JP2007255469A - 圧力容器 - Google Patents

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崇行 加藤
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Abstract

【課題】耐圧性に優れ、従来よりもさらに軽量化が可能な圧力容器を提供する。
【解決手段】本発明の圧力容器300は、ボルト穴332を有する2以上の容器構成体(31〜33)がボルト20を介して締結され固定されてなる軽金属製の圧力容器300において、1以上の前記容器構成体のボルト穴332の周壁部の少なくとも一部は、マトリックスとなる軽金属と、軽金属中に埋設され鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもつ板状の鉄系部材10と、からなる金属複合材からなる。鉄系部材10としては、内径がボルト穴332の内径以上であって表裏面を貫通しボルト穴332と同軸的に配置される挿通穴12をもつ有穴板材を用いるとよい。
本発明の圧力容器は、軽量で優れた耐圧性を有することから、特に、圧縮機3のフロントハウジング33に最適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体などの加圧物質を収容する圧力容器に関するものである。
圧力容器は、たとえば自動車に搭載される車両空調装置に設けられる圧縮機のハウジング等として用いられる。圧縮機のハウジングは、たとえばピストン式圧縮機であれば、シリンダブロックと、その一端に接合されたフロントハウジングと、その他端に接合されたリヤハウジングと、から構成され、ボルトで相互に締結され固定されているのが一般的である。このようなハウジングは、厳しい条件下での使用にも耐えうる耐圧性が要求されるとともに、小型化や軽量化が望まれている。ハウジングの小型化や軽量化を達成することができる一つの方法として、ハウジングの厚みを現状よりも薄くすることが考えられる。しかしながら、単にハウジングを薄くするだけでは、強度が低下するため、要求される耐圧性が得られない。また、ハウジングの素材として高強度の鉄や鉄合金を用いれば、ハウジングの厚みを薄くしても要求される耐圧性は達成されるが、軽量化の点からは望ましくない。
そこで、特許文献1に記載の圧縮機のハウジングは、アルミニウム系の材料よりなるアルミニウム製外殻と、鉄系の材料よりなる鉄製外殻と、を備えた多層構造を有する。ハウジングの一部がアルミニウム製外殻からなるため軽量化が図れ、ハウジングの一部が鉄製外殻により補強されるため耐圧性を高めることができる。
また、特許文献2には、鉄製のエキスパンドメタル等を一体的に鋳込んだアルミニウム合金からなるフレームをもつ回転電気が記載されている。アルミニウム合金と一体的にエキスパンドメタルを鋳込むことで、フレームの剛性は向上する。
特開2004−218585号公報 特開平6−261484号公報
特許文献1のハウジングや特許文献2のフレームでは、広範囲にわたって鉄系材料が用いられているが、更なる小型化や軽量化のためには、強度低下を伴うことなく鉄系部材の使用量を抑える必要がある。そこで、本発明者等は、鋭意研究の結果、圧力容器において応力が特に集中しやすい部位に適切な補強を部分的に施すことで、圧力容器の大部分を補強しなくとも、要求される耐圧性が得られることに想到した。
すなわち、本発明は、上記実状に鑑み、耐圧性に優れ、従来よりもさらに軽量化が可能な圧力容器を提供することを目的とする。
本発明の圧力容器は、ボルト穴を有する2以上の容器構成体がボルトを介して締結され固定されてなる軽金属製の圧力容器において、
1以上の前記容器構成体の該ボルト穴の周壁部の少なくとも一部は、マトリックスとなる該軽金属と、該軽金属中に埋設され鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもつ板状の鉄系部材と、からなる金属複合材からなることを特徴とする。
ここで、鉄系部材が「板状」とは、板状体を加工することによって得られるエキスパンドメタル、メタルラスやパンチングメタルの他、ある程度の剛性を有するものであれば、複数本の線材からなる網状体も含む概念である。
前記鉄系部材は、内径が前記ボルト穴の内径以上であって表裏面を貫通し該ボルト穴と同軸的に配置される挿通穴をもつ有穴板材であるのが好ましい。
前記ボルト穴は、その前記周壁部の一端部に位置するとともに前記ボルトのボルト座面と当接する当接面をもつ締付け部を有し、該締付け部の少なくとも一部は前記金属複合材からなるのが好ましい。
さらに、本発明の圧力容器は、圧縮機構および該圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵する圧縮機のハウジングであるのが望ましい。特に、2以上の前記容器構成体のうちの1つは、フロントハウジングであるとよい。
本発明の圧力容器では、ボルト穴の周壁部の少なくとも一部が金属複合材からなる。金属複合材は、マトリックスとなる軽金属と、軽金属中に埋設される鉄系部材と、からなり、鉄系部材は板状で表裏面を貫通する多数の通孔をもつため、軽量かつ高強度な材料である。軽量で高強度な金属複合材を使用することで、大幅な重量増加を伴うことなく圧力容器の耐圧性を高めることができる。特に、本発明の圧力容器では、圧力容器全体に金属複合材を用いるのではなく、使用中に応力が集中しやすいボルト穴の周辺に金属複合材を用いることで所望の耐圧性が得られるため、鉄系部材を用いることによる重量増加がさらに抑制される。
また、ボルト穴と同軸的に配置される挿通穴をもつ有穴板材を鉄系部材として用いることで、ボルト穴の周壁部は周方向に効果的に補強される。
金属複合材は、ボルト穴の周壁部の少なくとも一部に用いられればよいが、上記締付け部の少なくとも一部が金属複合材からなるのが好ましい。締め付け部はボルト穴の周壁部のなかでも特に応力が集中しやすいため、締付け部の少なくとも一部が金属複合材からなれば、耐圧性の向上効果がさらに高まる。
そして、本発明の圧力容器は、軽量で優れた耐圧性を有することから、圧縮機のハウジングに最適である。圧縮機は、ガスの種類や運転条件によっては、ハウジングに高い応力が作用することがある。ボルト穴周辺に金属複合材を用いた本発明の圧縮機であれば、強度が低下することなく、優れた耐圧性を示す。
以下に、本発明の圧力容器を実施するための最良の形態を、図を用いて説明する。
[圧力容器]
本発明の圧力容器は、外殻と、外殻で区画されガス等を収容する内部空間と、を有する一般的な構造の圧力容器であればよいが、特に、ボルト穴を有する2以上の容器構成体がボルトを介して締結され固定されてなる圧力容器である。本発明の圧力容器に収容されるガスとしては、CNG(圧縮天然ガス)、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、また、HFC(ハイドロフルオロカーボン)やCOといった冷媒などの各種加圧物質が挙げられる。このような圧力容器は、金属製が好ましく、本発明の圧力容器では軽量化の点から軽金属製とする。
圧力容器の内部空間の形状に特に限定はないが、内部空間に収容されたガス等から受ける応力を外殻で均等に受けるために、略円柱状の内部空間を有するとよい。また、本発明の圧力容器は、その内部空間に、圧縮機構や作動空間を内蔵する圧縮機のハウジングであってもよい。なお、外殻には必要に応じて、ガス等を流入または吐出させる開口などを設けてもよい。
上記の形状を有する圧力容器が構成されれば、容器構成体の形状に特に限定はない。たとえば、2以上の容器構成体のうちの少なくとも1つは、円筒形状の円筒部と、円筒部の一端を閉塞する底部と、を備えるのが好ましい。たとえば、円筒部と底部とを備える容器構成体が2つある場合には、開口端を互いに接合することで、略円柱状の内部空間を有する圧力容器が構成される。また、これら2つの容器構成体の間に、両端が開口した円筒形状の容器構成体を挟み込むことも可能である。さらに具体的には、容器構成体が、圧縮機のハウジングを構成するハウジング構成体であってもよい。なお、円筒部と底部とを備える容器構成体において、底部の形状に特に限定はなく、平板状であってもよいし、外側に膨らむドーム状を呈してもよい。
これらの容器構成体は、前述のように、各容器構成体が有するボルト穴に挿通されるボルトを介して、相互に締結され固定される。容器構成体が有するボルト穴の位置に特に限定はない。容器構成体が、円筒部と底部とを備える容器構成体であれば、ボルト穴の形成される位置は、円筒部であっても底部であっても構わない。また、円筒部あるいは底部における位置にも限定はない。たとえば、円筒部と底部とを備える容器構成体が複数のボルト穴を底部に有する場合、ボルト穴は、底部を円筒部の軸方向に貫通し、互いに等間隔にリング状に位置するとよい。このような形状は、圧縮機のフロントハウジング(後述)で見られ、ボルト穴は、通常、円筒部の内周面周辺で円筒部の内部空間に連通する。
そして、本発明の圧力容器は、ボルト穴の周壁部の少なくとも一部が金属複合材からなる構成とした。これは、本発明者等が、たとえば図1(および図1の拡大図である図2)に示す斜板式圧縮機(後述)の運転中には、ハウジング300を構成するフロントハウジング33において、フロントハウジング33がもつボルト穴の周壁部330に、他の部分よりも高い応力が作用することを見出し、さらに、周壁部330を部分的に補強することで圧力容器の強度を高めることができることに想到したためである。なお、フロントハウジング33を例にして説明したが、シリンダブロック32およびリヤハウジング31のボルト穴でも同様である。
金属複合材は、マトリックスとなる軽金属と、軽金属中に埋設された板状の鉄系部材と、からなる。なお、本発明の圧力容器は、既に述べたように、主としてマトリックスとなる軽金属からなる。用いられる軽金属は、少なくとも鉄系部材を構成する鉄系材料よりも軽量で、圧力容器を製造する際に鉄系部材が溶融したり劣化したりすることがなければ、その種類に特に限定はない。そのため、鉄系部材を構成する鉄系金属よりも融点が低い軽金属であれば製造しやすい。軽金属としては、純アルミニウムやMg、Cu、Zn、Si、Mn等を含むアルミニウム合金などのアルミニウム系金属や、純マグネシウムやZn、Al、Zr、Mn、Th、希土類元素等を含むマグネシウム合金などのマグネシウム系金属であるのが好ましい。
鉄系部材は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつ。通孔を有することにより、鉄系部材が軽金属中に埋設された際に、両者の密着性を確保することができる。軽金属と鉄系部材との密着性が高いと、両者は良好に複合化されるため、ボルト穴周辺が効果的に補強される。鉄系部材の開口率が8〜18%(金属複合材に占める体積含有率Vfで82〜92%、ただし鉄系部材がJIS G 3351:1987に規定の形状のエキスパンドメタルであればVfで77〜88%)であれば、圧力容器の耐圧性を良好に向上させることができ、また、補強による圧力容器の重量増加が低減される。この際、1つの通孔の面積が0.9mm以上であるのが好ましい。1つの通孔の面積が上記範囲であれば、軽金属と鉄系部材との密着性をさらに良好に確保することができる。さらに好ましい1つの通孔の面積は、0.9〜1.6mmである。
鉄系部材は、鉄を主成分とし板状であれば特に限定はないが、加工性に優れた各種圧延鋼板(JIS記号で、SPCC、SPHC等)を用いるのがよい。ここで、「板状」とは、ある程度の剛性(たとえば、マトリックスとなる軽金属より高い弾性率)をもつ板状体であればよい。すなわち、金網などのように複数本の線材からなる網状体であってもよい。具体的には、板状体に多数のスリットを入れて板状体の延びる方向に引っ張ることによりスリットを拡張し通孔を形成することによって得られるエキスパンドメタルやメタルラス、板状体に主として厚さ方向に多数の通孔を穿ったパンチングメタルなどが好ましい。これらの部材は、簡単に作製でき、入手が容易であり、加工性にも優れる。この際、鉄系部材の厚さは、撓みを生じない程度の剛性を有するものであれば特に限定はなく、1mm以上であれば、圧力容器の耐圧性を向上させることができる。特に、1〜4mmの厚さであれば、単にガス等を収容する圧力容器としてだけでなく、圧縮機のハウジングとしても十分な耐圧性が得られるとともに、重量増加が抑制される。
また、鉄系部材は、その表面が粗面となっているのが好ましい。鉄系部材の表面を粗面とすることにより、軽金属と鉄系部材との密着性が向上する。したがって、粗面化は、少なくとも軽金属と接触する鉄系部材の界面に施されていればよい。粗面の形成は、ショットブラストやショットピーニング等のブラスト加工による物理的な方法や、薬品による化学的な方法で粗面を形成すればよい。
また、鉄系部材は、浸炭処理が施されているのが望ましい。浸炭処理は、炭素鋼の表面から炭素を浸入させることにより表面部の炭素量を増加させ、表面部のみを硬化する処理法である。鉄系部材として用いられるエキスパンドメタル等に加工される鋼板は、比較的軟らかく加工性に優れているため、浸炭処理などを施すことにより、硬化させるのが望ましい。そして、上述したように、鉄系部材は板状であるため、鉄系部材の厚さにもよるが、浸炭処理を施すと鉄系部材全体に十分に炭素が浸入し硬化される。浸炭処理は、固体浸炭処理、液体浸炭処理、ガス浸炭処理、真空浸炭処理のうちどの浸炭法を用いてもよいが、浸炭窒化処理により厚さ方向の全ての部分において炭素と窒素を浸入させるのが望ましい。
本発明の圧力容器では、ボルト穴の周壁部の少なくとも一部に、鉄系部材が埋設される。なお、鉄系部材が埋設されるのは、2以上の容器構成体のうちの少なくとも1つであればよい。鉄系部材は、ボルト穴の周壁部であれば埋設される位置に限定はないが、ボルト穴の周辺を取り囲むように埋設されるのが望ましい。そのため、鉄系部材は、鉄系部材の表裏面を貫通しボルトを挿通可能な挿通穴をもつ有穴板材であるとよい。有穴板材は、挿通穴があればその形状に限定はなく、挿通穴の数にも限定はない。挿通穴は、容器構成体においてボルト穴と同軸的に配置される。有穴板材がもつ挿通穴が1つであれば、複数のボルト穴がそれぞれ離れた位置に形成されている容器構成体や、ボルト穴の数が少ない容器構成体に適する。2個以上のボルト穴が近接した位置に形成されている容器構成体や、多数のボルト穴(5個以上)を有する容器構成体であれば、1枚の有穴板材に複数の挿通穴が形成されているのが好ましい。複数の挿通穴が形成されている有穴板材を用いれば、1枚の有穴板材が複数のボルト穴に対して共通するため、用いる有穴板材の枚数がボルト穴の個数よりも少なくて済み、圧力容器を製造する際に有穴板材を容易に配置できる。
挿通穴を1つもつ有穴板材の一例を図4に示す。図4に示す有穴板材10は、円形の平板の中央部に挿通穴12を有する。挿通穴12は、容器構成体においてボルト穴と同軸的に配置される。また、複数の挿通穴をもつ有穴板材の一例を図7に示す。図7に示す有穴板材は、リング形状の平板であって、リングの周方向に沿って複数の挿通穴52をもつリング状板材50である。有穴板材50では、複数の挿通穴52が周方向に互いに等間隔に位置する。中央部の刳り貫き部55は、軽量化のためである。なお、図4および図7に示す有穴板材は、どちらも外周の形状が真円であるが、外周の形状は容器構成体の形状に合わせて適宜選択すればよい。刳り貫き部55の形状に関しても同様である。また、図4および図7に示す有穴板材は、どちらも平板状であるが、容器構成体の形状に合わせて適宜選択すればよく、曲げ加工などが施されてもよい。
挿通穴は、ボルトの少なくとも軸部が通りさえすればよいが、その内径がボルト穴の内径以上であるのが好ましく、ボルト穴と同軸的に配置されるとよい。ここで、「ボルト穴の内径」とは、ボルトの軸部を挿通する「通し穴」の直径であって、壁面に雌ねじが形成されている場合は雌ねじの「谷の径」とする。このとき、挿通穴の内径は、通孔1つ当たりの開口面積が、挿通穴1つ当たりの開口面積より小さくなるようにすると、強度の面で好ましい。挿通穴の内径がボルト穴と同じ大きさであれば、挿通穴の表面がボルト穴の壁面に面一となって露出する。鉄系部材の露出を避けたい場合には、挿通穴の内径を、ボルト穴の内径より大きくするとよい。この際、挿通穴の内径(直径)とボルト穴の内径(直径)との差は、0〜4.5mmであるのが好ましい。挿通穴の内径とボルト穴の内径との差が4.5mmを超えると、ボルト穴の周辺の補強効果が低減するため好ましくない。なお、挿通穴と比較するボルト穴の内径は、有穴板材が埋設される部分のボルト穴の内径である。
また、有穴板材は、有穴板材の周縁が、挿通穴の中心からの半径にして、挿通穴の半径の1.7〜2.1倍であるとよい。1.7倍以上であればボルト穴の周辺が良好に補強される。ただし、2.1倍を超えると重量増加の面で好ましくない場合がある。具体的には、有穴板材は、図3に示す有穴板材10であれば少なくともWで表される半径、図6に示す有穴板材50であれば少なくともWで表される半径、が上記の範囲内であるのが望ましい。
鉄系部材は、ボルト穴の周壁部に埋設されればよいが、特に、ボルト穴の周壁部の一端部に位置するとともにボルトのボルト座面と当接する当接面をもつ締付け部に埋設されるとよい。すなわち、締付け部の少なくとも一部は金属複合材からなるのが好ましい。締付け部は、ボルト穴の周壁部の中でも、特に高い応力が作用する部位である。締付け部を金属複合材で構成することで、耐圧性の向上効果がさらに高まる。なお、「ボルト座面」とは、ボルトの頭部と軸部との段差を連絡するボルト頭部の下面である。
締付け部に鉄系部材として有穴板材が埋設される場合には、ボルト座面と当接する当接面から有穴板材の一方の面(表裏面のうち当接面に近い方の面)までの距離が0〜5.5mmであるのがよい。なお、有穴板材の一方の面から当接面までの距離が0mmの場合には、有穴板材の表面が当接面と面一となって露出する。
また、鉄系部材は、複数枚積層させた状態でボルト穴の周壁部に埋設させてもよい。前述したように、鉄系部材の板厚が薄い方が、浸炭や窒化がされやすい。したがって、厚い鉄系部材を1枚用いるよりも、十分に浸炭や窒化がされた薄い鉄系部材を複数枚用いる方が、効果的である。さらに、薄い鉄系部材の方が、所望の形状に加工し易いため、有利である。鉄系部材が有穴板材であれば、複数枚の有穴板材を重ねて用いる他、ボルト穴の軸方向に間隔を隔てて複数枚の有穴板材を積層させてもよい。
[圧縮機]
以上説明した本発明の圧力容器は、圧縮機のハウジングと捉えることもできる。圧縮機のハウジングは、主として圧縮機構および圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵する圧力容器である。圧縮機としては、ピストンを往復動させることによりガスを圧縮する形態のものが代表的である。このような圧縮機であれば、斜板式やワッブル式、両頭型や片頭型、可変容量型や固定容量型、等のいずれの形態でもよい。この場合、ハウジングは、所定の位相をもった往復動によりガスを圧縮するピストンを収容する複数個のシリンダボアを備えたシリンダブロックや、ピストンを駆動する駆動手段を収納する中空円筒部を備えたフロントハウジングであればよい。以下に、可変容量型の片頭型斜板式圧縮機(以下、「圧縮機3」と略記)を一例として、本発明の圧力容器を図1〜図4を用いて具体的に説明する。
図1は、圧縮機3の縦断面図である。図2は、図1のボルト周辺の部分拡大図である。図3は、圧縮機3を駆動力の入力側(つまり、図1の左方向)から見た側面図であって、ボルトを含む部位の部分拡大図である。また、図4は、圧縮機3のハウジングに埋設されている有穴板材の平面図である。圧縮機3のハウジングは、ハウジング構成体としてシリンダブロック32と、シリンダブロック32の一端に接合されたハウジング構成体としてリヤハウジング31と、シリンダブロック32の他端に接合されたハウジング構成体としてフロントハウジング33と、を備える。3つのハウジング構成体31〜33は、複数本のボルト20を介して相互に締結され固定されている。ボルト20は、軸部22と軸部22の一端に同軸的に形成された頭部21とからなる一般的な六角ボルトであって、フロントハウジング33とシリンダブロック32とを貫きリヤハウジング31で螺合する。なお、図1では、複数本のボルト20のうちの1本のみが図示されている。
フロントハウジング33は、略円筒形状の円筒部336と、円筒部336の一端を閉塞する底部337と、からなる有底円筒形状で、円筒部336には外側に突出する取付部338を有する。なお、取付部338は、圧縮機3を被取付体(エンジンブロック等)にボルト等で固定する場合に用いられる。フロントハウジング33の底部337は、ボルト20を挿通するボルト穴332を有する。ボルト穴332は、円筒部336の軸方向に底部337を貫通し、その底部337の外側の開口部には、ボルト20の頭部21を保持するとともにボルト頭部21の座面211と当接する当接面331をもつザグリ穴335が形成される。
フロントハウジング33には、ボルト穴332の周壁部330一端部であって、ザグリ穴335の当接面331から円筒部336の軸方向へ僅かに離れた位置に、鉄系部材として有穴板材10が埋設される。すなわち、フロントハウジング33では、周壁部330の一端部に位置するとともに当接面331をもつ締付け部339の少なくとも一部が、金属複合材からなる。有穴板材10は、表裏面を貫通する多数の通孔11をもつ円形平板からなり、その中央にはボルト20の軸部22が挿通される挿通穴12を有する(図4)。
以下に、ハウジング300に内蔵される圧縮機構および作動空間について説明する。シリンダブロック32とフロントハウジング33との間には、斜板室34が区画されている。斜板室34では、その内周面とボルト20の軸部22の外周面の一部とが接触するとともに軸部22の一部が露出している。また、シリンダブロック32とフロントハウジング33との間には、駆動軸30が、斜板室34を挿通するように、ラジアル軸受により回転自在に支持されている。そして、シリンダブロック32内には、駆動軸30を囲む位置に複数個のシリンダボア35が配設されている。各シリンダボア35には、片頭型のピストン36がそれぞれ往復動可能に嵌挿されている。斜板室34内においては、駆動軸30にはロータ37が結合され、そのロータ37の後方に斜板38が嵌合されている。特に、可変容量型の圧縮機では、斜板38は支点回りに傾動可能となっており、斜板室34の圧力変化に基づくピストン36の両端面に作用するガス圧の釣り合いによって、斜板38の傾角変位を制御するようになっている。また、斜板38の外周部には平滑な摺接面38pが形成され、この摺接面38pにはシュー39の摺動面39pが当接されている。これらのシュー39は、ピストン36の半球面座36pと係合されている。このシューを介してピストン36が斜板38と連係することにより、斜板38の回転運動がピストン36の直線運動に変換されて媒体の圧縮が行われる。すなわち、図1に示す斜板式圧縮機において、圧縮機構に含まれる駆動軸30や斜板38はフロントハウジング33に、シリンダボア35に区画された作動空間はシリンダブロック32に内蔵されている。
なお、圧縮機3は、フロントハウジング33の締付け部339の一部が金属複合材からなる構成をもつが、フロントハウジング33のボルト穴332の周壁部330の他、シリンダブロック32やリヤハウジング31のボルト穴周辺に鉄系部材を埋設してもよい。また、圧縮機3では、埋設された有穴板材10は、その表面がボルト穴332やフロントハウジング33の表面から露出していないが、いずれかの面が露出するような形状であっても構わない。
また、上記以外の形式の圧縮機であってもよい。たとえば、圧縮機構として渦巻き状のスクロールを有し区画された空間に容積変化を起こしてガスを圧縮するスクロール型圧縮機であればスクロール部を収納するハウジング、また、圧縮機構としてベーンを有し区画された空間に容積変化を起こしてガスを圧縮するベーン型圧縮機であればベーン部を収納するハウジング、など上記フロントハウジングに相当する形態のものであればよい。
[圧力容器の製造方法]
本発明の圧力容器を構成するフロントハウジングなどの容器構成体は、鉄系部材を軽金属で所望の形状に鋳込むことにより鋳造できる。鋳造方法も、重力鋳造法、低圧鋳造法、溶湯鍛造法、ダイカスト法など、従来の方法を用いればよい。以下に、容器構成体の鋳造方法を、図5および図8〜図11を用いて説明する。なお、図5、図8および図10は、本発明の圧縮容器の一例として示される容器構成体H10、H11およびH12の軸方向断面図である。
はじめに、容器構成体H10の構成を説明する。図5は、容器構成体H10の軸方向断面図である。図6は、容器構成体H10の上面図であって、図5の上方向から見た図である。また、図6は、容器構成体H10に埋設されている状態の有穴板材の形状を示す平面図である。容器構成体H10は、円筒形状の円筒部62と、円筒部62の一端を閉塞する平板状の底部61と、からなる有底円筒形のハウジング構成体60(以下「ハウジング60」と略記)からなる。円筒部62の他端部にはフランジを有し、その端面625は、通常、他のハウジング構成体と接合され圧力容器を成す。また、底部61と円筒部62とで区画される内部空間65は、略円柱形状であって底部61と円筒部62との境界部は曲面からなる。
底部61は、9個のボルト穴612を有する。9個のボルト穴612は、容器構成体H10の軸方向(円筒部62の軸方向であって、底部61の厚さ方向に一致)に貫通する円柱形状の穴である。ボルト穴612は、内部空間65と連通するとともに内部空間65の内周面の一部がボルト穴612の内周面と連続している。そのため、ボルト穴612は、底部61と円筒部62との境界部付近でリング状に位置する。また、隣接するボルト穴612は、互いに等間隔に位置する。
ボルト穴612の外側に位置する一端部は、ボルト座面と当接する当接面611をもつザグリ穴615をもつ。すなわち、ボルト穴612はボルトの軸部が挿通される通し穴612でもあり、ザグリ穴615は通し穴612よりも大径でボルト頭部を保持する穴である。
ハウジング60には、ザグリ穴615の当接面611から通し穴612の軸方向へ僅かに離れた位置に、表裏面を貫通する多数の通孔51をもつ板状体である鉄系部材が埋設される。鉄系部材は、円形板の中央部に刳り貫き部55をもつリング形板材からなる有穴板材50であって、その周方向に沿って9個の挿通穴52が形成される。9個の挿通穴52は、通し穴612と同じ径を有し、ハウジング60において通し穴612と同軸的に配置される。
以上説明した容器構成体H10を鋳造により製造する際には、容器構成体H10の形状に対応する成形キャビティ面をもつ中空部を有する鋳造型を用いる。はじめに、鋳造型の所定の位置に、鉄系部材を配設する。次に、軽金属の溶湯を鋳造型の中空部に充填して、鉄系部材を軽金属で鋳込む。鋳造後、底部61の所定の位置に、切削加工により通し穴612およびザグリ穴615を形成する。
鋳造の際に鋳造型に配設される鉄系部材は、挿通穴52が予め所定の位置に形成されている図7に示す有穴板材50であってもよいし、挿通穴をもたない鉄系部材であってもよい。しかし、通し穴612を鋳造後に加工する場合には、予め挿通穴52が形成された有穴板材50の所望の位置に通し穴612を加工するのは技術を要する。特に、容器構成体H10のように通し穴612と挿通穴52との内径の差が無い場合や差が小さい場合には高度な技術を要する。そのため、挿通穴をもたない鉄系部材を鋳造型に配設して、通し穴612を加工する際に挿通穴52を同時に加工してもよい。この場合、挿通穴52の内周面は、通し穴612の壁面に面一となって露出する。
また、鉄系部材の表裏面や外周面の少なくとも一部に突出部を形成することで、鉄系部材を鋳造型に配設する工程が容易となる。突出部をキャビティ面のいずれかの面と接触させたり、突出部を固定する部位を鋳造型に形成したり、することで、鉄系部材を鋳造型に配設する際の位置決めが容易となるとともに、軽金属が注湯されるときに鉄系部材の位置のずれが防止される。なお、突出部の形状によっては、突出部が鋳造後の容器構成体の表面から突出することがあるが、鋳造後に切削加工や研削加工によりその部分を取り除けばよい。
具体的には、少なくとも容器構成体H10と同じ位置に有穴板材50を有する容器構成体を作製するのであれば、リング形板材の外周面にリング形板材を支持することが可能な突出部を形成するとよい。図8に示す断面をもつ容器構成体H11は、ハウジング60にリング形板材の外周面から軸方向へ延出する2本の脚部57を有する有穴板材50’が埋設されている。容器構成体H11に埋設される有穴板材50’の斜視図を図9に示す。なお、有穴板材50’は、脚部57を設けた他は前出の有穴板材50と同様の構成である。2本の脚部57は、互いに同一形状の長尺な板状体であって、それぞれの一端部がリング形板材の直径の両端で外周に沿って溶接されている。脚部57の他端部は、キャビティ面の底面に載置された状態で、前述のように鋳造される。
なお、容器構成体H11において脚部57は2本であるが、脚部57は、キャビティ面の底面に脚部57を保持する保持具があれば1本でもリング形板材を所望の位置で支持することができる。脚部57が、2本以上であれば特別な保持具を用いることなく脚部57をキャビティ面の底面に載置することができる。また、脚部57は、その形状に特に限定はなく、長尺な板状の他、棒状など、容器構成体の重量に影響を及ぼさない程度の大きさや形状であればよい。したがって、脚部57が長尺な板状体であれば、表裏面を貫通する多数の通孔をもつ板状体であるのがよい。さらに、脚部57の材質としては、鉄系材料が好ましく、リング形板材と同じ材質が好適である。
また、容器構成体H10が圧縮機のハウジングを構成するハウジング構成体であれば、外側に突出する取付部が形成されることがある。なお、取付部は、前述の通り、圧縮機を被取付体にボルト等で固定する場合に用いられる。図10に示す断面をもつ容器構成体H12は、ハウジング60’の円筒部62’に取付穴629をもつ取付部628を有する。なお、ハウジング60’は、取付部628を設けた他は前出のハウジング60と同様の構成である。ハウジング60’には、リング形板材の外周面から段差をもって遠心方向へ延出する2つの側突部58を有する有穴板材50”が底部61と取付部628とに埋設されている。ハウジング60’に埋設される有穴板材50”の平面図を図11に示す。なお、有穴板材50”は、側突部58を設けた他は前出の有穴板材50と同様の構成である。2つの側突部58は、リング形板材の直径の両端で外周面に沿って溶接されている。側突部58は、その底面が、取付部628の形状に対応するキャビティ面の底面に載置された状態で、前述のように鋳造される。すなわち、取付部628の形状に対応するキャビティ面が、側突部58を保持する役割を果たす。鋳造後、取付部628の所定の位置に、切削加工により取付穴629が形成される。
なお、容器構成体H12において側突部は2つであるが、側突部58は、取付部628の個数や位置に応じて形成すればよい。また、側突部58は、その形状に特に限定はないが、取付部628と同等の形状であれば取付部628の強度が向上するため望ましい。ただし、側突部58は、容器構成体の重量に影響を及ぼさない程度の大きさや形状であるのが望ましい。したがって、側突部58は、表裏面を貫通する多数の通孔をもつ板状体であるとよい。さらに、側突部58の材質としては、鉄系材料が好ましく、リング形板材と同じ材質が好適である。
以上、本発明の圧力容器の実施形態を説明したが、本発明の圧力容器は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の圧力容器は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の圧力容器の実施例を比較例とともに図を用いて説明する。
なお、実施例1、比較例1および比較例2の容器構成体は、それぞれ以下に説明する形状を有し、この形状を前提としてシミュレーションにより評価を行った。
[実施例1]
実施例1の容器構成体H10を、図5〜図7を用いて説明する。容器構成体H10(ハウジング60)は、円筒形状の円筒部62と、円筒部62の一端を閉塞する平板状の底部61と、からなる有底円筒形とした。ハウジング60はアルミニウム合金製とした。円筒部62の他端は、外方へ張り出す厚肉のフランジとした。また、底部61と円筒部62とで区画される内部空間65は、底部61と円筒部62との境界部の全周に渡って曲面部を有する略円柱形状とした。
ボルト穴612は、底部61をハウジング60の軸方向(底部61の厚さ方向に一致)に貫通する円柱形状とした。ボルト穴612の位置は、底部61の周縁部、すなわち、底部61と円筒部62との境界部近傍とした。そのため、ボルト穴612は、内部空間65と連通するとともに内部空間65の内周面の一部がボルト穴612の内周面と連続する。また、ボルト穴612は全部で9個とし、隣接するボルト穴612は互いに等間隔にリング状に位置するものとした。
各ボルト穴612の一端部は、ボルト座面と当接する当接面611をもつザグリ穴615とした。ザグリ穴615は、ハウジング60の外側にボルト穴612よりも大きく開口する。ハウジング60は、ザグリ穴615の当接面611からボルト穴612の軸方向へ僅かに離れた位置に、鉄系部材としてエキスパンドメタル50を埋設した金属複合材からなる構成とした。
エキスパンドメタル50は、円形平板の中央部に刳り貫き部55をもつリング形板材からなり、その周方向に沿って9個の挿通穴52を有する形状とした。9個の挿通穴52と9個のボルト穴612とは、互いに同軸的に位置した。このとき、挿通穴52とボルト穴612とは、その内径が同一であるため、挿通穴52の内周面は、ボルト穴612の壁面に面一となって露出する。また、エキスパンドメタル50は、W(図7)で示される長さを挿通穴52の半径(すなわちボルト穴612の半径)の2.1倍とした。なお、挿通穴52は、エキスパンドメタル50の幅方向の中央に位置するため、Wはエキスパンドメタル50の幅の半分に相当する。したがって、エキスパンドメタル50の幅は、挿通穴52の内径(直径)すなわちボルト穴612の内径(直径)の2.1倍であった。
[比較例1]
エキスパンドメタル50を用いない以外は、実施例1と同様の形状および寸法を有するハウジング60からなる容器構成体H01を比較例1とした。容器構成体H01の軸方向断面図を図12に示す。
[比較例2]
エキスパンドメタルの埋設位置を変更した以外は、実施例1と同様の形状および寸法を有するハウジング60からなる容器構成体H02を比較例2とした。容器構成体H02の軸方向断面図を図13に、鉄系部材として用いたエキスパンドメタル70の斜視図を図14に、それぞれ示す。
エキスパンドメタル70は、円筒形とした。ハウジング60は、エキスパンドメタル70を円筒部62と同軸的に埋設し、円筒部62が全周に渡って金属複合材からなる構成とした。このとき、エキスパンドメタル70は、円筒部62の開口端面から底部61との境界部までの高さを有するとともに、円筒部62の厚さ方向の中央部に位置した。
[評価]
実施例1、比較例1および比較例2の各容器構成体について、ハウジング60に負荷する応力を解析した。なお、シミュレーションの前提条件として、上記の形状に加え、表1に示す値を用いた。
Figure 2007255469
そして、各容器構成体に所定の内圧を負荷させた際に、ハウジング60が受ける応力を解析した。いずれの容器構成体においても、ボルト穴612周辺、特に、ボルト穴612の周壁部の一端部(ザグリ穴615側)に位置する締め付け部のうち、容器構成体の中央側に位置する部位(図12のハウジング60を用いて説明すれば、符号Aで示す×印の部位)で、最も応力負荷が激しかった。各容器構成体が受ける負荷応力の最大値を図15に示す。
また、各容器構成体の寸法から算出した重量を元に、比較例1の容器構成体に対する実施例1および比較例2の容器構成体の重量増加率を求めた。結果を図16に示す。
比較例2の容器構成体は、円筒部の全周に渡ってエキスパンドメタルが埋設されているため、内圧の負荷による底部の変形が抑制され、比較例1の容器構成体に比べて底部にかかる負荷応力が低減された。しかしながら、ボルト穴周辺における負荷応力を十分に低減させるとともに重量増加率を抑えることができたのは、実施例1の容器構成体であった。
本発明の圧力容器をハウジングとして用いた可変容量型の片頭型斜板式圧縮機の断面図である。 図1のボルトの周辺の部分拡大図である。 図1に示す圧縮機を駆動力の入力側から見た側面図であって、ボルトを含む部位の部分拡大図である。 本発明の圧力容器において鉄系部材として用いられる有穴板材の平面図であって、図1に示す圧縮機のハウジングに埋設されている状態の有穴板材を示す。 本発明の圧力容器の容器構成体の一例を示す断面図であって、図6のX−X’における断面図である。 図5に示す容器構成体の上面図である。 図5に示す容器構成体において鉄系部材として用いられる有穴板材の平面図であって、図5に示す容器構成体に埋設されている状態の有穴板材を示す。 本発明の圧力容器の容器構成体の一例を示す断面図である。 図8に示す容器構成体において鉄系部材として用いられる有穴板材の斜視図であって、図8に示す容器構成体に埋設されている状態の有穴板材を示す。 本発明の圧力容器の容器構成体の一例を示す断面図である。 図10に示す容器構成体において鉄系部材として用いられる有穴板材の平面図であって、図10に示す容器構成体に埋設されている状態の有穴板材を示す。 比較例1の容器構成体を示す断面図である。 比較例2の容器構成体を示す断面図である。 比較例2の容器構成体において鉄系部材として用いられる円筒部材の斜視図である。 シミュレーションにより得られた、実施例1、比較例1および比較例2の容器構成体が受ける負荷応力(引張応力)の最大値を示すグラフである。 比較例1の容器構成体に対する比較例2および実施例1の容器構成体の重量増加率を示すグラフである。
符号の説明
10、50、50’、50”:鉄系部材(有穴板材)
11、51:通孔 12、52:挿通穴
55:刳り貫き部
20:ボルト
31、32、33、60、60’:容器構成体(ハウジング構成体)
330:周壁部 339:締付け部
332、612:ボルト穴

Claims (11)

  1. ボルト穴を有する2以上の容器構成体がボルトを介して締結され固定されてなる軽金属製の圧力容器において、
    1以上の前記容器構成体の該ボルト穴の周壁部の少なくとも一部は、マトリックスとなる該軽金属と、該軽金属中に埋設され鉄を主成分とし表裏面を貫通する多数の通孔をもつ板状の鉄系部材と、からなる金属複合材からなることを特徴とする圧力容器。
  2. 前記鉄系部材は、内径が前記ボルト穴の内径以上であって表裏面を貫通し該ボルト穴と同軸的に配置される挿通穴をもつ有穴板材である請求項1記載の圧力容器。
  3. 2以上の前記容器構成体のうちの少なくとも1つは、円筒形状の円筒部と、該円筒部の一端を閉塞するとともに前記ボルト穴を複数個有する底部と、を備え、
    複数の該ボルト穴は、該底部を該円筒部の軸方向に貫通し、互いに等間隔にリング状に位置する請求項2記載の圧力容器。
  4. 前記有穴板材はリング形状を呈するリング形板材であって、複数の前記挿通穴が該リング形板材の周方向に互いに等間隔に位置する請求項3記載の圧力容器。
  5. 前記ボルト穴は、その前記周壁部の一端部に位置するとともに前記ボルトのボルト座面と当接する当接面をもつ締付け部を有し、該締付け部の少なくとも一部は前記金属複合材からなる請求項1〜4のいずれかに記載の圧力容器。
  6. 前記鉄系部材の前記通孔1つ当たりの開口面積は、前記挿通穴1つ当たりの開口面積より小さい請求項2記載の圧力容器。
  7. 前記鉄系部材は、エキスパンドメタル、メタルラスまたはパンチングメタルである請求項1記載の圧力容器。
  8. 前記鉄系部材の厚さが1〜4mmである請求項1記載の圧力容器。
  9. 前記軽金属は、アルミニウム系金属またはマグネシウム系金属である請求項1記載の圧力容器。
  10. 圧縮機構および該圧縮機構でガスを圧縮する作動空間を内蔵する圧縮機のハウジングである請求項1記載の圧力容器。
  11. 2以上の前記容器構成体のうちの1つは、フロントハウジングである請求項10記載の圧力容器。
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