JP2007109489A - 陽極、その製造方法及び蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで発光強度に優れた陽極を提供することを目的とする。特に高濃度Mg組成においても六方晶固溶体を形成するZnMgO系蛍光体を有する陽極を提供することを目的とする。
【解決手段】化学式がZn(1-x)xO:Zn(RはIIA族元素,0.05≦x<1)で表され、かつ六方晶構造を持つウィスカー状蛍光体と、当該ウィスカー状蛍光体が主成分として成長した基板し、基板と一体化しているため低コストで発光強度に優れた陽極となる。このような陽極は、電子線照射により短波長の紫外線を放射することができるので、蛍光ランプ用蛍光体として、特に陽極電圧が5kV以下の蛍光ランプ用を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、低速電子線照射により高効率で可視光〜紫外線を放射する陽極とその製造方法、及びこれを用いた蛍光ランプに関する。
近年の環境問題から、発光体として水銀を使用する装置やデバイスの使用が規制されつつある。水銀を使用する代表的なデバイスは蛍光灯、低圧・中圧・高圧・超高圧水銀灯などの照明または光源デバイスである。これらは全て、水銀の放電により発生させた紫外線を蛍光体に照射することで、可視光線または紫外線を発光させる原理により作動する。
高圧水銀ランプは、365nmの波長を主発光とする紫外線ランプで、電子部品における樹脂の硬化等に用いられている。低圧水銀ランプは、生物のDNAを直接破壊することができる254nmの紫外線を効率良く発生するために、殺菌装置に必須のランプとして用いられている。
従って、水銀を使わないで、これらの波長、特に波長が300nm以下の紫外線を効率よく放射できる発光デバイスが強く望まれている。
これに対して、水銀を使用しない環境に優しい発光デバイスとしては蛍光表示管なるものがある。これは、熱陰極または冷陰極カソードから発生させた低速電子線を蛍光体に照射することで可視光線を発生させるものであり、長寿命・高信頼性、低消費電力という特徴を持ち、車載用のディスプレイや屋外表示デバイスとして使用されている。(特許文献1参照)
最も標準的な蛍光表示管は、直熱三極管のアノード(プレート)に蛍光体が貼り付けてあり(パターニング)、フィラメントから照射された熱電子をグリッドで制御し、その熱電子がアノードに当たる時に蛍光体が発光する。フィラメント材質は基本的にはタングステン合金であるが、その他様々な合金も用いられる。
最近はLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)を用いたものや、有機EL(Electro Luminance)ディスプレイ等もあるが、依然として視野角の広さ、発光の美しさ、寿命、動作温度範囲等の点で総合的には蛍光表示管に一日の長があり、特に発光が綺麗で表示が鮮明な点が買われて、オーディオ機器やビデオ機器で主に使われている。また、車の時計などにも、視認性と信頼性の高さからよく使われている。有機ELディスプレイも自発光のため視野角は広く、発光効率が高いという長所が有るにせよ、寿命が短いという欠点がある。この点、蛍光表示管の寿命は3万時間を超える長寿命である。さらには、陰極を冷陰極型にすることにより、熱フィラメントが切れるという問題が解決できるために寿命はさらに長くなり信頼性が増大する。これは一般に、フィールドエミッションディスプレイ(FED)と呼ばれる。
上記した蛍光表示管をディスプレイとしてではなく、光源として利用したものが蛍光ランプである。冷陰極蛍光ランプは、低消費電力、長寿命ランプとして有望である。
しかし、従来の蛍光表示管は、表示デバイス用途のみを対象としているために紫外線を発生させることを目的としたものではない。蛍光表示管において、可視光発光する蛍光体粉末の表面に、電子線を受けて紫外光発光する蛍光体をコーティングした複合粉末を陽極上に形成し、これに電子線を照射するという方法が提案されている。これは、電子線を紫外発光蛍光体に照射して一旦紫外線を発生させ、これを可視光発光蛍光体に照射することにより所望する波長の可視光を発生させるものである。紫外発光蛍光体としては、ZnO、ZnO・Ga23:Cd等が報告されている。ZnO・Ga23:Cdは発光ピーク波長が365nmの発光を示す(特許文献2、3、4参照)。
しかし、この発明は、可視光発光する蛍光表示管を得るためのものであり、紫外線を放出するデバイスではない。また電子線を照射して効率よく紫外線を発生させ得る蛍光体がこれまで存在しなかった。この理由は以下の通りと推測される。すなわち、電子線を照射して効率よく紫外線を発生させ得る蛍光体がこれまで存在しなかったためである。
前記発明の蛍光表示管では、可視発光蛍光体は、紫外発光蛍光体が放出した紫外線を吸収して可視光発光するのと同時に、それ自体が、ある程度電子線を吸収して可視光を発光するので、紫外線の強度はそれほど高くなくてもかまわない。しかし、紫外発光蛍光体のみを使用した場合は、発光効率が低すぎて紫外発光蛍光ランプとして実用には至らないのである。ZnO・Ga:Cd中のCdの添加は環境を害する可能性もあるし、また、ピーク波長を365nmよりも小さくすることもできない。
現在、低速電子線励起で最も発光効率が高い蛍光体はZnO:Znで表記される材料である。これは、ピーク波長が約500nm、短波長側の裾の波長が405nm程度のスペクトルを示す緑色発光蛍光体で、発光効率が24%程度と他の蛍光表示管用蛍光体と比べて格段に高い発光効率を示す。ZnO:Znは、原料となる酸化亜鉛(ZnO)粉末を、還元雰囲気で焼成することにより酸素空孔または格子間Zn状態を生じさせ、これらの準位に起因した発光を利用したものであると言われているので、便宜上、ZnO:Znと表記される。
このような酸素欠陥または格子間Znを持つことにより、蛍光体の比抵抗が小さくなるので、低速電子線照射でもチャージアップすることなく高い発光効率が発揮できるのである。一般に、蛍光体に低速電子線を照射した場合、蛍光体の抵抗が高い場合、蛍光体表面がマイナスにチャージアップし、安定した発光が阻害される現象が起こるため、蛍光体表面にアルミニウム薄膜を形成して電荷を逃す、いわゆるメタルバック処理が必要になるが、ZnO:Zn蛍光体は比抵抗が小さいので、そのような処理が不要になるのである。この効果は、電子線がメタルバック層で遮断されやすくなる陽極電圧が5kV以下になった時に大きな効果を発揮する。
最近、気相法により基板上にZnMgO系薄膜をコーティングし、母体のバンドギャップをZnOに比べて増大させることにより、発光波長をブルーシフト(短波長側にシフトする)させることが可能になった。例えば、Zn0.8Mg0.2O組成にすることで、発光スペクトルのピーク波長は462nmまでブルーシフトする。このとき、短波長側の裾は紫外線である360nm程度までブルーシフトするため、全体のスペクトルの中で紫外光発光する割合が大きく、紫外発光蛍光体として機能する可能性を持つ(非特許文献1)。
このような蛍光体を還元性雰囲気で熱処理すると、酸素空孔または亜鉛過剰状態となり、ZnMgO:Znと記載される蛍光体となる。このような蛍光体もまた、ZnO:Zn蛍光体と同じく、ブロードバンドなスペクトルを持つ高い発光強度の蛍光体となるが、母体のバンドギャップの大きさに応じて、ZnO:Znよりもスペクトルが全体的に短波長側へシフトする。
特開2001−176433号公報 特開平8−127769号公報 特開平8−45438号公報 特開昭63−15879号公報 特開2002−105642号公報 日本セラミックス協会年会講演概要集、13ページ(2005)
しかし、このような高いMg組成を持つ蛍光体は薄膜でしか作製できず、高価な薄膜形成装置が必要になり製造コストが高くなるという課題があった。以下にその理由を説明する。
ZnO−MgO系状態図によると、六方晶ZnOに対してMgは4mol%程度までしか固溶せず、これを超えると六方晶ZnMgOに加えて立方晶MgO相が析出し始める。高濃度でMgを固溶させる方法として薄膜技術が開発されている。すなわち、サファイア等の六方晶の単結晶を基板とし、この上にZnMgO薄膜をエピタキシャル成長させると、Mgが最大で、Zn0.6Mg0.4O組成まで混晶にすることができるのである。
しかし、ZnOとMgO粉末を混合した後、焼成する通常の粉末焼成法を用いると、上記したように、熱力学的平衡組成であるZn0.96Mg0.04O組成までしか固溶体は生成しない。さらには、粉末焼成法で高Mg組成を持つ蛍光体が合成できたとしても、最終的に蛍光ランプにするためには、粉末蛍光体を基板に塗布して陽極にする必要があるので高コストの要因になるという課題がある。
酸化物蛍光体を基板と一体化する方法として、大気開放型CVD法が知られている。これは、気化させた原料をキャリヤーガスとともに大気開放下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面に酸化物膜を堆積する方法で、ZnO、MgOやYなど、結晶性の高い酸化物ウィスカーを高速で合成できる。しかし、高いMg含有量のZnMgO系ウィスカーを合成しようとすると、上記したように、Mgの固溶量は小さいという問題があった(特許文献5)。
本発明は、上記の問題点を解消し、低コストで発光強度に優れた陽極を提供することを目的とする。特に高濃度Mg組成においても六方晶固溶体を形成するZnMgO系蛍光体を有する陽極を提供することを目的とする。
発明者らは、大気開放型CVD法による酸化物ウィスカーの成長時に、特定の基板を用いることにより、高濃度のMgが固溶しても六方晶構造を維持しつつ、かつ結晶性の高いZn(1-x)xOウィスカー蛍光体が作製でき、さらに、該ウィスカーを還元性雰囲気で熱処理することにより、発光強度の高いZn(1-x)xO:Znウィスカー状蛍光体となり、優れた陽極となること等を見いだした。
すなわち本発明は、
(1)化学式がZn(1-x)xO:Zn(RはIIA族元素,0.05≦x<1)で表され、かつ六方晶構造を持つウィスカー状蛍光体と、当該ウィスカー状蛍光体が主成分として成長した基板とを有することを特徴とする陽極。
(2)前記化学式中のRが、Mgであることを特徴とする前記(1)に記載された陽極。
(3)前記化学式中のxが、0.2<x<1であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載された陽極。
(4)前記ウィスカー状蛍光体の直径が、0.1〜20μmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一に記載された陽極。
(5)カソードルミネッセンススペクトルの短波長側裾波長が、波長400nmよりも小さい領域にあることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一に記載の陽極。
(6)カソードルミネッセンススペクトルの短波長側裾波長が、波長370nmよりも小さい領域にあることを特徴とする前記(5)記載の陽極。
(7)カソードルミネッセンススペクトルの短波長側裾波長が、波長350nmよりも小さい領域にあることを特徴とする前記(6)記載の陽極。
(8)前記基板が六方晶結晶であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか一に記載された陽極。
(9)前記基板が、ZnO、サファイア、AlN、ZnSの少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか一に記載された陽極。
(10)前記ウィスカー状蛍光体が、前記基板の(001)面に成長していることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか一に記載された陽極。
(11)電子線放射源となる陰極と電子線を受けて発光する陽極とを有する蛍光ランプにおいて、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載された陽極を有することを特徴とする蛍光ランプ。
(12)陽極電圧が5kV以下であることを特徴とする前記(11)に記載された蛍光ランプ。
(13)大気開放型CVD法を用い、かつ蛍光体を還元性雰囲気で熱処理することにより酸素空孔又は亜鉛過剰状態を形成することを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれか一に記載された陽極の製造方法、
である。
本発明の陽極は、基板と一体型のZn(1−x)O:Zn系ウィスカー状蛍光体からなる陽極であり、基板と一体化しているため、低コストで発光強度に優れた陽極となる。このような陽極は、電子線照射により短波長の紫外線を放射することができるので、蛍光ランプ用蛍光体として、特に陽極電圧が5kV以下の蛍光ランプ用を提供することができる。特にMgOはバンドギャップが最も大きいので、ZnMgO:Zn系が発光波長が短く、短波長蛍光ランプ用蛍光体として好ましい。
本発明の陽極は、例えば大気開放型CVD法を用いて作製することができる。以下、その製法の一例を説明する。
まず基材として特定の結晶面を持つ基板を用意する。次に、原料としてZnのアルコキシドであるZn(C5722とMgのアルコキシドであるMg(C25O)2を所定の組成で昇華させてArガスにより搬送し、これをスリット状のノズルから基板に噴射することにより、配向性を持ったZnMgO系ウィスカーが得られる。
本発明の原材料として使用する金属化合物は、加熱下で、媒体ガスでもって大気に放出した時、部分的であっても良いが反応し、特に水と反応し、主として金属酸化物を形成する化合物が好ましい。その原理を分かりやすく説明する為に一例を示すと、例えば、金属化合物としてZn(C5722を使用し、該化合物を揮発させ、乾燥窒素ガスを媒体ガスとして、例えば500℃に加熱して、無触媒で大気中に放出すると大気中の水分と反応してZnOを主体とする無機物を形成する。
金属化合物としては、該化合物を揮発させ大気に放出する際に、反応して酸化物を形成するものであれば特に限定されないが、その例としては、上述の金属のアルキル化合物、アルケニル化合物、フェニルあるいはアルキルフェニル化合物、アルコキシド化合物、ハロゲン化合物、アセチルアセトネート化合物等が挙げられる。これらの金属化合物は、単独で使用することもできるし、又、同一の金属であっても複数の化合物を組み合わせて使用することもできる。しかしながら、これらの中でも安全性等から特にアルコキシド化合物が好ましい。なお、本発明で使用する金属化合物は揮発性を有するものとしているが、この揮発性物質は、蒸気圧を持ち揮発する物質以外に昇華性の物質も含む。即ち、一定の温度でガス化する金属化合物の全てを含むものである。
媒体ガスは、加熱下で使用する金属化合物と反応しないものであれば特に限定はしないが、その一例として、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス、炭酸ガス、有機フッ素系ガス、あるいはヘキサン、ヘプタン等の有機物ガス等が挙げられる。しかしながら、安全性、経済性の上から不活性ガスが好ましい。
基板面に成長するウィスカーは、特定の面を持つ単結晶基板を用いると、基板面に対して一定のピッチ間隔で、基板面に垂直にエピタキシャル成長し、かつ極めて結晶性が高くなる傾向がある。例えば、ZnO基板の(001)面(c面)上には垂直に成長するが、石英ガラス基板や金属基板を用いるとランダムな方向に成長する。この時、基板温度を適度に高くしておくと、より結晶性は高くなる。
基板は、結晶系が六方晶であるか、もしくは格子定数がZnOに近いことが好ましい。六方晶で格子定数が近いことが最も好ましい。ZnOが最も好ましいのは当然である。その他、六方晶結晶ではサファイア、AlN、ZnS等がある。AlNは格子定数が近い。サファイアも比較的近い。六方晶結晶の場合、(001)面が発達していることが好ましい。
また、基板に導電性がない場合、ウィスカーがコーティングされる基板面には、透明導電膜をコーティングしておくことが好ましい。透明導電膜は400nm以下の光を60%以上透過することが好ましい。透明導電膜がコーティングされていない場合、ウィスカーをコーティングした後、ウィスカーの表面に薄い導電層を形成して電極にすることはできるが、電極としての導電性が低下するので好ましくない。通常、透明導電膜の膜厚は、0.1〜0.2μm程度であり、この程度の厚さなら、基板からのZnMgO膜のエピタキシャル成長を阻害することはない。
尚、本発明で意味するウィスカーとは、緻密な膜ではない、基板面に対して垂直、あるいはある角度をもって成長することを意味しており、ウィスカーのアスペクト比(長さと直径の比)は問題ではない。例えば、ウィスカーの直径が1μm、長さが1μmの場合は、円柱形状と呼ぶべきものであるが、本発明ではこれもウィスカーとして含んでいる。通常、本発明で作製されるウィスカーの直径は0.1〜20μm程度である。電子線励起型蛍光ランプの場合、電子線の浸透深さは電子線の加速電圧に依存して変化するが、カラーテレビ用のCRTに用いられる加速電圧が35kVの場合でも、せいぜい浸透深さは数μmであるため、ウィスカーの長さは数μm程度までにしておくほうがよい。低速電子線の場合は、浸透深さは0.1μm以下になる。
本発明では、ウィスカーの長さが1μm以上でも基板の方位を保ったまま成長させることができる。
また、ウィスカーの長さが数μmを越えると、基板の方位を継承して起こるエピタキシャル成長が崩壊しはじめ、ZnOにMgが固溶しにくくなり、立方晶MgOが析出する場合もある。
このようなウィスカーをH2−NH3ガスなどの還元性雰囲気で、適度な温度で熱処理すれば酸素空孔または過剰Zn状態となり、Zn(1-x)MgxO:Znで表される蛍光体となる。
Zn(1-x)MgxO組成において、Mg量が5mol%以上になると、発光ピーク波長は400nm以下となる。Mg量が20mol%以上になると、発光ピーク波長は370nm以下となる。このような紫外線は、酸化チタン光触媒を極めて効率よく励起することができるので、光触媒励起用光源として有効になる。また、365nmを中心とする紫外線は、紫外線樹脂硬化装置の主光源として用いられているので、紫外線樹脂硬化装置用光源としても有効である。Mg量が40mol%以上になると、発光ピーク波長は350nm以下となる。
本発明のZnMgO:Zn蛍光体は、ZnO:Znと同じく発光スペクトルがブロードバンドであることが大きな特徴である。スペクトルの半価幅は100nmを超える。一方、微小基板を用い、非還元性雰囲気で水熱合成したZnMgO蛍光体は、ZnMgO:Znよりもかなり短い波長でシャープなバンド端発光を示すが、このスペクトルは半価幅が大凡の場合、50nmよりも小さいのが特徴である。両者を見分けるのは、半価幅から判断できる。発光強度は本発明品のほうが高い。
本蛍光体は、Mgの代わりに、Be、Ca、Sr、BaなどのIIA族元素のアルコキシドを用いても、同様のウィスカーが作製でき、短波長発光粉末蛍光体となる。これらの元素の酸化物は、MgOと同じ岩塩構造であり、バンドギャップも大きいため、MgOと同じ効果がある。この場合、蛍光体の組成とBeO、MgO、CaO、SrO、BaOのバンドギャップに依存して発光ピーク波長は変化する。
このようにして合成した陽極は、蛍光ランプ用陽極として極めて有効である。すなわち、熱陰極または冷陰極から放射される電子を、陽極基板上に形成された本蛍光体ウィスカーに衝突させることによって発光させることを特徴とする蛍光ランプとなり、高輝度、低消費電力ランプが実現できる。特に陰極が冷陰極である場合、消費電力の小さな蛍光ランプとなる。一般に、蛍光体に低速電子線を照射した場合、蛍光体の抵抗が高い場合、蛍光体表面がマイナスにチャージアップし、安定した発光が阻害される現象が起こるため、蛍光体表面にアルミニウム薄膜を形成して電荷を逃す、いわゆるメタルバック処理が必要になるが、ZnMgO:Zn蛍光体は低抵抗であるため、そのような処理が不要になる。この効果は、陽極電圧が5kV以下になった時に大きな効果を発揮する。
(実施例1)
(1)陽極基板:ZnO(六方晶):40mm×10mm×0.1mm(厚さ)の(001)面成長品を用いた。これにITO膜を0.1μmコーティングした。
(2)コーティング
図1に示す大気開放型CVD装置を使用した。まず原料(5),(6)を仕込んだ気化器(3),(4)を加熱して原料(5),(6)を気化させておく。一方、加熱台(2)を加熱することで基板(1)を加熱する。水分を水トラップ(9),(10)で除去した後のアルゴンガス(11),(12)を気化器(3),(4)に導入し、原料蒸気をアルゴンガスで搬入し、ノズル(N)から噴射して、基板(1)に吹き付けることで基板(1)上にウィスカーが成長する。ノズルの先に吹き出しスリット(S)を設けることで、基板上の特定の面積のみに噴射されるように設定できる。気化器(3),(4)の原料(5),(6)の蒸気圧とアルゴンガス(11),(12)の流量を流量計(7),(8)やバルブ(13),(14),(15),(16)によって制御することでウィスカーの組成を制御することができる。
ここでは、気化器(3)にアセチルアセトナト亜鉛Zn(C5722、気化器(4)にジエトキシマグネシウムMg(OC252を装填した。
そして、加熱台(2)を550℃に加熱した。吹き出しスリット(S)の下、20mmの位置に陽極基板(1)を置いた。各気化器(3),(4)に乾燥Arガスを各種流量で導入し、各基材上に各種時間吹き付けた。
生成したウィスカーは下記の分析、測定を行った。
(i) 生成相と組成:X線回折および化学分析
(ii)配向性:X線回折
(3)還元熱処理
合成後のウィスカーを各種温度、雰囲気で2時間熱処理した。得られたウィスカーを粉末X線回折で同定した。熱処理しない試料も作製した。
(4)蛍光ランプの作製
8×38×1mm(厚さ)サイズのソーダライムガラス基板上に形成されたアルミ電極(厚さ0.1μm)上にカーボンナノチューブと有機バインダーからなるスラリーをスクリーン印刷機により塗布し、アルゴンガス中、400℃で1時間焼成して冷陰極を作製した。
冷陰極と陽極を10mmの距離で平行に設置し、さらに冷陰極と陽極の間に、冷陰極上200μmの距離で、冷陰極と同じ面積のメッシュ状のグリッド電極、および、予めゲッターとしての酸化バリウムを0.1μm蒸着しておいた各種の制御電極を設置して配線した。これらを直径30mm×長さ200mm、厚みが1mmの石英ガラス製容器に挿入した後、内部を高真空(10-7torr)に排気したまま380℃で4時間脱気処理した。その後、フリットガラスで封止して蛍光ランプを得た。
グリッド電圧を0.65kV、陽極導体に約4kVの電圧を印加し、陽極電流値を100μAに制御しながら、蛍光体を発光させ、陽極側から発光波長をマルチフォトニックアナライザ(浜松フォトニクス製)で測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2007109489
原料の輸送量を変化させることで、Mg固溶量が約50mol%までのZnMgOウィスカーが析出した陽極が得られた。還元雰囲気で熱処理することにより、半価幅の大きいブロードバンドの発光ピークを持つウィスカーが得られた。Mg量増大と共に発光ピーク波長は短波長化した。Mg量が5mol%を超えると発光スペクトルの一部は400nm以下になった。Mg量が20mol%を超えると、短波長側裾波長は370nm以下になった。Mg量が37.5mol%を超えると、短波長側裾波長は350nm以下になった。
(実施例2)
(1)陽極基板:ZnO、サファイア、ZnS及びAlNの各種基板を用いた:40mm×10mm×0.1mm(厚さ)。これにITO膜を0.1μmコーティングした。
(2)コーティング
実施例1と同様に行った。
(3)熱処理
基板温度や保持時間等を表2に示すようにした以外は、実施例1と同様に行った。
(4)蛍光ランプの作製
実施例1と同様に行った。発光スペクトルのピーク波長の強度を相対的に比較した。
結果を表2に示す。
Figure 2007109489
六方晶結晶の(001)成長面上に成長させると最も発光強度が高かった。還元性雰囲気での熱処理前のウィスカーの結晶性が高いほど熱処理後の発光強度も高くなると考えられる。
(実施例3)
(1)陽極基板:ZnO(六方晶):40mm×10mm×0.1mm(厚さ)。これにITO膜を0.1μmコーティングした。
(2)コーティング
実施例1と同様に行った。
Mg(C5722の代わりに、Ca(OC252、Sr(OC252、Ba(OC252を装填した。
(3)熱処理
基板温度や保持時間等を表3の欄外に示すようにした以外は、実施例1と同様に行った。
(4)蛍光ランプの作製
実施例1と同様に行った。その結果を表3に示す。
Figure 2007109489
MgOの代わりにCaO、SrO、BaOにしても短波長発光した。
大気開放型CVD装置を説明する図である。
符号の説明
1 基板
2 加熱台
3、4 気化器
5、6 原料
7、8 流量計
9、10 水トラップ
11、12 Arガス
13、14、15、16 バルブ

Claims (13)

  1. 化学式がZn(1-x)xO:Zn(RはIIA族元素,0.05≦x<1)で表され、かつ六方晶構造を持つウィスカー状蛍光体と、当該ウィスカー状蛍光体が主成分として成長した基板とを有することを特徴とする陽極。
  2. 前記化学式中のRが、Mgであることを特徴とする請求項1に記載された陽極。
  3. 前記化学式中のxが、0.2<x<1であることを特徴とする請求項1又は2に記載された陽極。
  4. 前記ウィスカー状蛍光体の直径が、0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載された陽極。
  5. カソードルミネッセンススペクトルの短波長側裾波長が、波長400nmよりも小さい領域にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の陽極。
  6. カソードルミネッセンススペクトルの短波長側裾波長が、波長370nmよりも小さい領域にあることを特徴とする請求項5記載の陽極。
  7. カソードルミネッセンススペクトルの短波長側裾波長が、波長350nmよりも小さい領域にあることを特徴とする請求項6記載の陽極。
  8. 前記基板が、六方晶結晶であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の陽極。
  9. 前記基板が、ZnO、サファイア、AlN、ZnSの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載された陽極。
  10. 前記ウィスカー状蛍光体が、前記基板の(001)面に成長していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載された陽極。
  11. 電子線放射源となる陰極と電子線を受けて発光する陽極とを有する蛍光ランプにおいて、請求項1〜10のいずれか一に記載された陽極を有することを特徴とする蛍光ランプ。
  12. 陽極電圧が5kV以下であることを特徴とする請求項11に記載された蛍光ランプ。
  13. 大気開放型CVD法を用い、かつ蛍光体を還元性雰囲気で熱処理することにより酸素空孔又は亜鉛過剰状態を形成することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一に記載された陽極の製造方法。
JP2005298309A 2005-10-13 2005-10-13 陽極、その製造方法及び蛍光ランプ Pending JP2007109489A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009030021A (ja) * 2007-06-27 2009-02-12 Tateho Chem Ind Co Ltd 発光体及びその製法
JP2009212041A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Phoenix Denki Kk 補助光源およびその補助光源を備える光源装置

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