JP4559065B2 - 光電変換素子構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する光電変換素子と、この素子を収容するための、紫外線遮蔽部を有し、且つ窒素ガス等が封入された気密容器とを備える光電変換素子構造体に関する。更に詳しくは、光電変換素子の紫外線劣化及び酸化劣化が抑えられ、その耐久性が向上した光電変換素子構造体に関する。また、湿度の影響も低減され、より耐久性が向上した光電変換素子構造体に関する。
現在、光電変換素子のうちでも太陽光発電素子では、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びこれらを組み合わせたHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin−layer)等を用いた太陽電池が実用化され、主力技術となっている。これらのシリコン系太陽電池のなかで、特に単結晶シリコンを用いた場合は、光電変換の効率も20%に近く優れているが、高価であるという問題がある。また、近年、Gratzel等により色素増感型太陽電池が提案され、安価な太陽電池として注目されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照。)。この太陽電池は、増感色素を担持させたチタニア多孔質電極と対極との間に電解質体を介在させた構造を有し、現行のシリコン系太陽電池に比べて、材料、製法等の面で大幅なコストダウンが可能である。
これらの太陽電池は合成樹脂等からなる構造部分を有し、この構造部分の紫外線劣化及び酸化劣化による耐久性の低下が問題になっている。また、特に、色素増感型太陽電池では、増感色素及び電解質等に有機化合物が用いられており、これらの紫外線劣化等による耐久性の低下がより問題になっている。この紫外線劣化等を抑えるため、基板として紫外線吸収ガラスを用いることもできるが、紫外線吸収ガラスは高価であり、コストアップが懸念される。更に、少なくとも光入射面に設けられた紫外線を吸収する部材により紫外線劣化を抑えた太陽電池が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、少なくとも光入射面に、特定の構造部分を有する重縮合体を含み、且つ紫外線を吸収する部材を備える光電変換素子が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、透明樹脂層の内部又は表面に紫外線遮断性を有する紫外線遮断物質を有する透明樹脂層が設けられた太陽電池が知られている(例えば、特許文献4参照。)。また、光極を構成する基板に、紫外線吸収性官能基をもつ樹脂と、この樹脂と基板との密着性を高めるカップリング剤とを含む紫外線遮蔽皮膜が積層された色素増感型太陽電池が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開平1−220380号公報 Nature誌(第353巻、pp.737−740、1991年) 特開平11−345991号公報 特開2002−25634号公報 特開2003−68373号公報 特開2003−100358号公報
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、透光部及び紫外線遮蔽部を有し、且つ窒素ガス等が封入された気密容器に光電変換素子を収容することにより、光電変換素子の紫外線劣化及び酸化劣化を抑え、耐久性を向上させた光電変換素子構造体を提供することを目的とする。更に、湿度の影響も低減され、光電変換素子の耐久性をより向上させた光電変換素子構造体を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.容器壁の少なくとも一部に透光部11を有し、且つ該透光部11の少なくとも一部に紫外線遮蔽部111を有する気密容器1と、該気密容器1内に収容された光電変換素子2と、該気密容器1内に封入された窒素ガス及び不活性ガスの少なくとも一方と、を備えることを特徴とする光電変換素子構造体。
2.上記気密容器1内に脱酸素材が封入された上記1.に記載の光電変換素子構造体。
3.上記気密容器1内に吸湿材が封入された上記1.又は2.に記載の光電変換素子構造体。
4.上記光電変換素子2が色素増感型太陽電池である上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の光電変換素子構造体。
本発明の光電変換素子構造体では、光電変換素子の紫外線劣化及び酸化劣化が抑えられ、耐久性が向上する。
また、気密容器に脱酸素剤が封入された場合は、酸化劣化がより抑えられ、耐久性が更に向上する。
更に、気密容器に吸湿剤が封入された場合は、湿分による劣化が抑えられ、耐久性がより向上する。
また、光電変換素子が色素増感型太陽電池である場合は、増感色素、電解質等のより紫外線劣化及び酸化劣化し易い有機化合物を有するため、紫外線劣化等を抑える作用、効果がより顕著である。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記「気密容器1」は、その容器壁の少なくとも一部に透光部11を有し、且つこの透光部11の少なくとも一部に紫外線遮蔽部111を備える。
容器壁のうちの上記「透光部11」は、容器壁の全面でもよく、一部でもよい。容器壁の一部が透光性を有する場合、この透光部の割合は、収容される光電変換素子に必要な光が照射される限り、特に限定されないが、平板状の気密容器1では、通常、気密容器の表裏面のうちの少なくとも一面側の80%以上、特に90%以上、更に全面が透光性であることが好ましい。このような気密容器1であれば、光電変換素子に所要量の光を照射させることができる。更に、容器の側面の少なくとも一部が透光部11であってもよい。
また、この気密容器1の上記「紫外線遮蔽部111」は、容器壁の透光部11の全面でもよく、そのうちの一部でもよい。容器壁の透光部11の全面が紫外線遮蔽部111であることが好ましく、このような気密容器1であれば、光電変換素子の紫外線劣化をより十分に抑えることができる。容器壁の透光部11の一部が紫外線遮蔽部111であるときは、紫外線遮蔽部111の割合は、透光部11に対して80%以上、特に90%以上であることが好ましい。このような気密容器1であれば、光電変換素子の紫外線劣化を十分に抑えることができる。
尚、透光部11の透光性とは、波長400〜900nmの可視光の透過率が10%以上であることを意味する。この透過率は60%以上、特に80%以上であることが好ましい。
透過率(%)=(気密容器の容器壁を透過した光量/気密容器の容器壁に入射した光量)×100
更に、気密とは、大気及びそれに含有される湿分等の気体が侵入しない、又は少なくとも侵入が抑えられるという意味である。
この気密容器1の形状は特に限定されないが、収容される光電変換素子2の形状と同様の形状とすることが好ましい。シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池等の光電変換素子2は一般に平板状であるため、気密容器も平板状とすることができる。また、気密容器1の大きさも内部に光電変換素子2を収容することができる限り特に限定されないが、光電変換素子に対して不必要に大きくすることは好ましくなく、一般に光電変換素子の収容に必要な容積に対して100〜120%、特に100〜110%の内部空間を有する容器とすることができる。尚、気密容器1に光電変換素子2のみを収容するときは、気密容器の内部の寸法は光電変換素子の外寸と同等でよく、後記のように脱酸素材、吸湿材等を封入するときは、これらを配設するための空間が必要となる。
気密容器1の材質も、容器壁の一部に透光部11を形成することができる限り特に限定されない。更に、気密容器1は、全体が同質の材料からなる容器であってもよいし、部分的に異なる材料からなる容器であってもよい。特に、透光性を有する部分と有さない部分とが異なる材料からなる容器であってもよい。透光性を有する気密容器1、又は透光部11は、ガラス、合成樹脂等により形成することができる。合成樹脂は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリスルフォン、ポリエチリデンノルボルネン等の合成樹脂が挙げられる。これらの合成樹脂のうちでは、透光性に優れるとともに、成形も容易であるポリカーボネート、アクリル樹脂等が好ましい。
また、透光性を有さない部分は、セラミック及び金属等により形成することもできる。セラミックは特に限定されず、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック等の各種のセラミックを用いることができる。酸化物系セラミックとしては、アルミナ、ムライト、ジルコニア等が挙げられる。また、窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、サイアロン、窒化チタン、窒化アルミニウム等が挙げられる。更に、炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化アルミニウム等が挙げられる。セラミックとしては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等が好ましく、アルミナが特に好ましい。更に、金属も特に限定されず、ステンレス鋼及びアルミニウム等の軽金属などを用いることができる。
上記の材料を用いて気密容器1を形成する方法も特に限定されない。この方法としては、例えば、光電変換素子2を収容するための開口部を有する所定形状の容器を成形する方法が挙げられる。この方法では、開口部は、光電変換素子を収容した後、開口部を封止することができる成形体等により封止することができる。封止用の成形体は開口部に接着剤等により接合してもよく、融着させてもよい。ガラスも合成樹脂も融着させることができるが、融着の場合は同質のガラス、同種の合成樹脂を用いることが好ましい。更に、気密容器1は、例えば、平板状の容器である場合、容器の一面、他面及び側面となる板状体を成形し、これらを接着剤等により接合し、又は融着させて容器としてもよい。融着の場合は同質のガラス、同種の合成樹脂を用いることが好ましい。
気密容器1の容器壁の厚さも特に限定されず、全面が均一な厚さであってもよく、厚さが他の個所と異なる部分があってもよい。特に必要でない限り、全面を均一な厚さにするのが一般的である。この厚さは容器の強度も勘案する必要があるが、500μm〜10mmとすることができ、500μm〜5mm、特に700μm〜5mm、更に700μm〜2mmとすることが好ましい。また、特に、容器壁のうち透光部11の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、上記の透過率が60〜99%、特に80〜99%となる厚さであることが好ましい。
気密容器1は、透光部11の少なくとも一部に紫外線遮蔽部111を備える。この紫外線遮蔽部111は、透光部11の所要部分に、紫外線吸収性物質を含有する皮膜1111を配設して形成することができる。この皮膜1111の配設は、紫外線吸収性物質が配合された合成樹脂等を含有するスラリーなどを、容器壁の所要部分に塗布し、乾燥させ、必要に応じて加熱することにより行うことができる。更に、紫外線吸収性物質を含有する樹脂フィルム等を、容器壁の所要部分に貼着することで皮膜1111とすることもできる。この皮膜は容器の外面に配設してもよいし、内面に配設してもよいが、配設のし易さから、通常、容器の外面に配設される。また、紫外線遮蔽部111は、予め紫外線吸収性物質が配合されたガラス、合成樹脂等を用いて容器を成形することにより形成することもできる。この場合、気密容器1の全体を紫外線吸収性物質が配合されたガラス、合成樹脂等を用いて形成してもよいし、紫外線遮蔽部111のみ、又はこの紫外線遮蔽部111を含む部分を紫外線吸収性物質が配合されたガラス、合成樹脂等を用いて形成し、他部は紫外線吸収性物質が配合されていないガラス、合成樹脂等を用いて形成してもよい。
紫外線吸収性物質は特に限定されず、無機半導体微粒子、有機紫外線吸収剤等を用いることができる。無機半導体微粒子としては、アナターゼ型チタニア、ルチル型チタニア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等の半導体物質の微粒子が挙げられる。これらの半導体微粒子は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、有機紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、トリアジン系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系などの各種の紫外線吸収剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
気密容器1には、窒素ガス及び/又はヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されている。窒素ガス及び/又は不活性ガスが封入されているため、酸素及び湿分の影響を低減することができ、より耐久性を向上させることができる。窒素ガス及び/又は不活性ガスが封入された気密容器1内の圧力は特に限定されず、0.1〜0.5MPa、特に0.1〜0.2MPaとすることができる。尚、この場合の気密容器の気密とは、外部からの大気及び湿分の侵入が防止され、又は少なくとも抑えられ、且つ内部からの窒素ガス及び/又は不活性ガスの漏出が防止され、又は少なくとも抑えられることを意味する。
気密容器1には脱酸素材を封入させることができる。この脱酸素材は特に限定されず、例えば、活性炭、シリカゲル、モレキュラシーブ(合成ゼオライト)、酸化マグネシウム、酸化鉄等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらの脱酸素材は、通常、粉末状、粒状等であるため、多孔質樹脂シート等からなる気体は透過するが脱酸素材は漏出しない袋状容器に収納した後、開口部を熱融着する等の方法で密封し、この袋状容器3を気密容器1の内部の所定位置に接着剤等により接合し、封入させることができる。
また、気密容器1には吸湿材を封入させることもできる。この吸湿材は特に限定されず、物理的に湿分を吸着する化合物及び湿分と化学的に反応する化合物のいずれも用いることができる。この吸湿材としては、例えば、シリカゲル、モレキュラシーブ(合成ゼオライト)、活性アルミナ、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)等のアルカリ金属酸化物、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)等のアルカリ土類金属酸化物、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)等の硫酸塩、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)等の金属のハロゲン化物、過塩素酸マグネシウム[Mg(ClO]、過塩素酸バリウム[Ba(ClO]等の過塩素酸塩、炭酸カリウム(KCO)、炭酸カルシウム(CaCO)等の炭酸塩、五酸化リン、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムリチウム、金属ナトリウム等の活性金属、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等の有機吸湿材などが挙げられる。これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらの脱酸素材は、通常、粉末状、粒状等であるため、多孔質樹脂シートからなる気体は透過するが吸湿材は漏出しない袋状容器に収納した後、開口部を熱融着する等の方法で密封し、この袋状容器3を気密容器1の内部の所定位置に接着剤等により接合し、封入させることができる。
尚、気密容器には、脱酸素材、吸湿材の他、更に有機ガス等を吸着する吸着材などを封入させることもできる。
更に、光電変換素子からの電流を容器壁を経て外部へ取り出すため、外部取り出し電極4が配設される。
上記「光電変換素子2」は特に限定されないが、色素増感型太陽電池、シリコン系太陽電池等が挙げられる。本発明の光電変換素子構造体は、収容される光電変換素子が、増感色素、電解質等の、他の構成部材に比べて紫外線劣化及び酸化劣化し易く、更に湿分の影響も受け易い構成部材を備える色素増感型太陽電池である場合に、その作用、効果が特に顕著である。以下、色素増感型太陽電池について詳述する。
色素増感型太陽電池201は、透光性基板21、透光性基板21の一面に設けられた透光性導電層22、透光性導電層22の表面に設けられた増感色素を有する半導体電極23を備える一方の積層体と、基板24及び基板24の一面に設けられた触媒層25を備える他方の積層体と、半導体電極23と触媒層25との間に設けられた電解質層26と、を具備する。
透光性基板21としては、ガラス、樹脂シート等からなる透光性を有する基板が挙げられる。樹脂シートは特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエチリデンノルボルネン等からなる樹脂シートが挙げられる。この透光性基板1の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、下記の透過率が60〜99%、特に80〜99%となる厚さであることが好ましい。
この透光性とは、波長400〜900nmの可視光の透過率が10%以上であることを意味する。この透過率は60%以上、特に80%以上であることが好ましい。
透過率(%)=(透過した光量/入射した光量)×100
透光性導電層22は、透光性及び導電性を有しておればよい。この透光性導電層22は特に限定されず、導電性酸化物からなる薄膜、金属薄膜、炭素薄膜等が挙げられる。導電性酸化物としては、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛等が挙げられる。また、金属としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等が挙げられる。この透光性導電層22の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、表面抵抗が100Ω/□以下、特に1〜10Ω/□となる厚さであることが好ましい。更に、透光性導電層22の形成方法は特に限定されないが、金属、導電性酸化物等の微粒子を含有するペーストを、透光性基板21の表面に塗布して形成することができる。この塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法が挙げられる。透光性導電層22は、金属、導電性酸化物等を用いたスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等により形成することもできる。
増感色素としては、光電変換の作用を向上させる錯体色素及び有機色素を用いることができる。この錯体色素としてはルテニウム錯体色素及びオスミウム錯体色素等の金属錯体色素が挙げられ、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。有機色素としてはポリメチン色素、メロシアニン色素、クマリン色素等が挙げられる。更に、光電変換がなされる波長域を拡大し、変換効率を向上させるため、増感作用が発現される波長域の異なる2種以上の増感色素を併用することもできる。この場合、照射される光の波長域と強度分布とによって併用する増感色素の種類及びそれらの量比を設定することが好ましい。また、増感色素は半導体電極に結合するための官能基を有することが好ましい。この官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基等が挙げられる。
半導体電極23の電極基体は金属酸化物、金属硫化物等により形成することができる。金属酸化物としては、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛、五酸化二ニオブ等の酸化ニオブ、酸化タンタル、ジルコニア等が挙げられる。また、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等の複酸化物を用いることもできる。更に、金属硫化物としては、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化ビスマス等が挙げられる。電極基体の作製方法は特に限定されず、例えば、金属酸化物、金属硫化物等の微粒子を含有するペーストを透光性導電層22の表面に塗布し、焼成することにより作製することができる。ペーストの塗布方法も特に限定されず、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等が挙げられる。このようにして作製された電極基体は微粒子が集合してなる集合体の形態で形成される。
電極基体は、透光性導電層22の表面に、金属酸化物、金属硫化物等の微粒子及び少量の有機高分子等が分散されたコロイド溶液を塗布し、その後、乾燥し、次いで、加熱して有機高分子を分解させて除去することにより作製することもできる。このコロイド溶液も、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法により塗布することができる。この方法により作製した電極基体も微粒子が集合してなる集合体の形態で形成される。
半導体電極23の厚さは特に限定されないが、0.1〜100μmとすることができ、1〜50μm、特に2〜40μm、更に5〜30μmとすることが好ましい。半導体電極の厚さが0.1〜100μmであれば、光電変換が十分になされ、発電効率が向上する。また、半導体電極23は、その強度及び透光性導電層22との密着性を向上させるため熱処理することが好ましい。熱処理の温度及び時間は特に限定されないが、熱処理温度は40〜700℃、特に100〜500℃、熱処理時間は10分〜10時間、特に20分〜5時間とすることが好ましい。尚、透光性基板として樹脂シートを用いる場合は、樹脂が熱劣化しないように低温で熱処理することが好ましい。
電極基体に増感色素を付着させる方法は特に限定されず、例えば、増感色素を有機溶媒に溶解させた溶液に電極基体を浸漬し、溶液を含侵させ、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることができる。また、この溶液を、電極基体に塗布し、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることもできる。この塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スピンコート法、スプレーコート法等が挙げられる。更に、この溶液は、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法により塗布することもできる。
電極基体に多くの増感色素を付着させるためには、電極基体を加熱して、浸漬、塗布等の処理を行うことが好ましい。この場合、電極基体の表面に水が吸着するのを避けるため、加熱後、常温に降温させることなく40〜100℃で速やかに処理することが好ましい。
基板24の材質は特に限定されない。基板24は、透光性基板21の場合と同様にガラス、樹脂シート等からなる透光性基板とすることができる。樹脂シートである場合、透光性基板21の場合と同様に、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエチリデンノルボルネン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。この基板24の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、ガラス、樹脂シート等からなる透光性基板である場合、前記の透過率が60〜99%、特に80〜99%となる厚さであることが好ましい。
基板24は、セラミック等からなる透光性を有さない基板とすることもできる。このセラミックとしては、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック等の各種のセラミックを用いることができる。酸化物系セラミックとしては、アルミナ、ムライト、ジルコニア等が挙げられる。また、窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、サイアロン、窒化チタン、窒化アルミニウム等が挙げられる。更に、炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化アルミニウム等が挙げられる。セラミックとしては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等が好ましく、アルミナが特に好ましい。
基板24がセラミックからなる場合、その厚さは特に限定されないが、100μm〜5mm、特に200μm〜3mm、更に300μm〜2mmとすることができる。セラミック基板の厚さが100μm〜5mm、特に200μm〜3mmであれば、この強度の大きい基板が支持基板となり、優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。
触媒層25は、触媒活性を有する物質、又は触媒活性を有する物質を含有する、金属、前記の透光性導電層の形成に用いられる導電性酸化物及び導電性高分子のうちの少なくとも1種、により形成することができる。触媒活性を有する物質としては、白金、金、銀、ロジウム等の貴金属、カーボンブラック等が挙げられ、これらは併せて導電性を有する。触媒層は、触媒活性を有し、且つ電気化学的に安定な貴金属により形成することが好ましく、触媒活性が高く、電解質溶液に腐食され難い白金を用いることが特に好ましい。
触媒活性を有さない、金属、導電性酸化物及び導電性高分子等を用いる場合、触媒層に混合されて用いられる金属としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、タングステン等が挙げられる。更に、触媒層に混合されて用いられる導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等が挙げられる。また、この導電性高分子としては、導電性を有さない樹脂に各種の導電性物質を配合して調製したものが挙げられる。この樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。更に、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。導電性物質も特に限定されず、カーボンブラック、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、タングステン等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーなどが挙げられる。導電性物質としては、導電性と触媒活性とを併せて有する貴金属及びカーボンブラックが特に好ましい。導電性物質は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このように、触媒層25は、触媒活性及び導電性を有する物質により形成することができる。また、触媒活性を有する物質を含有する、金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの少なくとも1種により形成することもできる。更に、触媒層25は、1種の材料のみからなる層でもよく、2種以上の材料からなる混合層でもよい。また、触媒層は、単層でもよく、金属層、導電性酸化物層、導電性高分子層、並びに金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの2種以上からなる混合層のうちの2層以上からなる多層の触媒層でもよい。この触媒層の厚さは特に限定されないが、単層及び多層のいずれの場合も、3nm〜10μm、特に3nm〜1μmとすることができる。触媒層の厚さが3nm〜10μmであれば、十分に抵抗の低い触媒層とすることができる。
触媒活性を有する物質からなる触媒層25は、触媒活性を有する物質の微粒子を含有するペーストを、基板24の表面に塗布して形成することができる。また、触媒活性を有する物質を含有する金属、導電性酸化物からなる触媒層25も、触媒活性を有する物質の場合と同様の方法により形成することができる。この塗布方法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法が挙げられる。更に、これらの触媒層25は、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等により、基板24の表面に金属等を堆積させて形成することもできる。また、触媒活性を有する物質を含有する導電性高分子からなる触媒層25は、導電性高分子と、粉末状又は繊維状等の触媒活性を有する物質とを、バンバリーミキサ、インターナルミキサー、オープンロール等の装置により混練して調製した樹脂組成物をフィルムに成形し、このフィルムをセラミック基板24の表面に接合して形成することができる。更に、樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて調製した溶液又は分散液を基板24の表面に塗布し、乾燥して、溶媒を除去し、必要に応じて加熱して形成することもできる。尚、触媒層25が混合層であるときは、含有される材料の種類に応じて、上記の各種の方法等のうちの適宜の方法により形成することができる。
電解質層26は、電解質溶液を用いて設けることができる。この電解質溶液には、電解質の他、通常、溶媒及び各種の添加剤等が含有される。電解質としては、(1)Iとヨウ化物、(2)Brと臭化物、(3)フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、(4)ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、(5)ビオロゲン色素、(6)ヒドロキノン−キノン、などを含有する電解質が挙げられる。(1)におけるヨウ化物としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI等の金属ヨウ化物、及びテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩などが挙げられる。また、(2)における臭化物としては、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr等の金属臭化物、及びテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物の臭素塩などが挙げられる。これらの電解質のうちでは、Iと、LiI及びピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせてなる電解質が特に好ましい。これらの電解質は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
電解質層26に含有される溶媒は、粘度が低く、イオン易動度が高く、十分なイオン伝導性を有する溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては、(1)エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、(2)3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、(3)ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、(4)エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、(5)メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のモノアルコール類、(6)エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、(7)アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル類のニトリル類、(8)ジメチルスルフォキシド、スルフォラン等の非プロトン極性物質などが挙げられる。
この電解質層26の厚さは特に限定されないが、200μm以下、特に100μm以下、更に50μm以下(通常、1μm以上)とすることができる。この厚さが200μm以下であれば、変換効率を十分に高くすることができる。
電解質層26は、半導体電極23と触媒層25との間に設けられる。電解質層26を設ける方法は特に限定されないが、電解質層26が電解質溶液を用いて設けられる場合、透光性導電層22と基板24又は触媒層25との間を、半導体電極23の周囲において樹脂又はガラスにより封着し、形成される密閉空間に電解質溶液を注入し、設けることができる。この密閉空間への電解質溶液の注入は、透光性基板21又は基板24の側から設けた注入口から行うことができる。注入口は、透光性基板21及び基板24のいずれの側から設けてもよいが、穿孔し易い側に設けることが好ましい。例えば、透光性基板21がガラス基板である場合は穿孔が容易ではなく、一方、基板24がセラミック基板である場合はガラス基板等に比べて穿孔し易い。特に、セラミック基板では、未焼成シートに穴開けパンチ等を用いて極めて容易に穿孔することもできる。そのため、基板24がセラミック基板であるときは、基板24の側から注入口を設けることが好ましい。尚、注入口は1個でよいが、空気抜きのため更に他の孔を設けることもできる。このように空気抜きのための孔を設けることで、電解質溶液をより容易に注入することができる。
半導体電極23の周囲の封着に用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。更に、この封着はガラスにより行うこともでき、特に長期の耐久性を必要とする太陽電池では、ガラスにより封着することが好ましい。
色素増感型太陽電池は、透光性基板21と透光性導電層22との間、又は透光性導電層22の表面に更に第1集電電極271が設けられた色素増感型太陽電池202とすることもできる。この第1集電電極271の形状は透光性が保持される限り特に限定されず、線状の電極からなり且つ特定の電極パターンにより形成されている電極とすることができる。例えば、格子状、櫛歯状、放射状等の形状の電極とすることができる。また、この線状の電極からなり且つ特定の電極パターンにより形成されている第1集電電極271の場合、線状の電極の幅及び厚さは特に限定されず、その電気抵抗及びコスト等を勘案し設定することが好ましい。第1集電電極271の全面積は、半導体電極23の全面積に対して0.1〜20%、特に0.1〜5%、更に0.1〜1%であることが好ましい。第1集電電極271の全面積が半導体電極23の全面積に対して0.1〜20%であれば、集電効率を高めることができ、且つ半導体電極23に照射される光量を十分に保持することができる。
更に、この色素増感型太陽電池は、基板24と触媒層25との間に第2集電電極272が設けられた色素増感型太陽電池203とすることもできる。この第2集電電極272は、触媒層25を白金、金等の導電性に優れる貴金属により形成し、特に20nm以上、更に1μm以上(通常、10μm以下)と厚くした場合は、導電性の観点からは設ける必要はないが、コストの面では設けることが好ましい。即ち、白金等は高価であるため、触媒層25をできるだけ薄層とすることが好ましいが、薄層であると抵抗が高くなるため、タングステン、チタン、ニッケル等の金属からなる第2集電電極272を設けることで、集電効率を向上させるとともに、コストを低減することができる。更に、触媒層25を前記の導電性酸化物に触媒活性を有する物質を配合した組成物等により形成したときは、触媒層25の抵抗はより高くなるため、第2集電電極272を設け、集電効率を高めることがより好ましい。
第2集電電極272の形状も特に限定されないが、基板24の側では透光性は必須でないため平面状とすることができる。この第2集電電極272が平面状である場合、抵抗の低い第2集電電極272とするためには、触媒層25と類似の平面形状であり、且つ触媒層25に対して50%以上、特に65%以上、更に80%以上(同面積でもよい。)の面積の平面状の電極であることが好ましい。更に、触媒層25と相似形に配設されることがより好ましい。また、第2集電電極272は、線状の電極からなり且つ特定の電極パターンにより形成されている電極とすることもできる。この特定のパターンは特に限定されず、例えば、格子状、櫛歯状、放射状等とすることができる。この線状の電極からなり且つ特定の電極パターンにより形成されている第2集電電極272の場合、線状の電極の幅及び厚さは特に限定されず、その電気抵抗及びコスト等を勘案し設定することが好ましい。第2集電電極272が線状の電極からなり且つ特定の電極パターンにより形成されている電極である場合、第2集電電極272の全面積は特に限定されないが、触媒層25の全面積に対して0.1%以上、特に5%以上、更に10%以上とすることができる。また、この全面積は90%以上とすることもでき、このように面積の広い第2集電電極272であれば、集電効率をより高めることができる。
第1集電電極271及び第2集電電極272を設ける方法は特に限定されないが、例えば、所定のパターンが形成されたマスクを用いて、マグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法などでタングステン、チタン、ニッケル等の金属、又はフッ素ドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム等の導電性酸化物などを堆積させ、その後、フォトリソグラフィー等によりパターニングする方法が挙げられる。また、各々の金属成分を含有するメタライズインクを用いてスクリーン印刷法等によりパターニングし、その後、焼成する方法などにより形成することができる。物理的蒸着法などに用いる金属としては、タングステン、チタン、ニッケルの他、白金、金等の貴金属、銅等を用いることもできる。この金属としては、耐腐食性に優れるタングステン、チタン、ニッケル、貴金属等を用いることが好ましい。更に、メタライズインクに含有される金属としても、タングステン、チタン、ニッケル、白金、金等の貴金属、銅等を用いることができる。この金属としては、耐腐食性に優れるタングステン、チタン、ニッケル、貴金属等を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
以下のようにして色素増感型太陽電池203を作製した。
[1]一方の積層体の作製
縦100mm、横100mm、厚さが1mmのガラス基板21の表面に、DCスパッタリングによりタングステンを厚さ2μm堆積させ、フォトリソグラフィーにより幅30μm、間隔500μmの格子状の第1集電電極271を形成した。その後、この第1集電電極271が形成されたガラス基板21の表面に、RFスパッタリングにより、厚さ800nmのフッ素ドープ酸化スズからなる透光性導電層22を形成した。次いで、この透光性導電層22の表面に、粒径が10〜20nmのチタニア粒子を含有するスラリー(Solaronix社製、商品名「Ti−Nonoxide D/SP」)をスクリーン印刷法により塗布し、120℃で1時間乾燥し、その後、480℃で30分焼成して、縦90mm、横90mm、厚さ20μmのチタニア電極層(電極基体)を形成した。次いで、この積層体を、ルテニウム錯体(Solaronix社製、商品名「535bis−TBA」)のエタノール溶液に10時間浸漬して、チタニア焼結粒子に400〜600nmの波長域の光を吸収する増感色素であるルテニウム錯体を付着させて半導体電極23を形成し、一方の積層体を作製した。
[2]他方の積層体の作製
上記(1)と同寸法のガラス基板24の表面に、RFスパッタリングにより、厚さ800nmのフッ素ドープ酸化スズからなる第2集電電極272を形成し、その後、第2集電電極272の表面に、白金粒子を含有するペースト(Solaronix社製、商品名「Pt−Catalyst T/SP」)をスクリーン印刷法により塗布し、100℃で10分間乾燥し、次いで、400℃で30分焼成して、縦90mm、横90mm、厚さ5μmの触媒層25を形成し、他方の積層体を作製した。
[3]色素増感型太陽電池の作製
他方の積層体の触媒層25が形成されていない部分に、熱可塑性樹脂からなる厚さ60μmの接着剤シート(Solaronix社製、商品名「SX1170−60」)を配設し、その後、一方の積層体を、その半導体電極23が他方の積層体の触媒層25と対向するように配置し、次いで、基板24の側を下にして80℃に調温されたホットプレートに載せ、5分加熱して一方の積層体の透光性導電層22と、他方の積層体の基板24とを接合し、接合部28を形成した。その後、一方の積層体の所定の位置に設けられた電解質溶液の注入口からヨウ素電解液(Solaronix社製、商品名「Iodolyte PN−50」)を注入し、半導体電極23と触媒層25との間に電解質層26を形成し、図6に示す色素増感型太陽電池203を作製した。ヨウ素電解液を注入後、注入口は上記の接着剤を用いて封止した。
[4]気密容器及びこの気密容器への色素増感型太陽電池の収容
内部寸法が縦102mm、横102mm、高さ2.1mm、容器壁の厚さが1.1mmのガラス製の容器本体12と、縦104.2mm、横104.2mm、厚さ1.1mmの容器本体と同材質の蓋体13とを形成した。尚、蓋体13の容器外面となる表面及び側面並びに容器本体12の側壁の容器外面となる面には、無機半導体微粒子であるアナターゼ型チタニア微粒子を含有するペーストを塗布し、乾燥して紫外線遮蔽部111となる皮膜を形成した。その後、容器本体12の内部の横方向の一方の端部側に、脱酸素材兼吸湿材としてシリカゲルを収納した多孔質ポリエチレンフィルムからなる袋状容器3をエポキシ接着剤により接合し、固定した。次いで、窒素ガス雰囲気下、容器本体12に色素増感型太陽電池203を収容し、その後、エポキシ接着剤により蓋体13を紫外線遮蔽部111となる皮膜が外側となるようにして容器本体12に接合し、固定して、光電変換素子構造体(以下、「色素増感型太陽電池構造体」という。)101を作製した。
[5]色素増感型太陽電池及び色素増感型太陽電池構造体の性能評価
(1)色素増感型太陽電池203の性能評価
上記[1]〜[3]により作製した色素増感型太陽電池203に、AM1.5にスペクトル調整したソーラーシミュレータによって、照射強度100mW/cmの擬似太陽光を照射したところ、1cm当たりの開放電流7.97mA、開放電圧0.64V、変換効率5.10%の特性を有していた。
(2)色素増感型太陽電池構造体101の性能評価
上記[4]により作製した色素増感型太陽電池構造体101に、大気中にて50mW/cmの強度の紫外線を100時間照射し、その後、上記(1)と同様にして性能を評価したところ変化はみられなかった。更に、この色素増感型太陽電池構造体101を、大気中、温度85℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間曝した後、上記(1)と同様にして性能を評価したところ変化はみられなかった。また、色素増感型太陽電池203及び気密容器1の外観に何ら変化は見られなかった。
実施例2
脱酸素材兼吸湿材としてシリカゲルを収納した多孔質ポリエチレンフィルムからなる袋状容器3を用いなかった他は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池構造体102を作製した。
この色素増感型太陽電池構造体102の性能を実施例1の場合と同様にして評価したところ、紫外線照射後の1cm当たりの開放電流は7.87mA、開放電圧は0.65V、光電変換効率は5.12%であり、耐湿試験後の1cm当たりの開放電流は7.85mA、開放電圧は0.63V、光電変換効率は4.94%であって、実施例1に比べて性能低下がみられたが、下記の比較例1に比べ優れていた。尚、色素増感型太陽電池203及び気密容器1の外観に何ら変化は見られなかった。
比較例1
実施例1と同様にして色素増感型太陽電池203を作製し、実施例1の場合と同様にして評価したところ、1cm当たりの開放電流は7.88mA、開放電圧は0.64V、光電変換効率は5.04%であった。
また、この色素増感型太陽電池203を気密容器に収容せず、そのまま耐久性を評価したところ、紫外線照射後の1cm当たりの開放電流は7.54mA、開放電圧は0.61V、光電変換効率は4.60%であり、特性が少し低下していた。更に、耐湿試験後の1cm当たりの開放電流は3.57mA、開放電圧は0.60V、光電変換効率は2.10%であって、実施例1に比べて大きく性能が低下していた。尚、色素増感型太陽電池203の外観に何ら変化は見られなかった。
尚、本発明では、上記の実施例の記載に限られず、本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、電解質層26は、不揮発性のイミダゾリウム塩等のイオン性液体及びこのイオン性液体をゲル化させたもの、並びにヨウ化銅、チオシアン化銅等の固体により設けることもできる。また、この電解質層26の厚さは特に限定されないが、電解質溶液を用いた場合と同様に、200μm以下、特に100μm以下、更に50μm以下(通常、1μm以上)とすることができる。各々の場合の厚さの上限が所定値以下であれば、変換効率を十分に高くすることができる。
気密容器の一面側及び側面側の外面に紫外線遮蔽部となる皮膜が形成され、且つ気密容器内に、脱酸素材等が収納された袋状容器が固定され、窒素ガス等が封入された色素増感型太陽電池構造体101の断面を示す模式図である。 図1の光電変換素子構造体において脱酸素材等が収納された袋状容器が用いられていない色素増感型太陽電池構造体102の断面を示す模式図である。 気密容器の容器壁に紫外線吸収性物質が含有され、紫外線遮蔽部が形成され、且つ気密容器内に、脱酸素材等が収納された袋状容器が固定され、窒素ガス等が封入された色素増感型太陽電池構造体103の断面を示す模式図である。 透光性基板、透光性導電層、半導体電極、基板、触媒層及び電解質層を備える色素増感型太陽電池201の断面を示す模式図である。 図4の太陽電池において更に透光性基板と透光性導電層との間に第1集電電極を備える色素増感型太陽電池202の断面を示す模式図である。 図5の太陽電池において更に基板と触媒層との間に第2集電電極を備える色素増感型太陽電池203の断面を示す模式図である。
符号の説明
1;気密容器、11;透光部、111;紫外線遮蔽部、1111;皮膜、12;容器本体、13;蓋体、2;光電変換素子(色素増感型太陽電池)、21;透光性基板(ガラス基板)、22;透光性導電層、23;半導体電極、24;基板、25;触媒層、26;電解質層、271;第1集電電極、272;第2集電電極、28;接合部、101、102、103;色素増感型太陽電池構造体、201、202、203;色素増感型太陽電池、3;脱酸素材、吸湿材等が収納された袋状容器、4;外部取り出し電極。

Claims (4)

  1. 容器壁の少なくとも一部に透光部11を有し、且つ該透光部11の少なくとも一部に紫外線遮蔽部111を有する気密容器1と、該気密容器1内に収容された光電変換素子2と、該気密容器1内に封入された窒素ガス及び不活性ガスの少なくとも一方と、を備えることを特徴とする光電変換素子構造体。
  2. 上記気密容器1内に脱酸素材が封入された請求項1に記載の光電変換素子構造体。
  3. 上記気密容器1内に吸湿材が封入された請求項1又は2に記載の光電変換素子構造体。
  4. 上記光電変換素子2が色素増感型太陽電池である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の光電変換素子構造体。
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