JP5346457B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に係る。より詳しくは、新しい封止構造により、優れた発電特性を有する光電変換素子に関する。
環境問題、資源問題等を背景に、クリーンエネルギーとしての太陽電池が注目を集めている。太陽電池としては単結晶、多結晶あるいはアモルファスのシリコンを用いたものがある。しかし、従来のシリコン系太陽電池は製造コストが高い、原料供給が不充分等の課題が残されており、大幅普及には至っていない。
また、Cu−In−Se系(CIS系とも呼ぶ)等の化合物系太陽電池が開発されていますが、シリコン系と比べて特筆するほど高い変換効率を有しておりませんし、コストや環境負荷等の問題もあり、やはり大幅普及への障害となっている。
これらに対して、色素増感型太陽電池は、スイスのグレッツェルらのグループ等から提案されたもので、安価で高い光電変換効率を得られる光電変換素子として着目されている(特許文献1、非特許文献1を参照)。
図7は、従来の色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
この色素増感型太陽電池100は、増感色素を担持させた多孔質半導体層103が一方の面に形成された第一基板101と、透明導電層104が形成された第二基板105と、これらの間に封入された例えばゲル状電解質からなる電解質層を主な構成要素としている。
第一基板101としては、光透過性の板材が用いられ、第一基板101の色素増感半導体層103と接する面には導電性を持たせるために透明導電層102が配置されており、第一基板101、透明導電層102および多孔質半導体層103により作用極108をなす。
第二基板105としては、電解質層106と接する側の面には導電性を持たせるために例えば炭素や白金等からなる導電層104が設けられ、第二基板および導電層104により対極109を構成している。
多孔質半導体層103と導電層104が対向するように、第一基板101と第二基板105を所定の間隔をおいて配置し、両基板間の周辺部にホットメルト樹脂等からなる封止部材107を設ける。
そして、この封止部材107を介して2つの基板101、105を貼り合わせてセルを組み上げ、電解液の注入口110を介して、両極108、109間にI/I 等の酸化・還元対を含む有機電解液を充填し、電荷移送用の電解質層106を形成したものが挙げられる。
しかしながら、上記のような構造の従来の光電変換素子では、ホットメルト樹脂等を用いて封止していたため、封止の際の熱工程により電解質や増感色素が劣化し、発電特性が低下してしまうという問題があった。
そこで、本願発明者らは、図8に示すような構成の光電変換素子について研究・開発を鋭意進めている。この光電変換素子210は、導電性の第一基材211からなる対極212と、絶縁性の透明な第二基材213と、第二基材213の一面に透明導電膜214を介して配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層215とを備え、多孔質酸化物半導体層215が第一基材211の一面と対向して配される作用極216と、対極212と作用極216との間の少なくとも一部に配された電解質層217と、から構成されており、特に、第一基材211が、第二基材213よりも狭い面積を有し、電解質層217と第一基材211の側面部を少なくとも被覆するように硬化性樹脂等からなる封止部材18を配した点に特徴を有する。
つまり、図8の構成を採用した光電変換素子は、作用極よりも狭い面積を有する対極と電解質層との側面部を少なくとも被覆するように硬化性樹脂等からなる封止部材を配することで封止しているので、封止の際の熱工程をより簡略化することができる。ゆえに、電解質や増感色素の熱による劣化を防止し、優れた発電特性を有する光電変換素子の提供が可能となると考えられている。
ところが、上述した従来の光電変換素子を構成する封止部材は、作用極と対極との間に配される電解質層から電解質層の構成成分が、この両極間から外部へ漏洩することを防ぐ目的から配置されたものであり、光電変換素子の外部から内部へ水分や湿気が進入することを阻止するという、防湿性に関しては十分ではなかった。例えば、水分や湿気が光電変換素子の内部に侵入すると、電解質層を構成する電解質や増感色素が変質し、その特性が不安定となり、ひいては発電特性に影響を及ぼす虞がある。そこで、光電変換素子を太陽電池として利用する際には、高い耐候性を確保するため、高温・高湿条件下においてもダメージを受けない性能が求められている(例えば、JIS−C8938)。特に、光電変換素子は直接、湿度が大きく変動する外気に暴露された状況下で使用される場合もあることから、優れた防湿性を備えた光電変換素子の開発が期待されていた。
特許第2664194号公報 O’ Regan B, Gratzel M. A low cost, high-efficiency solar cell based on dye-sensitized colloidal TiO2 films, Nature 1991;353:737-739
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、外部からの水分や湿気の侵入を阻止する防湿性を備え、優れた発電特性を有する光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の光電変換素子は、導電性の金属基板を有する第一基材からなる対極、絶縁性の透明な第二基材と、該第二基材の一面に透明導電膜を介して配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層とを備え、該多孔質酸化物半導体層が前記第一基材の一面と対向して配される作用極、前記対極と前記作用極との間の少なくとも一部に配された電解質層、及び、前記電解質層の側面に配された電解液封止部、から構成される光電変換素子であって、前記第一基材の他面が、前記第二基材の一面より狭い面積を有し、制御部が、前記電解液封止部、前記対極の側面、または、前記作用極と反対側に位置する前記第一基材の他面、の少なくとも一部を覆うように配されており、水分透過防止機能を備えた保護部が、前記電解質層の側面及び前記対極の側面に亘る全域と、前記第一基材の他面の外縁部とを覆うように配されており、前記電解液封止部及び前記制御部は、いずれも前記保護部に覆われており、前記第一基材の他面の一部が露呈されており、前記制御部として、シリカゲル、ゼオライト、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムをベースとして、シート状あるいはペースト状にしたものが用いられ、前記保護部として、シリコーン、ブチルゴム、スチレンブタジエン、ポリイソブチレンの樹脂またはゴム材料が用いられ、前記電解液封止部として、ポリオレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、サルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン、ポリシロキサン、ポリ酢酸セルロース、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニールアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリアミドが用いられていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の光電変換素子は、請求項1において、前記制御部が、前記第一基材の他面の少なくとも一部を覆うように配されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の光電変換素子は、請求項1または2において、前記制御部が、前記電解液封止部を覆うように配されていることを特徴とする。
本発明では、水分吸収機能を備えた制御部が、電解質層の側面、対極の側面、及び、作用極と反対側に位置する第一基材の他面、の少なくとも一部を覆うように配されているので、制御部が外部からの水分や湿気の侵入を阻止する。その際、制御部を設ける部分は、電解質層の側面と対極の側面と第一基材の他面からなる全域としても良いし、水分や湿気の侵入を特に阻止したい特定の領域としても構わない。
ゆえに、本発明によれば、制御部を配したことにより防湿性が確保されるので、例えば湿度が大きく変動する外気に暴露された状況下においても、優れた発電特性を有する光電変換素子が得られる。
以下、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を各図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明に係る光電変換素子の一例を示す概略断面図である。図1(a)と図1(b)に示す光電変換素子は、水分吸収機能を備えた制御部を設ける領域のみ異なる。
図1(a)に示すように、本例に係る光電変換素子10A(10)は、導電性の第一基材11からなる対極12、絶縁性の透明な第二基材13と、該第二基材の一面に透明導電膜14を介して配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層15とを備え、該多孔質酸化物半導体層が前記第一基材の一面と対向して配される作用極16、及び、前記対極と前記作用極との間の少なくとも一部に配された電解質層17、から構成される。
そして、この光電変換素子10A(10)は、水分吸収機能を備えた制御部21A(21)が、前記電解質層17の側面、前記対極12の側面、及び、前記作用極16と反対側に位置する前記第一基材11の他面、に亘る全域を覆うように配されていることを特徴とする。
水分吸収機能を備えた制御部21A(21)が電解質層17の側面、対極12の側面及び第一基材11の他面に亘る全域を覆うように配置されたことにより、光電変換素子10の外部から内部へ水分や湿気が侵入するのを確実に阻止することができる。ひいては、本発明によれば、制御部21A(21)を配置したことにより防湿性の向上が大幅に図れるので、高湿度の環境下や、低湿度から高湿度へ、あるいはその逆方向への湿度変動が発生するような環境下においても、その環境変化の影響を受けることが無い、光電変換素子がもたらされる。
ゆえに、本発明は、湿度が変動するような厳しい環境変化が生じる虞のある、例えば外気に暴露された状況下においても、優れた発電特性を有する光電変換素子の提供に寄与する。
前述した図1(a)には、制御部21A(21)が電解質層17の側面、対極12の側面及び第一基材11の他面に亘る全域を覆うように配置された構成を示しているが、本発明では制御部は必要に応じて設置すればよく、またその覆う範囲も、図1(a)の構成例に限定されるものではない。例えば、図1(b)に示す光電変換素子10B(10)ように、制御部21B(21)が、第一基材11の他面のみを覆うような構成としてもよい。このような構成とした際には、後述する保護部22の乾燥が不十分な場合でも、保護部22に残存する水分を制御部21B(21)に吸収させることが可能になる。
また、光電変換素子10には、これらの構成要素に加えて、水分透過防止機能を備えた保護部22が、制御部21を覆うように配してなる構成を示しているが、本発明では保護部22は必要に応じて設置すればよく、またその覆う範囲も、図1の構成例に限定されるものではない。ただし、制御部21を覆うように水分透過防止機能を備えた保護部22を付加した場合には、防湿性がより一層改善されるので、耐環境性が極めて高い光電変換素子を構築できる利点がある。
なお、光電変換素子10には、これらの構成要素に加えて、従来から採用されている、電解液封止部18を配してなる構成を示しているが、本発明では電解液封止部18は必要に応じて設置すればよく、またその覆う範囲も、図1の構成例に限定されるものではない。
(第二実施形態)
図2は、本発明に係る光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。図2(a)と図2(b)に示す光電変換素子は、水分吸収機能を備えた制御部を設ける領域のみ異なる。
図2(a)に示す光電変換素子30A(30)のように、水分吸収機能を備えた制御部41A(41)が電解質層37の側面及び対極32の側面に亘る全域と、第一基材31の他面の外縁部とを覆うように配置した構成としてもよい。このような構成とした場合には、第一基材31の他面の中央部が露呈された形態となるので、例えば第一基材31として金属基板を使用することにより、第一基材31の露呈された中央部を外部接続用の端子部として利用できる。
前述した図2(a)には、制御部41A(41)が電解質層37の側面及び対極32の側面に亘る全域と、第一基材31の他面の外縁部とを覆うように配置された構成を示しているが、本発明では制御部は必要に応じて設置すればよく、またその覆う範囲も、図2(a)の構成例に限定されるものではない。例えば、図2(b)に示す光電変換素子30B(30)のように、制御部41B(41)が、第一基材31の他面のみを覆うような構成としてもよい。このような構成とした際には、後述する保護部42の乾燥が不十分な場合でも、保護部42に残存する水分を制御部41B(41)に吸収させることが可能になる。
なお、図2において、他の構成要素は図1と同様であり、31は第一基材、32は対極、33は第二基材、34は透明導電膜、35は多孔質酸化物半導体層、36作用極、37電解質層、38は電解液封止部、42は保護部、をそれぞれ表している。
(第三実施形態)
図3は、本発明に係る光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。図3(a)と図3(b)に示す光電変換素子は、水分吸収機能を備えた制御部を設ける領域のみ異なる。
図3(a)に示す光電変換素子50A(50)は、水分吸収機能を備えた制御部61A(61)として電解液封止部の機能を兼ね備えた部材を採用した点が、前述した光電変換素子30と異なり、他の点は光電変換素子30と同様である。このような構成とした場合には、単一の制御部61A(61)が水分吸収機能に加えて電解液封止部の機能も併せ持つことにより、さらなる素子構造の簡素化、低コスト化、小型化が図れるのでより好ましい。
前述した図3(a)には、制御部61A(61)が電解質層57の側面及び対極52の側面に亘る全域と、第一基材51の他面の外縁部とを覆うように配置された構成を示しているが、本発明では制御部は必要に応じて設置すればよく、またその覆う範囲も、図3(a)の構成例に限定されるものではない。例えば、図3(b)に示す光電変換素子50B(50)のように、制御部61B(41)が、第一基材51の他面のみを覆うような構成としてもよい。このような構成とした際には、後述する保護部62の乾燥が不十分な場合でも、保護部62に残存する水分を制御部61B(61)に吸収させることが可能になる。ここで、制御部61B(61)は、水分吸収機能に加えて電解液封止部の機能も併せ持つ部材を、制御部61B’(61)は、水分吸収機能のみを備えた部材を、それぞれ表す。
なお、図3において、他の構成要素は図2と同様であり、51は第一基材、52は対極、53は第二基材、54は透明導電膜、55は多孔質酸化物半導体層、56作用極、57電解質層、62は保護部、をそれぞれ表している。
(第四実施形態)
図4は、本発明に係る光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。図4(a)と図4(b)に示す光電変換素子は、水分吸収機能を備えた制御部を設ける領域のみ異なる。
図4(a)に示す光電変換素子70A(70)は、電解液封止部78を電解質層77の側面のみ覆うように、対極72を構成する第一基材71と作用極76を構成する透明導電膜74との間に配置した点が、前述した光電変換素子30と異なり、他の点は光電変換素子30と同様である。このような構成とした場合には、外縁部の更なる省スペース化が可能となり、素子の有効面積の増大にも繋がるのでより好ましい。
前述した図4(a)には、制御部81A(81)が電解質層77の側面及び対極72の側面に亘る全域と、第一基材71の他面の外縁部とを覆うように配置された構成を示しているが、本発明では制御部は必要に応じて設置すればよく、またその覆う範囲も、図4(a)の構成例に限定されるものではない。例えば、図4(b)に示す光電変換素子70B(70)のように、制御部81B(81)が、第一基材71の他面のみを覆うような構成としてもよい。このような構成とした際には、後述する保護部82の乾燥が不十分な場合でも、保護部82に残存する水分を制御部81B(81)に吸収させることが可能になる。
なお、図4において、他の構成要素は図2と同様であり、71は第一基材、72は対極、73は第二基材、74は透明導電膜、75は多孔質酸化物半導体層、76作用極、77電解質層、82は保護部、をそれぞれ表している。
図1〜図4に示した光電変換素子10、30、50、70は何れも、以下に説明する共通した4つの構成要素(A)−(D)を少なくとも備えている。
(A)導電性の第一基材からなる対極12、32、52、72。
(B)絶縁性の透明な第二基材と、該第二基材の一面に透明導電膜を介して配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層とを備え、該多孔質酸化物半導体層が前記第一基材の一面と対向して配される作用極16、36、56、76。
(C)前記対極と前記作用極との間の少なくとも一部に配された電解質層17、37、57、77。
(D)前記電解質層の側面、前記対極の側面、または、前記作用極と反対側に位置する前記第一基材の他面、の少なくとも一部を覆うように配されている、水分吸収機能を備えた制御部21、41、61、81。
上記4つの構成要素のうち、特に(D)を備えることにより、何れの光電変換素子10、30、50、70にあっても、制御部が光電変換素子の外部から内部へ水分や湿気の侵入が阻止可能となる。水分吸収機能を備えた制御部を設ける箇所は、必要に応じて決定すればよい。図1に示すように電解質層の側面、対極の側面、及び、第一基材の他面という3つの面について、全域を覆うように設けてもよいし、図2〜4に示すように、前記3つの面のうち特定の領域にのみ設けても構わない。
制御部を設ける範囲に依存せず、制御部を配置した領域においては防湿性の向上が図れることから、湿度変動等に耐える能力が改善され、耐環境性に優れた、発電特性の安定な光電変換素子が得られる。
その際、図1〜図4に示した光電変換素子10、30、50、70は、作用極よりも狭い面積を有する対極と電解質層との側面部を少なくとも被覆するように、水分吸収機能を備えた制御部21、41、61、81を配することで封止している。
なお、本発明に係る光電変換素子は、さらに、以下に述べる特別な構成要素(E)−(G)を備える形態が好ましい。
(E)制御部が、電解質層の側面と対極の側面を覆うように配されている形態。
このような形態を採用した場合(図1〜4は何れもこの形態に属す)には、電解質層の側面と対極の側面が、制御部により被覆されることになる。ゆえに、少なくとも電解質層内部を外部からの水分や湿気の侵入から守ることができる。その結果、電解質層を構成する電解液や色素の変質等が避けられるので、発電特性の安定化が図れる。
(F)制御部が、さらに第一基材の他面も覆うように配されている形態。
このような形態を採用した場合(図1がこの形態に属す)には、電解質層の側面、対極の側面、及び、第一基材の他面という3つの面が全域に亘って、制御部により被覆されることになる。ゆえに、電解質層内部に加えて、対極の外面にあたる第一基材の他面に対しても、外部からの水分や湿気の侵入から確実に守ることができる。例えば第一基材が金属基板からなる場合には、金属基板の耐食性が維持されるので、長期に亘って導電性が安定に確保される。
(G)制御部が、第一基材の他面のうち、外縁部を覆うように配されている形態。
このような形態を採用した場合(図2〜4がこの形態に属す)には、電解質層の側面と対極の側面に加えて、第一基材の他面の外縁部を覆うことにより、封止性が向上するので、電解液の液漏れを確実に防止することができる。また、第一基材の他面のうち、外縁部以外の中央部が露呈された形態となるので、例えば第一基材が金属基板からなる場合には、第一基材の露呈された中央部を外部接続用の端子部として利用できる。
(H)水分透過防止機能を備えた保護部が、制御部を覆うように配されている形態。
このような形態を採用した場合(図1〜4は何れもこの形態に属す)には、制御部を覆うように水分透過防止機能を備えた保護部を付加したことにより、防湿性がより一層改善されるので、耐環境性が極めて高い光電変換素子が構築できる。また、このような構成とした際には、保護部の乾燥が不十分な場合でも、保護部に残存する水分を制御部に吸収させることも可能になる。
(I)電解液封止部が電解質層の側面と制御部との間に配されている形態。
このような形態を採用した場合(図1、2、4は何れもこの形態に属す)には、電解液封止部が電解液の液漏れを防止するので、その外側に位置する制御部には水分吸収機能に特化した材料を選定することができる。すなわち、制御部は電解液を封止する役割を担う必要がないので、水分吸収機能に長けた材料からなる制御部を設置可能になることから、電解液の液漏れを防止機能と水分吸収機能とが高度に管理された光電変換素子が得られる。特に、図4の構成とした場合は、外縁部の更なる省スペース化が図れることから、素子の有効面積の増大がもたらされるのでより好ましい。
(J)制御部が、電解液封止機能も兼ね備えている形態。
このような形態を採用した場合(図3は何れもこの形態に属す)には、前述した(I)の形態と同じ効果、すなわち、電解液の液漏れを防止機能と水分吸収機能とが高度に管理された光電変換素子が得られる。特に(J)の形態では、制御部がこの2つの機能を兼ね備えていることから、素子構造の簡素化、低コスト化、小型化も同時に図れるので、より好ましい。
なお、図1〜図4に示した光電変換素子10、30、50、70は、外装筐体(不図示)に組み込む構成とすることにより、さらに強固なパッケージ化を図ってもよい。
以下では、光電変換素子の構成要素について詳述する。ここでは、特に断らない限りは、図1に示した符号を用い、光電変換素子10の各構成物について詳細に解説するが、図2〜図4における同等の構成物にも適用されるものである。
まず、発明の光電変換素子10における特徴的な3つの封止部、すなわち、水分吸収機能を備えた制御部21、水分透過防止機能を備えた保護部22、及び、電解液封止部18について説明する。
制御部21、保護部22、及び、電解液封止部18は、いずれも使用前に十分に乾燥しておくことが好ましい。
水分吸収機能を備えた制御部21としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等をベースとして、シート状あるいはペースト状にしたものを用いることができる。その使用状況としては、後述するところの保護部と電解液封止部との間に、制御部が挟まれる形態が好ましい。
水分透過防止機能を備えた保護部22としては、例えば、シリコーン、ブチルゴム、スチレンブタジエン、ポリイソブチレンの樹脂またはゴム材料を用いることができる。組み込み時に硬化させる必要がある場合、熱、光、温度、あるいは二液(またはそれ以上)混合等により反応させることができる。
電解液封止部18としては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アイオノマー樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、サルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン、ポリシロキサンポリ酢酸セルロース、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニールアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリアミド等、特に限定されることなく用いることができる。
ただし、図3の構成例に適用する場合のみ、制御部61は電解液を封止する機能も兼ね備えた材料とされる。このような材料としては、例えば、電解液封止部18として前述した樹脂に、水分吸収機能を備えた制御部21として前述した材料を練り込んだもの、あるいは分散させたもの、等が挙げられる。
作用極16は、透明基材(第二基材)13、および、その一方の面に形成された透明導電膜14と、増感色素を担持させた多孔質酸化物半導体層15とから概略構成されている。
透明基材13としては、光透過性の素材からなる基板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等、通常、光電変換素子10の透明基材として用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。透明基材13は、これらの中から電解液への耐性等を考慮して適宜選択される。また、透明基材13としては、用途上、できる限り光透過性に優れる基板が好ましく、透過率が90%以上の基板がより好ましい。
透明導電膜14は、透明基材13に導電性を付与するために、その一方の面に形成された薄膜である。透明導電性基板の透明性を著しく損なわない構造とするために、透明導電膜14は、導電性金属酸化物からなる薄膜であることが好ましい。
透明導電膜14を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)等が用いられる。透明導電膜14は、FTOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜であることが好ましい。
透明導電膜14を、FTOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜とすることにより、可視域における光の吸収量が少なく、導電率が高く、耐熱性に優れる透明導電性基板を構成することができる。
多孔質酸化物半導体層15は、透明導電膜14の上に設けられており、その表面には増感色素が担持されている。多孔質酸化物半導体層15を形成する半導体としては特に限定されず、通常、光電変換素子用の多孔質酸化物半導体を形成するのに用いられるものであれば、いかなるものでも用いることができる。このような半導体としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化マンガン(MnO)等を単独または複数、用いることができる。
多孔質酸化物半導体層15を形成する方法としては、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調製できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スプレー塗布法等公知の塗布方法により塗布し、これを加熱処理や化学処理により多孔質化する方法等を適用することができる。
増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造等を配位子に含むルテニウム錯体、ポリフィリン、フタロシアニン等の含金属錯体、クマリン、ローダミン、メロシアニン等の誘導体といった有機色素等を適用することができ、これらの中から、用途、使用半導体に適した挙動を示すものを特に限定なく選ぶことができる。
電解質層17は、多孔質酸化物半導体層15内に電解液を含浸させてなるものか、または、多孔質酸化物半導体層15内に電解液を含浸させた後に、この電解液を適当なゲル化剤を用いてゲル化(擬固体化)して、多孔質酸化物半導体層15と一体に形成されてなるもの、あるいは、イオン液体、酸化物半導体粒子若しくは導電性粒子を含むゲル状の電解質が用いられる。
上記電解液としては、ヨウ素、ヨウ化物塩、ターシャリ−ブチルピリジン、グアニジニウム塩、N−メチルベンズイミダゾール等の成分が、エチレンカーボネートやメトキシアセトニトリル等の有機溶媒やイオン液体等に溶解されてなるものが用いられる。
この電解液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体等が挙げられる。
上記イオン液体としては、特に限定されるものではないが、室温で液体であり、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンとした常温溶融塩が挙げられる。
常温溶融塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体等が挙げられる。
常温溶融塩のアニオンとしては、BF 、PF 、F(HF) 、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CFSO]、N(CN)、B(CN)、[N(FSO、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
イオン液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン等からなる塩類を挙げることができる。
上記酸化物半導体粒子としては、物質の種類や粒子サイズ等が特に限定されないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化させるようなものが用いられる。また、酸化物半導体粒子は、電解質の導電性を低下させることがなく、電解質に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオン等の混合により得られる酸化還元対を含む場合であっても、酸化物半導体粒子は、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような酸化物半導体粒子としては、TiO、SnO、WO、ZnO、Nb、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO、Alからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が好ましく、TiOやSiOの微粒子(ナノ粒子)が特に好ましい。この平均粒径は2nm〜1000nm程度が好ましい。
上記導電性微粒子としては、導電体や半導体等、導電性を有する粒子が用いられる。また、導電性粒子の種類や粒子サイズ等は特に限定されないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化するようなものが用いられる。このような導電性微粒子には、電解質中の導電性を下げることなく、電解質に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが求められる。特に、電解質がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオン等の混合により得られる酸化還元対を含む場合でも、酸化反応等による劣化を生じないものが好ましい。
このような導電性微粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられ、具体例としては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、カーボンブラック等の粒子を例示できる。これらの物質の製造方法はいずれも公知であり、また、市販品を用いることもできる。
対極12を構成する第一基材11としては、導電性を有する各種の金属基板、中でもチタン板から構成されることが好ましい。ただし、対極12は、必要に応じて、導電性の第一基材11と、この他方の面上(前記作用極16と反対側の面)に配された、第一基材11とは異なる金属からなる被膜(不図示)とから構成される形態としてもよい。その際、被膜(不図示)は、Cu等のはんだ付け可能な単一金属、または該金属を主成分とする合金から構成されることが好ましい。
このように、はんだ付けを考慮する必要がある場合には、図2〜図4に示すような、第一基材11の他方の面が露呈された構成が適用される。
以上のような構成とすることにより、被膜(不図示)は、はんだとチタン基板との接合層として機能する。これにより、対極12の被膜(不図示)上にリード線をはんだ付けすることが可能となり、対極12と外部配線との電気的接続性を向上することができる。
また、被膜(不図示)は、リード線のはんだ付けを可能とすればよく、第一基材11の全面に形成されていてもよいし、一部にのみ形成されていても構わない。
(光電変換素子の製造方法)
以下では、上述した第一実施形態を例にとり、本発明に係る光電変換素子の製造方法について説明する。
まず、透明基材(第二基材)13の一方の面の全域を覆うように透明導電膜14を形成し、透明導電性基板を作製する。
透明導電膜14を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法、スプレー熱分解法(SPD法)、蒸着法等の薄膜形成法が挙げられる。
次いで、透明導電膜14を覆うように、多孔質酸化物半導体層15を形成する。この多孔質酸化物半導体層15の形成は、主に塗布工程と乾燥・焼成工程からなる。
塗布工程とは、例えばTiO粉末と界面活性剤および増粘剤を所定の比率で混ぜ合わせてなるペーストを、透明導電膜14の表面に塗布するものである。その際、塗布法としては、例えば、スクリーン印刷法等が挙げられる。
乾燥・焼成工程とは、例えば大気雰囲気中にて、50℃から150℃程度の温度で塗膜を乾燥させた後、電気炉を用い、450℃から550℃の温度にて焼成する方法が挙げられる。
次に、この塗布工程と乾燥・焼成工程により形成された多孔質酸化物半導体層15に対して色素担持を行う。
色素担持用の色素溶液は、例えばアセトニトリルとt−ブタノールを容積比で1:1とした溶媒に対して適量の色素粉末を加えて調整したものを予め準備しておく。
容器内に入れた色素溶液に、多孔質酸化物半導体層15を浸した状態とし、暗所にて例えば一昼夜(およそ20時間)程度浸漬する。その後、色素溶液から取り出した多孔質酸化物半導体層15は、アセトニトリルとt−ブタノールからなる混合溶液を用い洗浄する。
上述した工程により、色素担持したTiO薄膜からなる多孔質酸化物半導体層15を透明基板上に設けてなる作用極16(窓極とも呼ぶ)を得る。
一方、チタン板等の金属板からなる第一基材11の一方の面(前記作用極と向き合う面)に、白金、カーボン等、電解質層中の酸化還元対の反応に触媒作用を示す材料からなる被膜(不図示)をスパッタリング法等により形成して対極12を得る。
色素担持させたTiO薄膜からなる多孔質酸化物半導体層15が上方をなすように作用極16を配置し、電解質を塗布した後、この多孔質酸化物半導体層15と第一基材11が対向するように、対極12を作用極16に重ねて設ける。その後、すなわち作用極16と対極12の重なった外周付近に、電解液封止部18として未硬化(未重合)の光硬化性樹脂をディスペンサ等により供給し、紫外光を照射して光硬化性樹脂を硬化させて封止する。
このとき、電解液封止部18を、前記対極12の前記作用極16と反対側の面上であって、外縁部も被覆するように供給することが好ましい。これにより、封止性が向上し、電解質の液漏れを確実に防止することができる。
光照射の方法としては、特に限定されるものではないが、外周部に配された電解液封止部18の箇所のみ選択的に照射してもよいし、素子全体に照射してもよい。
対極12の第一基板11が不透明な材料からなるので、素子全体に光を照射しても、対極側から照射すれば素子内部には光は入射せず、電解質等が光によって劣化することはない。
このようにして得られる光電変換素子は、作用極よりも狭い面積を有する対極と電解質層との側面部を少なくとも被覆するように光硬化性樹脂を配することで封止しているので、封止の際の熱工程が不要となる。これにより電解質や半導体の熱による劣化を防止し、優れた発電特性を有するものとなる。
次に、市販の乾燥シートまたはモレキュラーシーブス粉末等を、少なくとも電解液封止層の上面を覆うように配置することにより、水分吸収機能を備えた制御部21を形成する。乾燥シートとしては、例えば、DESICCANT A,DESICCANT C(以上、ジャパンゴアテックス社製)や、HD-S04シリーズ(ダイニックス社製)等を適用できる。または、モレキュラーシーブスを上記UV硬化樹脂中に分散させたもの、乾燥剤混合ペースト(品川化成社製)等も適用できる。
その後、例えば、ブチルテープ(テイパ化工社製、PIB-521 )やホットメルトブチル(テイパ化工社製、PIB-544 )等を、少なくとも上記の水分吸収機能を備えた制御部を覆うように、加圧成形等によって被覆することにより、水分透過防止機能を備えた保護部22を形成する。
以上の工程により、上述した第一実施形態の光電変換素子を製造することができる。
ここでは、第一実施形態の光電変換素子を例として具体的に述べたが、第二乃至第四実施形態の場合も、概ね同様の工程を経ることにより製造される。
<試験1>・・・防湿テスト
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)基板上に、Ti箔(厚さ40μm)を重ね合わせ、その上から乾燥シート(ジャパンゴアテックス社製、DESICCAN D)を積層し、さらにこれを覆うようにブチルゴム(テイバ化工社製、ブチルテープPIB-521 )を積層してプレス加工により接着した。FTO基板とTi箔との間には湿度試験紙を挟み込んだ。この積層体を、フッ素ゴムからなるO−リングを介して蓋をできるような構造のステンレス製の容器に収納し、85℃、85%RH条件下に保持して、湿度試験紙の表示変化を観察した(実施例1)。
比較として、水分吸収機能を備えた制御部、及び、水分透過防止機能を備えた保護部を設けず、Ti箔をエポキシ接着剤により仮止めした基板(比較例1)、および、ブチルゴムを用いた保護部のみ設けた基板(比較例2)にて、同様の試験を実施した。なお、いずれの場合にもブチルゴムは80℃で一晩以上、簡易乾燥したものを用いた。
試験1により、図5に示す結果を得た。図5は、経過時間と模擬セル内部の湿度との関係を示すグラフである。図5において、○印は実験例1と実施例2を、◇印は比較例1を、◆印は比較例2を、それぞれ表す。
図5より、以下の点が明らかとなった。
(1)比較例では、試験中に内部の湿度が上昇したが、本発明の構造では良好な乾燥状態が維持された。比較例2においては、ブチルゴム層の乾燥が不十分であったことも影響したと考えられる。
(2)実施例2として、乾燥シートの代わりにUV硬化樹脂(スリーボンド社製、31X-101 )にモレキュラーシーブス粉末を練り込んだものを用い、また、保護部としてブチルゴムの代わりにフッ素変性シリコーン樹脂(信越化学工業社製)を用いて同様の試験を行ったが、湿度試験紙の色変化は見られず、良好な乾燥状態が保持されることが確認された。
<試験2>・・・素子の耐久テスト
本発明に係る封止構造を適用し、以下に述べる構成の色素増感型太陽電池を作製した。
[作用極]実施例1と同様のFTO膜付きガラス基板(日本板硝子社製)、
サイズは20cm角。
[対極]Pt/Ti対極を用いた。これは、厚さ40μmの金属Ti箔を基材とし、この
基材の一面側にCu(銅)層を、他面側にPt(白金)層を配して構成される。Pt
層を設けた面を作用極と対向させて使用する。サイズは10cm角。
[液体電解質]イオン液体(HMIm−I)中にIを溶解させて電解液とした。
[ゲル電解質]上記液体電解質に、5wt%のSiOナノ粒子を混合することで、擬固
体電解質を得た。
[電解液封止層A]作用極と対極との間に、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製
)のシートを配して封止した。
[電解液封止層B]対極の周囲を、少なくとも電解質層側が覆われるように紫外線(UV
)硬化樹脂(スリーボンド社製、31X-101 )を用いて封止した。
作製した作用極と対極との間に電解質を介在させて積層し、電解液封止部を形成した後、前述した試験1と同様の手法で、水分吸収機能を備えた制御部、及び、水分透過防止機能を備えた保護部を形成した。これを色素増感型太陽電池の試験セルとした。
なお、FTO基板上の発電層形成は、以下の手順で行った。まず、基板上に印刷用銀ペースト(福田金属箔粉工業社製)をスクリーン印刷により塗布・焼成して銀回路を形成した。次に、酸化チタンペースト(触媒化成工業社製)をスクリーン印刷により塗布・焼成して酸化チタン多孔質層を形成した。さらに、銀回路を覆うように低融点ガラスペースト等を用いて配線保護層を形成した。これをルテニウム錯体(N719色素)を含む溶液中に一昼夜、浸漬することにより色素を担時させて、作用極とした。
実施例3−5、比較例3,4として作製した試験セルにおいて、電解質の種類、電解液封止のタイプ、及び、「水分透過防止層/水分吸収層」の構成は各々、以下の表1に示す組合せとした。
Figure 0005346457
作製した各試験セルを、前述した試験1と同様の湿熱条件下に保持し、発電出力の経時変化を調べた。
試験2により、図6に示す結果を得た。図6は、経過時間と短絡電流との関係を示すグラフである。図6において、□印は実験例3を、◇印は比較例3を、△印は比較例4を、それぞれ表す。
図6より、以下の点が明らかとなった。
(1)比較例では、時間が経過するとともに短絡電流が低下することが分かった。特に、比較例3のセルは150時間後に短絡電流が40%程度も減少した。比較例4のセルであっても、350時間後には20%を越える減少が確認された。
(2)これに対して、実施例3のセルでは、350時間後であっても、短絡電流の低下は見られなかった。また、図6には示さないが、実施例4および実施例5のセルにおいても、350時間後の時点で短絡電流の変化は10%以内であり、良好な安定性を示した。
以上の結果から、本発明に係る封止構造の有効性が確認された。
本発明は、色素増感型太陽電池に代表される光電変換素子に適用可能である。
本発明に係る光電変換素子の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。 経過時間と模擬セル内部の湿度との関係を示すグラフである。 経過時間と短絡電流との関係を示すグラフである。 従来の光電変換素子の一例を示す概略断面図である。 従来の光電変換素子の他の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10、30、50、70 光電変換素子、11、31、51、71 第一基材、12、32、52、72 対極、13、33、53、73 第二基材、14、34、54、74 透明導電膜、15、35、55、75 多孔質酸化物半導体層、16、36、56、76 作用極、17、37、57、77 電解質層、18、38、78 電解液封止部、21、41、61、81 制御部、22、42、62、82 保護部。

Claims (3)

  1. 導電性の金属基板を有する第一基材からなる対極、
    絶縁性の透明な第二基材と、該第二基材の一面に透明導電膜を介して配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層とを備え、該多孔質酸化物半導体層が前記第一基材の一面と対向して配される作用極、
    前記対極と前記作用極との間の少なくとも一部に配された電解質層、及び、
    前記電解質層の側面に配された電解液封止部、から構成される光電変換素子であって、
    前記第一基材の他面が、前記第二基材の一面より狭い面積を有し、
    制御部が、前記電解液封止部、前記対極の側面、または、前記作用極と反対側に位置する前記第一基材の他面、の少なくとも一部を覆うように配されており、
    水分透過防止機能を備えた保護部が、前記電解質層の側面及び前記対極の側面に亘る全域と、前記第一基材の他面の外縁部とを覆うように配されており、
    前記電解液封止部及び前記制御部は、いずれも前記保護部に覆われており、
    前記第一基材の他面の一部が露呈されており、
    前記制御部として、シリカゲル、ゼオライト、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムをベースとして、シート状あるいはペースト状にしたものが用いられ、
    前記保護部として、シリコーン、ブチルゴム、スチレンブタジエン、ポリイソブチレンの樹脂またはゴム材料が用いられ、
    前記電解液封止部として、ポリオレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、サルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン、ポリシロキサン、ポリ酢酸セルロース、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニールアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリアミドが用いられていることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記制御部が、前記第一基材の他面の少なくとも一部を覆うように配されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記制御部が、前記電解液封止部を覆うように配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
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