JP2006335915A - 粉末蛍光体とその製法、およびこれを用いた発光デバイス - Google Patents

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千尋 河合
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Abstract

【課題】 高濃度のMgが固溶したZnMgO系粉末蛍光体を提供し、これを用いた発光デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、微小基板表面に少なくとも表面の全部または一部に化学式がZn(1-x)xO:Zn(RはIIA族元素,0.05≦x)で表され、かつ六方晶構造を持つ表面層が形成されていることを特徴とする粉末蛍光体である。また前記化学式中のRがMgであるのが好ましい。さらに本発明は上記粉末蛍光体の製法、およびこれを用いた発光デバイスである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低速電子線照射により高効率で可視光〜紫外線を放射する粉末蛍光体とその製法、これを用いた発光デバイスに関する。
近年の環境問題から、発光体として水銀を使用する装置やデバイスの使用が規制されつつある。水銀を使用する代表的なデバイスは蛍光灯、低圧・中圧・高圧・超高圧水銀灯などの照明または光源デバイスである。これらは全て、水銀の放電により発生させた紫外線を蛍光体に照射することで、可視光線または紫外線を発光させる原理により作動する。
高圧水銀ランプは、365nmの波長を主発光とする紫外線ランプで、電子部品における樹脂の硬化等に用いられている。低圧水銀ランプは、生物のDNAを直接破壊することができる254nmの紫外線を効率良く発生するために、殺菌装置に必須のランプとして用いられている。
従って、水銀を使わないで、これらの波長、特に波長が300nm以下の紫外線を効率よく放射できる発光デバイスが強く望まれている。
これに対して、水銀を使用しない環境に優しい発光デバイスとしては蛍光表示管なるものがある。これは、熱陰極または冷陰極カソードから発生させた低速電子線を蛍光体に照射することで可視光線を発生させるものであり、長寿命・高信頼性、低消費電力という特徴を持ち、車載用のディスプレイや屋外表示デバイスとして使用されている(特許文献1参照)。
最も標準的な蛍光表示管は、直熱三極管のアノード(プレート)に蛍光体が貼り付けてあり(パターニング)、フィラメントから照射された熱電子をグリッドで制御し、その熱電子がアノードに当たる時に蛍光体が発光する。フィラメント材質は基本的にはタングステン合金であるが、その他様々な合金も用いられる。
最近はLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)を用いたものや、有機EL(Electro Luminance)ディスプレイ等もあるが、依然として視野角の広さ、発光の美しさ、寿命、動作温度範囲等の点で総合的には蛍光表示管に一日の長があり、特に発光が綺麗で表示が鮮明な点が買われて、オーディオ機器やビデオ機器で主に使われている。また、車の時計などにも、視認性と信頼性の高さからよく使われている。有機ELディスプレイも自発光のため視野角は広く、発光効率が高いという長所が有るにせよ、寿命が短いという欠点がある。この点、蛍光表示管の寿命は3万時間を超える長寿命である。さらには、陰極を冷陰極型にすることにより、熱フィラメントが切れるという問題が解決できるために寿命はさらに長くなり信頼性が増大する。これは一般に、フィールドエミッションディスプレイ(FED)と呼ばれる。
上記した蛍光表示管をディスプレイとしてではなく、光源として利用したものが蛍光ランプである。冷陰極蛍光ランプは、低消費電力、長寿命ランプとして有望である。
しかし、従来の蛍光表示管は、表示デバイス用途のみを対象としているために紫外線を発生させることを目的としたものではない。そのため蛍光表示管において、電子線照射により可視光発光する蛍光体粉末の表面に、電子線照射により紫外光発光する蛍光体をコーティングするという方法が提案されている。これは、電子線を紫外発光蛍光体に照射して一旦紫外線を発生させ、これを可視光発光蛍光体に照射することにより望む波長の可視光を発生させるという原理のものである。紫外発光蛍光体としては、ZnO、ZnO・Ga:Cd等が報告されている(特許文献2、3参照)。
しかし、この発明は、可視光発光する蛍光表示管を得るためのものであり、紫外線を放出するデバイスではない。すなわち、電子線を照射して効率よく紫外線を発生させ得る蛍光体がこれまで存在しなかったためである。この理由は以下の通りと推測される。
前記発明の蛍光表示管では、可視発光蛍光体は、紫外発光蛍光体が放出した紫外線を吸収して可視光発光するのと同時に、それ自体が、ある程度電子線を吸収して可視光を発光するので、紫外線の強度はそれほど高くなくてもかまわない。しかし、紫外発光蛍光体のみを使用した場合は、発光効率が低すぎて紫外発光蛍光ランプとして実用には至らないのである。ZnO・Ga23:Cd中のCdの添加は環境を害する可能性もあるし、また、ピーク波長を365nmよりも小さくすることもできない。
現在、低速電子線励起で最も発光効率が高い蛍光体はZnO:Znで表記される材料である。これは、ピーク波長が約500nm、短波長側の裾の波長が405nm程度のスペクトルを示す緑色発光蛍光体で、発光効率が24%程度と他の蛍光表示管用蛍光体と比べて格段に高い発光効率を示す。ZnO:Znは、原料となる酸化亜鉛(ZnO)粉末を、還元雰囲気で焼成することにより酸素空孔または格子間Zn状態を生じさせ、これらの準位に起因した発光を利用したものであると言われているので、便宜上、ZnO:Znと表記される。
最近、気相法により基板上にZnMgO系薄膜をコーティングし、母体のバンドギャップをZnOに比べて増大させることにより、発光波長をブルーシフト(短波長側にシフトする)させることが可能になった。例えば、Zn0.8Mg0.2O組成にすることで、発光スペクトルのピーク波長は462nmまでブルーシフトする。このとき、短波長側の裾は紫外線である360nm程度までブルーシフトするため、全体のスペクトルの中で紫外光発光する割合が大きく、紫外発光蛍光体として機能する可能性を持つ。(非特許文献1)。
特開2001−176433号公報 特開平8−27769公報 特開平8−45438公報 日本セラミックス協会年会講演概要集、13ページ(2005)
しかし、この蛍光体は薄膜でしか作製できず、粉末では実現出来なかった。以下にその理由を説明する。
ZnO−MgO系状態図によると、六方晶ZnOに対してMgは4mol%程度までしか固溶せず、これを超えると六方晶ZnMgOに加えて立方晶MgO相が析出し始める。高濃度でMgを固溶させる方法として薄膜技術が開発されている。すなわち、サファイア等の六方晶の単結晶を基板とし、この上にZnMgO薄膜をエピタキシャル成長させると、Mgが最大で、Zn0.6Mg0.4O組成まで混晶にすることができるのである。
しかし、ZnOとMgO粉末を混合した後、焼成する通常の粉末焼成法を用いると、上記したように、熱力学的平衡組成であるZn0.96Mg0.04O組成までしか固溶体は生成しない。
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、高濃度のMgが固溶したZnMgO系粉末蛍光体とその製法及びこれを用いた発光デバイスに関するものである。
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも表面の全部または一部に、化学式がZn(1-x)xO:Zn(RはIIA族元素,0.05≦x)で表され、かつ六方晶構造を持つ表面層を有する粉末蛍光体、
(2)前記化学式中のRがMgである上記(1)の粉末蛍光体、
(3)0.2<xである上記(1)又は(2)の粉末蛍光体、
(4)カソードルミネッセンススペクトルの一部が、波長400nmよりも小さい領域にある上記(1)〜(3)の粉末蛍光体、
(5)カソードルミネッセンススペクトルの一部が、波長370nmよりも小さい領域にある上記(4)の粉末蛍光体、
(6)カソードルミネッセンススペクトルの一部が、波長350nmよりも小さい領域にある上記(5)の粉末蛍光体、
(7)前記表面層が微小基板表面に形成されている上記(1)〜(6)の粉末蛍光体、
(8)前記微小基板が六方晶結晶である上記(7)の粉末蛍光体、
(9)前記微小基板がZnO、サファイア、AlN、SiCの少なくとも一種である上記(7)又は(8)の粉末蛍光体、
(10)前記微小基板がc面軸配向していることを特徴とする上記(7)〜(9)の粉末蛍光体、
(11)水熱合成法による粉末蛍光体の製造法であって、粉末状の微小基板を溶媒に分散させる工程1と、工程1の溶媒にZn,Mgを含む溶質成分を溶解させた後、所定の温度、圧力で保持して微小基板上に蛍光体を析出させる工程2を含む、上記(7)の粉末蛍光体の製法、
(12)水熱合成を還元性雰囲気で行うことを特徴とする上記(11)の粉末蛍光体の製法、
(13)水熱合成後に還元性雰囲気で熱処理することを特徴とする上記(11)又は(12)の粉末蛍光体の製法、
(14)前記微小基板が六方晶結晶である上記(11)〜(13)の粉末蛍光体の製法、
(15)前記微小基板がZnO、サファイア、AlN、SiCの少なくとも一種である上記(11)〜(14)の粉末蛍光体の製法、
(16)前記微小基板がc軸配向していることを特徴とする上記(11)〜(15)の粉末蛍光体の製法、
(17)熱陰極または冷陰極から放射される電子を、陽極上に形成された上記(1)〜(10)の粉末蛍光体に衝突させることによって発光させることを特徴とする発光デバイス、
(18)陽極電圧が5kV以下である上記(17)の発光デバイス、
よりなる。
本発明のZn(1-x)xO:Zn粉末蛍光体は、水熱合成により、微小基板上にエピタキシャル成長するため、例えば、高濃度Mg組成においても六方晶固溶体を形成することができる。
このような高Mg組成粉末蛍光体は、電子線照射により短波長の紫外線を放射することができるので、蛍光ランプ等の発光デバイスとして極めて有望である。
以下に本粉末蛍光体の製法を説明する。
本発明品は、例えば、微小基板を気相中で流動させながら蒸着法やスパッタ法、PVD法、CVD法などでも作製できるが、最も容易、かつ低コストで作製する方法は、液相中のエピタキシャル成長を利用した水熱合成法である。なお、微小基板を使用する場合は、その平均直径の最大径が100μm未満となるようにすることが好ましい。
本発明では、粉末状の微小基板を溶媒に分散させる工程1と、工程1の溶媒にZn,Mgを含む溶質成分を溶解させた後、所定の温度、圧力で保持して微小基板上に蛍光体を析出させることにより得られる。
水熱合成条件は特に特別な条件でなく、一般的なZnOの水熱合成条件で構わない。
例えば、NaOH等のアルカリ溶液にZnやMgの供給源となる原料、および微小基板を溶解させたものを密閉容器に装填し、これをオートクレーブに設置して、ZnOの水熱合成に適した温度、圧力で一定時間保持した後冷却すると基板上にZnMgOが析出する。冷却により、溶解度が低下するため過飽和度が高くなり、溶解しきれなくなったZnMgO成分が微小基板の表面に析出するのである。このとき、析出する粉末は基板の配向性に影響を受けるため、析出する粉末中のMg濃度が高くなっても六方晶を維持したまま析出することが可能となる。
原料としては、Zn(NO3)2・6H2OやMg(NO3)2・6H2O等の硝酸塩やZn(CH3COO)2・2H2OやMg(CH3COO)2・2H2O等の酢酸塩でもよい。硝酸塩や酢酸塩は水に溶解しやすいので問題ないが、ZnOやMgO粉末を用いるときは、微粒のほうが溶解しやすいので好ましい。これらの粉末は微小基板のサイズの10分の1以下であることが好ましい。溶媒としては、脱イオン水、KOHとLiOHの混合溶液等でも構わない。温度は150〜400℃くらい、圧力は、数MPa〜数十MPaで合成されるのが一般的である。保持時間は数時間〜数百時間である。一般に、冷却速度が小さいほど析出したZnMgOの結晶性は高くなる。
アルコールやアンモニア水などの還元性のある溶媒を用いると、ZnMgOが析出するときに酸素欠乏状態となり、ZnMgO:Zn蛍光体が得られる。
還元性溶媒としては、ヒドラジン(N24)、アルコール類、エチレングリコール、グリセリン等がある。
ベンゼンやトルエンも還元性はあるが、爆発の危険がある。これらの溶媒に還元剤であるNaBH4やNa3Nが加えられる場合もある。
非還元性溶媒を用いる場合は、析出した後の微小基板付き粉末を回収し、NH3ガスなどの還元性雰囲気で、適度な温度で熱処理すれば酸素空孔が生成する。温度は700℃程度が上限で、これよりも高いと立方晶MgOの掃き出しが起こる。
微小基板は、結晶系が六方晶であるか、もしくは格子定数がZnMgOに近いことが好ましい。ZnMgOが最も好ましいのは当然である。さらに六方晶で格子定数が近いことが最も好ましい。六方晶結晶では、サファイア、GaN、AlN、SiC、InN等がある。格子定数が近いものとしては立方晶のMgOや立方晶のSiCがある。とりわけ、GaN、AlNは格子定数が近い。サファイアも比較的近い。六方晶結晶の場合、c面が発達していることが好ましい。このような結晶は六角形であることが多い。
このようにして合成したZnMgO:Zn蛍光体粉末は、ZnO:Zn蛍光体の高い発光効率が大きく損なわれることなく維持されるため、蛍光ランプ用蛍光体として極めて有効である。すなわち、熱陰極または冷陰極から放射される電子を、陽極上に形成された本粉末蛍光体に衝突させることによって発光させることを特徴とする発光デバイスとなり、高輝度、低消費電力ランプが実現できる。特に陰極が冷陰極である場合、消費電力の小さな発光デバイスとなる。一般に、蛍光体に低速電子線を照射した場合、蛍光体の抵抗が高い場合、蛍光体表面がマイナスにチャージアップし、安定した発光が阻害される現象が起こるため、蛍光体表面にアルミニウム薄膜を形成して電荷を逃す、いわゆるメタルバック処理が必要になるが、ZnMgO:Zn蛍光体は、ZnO:Znよりも若干抵抗が高くなるものの、依然として低抵抗であるため、そのような処理が不要になる。この効果は、陽極電圧が5kV以下になった時に大きな効果を発揮する。
一般式がZn(1-x)MgxO:Znにおいて、xが0.5を上限とした組成までの固溶体となるのが好ましい。
Zn(1-x)MgxO組成において、Mg量が5mol%以上になると、発光スペクトルの一部は400nmよりも小さい波長域となる。Mg量が20mol%以上になると、発光スペクトルの一部は370nmよりも小さくなる。Mg量が45mol%以上になると、発光スペクトルの一部は350nmよりも小さくなる。ZnMgO:Zn蛍光体は電子線励起時の発光効率が極めて高いため、例え、発光スペクトルの一部の波長域しか使えなくても、高輝度紫外発光が可能となる。
本発明のZnMgO:Zn蛍光体は、ZnO:Znと同じく発光スペクトルがブロードバンドであることが大きな特徴である。スペクトルの半価幅は100nmを超える。一方、微小基板を用い、非還元性雰囲気で水熱合成したZnMgO蛍光体は、ZnMgO:Znよりもかなり短い波長でシャープなバンド端発光を示すが、このスペクトルは半価幅が大凡の場合、50nmよりも小さいのが特徴である。両者を見分けるのは、半価幅から判断できる。発光強度は本発明品のほうが高い。
このような紫外線は、酸化チタン光触媒を極めて効率よく励起することができるので、光触媒励起用光源として有効になる。また、365nmを中心とする紫外線は、紫外線樹脂硬化装置の主光源として用いられているので、紫外線樹脂硬化装置用光源としても有効である。
本蛍光体は、Mgの代わりに、Be、Mg、Ca、Sr、BaなどのIIA族元素を用いても、同様の短波長発光粉末蛍光体となる。この場合、蛍光体の組成とBeO、MgO、CaO、SrO、BaOのバンドギャップに依存して発光ピーク波長は変化する。
<蛍光体の作製>
(1)原料
第1成分としては以下のものを使用した。
Zn(CH3COO)2・2H2O:平均粒径が0.1μm
第2成分としては以下のものを使用した。
Mg(CH3COO)2・2H2O:平均粒径が0.1μm
微小基板:
(a) ZnO(六方晶):直径50mm×厚さ5μmのc面成長品を粉砕して、直径20μm×厚さ5μmの微小基板とした。
(2)溶媒:100ml
(a) 脱イオン水
(b) 脱イオン水にNaBH4を濃度20%になるように加えた
(c) エタノールの50%水溶液
(3)水熱処理
(a) 原料液
ZnとMgの総和濃度が0.05mol/lになるように、原料を溶媒に添加して、Mg組成の異なる反応溶液を調製した。
(b)水熱合成
オートクレーブ用容器に溶媒、原料、および微小基板を装填し、密閉した後、オートクレーブに装填し、温度200℃、圧力2MPaで10時間保持した。その後、0.5℃/minの速度で100℃まで冷却した。内容物を取り出して溶媒を除去後、乾燥させて粉末を得た。微小基板を用いないで同様に粉末を作製・評価した。
(4)還元熱処理
水熱合成後の粉末を大気、またはH2−10%NH3中、1気圧下、各温度で2時間熱処理した。得られた粉末を粉末X線回折で同定した。
<蛍光ランプの作製>
作製した蛍光体をエチルセルロースと有機バインダーと混合してスラリーを得た。スラリーをスクリーン印刷機を用いて、10×40×1mm(厚さ)サイズの石英ガラス基板上に形成した膜厚が0.1μmのITO膜からなる陽極導体上に塗布し、大気中で420℃で3時間焼成してバインダーを除去し、厚さ15μmの蛍光体層が形成された陽極基板を作製した。これとは別に、8×38×1mm(厚さ)サイズの石英ガラス基板上に形成されたアルミ電極(厚さ0.1μm)上にカーボンナノチューブと有機バインダーからなるスラリーをスクリーン印刷機により塗布し、アルゴンガス中、400℃で1時間焼成して冷陰極を作製した。
冷陰極と陽極を10mmの距離で平行に設置し、さらに冷陰極と陽極の間に、冷陰極上200μmの距離で、冷陰極と同じ面積のメッシュ状のグリッド電極、および、予めゲッターとしての酸化バリウムを0.1μm蒸着しておいた各種の制御電極を設置して、配線した。これらを直径30mm×長さ200mm、厚みが1mmの石英ガラス製容器に挿入した後、内部を高真空(10-7Pa)に排気したまま380℃で4時間脱気処理した。その後、フリットガラスで封止して蛍光ランプを得た。
グリッド電圧を0.65kV、陽極導体に約0.5〜4kVの電圧を印加し、陽極電流値を100μAに制御しながら、蛍光体を発光させ、陽極側から発光波長をマルチフォトニックアナライザ(浜松フォトニクス製)で測定した。
その結果を表1に示す。なお表1中、粉末蛍光体No.1,2,4,6,8は比較例であり、No.3,5,7,9,10,11,12は実施例である。
Figure 2006335915
微小基板を用いない場合、Mg量が全体(Zn+Mg)の5%以上では、立方晶成分が析出した。粉末X線回折の結果、立方晶成分が析出した試料にはMgOが存在していた。
微小基板を用いた場合でも非還元性雰囲気で水熱合成すると、スペクトルは2個存在し、その内の短波長側のピークは半価幅の小さいシャープなスペクトルとなり、本発明の蛍光体ではないことを意味している。
微小基板を用い、還元性雰囲気で水熱合成すると、Mg量が全体(Zn+Mg)の5%以上でも立方晶成分は析出しなかった。スペクトルは1個となり、かつ、半価幅の大きいブロードバンドピークとなり、本発明品であることが分かった。かつ、Mg量の増加と共に発光波長は短波長側にシフトした。
非還元性雰囲気下で水熱合成した場合でも、その後に還元性ガス雰囲気で熱処理することにより本発明品となった。但し、大気中で焼成すると発光波長が長波長側にシフトしてしまった。原因は不明であるが、大気中の酸素が導入されて何らかの発光準位が形成されたためと考えられる。また、還元雰囲気での熱処理でも熱処理温度が高いと発光波長は長波長側にシフトした。ZnMgOからMgの一部が掃き出されたためと考えられる。
実施例1で作製した蛍光体の内、表1中のNo.5を用いた。
比較例として、市販のCRT用の蛍光体であるZnS:Ag,Clを用いた。これらを粉末蛍光体No.13及び14とした。
粉末蛍光体No.5は、ZnMgOである。また平均粒径、基板平均直径等は上記表1に示したとおりである。
実施例1と同様に蛍光ランプを作製して評価した。陽極電圧は0.5kVと4kVとした。その結果を表2に示す。
Figure 2006335915
市販のCRT用蛍光体であるZnS:Ag,Clは陽極電圧が4kVと高い場合は発光したが、0.5kVでは発光しなかった。これに対し、本発明品は0.5kVでも発光した。導電性が高いため、低速電子線照射時もマイナスに帯電しないためと考えられる。
原料として、Mg(CH3COO)2・2H2Oの代わりに、平均粒径が0.1μmのCa(NO3)2・6H2O、Sr(NO3)2・6H2O、Ba(NO3)2・6H2Oを用いた。
微小基板として下記を用いた。
(a)ZnO(六方晶):直径50mm×厚さ5μmのc面成長品を粉砕して、直径20μm×厚さ5μmの微小基板とした。
(b)サファイア(六方晶):直径50mm×厚さ5μmのc面成長品を粉砕して、直径22μm×厚さ5μmの微小基板とした。
(c)GaN(六方晶):直径50mm×厚さ5μmのc面成長品を粉砕して、直径18μm×厚さ5μmの微小基板とした。
(d)AlN(六方晶):直径10mm×厚さ5μmのc面成長品を粉砕して、直径19μm×厚さ5μmの微小基板とした。
(e)SiC(六方晶):直径50mm×厚さ6μmのc面成長品を粉砕して、直径22μm×厚さ6μmの微小基板とした。
(f)SiC(立方晶):直径50mm×厚さ5μm品を粉砕して、平均粒径5μmの微小基板とした。
(g)石英ガラス(非晶質):直径20mm×厚さ5mm品を粉砕して、平均粒径5μmの微小基板とした。
溶媒としてN24液を用いた以外は全て実施例1と同様にした。
微小基板の格子定数(a軸)と析出した粉末の格子定数(a軸)を測定し、不整合(ミスマッチ)の度合いを、次式で計算した。
不整合性(%)=(粉末の格子定数−格子微小基板の格子定数)/微小基板の格子定数
一部の試料については、発光スペクトルの面積比で発光強度を相対比較した。
その結果を表3に示す。
Figure 2006335915
ZnCaO、ZnSrO、ZnBaO系でも同様の発光が得られた。
微小基板と粉末蛍光体の格子定数のミスフィットが小さいほど発光強度は増大した。石英基板の場合、発光波長は長波長側へシフトした。これは、基板がアモルファスであるため、エピタキシャル成長しにくくBaの固溶量が小さくなるためと推測される。また基板が六方晶のほうが強度は大きかった。

Claims (18)

  1. 少なくとも表面の全部または一部に、化学式がZn(1-x)xO:Zn(RはIIA族元素,0.05≦x)で表され、かつ六方晶構造を持つ表面層を有することを特徴とする粉末蛍光体。
  2. 前記化学式中のRがMgであることを特徴とする請求項1記載の粉末蛍光体。
  3. 0.2<xであることを特徴とする請求項1又は2記載の粉末蛍光体。
  4. カソードルミネッセンススペクトルの一部が、波長400nmよりも小さい領域にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の粉末蛍光体。
  5. カソードルミネッセンススペクトルの一部が、波長370nmよりも小さい領域にあることを特徴とする請求項4記載の粉末蛍光体。
  6. カソードルミネッセンススペクトルの一部が、波長350nmよりも小さい領域にあることを特徴とする請求項5記載の粉末蛍光体。
  7. 前記表面層が微小基板表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の粉末蛍光体。
  8. 前記微小基板が六方晶結晶であることを特徴とする請求項7記載の粉末蛍光体。
  9. 前記微小基板がZnO、サファイア、AlN、SiCの少なくとも一種であることを特徴とする請求項7又は8記載の粉末蛍光体。
  10. 前記微小基板がc軸配向していることを特徴とすることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一に記載の粉末蛍光体。
  11. 水熱合成法による粉末蛍光体の製造法であって、粉末状の微小基板を溶媒に分散させる工程1と、工程1の溶媒にZn,Mgを含む溶質成分を溶解させた後、所定の温度、圧力で保持して微小基板上に蛍光体を析出させる工程2を含むことを特徴とする請求項7記載の粉末蛍光体の製法。
  12. 水熱合成を還元性雰囲気で行うことを特徴とする請求項11記載の粉末蛍光体の製法。
  13. 水熱合成後に還元性雰囲気で熱処理することを特徴とする請求項11又は12記載の粉末蛍光体の製法。
  14. 微小基板が六方晶結晶であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一に記載の粉末蛍光体の製法。
  15. 微小基板がZnO、サファイア、AlN、SiCの少なくとも一種であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一に記載の粉末蛍光体の製法。
  16. 微小基板がc軸配向していることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一に記載の粉末蛍光体の製法。
  17. 熱陰極または冷陰極から放射される電子を、陽極上に形成されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一に記載の粉末蛍光体に衝突させることによって発光させることを特徴とする発光デバイス。
  18. 陽極電圧が5kV以下であることを特徴とする請求項17記載の発光デバイス。
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