JPWO2006090661A1 - 両面研磨装置用キャリアおよびこれを用いた両面研磨装置、両面研磨方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そしてSUS材むき出しのキャリアに関しては、SUS材に含まれるFeやNiの半導体ウェーハへの汚染が発生する危険性がある。
次にSUS材の表面を樹脂コーティングしたキャリアがあるが、このキャリアもまた、樹脂が磨耗してライフが短く、半導体ウェーハへの金属汚染が生じる。さらに、研磨を行った半導体ウェーハの外周部にはダレが発生し易いという問題があった。
これを改良すべくSUS材に小孔をあけて、表裏の樹脂層を結合したキャリアが開示されているが、上述の問題点の決定的な解決には至っていない(特開平9−207064号公報参照)。
このように、キャリアの表面にコーティングされた前記膜の厚さが0.3μm〜5μmであれば、窒化チタン、DLCは硬度が高いため、キャリアの保護として十分な厚さであり、また、樹脂コートに比べれば十分に薄いので、外周部にダレのないウェーハを得るのに妨げとならない。
このように、上下定盤の間に挟まれたウェーハを半導体ウェーハとすることができ、金属不純物の汚染が抑えられ、平坦度が高く、外周部にダレが生じていない半導体ウェーハを得ることが可能である。
このように、前記本発明の両面研磨装置用キャリアを具備した両面研磨装置であれば、キャリア又はキャリア表面をコーティングする膜の硬度が高いため研磨時の磨耗が小さく、キャリアの傷や破損の発生を低減し、キャリアライフを延命することが可能である。また、例えば半導体ウェーハの研磨を行った場合、キャリアによる半導体ウェーハへの金属不純物の汚染を抑え、外周部のダレが生じていない半導体ウェーハに研磨することができる。
また、キャリアの硬度が高いため、磨耗が抑えられてキャリアライフが延び、コストを抑えて効率良くウェーハを両面研磨することが可能である。
従来の両面研磨装置用キャリアには、特にガラスエポキシ材やSUS材に樹脂コーティングを施したものが使用されてきた。
しかし、これらのキャリアでは表面の硬度が低く、研磨時の磨耗が大きいためにキャリアライフが短命となりコストがかかる等の問題があった。さらに、研磨により例えばキャリア中のFeやNiといった拡散係数の大きい金属不純物によって半導体ウェーハが汚染される危険が高い。また、表面に100〜200μmといった厚い樹脂が必要で、ウェーハ周辺の研磨布を押し圧する力が低下し、研磨後の半導体ウェーハの平面度に関して、外周部がダレてしまう問題があった。
ここで、図1は本発明の両面研磨装置用キャリアを具備した両面研磨装置の縦断面図、図2は平面視による両面研磨装置の内部構造図、図3は本発明の両面研磨装置用キャリアの概略図、図4は本発明と従来のキャリアによる半導体ウェーハの保持の様子を示す説明図である。
本発明は、ウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨装置において、ウェーハを保持しておくキャリアの改良に関するものであり、まず両面研磨装置の概要について図1及び図2を用いて説明する。
キャリア1には、保持孔4があけられており、その保持孔4の内周に沿ってウェーハのエッジ部に傷をつけないようにするための半導体ウェーハ保持部3が設けられている。また、キャリア1には保持孔4とは別に研磨液を通すための研磨液孔2があけられており、外周部には外周歯5が設けられている。
これは、研磨中にキャリア母体が削れ、研磨スラリーに混ざってウェーハを傷つけるのを硬度の高いこれらの膜でキャリア母体を保護することにより防ぐことができるためと考えられる。また、キャリアの厚さをラッピングして加工した際に、ラップ材がキャリア表面に汚れとして付着し、キャリアの洗浄を行っても除去できない場合においても、この汚れごとキャリア表面をコーティングすることになるので、それによってウェーハのキズ発生を防ぐことができると思われる。
そして、研磨液孔2は研磨時に供給される研磨スラリーを通すための穴であり、この穴を通じて下面側の研磨面にも満遍なく研磨スラリーが供給される。
外周歯5は上述のようにサンギヤ13、インターナルギヤ14と噛合し、研磨時、キャリア1はサンギヤ13の周りを自転及び公転する。
また、リテーナー効果の低減を防ぐために樹脂コーティングをせずにSUS材むき出しのものや、膜48の厚さを薄くして保持部40との段差をなくしたもので研磨を行った場合は、半導体ウェーハWへの金属汚染が生じて使いものにならない。
また、図4(B)に示すように、本発明のキャリア42では、キャリア母体45の表面に膜47のコーティングを施しても、その厚さは0.3〜5μmの薄さで十分であるため、ほとんど段差は生じない。従って、リテーナー効果はほとんど低減せず、研磨後の半導体ウェーハの外周部のダレへの影響は抑えられ、高い平坦度を有する半導体ウェーハを得ることができる。
(実施例1、2・比較例1)
まず、本発明のキャリアと従来のキャリアを一定の研磨条件でキャリアの厚さが規格外となるまで研磨し、かかった時間を計測した。測定したキャリアは、形状が図3のようなもので、チタン材むき出しのもの(厚さ778μm:実施例1)、チタン材の表面をDLC膜でコーティングしたもの(チタン材の厚さ774μm、DLC膜の厚さ2μm:実施例2)、SUS材の表面に樹脂コーティングを施したもの(SUSの厚さ598μm、樹脂コーティングの厚さ90μm:比較例1)の3つである。
このように、本発明の両面研磨装置用キャリアを用いれば、硬度が高く耐久性があり、キャリアライフが長く、コスト低減につながることが判る。
次に、サンプルウェーハとして、直径300mmのシリコンウェーハを用意した。このシリコンウェーハをキャリアに保持して、図1、2に示したような両面研磨装置を用いて600分間両面研磨を行った。
この後、研磨後のサンプルウェーハを袋に入れて、硝酸とフッ酸の混合液を入れて煮沸し、袋の中の液体の不純物をICP−MSで分析する。
サンプルウェーハを保持するキャリアとして、材質がチタンでコーティングなしのもの(実施例3、4)、材質がSUSで表面を樹脂コーティングしたもの(比較例2、3)を用意し、各キャリアを用いて上述の実験を行った。
図5より、本発明のキャリアを使用した実施例3、4と、従来のキャリアを使用した比較例2、3では、FeとNiの濃度において大きな差が生じていることが判る。なお、実施例・比較例の研磨前のそれぞれのFe、Niの濃度は、実施例の研磨後の分析結果と同じ値だった。これより、比較例ではキャリア中のFe、Niによってサンプルウェーハが汚染され、一方実施例においてはサンプルウェーハへの汚染がないことが判る。
また、Tiの濃度に関しては実施例・比較例共に、研磨前と研磨後でほとんど変化がなかった。
このように、本発明のキャリアのように材質をチタンとすれば、金属不純物による半導体ウェーハへの汚染を抑制することができることが判る。
次に、本発明である材質がチタンのキャリアを用いてサンプルウェーハを両面研磨して、研磨後のサンプルウェーハの形状のデータを計測して(測定器:黒田精工社製ナノメトロ300TT)、GBIR、SFQR(max)、SBIR(max)、ロールオフの測定を行った(実施例5)。
さらに、従来のものである、SUS材に樹脂コーティングを施したキャリアを用いて実施例5と同様両面研磨を行い、その後測定した(比較例4)。
また、SFQR(site front least squares range)はウェーハ裏面を平面に矯正した状態で、設定されたサイト内でデータを最小二乗法にて算出したサイト内平面を基準平面とし、各サイト毎のこの平面からの最大、最小の位置変位の差を示す。(max)とは、各サイト毎のその差のうち最大のものを指す。
SBIR(site back ideal range)はウェーハ裏面を平面に矯正した状態で、裏面基準面にて各サイト毎の表面高さの最大値と最小値の差を指す。(max)はSFQRと同様、各サイト毎のその差のうち最大のものを指す。
そしてロールオフとはウェーハ最外周部のダレであり、ウェーハ裏面を平面に矯正した状態で、中心部と外周部の表面高さの最大値と最小値の差を指す。
このように、各データにおいて本発明のキャリアを使用した実施例5では、従来のキャリアを使用した比較例4よりもいずれも小さい値を示しており、平坦度がより高いことが判る。特に周辺のダレを防止する効果が高い。一方、比較例4のデータより外周部のダレの様子がよく確認できる(図6(B)円で囲まれた部分)。
このように、本発明のキャリアを使用してウェーハを両面研磨すれば、平坦度が高く、外周部にダレが生じていない半導体ウェーハを得ることができる。
サンプルウェーハを保持するキャリアとして、材質がチタンで、コーティングなしのもの(実施例6)、DLC膜でコーティングしたもの(実施例7)を用意し、図1、2に示したような両面研磨装置を用い、それぞれサンプルウェーハ250枚に両面研磨を施した。
研磨後のサンプルウェーハを、ウェーハ裏面検査装置RXM−1227E(レイテックス社製)にかけ、CCDによる画像処理によってウェーハ裏面のキズの有無を確認した。
このとき、上記方法により検出されたキズが一つでもあればキズ不良(ただし、再研磨でウェーハは再生可能なので、ウェーハの不良とは限らない)と判定した。
図7より、DLC膜をコーティングしたキャリアを用いれば、ウェーハにキズが発生するのを効果的に防止することができ、より高品質のウェーハを得られることが判る。
Claims (6)
- 両面研磨装置において、研磨布が貼付された上下定盤の間に配設され、研磨の際に前記上下定盤の間に挟まれたウェーハを保持するための保持孔が形成された両面研磨装置用キャリアであって、前記キャリアの材質がチタンであることを特徴とする両面研磨装置用キャリア。
- 前記キャリアの表面が窒化チタン膜、DLC膜のいずれかによりコーティングされたものであることを特徴とする請求項1に記載の両面研磨装置用キャリア。
- 前記膜の厚さが0.3μm〜5μmであることを特徴とする請求項2に記載の両面研磨装置用キャリア。
- 前記上下定盤の間に挟まれたウェーハは半導体ウェーハであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の両面研磨装置用キャリア。
- 少なくとも、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の両面研磨装置用キャリアを具備したものであることを特徴とする両面研磨装置。
- ウェーハを両面研磨する方法であって、研磨布が貼付された上下定盤の間に請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のキャリアを配設し、該キャリアに形成された保持孔にウェーハを保持して、前記上下定盤の間に挟み込んで両面研磨することを特徴とするウェーハの両面研磨方法。
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