JPWO2006101133A1 - ハンドピース及びそのサックバック防止方法 - Google Patents
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Abstract
Description
術者により把持されるグリップ部の先端部に設けられたヘッド部に翼車を回転自在に収容し、
給気口から噴射された空気によって上記翼車とこれに保持された工具を回転し、
上記翼車と共に回転移動する空気を排気口から排出するハンドピースにおいて、
上記給気口から上記翼車への空気の噴射を停止した後上記翼車が惰性回転する間、
上記翼車と上記排気口との間に介在する側壁部によって上記翼車から上記排気口に向かって移動する空気の流れを阻害し、
上記翼車と共に回転する空気を、上記空気に与えられた遠心力に基づいて、上記翼車の外側に形成された緩衝空間に加圧状態で蓄積し、
上記蓄積された空気を上記ヘッド部に形成された通路を介して上記工具の周囲から大気に放出することを特徴とする。
図1は、本発明に係るハンドピースの全体構成を示す側面図である。この図において、ハンドピース10は、術者が治療する際に手に持つ部分であるグリップ部11を有する。グリップ部11の一端には、空気や水などの媒体を供給する複数の可撓管(図示せず)を内蔵した供給チューブ13が接続される接続部12を有し、他端には、後述するヘッド部15が接続されるネック部14を備えている。
図2に示すように、ヘッド部15の軸部16は、グリップ部11の先端に挿入固定できる大きさと形に加工した断面縮小部22を有する。図3に示すように、軸部16には、切削工具回転機構21に対して動力用の空気を供給するための複数の給気路(給気ノズル)23が形成されている。これら給気路23の一端(図の右側端部)は一つの空気供給管24に接続されており、この空気供給管24が供給チューブ13に内蔵されている空気供給管(図示せず)に接続されている。また、各給気路23の他端側は切削工具20の回転方向(図3の時計回り方向)に向けられており、各給気路23の給気口25から噴出された空気が切削工具20の回転に対して効率良く利用されるようにしてある。図2に戻り、軸部16にはまた、切削工具回転機構21から排出される空気を排出するための排気路26が形成されている。排気路26の一端(図の右側端部)は、ハンドピース10の内部空間27とハンドピース10に形成されている排気孔(図示せず)を介して、大気に連通されている。また、排気路26の他端側(図の左側端部)にある排気口28は、給気口25の下方で、切削工具回転機構21に対向している。
外側ハウジング17の内側には、切削工具回転機構21を収容する内側ハウジング30が装着されている。内側ハウジング30は、図4〜図7に詳細に示すように、上部と下部の開口部31,32において開放された円筒体からなり、内側には下から順番に、複数の円筒空間部、すなわち、工具支持部収容空間33、下部軸受収容空間34、翼車収容空間35、上部軸受収容空間36が、同軸的に形成されている。また、図7に示すように、翼車収容空間35の下部領域及びその近傍領域を形成しているハウジング部分37は、上部の大径空間部38と下部の小径空間部39を有する。そして、上部大径空間部38の輪郭を形成している環状薄肉部40に、その内周面と外周面を貫通する給気口連通孔41が形成されている。また、下部小径空間部39の輪郭を形成している環状厚肉部42を外側から所定深さだけ切削することにより、周方向に所定の長さを有し且つ外側から径方向内側に向かって窪んだ弧状の凹部43と、大径空間部38の径方向内側端部の輪郭を定義する弧状の側壁部44が形成されている。さらに、弧状凹部43の上部は開口部45を介して大径空間部38に連通しており、弧状凹部43の下部は側壁部44の下にある開口部46を介して小径空間部39に連通している。図2のA−A線断面図である図9に示すように、弧状凹部43の下部は、側壁部44の下にある開口部46を介して、小径空間部39の下部タービンブレード部58周囲の空間に連通していることがわかる。このように、外側ハウジング17内に内側ハウジング30が装着された状態で、小径空間部39の下部タービンブレード部58周囲の空間が、排気路26に連通している。
図2に示すように、内側ハウジング30に収容されている切削工具回転機構21は、回転軸19に沿って切削工具20を支持する工具支持部50を有する。工具支持部50は、下端部から所定の深さの穴(工具支持孔)51と、工具支持孔51に挿入された切削工具20を保持するチャック機構(図示せず)を備えており、下部を工具支持部収容空間33に挿入した状態で、下部軸受収容空間34と上部軸受収容空間36に配置されている下部軸受部52と上部軸受部53によって、回転軸19を中心に回転自在に支持されている。実施の形態では、上部軸受部53は、環状の軸受ハウジング54に内装されており、この軸受ハウジング54を介して内側ハウジング30に固定されている。そして、このように支持された工具支持部51に対し、下部の開口部32を介して切削工具20が着脱自在に装着できる。
以上のように構成されたハンドピース10を用いて歯牙の切削を行なう場合、目的の作業に適した切削工具20が選択されて、工具支持部50にその下方から装着される。次に、図示しない加圧空気供給源から供給された加圧空気が複数の給気路23から給気口25及び給気口連通孔41を介して噴射され、ロータ55の上段タービンブレード部57に当てられる。その結果、ロータ55は、図3〜図5に示す矢印65方向に向かう回転力が与えられて回転する。
加圧空気の供給を停止すると、給気口25からロータ55に新たな加圧空気が供給されることはない。しかし、回転中のロータ55は慣性によって引き続き回転を維持する。その結果、ロータ55と共に回転移動する空気は、遠心力の作用に基づいて緩衝空間47に押し込まれ、この緩衝空間47の内部を加圧状態にする。上述のように緩衝空間47はロータ55と共に回転移動する空気が効率良く押し込まれるように方向付けられているので、惰性回転時にあっても緩衝空間47は十分な加圧状態に保たれる。そして、緩衝空間47の加圧空気は、ロータ55の下に回り込み、隙間66,67を介して、外側ハウジング17の下端開口部68及び/又は工具支持部収容空間33から切削工具20の周囲に放出される。したがって、上述した空気の流れにより、切削工具20に付着している異物及び工具の周囲に存在する異物(例えば、唾液や血液、歯牙等の切削粉)が下端開口部68及び/又は工具支持部収容空間33を通じてハウジング17の中に進入することが防止される。
上述の実施形態では、ロータ55と排気口28の対向領域Hの全域に側壁部44を介在させたが、側壁部44は全ての対向領域Hに介在している必要はなく、上述のように、ロータ55の惰性回転時にサックバックを防止できる範囲で、ロータ55と排気口28の一部を直接対向させてもよい。
Claims (7)
- 術者により把持されるグリップ部と、
上記グリップ部の先端部に設けられたヘッド部と、
上記ヘッド部に形成された内空部に回転自在に収容された翼車と、
上記ヘッド部に形成されており、上記翼車に向けて空気を供給するための給気口及び上記翼車に供給された空気を排出するための排気口とを備えたハンドピースにおいて、
上記ヘッド部に形成されており、上記翼車の回転によって遠心力が与えられた空気が送り込まれて加圧状態で蓄積される一つ又は複数の緩衝空間と、
上記緩衝空間に蓄積された加圧空気を上記翼車と共に回転する工具の周囲から大気に放出するための通路と、
上記排気口と上記翼車の間にあって上記翼車から上記排気口に流れる空気に抵抗を与える周方向に存在する側壁部を有することを特徴とするハンドピース。 - 上記緩衝空間は、上記翼車の回転方向に対向する方向に向けて開口されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドピース。
- 上記緩衝空間は、上記翼車の外周端の輪郭円の接線の外側で該接線と約30〜60°の角度を為す方向に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドピース。
- 上記側壁部が上記排気口と上記翼車が対向する領域のほぼ全部を占めていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハンドピース。
- 上記翼車の回転方向に関して、上記排気口の上流側近傍に上記緩衝空間が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハンドピース。
- 上記ヘッド部が、外側ハウジングと、上記外側ハウジングの内側に着脱自在に分離可能に装着されており、上記翼車を収容するための内空部を形成する内側ハウジングとに別体として構成され、上記緩衝空間と上記側壁部が上記内側ハウジングに形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハンドピース。
- 術者により把持されるグリップ部の先端部に設けられたヘッド部に翼車を回転自在に収容し、
給気口から噴射された空気によって上記翼車とこれに保持された工具を回転し、
上記翼車と共に回転移動する空気を排気口から排出するハンドピースにおいて、
上記給気口から上記翼車への空気の噴射を停止した後上記翼車が惰性回転する間、
上記翼車と上記排気口との間に介在する側壁部によって上記翼車から上記排気口に向かって移動する空気の流れを阻害し、
上記翼車と共に回転する空気を、上記空気に与えられた遠心力に基づいて、上記翼車の外側に形成された緩衝空間に加圧状態で蓄積し、
上記蓄積された空気を上記ヘッド部に形成された通路を介して上記工具の周囲から大気に放出することを特徴とするサックバック防止方法。
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