JPWO2006100974A1 - 太陽電池容器用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

透明性、防湿性、耐候性および耐薬品性に優れ、太陽電池用容器の素材として好適な太陽電池容器用樹脂組成物、湿式太陽電池容器用樹脂組成物並びに、該樹脂組成物を成形して得られる湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板を提供する。本発明の太陽電池容器用樹脂組成物は、下記一般式(1)(但し、式中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。R2は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。R3は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。Qは、COOR4(R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。)で表される一種又は二種以上の構造を有する環状オレフィン系重合体を含む。

Description

本発明は、太陽電池用容器の形成材料として好適な太陽電池容器用樹脂組成物並びに、該樹脂組成物を成形してなる湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板に関する。
太陽電池は、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換するものである。この太陽電池としては、エネルギーの変換効率が高く、比較的製造コストが安価である湿式太陽電池が、ビル、道路標識、公共標識、視線誘導標、車止め、照明灯等に広く使用されている。湿式太陽電池は、半導体電極および対極と、電解液を入れる容器と、受光面である透明基板とを有している。これらの2つの電極は、電解液に浸されている。
従来の湿式太陽電池においては、ガラス製透明基板と導電性基板とがスペーサを介して接合され、これらの基板とスペーサによって空隙を形成している。このガラス製透明基板の片面には透明導電膜が形成され、導電性基板の片面には色素増感半導体電極が形成されている。湿式太陽電池は、この透明導電膜と色素増感半導体電極とが空隙内において対向するようにガラス製透明基板と導電性基板とを配置して構成されている。さらに、この空隙には電解液が充填されている。ガラス製透明基板または導電性基板と、スペーサとの接合部においては、外面から樹脂を塗布して空隙内部を封止している。この封止用樹脂としては、電解液に含まれる溶媒に溶解し難い樹脂が用いられている。
しかしながら、このような従来の湿式太陽電池においては、電解液が、透明基板とスペ−サとの隙間や導電性基板とスペ−サとの隙間を通ってにじみ出てくることがあった。この場合、電解液と封止樹脂とが接触し樹脂が徐々に溶解する。つまり、電解液は、電解液成分として溶媒のアセトニトリル等を含んでいるため、封止樹脂を溶解してしまう。このような状態が長期間継続すると、封止樹脂が溶解してしまい、充填されていた電解液が漏れ出てしまうことがあった。このように、従来の湿式太陽電池においては、長期間安定して電解液を封止することは困難であった。
特許文献1には、透明性薄状フィルムとして、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルフォンを用いたフレキシブルな湿式太陽電池とその製造方法が開示されている。しかしながら、これらの樹脂は耐薬品性、防湿性、透明性が十分でない。また、特許文献2には、透明基板と周囲よりわずかに低い段差部分(いわゆる凹部、くぼみ)を有する導電性基板を接合することにより形成された隙間に電解液を有する、湿式太陽電池およびその製造方法が開示されている。しかしながら、透明基板としてガラスを使用していることから、得られる湿式太陽電池の重量が重く、小型化や加工性において改良すべき点があった。
また、特許文献3には、環状オレフィン系重合体、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤を含む樹脂組成物から形成された容器が記載されているが、太陽電池用容器や太陽電池用透明基板に適用した例は記載されていない。
特開平11−288745号公報 特開平11−307141号公報 特開平7−216152号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、透明性、防湿性、耐候性、および耐薬品性等に優れ、太陽電池用容器の素材として好適な太陽電池容器用樹脂組成物並びに、該樹脂組成物を成形してなる湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の環状オレフィン系重合体を含む太陽電池容器用樹脂組成物によれば、紫外線による劣化や、使用時における着色や、さらに機械的強度の低下等を抑制することができることを見出した。さらに、湿式太陽電池に使用される電解液に対する耐薬品性に優れることから、電解液を長期間にわたり安定して内包することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記一般式(1)
(化1)
Figure 2006100974
(但し、式中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。
1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
Qは、COOR(Rは、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。)
で表される一種又は二種以上の構造を有する環状オレフィン系重合体を含む、太陽電池容器用樹脂組成物である。
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物は、透明性、防湿性、耐候性、および耐薬品性等に優れ、湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板として好適に使用することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
本発明の湿式太陽電池を模式的に示した断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[環状オレフィン系重合体]
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、下記一般式(1)
(化2)
Figure 2006100974
(但し、式中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。
1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
Qは、COOR(Rは、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。)で表される一種又は二種以上の構造を有する重合体である。
一般式(1)中の各記号については、次のような好ましい条件を挙げることができ、これらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
[1]R1は、構造中に少なくとも1箇所の環構造を持つ基である。
[2]R3は、このRを含む構造単位の例示(n=0の場合)として、例示構造(a),(b),(c);
(化3)
Figure 2006100974
(式中、R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。)である。
[3]nが0である。
[4]y/xが、それぞれモル基準で、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。
[5]R2は、水素原子または−CH3であり、複数存在するRは、同一でも異なっていてもよい。
[6]Qが、−COOHまたは、−COOCH3基である。
環状オレフィン系重合体として、好ましくは、下記一般式(2)で表される一種または二種以上の構造からなり、上記のような好ましい条件を必要に応じ組み合わせて用いられる。
(化4)
Figure 2006100974
(式中、R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
2は、水素、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
x,yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5、好ましくは10/90≦y/x≦90/10を満たす実数である。x,yはモル基準である。)
前記一般式(2)中の各記号については、次のような最も好ましい条件をさらに挙げることができ、これらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
[1]R1基が、一般式(3);
(化5)
Figure 2006100974
(式中、pは、0乃至2の整数である。)で表される二価の基である。さらに、好ましくは、前記一般式(3)においてpが1である二価の基である。
[2]R2は、水素原子である。
これらの中でも、これらを組み合わせた態様として、環状オレフィン系重合体が、エチレンと、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、TDと略す)とのランダム付加重合によって得られる重合体であることが好ましい。
さらに、環状オレフィン系重合体が付加重合体である場合においては、エチレン由来の構成単位の含有量は、好ましくは50〜90モル%である。
環状オレフィン系重合体が環状オレフィンの開環重合体である場合には、上記一般式(1)中の各記号については、次のような好ましい条件を挙げることができ、これらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
[1]R1は、構造中に少なくとも1箇所の環構造を持つ基である。
[2]R3は、このRを含む構造単位の例示(n=0の場合)として、少なくとも上記例示構造(b)を含む。
[3]nが0である。
[4]y/xが、それぞれモル基準で、好ましくは0/100≦y/x≦80/20、さらに好ましくは0/100≦y/x≦50/50を満たす実数である。
[5]R2は、水素原子または−CH3であり、複数存在するRは、同一でも異なっていてもよい。
[6]Qは、−COOR(Rは、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)で表され、複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
環状オレフィン系重合体である環状オレフィンの開環重合体として、好ましくは、下記一般式(4)で表される一種または二種以上の構造からなり、上記のような好ましい条件を必要に応じ組み合わせて用いられる。
(化6)
Figure 2006100974
なお、x回繰り返される単量体由来の構成単位同士が結合する場合は、これらの構成単位同士は二重結合を介して結合する。
前記一般式(4)中の各記号については、次のような最も好ましい条件をさらに挙げることができ、これらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
[1]R1基は、下記例示のいずれかである。
[2]R基は、水素原子である。
(化7)
Figure 2006100974
なお上記例示において、1または2の番号が附された炭素原子は、一般式(4)における炭素原子に結合する炭素原子を示している。また、これらの例示構造の一部に、アルキリデン基を有していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることができる。
これらの中でも、これらを組み合わせた態様として、環状オレフィンの開環重合体が、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン:DCPD)の開環重合によって得られる重合体であることが好ましい。
環状オレフィン系重合体が、環状オレフィンの開環重合体の水素添加物である場合には、上記開環重合体の二重結合の一部または全部を、例えば従来公知の水素化触媒の存在下に水素化することで飽和させることにより水素添加物を得ることができる。
(重合のタイプ)
また、重合のタイプは本発明において全く制限されるものではなく、付加重合、開環重合等の公知の様々な重合タイプを適用することができる。付加重合としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合等を挙げることができる。本発明においては、耐候性向上の観点からランダム共重合体を用いることが好ましい。
(主鎖の一部として用いることのできるその他の構造)
また本発明で用いられるポリマーは、本発明の成形方法によって得られる製品の良好な物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は限定されないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であり、それ以上共重合させた場合、耐熱性が十分でなくなる傾向がある。また、共重合の種類は限定されないが、ランダム共重合体が好ましい。
(重合体の分子量)
本発明で使用する環状オレフィン系重合体の分子量は限定されるものではないが、分子量の代替指標としてメルトフローレート(MFR;ASTM D1238に準じて、温度260℃、荷重2.16kgにて測定)を用いた場合、好ましくは0.01〜150g/10分、さらに好ましくは0.1〜100g/10分であり、最も好ましくは0.5〜70g/10分である。
MFRが0.01g/10分以上であれば、良好な成形性を得ることができ、また、150g/10分以下であれば、靭性などの機械物性を損なうことがなく好ましい。つまり、MFRが上記範囲内にあれば、成形性と靭性などの機械物性とのバランスに優れる。
(ガラス転移温度)
環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、好ましくは80℃〜190℃、さらに好ましくは105℃〜180℃、特に好ましくは105℃〜160℃である。環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、環状オレフィン系重合体が付加重合体である場合においては、エチレン由来の構成単位の含有量を適宜選択することにより調製することができる。
ガラス転移温度が80℃以上であれば、良好な耐熱性を得ることができる。また190℃以下であれば良好な成形性を得ることができる。つまり、ガラス転移温度が上記範囲内にあれば、耐熱性と成形性とのバランスに優れる。
特に、ガラス転移温度が105℃〜180℃の範囲にあると、特に機械特性に優れるため、湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板として好適に使用することができる。
本発明で使用される上記の環状オレフィン系重合体は、高い透明性を有することから光エネルギーを電気エネルギーに変換する湿式太陽電池の受光面に設置される透明基板や容器として好適に使用することができる。
また、本発明の環状オレフィン系重合体は防湿性に優れ、水分の吸湿による湿式太陽電池容器内の半導体電極や電解液の劣化を防止することができる。
さらに環状オレフィン系重合体は、湿式太陽電池の電解液を構成する溶媒および電解質に対する耐薬品性に優れ、特に電解液が接触する湿式太陽電池用容器や湿式太陽電池用透明基板を形成する材料として好適に使用することができる。上記溶媒としては、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ジエチルカーボネイト、メチルエチルカーボネイトなどのカーボネイト化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエトキシエタンなどのエーテル化合物、各種アルコール類、γ−ブチルラクトン、アセトニトリル、シクロヘキサノンなどが用いられる。また、電解質としては、通常、ヨウ素分子(I)とヨウ化物等の組み合わせからなる。ヨウ化物としては、LiI、NaI、KI、CaIなどの金属ヨウ化物、テトラアルキルアイオダイド、ピリジニウムアイオダイド、イミダジリウムアイオダイドなどの四級アンモニウム塩のヨウ化物等が挙げられる。
[環状オレフィン系重合体の製造方法]
環状オレフィン系重合体は、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭61−272216号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平7−324108号公報、特開平9−176397号公報などに記載されている方法に従い、適宜条件を選択することにより製造することができる。
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物は、上記の環状オレフィン系重合体を含有しているため、透明性、防湿性、耐候性および耐薬品性に優れる湿式太陽電池用容器または湿式太陽電池用透明基板を得ることができる。さらに長期間の耐候性が必要な場合には、以下の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を添加することができる。
[紫外線吸収剤]
本発明で用いられる紫外線吸収剤としては、紫外線による樹脂の劣化防止および、紫外線吸収剤を含む樹脂を成形して得られる容器により紫外線を遮蔽して、該内容物の変質を防止できるものであれば良く、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物またはベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
具体的には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類;
2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',5'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)]ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(3'',4'',5'',6''-テトラヒドロフタロイド-メチル)-5'-メチルフェニル]-ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]などのベンゾトリアゾール類;
メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、フェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサリシレート、2,4-ジ-t-ブチルフエニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;
2,2'-チオビス(4-t-オクチルフェノール)Ni塩、[2,2'-チオビス(4-t-オクチルフェノラート)]-n-ブチルアミンNi塩、(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホン酸モノエチルエステルNi塩、(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホン酸モノオクチルエステルNi塩、ジブチルジチオカルバメートNi塩などのニッケル化合物類;
α-シアノ-β-メチル-β(p-メトキシフェニル)アクリル酸メチル、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸メチルなどの置換アクリロニトリル類;
N-2-エチルフェニル-N'-2-エトキシ-5-t-フエニルシュウ酸ジアミド、N-2-エチルフエニル-N'-2-エトキシフェニルシュウ酸アミドなどのシュウ酸ジアニリド類などが挙げられる。
これらのうちでも、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、2-ヒドロキシ-4-n- オクトキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールが好ましく用いられる。また、これらは2種以上組み合わせて用いることもできる。
[ヒンダードアミン系光安定剤]
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤としては、下記のような化合物が挙げられる。
具体的には、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス-(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、ビス-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、1,1'-(1,2-エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β, β',β'-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5) ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β, β',β'-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5) ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ポリ[6-N-モルホリル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミド]、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの縮合物、[N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなどが挙げられる。
これらのうちでも、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6-(1,1,3,3- テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5- トリアジン-2-4- ジイル][(2,2,6,6- テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ]、テトラキス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス-(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(3,5- ジ-t-ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、1,1'-(1,2-エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル/β, β, β',β'-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5) ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4- ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジル/β,β, β',β'-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10- テトラオキサスピロ(5,5) ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4- ブタンテトラカルボキシレート、N,N'-ビス(3- アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4- ビス[N- ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ポリ[6-N-モルホリル-1,3,5- トリアジン-2,4- ジイル][(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) イミノ]、N,N'-ビス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの縮合物、[N-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)-2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル) イミノ]プロピオンアミドが好ましく、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル}ブチルマロネートが好ましく用いられる。また、これらは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
[太陽電池容器用樹脂組成物]
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物は、上記の環状オレフィン系重合体を含有しているため、透明性、防湿性、耐候性および耐薬品性に優れる。そのため、太陽電池用容器等のうちでも湿式太陽電池用容器または湿式太陽電池用透明基板に好適に用いることができる。
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物において、上記のように環状オレフィン系重合体に、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤を含む場合、環状オレフィン系重合体100質量部に対して、紫外線吸収剤を、0.01〜2.0質量部、さらに0.05〜1.0質量部の量で含有していることが好ましく、ヒンダードアミン系光安定剤を、0.01〜2.0質量部、さらに0.05〜1.0質量部の量で含有していることが好ましい。また、この紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤とは、適宜の割合で含有されていてよいが、通常「紫外線吸収剤」:「ヒンダードアミン系光安定剤」(質量比)が1:99〜99:1、好ましくは10:90〜90:10、さらに20:80〜80:20であることが望ましい。
また、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、例えば2-ヒドロキシ-4-n- オクトキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールおよび、ヒンダードアミン系光安定剤として例えば、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル}ブチルマロネートを併用して樹脂に添加することで、より効果的に樹脂の劣化を防止する効果を得ることができる。
環状オレフィン系重合体のガラス転移温度が高い場合(105℃〜180℃)、この環状オレフィン系重合体を含む樹脂組成物から成形される湿式太陽電池用容器等において、上記効果が得られるとともに機械特性にも優れる一方で、若干の耐候性の劣化が認められることがあった。本発明者はこのような課題を発見し、さらに鋭意研究したところ、ガラス転移温度が高い環状オレフィン系重合体と、特定の紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを組み合わせて用いることにより、耐候性に優れた湿式太陽電池用容器等を得ることができることを見出した。
特定の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物を挙げることができ、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールを用いることが好ましい。一方、ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル}ブチルマロネートを挙げることができる。ガラス転移温度が高い環状オレフィン系重合体を、これらと併用することにより、耐候性にも優れた湿式太陽電池用容器等を得ることができる。
上記のような紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤とを含む環状オレフィン系重合体からなる太陽電池容器用樹脂組成物は、紫外線遮蔽効果および耐侯性に優れ、長期間太陽光などに晒される場合にも成形体の強度低下および着色(変色)などを効果的に防止することができ、特に湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板に好適に使用することができる。
また本発明では、環状オレフィン系重合体に、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の任意成分として、例えば添加剤、酸化防止剤、架橋剤、架橋助剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックス、充填材などを含有していてもよい。
このような任意成分としては、より具体的にたとえば、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2'-オギザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪族金属塩、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール脂肪族エステルなどが挙げられる。
これらは2種以上組み合わせて用いてもよく、たとえばテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムとを組合わせて用いることができる。
無機および有機充填材としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カリウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどが挙げられる。
また任意成分としては、本発明の目的を損なわない範囲の量の高分子材料たとえばポリアミド、ポリエステルなどを含んでいても良い。
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物は、上記のような各成分から従来公知の樹脂組成物を調製する方法により調製することができる。具体的には、例えば環状オレフィン系重合体、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤、さらに必要に応じて上記の他の任意成分を、押出機、ニーダー、ロールなどで機械的にブレンドする方法、これら各成分を適当な良溶媒例えば、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などに溶解し、またはそれぞれ別々に溶解し混合した後、溶媒を除去する方法、これらを組み合わせた方法により調製することができる。
このような太陽電池容器用樹脂組成物から作製される厚さ3mmの成形体は、波長400nmにおける光線透過率が、70%以上、好ましくは70%〜99%、さらに好ましくは75%〜95%の範囲内にある。一方、波長800nmにおける光線透過率は、80%以上、好ましくは80%〜99%、さらに好ましくは85%〜95%の範囲内にある。なお、波長400nm〜800nmのいずれの波長においても、光線透過率はいずれも、75%〜95%の範囲にあることが好ましい。上記波長における光線透過率が上記の範囲にあれば、太陽電池容器用樹脂組成物から得られる湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板は可視光領域における光線透過性に優れるため、発電効率に優れた湿式太陽電池を得ることができる。
また、太陽電池容器用樹脂組成物から作製される試験片(ASTM D790に準拠)は、ブラックパネル温度63℃、槽内温度42〜48℃、光照射時間120分およびウォーターシャワー18分のサイクル、2000時間の条件下で耐候性試験を行った場合に、ASTM D790に準拠して測定された該試験片の曲げ強度の耐候性試験前後における保持率が、好ましくは50%〜100%、さらに好ましくは60%〜100%、特に好ましくは85%〜99%である。なお、曲げ強度の保持率は、
式:(耐候性試験後の曲げ強度/耐候性試験前の曲げ強度)×100
により算出される。曲げ強度保持率が上記の範囲にあれば、太陽電池容器用樹脂組成物から得られる湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板は太陽光などに晒される場合にも成形体の強度低下を有効に防止することができ、耐候性に優れた湿式太陽電池を得ることができる。
[湿式太陽電池]
本発明の湿式太陽電池を図1に示す。
湿式太陽電池10は、開口部を有し、内部に電解液13が収容される湿式太陽電池用容器16と、前記開口部の一部を少なくとも覆うように設けられた湿式太陽電池用透明基板11と、湿式太陽電池用容器16と湿式太陽電池用透明基板11とによって形成される空間内において対向する一対の電極(透明電極層12および半導体電極18)と、を備える。
湿式太陽電池用透明基板11は、本発明の太陽電池容器用樹脂組成物を成形して得られ、耐候性、水蒸気透過性、ガスバリアー性に優れる。湿式太陽電池用透明基板11は、湿式太陽電池の受光面に配される基板であり、少なくとも一方の面に透明な導電膜を形成する等して太陽電池を構成する。太陽電池を構成する透明基板に対しては、光エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換するには透明であるとともに、特定の波長領域における光線透過性が求められる。その一方で、紫外線に対して長期間に渡り劣化することなく、また透明性を維持できることが必要である。また湿式太陽電池で使用される電解液に接触する場合は、該電解液に対する耐薬品性に優れる必要があり、従来、一般的にはガラスが使用されている。
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物から得られる基板は、上記の条件を満足するものであり、湿式太陽電池用透明基板として好適に使用することができる。さらに、ガラスに比べて極めて軽量な透明基板を得ることができる。
湿式太陽電池用透明基板11は、本発明の太陽電池容器用樹脂組成物を用いて従来公知の方法で成形することができ、例えば、加圧加熱成形法、押出成形法、インフレーション成形法などの成形方法が挙げられる。なお、湿式太陽電池用透明基板11の厚さは、特に限定されない。
電極層(透明導電極)12は、導電性、光の透過性(紫外光から可視光の波長における光の透過性)に優れることが好ましい。例えば、SnO、ITO、ZnOなどの薄膜層を用いることができる。薄膜層を成形する方法としては、蒸着法、PVD法、塗布法などを用いることができるが、特にスパッタリング法により形成することが、生産性にも寄与する。
電解質溶液(電解液)13としては、ヨウ素電解質溶液、ゲル電解質、固体電解質などを使用することができる。ゲル電解質は、物理ゲルと化学ゲルに大別され、物理ゲルは、物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものであり、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレートが挙げられる。化学ゲルは、架橋反応により化学結合でゲルを形成するものであり、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系が挙げられる。固体電解質液としては、ポリピロール、Culが挙げられる。ゲル電解質、固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆体を酸化物半導体膜に含浸させ、加熱、紫外線照射、電子線照射などの手法で二次元、または三次元の架橋反応を起させることにより、ゲル化または固体化することができる。ヨウ素電解質溶液を使用した場合、酸化還元反応が迅速に行われ、光電変換効率を上げることができる。また、ゲル電解質、固体電解質を用いた場合、液漏れすることが無く、安全性、耐久性を向上させることができる。
半導体電極18は、酸化物半導体膜14と裏面電極層15とからなる。酸化物半導体膜14は、粒子径0.1nm〜10μmの酸化物微粒子に光拡散能の高い微粒子が混合された混合微粒子を焼成してなる。酸化物微粒子と光拡散能の高い微粒子とで形成された酸化物半導体膜は、高度の多孔質膜を形成し、内部の実表面積が大きくなり、内部の表面にも色素増感剤が担持されるため、入射した光が光拡散能の高い微粒子により拡散され、光の利用効率を高めることができる。発電層は、酸化物半導体膜に担持された色素増感剤と、酸化物半導体膜に含浸された電解質溶液とで形成される。
裏面電極層15は、例えば、白金ペーストまたはカーボンペーストをパターン状に塗布、乾燥して形成される。酸化物半導体膜14は、裏面電極層15上に形成されている。
本発明の湿式太陽電池用容器16は、湿式太陽電池10を構成する半導体電極および電解液13を収納する容器である。そのため、有機溶媒を含む電解液に対する耐薬品性に優れるとともに、電解質が漏れることがなく長期間安定的に内容物を封止できる容器であることが必要である。また、湿式太陽電池10は、特定の波長の光を吸収し起電力が生じる。これに対応して、特定の波長の光に対して、優れた光線透過性を有していることが好ましい。また、家やビル、道路標識、公共標識、視線誘導標、車止め、照明灯など屋外に設置されることから、紫外線により容器が劣化することなく、また紫外線を遮蔽することで内容物の変質を防止できることが必要である。
本発明の太陽電池容器用樹脂組成物は、紫外線により劣化し難く、また該樹脂組成物を成形して得られる容器は、特定の波長の光に対して優れた光線透過性を示すとともに、紫外線遮蔽性に優れる。そのため、太陽電池用容器に用いた場合、発電効率に優れ、さらに内容物の変質および劣化を防止することができ、湿式太陽電池用容器として好適に使用することができる。さらに、耐候性、水蒸気透過性、ガスバリアー性に優れ、さらに電解質溶液に対する耐薬品性(耐電解質溶液性)に優れる。
本発明の湿式太陽電池用容器16は、上記の太陽電池容器用樹脂組成物を、その目的となる容器の形状に合わせて、従来公知の方法で成形することができ、例えば、加圧加熱成形法、押出成形法、インフレーション成形法、ダイレクトブロー法、インジェクションブロー法、射出成形法、一旦チューブ類に押出成形した後所定形状に成形する方法、シート状に成形した後、所定形状に真空または圧空成形する方法などが挙げられる。
電極接続部17は、導電性の接続部であり、容器16を直列に接続する。これにより、容器(セル)が所定の間隔で並ぶ。なお、図示しないが、容器と容器の間の部分は、非導電性の隔壁が設けられる。
この湿式太陽電池10は、通常の方法にしたがって製造することができる。
(実施例)
本発明を以下に実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。本発明において、各物性は以下の方法で測定された。
(1)メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重2.16kg、または温度280℃、荷重2.16kgにて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
(3)耐候性
サンシャインウエザロメーター(形式:WEL−SUN−DCH−BEN(スガ試験機(株)製)、光源:サンシャインカーボンアーク)内に、射出成形で得られた130mm×60mm×厚さ2mmの試験片、および曲げ試験片(ASTM D790)をセットして、ブラックパネル温度63℃、槽内温度42〜48℃、光照射時間120分およびウォーターシャワー18分のサイクル条件下で、耐候性試験を行なった。耐候性試験前後での、試験片の色相変化(△E)、曲げ試験片の曲げ強度を評価した。色相変化は、JIS Z8730 1968に準拠して測定し、曲げ強度は、ASTM D790に準拠して測定した。
なお、曲げ強度保持率は、(耐候性試験後の曲げ強度/耐候性試験前の曲げ強度)×100、により算出した。
(4)吸水率
射出成形で得られた65mm×60mm×厚さ2mmの試験片を作製し、JIS K7204に準拠して、温度23℃、24時間の条件下での吸水率を測定した。
(5)光線透過率
長さ65mm、幅35mm、厚み3mmの射出成形角板を作製し、紫外・可視分光光度計(日立製作所製)U−4100にて、波長400nm〜800nmにおいて光線透過率を測定した。代表的な測定波長である、400nm、500nm、600nm、700nm、800nmの光線透過率を示した。なお、波長400nm〜800nmにおいて波長が長くなるにつれて、光線透過率も増加することが認められた。
(6)耐薬品性
射出成形で得られた65mm×60mm×厚さ2mmの試験片を、温度23℃の試験対象の薬品に168時間浸漬した後、試験片の溶解、膨潤などの形状変化の有無を目視にて確認して、浸漬後で形状変化がなく使用上問題ないと判断できる場合を、「○」、溶解あるいは膨潤などの形状変化がある場合は「×」とした。
尚、試験対象の薬品としては、(i)アセトニトリル、(ii)プロピレンカーボネイト、(iii)イソプロパノールを使用した。
[実施例1]
ガラス転移温度125℃、MFRが15g/10分のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部を、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM−45)を使用して、シリンダー温度230℃、ダイス温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混合し、ペレタイザーにてペレット化を行った。得られたペレットを用いて、射出成形機(東芝(株)製IS−55)にて耐候性試験の色相変化、吸水率および耐薬品性評価用の試験片、耐候性試験の曲げ強度評価用の曲げ試験片を調製して各物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
ガラス転移温度125℃、MFRが15g/10分のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部、紫外線吸収剤(TINUVIN326:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.2質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ガラス転移温度125℃、MFRが15g/10分のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を100質量部、紫外線吸収剤(TINUVIN326:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)を0.1質量部およびヒンダードアミン系光安定剤(Sanol LS−770:三共(株)製)を0.1質量部使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
ガラス転移温度80℃、MFRが30g/10分のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部、紫外線吸収剤(UVINUL MS−40:BASF(株)製)0.1質量部およびヒンダードアミン系光安定剤(Sanol LS−770:三共(株)製)0.1質量部を使用し、シリンダー温度210℃、ダイス温度210℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
ガラス転移温度105℃、MFRが22g/10分のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部のみ使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
ガラス転移温度145℃、MFRが7g/10分、エチレン含有量60モル%のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部、および紫外線吸収剤(TINUVIN326:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を0.3質量部使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例7]
ガラス転移温度145℃、MFRが7g/10分、エチレン含有量60モル%のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部、およびヒンダードアミン系光安定剤(TINUVIN144:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を0.3質量部使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
ガラス転移温度145℃、MFRが7g/10分、エチレン含有量60モル%のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体100質量部、および紫外線吸収剤(TINUVIN326:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を0.3質量部、およびヒンダードアミン系光安定剤(TINUVIN144:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を0.3質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
ガラス転移温度105℃、MFRが20g/10分(280℃、2.16kg)のジシクロペンタジエンの開環重合体の水素添加物(ゼオノア1020R(製品名、日本ゼオン(株)製))を100質量部使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例10]
ガラス転移温度105℃、MFRが20g/10分(280℃、2.16kg)のジシクロペンタジエンの開環重合体の水素添加物(ゼオノア1020R(製品名、日本ゼオン(株)製))100質量部、紫外線吸収剤(TINUVIN326:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)を0.1質量部、およびヒンダードアミン系光安定剤(Sanol LS−770:三共(株)製)を0.1質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例1]
ポリカーボネイト樹脂(パンライト:帝人化成(株)製)100質量部のみを使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。耐薬品性試験でアセトニトリル、プロピレンカーボネイトに対して著しい形状変化が認められ、また吸水率も0.2%と高い値であった。結果を表3に示す。
[比較例2]
ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂(テオネックス:帝人化成(株)製)100質量部のみを使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価した。吸水率が0.15%と高い値であり、曲げ強度保持率(1000時間後)も77%と低い値であった。さらに、波長400nmに対する光線透過率が35%と低い値であった。結果を表3に示す。
[比較例3]
ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂(PES:三井化学(株)製)100質量部のみを使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製して、各物性を評価したところ、耐薬品性試験において、アセトニトリル、プロピレンカーボネイトに対して著しい形状変化が認められ、いずれの波長の光線に対しても光線の透過が測定されなかった。また吸水率も0.7%と非常に高い値であり、曲げ強度保持率(1000時間後)も67%と低い値であった。結果を表3に示す。
(表1)
Figure 2006100974



(表2)
Figure 2006100974


(表3)
Figure 2006100974
環状オレフィン系重合体のみを用いた実施例1、5および9と、それ以外の樹脂を用いた比較例とを比較すると、表1から明らかなように、実施例1、5および9は、耐候性(曲げ強度)、吸水率、光線透過率、耐薬品性のいずれにおいても優れていることが確認された。さらに、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体(実施例1)は、ジシクロペンタジエンの開環重合体の水素添加物(実施例9)に比べて、色相変化が少なく耐候性に優れていることが確認された。
また、実施例3,4と、実施例1,2とを比較すると、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む実施例3,4は、耐候性試験2000時間後においても色相変化が認められず、さらに曲げ強度保持率も低下しないことから、より長時間の耐候性に優れていることが確認された。
また、ガラス転移温度145℃、MFRが7g/10分、エチレン含有量60モル%のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体のみを含む樹脂組成物からなる成形体は、機械特性に優れる一方で、耐候性が実施例1に比べて若干劣る傾向にあった。実施例6乃至8においては、特に、特定の紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを併用することにより、耐候性に優れ、湿式太陽電池用容器および湿式太陽電池用透明基板として特に好適に使用することができる。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)
    (化1)
    Figure 2006100974
    (但し、式中、x,yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。
    nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。
    1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
    は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
    は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
    Qは、COOR(Rは、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。)
    で表される一種又は二種以上の構造を有する環状オレフィン系重合体を含む、太陽電池容器用樹脂組成物。
  2. 環状オレフィン系重合体100質量部に対して、紫外線吸収剤0.01〜5質量部およびヒンダードアミン系光安定剤0.01〜5質量部を含む、請求項1に記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  3. 環状オレフィン系重合体が、下記一般式(2)
    (化2)
    Figure 2006100974
    (式中、R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
    2は、水素、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基であり、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
    x,yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。x,yはモル基準である。)
    で表される一種又は二種以上の構造を有する環状オレフィン系重合体である、請求項1または2に記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  4. 環状オレフィン系重合体が、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよびエチレンからなる共重合体である、請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  5. 環状オレフィン系重合体のガラス転移温度が、105℃〜180℃である請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  6. 環状オレフィン系重合体100質量部に対して、紫外線吸収剤0.01〜5質量部およびヒンダードアミン系光安定剤0.01〜5質量部を含み、前記環状オレフィン系重合体のガラス転移温度が、105℃〜180℃である太陽電池容器用樹脂組成物であって、
    前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物である、請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  7. 厚さ3mmの成形体にした場合において、波長400nmにおける該成形体の光線透過率が70%以上であり、波長800nmにおける該成形体の光線透過率が80%以上である、請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  8. 湿式太陽電池容器の形成に用いられる、請求項1乃至7のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物。
  9. 湿式太陽電池用の電解液が収容される湿式太陽電池用容器であって、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物を成形して得られる、湿式太陽電池用容器。
  10. 湿式太陽電池の受光面に配置される湿式太陽電池用透明基板であって、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物を成形して得られる、湿式太陽電池用透明基板。
  11. 開口部を有し、内部に電解液が収容される容器と、
    前記開口部の一部を少なくとも覆うように設けられた透明基板と、
    前記容器と前記透明基板とによって形成される空間内において対向する一対の電極と、を備え、
    前記容器が、請求項9に記載の湿式太陽電池用容器である、湿式太陽電池。
  12. 前記透明基板が、請求項10に記載の湿式太陽電池用透明基板である、湿式太陽電池。
  13. 請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物を湿式太陽電池用容器の材料として用いる方法。
  14. 請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽電池容器用樹脂組成物を湿式太陽電池用透明基板の材料として用いる方法。
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