JP5174634B2 - 酸化マグネシウム固溶体粒子及びその製法 - Google Patents

酸化マグネシウム固溶体粒子及びその製法 Download PDF

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本発明は、酸化マグネシウム固溶体粒子及びその製法に関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は放電を利用した自発光型の表示デバイスであり、鮮やかで動画解像度の高い画像を表示でき、大画面化も比較的容易なことから、大型フラットディスプレイとして広く利用されている。しかし、従来のPDPは、放電速度が不十分であり、放電にばらつきが生じやすく、また、駆動電圧が高いために消費電力が大きいという問題があった。
特許文献1では、放電速度を向上させる目的で、PDPの前面基板上に設けられた誘電体層上に、紫外線領域の波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う酸化マグネシウム結晶粒子を含む層を設けることが提案されている。さらに特許文献2では、アルミニウムが固溶された酸化マグネシウム結晶体粒子を用いることでさらに放電速度を向上させる提案がなされている。これらの提案では、放電速度は改善されるものの、駆動電圧の低減には殆ど効果が認められなかった。
特許文献3ではフッ素含有酸化マグネシウム粉末からなる紫外光放出層を誘電体層の表面に設けることが記載されているが、放電特性の改善や駆動電圧の低減については言及されていない。
特許文献4では、PDPの誘電体層上に、結晶性酸化マグネシウムに対して、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の結晶性酸化物を添加してなる層を設けることで、放電開始電圧を低下させる提案がなされている。しかし、酸化マグネシウム固溶体は記載されておらず、本提案によると駆動電圧の低下にある程度の効果はあるものの、十分ではない問題があった。また、放電速度についても言及されていない。
特許文献5では、波長域200〜300nmにピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う酸化マグネシウム結晶体を、背面板上の蛍光体層に含ませることで、駆動電圧を低減する提案がなされている。しかし、本提案でも、駆動電圧の低減に一定の効果は認められるものの、十分ではなかった。
特許文献6では、アドレスセルと表示セルを分割し、アドレスセルに二次電子放出係数の高い材料を配置する事で、駆動電圧を低減する提案がされている。しかし、ある程度駆動電圧を低減できるものの、その効果は十分ではなく、放電速度の向上効果は殆ど得られない問題があった。
特許文献7では、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムの2種以上からなる保護膜を設けることにより、駆動電圧を低減する提案がなされている。しかし、この提案ではある程度駆動電圧を低減できるものの、その効果は十分ではなく、放電速度の向上効果は殆ど得られず、寿命の面で問題があった。
特許第3878635号公報 特開2008−166039号公報 特開2007−254269号公報 特開2007−184264号公報 特開2008−181676号公報 特開2004−288508号公報 特開2002−231129号公報
本発明は、上記現状に鑑み、PDPの保護膜上又は背面板上に配置することで放電速度を向上するため紫外線領域でフォトルミネッセンス発光を示しながらも、駆動電圧を低減することが可能な酸化マグネシウム粒子を提供することを目的とする。
本発明者等は、酸化マグネシウム粒子による紫外線領域のフォトルミネッセンス発光が放電速度の向上に寄与するものの、酸化マグネシウムのバンドギャップエネルギーが7.8eVと高いことに起因して、電圧を高めなければ放電に至らないために、駆動電圧を低減できないものと推察した。
そこで、紫外線領域のフォトルミネッセンス発光を保持したまま、酸化マグネシウムのバンドギャップエネルギーを低減するために、当該バンドキャップを狭め得る元素として周期表第IIB族元素に着目して研究を重ねたところ、周期表第IIB族元素の酸化物を特定量で固溶させた酸化マグネシウム固溶体粒子が、上記課題を解決できることを見出して、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、波長260〜330nmの範囲にフォトルミネッセンス発光ピークを有し、周期表第IIB族元素を酸化物換算で1〜45モル%の含量で固溶していることを特徴とする酸化マグネシウム固溶体粒子である。
また本発明は、上記酸化マグネシウム固溶体粒子を製造する方法であって、周期表第IIB族元素の酸化物及び/又は塩化物、炭酸化物、硝酸化物等の酸化物前駆体の存在下で酸化マグネシウム前駆体を焼成する工程を含むことを特徴とする方法でもある。
本発明の酸化マグネシウム固溶体粒子は、紫外線領域でフォトルミネッセンス発光を示すために、PDPの保護膜上又は背面板上に配置することで放電速度を向上することができるとともに、PDPの駆動電圧を低減することができる。
本発明は、酸化マグネシウムを主要構成成分とし、酸化マグネシウムに周期表第IIB族元素が特定量で置換固溶している酸化マグネシウム固溶体からなる粒子に関する。固溶体とは、酸化マグネシウムと周期表第IIB族元素の酸化物が互いに溶け合っており、全体が均一の固相を呈している固体のことをいう。したがって、酸化マグネシウムからなる固体と、周期表第IIB族元素の酸化物からなる固体との単なる混合物とは相違する。固溶体の確認は、後述のように粉末法X線回折測定により行うことができる。
周期表第IIB族元素としては、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)を使用できるが、毒性の問題がない点から、亜鉛が好ましい。
本発明の酸化マグネシウム固溶体粒子における周期表第IIB族元素の酸化物換算した含量は、固溶体を構成する酸化物の総モル数のうち1〜45モル%である。当該含量が1モル%未満であったり、45モル%を超えると、当該粒子が波長260〜330nmの範囲にフォトルミネッセンス発光を生成しなくなる。好ましい含量は10〜45モル%であり、より好ましくは15〜45モル%であり、より好ましくは23〜40モル%である。
本発明の酸化マグネシウム固溶体粒子は、マグネシウムと周期表第IIB族元素に加えて、さらに、アルミニウム又はスカンジウム、あるいは、双方を含有することが好ましい。これにより、波長260〜330nmの範囲におけるフォトルミネッセンス発光ピークの強度を高めることができる。
固溶体粒子におけるAl及び/又はScの含量は、質量基準で50〜10000ppmであることが好ましい。当該含量は、固溶体粒子がアルミニウムとスカンジウムの双方を含む場合には、アルミニウムとスカンジウムの合計含量を表す。上記含量を50ppm以上とすることで、波長260〜330nmの範囲におけるフォトルミネッセンス発光ピークの強度を十分に高めることができる。また、上記含量が10000ppmを超えると、発光ピークの強度が著しく低下する。好ましい含量は100〜10000ppmであり、より好ましくは100〜5000ppmである。
固溶体粒子には他の元素が含まれていてもよいが、フッ化マグネシウムが含まれると波長260〜330nmの範囲におけるフォトルミネッセンス発光の生成が阻害されるので、フッ化マグネシウムは含まないことが好ましい。
本発明の酸化マグネシウム固溶体粒子は波長260〜330nmの範囲にフォトルミネッセンス発光ピークを有するものである。これにより、当該粒子をPDPの保護膜上又は背面板上に配置した際に放電速度を向上することが可能になる。上記フォトルミネッセンス発光とは、電子線又は紫外線で励起されることで、紫外線領域の波長260〜330nm(好ましくは270〜330nm、より好ましくは300〜330nm)の範囲にピークを持つ発光を生成するものをいう。
前記ピークは大きいほど好ましく、具体的には、波長980nm近傍の励起光ランプの反射ピークの強度に対する波長260〜330nmの範囲にあるフォトルミネッセンス発光ピークの強度の比が0.05以上であることが好ましい。波長980nm近傍の励起光ランプの反射ピークとは、励起光ランプの反射光のピークをさす。より好ましくは、前記比は0.20以上である。
本発明の酸化マグネシウム固溶体粒子は、上記のフォトルミネッセンス発光を生成するために粉末状であることが好ましい。結晶粒子の結晶子径としては600Å以上であることが好ましい。結晶子径は、粉末X線回折法を用いて測定し、Scherrerの式にて算出することができる。なお、前記算出式の理論側面を考慮すると、結晶子径が1000Åを超える場合には、その値に信頼性がなくなるため、結晶子径の上限は特に限定しない。 次に、本発明の酸化マグネシウム固溶体粒子を製造する方法を説明する。
一般に、酸化マグネシウム結晶粒子を製造する方法としては、マグネシウム単体の蒸気を酸化することによる気相法と、水溶液反応により得たマグネシウムの水酸化物や炭酸化物等の酸化マグネシウム前駆体を焼成することによる液相法とが知られているが、固溶体粒子を製造するには液相法が好ましい。以下、液相法により本発明の固溶体粒子を製造する方法を詳細に説明する。
液相法で用いる酸化マグネシウム前駆体は水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、及び、これらの混合物がよい。なかでも、得られる固溶体粒子の特性が優れているので、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、及び、これらの混合物が好ましい。
Al及び/又はScを含む固溶体粒子を製造するには、酸化マグネシウム前駆体が所定量のAl及び/又はScを含むようにこれを調製することが好ましい。
酸化マグネシウム前駆体が塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとの混合物である場合に当該前駆体を溶液合成法で調製するには、例えば、(1)塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液、さらに場合によりAl及び/又はScの塩化物や水酸化物、炭酸化物、シュウ酸化物等の、Al及び/又はSc化合物、又はその混合物の水溶液を混合して、Al及び/又はScのイオンを含む水酸化マグネシウムスラリーを得、(2)当該スラリー中の水酸化マグネシウムの一部を炭酸化して、塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとAl及び/又はScのイオンを含むスラリーを得、(3)当該スラリーを濾過して、塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとの混合物を得る。この混合物には、Al及び/又はScのイオンが含まれている。
前記工程(1)は、具体的には、Al及び/又はScの塩化物や水酸化物等を相当量の水酸化ナトリウム水溶液に添加して溶解させたものを、塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを混合して反応させる際に添加することにより行ってもよいし、この方法では沈殿が生じる場合には、Al及び/又はScの塩化物や水酸化物等を塩化マグネシウム水溶液に添加し溶解させたものを、水酸化ナトリウム水溶液に添加し反応させることにより行ってもよい。
前記工程(1)において水酸化マグネシウムスラリーを得た後、水で希釈することによって、当該スラリーの濃度を、好ましくは50〜100g/Lの範囲に、より好ましくは60〜90g/Lの範囲に調整するとよい。スラリーの濃度を下げることによってスラリーの粘度を低減して、次の工程(2)での炭酸化反応が均一に進行するようにするためである。
前記工程(2)においては、前記スラリーに炭酸ガスを吹き込むことによって、スラリー中の水酸化マグネシウムの一部を炭酸化する。この炭酸化反応の温度は40〜80℃が好ましい。この温度範囲では水酸化マグネシウムから塩基性炭酸マグネシウムへの変換が速やかに行われ、反応効率がよい。さらに、この温度範囲内では、濾過効率に優れた粒径を有する塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとの混合物を得ることができる。
前記炭酸化反応で使用する炭酸ガスの使用量は、水酸化マグネシウムスラリー中の水酸化マグネシウムの一部を塩基性炭酸マグネシウムに転化して、塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとの混合物を与えることができる量とする。具体的な炭酸ガスの使用量は、水酸化マグネシウム1モルに対して0.2〜2.0モル当量であることが好ましい。この範囲内では、濾過効率に優れた塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとの混合物を、効率よく得ることが可能となる。
前記工程(3)においては、前記工程(2)で得られた塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとを含むスラリーを濾過にかけて、塩基性炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムとの混合物を固体として得る。この固形混合物をそのまま、洗浄せずに、乾燥した後、後述する焼成に付してもよいし、この混合物を、適切な量の水を用いて洗浄することによってケーキ中の塩化物イオンの量を低減してから、乾燥及び焼成に付してもよい。
酸化マグネシウム前駆体が水酸化マグネシウムである場合に当該前駆体を溶液合成法で調製するには、例えば、(4)塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液、さらにはAl及び/又はScの塩化物や水酸化物等の水溶液を混合して、微量のAl及び/又はScのイオンを含む水酸化マグネシウムスラリーを得、(5)当該スラリーを濾過して、固形の水酸化マグネシウムを得る。この固形物には、微量のAl及び/又はScのイオンが含まれている。
前記工程(4)については上述した工程(1)と同様である。
前記工程(5)では、前記工程(4)で得られた水酸化マグネシウムスラリーを濾過にかけて、固形の水酸化マグネシウムを得る。
本発明の固溶体粒子を製造するにあたっては、以上のようにして得られた酸化マグネシウム前駆体を、周期表第IIB族元素の酸化物及び/又は塩化物、炭酸化物、硝酸化物等の酸化物前駆体の存在下で焼成する。すなわち、酸化マグネシウム前駆体と周期表第IIB族元素の酸化物及び/又は塩化物、炭酸化物、硝酸化物等の酸化物前駆体とを十分に混合して焼成を行えばよい。この焼成は、閉鎖系で行い、雰囲気ガスの流出入が実質的にない密閉式の電気炉、又は、密閉できる坩堝の内部で行うことができる。焼成時の温度としては600℃〜1700℃程度がよい。焼成時間としては温度にもよるが、通常1〜10時間程度である。焼成のために昇温する際の速度としては特に限定されないが、5〜10℃/min程度がよい。この焼成により、本発明の固溶体粒子を得ることができる。
本発明の固溶体粒子は、紫外線領域の波長260〜330nmで強力に発光をするものであるので、プラズマディスプレイパネルを始め各種光学デバイスに応用することができる。
特に、本発明の固溶体粒子は、PDPにおいて保護膜上に設けられる結晶酸化マグネシウム層(クリスタルエミッシブレイヤー)を構成する酸化マグネシウム結晶体の代わりとして利用することができる。これにより放電速度を向上させることができるとともに、かつ、PDPの駆動電圧を低下することができる。これは、周期表第IIB族元素の酸化物が固溶していることで酸化マグネシウムのバンドギャップが狭められ、励起確率が向上し、電子放出が促進されるためである。当該結晶酸化マグネシウム層を形成するには、本発明の固溶体粒子を、スプレー法や静電塗布法などによって直接、前記保護膜に付着させるようにしてもよいし、固溶体粒子を含有するペーストを作製して、当該ペーストを前記保護膜に塗布、乾燥させるようにしてもよい。
また、PDPの背面板上の蛍光体中に混合したり、アドレス電極近傍の部位に配置することで、放電開始電圧を低下することもできる。
冷陰極管や外部電極蛍光ランプ、放電管等の電極部に配置する事でも、放電電圧を低下できる。更には、有機ELや無機ELの電荷注入部の界面に配置する事でも、駆動電圧を低下できる。
PDP、冷陰極管、外部電極蛍光ランプ、放電管の蛍光体に混合する事で、ガス放電で生成する励起光を、より蛍光体が吸収しやすい波長の光に変換し、発光効率を向上させる事もできる。
更に、液晶ディスプレイのバックライトとして用いられている、冷陰極管の電極表面に配置したり、外部電極蛍光ランプの電極を配置した放電管内部に配置する事で、陰極降下電圧を低減させ、駆動電圧を下げる事ができる。また、高圧水銀放電管やメタルハライド放電管等、アーク放電を利用した高輝度放電管の電極部に配置する事でも、放電電圧を低下できる。更には、有機ELデバイスの電荷注入層界面に配置する事でも、電荷注入を促進でき、発光効率を高められる可能性がある。また、ZnSからなる発光層と誘電体層の界面部分に配置する事で、無機ELの駆動電圧を低下できる。
また、電界放出ディスプレイ(FED)の電子放出部に配置する事でも、低電圧でより多くの電子を放出する為、効率を向上できる。その他、電子放出や電荷注入を行うデバイスについても、電子放出部位に配置する事で、駆動電圧を低減し、効率を改善できる。
本発明の固溶体粒子は、真空紫外線を吸収し、蛍光体の励起効率の高い260〜330nmの波長の光に変換できる為、PDP、冷陰極管、外部電極蛍光ランプ、放電管等の蛍光体に混合して蛍光体層を形成するか、本発明品の粒子層を形成した後、その上に蛍光体層を形成する事で、ガス放電で生成する励起光を、より蛍光体が吸収しやすい波長の光に変換し、発光効率を向上させる事ができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(アルミニウム、スカンジウム又はフッ素濃度の測定法)
ICP発光分析装置(商品名:SPS−5100、セイコーインスツルメンツ製)を使用して試料を酸に溶解したのち測定した。
(固溶元素量の測定方法)
蛍光X線分析装置(商品名:ZSX100e,リガク製)を用い、試料をビードに溶解したのち測定した。
(フォトルミネッセンスの測定法)
真空チャンバーに、172nmの励起光を発するXeエキシマランプと、計測波長範囲が200〜1000nmの分光検出器を具備する、フォトルミネッセンス測定装置を使用した。試料を充填した試料セルを、真空チャンバー内の所定位置に設置後、真空チャンバー内の圧力が1.0×10−1Pa以下になるまで減圧後、計測位置に移動させ、励起光を1000ms照射することで、試料から放射された発光の発光スペクトルを測定した。
発光スペクトルから、230〜330nmにあるピークトップの波長を読み取った。ピーク強度は、ピークトップの強度を、980nmにある励起光ランプの反射ピークの強度で除した、相対強度として求めた。
(粉末法X線回折の測定法)
X線回折装置(商品名:RINT−Ultima III、リガク製)を使用して、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折法により酸化マグネシウム粉末を測定した。
(結晶子経の測定方法)
粉末X線回折法を用いて測定し、Scherrer式で算出した。
実施例1
塩化マグネシウム(MgCl)水溶液に水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を反応させて、水酸化マグネシウム(Mg(OH))スラリーを得た。最終生成物である酸化マグネシウム固溶体粉末に、マグネシウムに対して0.024モル%程度のアルミニウムが含まれるよう、この反応時に、適量の塩化アルミニウム(AlCl)六水塩(関東化学社製)を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に溶解させたものを添加した。
この水酸化マグネシウムスラリーをイオン交換水でスラリー濃度75g/Lに希釈し、希釈した水酸化マグネシウムスラリー30Lを100〜150rpmの速度で攪拌し、水蒸気を吹き込み、液温60℃に調整した。次に、液温を60℃に保持しながら、タンクの下部からCO濃度100容量%の炭酸ガスを3/4当量吹き込み、一部を塩基性炭酸マグネシウムに変換した。
次いで、このスラリーを濾過し、得られたケーキをイオン交換水で水洗した。この後、当該ケーキを120℃で10時間乾燥機にて乾燥し、前駆体を得た。
次に、この水酸化マグネシウムと塩基性炭酸マグネシウムの混合物である前駆体に、酸化亜鉛(純度99.99%、高純度化学研究所製)を、最終生成物である酸化マグネシウム固溶体粉末に30モル%の酸化亜鉛が含まれるような量で添加した。得られた混合物を、大気雰囲気で雰囲気ガスの流入のない閉鎖式の電気炉にて、0.01MPa以上の炉内圧力を保持した状態で、昇温速度6℃/minで1400℃まで加熱し、同温度で2時間保持することによって焼成し、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を得た。
固溶体粉末中のアルミニウム濃度を測定したところ、80ppmであった。
得られた酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末について、フォトルミネッセンスを測定して得た発光スペクトルを図1に示す。フォトルミネッセンス発光ピークの波長は315nmであり、波長980nm近傍の励起光ランプの反射ピークの強度に対する波長260〜330nmの範囲にあるフォトルミネッセンス発光ピークの強度の比は0.47であった。
また、得られた酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体の粉末法X線回折測定結果を図2に示す。図2より、実施例1で得られた酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末では、酸化マグネシウムのNaCl型結晶系に由来する回折線のみが検出され、酸化亜鉛の結晶系に由来する回折線が検出されなかったことから、酸化亜鉛が酸化マグネシウムに完全固溶していることが分かる。
実施例2
酸化亜鉛の配合量が10モル%であること以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
実施例3
酸化亜鉛の配合量が20モル%、酸化マグネシウム前駆体を水酸化マグネシウムのみとしたこと以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
実施例4
水酸化マグネシウムと塩基性炭酸マグネシウムの混合物である前駆体に、固溶体粉末中のマグネシウムに対して0.037モル%程度のアルミニウムが含まれるように、塩化アルミニウム六水塩を適量使用し、酸化亜鉛の配合量が35モル%であること以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
実施例5
酸化亜鉛の配合量が40モル%であること以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
実施例6
水酸化マグネシウムと塩基性炭酸マグネシウムの混合物である前駆体に、固溶体粉末中のマグネシウムに対して0.05モル%程度のスカンジウムが含まれるよう、塩化アルミニウム六水塩の代わりに適量の塩化スカンジウム(純度99.9%、高純度化学研究所製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化スカンジウム固溶体粉末を合成した。
実施例7
水酸化マグネシウムと塩基性炭酸マグネシウムの混合物である前駆体に、固溶体粉末中のマグネシウムに対して0.015モル%程度のアルミニウムが含まれるように、塩化アルミニウム六水塩を適量使用した以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
実施例8
酸化マグネシウム前駆体を水酸化マグネシウムのみとし、固溶体粉末中のマグネシウムに対して0.072モル%程度のアルミニウムが含まれるように、塩化アルミニウム六水塩を適量使用した以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
実施例9
水酸化マグネシウムと塩基性炭酸マグネシウムの混合物である前駆体に、固溶体粉末中のマグネシウムに対して0.300モル%程度のアルミニウムが含まれるように、塩化アルミニウム六水塩を適量使用した以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
比較例10
前駆体合成時に塩化アルミニウム六水塩を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
比較例1
酸化亜鉛を添加しない以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム粉末を得た。
比較例2
前駆体合成時に塩化アルミニウム六水塩を添加せず、被焼成原料の総量に対して200ppm程度のフッ素が含まれるよう、フッ化マグネシウム(MgF)を混合して焼成した以外は、比較例1と同様にして、酸化マグネシウム粉末を合成した。
比較例3
酸化亜鉛が30モル%になるよう配合した以外は、比較例2と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末を合成した。
比較例4
酸化亜鉛の配合量が60モル%であること以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛粉末を合成した。
得られた酸化マグネシウム−酸化亜鉛粉末の粉末法X線回折測定結果を図3に示す。図3より、比較例4で得られた酸化マグネシウム−酸化亜鉛粉末では、酸化マグネシウムのNaCl型結晶系に由来する回折線に加えて、酸化亜鉛の結晶系に由来する回折線が検出されており、酸化マグネシウムと酸化亜鉛が完全固溶していないことが分かる。
比較例5
酸化亜鉛の代わりに、適量の酸化ニッケル(NiO、関東化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化ニッケル固溶体粉末を合成した。
得られた酸化マグネシウム−酸化ニッケル固溶体粉末の粉末法X線回折測定結果を図4に示す。図4より、比較例5で得られた酸化マグネシウム−酸化ニッケル固溶体粉末では、酸化マグネシウムのNaCl型結晶系に由来する回折線のみが検出され、酸化ニッケルの結晶系に由来する回折線が検出されなかったことから、酸化ニッケルが酸化マグネシウムに完全固溶していることが分かる。
比較例6
酸化亜鉛の代わりに、適量の酸化コバルト(Co、高純度化学研究所製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化コバルト固溶体粉末を合成した。
比較例7
酸化亜鉛の代わりに、適量の酸化クロム(Cr、関東化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化クロム固溶体粉末を合成した。
比較例8
酸化亜鉛が固溶しないように、酸化マグネシウム前駆体の変わりに、酸化マグネシウム粉末を使用し、焼成温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛焼結粉末を合成した。
比較例9
酸化亜鉛が固溶しないように、焼成雰囲気を大気雰囲気化で雰囲気ガスの流出入がある開放系にし、焼成温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシウム−酸化亜鉛焼結粉末を合成した。
実施例1〜及び比較例1〜10で得られた粉末の化学組成、並びに、フォトルミネッセンスにおける発光ピークの波長、及び波長980nm近傍の励起光ランプの反射ピークの強度に対する波長230〜330nmの範囲にあるフォトルミネッセンス発光ピークの強度の比を表1に示す。
Figure 0005174634
表1より、実施例1〜で得られた、亜鉛酸化物が1〜45モル%の量で固溶している酸化マグネシウム−酸化亜鉛固溶体粉末は、波長260〜330nmの範囲に十分な強度のフォトルミネッセンス発光ピークを有していることが分かる。
実施例1で得た結晶粒子について測定したフォトルミネッセンスの発光スペクトル 実施例1で得た粉末について測定した粉末法X線回折チャート 比較例4で得た粉末について測定した粉末法X線回折チャート 比較例5で得た粉末について測定した粉末法X線回折チャート

Claims (6)

  1. 波長260〜330nmの範囲にフォトルミネッセンス発光ピークを有し、周期表第IIB族元素を酸化物換算で1〜45モル%の含量で固溶しており、さらに、Al及び/又はScを50〜10000ppm含有することを特徴とする酸化マグネシウム固溶体粒子。
  2. 周期表第IIB族元素がZnである、請求項1記載の酸化マグネシウム固溶体粒子。
  3. 波長980nm近傍の励起光ランプの反射ピークの強度に対する波長260〜330nmの範囲にあるフォトルミネッセンス発光ピークの強度の比が、0.05以上である、請求項1又は2に記載の酸化マグネシウム固溶体粒子。
  4. 結晶子経が600Å以上である、請求項1〜のいずれか記載の酸化マグネシウム固溶体粒子。
  5. 請求項1〜のいずれか記載の酸化マグネシウム固溶体粒子を製造する方法であって、周期表第IIB族元素の酸化物、及び/又は、酸化物前駆体の存在下で、Al及び/又はScを含む酸化マグネシウム前駆体を焼成する工程を含むことを特徴とする製造方法。
  6. 焼成工程を、雰囲気ガスの流出入が実質的にない密閉式の電気炉、又は、密閉できる坩堝の内部で行う、請求項記載の製造方法。
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