JPWO2006025259A1 - 蛍光体とその製法及びこれを用いた発光デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明は発光材料、特に紫外線領域の光を放射する蛍光体に関し、特にB−Cu型の発光機能を有するZnS蛍光体、その製造方法、その蛍光体を使用した蛍光ランプ、面発光デバイス等を提供することを目的とする。本発明によれば、蛍光体であって、一般式がZn(1−x)AxS:E,Dで表され、該一般式中、AはBe、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の2A族元素、EはCu又はAgを含む付活剤、Dは3B族及び7B族元素から選ばれる少なくとも一種を含む共付活剤、xは0≦x<1を満たす混晶比率であり、Blue−Cu型発光機能を持つことを特徴とする蛍光体が提供される。付活剤は共付活剤のモル濃度以上のモル濃度で含有させることがより短波長の発光を得られるため好ましい。付活剤としては、Cu、Ag、それぞれの他にAg及びAuも好ましく用いられる。

Description

本発明は発光材料、特に紫外線領域の光を放射する蛍光体に関するものである。特に、本発明は、有害物質や細菌・ウイルスなどを分離、分解または殺菌する手段としての光発光デバイスに適した蛍光体に関する。また、本発明は、無機エレクトロルミネッセンス(EL)により紫外線を放射して発光する発光デバイスに用いる蛍光体及びその作製方法に関する。また、本発明は、発光デバイスとしての蛍光ランプ及びそれを用いたフィールドエミッションディスプレイに関する。さらに本発明は、無機ELにより可視光線または紫外線を放射して発光すると共に、放射された可視光線または紫外線により蛍光体を励起して可視光を発光する面発光体を有する面発光デバイスに関する。
近年の環境問題から、有害物質や細菌・ウイルスなどを分離、分解または殺菌する機能が強く要求されている。このような分解・殺菌を行う手段として光触媒材料が注目されている。代表的な光触媒はTiOであるが、これは一般には波長が400nm以下の紫外線により光触媒機能を発揮する。特にアナターゼ型TiOは波長が400nm以下の紫外線により光触媒機能を発揮する。最近では、アナターゼ型TiOよりは機能は低いものの、420nmくらいの波長まで機能するルチル型TiOも開発されている。
このような波長の光を放射させるデバイスとしては、水銀ランプや発光ダイオードもあるが、点または線光源であるため、大面積の光触媒を均一に励起するには適さない。大面積を均一に発光させるデバイスとして無機ELデバイスがある。これは、光を放射する機能を持つ蛍光体粉末を誘電体樹脂に分散させて、主として交流電界を印加して発光させるものである。この他、光触媒の励起、捕虫、UV露光、樹脂硬化等の光源には高効率で紫外線を放射する蛍光体が必要である。
高効率で発光する蛍光体としてはZnS蛍光体が挙げられる。一般にZnS蛍光体の中で短波長の発光を示すものはAgで付活されたものであるが、発光波長は450nmの青色であり、可視光領域の光しか放射しない。この発光機構は、ZnS中に添加された付活剤のAgがアクセプタ準位を形成し、共付活剤として添加されるClやAl等がドナー準位を形成し、このドナー準位とアクセプタ準位間で電子と正孔が再結合することにより、ピーク波長が450nm程度のD−Aペア型(別名Green−Cu型、以下G−Cu型)の青色の発光が生じる。このG−Cu型の発光は、蛍光体母材をZnSとZnSよりもバンドギャップの大きい化合物との混晶として蛍光体母材のバンドギャップを増大させることにより短波長化することができる。ZnSと混晶にすることによってバンドギャップを増大することができる化合物として2A族元素硫化物が挙げられる。しかし、MgSをZnSに対して固溶する限界まで固溶させたZn0.8Mg0.2S:Ag系蛍光体においてもピーク波長が400nmを越える紫色領域までしか短波長化させることしかできない。この場合、発光スペクトルの短波長側の裾は400nm以下になるが、このZnS:Ag系蛍光体は電界印加によるエレクトロルミネッセンス発光は起こらない。
特開平2002−231151号公報にはZnSと2A族元素硫化物の混晶半導体である蛍光体母材に付活剤のCuやAgとそれ以上のモル濃度の共付活剤を同時に添加することによって、発光効率及び色度を向上できることが記載されている。しかし、その発光スペクトルにはG−Cu型の主発光以外の発光は存在しないことが記載されており、発光波長も可視光領域である。
ところで、近年の環境問題から、発光体として水銀を使用する装置やデバイスの使用が規制されつつある。水銀を使用する代表的なデバイスは蛍光灯、低圧・中圧・高圧・超高圧水銀灯などの照明または光源デバイスである。これらは全て、水銀の放電により発生させた紫外線を蛍光体に照射することで、可視光線または紫外線を発光させる原理により作動する。
これに対して、水銀を使用しない環境に優しい発光デバイスとしては蛍光表示管をはじめとする蛍光ランプなるものがある。これは、熱陰極または冷陰極カソードから発生させた電子線を蛍光体に照射することで可視光線を発生させるものであり、長寿命・高信頼性、低消費電力という特徴を持ち、車載用のディスプレイや屋外表示デバイスとして使用されている(特開2001−176433号公報参照)。
最も標準的な蛍光ランプは、直熱三極管のアノード(プレート)に蛍光体が貼り付けてあり(パターニング)、フィラメントから照射された熱電子をグリッドで制御し、その熱電子がアノードに当たる時に蛍光体が発光する。フィラメント材質は基本的にはタングステン合金であるが、その他様々な合金も用いられる。
最近はLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)を用いたものや、有機ELディスプレイ等もあるが、依然として視野角の広さ、発光の美しさ、寿命、動作温度範囲等の点で総合的には蛍光表示管に一日の長があり、特に発光が綺麗で表示が鮮明な点が買われて、オーディオ機器やビデオ機器で主に使われている。また、車の時計などにも、視認性と信頼性の高さからよく使われている。有機ELディスプレイも自発光のため視野角は広く、発光効率が高いという長所が有るにせよ、寿命が短いという欠点がある。この点、蛍光表示管の寿命は3万時間を超える長寿命である。さらには、陰極を冷陰極型にすることにより、熱フィラメントが切れるという問題が解決できるために、蛍光表示管の寿命はさらに長くなり信頼性が増大する。
しかしながら、従来の蛍光表示管は、表示デバイス用途のみを対象としているために紫外線を発生させることを目的としたものではない。蛍光表示管において、電子線照射により可視光発光する蛍光体粉末の表面に、電子線照射により紫外光発光する蛍光体をコーティングするという方法が提案されている。これは、電子線を紫外発光蛍光体に照射して一旦紫外線を発生させ、これを可視光発光蛍光体に照射することにより望む波長の可視光を発生させるという原理のものである。紫外発光蛍光体としては、ZnO、ZnO・Ga:Cd等が報告されている。(特開平8−127769公報、特開平8−45438公報参照)
また、他の蛍光体の応用として、近年、災害等が起こった時にビルの電源系統が絶たれた後も一定時間は光を放射し続ける蛍光体が開発されている(特許第2543825号公報参照)。これは、蛍光体に予め一定時間以上の可視光線または紫外線のエネルギーを照射しておくと、蛍光体が畜光して、エネルギーを遮断した後、畜光したエネルギーを光として放射し続けるものである。このような蛍光体をシート形状に加工した面発光体は、屋内では一般の蛍光灯等と組み合わされ、また屋外では、人工光源なしで太陽光線のエネルギーを利用して、日没後に光り続ける機能を持つ。
特開2002−231151号公報 特開2001−176433号公報 特開平8−127769号公報 特開平8−45438号公報
ZnS蛍光体におけるG−Cu型の青色発光はZnSのバンドギャップを増大して発光波長を短波長化しても紫色領域までしか達せず、紫外線領域の発光は生じない。一方CuやAgで付活したZnS蛍光体はCuやAgが結晶格子のZn位置のみならず、格子間にも侵入すると、G−Cu型発光の短波長側にBlue−Cu型(以下B−Cu型)と呼ばれる発光が生じると言われている。しかし付活剤がAgの場合はAgのイオン半径が0.133nmとZnのイオン半径0.083nmと比較しても大きく、ZnS中のZn位置を占有することができても結晶格子間への侵入は生じにくいため、B−Cu型の発光を得ることは容易ではないという問題がある。また、この場合はEL発光は生じない。
一方、付活剤がCuの場合は、Cuのイオン半径がAgよりも小さく、Znイオンとほぼ同じであるため、結晶格子間へ容易に侵入させることができるという利点があり、しかもEL発光が起こるが、付活剤であるCuのエネルギー準位はAgのそれよりも深いために、これまでB−Cu型発光の発光波長は、ピーク波長を450nm程度までしか短波長化させることができず、かつ短波長側の裾も400nmを越えてしまっていた。すなわち、400nm以下の紫外領域の発光成分がなかった。
したがって、本発明は上記の問題点を解決するために、ZnS系蛍光体において、Ag又はCuを含む付活剤を用いた時に、B−Cu型発光を生じる蛍光体、及びその作製方法を提供することを目的とする。本発明のさらなる目的は、Cuを付活剤とした時に、短波長のEL紫外発光が起こる蛍光体、及びその作製方法を提供することである。本発明の別の更なる目的は、Agを付活剤とした時に、格子間へのAgの侵入が容易になるよう、ZnSと他の硫化物との混晶化、Ag等の付活剤・共付活剤量の工夫、原料混合手法・焼成条件等の工夫によりG−Cu型の青紫色発光だけでなく、更にG−Cu型青紫色発光の短波長側の紫外線領域に発光ピークを有するB−Cu型発光を生じる蛍光体を提供することである。本発明の別の目的は、Agを含む付活剤を用いた時に、Agイオンの格子間ドーピングを安定化して短波長発光を可能にすると共に、EL発光に必要な導電相を結晶粒界、双晶界面及び転位に形成できる蛍光体を提供することである。
また、蛍光表示管について言えば、上記の電子線照射により可視光発光する蛍光体粉末の表面に、電子線照射により紫外光発光する蛍光体をコーティングする発明は、可視光発光する蛍光表示管を得るためのものであり、紫外線を放出するデバイスではない。この理由は以下の通りと推測される。すなわち、電子線を照射して効率よく紫外線を発生させ得る蛍光体がこれまで存在しなかったためである。この蛍光表示管では、可視発光蛍光体は、紫外発光蛍光体が放出した紫外線を吸収して可視光発光するのと同時に、それ自体が、ある程度電子線を吸収して可視光を発光するので、紫外線の強度はそれほど高くなくてもかまわない。しかし、紫外発光蛍光体のみを使用した場合は、発光効率が低すぎて紫外発光蛍光ランプとして実用には至らないのである。
本発明はこのような問題にも対処することができ、本発明の蛍光体を用い、蛍光ランプまたは蛍光表示管の原理を利用し、簡易な構造で全体に高輝度で長寿命な紫外線光源として利用できる蛍光ランプを提供することを今ひとつの目的とする。
また、上記の残光性の蛍光体をシート状に加工した面蛍光体について言えば、屋内で使用する場合には、このようなシートには光源が必要であるために、例えば蛍光灯が必要であるために、デバイスとしては嵩張ったものになってしまうという欠点がある。特に、残光性蛍光体を短時間で効率よく励起するためには、好ましくはエネルギーの大きい紫外線が必要であるが、蛍光灯に含まれる紫外線量は非常に少ないため、長時間の照射が必要であり、消費電力が大きくなってしまう。蛍光灯の代わりに、ブラックライトなどの紫外灯を用いると照射時間は短くて済むが、嵩張るという問題は同じである。特に、携帯電話やパソコンのバックライトなど、薄型機能が要求される場合、嵩張ることは致命的である。
一方、携帯電話や時計のバックライトには薄型ELシートが適用されている。しかし、これらは基本的には、ユーザーの操作時にはバックライトが点灯して画面表示できるが、操作終了後、数十秒後には消灯するので暗い場所では認視できない。よって、暗い場所で時刻等を見るためには再度点灯ボタンを押してバックライトを点灯させなければならない。
したがって、本発明の更なる目的は、本発明の蛍光体を用い、蛍光体を短時間で励起できる低消費電力型で、嵩張らない面発光体を用いた面発光デバイスを提供することである。
上記の目的を達成するための本発明は以下のとおりである。
1 本発明の蛍光体
本発明によれば、蛍光体であって、一般式がZn(1−x)S:E,Dで表され、該一般式中、AはBe、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の2A族元素、EはCu又はAgを含む付活剤、Dは3B族及び7B族元素から選ばれる少なくとも一種を含む共付活剤、xは0≦x<1を満たす混晶比率であり、Blue−Cu型発光機能を持つことを特徴とする蛍光体が提供される。本発明の蛍光体は、蛍光体の母材を、ZnSを基に、バンドギャップの大きいMgSやCaS等の2A族硫化物を混合した混晶母材とし、付活剤(アクセプタ)としてCu又はAgを含み、共付活剤(ドナー)としてClやAl等の短周期型の周期表における3B族または7B族元素を添加して作製され、B−Cu型発光機能を持つ蛍光体である。
このようなB−Cu型発光を持つ蛍光体は、Cu又はAgを含む付活剤を共付活剤のモル濃度以上のモル濃度で含有させることにより作製できる。本発明ではZnS系蛍光体に共付活剤のモル濃度よりも高いモル濃度の、Cu又はAgを含む付活剤を添加することで、電荷補償されないCu又はAgを増加させ、より多くのCu又はAgを含む付活剤が格子間に侵入しやすいようにした。
特開2002−231151号公報に記載のZnS系蛍光体は、付活剤Agのモル濃度以上のモル濃度の共付活剤が添加されている。ZnS系蛍光体に添加される共付活剤は付活剤の電荷補償の役割も担うため、特開2002−231151号公報に記載のZnS系蛍光体中の付活剤のAgは全て電荷補償されていると考えられる。電荷補償されたAgは結晶格子のZn位置を置換してしまい格子間には侵入しないため特開2002−231151号公報に記載の蛍光体が示す発光はB−Cu型発光でなく、G−Cu型発光のみである。
一般に、蛍光体に紫外線を照射した場合(PL)には、B−Cu型発光が現れる時にはG−Cu型発光も同時に現れるが、電子線を照射した場合(CL)や、電界を印加した場合(EL)には、B−Cu型発光の相対強度がより高くなり、長波長側に長く裾を引いた形の発光スペクトル形状になる場合が多い。
B−Cu型発光を以下に説明する。例えば、一般的にはZnS:Cu,Cl蛍光体は、ドーピングされたCuがZnの位置を置換し、同時にClがSの位置を置換する。発光波長は530nm近傍の緑色を示すことから、G−Cu型発光と呼ばれる。一方、CuがZn位置を置換するのと同時に、ZnSの結晶格子の隙間に侵入すると、短波長の460nm近傍のB−Cu型発光と呼ばれる発光が起こる。これらの2つの発光は同時に起こるので、発光スペクトルには2つのピークが現れることになる。一般には、蛍光体の励起を紫外線で行った場合のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルは、長波長側のピーク強度が最も高くなるが、電子線や電界で励起した場合のカソードルミネッセンス(CL)スペクトル、またはエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは、短波長側のピーク強度が最も高くなるか、または長波長側に明確なピークが現れないことがある。Cuの代わりにAgをドーピングした場合も同様の現象が起こり、Cuの場合と同様に、短波長側の発光はB−Cu型と呼ぶ。
本蛍光体においては、混晶比率xの値を変化させることにより、発光スペクトルのピーク波長を制御することができる。xが大きいほど発光波長のピークは短波長側へシフトする。このとき、発光のピーク波長を360〜375nmの範囲に制御することが好ましい。この波長帯は、例えば、紫外線による樹脂硬化に最も利用されている波長である。
発光スペクトルがB−Cu型を含むか否かの判断は、例えば下記のような手段で判断することができる。例えば、蛍光体の母材がZnS−MgS系なら、Znに対するMgの濃度比が分かれば、母材のバンドギャップが計算でき、さらに、蛍光体中にドーピングした付活剤元素種と共付活剤元素種が分かれば、それらのエネルギー準位から、DAペア型発光またはB−Cu型発光が生じた場合の発光ピーク波長を計算することができるので、実際の発光波長と比較して判断する方法がある。または、付活剤の濃度と共付活剤濃度を測定して、前者が後者よりも大きければB−Cu型発光を含むと言える。また、強力なエックス線を用いたXAFS分析を行うことにより付活種元素の占める位置を決定することもできるので、G−Cu型発光とB−Cu型発光を区別することもできる。
更に、本発明の蛍光体では、蛍光体母材をZnSとBeS、MgS、CaS、SrS及びBaSの中から少なくとも1種選ばれる2A族硫化物との混晶にすることにより結晶格子を拡大させ、より多くのCu又はAgを含む付活剤が格子間に侵入しやすいようにした。例えばMgSの場合はMgSの固溶限においてa軸方向に約0.05nm拡大し、c軸方向に約0.04nm拡大する。また、母材をZnSと2A族硫化物との混晶にすることにより、格子間に侵入したCu又はAgを含む付活剤に起因するB−Cu型の発光が得られやすくなる他、蛍光体母材のバンドギャップが増大することから、B−Cu型の発光が更に短波長化し、より短波長の紫外線領域の発光が得られる利点もある。
この蛍光体は紫外線領域の発光を生じるPL用途、CL用途の蛍光体として利用できる他、導電相としてのCuS等のCu−S系化合物やカーボンナノチューブ等の導電性を有する物質との複合化によりEL用途としても利用でき、本発明を用いたPL、CL、ELを応用した発光素子は紫外線発光光源として利用が期待できる。
2 本発明の蛍光体の製法
本発明の蛍光体を製造するには、蛍光体母材の原料であるZnS粉末と2A族硫化物粉末と、付活剤の原料粉末(Agであれば所定量のAgS粉末)と、共付活剤の原料粉末(例えば、Al、Ga、F、Cl、Br及びIのうち少なくとも1種の原料である所定量のAl、Ga、NaF、NaCl、NaBr及びNaI粉末)とをエタノール中にて分散させ、更に超音波振動を印加して混合する。原料分散エタノールは2A族硫化物の加水分解・酸化を防止する目的で乾燥窒素もしくは乾燥アルゴンを流入させたエバポレータにより乾燥する。回収した乾燥原料は蓋付きのアルミナるつぼまたは石英るつぼに投入し、硫化水素ガス中、水素ガス中、アルゴンガス中、あるいは窒素ガス中で1000℃で2時間焼成を行い、そののち冷却処理・アニール処理を行い合成する。
蛍光体の発光スペクトルの傾向や、2A族硫化物の固溶量、焼成温度の関係を、ZnS−MgS系を例に説明する。
MgS量が増加するに従って発光スペクトル全体が短波長にシフトするが、420nm以下の領域の積分発光強度が全発光強度の25%以上であることが好ましい。さらには、400nm以下の領域の積分発光強度が全発光強度の5%以上であることが好ましい。400nm以下の領域の積分発光強度が全発光強度の5%となる時のMg量は、ZnとMgの総和の25モル%程度となる。400nm以下の領域の積分発光強度が全発光強度の5%以上にするためには、さらなるMgSの混晶化が必要であるが、通常、室温では、ZnSに対してMgSは25モル%程度までしか固溶せず、これを越えると、六方晶であるZnSと結晶構造が異なる岩塩型のMgSが単独で析出し始める。これは極めて水分に弱く、MgOやMg(OH)に転化してしまい、蛍光体性能を劣化させる。
本発明では、焼成温度から急冷することにより25モル%以上のMgSを固溶させることができる。焼成温度が高いほど、その温度でのMgSの固溶量が高い。例えば、1020℃で焼成すると、25モル%程度のMgSが固溶する。1200℃で焼成すると、50モル%まで増大する。この焼成温度と固溶量、発光スペクトルの傾向は、本発明の蛍光体の一般式中AがBe、Ca、Sr及びBaのいずれか、又はいずれかの組み合わせであっても同様である。
高い焼成温度から急冷することで、焼成温度での固溶量を維持したままの蛍光体が得られる。例えば、冷却速度の速い焼成炉を使用し、30℃/min程度で室温まで急冷することでMgの固溶量を上記の値にすることができる。その他の冷却方法としては、保持が終わった後、多量のガスを流しながら冷却する方法、炉内から取り出した蛍光体粉末を、水中に浮かべた熱伝導率の高い容器に移す等の方法がある。炉内で自然放冷する場合は、冷却速度は1℃/min〜100℃/min程度であるが、水中急冷などを用いると、これらの値よりも高い冷却速度が得られる。焼成炉の構造によっては、焼成温度が高い場合は水中急冷法が望ましい場合もある。尚、水中急冷を行う場合は、不活性ガス中で行うことが好ましいが、極めて短時間で急冷されるので大気中でも大きな支障はない。
このようにして、格子間に侵入させた付活剤の原子もしくはイオンは不安定であることから冷却中に格子間から吐き出され、また、急冷により結晶格子に歪みが導入され、発光強度が低下してしまう場合もある。そのため、急冷中、室温まで冷却する前に、又は室温まで急冷後に、焼成温度よりも低温で長時間アニールすることにより格子間原子を安定化させると共に結晶格子の歪みの除去を行うと効果がある。
また、歪みを除去するためのアニールの前に、意図的に蛍光体内部に歪みを導入して、双晶(積層欠陥)を高密度で形成することでEL発光の輝度を向上させることができる。アニール温度が高いほど歪み除去による結晶性向上と導電相の分散密度は高くなり輝度は高くなるが、温度が800℃を越えると、格子間に導入された付活剤の吐き出しが生じたり、蛍光体中の硫黄成分が昇華して長波長側の発光強度が高くなり、結果としてB−Cu型発光強度の低下が生じる場合がある。アニール温度が100℃より低いと、結晶性が向上しない。好ましくは700℃程度である。歪みを導入する方法としては、例えば、焼成後の蛍光体粉末に機械的応力を加える方法や電子線を照射する方法などが考えられる。焼成後の蛍光体内部にもある程度の量の双晶は形成されているが、機械的応力を加えるとさらに双晶密度は増加する。このような双晶を含む粉末をアニールすると、アニール中に蛍光体に含まれるCuやAg、またはAuが双晶界面に偏析して導電相として機能する場合がある。
焼成前の原料混合は、非水系溶媒中または非酸化性ガス中で行うことが好ましい。蛍光体母材の原料の2A族硫化物は不安定で特に水との接触により加水分解が生じ、また乾燥空気中においても酸化が生じてしまうため混晶蛍光体が得られない、もしくは焼成後に2A族酸化物が不純物として混入してしまう等の問題がある。本発明ではエタノール等の溶媒で原料の混合を行い、エバポレータを用いて不活性ガス中で原料の乾燥を行い、原料の劣化を防止して仕込み濃度通りの材料設計通りの蛍光体を得ることができる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。また、B−Cu型の発光は硫化水素ガス、水素ガス、窒素ガス又はアルゴンガス中の焼成で生じ、特に水素ガス、硫化水素ガス、アルゴンガス中で焼成すると高輝度で生じることが判明した。理由は硫化水素を含むガス中で焼成すると、ZnSからの硫黄の昇華が防止できるからと推定される。
3 付活剤がCuの場合
本発明の蛍光体は、付活剤としてCuを好ましく用いることができる。すなわち、上記の蛍光体であって、上記一般式中の付活剤EがCuであり、xが0<x<1であり、交流電界印加により測定したエレクトロルミネッセンス発光スペクトルの一部が、波長が400nm以下の領域にあることをさらなる特徴とする蛍光体が提供される。
一般に、ZnS系蛍光体の発光波長はブロードな形を持つが、本発明では、発光スペクトルのピーク波長が400nm以下であることではなく、短波長側の裾が400nm以下の領域にあることを意味する。本発明では、母材のバンドギャップを大きくし、付活剤及び共付活剤の含有量を調整することで短波長側の裾を400nm以下にシフトさせることができる。
付活剤であるCuの濃度が蛍光体母材の金属元素(上記一般式中ZnとAの総和)に対して0.006〜6mol%であることが好ましい。これより小さいとB−Cu型発光は生じにくい。これより大きいと効果は飽和する。より好ましくは0.2〜1mol%である。
共付活剤であるDとしては、Al、Ga、Cl、F等が挙げられるが、原料コストの点でAl、Clが好ましい。共付活剤の濃度は付活剤濃度の0.1〜90mol%が好ましい。これより大きいと、B−Cu型発光の強度は小さい。これを越えると、B−Cu型発光は生じにくい。より好ましくは0.1〜60mol%である。
但し、上記した、共付活剤濃度の付活剤濃度に対する比率は、あくまで蛍光体内部に含まれる濃度であって、原料粉末の調合時の濃度比とは必ずしも一致しないことがある。すなわち、高輝度で発光する蛍光体を作製するためには、結晶性を高くすることが必要であり、そのために、通常は多量の融剤を使用する。融剤は低温で液相となるもので、一般にはKClやNaClなどの塩化物が用いられる。これらの融剤濃度を高くすることは、出発原料に含まれる共付活剤濃度が高くなり、出発原料中では、付活剤濃度よりも共付活剤濃度が高くなる。しかし、ClのZnSへの固溶量は0.1mol%程度と低いので、出発原料中の付活剤濃度を、0.1mol%よりも高くすることで、融剤量に関わらず、蛍光体中の付活剤濃度を共付活剤濃度よりも高くすることができる。これは、Cuを付活剤にする時に顕著に現れる現象であり、Cuを付活剤とする時は、融剤の濃度を高くしてもB−Cu発光が得られる場合が多い。この理由は、CuがAgに比べて格子間に入りやすいためである。
上述したように、蛍光体の製造においては、焼成後急冷した蛍光体の結晶格子には歪みが生じるため、アニールが有効である。アニールの効果は歪みの除去による蛍光体母材の結晶性向上のみでなく、次のような効果もある。すなわち、蛍光体内部には歪みの導入により、多数の結晶転位や双晶(積層欠陥)が発生しているが、アニールすることにより、付活剤として導入したCuの内、過剰のCu成分が再度、結晶転位や双晶界面に拡散してCuSとなり導電相として高密度に分散して、EL発光時の輝度が向上する。尚、転位や粒界の析出物はCuSである場合もあるし、Cu1−xSのような場合もある。または双晶界面に高密度でCu原子が偏析している場合もある。
また、上述した方法でCuSを内在させた蛍光体の表面にもCuS粒子が付着している。導電性の高いCuS粒子が蛍光体表面に存在すると、交流電界を印可した時、電界が表面を伝わってしまって蛍光体内部に効果的に電圧が印可されず、発光強度が低下するので、エッチングなどで除去するほうが好ましい。
MgS量が50モル%の組成では、発光スペクトルのピーク波長は400nm程度、短波長側の裾は350nm程度であり、400nm以下の累積発光強度は36%近くまで増大するものもある。
また、本発明の蛍光体は、付活剤としてCuを添加している。したがって、本発明の蛍光体は電子線や紫外線を照射しても発光させることができる。また、Cuは付活剤として働く一方で、余剰のCuは焼成後にCuの硫化物となって蛍光体中に分散する。Cuの硫化物は導電性が高いために、電界を印加した時、蛍光体中には局所的には印加した電圧よりも2桁程度高い電界が印加されるようになり、高いEL発光強度が得られる。
4 付活剤がAgの場合
本発明の蛍光体には、付活剤EとしてAgを好ましく用いることができる。すなわち、上記の蛍光体であって、上記一般式中付活剤EがAgであり、xが0<x<1であり、該付活剤Agを共付活剤Dのモル濃度以上のモル濃度で含有させたことをさらなる特徴とする蛍光体が提供される。
本発明はZnS系蛍光体の格子間により多くのAgが侵入するよう、付活剤・共付活剤の添加量、混晶とする2A族硫化物の添加量、焼成条件及び原料の混合において工夫した。
上述のように、本発明の蛍光体の発光スペクトルは2つのピーク波長を有する場合がある。特に、付活剤としてAgを用いた場合は2つのPLピークを持つ場合が多い。一方、Cuを用いた場合は、1つのピーク波長となる場合が多い。これは、CuのほうがAgよりも格子間に入りやすいためである。この2種類の発光ピークのうち短波長側の発光ピーク強度が、長波長側の発光ピーク強度の20%以上であることが好ましい。20%以上の場合、電子線照射時の発光スペクトルは、短波長側のピーク波長のみをピーク波長とするCLスペクトルが得られる。また、本発明のZnS−2A族硫化物蛍光体は、光触媒の励起、捕虫、UV露光、樹脂硬化等の様々な用途に必要な紫外線である波長355〜387nmの領域での発光を生じ、特に汎用性の高い波長365nm付近の発光も得られるため、本発明の蛍光体を用いたPL、CL及びEL発光素子はこれらの用途の光源としての利用が期待できる。
また、ZnSの結晶構造は高温相のα型と低温相のβ型の2種類があり、結晶格子の隙間はα型の方が大きい。本発明のZnS蛍光体は900〜1200℃程度で焼成して合成するが、焼成後に冷却速度1℃/min〜100℃/minの範囲で冷却処理を行うことにより格子間隔の大きいα型を多く含有させることができ、より多くのAgが結晶格子間に侵入しやすい結晶相とすることができた。特開2002−231151号公報においてはα相含有率は0〜40%であり、結晶格子間隔の大きいα相含有量が少なく、結晶格子間への付活剤Agの侵入が生じにくいことが予測され、このこともB−Cu型発光が得られない原因の一つと推測される。
また、上記のように、本発明の蛍光体の母材は2A族硫化物との混晶であり、BeS、MgS、CaS、SrS及びBaSからなる群から選ばれた少なくとも1種の硫化物が固溶している。このとき、硫化物の濃度が5〜50mol%であることが好ましく、15〜50mol%であることがさらに好ましい。
また、格子間に侵入した原子もしくはイオンは不安定であることから冷却中に格子間から吐き出される問題があるが、急冷処理は格子間原子を安定化させることができる利点もある。一方、急冷処理をすることにより結晶格子には歪みも導入され、発光強度が低下してしまう問題があるが、これは上述のようにアニールすることで解消できる。ここでは、100℃〜500℃程度の低温で長時間アニールすることが望ましく、500℃以上のアニールでは格子間Agの吐き出しが生じ、B−Cu型発光強度の低下が生じると考えられる。これらの処理を行うことにより、高濃度のAgが格子間に侵入しやすいようになりB−Cu型の紫外線領域の発光を実現でき、また最大限にその発光強度を向上できる。
共付活剤Dとしては、3B族元素であるAl及びGa、並びに、7B族元素であるF、Cl、Br及びIの中から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。また、付活剤Agの濃度が蛍光体母材の金属元素(上記一般式中Zn及びAの総和)に対して0.006〜6mol%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1mol%である。
また、本発明の蛍光体はPL及びCLにて紫外線領域の発光を示す。その他、CuS等のCu−S系化合物やカーボンナノチューブ等の導電性を有する物質との複合化によりEL発光を示すようになるため、公知のELパネルの蛍光体を本発明の蛍光体に置換することで容易に紫外発光EL素子が作製できる。
5 付活剤がAg及びAuの場合
本発明の蛍光体には、上述のように付活剤としてAg、Cuが好適であるが、さらに好ましい態様として、Ag及びAuを付活剤に用いることができる。すなわち、上記の蛍光体であって、上記一般式中の付活剤EがAg及びAuであり、xが0≦x<1であり、エレクトロルミネッセンスで発光することをさらなる特徴とする蛍光体が提供される。Ag及びAuが好ましい理由は、次のとおりである。
付活剤がCuの場合は、Cu1+イオン(0.6A)はZn2+イオン(0.6A)とほぼ同じサイズであるため、容易に格子間の隙間に侵入して、B−Cu型発光が生じる。さらに、格子間に入りきれなかったCuイオンは、結晶格子外にはき出されて、ZnSのSと反応して導電性の高いCuSなどの銅の硫化物をZnS結晶の粒界に形成する。このような蛍光体を用いた無機ELデバイスに対し交流電界を印加すると、銅の硫化物の周辺には、局所的に印加した電界値以上の電界が印加され、EL発光が生じる。しかし、Cuのアクセプタ準位が深いために、EL発光を大きく短波長化することは難しい。
一方、付活剤がAgの場合は、Agイオンのサイズ(4配位で1.0A)がCuイオンより大きく、Cuイオンほど容易に格子間に侵入させることはできないものの、ZnSにMgを固溶させるなどして、格子サイズを増大させることで、格子間の隙間にAgイオンを侵入させて、400nm以下のB−Cu型発光を生じさせることができる。しかし、格子間に入りきれなかったAgイオンは、導電性の小さなAgS等のAgの硫化物を形成してしまい、上記したような電界集中が生じないため、EL発光が比較的小さい。
AgとCuを同時にドーピングすると、イオン半径の小さなCuのみが格子間に侵入してしまい、Blue−Cu型発光の波長は450nmになる。
そこで、付活剤EとしてAgとAuを同時にドーピングする。これにより、上記の付活剤がCuのみの場合よりもさらに短波長でのEL発光が得られる。Au1+のイオン半径(1.37A)はAgよりも大きいため、同時にドーピングすると、Agのみが格子間の隙間に侵入し、余分なAuイオンは粒界にAuのまま残存する。これは、AuがSと反応しないためである。Auは導電性が極めて高いために、ELで容易に発光させることができるのである。
本蛍光体は、付活剤EであるAg及びAuのモル濃度の総和を、共付活剤Dのモル濃度の総和よりも大きくすることで実現できる。共付活剤の濃度以上の付活剤は、電気的に中性を保つためにZnの位置を置換しないで格子間の隙間に侵入するのである。また、付活剤Agのモル濃度が、共付活剤Dのモル濃度の総和よりも大きいことが望ましい。
AgとAuのモル濃度の総和が、蛍光体母材の金属元素(上記一般式中ZnとAの総和)に対して0.01〜1mol%であることが望ましい。0.01mol%未満ではPLやCL発光強度が低くなると共に、EL発光強度が大きく低下する。1mol%を越えると発光強度は飽和する。さらに好ましくは、Agのモル濃度は、蛍光体母材の金属元素に対して0.01〜0.5mol%である。
共付活剤の濃度は、AgとAuのモル濃度の総和の0.1〜80mol%であることが望ましい。0.1mol%未満では、発光強度が低下する。80mol%を越えると、B−Cu型発光と同時に存在する長波長側のDAペア発光の強度が増大し始めるので好ましくない。さらに好ましくは共付活剤の濃度は、Agのモル濃度の0.05〜80mol%である。
AgとAuのイオン半径の差は、CuとAgのイオン半径の差ほど大きくないため、格子間にはAgだけでなくAuが入ることもある。この場合は、発光スペクトルは二こぶになり、短波長側のピークがAg、長波長側がAuに起因するものである。短波長側のピーク強度を高くするためには、AgとAuの添加量、さらには共付活剤の添加量等の最適化が必要であるが、このほか、焼成温度からの冷却速度も重要である。基本的には冷却速度が大きいほど、Agは格子間の隙間に入りやすくなるが、過度に大きいと、イオン半径のより大きいAuイオンも入りやすくなる傾向がある。上述したように、焼成温度から急冷することで焼成温度での2A族硫化物(第二成分)の固溶量を維持したままの蛍光体が得られるが、急冷速度が大きすぎる場合は、Auが格子間に入りやすくなるので注意が必要である。
上述のように、急冷処理した蛍光体内部には歪みが導入されているが、アニールの効果は歪みの除去による蛍光体母材の結晶性向上のみでなく、次のような効果もある。すなわち、蛍光体内部には歪みの導入により、多数の結晶転位や積層欠陥が発生しているが、アニールすることにより、付活剤として導入したAgとAuの内、ZnS中に取り込まれなかった過剰の成分が再度、結晶転位や積層欠陥部に拡散する。過剰の成分は、蛍光体の表面に析出する場合もある。Agの場合はAgSに転化して、Auの場合はAuのままで第2相として、結晶転位部や結晶粒界部に高密度に分散する。これらの第二相の内、AgSは導電性が低いためにEL発光しないが、Auは導電性が極めて高いためにEL発光時の輝度を向上させる。AuとAgのイオン半径を考慮すると、小さなAgがZnS格子間に取り込まれやすく、Auは第二相として存在する確率が高い。
また、これらの方法でAuを内在させた蛍光体の表面にもAu粒子が付着している。導電性の高いAuが蛍光体表面に存在すると、交流電界を印加した時、電界が表面を伝わってしまって蛍光体内部に効果的に電圧が印可されず、発光強度が低下するので、エッチングなどで除去するほうが好ましい。
本発明で、AgとAuの両方が格子間にドーピングされた場合は、原理的には、発光スペクトルは少なくとも二つのピークを持つはずであるが、実際の発光スペクトルでは裾の広い単一のピークとして現れることが多い。また、B−Cu型発光が生じる場合には必ずG−Cu型発光も共存する。付活剤としてAgとAuの二種を用いるので、それぞれに対するG−Cu型発光(これらの発光波長もまた蛍光体母材のバンドギャップにより変化する)も生じているが、これらの強度が弱い場合は、明確なピークにはならないため、CLやELスペクトルの形状は長波長側に長く裾を引いた形になる場合が多い。一般に、B−Cu型の発光は強励起下でより強く発光するため、本蛍光体を電子線または交流電界で印加した場合は、紫外線励起の場合に比べて、全発光強度に対する相対発光強度が高くなる場合が多い。EL発光においては、印加する電圧や周波数を高く(例えば、500V、3000Hzくらい)すると、B−Cu型発光がG−Cu型発光よりも強く現れる。
従って、AgとAuをドーピングして得られるB−Cu型発光を持つ蛍光体の発光スペクトルは、ブロードで、一こぶまたは二こぶを持つ形状になる場合が多いと言える。
これに対し、B−Cu型発光するZnS:Cu、Clは、PLスペクトルとほぼ同じピーク波長でEL発光するものの、B−Cu型発光する時は必ずG−Cu型発光(約525nm)も生じるので、発光スペクトルは左右非対称形状となり、長波長側の裾は約600nmまでシフトする。蛍光体の母材がZnS−MgS系のような混晶になった場合も同じことが言える。
発光スペクトルの少なくとも短波長側のピーク波長が420nm以下であると、ルチル型TiOを励起できるので望ましい。2A族硫化物の固溶量を増大させて蛍光体母材のバンドギャップを増大させて、ピーク波長を400nm以下にできれば、アナターゼ型TiOを励起できるのでさらに好ましい。
6 蛍光ランプ
本発明の蛍光体は、蛍光ランプとして好適に使用できる。すなわち、本発明によれば、上記の蛍光体を用いた蛍光ランプであって、熱陰極または電界放射冷陰極、陽極、及び陽極上に形成された蛍光体層を備え、蛍光体は上記一般式中xが0<x≦0.5であり、カソードルミネッセンスにより波長が400nm未満の紫外線を発生する機能を持つことを特徴とする蛍光ランプが提供される。
とりわけ、波長が365nmの紫外線は昆虫が好んで集まる、また紫外線による樹脂の硬化や露光装置に使用される波長でもあり、この波長をピーク中心とする紫外線は非常に応用範囲が広く、本発明はこの範囲の波長に主発光帯を持つ蛍光体を用いるため、様々な用途展開ができる。
陰極の電子放出源として電界放射冷陰極を用いることにより、白熱灯などの使用時に問題となる余熱などが必要なく応答速度の向上と低消費電力が図れる。特に、カーボンナノチューブを使用することにより、放出される電子の量が多くなる。そのため蛍光ランプは紫外線ランプとして十分な高輝度化が図れる。また、陰極表面に電子放出源としてカーボンナノチューブ層を形成し、該放出源外側を覆うようにゲート電極を配置することにより、電界放射冷陰極の球表面全体から電子が引き出され発光容器内面の発光部の全領域に電子が衝突し発光するので輝度ムラのない蛍光ランプが得られる。また、カーボンナノチューブを陰極面に垂直に成長させることにより、放出される電子量が増大し、いっそうの高輝度化が図れる。カーボンナノチューブの代わりに先端部が尖ったダイヤモンド柱状結晶を用いても同様の効果が得られる。
さらには、本紫外発光蛍光ランプの基本原理をそのまま生かし、紫外線照射により可視光を発光する機能を持つ蛍光体層を形成することにより、色純度に優れた電界放射型蛍光ランプ、またはディスプレイ(フィールドエミッションディスプレイ)にすることもできる。
7 面発光デバイス
本発明によれば、面発光デバイスであって、蛍光体が交流電界印加によりピーク波長が460nm以下の可視光線または紫外線を放射する機能を持つ第1の蛍光体と、可視光線または紫外線照射により可視光を発光する第2の蛍光体の複合体であり、無機エレクトロルミネッセンスにより発光する面発光体を有することを特徴とする面発光デバイスが提供される。
また、面発光デバイスには本発明の蛍光体を好ましく用いることができる。すなわち、面発光デバイスであって、第1の蛍光体と第2の蛍光体の複合体である面発光体を有し、第1の蛍光体は上記の本発明の蛍光体であり、無機エレクトロルミネッセンスにより発光し、かつ、交流電界印加によりピーク波長が460nm以下の可視光線または紫外線を放射する機能を持ち、第2の蛍光体は可視光線または紫外線照射により可視光を発光することを特徴とする面発光デバイスが提供される。
一般的な無機ELシートは、誘電率の高い樹脂中にEL用蛍光体粉末を分散させた層の上下に形成した電極に交流電界を印加することで可視光線を発光させる。本発明では、EL用蛍光体粉末(第1の蛍光体)に加えて、可視光線または紫外線を照射することにより、それらの光よりも波長の長い可視光線を放射する機能を持つPL用蛍光体(第2の蛍光体)を混合することにより、残光性を兼ね備えた面発光デバイスにすることができる。これを携帯電話や時計のバックライトに用いると、操作終了後も、バックライトは光り続けることができる。
第1の蛍光体としては、400nm未満の紫外線を放射するものが好ましく、ELで十分に発光すれば、本発明の蛍光体のどの態様のものも好ましく用いることができる。例えば第1の蛍光体は、一般式がZn(1−x)S:Cu,Dで表され、該一般式中、Aは、Be、Mg、Ca、Sr及びBaの群から選ばれる少なくとも1種の2A族元素、Dは3B族または7B族元素から選ばれる少なくとも1種を含む共付活剤、xは0<x≦0.5を満たす混晶比率であり、B−Cu型発光機能を持つ蛍光体を含むことが好ましい。共付活剤Dとしては、Al、Ga、Cl、F等が挙げられるが、原料コストの点でAl、Clが好ましい。
Cuをドーピングする場合、添加したCuの一部は導電性の高いCuS等の硫化物として蛍光体内部に残存し、この蛍光体を用いたELデバイスに交流電界を印加した時、電界集中が起こる等の理由でEL発光が起こる。この発光の発光波長は、蛍光体の母材となる半導体のバンドギャップに依存し、バンドギャップが大きいほど短波長の発光が起こる。よって、B−Cu型発光を利用すると、例えば、ZnS:Cu,Cl,Al(450〜460nm)やZn0.7Mg0.3S:Cu,Al(421nm)が使用できる。
EL用第1の蛍光体は、交流電界印加により波長が400nm未満の紫外線を放射する機能を持つことが好ましい。なぜなら、ユーザーが携帯電話等を操作する時間は短いために、短時間で残光性蛍光体を励起できるエネルギーの高い紫外線が好ましいためである。また、発光のピーク波長が400nm未満、さらに好ましくは300〜375nmの範囲にある紫外発光蛍光体であることが特に好ましい。なぜなら、後述する第2の蛍光体は、この範囲の波長の紫外線を照射することにより、最も効率良く発光するためである。
この波長域でEL発光する第1の蛍光体としては、一般式がZn(1−x)S:Ag,Dで表され、該一般式中、Aは、Be、Mg、Ca、Sr及びBaの群から選ばれる少なくとも1種の2A族元素、Dは3B族または7B族元素から選ばれる少なくとも1種を含む共付活剤、xは0≦x≦0.5を満たす混晶比率であり、B−Cu型発光機能を持つ蛍光体を含むことが好ましい。Dとしては、Al、Ga、Cl、F等が挙げられるが、原料コストの点からAl、Clが好ましい。
この蛍光体の発光のメカニズムはZnS:Cu、Clの場合と全く同じであり、Agをドーピングした場合でもB−Cu型発光と呼ばれる。例えば、ZnS:Ag,Cl,Al(399nm)やZn0.65Mg0.35S:Ag,Cl,Al(369nm)が使用できる。Ag系の場合、Cu系と同様にAgSが形成されるが、導電性が低いために、電界集中等が起こらないのでEL発光しない。よって、Ag系の場合は、作製した蛍光体に別の手段でCuS相を複合させればEL発光させることができる。
これらの蛍光体の他、第1の蛍光体として、CaS:Gd,F(315nmで発光)、CaS:Cu(400nmで発光)、CaS:Ag,K(388nmで発光)、CaS:Pb(360nmで発光)などが紫外発光蛍光体の候補である。また、大気中での化学的安定性に課題はあるものの、酸化カルシウムも電子線でよく光る蛍光体であり、CaO:F(335nmで発光)、CaO:Cu(390nmで発光)、CaO:Zn,F(324−340nmで発光)などがある。その他、若干発光効率は低下するが、Gd、またはGdとPrの両方をドーピングした材料も紫外発光する蛍光体であり、ZnF:Gdなど、311nm付近に強い輝線スペクトルを持つ紫外線を放射する蛍光体がある。これらの蛍光体を用いる場合も、ZnS:Ag,Cl等と同様にCuSを始めとする導電性の高い相を複合させないとEL発光は起こらない。
第2の蛍光体としては、ZnS:Cu、Cl等の伝統的な蛍光体が使用できるが、より残光時間が長く、耐湿性等に優れる酸化物系蛍光体が好ましい。例えば、MAlで表わされる化合物が好ましい。ここで、Mは、Ca、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素を表し、第2の蛍光体は、この化合物を母結晶にすると共に、付活剤としてEuを、好ましくはMで表わす金属元素に対するモル%で0.002〜20%添加し、さらに共付活剤としてCe、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群の少なくとも1つ以上の元素を、好ましくはMで表わす金属元素に対するモル%で0.002〜20%添加したことを特徴とする蛍光体であり、CaAl:Eu,Nd、SrAl:Eu,Dy、BaAl:Eu,Lu等がある。またSrAl1425:Eu,Dy、YS:Eu,Mg,Ti、YS:Eu,Mg,Ti等の酸化物系蛍光体も好ましく用いることができる。
本発明の面発光デバイスは、通常のELシートの製造工程とまったく同じ工程で製造できる。エレクトロルミネッセンス通電時の発光輝度、残光性等考慮すると、第1の蛍光体の全蛍光体に対する比率は、30〜70vol%が好ましい。
第2の蛍光体として残光性蛍光体を含む本発明の面発光デバイスを携帯電話や時計のバックライトに用いると、ユーザーの操作時にはエレクトロルミネッセンスによりバックライトが点灯して画面表示でき、操作終了後に電源が切れた時もバックライトが点灯し続けるので、低消費電力であり、かつ、暗所でも認視できるバックライトになる。
また、紫外線照射により色純度の良い可視光を発光する蛍光体は各種あるので、第1の蛍光体として紫外線発光する蛍光体を用い、第2の蛍光体として紫外線照射により色純度の良い可視光を発光する蛍光体を用いると、輝度が高く、色純度の良い可視光を発光する面発光デバイスとすることができる。本発明において第2の蛍光体として用いることができる色純度の良い可視光を発光する蛍光体としては、ZnS:Ag,Cl、YS:Eu等が挙げられる。
実施例1の試料No.6の、交流電界印加により測定したEL発光スペクトルである。 本発明の蛍光ランプの実施例の説明図である。 本発明のフィールドエミッションディスプレイの説明図である。 実施例4の試料No.54のカソードルミネッセンススペクトルを示す。
蛍光ランプの構成
本発明の蛍光ランプの一実施例を図2を参照して説明する。図2は蛍光ランプの模式断面図を示す。蛍光ランプは、ガラスバルブ1aとガラス基板6と、ガラス基板6の内面に形成された蛍光部1bとからなる内部が真空排気された蛍光容器1と、電極となる陰極2aと陰極2aの外表面に形成された電子放出源2bとこの電子放出源2bの外側を覆うように所定距離離間して配置され、電子放出源2bから電子を引き出すためのゲート電極2cとからなる電界放射冷陰極2と、冷陰極2をガラスバルブ1の略中央部で支持する支持台3と、該支持台3と蛍光容器1とを固定するソケット4とを備えている。使用時には、ソケット4を介して外部回路に電気的に接続されて電源供給を受けて動作する。蛍光部1bは、ガラス基板6内面に形成された蛍光体層1cと、この蛍光体層1c表面に形成された陽極となるメタルバック層(アルミニウム;Al)1dとからなる。メタルバック層1dは、陽極としての機能の他に、輝度の増大、蛍光体面へのイオン衝撃防止などの効果を有する。また、メタルバック層1dの形成は、蛍光体層表面にアルミニウム膜を蒸着することにより行なう。メタルバック層は、厚さが薄すぎるとピンホールが増加して蛍光体層1cへの反射が減少し、厚さが厚すぎると蛍光体層1cへの電子の衝突が阻害されて発光量が減少するという理由から、A1メタルバック膜は厚さを150nm程度の厚さで形成することが好ましい。なお、動作時に蛍光体層1cに電圧を印加するためにメタルバック層1dには陽極用のリードピン5aが電気的に接続されている。また、陰極2aにはリードピン5b、ゲート電極2cにはリードピン5cが接続される。5a、5b、5c全体をガードピン5とする。
蛍光体層1cは、CLにより高効率で波長が400nm未満の紫外線を発生する機能を持つ、本発明の蛍光体を用いる。蛍光体を溶媒に溶かしたペーストをガラス基板に印刷・スラリー法等の方法で塗布した後、乾燥して形成する。
本発明では、電子線で励起するため、短波長側のB−Cu型発光強度が高くなる。発光のピーク波長を360〜375nmの範囲に制御することが好ましい。この波長帯は、紫外線による樹脂硬化に最も利用されている波長である。この波長帯は、紫外線による樹脂硬化に最も利用されている波長である。また、365nmを中心とする波長は昆虫が最も好む波長であり、蛍光ランプにすると集虫装置に適する。
また、本蛍光体層の表面または内部に導電性材料がコーティングまたは複合されているのが好ましい。本蛍光体を用いた蛍光ランプを作動させる場合、電子放出源から放射された電子を加速させるが、加速電圧が低い場合は、蛍光体がマイナスに帯電してしまい、輝度飽和が起こるか、または最悪の場合は発光しなくなる。ここで、蛍光体層表面に導電性材料がコーティングまたは内在されていると、帯電が防止できる。また、導電相は蛍光体層内部に複合されていてもかまわない。導電性材料としてはITOなどが使用できる。例えば、一般的なエレクトロルミネッセンス用のZnS:Cu,Cl蛍光体のように、内部にCuSを複合させてもよい。
電界放射冷陰極を構成する電子放出源2bは、ソケット4に固定された絶縁材からなる支持台3によりガラスバルブ1a内に設置されている。支持台の上端部3aに台との設置箇所を除いて陰極2aが設置されており、この陰極2aの表面には電子放出源2bが形成されている。また、陰極2aには電圧を印加するための陰極用のリードピン5bが電気的に接続されている。
ここで、支持台3の絶縁材質としてはガラス、セラミックス類などが使用でき、例えばフォルステライト、白板・カリガラス、青板・ソーダガラスなどが使用できる。また、支持台3上に設置する陰極2aには、半導体チップなどに使用できる配線材料を使用することができる。例えば、Ti、W、Mo、Fe、Cu、Ni及びこれらの合金、化合物を挙げることができる。
電子放出源2bとしては、陰極2a表面に形成でき、電子放出しやすい材料であれば用いることができる。そのような材料としては、例えばカーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、非晶質ダイヤモンド、非晶質カーボン等の炭素系電子放出材料や先端が先鋭化したZnOウィスカー等が挙げられる。特に、カーボンナノチューブは電子放出に必要な電圧が低く、また、放出される電子の量も多いため蛍光ランプの省電力及び高輝度化が図れることから好適に用いることができる。カーボンナノチューブ層の利用形態としては、単層構造のカーボンナノチューブ層、同軸多層構造のカーボンナノチューブ層などを用いることができる。なお、熱CVD法でカーボンナノチューブ層を形成する場合、陰極2aは鉄(Fe)を含む金属が好適である。電子放出源の形成方法は、印刷法、浸漬塗布法、電着塗装法、静電塗装法、乾式法などが用いられる。これらの中でも本発明に好適なカーボンナノチューブ層を陰極2a表面に形成する方法としては、乾式法が好ましい。ここで乾式法とは、レーザー蒸着法、抵抗加熱法、プラズマ法、熱CVD法、マイクロ波プラズマCVD法、電子線蒸着法等、主に気相成長により電子放出源となるカーボンナノチューブなどを形成する方法をいう。好ましくは、不活性ガス若しくは水素ガス存在下に反応ガスを導入する乾式法が好ましく、より好ましくは水素ガス存在下に一酸化炭素を導入し、熱分解した成分を鉄を含む金属からなる陰極表面上にカーボンナノチューブとして析出させる方法が好ましい。また、陰極上に直接カーボンナノチューブを形成することにより、金属板の表面に滑らかな被膜が形成できる。そのため、電界が該表面に均一に印加されることにより、各箇所で電子が均一に放出されるので、輝度ムラの発生を防止することができる。
ゲート電極2cは電子放出源2bから電子を引き出す電極であり、金属網、開口部を有する金属薄板等で構成され、電子放出源2bから引き出された電子が蛍光部1bに到達できる形状で形成される。ゲート電極2cの材質としては、426合金、ステンレス(SUS304)、インバー、スーパーインバー、ニッケル(Ni)などが好適に利用できる。また、ゲート電極2cの形状は、複数の開口部を有し、電子放出源2bの形状に合わせた形状とし、冷陰極から所定距離離間して設置している。ゲート電極の開口部は金属薄板をエッチング加工などにより形成することができる。ゲート電極2cに吸収される無効電流を抑え、効率的に電界を印加するために、ゲート電極2cの電子放出源2bに対向する面に絶縁層を形成することができる(図示省略)。ゲート電極2cの支持台3への固定は、固定用フリットガラスと、耐熱性導電ペーストとを用いて行なうことが好ましい。この両者を併用することで、ゲート電極2cの固定とゲート用のリードピン5cの電気的接続が同時にできる。
上記のような構成において、外部回路からリードピン5b、5cを介して陰極2a及びゲート電極2cに電圧を供給し、陰極2aとゲート電極2cとの間に電界をかけ、カーボンナノチューブ層2bより電子を引き出す。この時、リードピン5aを介して陽極側のメタルバック層1dに高電圧を供給しておくことにより、上記冷陰極2より放出した電子が陽極側の蛍光体層1cに衝突し、紫外線発光が起こる。
ゲート電極2cと電子放出源2bとは0.1〜1mm程度離して設置する。ゲート電極2c及び電子放出源2bに電圧を供給することにより、冷陰極表面上の電子放出源全体から電子が引き出される。電子放出源2b自体が発光容器1の中央部に設置されていると電子放出源2bから引き出された電子が発光容器1の内面に形成された蛍光体層の全体に衝突し発光するので輝度ムラが発生しない。また、電子放出源としてカーボンナノチューブ層を用いることにより、放出される電子の量が多く高輝度な蛍光ランプが得られる。さらに、このような電界放射冷陰極2を用いることにより、フィラメントのような脆弱な部品を必要としないため、加熱電源が必要なくなるなどその取り扱い及び製造が容易となり、蛍光ランプの寿命も大幅に長くなる。また、余熱などが必要ないため、応答速度が速いという利点も有する。
本発明は、上記した冷陰極を用いるものに限定されない。すなわち、従来から用いられている熱陰極(熱フィラメント)を用いた蛍光ランプにも応用できる。
本発明の蛍光ランプの原理を応用すると、新しい電界放射型ディスプレイ(フィールドエミッションディスプレイ;FED)を作ることができる。以下にこれを説明する。
図3に本発明のFEDの原理を示す。電子線とゲート電極、内面に蛍光体を形成した発光容器から構成されるのは通常のFEDと同じである。本発明では、蛍光体として、電子線照射により紫外線を発生できる紫外発光蛍光体層を発光容器の外側に形成する(図3(a))か、もしくは、発光容器内面に形成された蛍光体層が、紫外発光蛍光体と可視光発光蛍光体の混合体からなる(図3(b))ことを特徴としている。
通常のFEDでは、電子線を蛍光体に照射して、赤、緑、青色発光させている。しかし、電子線照射により色純度の優れた各色を高効率で発光させる蛍光体は少ないのでフルカラーディスプレイを実現することは容易ではない。これに対して、本発明では、電子線を一旦、高変換効率で紫外線に変換し、この紫外線を可視光発光蛍光体に照射させて各色発光させる。紫外線照射により、優れた色純度と発光効率で各色発光させる蛍光体は数多くあり選択肢が広がることから、演色性の優れたフルカラーディスプレイが実現できる。例えば、カラーテレビの蛍光体として用いられている蛍光体の内、ZnS:Ag、Cl(青色)などは、主励起帯が340〜370nm付近に存在するので、この波長域の紫外線が高効率で発生できる本発明品は、特開平8−127769号公報、特開平8−45438号公報のものに比べて利点がある。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
(蛍光体の作製方法)
本実施例では、付活剤としてCuを用いた。Cu付活Zn(1−x)S蛍光体の作製手順を以下に示す。
(1)原料
蛍光体母材:平均粒径1μmのZnS、MgS、CaS、SrS、BeS
付活剤:平均粒径1μmのCuS粉末
共付活剤:平均粒径0.5μmのAl、Ga、NaF、NaCl、NaI
(2)混合
原料粉末を所定の組成で、各種溶媒中に分散させ、更に超音波振動を印加して3時間混合を行った。各試料における組成は下記表1に示した。表1中第二成分は、蛍光体母材を構成する2A族硫化物を指す。その後、乾燥アルゴンを流入させたエバポレータを用い、各種溶媒を揮発させ原料混合物の乾燥を行った。
(3)焼成
回収した原料混合物は、20×200×20mm(高さ)の蓋付きのアルミナるつぼに投入し、管状炉を用い、1気圧の各種ガス中、各温度で6時間焼成を行った後、各種ガスを流したまま炉内で自然放冷させた。一部の試料については、水を張った容器に、300×300×100mm(高さ)、厚さが0.5mmの容器を浮かべた。試料が入ったるつぼを焼成温度から一気に取り出し、逆さまにして水に浮かべた容器に移し冷却した。
(4)歪みの導入
焼成後の試料を、プレス成型機に装填し、面圧50MPaで成形した後、成形体をボールミルで粉砕して粉末に戻した。
(5)アニール
冷却後の試料の一部は、アルゴンガス中、各温度で2.5hrアニールした。アニールしない試料も作製した。試料No.1〜2については、焼成後に一端試料を取り出すことなく、冷却途中でアニールした。
(6)エッチング
蛍光体表面に存在するCuSを除去するために、蛍光体4gあたり100ccのアンモニア水を加え、さらに30ccの過酸化水素水を加えて1時間保持した後、濁った液を捨てた。この工程を液が透明になるまで3回繰り返した。次に、蛍光体4gあたり、1000ccの純水で5回洗浄した。
(発光波長の評価方法)
50×50×1mmの石英ガラス基板に、40×40×50μm深さの凹加工を施した後、アルミを0.1μm厚さ蒸着して裏面電極とした。蛍光体をひまし油に、35vol%の体積分率で超音波混合してスラリーにし、これを凹部に流し込んだ。最後に、厚さ0.1μmの透明導電膜(表面電極)がコーティングされた50×50×1mmの石英ガラス基板で蓋をしてELデバイスとした。
両電極にリード線を取り付け、電圧300V、周波数3000Hの交流電圧を印加した。発光スペクトルはフォトニックアナライザで測定した。発光強度は、測定範囲が310〜900nmの光照度計で測定した。
これらの測定結果から、全発光強度に占める420nm以下、及び400nm以下の光強度を算出した。結果を表1に示す。表1中、mol%で表された第二成分量は一般式中xに相当する値であり、付活剤濃度、共付活剤濃度及び共付活剤/付活剤は、蛍光体母材の金属元素すなわち一般式中Zn及びAの総和に対するmol%を表している。また、図1に試料No.6の交流電界印加により測定したEL発光スペクトルを示す。
全体として、MgS量が増大するほど発光スペクトルは短波長側にシフトし、420nm以下、及び400nm以下の紫外線強度比RUVが増大した。
炉内放冷後、歪みを導入した試料(例えばNo.4)は、歪みを導入しない試料(例えばNo.3)と比較すると、RUVが増加した。これは、蛍光体内部に転位や欠陥が発生し、アニールにより拡散したCuがこれらの転位や欠陥部でCuSに転化したために、電界印加時に、より多くの場所から発光が生じたためと考えられる。水溶媒で混合した試料(No.5)は、発光波長が長波長側にシフトした結果、RUVが低下した。これは、混合中にMgSが酸化して、ZnS−MgS混晶母材中のMg比が低下したためと考えられる。水中急冷法を用いることで、MgS固溶量が増加させることができ、RUVを増加させることができた(例えばNo.7〜8)。焼成をN雰囲気で行った場合(No.9)は、焼成をAr雰囲気で行った場合(No.8)よりRUVがやや低下した。アニールなしの場合(No.10〜11)は、アニールした場合(No.12)よりRUVがやや低下した。水中急冷後のアニール温度を730℃に高くする(No.12)と、アニール温度が670℃のもの(No.9)よりRUVがやや増加した。水中急冷後に、歪みを導入する(No.13)と、歪みを導入しない試料(No.12)より、さらにRUVが増加した。アニール温度が850℃と高いとRUVがやや低下した(No.14)。
蛍光体母材の第二成分としてCaS、SrS、BeSを、共付活剤としてAl、Cl、F、I、Gaを用いても400nm以下の紫外発光は生じた(No.15〜19)。共付活剤の付活剤に対する濃度が60モル%を越えると、紫外線強度比は低くなった(No.20)。共付活剤/付活剤比を変化させた場合は、その値が小さいとRUVがやや低下した(No.21〜24)。共付活剤を添加しないと長波長発光が生じ、RUVはゼロになった(No.25)。蛍光体母材の金属元素に対する付活剤濃度が5mol%を越えると、RUVがやや低下した(No.26)。
(蛍光体の作製方法)
本実施例では、付活剤としてAgを用いた。Ag付活Zn(1−x)S蛍光体の作製手順を以下に示す。
原料として組成表1〜組成表9に示す量のZnS粉末、BeS、MgS、CaS、SrS及びBaS粉末の中から1種選ばれる2A族硫化物粉末、付活剤のAgの供給源であるAgS粉末、共付活剤のAl、Ga、F、Cl、Br及びIの供給源であるAl、Ga、NaF、NaCl、NaBr及びNaIの中から1種選ばれる粉末をエタノール中に分散させ、更に超音波振動を印加して3時間混合を行った。表中の数値は原料粉末の重量(g)を表している。ただし、これらの表に示している組成は一例に過ぎない。その後、乾燥窒素もしくは乾燥アルゴンを流入させたエバポレータを用いてエタノールを揮発させ原料混合物の乾燥を行った。回収した原料混合物は蓋付きのアルミナるつぼに投入し、真空中、硫化水素ガス中、水素中、アルゴン中、あるいは窒素ガス中において1200℃で2時間焼成を行い蛍光体の作製を行った。勿論、ここに示す合成方法も本発明の合成方法の一例に過ぎない。
(発光波長の評価方法)
合成した蛍光体の発光特性の評価はPLとCLにて実施した。PL測定は日立F4500蛍光分光光度計を用いて行い、CL測定は日本分光製の走査型電子顕微鏡に取り付けたCL測定装置を用いて行った。それぞれ励起源はXeランプと10kVの電子線である。測定温度は両測定とも室温である。
本発明の蛍光体は波長の異なる2種類の発光ピークを有するが、それぞれの発光ピークの裾は100nm程度に渡って広がっているのに対し、二つの発光ピークは50nm程度しか離れていないために、二つの発光ピークは重なってしまい、PLスペクトル、CLスペクトルは発光強度の大きい発光スペクトルに加えて、発光強度の小さい発光スペクトルがショルダとして現れた形で得られる。発光強度が大きいピークに関しては、ピークの最大値を示す波長を発光波長とした。発光強度が小さい発光スペクトルの分離は次のようにして行った。まず、発光強度の大きい発光スペクトルをガウス関数で近似する。次に全スペクトルから発光強度の大きい発光スペクトルを近似したガウス関数を差し引くことにより、ショルダとして存在していた発光強度の小さい発光スペクトルが一つのピークとして得られ、そのピークの最大値を示す波長を発光強度の小さいピークの発光波長とした。
得られた二つの発光スペクトルのうち、長波長側の発光スペクトルはG−Cu型発光であり、短波長側の発光スペクトルはB−Cu型である。
(発光特性評価結果)
(ZnS−BeS混晶比の影響)
上記組成表1及び組成表2中の組成1及び組成2〜7に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はそれぞれZn/Beモル比で100/0、95/5、80/20、70/30、65/35、50/50、40/60となるZnSとBeSに加えAg/(Zn+Be)モル比で0.2/100となる量のAgS及びCl/Agモル比で0.5/1となる量のNaClを含む組成である。
PLにおけるG−Cu型発光の発光波長、B−Cu型発光の発光波長及びB−Cu型/G−Cu型発光強度比を下記表11に示す。BeS含有量が5mol%以上でB−Cu型の発光ピークが出現し、さらにBeS量が増すほどB−Cu型/G−Cu型発光強度比が増大した。これはBeS量が増したことで結晶格子が拡大し、B−Cu型発光中心となる格子間Agが増大したためと考えられる。ただし、Zn/Be比=40/60のものは50/50のものと同じ波長の発光を示した。これはZnSに対するBeSの固溶限は50%程度と報告されていることから実質は仕込み濃度Zn/Be=50/50のものと同じZn0.5Be0.5S組成の混晶となっているためと考えられる。Be含有比率がZn/Be比=80/20のものより高くなるとB−Cu型/G−Cu型発光強度比は2倍以上に急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。CLにおいては、二つの発光ピークはPLと一致しており、B−Cu型/G−Cu型発光強度比は1以上となり主発光がB−Cu型発光となる。
(ZnS−MgS混晶比の影響)
上記組成表1及び組成表3中の組成1及び組成8〜13に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はそれぞれZn/Mgモル比で100/0、95/5、80/20、70/30、65/35、50/50、40/60となるZnSとMgSに加えAg/(Zn+Mg)モル比で0.2/100となる量のAgS及びCl/Agモル比で0.5/1となる量のNaClを含む組成である。
PLにおけるG−Cu型発光の発光波長、B−Cu型発光の発光波長及びB−Cu型/G−Cu型発光強度比を下記表12に示す。MgS含有量が5mol%以上でB−Cu型の発光ピークが出現し、さらにMgS量が増すほどB−Cu型/G−Cu型発光強度比が増大した。これはMgS量が増したことで結晶格子が拡大し、B−Cu型発光中心となる格子間Agが増大したためと考えられる。ただし、Zn/Mg比=40/60のものは50/50のものと同じ波長の発光を示した。これはZnSに対するMgSの固溶限は50%程度と報告されていることから、実質は仕込み濃度Zn/Mg=50/50のものと同じZn0.5Mg0.5S組成の混晶となっているためと考えられる。Mg含有比率がZn/Mg比=80/20のものより高くなるとB−Cu型/G−Cu型発光強度比は2倍以上に急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。CLにおいては、二つの発光ピークはPLと一致しており、B−Cu型/G−Cu型発光強度比は1以上となり主発光がB−Cu型発光となる。
(ZnS−CaS混晶比の影響)
上記組成表1及び組成表4中の組成1及び組成14〜19に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はそれぞれZn/Caモル比で100/0、95/5、80/20、70/30、65/35、50/50、40/60となるZnSとCaSに加えAg/(Zn+Ca)モル比で0.2/100となる量のAgS及びCl/Agモル比で0.5/1となる量のNaClを含む組成である。
PLにおけるG−Cu型発光の発光波長、B−Cu型発光の発光波長及びB−Cu型/G−Cu型発光強度比を下記表13に示す。CaS含有量が5mol%以上でB−Cu型の発光ピークが出現し、さらにCaS量が増すほどB−Cu型/G−Cu型発光強度比が増大した。これはCaS量が増したことで結晶格子が拡大し、B−Cu型発光中心となる格子間Agが増大したためと考えられる。ただし、Zn/Ca比=40/60のものは50/50のものと同じ波長の発光を示した。これはZnSに対するCaSの固溶限は50%程度と報告されていることから、実質は仕込み濃度Zn/Ca=50/50のものと同じZn0.5Ca0.5S組成の混晶となっているためと考えられる。Ca含有比率がZn/Ca比=80/20のものより高くなるとB−Cu型/G−Cu型発光強度比は2倍以上に急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。CLにおいては、二つの発光ピークはPLと一致しており、B−Cu型/G−Cu型発光強度比は1以上となり主発光がB−Cu型発光となる。
(ZnS−SrS混晶比の影響)
上記組成表1及び組成表5中の組成1及び組成20〜25に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はそれぞれZn/Srモル比で100/0、95/5、80/20、70/30、65/35、50/50、40/60となるZnSとSrSに加えAg/(Zn+Sr)モル比で0.2/100となる量のAgS及びCl/Agモル比で0.5/1となる量のNaClを含む組成である。
PLにおけるG−Cu型発光の発光波長、B−Cu型発光の発光波長及びB−Cu型/G−Cu型発光強度比を下記表14に示す。SrS含有量が5mol%以上でB−Cu型の発光ピークが出現し、さらにSrS量が増すほどB−Cu型/G−Cu型発光強度比が増大した。これはSrS量が増したことで結晶格子が拡大し、B−Cu型発光中心となる格子間Agが増大したためと考えられる。ただし、Zn/Sr比=40/60のものは50/50のものと同じ波長の発光を示した。これはZnSに対するSrSの固溶限は50%程度と報告されていることから、実質は仕込み濃度Zn/Sr=50/50のものと同じZn0.5Ca0.5S組成の混晶となっているためと考えられる。Ca含有比率がZn/Sr比=80/20のものより高くなるとB−Cu型/G−Cu型発光強度比は2倍以上に急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。CLにおいては、二つの発光ピークはPLと一致しており、B−Cu型/G−Cu型発光強度比は1以上となり主発光がB−Cu型発光となる。
(ZnS-BaS混晶比の影響)
組成表1及び組成表6中の組成1及び組成26〜31に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はそれぞれZn/Baモル比で100/0、95/5、80/20、70/30、65/35、50/50、40/60となるZnSとBaSに加えAg/(Zn+Ba)モル比で0.2/100となる量のAgS及びCl/Agモル比で0.5/1となる量のNaClを含む組成である。
PLにおけるG−Cu型発光の発光波長、B−Cu型発光の発光波長及びB−Cu型/G−Cu型発光強度比を表15に示す。BaS含有量が5mol%以上でB−Cu型の発光ピークが出現し、さらにBaS量が増すほどB−Cu型/G−Cu型発光強度比が増大した。これはBaS量が増したことで結晶格子が拡大し、B−Cu型発光中心となる格子間Agが増大したためと考えられる。ただし、Zn/Ba比=40/60のものは50/50のものと同じ波長の発光を示した。これはZnSに対するBaSの固溶限は50%程度と報告されていることから、実質は仕込み濃度Zn/Ba=50/50のものと同じZn0.5Ca0.5S組成の混晶となっているためと考えられる。Ba含有比率がZn/Ba比=80/20のものより高くなるとB−Cu型/G−Cu型発光強度比は2倍以上に急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。CLにおいては、二つの発光ピークはPLと一致しており、B−Cu型/G−Cu型発光強度比は1以上となり主発光がB−Cu型発光となる。
(共付活剤濃度の影響)
上記組成表7の組成32〜44に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はZn/Mgモル比が65/35となるZnSとMgSに加え、Ag/(Zn+Ba)モル比で0.2/100となる量のAgS及び共付活剤Cl/付活剤Ag濃度モル比が0、0.1、1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%となる組成である。
作製した蛍光体のPLにおけるB−Cu型/G−Cu型発光強度比を下記表16に示す。共付活剤Cl/付活剤Agモル濃度比が0及び0.1〜90%の時、B−Cu型発光は得られたが100%の時はB−Cu型発光は得られなかった。共付活剤/付活剤濃度率が100%の時にB−Cu型発光が得られなかったのは、付活剤Agと共付活剤Cl濃度が等しいため、付活剤Agは全てClによって電荷補償されZn格子位置に置換されてしまい格子間に侵入しないためであると考えられる。共付活剤Cl/付活剤Agモル濃度比が0〜60%の時は、B−Cu型/G−Cu型発光強度比が70〜90%の時より2倍以上に急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。表16中*印の組成の蛍光体は比較例である。
(共付活剤種類の影響)
上記組成表8の組成45〜49に示す量の原料組成にて先述の手順で蛍光体を作製した。ただし焼成は窒素ガス中で行っている。これらの組成はZn/Mgモル比が65/35となるZnSとMgSに加え、Ag/(Zn+Mg)モル比で0.2/100となる量のAgS及び共付活剤/付活剤Ag濃度モル率が50%となる量のAl、Ga、NaF、NaBr、NaIの中から1種含む組成である。いずれの共付活剤を添加した蛍光体も共付活剤がClのもの同様、G−Cu型発光強度に加え、G−Cu発光強度に対して20%以上の強度のB−Cu型発光が得られた。
(α相含有率の影響)
組成表3の組成10の原料組成の蛍光体を焼成した後に冷却速度を制御してα相の含有率を調節した蛍光体のPL測定を実施した。結晶相の測定はXRD分析により行い、全結晶相に対するα相の割合H(%)は次のStewardの式から算出した。
ここでAとBはそれぞれ28.5°と51.8°のXRD強度である。
α相含有率が40〜100%の場合のB−Cu型/G−Cu型発光強度比を下記表17に示す。α相含有量が40%のものは明確なB−Cu型発光のピークは得られなかった。α相含有量が50%以上のものにおいてB−Cu型発光ピークを得た。これは格子間隔の大きいα相含有量が増大することにより格子間に侵入する付活剤Agの量が増大したためと考えられる。α相含有量が80%以上の場合には、B−Cu型/G−Cu型発光強度比が80%未満のものより2倍以上急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。
(付活剤濃度の影響)
上記組成表9の組成50〜59で作製した、蛍光体母材がZn/Mgモル比65/35のZnSとMgSからなり、付活剤Agの濃度が蛍光体母材の金属元素の0.001〜5mol%、かつ共付活剤Clの濃度が付活剤Agの50mol%の蛍光体の付活剤Ag濃度とB−Cu型/G−Cu型発光強度比の関係を下記表18に示す。付活剤0.001mol%と10.0mol%のものはB−Cu発光のピークは得られなかった。B−Cu型発光のピークは付活剤Agが蛍光体母材の金属元素の0.005〜5mol%の間で得られ、特に0.2〜1mol%において、B−Cu型/G−Cu型発光強度比が0.2mol%未満、5mol%以上のものより2倍以上急増し、高い発光強度のB−Cu型発光が得られるため好ましい。表18中、*印の蛍光体は比較例である。
(焼成雰囲気の影響)
組成表3の組成11に示す組成の原料を真空中、硫化水素ガス中、水素ガス中、アルゴン中、あるいは窒素ガス中1200℃で焼成し作製した蛍光体の焼成雰囲気別のB−Cu型/G−Cu型発光強度比の関係を下記表19に示す。真空中の焼成ではB−Cu型発光は得られなかったが、硫化水素ガス、水素ガス、アルゴンガス、窒素ガス中で焼成した蛍光体はG−Cu型発光強度の20%を越える強度のB−Cu型発光が得られ、特に水素ガス、アルゴンガス、窒素ガス中で焼成した蛍光体は硫化水素ガス中で焼成したものと比較してB−Cu型/G−Cu型発光強度比が2倍以上のB−Cu型発光が得られるため好ましい。
(アニールの影響)
焼成処理後のアニール処理が発光特性に与える影響を調査するため、急冷処理まで行ったAg付活Zn(1−x)S蛍光体と、アニール処理を窒素ガス中300℃で8hr行ったAg付活Zn(1−x)S蛍光体の発光強度の比較を行った。アニール処理を行った蛍光体は行っていない蛍光体と比較してB−Cu型発光、G−Cu型発光共に発光強度が1.6倍程度向上することを確認した。低温でのアニール処理により格子間に侵入したAgの吐き出しが生じずに、急冷処理により導入された結晶歪みのみが解消されるため、発光強度が向上したものと考えられる。
(原料混合溶媒の影響)
原料を混合する際に用いる溶媒の影響を調査するため、水とエタノールそれぞれの溶媒について、組成表3の組成11に示す組成の原料粉末を混合、窒素中乾燥、焼成して蛍光体を作製し、その発光波長の調査を行った。混合溶媒別のG−Cu型発光波長、B−Cu型発光波長、B−Cu/G−Cu発光強度比を下記表20に示す。原料をエタノールで混合した蛍光体はB−Cu型発光が得られたが、水で混合した蛍光体はB−Cu型発光は得られず、またG−Cu型発光もほとんどZnS単体のものと比較して短波長化していないことから、ほとんどZnSとMgSの混晶化が生じていないと考えられる。この理由は2A族硫化物は化学的に不安定であり水との接触により加水分解が生じることから混合中にMgSのほとんどは分解してしまったためと考えられる。このため、本発明のZnSと2A族硫化物の原料混合はエタノール等、2A族硫化物の分解が生じない有機溶媒中での混合が好ましい。
本実施例では、付活剤としてAg及びAuを用いた。
(蛍光体の作製方法)
(1)原料
蛍光体母材:平均粒径1μmのZnS、MgS、CaS、SrS、BeS
付活剤:
(a)Ag源:平均粒径1μmのAgS粉末
(b)Au源:平均粒径10μmのAuCl粉末、平均粒径40μmのAu粉末
共付活剤:同上のAuCl(付活剤と共用)、平均粒径20μmのNaCl粉末
(2)混合
原料粉末を所定のドーピング組成になるよう各種溶媒中に分散させ、更に超音波振動を印加して3時間混合を行った。その後、乾燥アルゴンを流入させたエバポレータを用い、各種溶媒を揮発させ原料混合物の乾燥を行った。
(3)焼成
回収した原料混合物は、20×200×20mm(高さ)の蓋付きのアルミナるつぼに投入し、管状炉を用い、1気圧の各種ガス中、各温度で6時間焼成を行った。
水を張った容器に、300×300×100mm(高さ)、厚さが0.5mmの容器を浮かべた。試料が入ったるつぼを焼成温度から一気に取り出し、逆さまにして水に浮かべた容器に移し冷却した。
(4)歪みの導入
焼成後の試料を、プレス成型機に装填し、面圧50MPaで成形した後、成形体をボールミルで粉砕して粉末に戻した。
(5)アニール
冷却後の試料の一部は、アルゴンガス中、各温度で2.5hrアニールした。アニールしない試料も作製した。
(6)エッチング
蛍光体表面に存在するAuを除去するために、蛍光体4gあたり100ccのアンモニア水を加え、さらに30ccの過酸化水素水を加えて1時間保持した後、濁った液を捨てた。この工程を液が透明になるまで3回繰り返した。次に、蛍光体4gあたり、1000ccの純水で5回洗浄した。
(発光波長の評価方法)
50×50×1mmの石英ガラス基板に、40×40×50μm深さの凹加工を施した後、アルミニウムを0.1μm厚さで蒸着して裏面電極とした。蛍光体をひまし油に、35vol%の体積分率で超音波混合してスラリーにし、これを凹部に流し込んだ。最後に、厚さ0.1μmの透明導電膜(表面電極)がコーティングされた50×50×1mmの石英ガラス基板で蓋をしてELデバイスとした。
両電極にリード線を取り付け、電圧500V、周波数3000Hzの交流電圧を印加した。発光スペクトルはフォトニックアナライザを用い、同じ感度で測定した。一部の試料に関して発光強度の比較を行った。得られた発光スペクトルのピーク波長の強度を相対比較した。(No.34〜43) (No.47〜52)
結果を下記表21に示す。表21において、第二成分は本発明の一般式中Aで表される元素の硫化物であり、mol%で表された第二成分量は、一般式中xに相当する値である。Ag濃度、Au濃度及び共付活剤濃度は、蛍光体母材の金属元素(No.28の試料であれば、Zn及びMgである)に対するmol%を表している。なお、表21中*印を付した試料は比較例である。No.28及び34は、Auが含まれておらず、No.29とNo.53はG−Cu型発光を示す。
Auをドーピングしない場合はEL発光しなかった(No.28、34)。MgS量が増大するほど発光スペクトルは短波長側にシフトした(No.44〜50)。水溶媒で混合した試料は、発光波長が長波長側にシフトした(No.44)。これは、焼成前にMgSが酸化してしまい、ZnSへのMgの固溶量が減少したためと考えられる。焼成をN雰囲気で行った場合(No.37)、及びアニールなしの場合は、発光強度が低下した(No.49、50)。焼成をHSで行うと発光強度が増大した(No.36)。急冷しない場合は、発光波長が長波長側にシフトした(No.48)。これは、Beの固溶量が低下したためと考えられる。付活剤濃度が0.001mol%以下では、EL発光は確認されたが、ピーク波長を特定できる程度に相対強度の強いものではなかった(No.39)。これは、ドーピングされた付活剤量が少ないために、導電相として存在するAuが少なくなったためと考えられる。付活剤濃度が1mol%を越えると発光強度は飽和した(No.40)。Ag濃度が0.5mol%を越えると発光強度は飽和した(No.41)。共付活剤の付活剤に対する濃度が60mol%を越えると、発光強度は低くなった(No.50)。共付活剤のAgに対する濃度が60mol%を越えると、発光強度は低くなった(No.38)。共付活剤の付活剤に対する濃度が100mol%を越え、Ag濃度がAu濃度よりも十分大きい試料(No.53)は、同じG−Cu型発光のNo.29と比べて波長の短いG−Cu型発光が生じた。
蛍光体として、平均粒径が5μmのZn0.65Mg0.35S:Ag,Clを用い、図2の構造の蛍光ランプを作製した。グリッド電極と陰極表面の距離を0.2mmとした。
蛍光体に対して0〜30体積%(粉末全量に対して)のIn粉末を添加してエタノール中で超音波混合した後、それらのスラリーをスクリーン印刷により石英ガラス基板の片面に塗布後、乾燥させて厚さが約15μmの蛍光体層を形成した。次に、石英ガラス基板のもう片面に、以下の(1)〜(3)の市販のCRT用蛍光体粉末をスクリーン印刷により、15μm塗布形成した。本処理を行わず、片面だけに紫外発光蛍光体層を形成したものも作製した。
(1)ZnS:Ag,Cl(青色)
(2)ZnS:Cu,Al(緑色)
(3)YS:Eu(赤色)
その後、真空蒸着により紫外発光蛍光体層表面へのメタルバック層(Al)を約100nm形成した。全ての部材を無機系接着剤を用いて組み立てて容器内部を排気し、封止切り後、ゲッターをフラッシュさせて残留ガスを吸着させて、容器内部を10−6Paとした後、所定の安定化処理を行った。このとき、紫外発光蛍光体層の側がランプ内部になるようにした。
まず、グリッド電圧を290Vとしたときの陽極電流が200μAであることを確認した。片面(内面)のみに紫外発光蛍光体層を形成した蛍光面に11kVの電圧を印加した時にガラス基板を透過する紫外線のスペクトルを分光器で測定した。次に、片面(内面)に紫外発光蛍光体層を、もう片面(外面)に可視光発光蛍光体層を形成したランプを同様の条件で発光させた時の、各色の輝度を輝度計で測定した。
本実施例における輝度とは、400〜700nmの波長域の可視光線の輝度であり、紫外線の強度は含まれていない。本発明では、各実施例で、試料No.2,14,19,22をそれぞれ標準輝度100として記載している。
比較として、紫外発光蛍光体として、平均粒径が5μmの市販ZnO粉末を酸素40%−窒素80%の雰囲気中、800℃で2h焼成した蛍光体を作製し、同様の測定を行った。
(結果)
結果を下記表22に示す。表22中*印は比較例を表す。
本発明の蛍光ランプは高い可視光輝度を示した。これは、紫外発光蛍光体から強い紫外線が発生し、各種可視光発光蛍光体を励起したためである。一方、比較例では可視光輝度は非常に弱かった。この理由は、紫外発光蛍光体の強度が低いことに加えて、これらの可視光発光蛍光体が385nmの紫外線で効率よく励起できないためと考えられる。
図4は試料No.54のCLスペクトルである。369nmのピークはB−Cu型発光を示している。長波長側に長く裾を引いている理由は、420nm付近にG−Cu発光が出現しているためと考えられる。このように、本蛍光体を電子線で励起した場合、B−Cu発光が強く励起されることが分かる。
紫外発光蛍光体として、平均粒径が5μmの各種蛍光体を用い、実施例4と同様の測定を行った。結果を下記表23に示す。
発光波長が短いほど、高い可視光輝度を示した。
紫外発光蛍光体として、平均粒径が5μmのZn0.65Mg0.35S:Ag,Alの表面に、平均粒径10nmのIn粒子を蛍光体の各種体積%付着させたものを用い、一般的な熱陰極型蛍光表示管を作製して陽極電圧を50V印加して輝度を測定した。蛍光表示管の外表面に可視光発光蛍光体を実施例4と同様に塗布して輝度を測定した。結果を下記表24に示す。
Inを複合することにより低加速電子線照射でも紫外線が発生したために可視光発光が生じた。
紫外発光蛍光体として、平均粒径が5μmのZn0.65Mg0.35S:Ag,Alの表面に、平均粒径10nmのCuS粒子を蛍光体の各種体積%付着させたものを用い、一般的な熱陰極型蛍光表示管を作製して陽極電圧を35V印加して輝度を測定した。蛍光表示管の外表面に可視光発光蛍光体を実施例4と同様に塗布して輝度を測定した。結果を表25に示す。
CuSを複合することにより低加速電子線照射でも紫外線が発生したために可視光発光が生じた。実施例4〜7の相対輝度は、各実施例内の比較を示している。
本実施例では、面発光デバイスを作製した。
1.準備
(樹脂シート)
100×100mmサイズ、厚さ100μmの紫外線透過樹脂シート(三菱レイヨン製#000)を用意した。
(絶縁層)
BaTiO:平均粒径0.2μm
樹脂:信越化学製(商品名:シアノレジン)
(第1の蛍光体) EL用蛍光体
ZnS:Cu,Cl粉末 平均粒径3μm
ZnS:Cu,Cl,Al粉末 平均粒径3μm
ZnS:Ag,Cl粉末 平均粒径3μm
ZnS−35mol%MgS:Ag,Cl粉末 平均粒径3μm
ZnS−35mol%MgS:Cu,Cl粉末 平均粒径3μm
ZnS:Ag,Cl、ZnS−20mol%MgS:Ag,Clについては、これらの蛍光体表面にCuSをコーティングしたものを用いた。
(第2の蛍光体)
ZnS:Ag,Cl粉末 非残光性 平均粒径3μm
ZnS:Cu,Cl粉末 残光性 平均粒径3μm
SrAl:Eu,Dy粉末 残光性 平均粒径3μm
CaAl:Eu,Nd粉末 残光性 平均粒径3μm
BaAl:Eu,Lu粉末 残光性 平均粒径3μm
2.工程
(1)裏面電極形成
樹脂シートにスパッタリング法でAl膜を0.4μmコーティングした後、Al電極膜に電極リード線を接着した。
(2)絶縁層の形成
樹脂をシクロヘキサノンに25vol%になるように分散して溶解させた後、BaTiO粉末を分散させて(25vol%)スラリーを作製した。(1)のAl電極上にスクリーン印刷により厚さ30μmの塗布層を形成した。
(3)発光層の形成
樹脂をシクロヘキサノンに25vol%になるように分散して溶解させたものを準備した。この溶液に蛍光体粉末(第1の蛍光体と第2の蛍光体を所定の組成で混合した粉末)をArガス中で分散処理した(25vol%)スラリーを作製した。スクリーン印刷により、絶縁層表面に厚さ60μmの塗布層を形成した。尚、全ての蛍光体は、処理前に暗中に24hr保管しておいたものを取り出して使用した。
(4)表面電極形成と封止
樹脂シートにスパッタリング法で透明導電膜(ITO膜)を0.2μmコーティングした後、Al電極膜に電極リード線を接着した。このシートのITO電極側と発光層を重ねて、120℃で熱圧着させて封止して、面発光デバイスを得た。
3.評価
(1)予備評価
第1の蛍光体のみを使用して、面発光デバイスを作製し、電極間に200V、800Hzの交流電界を印加した。発光波長(EL発光波長)をマルチフォトニックアナライザ(浜松フォトニクス製)で測定した。第2の蛍光体のみを使用して、面発光デバイスを作製し、電極間に200V、800Hzの交流電界を印加したが、全く発光しないことを確認した。第2の蛍光体に、発光波長が360nmの市販のブラックライトを照射してPL波長を測定した。
(2)面発光デバイス評価
作製した面発光デバイスの電極間に200V、800Hzの交流電界を印加した。発光輝度を輝度計(ミノルタ製)で測定した。その後、電界印加を中断し、暗中でも目視できる輝度の限界(0.3mcd/m)に達するまでの時間を測定した。結果を下記表26に示す。
表26中、発光波長とは得られたスペクトルの長波長側のピーク波長を意味する。
第1の蛍光体のEL発光波長が516nmでは光エネルギーが低いため第2の蛍光体は残光しなかった。第2の蛍光体を励起するためのエネルギーが不足したためと考えられる。
第1の蛍光体のEL発光波長が短くなるほど残光時間は長くなった。EL通電時輝度及び残光時間を考慮すると、第1の蛍光体が全体の30〜70vol%が好ましい。第2の蛍光体のPL発光波長が長いほど残光時間は長くなった。
第2の蛍光体として、非残光性蛍光体を用いると、残光はしないが、通電時の輝度は高かった。これは、第2の蛍光体が第1の蛍光体から放射された紫外線を受けて発光する時の輝度が残光性蛍光体よりも高いためと考えられる。
本発明の蛍光体は無機エレクトロルミネッセンスにより発光波長の一部が400nm以下の紫外線を発光させることができる。これを用いたELシートは、コンパクトで薄型の紫外面発光源となるため、光触媒と組み合わせることにより有害物や細菌等を含む気体や液体を浄化することができる。NOx、SOx、COガス、ディーゼルパティキュレート、花粉、埃、ダニ等の分解除去、下水中に含まれる有機化合物の分解除去、一般の細菌、ウイルス等の殺菌光源、化学プラントで発生する有害ガスの分解、臭い成分の分解等もできる。
本発明の蛍光体を用いたELシートに適度な大きさの複数の貫通孔を形成すると、シート内部を流体が透過できる紫外線発光機能を持つフィルタとなり、光触媒と組み合わせて使うと優れた汚染流体浄化デバイスとなる。ELシートに貫通孔を形成し、光触媒シートを積層して用いると、ELシート内を流体が透過することができるので、流体と光触媒の接触効率が高くなり、より一層高い光触媒性能を発揮できると共に、流体が透過することでELシートの冷却も可能となる。
本発明のZnS−2A族硫化物蛍光体は、光触媒の励起、捕虫、UV露光、樹脂硬化等の様々な用途に必要な紫外線である波長355〜387nmの領域での発光を生じ、特に汎用性の高い波長365nm付近の発光も得られるため、本発明の蛍光体を用いたPL、CL及びEL発光素子はこれらの用途の光源としての利用が期待できる。
付活剤にAg及びAuを使用した場合、蛍光体表面にAu粒子が析出しているものを電子線励起型蛍光ランプ、特に低速電子線励起型の蛍光ランプの蛍光体として用いると、蛍光体表面のチャージアップを防止できるので、安定して発光することができる。無機ELにより発光ピーク波長が420nm以下の光を発光させることができる。
本発明のZnS系蛍光体は、格子間にAgをドーピングすることにより、ピーク波長が420nm以下の短波長光を発光させることができる。また、同時にAuをドーピングすることにより、Auが粒界に残存するために、ELによって効率よく発光させることができる。本蛍光体を用いて作成した発光デバイスは、ルチル型TiOやアナターゼ型TiO光触媒を効率良く励起することができる。また、本蛍光体は、導電性の高いAuを含むため、低速電子線励起型蛍光ランプ用の蛍光体として用いると、効率よく短波長光を放射することもできる。
本発明の蛍光ランプは、蛍光体層が内面に形成され内部が真空排気された発光容器と、この発光容器の内部に電子放出源である陰極と、CLにより紫外線を発光する機能を持つ蛍光体層を陽極側に形成した蛍光ランプである。
陰極には熱陰極よりも電界放射冷陰極を用いるが、電界放射冷陰極は、一般的には陰極上に形成された電子放出源と、この電子放出源を包囲するゲート電極とを備えている。電子放出源としてカーボンナノチューブ等の電子銃を備えた冷陰極を用いると、電子放出に必要な電圧が低く、放出される電子の量も多いため省電力及び紫外線光源用として十分な高輝度化が図れる。また、電界放射冷陰極を用いるため、加熱電源が必要なくなるなどその取り扱い及び製造が容易となり、応答速度の向上と消費電力の低減が図れるとともに、蛍光ランプの寿命が大幅に長くなる。
本発明の蛍光ランプは、波長が400nm未満の紫外線を発光させることができる蛍光ランプであり、細菌、ウイルス等を効率よく殺菌することができる光源となる。光触媒と組み合わせることにより、有機物や細菌・ウイルス、大気中の汚染物質となるNOx、SOx、COガス、ディーゼルパティキュレート、花粉、埃、ダニ等の分解除去、下水中に含まれる有機化合物の分解除去、一般の細菌、ウイルス等の殺菌光源、化学プラントで発生する有害ガスの分解、臭い成分の分解ができる。特に発光のピーク波長が360〜375nmの範囲にある紫外線は、紫外線樹脂硬化システムに有効な波長であり、また、昆虫が好む波長であるため、集虫ランプとしても有効である。
本発明品の面発光デバイスは、ELにより可視光線または紫外線を放射できる蛍光体(第1の蛍光体)と、放射された可視光線または紫外線により可視光線を放射する蛍光体(第2の蛍光体)の複合体である面発光体を有する。第2の蛍光体を残光性蛍光体とすることにより、電界印加時はELにより発光し、電界遮断時は残光により光続ける特徴を持つ。本発明の面発光デバイスを携帯電話や時計のバックライトに用いると、ユーザーの操作時にはELによりバックライトが点灯して画面表示でき、操作終了後に電源が切れた時もバックライトが点灯し続けるので、低消費電力であり、かつ、暗所でも認視できるバックライトになる。特に、折り畳み式携帯電話の第二画面(折り畳んだ場合に外側に配置された画面)のバックライトとして用いると、時刻やメール着信の情報が見やすく好ましい。また、非常用の表示板等にも利用できる。
また、紫外線照射により色純度の良い可視光を有する蛍光体を第2の蛍光体として用いることにより、色純度の良い可視光を発光することができる面発光デバイスとなる。

Claims (47)

  1. 蛍光体であって、一般式がZn(1−x)S:E,Dで表され、該一般式中、AはBe、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の2A族元素、EはCu又はAgを含む付活剤、Dは3B族及び7B族元素から選ばれる少なくとも一種を含む共付活剤、xは0≦x<1を満たす混晶比率であり、Blue−Cu型発光機能を持つことを特徴とする蛍光体。
  2. 上記付活剤Eを共付活剤Dのモル濃度以上のモル濃度で含有させたことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  3. 上記付活剤Eの濃度が上記一般式中Zn及びAの総和に対して0.006〜6mol%であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光体。
  4. 上記付活剤Eの濃度が上記一般式中Zn及びAの総和に対して0.01〜1mol%であることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体。
  5. 上記共付活剤Dの濃度が上記付活剤Eの濃度の0.1〜90mol%であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の蛍光体。
  6. 上記共付活剤Dの濃度が上記付活剤Eの濃度の0.1〜60mol%であることを特徴とする請求項5に記載の蛍光体。
  7. 上記一般式中の付活剤EがCuであり、xが0<x<1であり、交流電界印加により測定したエレクトロルミネッセンス発光スペクトルの一部が、波長が400nm以下の領域にあることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  8. 上記EL発光スペクトルの波長が420nm以下の領域の積分発光強度が全発光強度の25%以上であることを特徴とする請求項7に記載の蛍光体。
  9. 上記EL発光スペクトルの波長が400nm以下の領域の積分発光強度が全発光強度の5%以上であることを特徴とする請求項7又は8に記載の蛍光体。
  10. 上記一般式中付活剤EがAgであり、xが0<x<1であることを特徴とする請求項を特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  11. 波長の異なる2種類の発光ピークが存在することを特徴とする請求項10に記載の蛍光体。
  12. 上記2種類の発光ピークのうち短波長側の発光ピーク強度が、長波長側の発光ピーク強度の20%以上であることを特徴とする請求項11に記載の蛍光体。
  13. 上記短波長側の発光ピーク波長が387nm以下であることを特徴とする請求項10または11に記載の蛍光体。
  14. 上記短波長側の発光ピーク波長が355〜387nmであることを特徴とする請求項13に記載の蛍光体。
  15. 全結晶相に対してα結晶相が50%以上であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の蛍光体。
  16. 全結晶相に対してα結晶相が80%以上であることを特徴とする請求項15に記載の蛍光体。
  17. 上記一般式中の付活剤EがAg及びAuであり、xが0≦x<1であり、エレクトロルミネッセンスで発光することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  18. 上記付活剤Ag及びAuのモル濃度の総和が、上記一般式中Zn及びAの総和に対して0.01〜1mol%であることを特徴とする請求項17に記載の蛍光体。
  19. 上記共付活剤Dの濃度が、上記付活剤Ag及びAuのモル濃度の総和の0.1〜80mol%であることを特徴とする請求項17に記載の蛍光体。
  20. 上記xが0≦x≦0.5であることを特徴とする請求項17に記載の蛍光体。
  21. 上記付活剤Agのモル濃度が、上記共付活剤Dのモル濃度の総和よりも大きいことを特徴とする請求項17に記載の蛍光体。
  22. 上記共付活剤Dの濃度が、上記付活剤Agのモル濃度の0.05〜80mol%であることを特徴とする請求項21に記載の蛍光体。
  23. 上記付活剤Agのモル濃度が、上記一般式中Zn及びAの総和に対して0.01〜0.5mol%であることを特徴とする請求項17に記載の蛍光体。
  24. フォトルミネッセンス、カソードルミネッセンスまたはエレクトロルミネッセンスによって測定した発光スペクトルが一個以上のピークを持ち、少なくとも一個のピークのピーク波長が420nm以下であることを特徴とする請求項17に記載の蛍光体。
  25. 上記少なくとも一個のピークのピーク波長が400nm以下であることを特徴とする請求項24に記載の蛍光体。
  26. 上記発光スペクトルの最も短波長側のピーク強度が、その他のピーク強度よりも大きいことを特徴とする請求項24又は25に記載の蛍光体。
  27. 請求項10に記載の蛍光体を用いた蛍光ランプであって、熱陰極または電界放射冷陰極、陽極、及び陽極上に形成された蛍光体層を備え、蛍光体は上記一般式中のxが0<x≦0.5であり、カソードルミネッセンスにより波長が400nm未満の紫外線を発生する機能を持つことを特徴とする蛍光ランプ。
  28. 前記蛍光体層に導電性を有する粉末が添加、またはコーティングされていることを特徴とする請求項27に記載の蛍光ランプ。
  29. 前記蛍光体層内部に導電性を有する粉末が複合されていることを特徴とする請求項27に記載の蛍光ランプ。
  30. 上記導電性を有する粉末がCu−S系化合物であることを特徴とする請求項28又は29に記載の蛍光ランプ。
  31. 上記電界放射冷陰極の電子放出源が陰極面と垂直に配向していることを特徴とする請求項27〜30のいずれか一項に記載の蛍光ランプ。
  32. 上記蛍光体に、さらに紫外線照射により可視光発光する第2の蛍光体が添加されていることを特徴とする請求項27〜31のいずれか一項に記載の蛍光ランプ。
  33. 請求項27〜32のいずれか1項に記載の蛍光ランプを用い、発光容器の外側に、紫外線照射により可視光を発光する機能を持つ蛍光体層が形成されていることを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  34. 請求項1〜26のいずれか1項に記載の蛍光体の作製方法であって、上記一般式中Zn及びAを含む蛍光体母材、付活剤及び共不活剤を混合する工程、乾燥する工程、焼成する工程及び冷却する工程を含むことを特徴とする蛍光体の作製方法。
  35. 上記冷却する工程における冷却速度が1℃/min〜100℃/minであることを特徴とする請求項34に記載の蛍光体の作製方法。
  36. 上記冷却する工程中もしくは冷却する工程後に焼成温度以下の低温でのアニール処理工程を含むことを特徴とする請求項34に記載の蛍光体の作製方法。
  37. 上記アニール処理工程前に、蛍光体内部に歪みを導入することを特徴とする請求項36に記載の蛍光体の作製方法。
  38. 上記混合する工程を非水系溶媒中または非酸化性ガス中で行うことを特徴とする請求項34に記載の蛍光体の作製方法。
  39. 面発光デバイスであって、蛍光体が交流電界印加によりピーク波長が460nm以下の可視光線または紫外線を放射する機能を持つ第1の蛍光体と、可視光線または紫外線照射により可視光を発光する第2の蛍光体の複合体であり、無機エレクトロルミネッセンスにより発光する面発光体を有することを特徴とする面発光デバイス。
  40. 請求項1に記載の蛍光体を用いた面発光デバイスであって、第1の蛍光体と第2の蛍光体の複合体である面発光体を有し、第1の蛍光体は請求項1に記載の蛍光体であり、無機エレクトロルミネッセンスにより発光し、かつ、交流電界印加によりピーク波長が460nm以下の可視光線または紫外線を放射する機能を持ち、第2の蛍光体は可視光線または紫外線照射により可視光を発光することを特徴とする面発光デバイス。
  41. 第1の蛍光体が、発光ピーク波長が400nm未満の紫外線を放射する機能を持つ蛍光体であることを特徴とする請求項39又は40に記載の面発光デバイス。
  42. 第1の蛍光体が、発光ピーク波長が300〜375nmの範囲にある紫外線を放射する機能を持つ蛍光体であることを特徴とする請求項41に記載の面発光デバイス。
  43. 第2の蛍光体が、残光性蛍光体であることを特徴とする請求項39又は40に記載の面発光デバイス。
  44. 上記残光性蛍光体が酸化物系蛍光体であることを特徴とする請求項43に記載の面発光デバイス。
  45. 第2の蛍光体が、MAlで表わされる化合物を母結晶とし、付活剤としてEuを添加し、さらに共付活剤としてCe、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群の少なくとも1つ以上の元素を添加した蛍光体であり、ここで、Mは、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素を表すことを特徴とする請求項39又は40に記載の面発光デバイス。
  46. 請求項39又は40に記載の面発光デバイスを用いた残光性バックライト。
  47. 携帯電話の第二画面に用いる請求項46に記載の残光性バックライト。
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