一般式(14)で表される構造単位。
- 前記(S)(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である請求項14又は15に記載の硬化性樹脂組成物。
- さらに、(F)光ラジカル重合開始剤を含有する請求項1〜16のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、二層以上の多層構造を有する硬化膜。
- 前記(A)重合性基を有する含フッ素重合体を主成分とする硬化物からなる1以上の層と、前記(B)重合性基を有し、硬化後の屈折率が1.55以上となる有機化合物を主成分とする硬化物からなる1以上の層からなる二層以上の層構造を有する請求項18に記載の硬化膜。
- さらに、前記(E)シリカ粒子が、実質的に、前記(A)重合性基を有する含フッ素重合体を主成分とする硬化物からなる層に存在する、請求項19に記載の硬化膜。
- 請求項18〜20のいずれか1項に記載の硬化膜を有する積層体。
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