JPWO2006049066A1 - 圧力容器、圧縮機およびシリンダブロックの鋳造方法 - Google Patents

圧力容器、圧縮機およびシリンダブロックの鋳造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の圧力容器は、少なくとも一部が、マトリックスとなる軽金属41と、軽金属41中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもつ板状の鉄系部材42と、からなる金属複合材40からなる。この構成により、厚肉化を伴うことなく耐圧性を高めた新規の構成をもつ圧力容器および圧力容器からなるハウジングをもつ圧縮機を提供することができる。また、本発明の鋳造方法は、シリンダブロックの製造に適した鋳造方法であって、成形キャビティ面84をなす中空部(86,87)と、中空部に連通する注湯通路85と、をもつ鋳造型80に、開口端部に切り欠き45を有する略筒状の鉄系部材42を、開口端部が成形キャビティ面84に当接し、かつ、鉄系部材42の表裏面側に空間86、87をもって配設し、注湯通路85から軽金属の溶湯41’を切り欠き45を通じて中空部全体に充填して、鉄系部材42を軽金属41で鋳込むことを特徴とする。

Description

本発明は、気体などの加圧物質を収容する圧力容器に関するものである。
圧力容器は、たとえば自動車に搭載される空気調和機などに設けられる圧縮機のハウジング等として用いられており、近年、軽量化が求められている。そのため、耐圧性が必要とされる圧縮機のハウジングには、密度の小さいアルミニウムやマグネシウム等の軽金属が使われている。
ところが、単なる軽金属の鋳造品では、圧縮機のハウジングに要求される強度が得られ難く(アルミニウムの鋳造品では引張強さが200MPa程度)、高温環境下での強度はさらに低下(アルミニウムの鋳造品では200℃以上の高温域で常温の30%以上低下)する。したがって、要求される耐圧性を満足する程度の強度を得るためには、厚肉化が必要となるが、厚みが大きくなるほど鋳巣が発生し易くなるという問題がある。
厚肉化を伴うことなく圧縮機のハウジングの強度を向上させるために、ハウジングの構成部材であるシリンダブロックにおいては、軽金属製のブロック本体に鋳鉄ライナなどを圧入するなどして、摺動部の剛性や耐摩耗性などの摺動特性を向上させている。たとえば、特開昭59−074353号公報では、シリンダボアを有するハウジング要素であるシリンダブロックにおいて、展伸加工によって形成されたアルミニウム製ライナをシリンダボアに鋳包み、ライナの内周面に溶射層を形成している。その一方、ブロック本体と鋳鉄ライナとの密着性の問題から、鋳鉄ライナを省略したライナレスのシリンダブロックが開発されている。ところが、ライナレス構造では、摺動面の剛性が低いため、熱や内圧の程度によっては、変形することがある。
また、特開平10−318038号公報では、微細な金属線材からなる濾過材を用い、シリンダボアの内壁面に初晶珪素の凝集した珪素富化層を形成している。
そこで、本発明者等は、上記問題点に鑑み、新規な構成により厚肉化を伴うことなく耐圧性を高めた圧力容器および圧縮機に想到した。すなわち、本発明は、高い耐圧性を有する圧力容器および圧縮機を提供することを目的とする。また、耐圧性に優れ、鋳造品質の高いシリンダブロックの鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の圧力容器は、内部空間を有する略筒状の周壁部と、該周壁部の両端を閉鎖する端壁部と、からなる圧力容器であって、少なくとも一部が、マトリックスとなる軽金属と、該軽金属中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材と、からなる金属複合材からなることを特徴とする。
ここで、鉄系部材が「板状」とは、板状体を加工することによって得られるエキスパンドメタルやパンチングメタルの他、ある程度の剛性を有するものであれば、複数本の線材からなる網状体も含む概念である。
本発明の圧力容器は、少なくとも一部が、軽金属中に鉄系部材が埋設されてなる金属複合材から構成されるため、鉄系部材による補強効果により耐圧性が高い。さらに、金属複合材が軽金属からなるため、軽量かつ耐圧性に優れた圧力容器である。また、鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつため、マトリックスである軽金属との密着性を確保できる。
そして、鉄系部材の開口率を13〜30%とすることにより、密着性と耐圧性とがともに良好な金属複合材となる。開口率が大きすぎると高い耐圧性を確保することが困難となり、開口率が低すぎるとマトリックスと鉄系部材との密着性が落ちる。開口率を13〜30%とすることで耐圧性と密着性のバランスのよい金属複合材が得られる。さらに好ましくは、開口率が18〜28%である。
また、本発明者等は、軽金属中に上記鉄系部材が埋設された高い強度をもつ金属複合材を耐圧性が望まれる部位、特に、機種によっては非常に高温・高圧になり通常のアルミニウム材では強度が低下する虞がある圧縮機のハウジングに用いることにより、優れた効果を発揮することに注目した。すなわち、本発明の圧縮機は、圧縮機構および該圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵するハウジングを有する圧縮機であって、該ハウジングの少なくとも一部が、マトリックスとなる軽金属と、該軽金属中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材と、からなる金属複合材からなることを特徴とする。
「ハウジング」は、主として圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵するものであればよく、たとえば、所定の位相をもった往復動によりガスを圧縮するピストンを有する代表的な形態の圧縮機であれば、ピストンを収容する複数個のシリンダボアを備えたシリンダブロックや、ピストンを駆動する駆動手段を収納する中空円筒部を備えたフロントハウジングであればよい。また、他の形式の圧縮機であっても、シリンダブロックやフロントハウジングに相当する形態のものであればよい。
本発明の圧縮機によれば、ハウジングが、上記構成をもつ金属複合材により形成されているため、軽量かつ耐圧性に優れた圧縮機となる。また、上記鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつため、マトリックスである軽金属との密着性を確保できる。さらに、圧縮機に用いられる冷媒の種類によっては、圧縮機の作動時に高温(COの使用で約180℃)となることがあるが、金属複合材を用いた圧縮機であれば、高温となっても強度が低下することなく、優れた耐圧性を示す。
前記ハウジングは、外側に突出し一体的に形成された、圧縮機を被取付体に固定するための前記軽金属からなる取付部を有し、該取付部の引張強さが460MPa以上であるのが好ましい。そうすれば、金属複合材を用いない軽金属からなる部分の強度を向上させることができ、耐圧性に優れ、かつ、金属複合材からなる部分のみならずハウジング全体が高い強度をもつ圧縮機となる。
また、本発明のシリンダブロックの鋳造方法は、少なくともシリンダボア用中子と共同してシリンダブロックの形状に対応する成形キャビティ面をなす中空部と、溶湯が注湯されるとともに該中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である略筒状の鉄系部材を該シリンダボア用中子と同軸的に配設する鉄系部材配設工程と、前記注湯通路から軽金属の溶湯を前記中空部に充填する軽金属充填工程と、を経て、前記鉄系部材を前記軽金属で鋳込むことを特徴とする。
この際、前記鉄系部材は、該鉄系部材の開口端部に前記通孔の一つの面積より大きい少なくとも1つの切り欠きを有し、前記鉄系部材配設工程にて該開口端部が前記成形キャビティ面に当接するとともに該鉄系部材の表裏面側に空間をもって配設され、前記軽金属充填工程において該切り欠きを通じて前記中空部全体に溶湯が充填されるのが望ましい。
本発明のシリンダブロックの鋳造方法では、板状の鉄系部材の開口率が13〜30%であるため、略筒状の鉄系部材の開口端部が成形キャビティ面に当接した状態で鋳造型に配設されると、軽金属の溶湯を鋳造型に注湯する際に、溶湯が鉄系部材の通孔を通過しにくいことがある。そのため、鉄系部材の表裏面側の少なくともいずれかに位置する空間に、軽金属の溶湯が十分に注湯されないことがある。そこで、鉄系部材の開口端部に少なくとも1つの切り欠きを設けると、この切り欠きを通じて鉄系部材の表裏面側に溶湯が十分に行き届き、中空部全体に良好に軽金属を充填することができる。その結果、シリンダブロックの外周面側から注湯しても、内周面側に位置するシリンダボア面にまで十分に注湯されるため、良好な摺動面が得られる。
以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより、本発明をより深く理解することができる。以下に、図面の簡単な説明をする。
図1Aは、本発明の圧力容器の周壁部の一例を示す図であって、周壁部を中空円筒形の円筒部材と仮定した場合の平面図である。また、図1Bは、図1Aの円筒部材の軸方向断面図である。
図2Aは、本発明の圧力容器の周壁部の一例を示す図であって、周壁部を中空円筒形の円筒部材と仮定した場合の平面図である。また、図2Bは、図2Aの円筒部材の軸方向断面図である。
図3は、本発明の圧縮機の一例である斜板式圧縮機の断面図である。
図4Aは、本発明のシリンダブロックの鋳造方法の一例を模式的に示す断面図である。また、図4Bは、図4Aの鉄系部材を模式的に示す側面図である。
図5は、実施例の圧力容器に用いられる金属複合材を構成するエキスパンドメタルの一部を示す図面代用写真である。
図6は、実施例の圧力容器に用いられる金属複合材を構成するエキスパンドメタルの厚さ方向の各位置でのビッカース硬さを測定した結果を示すグラフである。
図7は、実施例の圧力容器に用いられる金属複合材からなる試料を作製する金型を模式的に示す断面図(エキスパンドメタルの厚さ方向の断面図)である。
図8は、実施例の試料A〜JおよびF’の引張試験の結果を示すグラフである。
図9は、実施例の圧縮機のハウジング部材を模式的に示す断面図である。
図10は、実施例の圧縮機のハウジング部材を用いて行った耐圧試験のシミュレーション解析結果を示すグラフである。
本発明をより詳細に説述するために、以下に、本発明の圧力容器、圧縮機およびシリンダブロックの鋳造方法を実施するための最良の形態を、図1〜図4を用いて説明する。
[圧力容器]
本発明の圧力容器は、内部空間を有する略筒状の周壁部と、該周壁部の両端を閉鎖する端壁部と、からなる。この圧力容器は、具体的には、CNG(圧縮天然ガス)、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)などの各種ガスや各種加圧物質を収容する、一般的な圧力容器が有する構成と同様である。
周壁部や端壁部の形状に特に限定はないが、周壁部は、略円柱状の内部空間を有するのが好ましい。また、端壁部は、周壁部と一体的に形成されているのがよい。また、周壁部や端壁部には、必要に応じて、ガス等を流入または吐出する開口などを設けてもよい。
そして、本発明の圧力容器は、少なくとも一部が、金属複合材からなる。金属複合材は、マトリックスとなる軽金属と、軽金属中に埋設された鉄系部材と、からなるため、軽量で高強度である。
マトリックスとなる軽金属は、少なくとも鉄系部材を構成する鉄系材料よりも軽量で、金属複合材を形成する際に鉄系部材が溶融したり劣化したりすることがなければ、その種類に特に限定はない。たとえば、鉄系部材を構成する鉄系金属よりも融点が低い軽金属であれば鋳造により製造しやすい。具体的には、純アルミニウムやMg、Cu、Zn、Si、Mn等を含むアルミニウム合金などのアルミニウム系金属や、純マグネシウムやZn、Al、Zr、Mn、Th、希土類元素等を含むマグネシウム合金などのマグネシウム系金属であるのが好ましい。
鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつ。通孔を有することにより、鉄系部材が軽金属中に埋設された際に、両者の密着性を確保することができ、さらに、鉄系部材の開口率が13〜30%であれば、圧力容器の耐圧性を良好に向上させ、効果的に軽量化できる。さらに好ましくは、開口率が18〜28%である。この際、1つの通孔の面積が300μm以上であるのが好ましい。1つの通孔の面積が上記範囲であれば、軽金属と鉄系部材との密着性をさらに良好に確保することができる。さらに好ましい1つの通孔の面積は、300μm〜10mmである。
鉄系部材は、鉄を主成分とする金属で、板状であれば特に限定はないが、加工性に優れた各種圧延鋼板(JIS記号で、SPCC、SPHC等)を用いるのがよい。ここで、「板状」とは、ある程度の剛性(マトリックスとなる軽金属より高い弾性率)をもつ板状体であればよい。すなわち、金網などのように複数本の線材からなる網状体であっても、撓みを生じない程度の剛性を有するものであればよい。具体的には、板状体に多数のスリットを入れて板状体の延びる方向に引っ張ることによりスリットを拡張し通孔を形成することによって得られるエキスパンドメタルや、板状体に主として厚さ方向に多数の通孔を穿ったパンチングメタルなどが好ましい。これらの部材は、簡単に作製でき、入手が容易であり、加工性にも優れる。この際、鉄系部材の厚さが0.5〜2mmであるのが好ましい。鉄系部材の厚さが上記範囲であれば、圧力容器の耐圧性を良好に向上させることができ、2mm以下の厚さであっても十分な向上効果が得られる。
また、鉄系部材は、その表面が粗面となっているのが好ましい。鉄系部材の表面を粗面とすることにより、軽金属と鉄系部材との密着性が向上する。したがって、粗面化は、少なくとも軽金属と接触する鉄系部材の界面に施されていればよい。粗面の形成は、ショットブラストやショットピーニング等のブラスト加工による物理的な方法や、薬品による化学的な方法で粗面を形成すればよい。
また、鉄系部材は、浸炭処理が施されているのが望ましい。浸炭処理は、炭素鋼の表面から炭素を浸入させることにより表面部の炭素量を増加させ、表面部のみを硬化する処理法である。鉄系部材として用いられるエキスパンドメタル等に加工される鋼板は、比較的軟らかく加工性に優れているため、浸炭処理などを施すことにより、硬化させるのが望ましい。そして、上述したように、鉄系部材の板厚は、好ましくは0.5〜2mmであるため、このような鉄系部材に浸炭処理を施すと、鉄系部材全体に十分に炭素が浸入し硬化される。浸炭処理は、固体浸炭処理、液体浸炭処理、ガス浸炭処理、真空浸炭処理のうちどの浸炭法を用いてもよいが、鉄系部材は、浸炭窒化処理により厚さ方向の全ての部分において炭素と窒素が浸入した鉄系硬化部材であるのが望ましい。
鉄系部材は、軽金属中に埋設されている状態であれば、その位置に限定はなく、圧縮容器のうちの少なくとも一部、特に、高い圧力が加わる部分が、金属複合材からなればよい。なかでも、圧力容器の少なくとも周壁部の一部に位置するように鉄系部材を埋設する、すなわち、少なくとも前記周壁部の一部が金属複合材からなるのが好ましい。ここで、説明のために圧力容器の周壁部を、図1Aおよび図2Aの平面図、図1Bおよび図2Bの軸方向断面図により示されるような中空円筒形の円筒部材と仮定する。周壁部は、円筒部材の全体にわたって鉄系部材を使用して全体を金属複合材により形成する他、軸方向の一部に鉄系部材12を使用した周壁部(図1A,B)や、周方向の一部に鉄系部材22を使用した周壁部(図2A,B)とし、周壁部の一部を金属複合材10,20(図中の網掛けの部分)で形成し、他の部分を軽金属11,21のみ(図中の白抜きの部分)で形成してもよい。そして、少なくとも一部に上記金属複合材を用いた圧力容器は、強度が向上し耐圧性に優れる。なお、図1および図2において、11,21は軽金属、12,22は鉄系部材、13,23は鉄系部材12,22の通孔であり、図1Aと図2Aは、図1Bの矢印1a、図2Bの矢印2a方向から見た平面図である。
さらに、周壁部の周方向に略円筒形状の鉄系部材が埋設された圧力容器(たとえば図1参照)では、鉄系部材が埋設された部分だけではなく、周壁部の端を閉鎖する端壁部の耐圧性も向上する。これは、周方向に埋設された略円筒形状の鉄系部材により、周壁部のみならず端壁部の変形も抑制されるからである。すなわち、金属複合材により周壁部のみの最低限の補強を施すだけで、圧力容器全体の耐圧性を向上させることができる。
なお、鉄系部材が圧力容器の内周面側または外周面側に位置するように配置する場合は、鉄系部材の一部が圧力容器の表面に露出した状態であっても構わない。
また、鉄系部材は、複数枚積層させた状態で軽金属中に埋設させてもよい。前述したように、0.5〜2mm程度の薄い鉄系部材は浸炭や窒化がされやすい。したがって、厚い鉄系部材を1枚用いるよりも、十分に浸炭や窒化がされた薄い鉄系部材を複数枚用いる方が、効果的である。さらに、薄い鉄系部材の方が、所望の形状に加工し易いため、有利である。また、図1に示すような略円筒形状の鉄系部材を用いる場合には、内径の異なる複数の円筒部材を作製し、内径の大きな鉄系部材の筒内に順に挿入して積層させる他、平板状の鉄系部材を渦巻き状に巻回して重なり合わせることで積層させてもよい。
さらに、圧力容器では、主に周壁部の周方向(図1Aの矢印方向)に大きな荷重がかかることが分かっているため、鉄系部材の強度に異方性があっても、最も強度の高い方向を周壁部に周方向に合致させることにより、圧力容器の耐圧性が効果的に向上される。
本発明の金属複合材は、鋳造により製造されるのが望ましい。具体的には、圧力容器の形状に対応する成形キャビティ面を有する中空部と、溶湯が注湯されるとともに中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、既に説明した鉄系部材を配設する鉄系部材配設工程と、注湯通路から非鉄金属の溶湯を中空部に充填する非鉄金属充填工程と、を経て、鉄系部材を非鉄金属で鋳込む、いわゆるインサート成形方法であればよい。鋳造方法も、重力鋳造法、低圧鋳造法、溶湯鍛造法、ダイカスト法など、従来の方法を用いればよい。
[圧縮機]
本発明の圧縮機において、ハウジングとは、主として圧縮機構および該圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵する、いわゆる圧力容器に相当するものである。圧縮機としては、ピストンを往復動させることによりガスを圧縮する形態のものが代表的である。このような圧縮機であれば、斜板式やワッブル式、両頭型や片頭型、可変容量型や固定容量型、等のいずれの形態でもよい。この場合、ハウジングは、所定の位相をもった往復動によりガスを圧縮するピストンを収容する複数個のシリンダボアを備えたシリンダブロックや、ピストンを駆動する駆動手段を収納する中空円筒部を備えたフロントハウジングであればよい。以下に、可変容量型の片頭型斜板式圧縮機を例に具体的に説明する。
図3に、斜板式圧縮機の構成を示す。図3に示す斜板式圧縮機において、駆動軸30は、シリンダブロック32とフロントハウジング33により形成される斜板室34に収容されており、ラジアル軸受により回転自在に支持されている。そして、シリンダブロック32内には、駆動軸30を囲む位置に複数個のシリンダボア35が配設されている。各シリンダボア35には、片頭型のピストン36がそれぞれ往復動可能に嵌挿されている。斜板室34内においては、駆動軸30にはロータ37が結合され、そのロータ37の後方に斜板38が嵌合されている。特に、可変容量型の圧縮機では、斜板38は支点回りに傾動可能となっており、斜板室34の圧力変化に基づくピストン36の両端面に作用するガス圧の釣り合いによって、斜板38の傾角変位を制御するようになっている。また、斜板38には、両端面外周側に平滑な摺接面38pが形成され、この摺接面38pにはシュー39の摺動面39pが当接されている。これらのシュー39は、ピストン36の半球面座36pと係合されている。このシューを介してピストン36が斜板38と連係することにより、斜板38の回転運動がピストン36の直線運動に変換されて媒体の圧縮が行われる。すなわち、図3に示す斜板式圧縮機において、圧縮機構に含まれる駆動軸30や斜板38はフロントハウジング33に、シリンダボア35に区画された作動空間はシリンダブロック32に内蔵されている。
また、上記以外の形式の圧縮機であってもよい。たとえば、圧縮機構として渦巻き状のスクロールを有し区画された空間に容積変化を起こしてガスを圧縮するスクロール型圧縮機であればスクロール部を収納するハウジング、また、圧縮機構としてベーンを有し区画された空間に容積変化を起こしてガスを圧縮するベーン型圧縮機であればベーン部を収納するハウジング、など上記シリンダブロックやフロントハウジングに相当する形態のものであればよい。
そして、本発明の圧縮機は、ハウジングの少なくとも一部が前述の金属複合材からなる。換言すれば、本発明の圧縮機は、既に説明した本発明の圧力容器からなるハウジングを有する。したがって、ハウジングは、金属複合材からなるシリンダブロックやフロントハウジング等の各種ハウジング部材を含む構成であるのが望ましい。金属複合材は、マトリックスとなる軽金属と、軽金属中に埋設された鉄系部材と、からなるため、金属複合材で形成されたハウジングは軽量で高強度である。特に、シリンダブロックは、ライナを省略したライナレス構造であっても、熱や内圧により生じる変形が低減される。
また、ハウジングは、外側に突出し一体的に形成された、圧縮機を被取付体(エンジンブロック等)に固定するための軽金属からなる取付部を有するのが好ましい。取付部の形状に特に限定はないが、たとえば、図3に示すようなボルトが挿通される挿通穴を有する取付部300である。そして、取付部は取付時の応力集中に起因する取付部またはハウジング全体の変形や破損を防止するために高強度であるのがよく、取付部の引張強さが460MPa以上であるのが望ましい。たとえば、金属複合材を構成する軽金属がアルミニウム合金である場合、熱処理(たとえば調質記号でT6と示される一般的な焼入れ後の焼戻し処理)により機械的強度を向上させることができ、その結果、軽金属のみからなる部分であっても高強度とすることが可能である。
[シリンダブロックの鋳造方法]
シリンダブロックや他の形式の圧力容器は、鉄系部材を軽金属で所望の形状に鋳込むことにより鋳造できる。すなわち、本発明のシリンダブロックの鋳造方法は、鋳造型に略円筒状の鉄系部材を配設する鉄系部材配設工程と、軽金属の溶湯を鋳造型に充填する軽金属充填工程と、を有する。鉄系部材配設工程は、少なくともシリンダボア用中子と共同してシリンダブロックの形状に対応する成形キャビティ面をなす中空部と、溶湯が注湯されるとともに中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、略円筒状の鉄系部材をシリンダーボア用中子と同軸的に配設する。軽金属充填工程は、注湯通路から軽金属の溶湯を中空部に充填する。
特に、略筒状の鉄系部材がシリンダブロックのシリンダボア面から所定の距離をもって埋設される場合には、鉄系部材の開口端部に切り欠きを設けた鉄系部材を用いると良好に鋳造できる。以下に、本発明のシリンダブロックの鋳造方法を、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。
なお、図4Aは、本発明のシリンダブロックの鋳造方法の一例を模式的に示す断面図である。また、図4Bは、図4Aで用いられる鉄系部材を模式的に示す側面図であって、図4Aの矢印b方向から鉄系部材のみを見た図である。図4では、説明のため、1つのシリンダボアを備えた円筒形状のシリンダブロックを示すが、複数のシリンダボアを有するシリンダブロックであってもよい。
本発明のシリンダブロックの鋳造方法は、主として鉄系部材配設工程と、軽金属充填工程と、を経て、鉄系部材42を軽金属41で鋳込むことで、金属複合材40を得る。
鉄系部材配設工程では、鋳造型に鉄系部材を配設する。用いられる鋳造型は、図4Aに示されるような、少なくともシリンダボア用中子83と共同してシリンダブロックの形状に対応する成形キャビティ面84をなす中空部(鉄系部材32が配設された部分と空間86、87とからなる)と、溶湯41’が注湯されるとともに中空部に連通する注湯通路85と、をもつ型であれば特に限定はない。したがって、図4Aのような複数の型81〜83で区画された成形キャビティ(中空部に相当)を有する鋳造型80であってもよく、注湯通路85の位置や大きさにも特に限定はなく、通常、鋳造に用いられる鋳造型を使用すればよい。
鉄系部材は、既に詳説したように、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち、その開口率が13〜30%である、略筒状の部材である。鉄系部材は、たとえば図4Aに示すように、鉄系部材42の開口端部が、成形キャビティの内面である成形キャビティ面84に当接し、かつ、鉄系部材42の表裏面側に外側空間86および内側空間87をもってシリンダボア用中子と同軸的に配設されるとよい。この場合、外側空間86と内側空間87とが鉄系部材42によって区画され、両者は切り欠き45で連通する。したがって、鉄系部材42に切り欠き45がないと、次の軽金属充填工程において、注湯通路83から注湯される軽金属の溶湯41’は、鉄系部材42の片面側に位置する外側空間86には良好に充填されるが、鉄系部材42は開口率が13〜30%であるため、溶湯41’が通孔を通って内側空間87に完全に充填されなかったり、充填されても時間を要する。つまり、鉄系部材が切り欠きを有することにより、軽金属充填工程において注湯される軽金属の溶湯は、容易に切り欠きを通過し、鉄系部材の表裏面側の空間に良好に回り込む。その結果、成形キャビティ面に沿った所望の形状のシリンダブロックが得られる。特に、本鋳造方法によれば、シリンダブロックの内周面側に位置し、ピストンとの摺動面となるシリンダボア面にも良好に注湯されるため、シリンダボア用中子の外周面に沿った平滑な摺動面が形成される。また、溶湯は切り欠きを通過しやすいので、注湯される溶湯の流れから受ける抵抗力により生じる鉄系部材の配設位置のズレが抑制される。
なお、切り欠きは、鉄系部材の位置によっては必ずしも形成する必要はなく、たとえば、略円筒状の鉄系部材の開口端部のうち、一端部のみが成形キャビティ面と当接する際には、切り欠きを形成しなくてもよい場合もある。
本発明のシリンダブロックの鋳造方法は、シリンダボア面のような摺動面を内側面に有する場合に好適であるが、既に説明した圧力容器や圧縮機のハウジングの作製にも適用できることは言うまでもない。
鉄系部材に形成される切り欠きの大きさは、鉄系部材の大きさにもよるが、1つの切り欠きの面積が10〜400mmであるのが好ましい。10mm以上であれば、溶湯が流入しやすく、溶湯が鋳造型の中空部に良好に充填される。また、400mmを超えると、切り欠きが形成された部分の金属複合材の強度が低下するため望ましくない。この際、切り欠きの面積は、鉄系部材の面積の10%程度であるのが望ましい。なお、鉄系部材の面積には、通孔の面積も含む。
また、鉄系部材の周縁部であれば、切り欠きが形成される位置に特に限定はない。切り欠きを鉄系部材の中央部付近に形成すると、鉄系部材の強度が低下するため、得られる金属複合材の強度が効果的に向上しないため望ましくない。
鉄系部材配設工程において、鉄系部材は、その両方の開口端部が成型キャビティ面に挟持された状態で鋳造型に配設できるため、注湯の際に生じる鉄系部材のズレが緩和されるが、成形キャビティ面は、鉄系部材の開口端部を保持する保持部を有するのが望ましい。成形キャビティ面が有する保持部に鉄系部材の開口端部が保持されれば、注湯の際に生じる鉄系部材の配設位置のズレが抑制される。保持部としては、図4Aに示すような成形キャビティ面から突出して鉄系部材の移動を妨げる突条831や、鉄系部材の周縁部と嵌合する保持溝であるのが望ましい。
軽金属充填工程では、注湯通路から軽金属の溶湯を中空部に充填する。軽金属の溶湯は、切り欠きを通じて中空部全体に容易に充填される。
なお、鉄系部材に粗面を形成する工程や、浸炭工程を、鉄系部材配設工程より前に行ってもよい。また、軽金属充填工程の後、必要に応じて熱処理を行い、マトリックスとなる軽金属の力学的性質を調整する調質処理を行ってもよく、さらに耐圧性の高いシリンダブロックを得ることもできる。その他、シリンダボア面に対してメッキや溶射などの表面処理を行うことにより、摺動特性がより向上する。
以上、本発明の圧力容器、圧縮機およびシリンダブロックの鋳造方法の実施形態を説明したが、本発明の圧力容器、圧縮機およびシリンダブロックの鋳造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の圧力容器および圧縮機の実施例を、図5〜図10を用いて説明する。
本実施例の圧力容器の耐圧性を評価するために、圧力容器に用いられる金属複合材からなる平板試験片(試料A〜GおよびF’)を作製した。以下に、各試料の作製手順を説明する。
[金属複合材の作製]
板状で厚さ方向に貫通する複数の通孔を有するエキスパンドメタル(工業用冷間圧延鋼板(SPCC)、厚さ:900μm、開口率:18%、1つの通孔の面積:300μm、厚さ方向より撮影した写真を図5に示す。)を準備した。エキスパンドメタルには、浸炭窒化処理、焼戻し、または、ショットブラストを施すことによりエキスパンドメタルM1〜M5を得た。M1〜M5に施した処理を表1に示す。また、M4において、開口率を28%とした他は同様の処理を施したM4’を準備した。
浸炭窒化処理は、NHを含む浸炭性ガスにより、エキスパンドメタルを650〜900℃に加熱し、C並びにNを同時に鋼材に反応させ拡散層を生ぜしめた後、油焼入れを行った。焼戻しは、150℃または550℃で1時間保持することにより行った。また、ショットブラストは、繊維状ブリット照射をエキスパンドメタルの両面にそれぞれ1分間(あわせて2分間)行った。なお、表1において、M1〜M5の括弧内に記載されている数字は焼戻し温度、記号はショットブラストの有無を示す。
得られたエキスパンドメタルM1〜M5について、表面粗さ測定、引張試験およびビッカース硬さ測定を行った。表面粗さ測定には、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密製)を用いた。測定結果より求めた中心線平均粗さ、十点平均粗さ、最大高さ(それぞれRa、Rz、Rmaxとし、複数回測定したものの平均値)を表1に示す。引張試験は、引張方向が図5の矢印方向となるようにエキスパンドメタルM1〜M5をJIS平板試験片の形状に加工し、後述の引張試験条件(条件I)により測定を行った。エキスパンドメタルM1〜M5が破断した際の応力を表1に示す。また、ビッカース硬さ測定は、エキスパンドメタルM1〜M5の厚さ方向の各位置(100μm間隔)で、一方の面側から他方の面側まで測定を行った。この際、測定荷重は、300kgfとした。各位置(一方の面からの厚さ方向の距離とする)でのビッカース硬さ(Hv)を図6に示す。なお、図6において、◇はM1、◆はM2、○はM3、●はM4、×はM5、をそれぞれ示す。
Figure 2006049066
次に、エキスパンドメタルM1〜M4、M4’を用いて試料A〜F、F’、G(金属複合材)を作製した。試料の作製には、所定形状の凹部91を有する下型90と、凹部91の壁面と摺接して嵌り込む形状の上型92と、からなる金型装置9(図7参照)を用いた。試料を作製する際には、金型装置9の金型温度を200〜350℃とし、下型90の凹部91の底面部にM1〜M4、M4’のいずれかのエキスパンドメタルMを載置し100〜300℃に予熱を行い、その状態で、凹部91にアルミニウム合金溶湯(ADC12、溶湯温度650〜800℃)を注湯した。その後、上型92を矢印方向に挿入し加圧(70〜100MPa)して鋳造を行った。なお、エキスパンドメタルを2枚使用する場合には、厚さ方向に2枚重ねて凹部91に載置する他は、上記と同様な方法で鋳造を行った。各試料の作成条件を表2に示す。
また、比較例として、アルミニウム合金(ADC12)からなる試料H〜Jを作製した。試料H〜Jは、上記の鋳造方法において、エキスパンドメタルを用いない他は同様に鋳造により作製した。なお、試料H〜Jは、後述の引張試験条件が異なるが、組成等は全て同じ試料である。
[評価]
試料A〜JおよびF’の強度を評価するために、引張試験を行った。
作製した試料A〜JおよびF’を所定の形状に加工して、JIS平板試験片(厚さ1mm)を作製した。この際、引張試験の引張方向がエキスパンドメタルに対して図5の矢印方向となるように加工した。なお、引張試験は、5tオートグラフ(島津製作所製、AG−5000A)により、室温にて(条件I)、180℃で100時間保持後180℃にて(条件II)、200℃で5分間保持後200℃にて(条件III)、または、200℃で15分間保持後200℃にて(条件IV)、引張速度0.5mm/分で行った。各試料に対して行った引張試験の試験条件を表2に、各試料が破断した際の応力を表2および図8に示す。
Figure 2006049066
金属複合材である試料A〜Gは、いずれも破断応力が400MPa以上であり、エキスパンドメタルを用いていない試料H〜Jよりも高い強度を有した。そのため、試料A〜Gをハウジングに用いた圧縮機は、優れた耐圧性を有する。そして、試料A〜Gは、アルミニウム合金のみ(試料H〜J)では強度が低下する引張試験条件IIのような過酷な条件下でも、優れた強度を示した。
また、550℃で焼戻しを行ったエキスパンドメタルM3、M4を用いた試料D〜Gは、優れた強度(破断応力550MPa以上)を示した。そのため、試料D〜Gを用いた圧縮容器は、特に優れた耐圧性を有する。中でも、ショットブラストを施したM4を用いた試料Fでは、エキスパンドメタルの表面が好適に粗面化され、その硬さがHv(0.3)=200〜400程度であるため、特に優れた強度(破断応力584.81MPa)を示した。
なお、150℃で焼戻しを行ったエキスパンドメタルM1、M2は、表面硬度が非常に高く(Hv(0.3)=800程度)脆いため、試料A〜Cの強度が破断応力400〜500MPa程度にとどまったと推測できる。
また、エキスパンドメタルの開口率が異なる試料F(18%)と試料F’(28%)とでは、開口率の小さい試料Fの方が高い強度を有する。しかしながら、試料F’は、エキスパンドメタルを用いていない試料H〜Jよりも高い強度を示した。
[圧縮機のハウジング部材の作製]
次に、圧縮機のハウジングを構成するハウジング部材を作製し、耐圧性を評価した。以下に、ハウジング部材の作製方法を、図9を用いて説明する。なお、図9は、作製したハウジング部材の断面図である。
ハウジング部材5は、ハウジング部材5の形状に適応するキャビティをもつ主型と中子とからなる金型を用いた鋳造により作製した。キャビティには、平板状のエキスパンドメタル(表1のM4に相当)を曲げ加工し、互いに対向する端面を溶接して作製された円筒形状のエキスパンドメタルを2枚重ねて配設した。具体的には、2枚のエキスパンドメタル2は、内径が厚さ分異なる2つの円筒であって、一方の円筒が他方の円筒の筒内に挿入された状態で、中子と同軸的に配設した。その後、金型にアルミニウム合金の溶湯を注湯して、エキスパンドメタル2をアルミニウム合金1で鋳込んだ。
得られたハウジング部材5は、略円筒形の周壁部51と、周壁部51に一体的に形成され周壁部51の一端を閉塞する端壁部56と、からなり、軸方向の高さが81mm、周壁部51の内径が89.5mm、周壁部51の最大厚さが7mm、端壁部56の厚さが19mm、周壁部51の内周面からエキスパンドメタルの内周面までの距離1mm、エキスパンドメタルの高さ58mmであった。また、端壁部56には、ボルトを挿入するための複数の挿入孔58を加工した。
さらに、鋳造後のハウジング部材5に対して、T6の熱処理を行った。この熱処理により、アルミニウム合金部分を高剛性とした。
また、比較例として、エキスパンドメタル2を使用しない他は、ハウジング部材6と同様にしてハウジング部材5’を作製した。なお、ハウジング部材5およびハウジング部材5’の重量を測定したところ、ハウジング部材5は835.4gでハウジング部材5’は718.7gであり、ハウジング部材5の重量増加は僅かであった。
得られたハウジング部材5および5’に対してシミュレーション解析を行った。シミュレーション解析は、室温で、ハウジング部材内の内圧を27.5MPa、ボルト座面にかかる軸力を17kNと仮定したときのボルト座面裏(図9のR1で示す部分)および周壁部51と端壁部56との交差部分からなるR加工部(図9のR2で示す部分)に作用する最大応力を求めた。解析結果を図10に示す。
ボルト座面裏およびR加工部は、圧縮機のハウジングの中でも高い応力が集中しやすい部分である。金属複合材を用いていないハウジング部材5’では、ボルト座面裏では493MPa、R加工部では385MPaの応力が作用したが、ハウジング部材5では、周壁部51に金属複合材を用いたことにより、ボルト座面裏では359MPa、R加工部では210MPaとなり、作用する最大応力が大幅に低減された。すなわち、周壁部51に金属複合材を用いたハウジング部材5は、耐圧性が高い。
なお、ハウジング部材5に対して耐圧試験を行った。耐圧試験は、室温でボルトをトルク19Nmで締め付け後、油をハウジング内に満たした後加圧して破壊し、静的な評価を行なった。結果、内圧が28MPaに達するまで、破壊することなく使用することができた。

Claims (17)

  1. 内部空間を有する略筒状の周壁部と、該周壁部の両端を閉鎖する端壁部と、からなる圧力容器であって、少なくとも一部が、
    マトリックスとなる軽金属と、
    該軽金属中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材と、
    からなる金属複合材からなることを特徴とする圧力容器。
  2. 少なくとも前記周壁部の一部は、前記金属複合材からなる請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  3. 前記軽金属は、アルミニウム系金属またはマグネシウム系金属である請求項1記載の圧力容器。
  4. 前記鉄系部材は、開口率が18〜28%である請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  5. 前記鉄系部材は、エキスパンドメタルまたはパンチングメタルである請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  6. 前記鉄系部材は、複数本の線材からなる網状体である請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  7. 前記鉄系部材は、1つの通孔の面積が300μm以上である請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  8. 前記鉄系部材は、その表面が粗面となっている請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  9. 前記鉄系部材は、厚さが0.5〜2mmである請求の範囲第1項記載の圧力容器。
  10. 前記鉄系部材は、浸炭窒化処理により厚さ方向の全ての部分において炭素と窒素が浸入した鉄系硬化部材である請求の範囲第9項記載の圧力容器。
  11. 圧縮機構および該圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵するハウジングを有する圧縮機であって、該ハウジングの少なくとも一部が、
    マトリックスとなる軽金属と、
    該軽金属中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材と、
    からなる金属複合材からなることを特徴とする圧縮機。
  12. 前記圧縮機構は、所定の位相をもった往復動により前記ガスを圧縮するピストンを有し、
    前記ハウジングは、該ピストンを収容する複数個のシリンダボアを備え、前記金属複合材からなるシリンダブロックを含む請求の範囲第11項記載の圧縮機。
  13. 前記ハウジングは、中空円筒部を備え、前記金属複合材からなるフロントハウジングを含む請求の範囲第11項記載の圧縮機。
  14. 前記ハウジングは、外側に突出し一体的に形成された、圧縮機を被取付体に固定するための前記軽金属からなる取付部を有し、該取付部の引っ張り強さが460MPa以上である請求の範囲第11項記載の圧縮機。
  15. 少なくともシリンダボア用中子と共同してシリンダブロックの形状に対応する成形キャビティ面をなす中空部と、溶湯が注湯されるとともに該中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である略筒状の鉄系部材を該シリンダボア用中子と同軸的に配設する鉄系部材配設工程と、
    前記注湯通路から軽金属の溶湯を前記中空部に充填する軽金属充填工程と、
    を経て、前記鉄系部材を前記軽金属で鋳込むことを特徴とするシリンダブロックの鋳造方法。
  16. 前記鉄系部材は、該鉄系部材の開口端部に前記通孔の一つの面積より大きい少なくとも1つの切り欠きを有し、前記鉄系部材配設工程にて該開口端部が前記成形キャビティ面に当接するとともに該鉄系部材の表裏面側に空間をもって配設され、
    前記軽金属充填工程において該切り欠きを通じて前記中空部全体に溶湯が充填される請求の範囲第15項記載のシリンダブロックの鋳造方法。
  17. 前記成形キャビティ面は、前記鉄系部材の開口端部を保持する保持部を有する請求の範囲第15項記載のシリンダブロックの鋳造方法。
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