JPWO2006049065A1 - 金属複合材および金属複合材の鋳造方法 - Google Patents

金属複合材および金属複合材の鋳造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の金属複合材30は、マトリックスとなる非鉄金属31と、非鉄金属31中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が15〜30%である板状の鉄系部材32と、からなる、高い強度を有し新規の構成をもつ金属複合材である。非鉄金属31がアルミニウム等の軽金属であれば、軽量かつ高強度の金属複合材となる。また、本発明の鋳造方法は、成形キャビティ面84を有する中空部と溶湯31’を注湯する注湯通路83とをもつ鋳造型80に、周縁部に切り欠きを有する鉄系部材32の周縁部を成形キャビティ面84に当接させ、表裏面側に空間86,87をもって鉄系部材32を配設する工程と、注湯通路83から非鉄金属の溶湯31’を切り欠き35を通じて中空部全体に充填する工程と、を経て、鉄系部材32を非鉄金属31で鋳込む。

Description

本発明は、鉄系金属と非鉄金属とからなる金属複合材に関するものであり、さらに詳しくは、高い強度を有する金属複合材および金属複合材の鋳造方法に関する。
異種の構成素材を組み合わせてできた複合材は、構成素材の種類や体積比率を変化させることにより、従来の材料では達成できないような様々な特性を有する材料となるため、工業材料の多くの分野で極めて有用である。
複合材は、マトリックスの種類により、高分子系、セラミックス系、金属系に大別できる。マトリックスが金属である金属系の複合材では、アルミナ−シリカ短繊維、ガラス短繊維などの短繊維や、炭化珪素、窒化珪素、ホウ酸アルミニウムなどのウィスカなどが分散材として用いられており、具体的には、特公昭63−040943号公報や特開平11−293364号公報に開示されている。
そして、高い強度を有する金属複合材を得るためには、たとえば、分散材として炭化珪素のウィスカ等を用いることが考えられるが、これらの分散材は非常に高価であり加工性も低いという問題がある。
本発明者等は、上記問題点に鑑み、ウィスカ等の分散材の代わりに、比較的入手が容易で加工性に優れた部材を用い、高い強度を有する金属複合材が得られることに想到した。すなわち、本発明は、高い強度を有し新規の構成をもつ金属複合材を提供することを目的とする。また、本発明の金属複合材に適した鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の金属複合材は、マトリックスとなる非鉄金属と、該非鉄金属中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材と、からなることを特徴とする。
ここで、鉄系部材が「板状」とは、板状体を加工することによって得られるエキスパンドメタルやパンチングメタルの他、ある程度の剛性を有するものであれば、複数本の線材からなる網状体も含む概念である。
本発明の金属複合材は、非鉄金属中に上記鉄系部材が埋設されている構成であるため、鉄系部材により補強された強度の高い金属複合材である。特に、非鉄金属が軽金属であれば、軽量かつ高強度な金属複合材となる。また、上記鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつため、マトリックスである非鉄金属との密着性を確保できる。
そして、鉄系部材の開口率を13〜30%とすることにより、密着性と強度がともに良好な金属複合材となる。開口率が大きすぎると高い強度を確保することが困難となり、開口率が低すぎるとマトリックスと鉄系部材との密着性が落ちる。開口率を13〜30%とすることで強度と密着性のバランスのよい金属複合材が得られる。さらに好ましくは、開口率が18〜28%である。
また、本発明の金属複合材の鋳造方法は、鋳造品の形状に対応する成形キャビティ面を有する中空部と、溶湯が注湯されるとともに該中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材を配設する鉄系部材配設工程と、前記注湯通路から非鉄金属の溶湯を前記中空部に充填する非鉄金属充填工程と、を経て、前記鉄系部材を前記非鉄金属で鋳込むことを特徴とする。この際、前記鉄系部材は、該鉄系部材の周縁部に少なくとも1つの切り欠きを有し、前記鉄系部材配設工程にて該周縁部が前記成形キャビティ面に当接するとともに前記表裏面側に空間をもって配設され、前記非鉄金属充填工程において該切り欠きを通じて前記中空部全体に溶湯が充填されるのが望ましい。
本発明の金属複合材の鋳造方法によれば、上記の本発明の金属複合材を鋳造することができる。また、本発明の金属複合材の鋳造方法では、板状の鉄系部材の開口率が13〜30%であるため、鉄系部材の周縁部が成形キャビティ面に当接した状態で鋳造型に配設されると、非鉄金属の溶湯を鋳造型に注湯する際に、溶湯が鉄系部材の通孔を通過しにくいことがある。そのため、鉄系部材の表裏面側の少なくともいずれかに位置する空間に、非鉄金属の溶湯が十分に注湯されないことがある。そこで、鉄系部材の周縁部に少なくとも1つの切り欠きを設けると、この切り欠きを通じて鉄系部材の表裏面側に溶湯が十分に行き届き、中空部全体に良好に非鉄金属を充填することができる。
以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより、本発明をより深く理解することができる。以下に、図面の簡単な説明をする。
図1Aは、本発明の金属複合材の一例を模式的に示す平面図である。また、図1Bは、図1AのX−X’における断面図である。
図2Aは、本発明の金属複合材の一例を模式的に示す平面図である。また、図2Bは、図2AのY−Y’における断面図である。
図3Aは、本発明の金属複合材の鋳造方法の一例を模式的に示す断面図である。また、図3Bは、図3Aの鉄系部材を模式的に示す平面図である。
図4は、実施例の金属複合材を構成するエキスパンドメタルの一部を示す図面代用写真である。
図5は、実施例の金属複合材を構成するエキスパンドメタルの厚さ方向の各位置でのビッカース硬さを測定した結果を示すグラフである。
図6は、実施例の金属複合材を作製する金型を模式的に示す断面図(エキスパンドメタルの厚さ方向の断面図)である。
図7は、実施例の試料A〜JおよびF’の引張試験の結果を示すグラフである。
発明を実施のするための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、以下に、本発明の金属複合材を実施するための最良の形態を、図1A,B,図2A,Bおよび図3A,Bを用いて説明する。
本発明の金属複合材は、マトリックスとなる非鉄金属と、該非鉄金属中に埋設された鉄系部材と、からなる。
マトリックスとなる非鉄金属は、金属複合材を形成する際に鉄系部材が溶融したり劣化したりすることがなければ、その種類に特に限定はない。たとえば、鉄系部材を構成する鉄系金属よりも融点が低い金属であれば鋳造により製造しやすい。また、非鉄金属は、軽金属であるのが好ましい。特に、非鉄金属が軽金属であれば、軽量かつ高強度な金属複合材となる。具体的には、純アルミニウムやMg、Cu、Zn、Si、Mn等を含むアルミニウム合金などのアルミニウム系金属や、純マグネシウムやZn、Al、Zr、Mn、Th、希土類元素等を含むマグネシウム合金などのマグネシウム系金属のほか、チタン系金属、リチウム系金属であってもよい。
鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつ。通孔を有することにより、鉄系部材が非鉄金属中に埋設された際に、両者の密着性を確保することができ、さらに、鉄系部材の開口率が、13〜30%であれば、金属複合材の強度を良好に向上させることができる。この際、1つの通孔の面積が300μm以上であるのが好ましい。1つの通孔の面積がこの範囲であれば、非鉄金属と鉄系部材との密着性をさらに良好に確保することができる。さらに好ましい1つの通孔の面積は、300μm〜10mmである。
鉄系部材は、鉄を主成分とする金属で、板状であれば特に限定はないが、加工性に優れた各種圧延鋼板(JIS記号で、SPCC、SPHC等)を用いるのがよい。ここで、「板状」とは、ある程度の剛性(マトリックスとなる非鉄金属より高い弾性率)をもつ板状体であればよい。すなわち、金網などのように複数本の線材からなる網状体であっても、撓みを生じない程度の剛性を有するものであればよい。具体的には、板状体に多数のスリットを入れて板状体の延びる方向に引っ張ることによりスリットを拡張し通孔を形成することによって得られるエキスパンドメタルや、板状体に主として厚さ方向に多数の通孔を穿ったパンチングメタルなどが好ましい。これらの部材は、簡単に作製でき、入手が容易であり、加工性にも優れる。この際、鉄系部材の厚さが0.5〜2mmであるのが好ましい。鉄系部材の厚さが上記範囲であれば、金属複合材の強度を良好に向上させることができ、2mm以下の厚さであっても十分な補強効果が得られる。
また、鉄系部材は、その表面が粗面となっているのが好ましい。鉄系部材の表面を粗面とすることにより、非鉄金属と鉄系部材との密着性が向上する。したがって、粗面化は、少なくとも非鉄金属と接触する鉄系部材の界面に施されていればよい。粗面の形成は、ショットブラストやショットピーニング等のブラスト加工による物理的な方法や、薬品による化学的な方法で粗面を形成すればよい。
また、鉄系部材は、浸炭処理が施されているのが望ましい。浸炭処理は、炭素鋼の表面から炭素を浸入させることにより表面部の炭素量を増加させ、表面部のみを硬化する処理法である。鉄系部材として用いられるエキスパンドメタル等に加工される鋼板は、比較的軟らかく加工性に優れているため、浸炭処理などを施すことにより、硬化させるのが望ましい。そして、上述したように、本発明の金属複合材において、鉄系部材の板厚は、好ましくは0.5〜2mmであるため、このような鉄系部材に浸炭処理を施すと、鉄系部材全体に十分に炭素が浸入し硬化される。浸炭処理は、固体浸炭処理、液体浸炭処理、ガス浸炭処理、真空浸炭処理のうちどの浸炭法を用いてもよいが、鉄系部材は、浸炭窒化処理により厚さ方向の全ての部分において炭素と窒素が浸入した鉄系硬化部材であるのが望ましい。
鉄系部材は、非鉄金属中に埋設されている状態であれば、その位置に特に限定はない。ここで、図1および図2は、本発明の金属複合材の一例を模式的に示す平面図(図1A,2A)および断面図(図1B,2B)である。図1に示すように、表裏面を貫通する多数の通孔3をもつ鉄系部材2(たとえばエキスパンドメタル)が金属複合材10の表面側に位置するように配置してもよいし、図2に示すように、表裏面を貫通する多数の通孔23をもつ鉄系部材22(たとえばパンチングメタル)が金属複合材20の内部に位置するように配置してもよい。なお、鉄系部材が金属複合材の表面側に位置するように配置する場合(図1B参照)は、鉄系部材の一部が金属複合材の表面に露出した状態であっても構わない。
なお、板状の鉄系部材を複数枚積層させた状態で非鉄金属中に埋設させてもよい。前述したように、0.5〜2mm程度の薄い鉄系部材は浸炭や窒化がされやすい。したがって、厚い鉄系部材を1枚用いるよりも、十分に浸炭や窒化がされた薄い鉄系部材を複数枚用いる方が、効果的である。さらに、薄い鉄系部材の方が、所望の形状に加工し易いため、有利である。また、図1および図2では平板状の金属複合材を示しているが、本発明の金属複合材の形状に特に限定はなく、たとえば、円柱形状などのように曲面を有する形状であってもよい。その場合は、あらかじめ、鉄系部材が曲面に沿うように鉄系部材に曲げ加工などの成形を施すのがよい。
上記のような構成を有する本発明の金属複合材は、高強度を有し、かつ、非鉄金属の種類によっては軽量であるため、エンジンブロック、油圧ポンプ、コンプレッサーといった耐圧部品等に好適に用いることができる。
本発明の金属複合材は、鋳造により製造されるのが望ましい。具体的には、鋳造品の形状に対応する成形キャビティ面を有する中空部と、溶湯が注湯されるとともに中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、既に説明した鉄系部材を配設する鉄系部材配設工程と、注湯通路から非鉄金属の溶湯を中空部に充填する非鉄金属充填工程と、を経て、鉄系部材を非鉄金属で鋳込む、いわゆるインサート成形方法であればよい。鋳造方法も、重力鋳造法、低圧鋳造法、溶湯鍛造法、ダイカスト法など、従来の方法を用いればよい。
特に、図2Bに示すように、鉄系部材が金属複合材の内部に位置するように配置される場合には、周縁部に切り欠きを設けた鉄系部材を用いるとよい。以下に、切り欠きを有する鉄系部材を用いる金属複合材の鋳造方法を、図3Aおよび図3Bを用いて説明する。なお、図3Aは、本発明の金属複合材の鋳造方法の一例を模式的に示す断面図である。また、図3Bは、図3Aで用いられる鉄系部材を模式的に示す平面図である。
本発明の金属複合材の鋳造方法は、主として、鉄系部材配設工程と、非鉄金属充填工程と、を経て、鉄系部材32を非鉄金属31で鋳込むことで、金属複合材30を得る。
鉄系部材配設工程では、鋳造型に鉄系部材を配設する。用いられる鋳造型は、図3Aに示されるような、鋳造品の形状に対応する成形キャビティ面84を有する中空部(鉄系部材32が配設された部分と空間86、87とからなる)と、溶湯31’が注湯されるとともに中空部に連通する注湯通路83と、をもつ型であれば特に限定はない。したがって、図3Aのような複数の型81、82で区画された成形キャビティ(中空部に相当)を有する鋳造型80であってもよく、注湯通路83の位置や大きさにも特に限定はなく、通常、鋳造に用いられる鋳造型を使用すればよい。また、成形キャビティの形状も平板状であっても円筒形状であってもよい。
鋳造型には、成形キャビティの内面である成形キャビティ面に、鉄系部材を保持する保持部が形成されているのが好ましい。保持部は、図3Aに示されるような溝部88であるとよい。溝部88では、型81の成形キャビティ面84側に形成された断面L字形状の凹部に鉄系部材32を載置した状態で、型82の成形キャビティ面84側に形成された凸部が凹部に嵌り込むことで、鉄系部材32の周縁部が挟持される。なお、溝部88は、型81と型82との境界の全周に渡って連続的に形成された連続溝であってもよいし、部分的に形成された溝状凹部であってもよい。
鉄系部材は、既に詳説したように、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち、その開口率が13〜30%である、板状の部材である。鉄系部材は、鉄系部材の周縁部が成形キャビティの内面である成形キャビティ面に当接するとともに表裏面側に空間をもって配設されるとよい。具体的には、図3Aでは、鉄系部材32の周縁部が成形キャビティ面84に形成された溝部88に保持されるとともに表裏面側に空間86、87をもって配設される。その結果、空間86、87は鉄系部材32によって区画され、両者は、切り欠き35で連通する。したがって、鉄系部材32に切り欠き35がないと、次の非鉄金属充填工程において、注湯通路83から注湯される非鉄金属の溶湯31’は、鉄系部材32の片面側に位置する空間86には良好に充填されるが、鉄系部材32は開口率が13〜30%であるため、溶湯31’が通孔を通って空間87に完全に充填されなかったり、充填されても時間を要する。つまり、鉄系部材が切り欠きを有することにより、非鉄金属充填工程において注湯される非鉄金属の溶湯は、容易に切り欠きを通過し、鉄系部材の表裏面側の空間に良好に回り込む。その結果、成形キャビティ面に沿った所望の形状の金属複合材が得られる。また、溶湯は切り欠きを通過しやすいので、注湯される溶湯の流れから受ける抵抗力により生じる鉄系部材の配設位置のズレが抑制される。
鉄系部材に形成される切り欠きの大きさは、鉄系部材の大きさにもよるが、1つの切り欠きの面積が10〜400mmであるのが好ましい。10mm以上であれば、溶湯が流入しやすく、溶湯が鋳造型の中空部に良好に充填される。また、400mmを超えると、切り欠きが形成された部分の金属複合材の強度が低下するため望ましくない。この際、切り欠きの面積は、鉄系部材の面積の10%程度であるのが望ましい。なお、鉄系部材の面積には、通孔の面積も含む。
また、鉄系部材の周縁部であれば、切り欠きが形成される位置に特に限定はない。切り欠きを鉄系部材の中央部付近に形成すると、鉄系部材の強度が低下するため、得られる金属複合材の強度が効果的に向上しないため望ましくない。
また、鉄系部材は、その周縁部が成形キャビティ面に当接していれば、鉄系部材の表裏面の一部が成形キャビティ面と接触して配設されていてもよい。この際、鉄系部材は、その表裏面側に空間をもって配置されている部分や注湯通路の近傍に切り欠きを有するとよい。
鉄系部材配設工程において、鉄系部材を成形キャビティ面に当接し、かつ、鉄系部材の表裏面側に空間をもって配設する際には、図3Aに示すように、鉄系部材が所定の位置に保持されるとよい。成形キャビティ面が有する保持部に鉄系部材の周縁部が保持されれば、注湯の際に生じる鉄系部材の配設位置のズレが抑制される。保持部としては、溝部88の他にも、成形キャビティ面から突出して鉄系部材が載置されたり鉄系部材の移動を妨げる突条などでもよい。なお、保持部は、鉄系部材の周縁部全体を保持する必要はなく、周縁部の少なくとも一部が保持されればよい。
切り欠きは、鉄系部材の保持状態や周縁部の当接部位によっては必ずしも形成する必要はない。たとえば、鉄系部材の周縁部のうち、一辺が成形キャビティ面に当接せずに間隙をもって配設される際には、切り欠きを形成しなくてもよい。
非鉄金属充填工程では、注湯通路から非鉄金属の溶湯を中空部に充填する。非鉄金属の溶湯は、切り欠きを通じて中空部全体に、容易に充填される。
なお、鉄系部材に粗面を形成する工程や、浸炭工程を、鉄系部材配設工程より前に行ってもよい。また、非鉄金属充填工程の後、必要に応じて熱処理を行い、マトリックスとなる非鉄金属の力学的性質を調整する調質処理を行ってもよく、さらに高強度な金属複合材を得ることもできる。
以上、本発明の金属複合材および金属複合材の鋳造方法の実施形態を説明したが、本発明の金属複合材および金属複合材の鋳造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の金属複合材の実施例を、図4〜図7を用いて説明する。
板状で厚さ方向に貫通する複数の通孔を有するエキスパンドメタル(工業用冷間圧延鋼板(SPCC)、厚さ:900μm、開口率:18%、1つの通孔の面積:300μm、厚さ方向より撮影した写真を図4に示す。)を準備した。エキスパンドメタルには、浸炭窒化処理、焼戻し、または、ショットブラストを施すことによりエキスパンドメタルM1〜M5を得た。M1〜M5に施した処理を表1に示す。また、M4において、開口率を28%とした他は同様の処理を施したM4’を準備した。
浸炭窒化処理は、NHを含む浸炭性ガスにより、エキスパンドメタルを650〜900℃に加熱し、C並びにNを同時に鋼材に反応させ拡散層を生ぜしめた後、油焼入れを行った。焼戻しは、150℃または550℃で1時間保持することにより行った。また、ショットブラストは、繊維状ブリット照射をエキスパンドメタルの両面にそれぞれ1分間(あわせて2分間)行った。なお、表1において、M1〜M5の括弧内に記載されている数字は焼戻し温度、記号はショットブラストの有無を示す。
得られたエキスパンドメタルM1〜M5について、表面粗さ測定、引張試験およびビッカース硬さ測定を行った。表面粗さ測定には、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密製)を用いた。測定結果より求めた中心線平均粗さ、十点平均粗さ、最大高さ(それぞれRa、Rz、Rmaxとし、複数回測定したものの平均値)を表1に示す。引張試験は、引張方向が図4の矢印方向となるようにエキスパンドメタルM1〜M5をJIS平板試験片の形状に加工し、後述の引張試験条件(条件I)により測定を行った。エキスパンドメタルM1〜M5が破断した際の応力を表1に示す。また、ビッカース硬さ測定は、エキスパンドメタルM1〜M5の厚さ方向の各位置(100μm間隔)で、一方の面側から他方の面側まで測定を行った。この際、測定荷重は、300kgfとした。各位置(一方の面からの厚さ方向の距離とする)でのビッカース硬さ(Hv)を図5に示す。なお、図5において、◇はM1、◆はM2、○はM3、●はM4、×はM5、をそれぞれ示す。
Figure 2006049065
次に、エキスパンドメタルM1〜M4、M4’を用いて試料A〜F、F’、G(金属複合材)を作製した。試料の作製には、所定形状の凹部91を有する下型90と、凹部91の壁面と摺接して嵌り込む形状の上型92と、からなる金型装置9(図6参照)を用いた。試料を作製する際には、金型装置9の金型温度を200〜350℃とし、下型90の凹部91の底面部にM1〜M4、M4’のいずれかのエキスパンドメタルMを載置し100〜300℃に予熱を行い、その状態で、凹部91にアルミニウム合金溶湯(ADC12、溶湯温度650〜800℃)を注湯した。その後、上型92を矢印方向に挿入し加圧(70〜100MPa)して鋳造を行った。なお、エキスパンドメタルを2枚使用する場合には、厚さ方向に2枚重ねて凹部91に載置する他は、上記と同様な方法で鋳造を行った。各試料の作成条件を表2に示す。
また、比較例として、アルミニウム合金(ADC12)からなる試料H〜Jを作製した。試料H〜Jは、上記の鋳造方法において、エキスパンドメタルを用いない他は同様に鋳造により作製した。なお、試料H〜Jは、後述の引張試験条件が異なるが、組成等は全て同じ試料である。
[評価]
試料A〜JおよびF’の強度を評価するために、引張試験を行った。
作製した試料A〜JおよびF’を所定の形状に加工して、JIS平板試験片(厚さ1mm)を作製した。この際、引張試験の引張方向がエキスパンドメタルに対して図4の矢印方向となるように加工した。なお、引張試験は、5tオートグラフ(島津製作所製、AG−5000A)により、室温にて(条件I)、180℃で100時間保持後180℃にて(条件II)、200℃で5分間保持後200℃にて(条件III)、または、200℃で15分間保持後200℃にて(条件IV)、引張速度0.5mm/分で行った。各試料に対して行った引張試験の試験条件を表2に、各試料が破断した際の応力を表2および図7に示す。
Figure 2006049065
金属複合材である試料A〜Gは、いずれも破断応力が400MPa以上であり、エキスパンドメタルを用いていない試料H〜Jよりも高い強度を有した。そして、アルミニウム合金のみ(試料H〜J)では強度が低下する引張試験条件IIのような過酷な条件下でも、優れた強度を示した。
また、550℃で焼戻しを行ったエキスパンドメタルM3、M4を用いた試料D〜Gは、優れた強度(破断応力550MPa以上)を示した。中でも、ショットブラストを施したM4を用いた試料Fでは、エキスパンドメタルの表面が好適に粗面化され、その硬さがHv(0.3)=200〜400程度であるため、特に優れた強度(破断応力584.81MPa)を示した。
なお、150℃で焼戻しを行ったエキスパンドメタルM1、M2は、表面硬度が非常に高く(Hv(0.3)=800程度)脆いため、試料A〜Cの強度が破断応力400〜500MPa程度にとどまったと推測できる。
また、エキスパンドメタルの開口率が異なる試料F(18%)と試料F’(28%)とでは、開口率の小さい試料Fの方が高い強度を有する。しかしながら、試料F’は、エキスパンドメタルを用いていない試料H〜Jよりも高い強度を示した。
【0002】
された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%であり浸炭処理により全体に炭素が浸入した板状の鉄系部材と、からなることを特徴とする。
ここで、鉄系部材が「板状」とは、板状体を加工することによって得られるエキスパンドメタルやパンチングメタルの他、ある程度の剛性を有するものであれば、複数本の線材からなる網状体も含む概念である。
本発明の金属複合材は、非鉄金属中に上記鉄系部材が埋設されている構成であるため、鉄系部材により補強された強度の高い金属複合材である。特に、非鉄金属が軽金属であれば、軽量かつ高強度な金属複合材となる。また、上記鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつため、マトリックスである非鉄金属との密着性を確保できる。
そして、鉄系部材の開口率を13〜30%とすることにより、密着性と強度がともに良好な金属複合材となる。開口率が大きすぎると高い強度を確保することが困難となり、開口率が低すぎるとマトリックスと鉄系部材との密着性が落ちる。開口率を13〜30%とすることで強度と密着性のバランスのよい金属複合材が得られる。さらに好ましくは、開口率が18〜28%である。
また、本発明の金属複合材の鋳造方法は、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材の全体に炭素を浸入させる浸炭処理工程と、鋳造品の形状に対応する成形キャビティ面を有する中空部と、溶湯が注湯されるとともに該中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、前記鉄系部材を配設する鉄系部材配設工程と、前記注湯通路から非鉄金属の溶湯を前記中空部に充填する非鉄金属充填工程と、を経て、前記鉄系部材を前記非鉄金属で鋳込むことを特徴とする。この際、前記鉄系部材は、該鉄系部材の周縁部に少なくとも1つの切り欠きを有し、前記鉄系部材配設工程にて該周縁部が前記成形キャビティ面に当接するとともに前記表裏面側に空間をもって配設され、前記非鉄金属充填工程において該切り欠きを通じて前記中空部全体に溶湯が充填されるのが望ましい。
本発明の金属複合材の鋳造方法によれば、上記の本発明の金属複合材を鋳造することができる。また、本発明の金属複合材の鋳造方法では、板状の鉄系部材の開口率が13〜30%であるため、鉄系部材の周縁部が成形キャビティ面に当接した状態で鋳造型に配設されると、非鉄金属の溶湯を鋳造型に注湯する際に、溶

Claims (13)

  1. マトリックスとなる非鉄金属と、
    該非鉄金属中に埋設された、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材と、
    からなることを特徴とする金属複合材。
  2. 前記非鉄金属は、軽金属である請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  3. 前記軽金属は、アルミニウム系金属またはマグネシウム系金属である請求の範囲第2項記載の金属複合材。
  4. 前記鉄系部材は、開口率が18〜28%である請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  5. 前記鉄系部材は、エキスパンドメタルまたはパンチングメタルである請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  6. 前記鉄系部材は、複数本の線材からなる網状体である請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  7. 前記鉄系部材は、1つの通孔の面積が300μm以上である請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  8. 前記鉄系部材は、その表面が粗面となっている請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  9. 前記鉄系部材は、厚さが0.5〜2mmである請求の範囲第1項記載の金属複合材。
  10. 前記鉄系部材は、浸炭窒化処理により厚さ方向の全ての部分において炭素と窒素が浸入した鉄系硬化部材である請求の範囲第9項記載の金属複合材。
  11. 鋳造品の形状に対応する成形キャビティ面を有する中空部と、溶湯が注湯されるとともに該中空部に連通する注湯通路と、をもつ鋳造型に、鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもち開口率が13〜30%である板状の鉄系部材を配設する鉄系部材配設工程と、
    前記注湯通路から非鉄金属の溶湯を前記中空部に充填する非鉄金属充填工程と、
    を経て、前記鉄系部材を前記非鉄金属で鋳込むことを特徴とする金属複合材の鋳造方法。
  12. 前記鉄系部材は、該鉄系部材の周縁部に前記通孔の1つの面積より大きい少なくとも1つの切り欠きを有し、前記鉄系部材配設工程にて該周縁部が前記成形キャビティ面に当接するとともに該鉄系部材の表裏面側に空間をもって配設され、
    前記非鉄金属充填工程において該切り欠きを通じて前記中空部全体に溶湯が充填される請求の範囲第11項記載の金属複合材の鋳造方法。
  13. 前記成形キャビティ面は、前記鉄系部材の周縁部を保持する保持部を有する請求の範囲第11項記載の金属複合材の鋳造方法。
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