JPWO2006001380A1 - 物質の製造法 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、グルタミンシンテターゼアデニリルトランスフェラーゼ(GlnE蛋白質)およびグルタミンシンテターゼ調節蛋白質PIIの活性が低下または喪失し、かつL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、および該微生物を用いたL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質の製造法が提供される。

Description

本発明は、L−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、および該微生物を用いたL−グルタミンまたは該物質の製造法に関する。
エシェリヒア属に属する微生物などにおいて、L−グルタミンは自身が蛋白質合成の基質であるとともに、プリンやピリミジンの核酸およびL−アルギニン、L−ヒスチジン、L−トリプトファンおよびL−アスパラギンなどのアミノ酸の生合成において、窒素の供給基質となっている。
一方、L−グルタミンの生合成はglnA遺伝子にコードされるグルタミンシンテターゼ(GS)によって行われるが、GS活性は非常に厳密かつ複雑な制御を受けることが知られている。すなわちGSはアデニリル化されることで活性を負に調節されている。このアデニリル化および脱アデニリル化はglnE遺伝子にコードされるグルタミンシンテターゼアデニリルトランスフェラーゼ(以下、GlnE蛋白質と称す)によって触媒され、どちらの方向を触媒するかはさらにglnB遺伝子にコードされるグルタミンシンテターゼ調節蛋白質PII(PII regulatory protein for glutamine synthetase。以下、GlnB蛋白質と称す)によって決定される。GlnB蛋白質がウリジリル化されている場合はGlnE蛋白質によるGSの脱アデニリル化を促進し、逆にGlnB蛋白質がウリジリル化されていない場合はGlnE蛋白質によるGSのアデニリル化を促進する。GlnB蛋白質のウリジリル、脱ウリジリル化はglnD遺伝子にコードされる蛋白質によって決定される。L−グルタミンは脱ウリジリル化を促進するため、GSはアデニリル化されて活性が低下し、L−グルタミンの合成が低下する調節が働く。一方、2−オキソグルタル酸はGlnB蛋白質のウリジリル化を促進するため、上記と逆のスキームによりL−グルタミン合成が促進される(非特許文献1および2)。
上記した複雑な調節機構を解除することによりL−グルタミンを発酵生産する試みがなされている。特許文献1には、GSのアデニリル化部位をアデニリル化されないように改変し、かつglnA遺伝子の発現を強化することでL−グルタミンを生成、蓄積するエシェリヒア・コリが取得されたとの記載はあるが、その生産量は1.3g/Lにすぎない。
また、グルタミン生産菌としては、glnE遺伝子が欠損したコリネグルタミクム・フラバム(特許文献2)、glnA遺伝子を改変しかつgdh遺伝子の発現を強化したコリネグルタミクム・フラバム(特許文献2)、L−アルギニン生産菌としては、argA遺伝子を導入したエシェリヒア・コリ(特許文献3)など、L−トリプトファン生産菌としては、トリプトファンオペロン、aroG遺伝子およびserA遺伝子を導入したエシェリヒア・コリ(特許文献4)など、L−ヒスチジン生産菌としては、アミノキノリン耐性を付与したエシェリヒア・コリ(特許文献5)など、核酸生産菌としては、5’−イノシン酸を生産するpurAdeoDpurRaddgskeddxapAushAおよびaphの各遺伝子が欠損し、脱感作型purF遺伝子の発現を強化したエシェリヒア・コリ(特許文献6)など、5’−グアニル酸を生産するpurAdeoDpurRaddgskeddxapAushAおよびaphの各遺伝子を欠損し、脱感作型purF遺伝子およびguaAB遺伝子の発現を強化したエシェリヒア・コリ(特許文献6)などが知られているが、GlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下もしくは喪失した微生物であり、かつL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、および該微生物を用いたL−グルタミンまたは該物質の製造法は知られていない。
E.coli and Salmonella,Second Edition(1996) FEMS Microb.Lett.,201,91−98(2001) 特開2003−164297号 特開2002−300887号 特開昭57−5693号 米国特許第5,939,295号 特開2001−86998号 特開2002−355087号
本発明の目的は、L−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、および該微生物を用いたL−グルタミンまたは該物質の製造法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(10)に関する。
(1)グルタミンシンテターゼアデニリルトランスフェラーゼ(以下、GlnE蛋白質と称す)およびグルタミンシンテターゼ調節蛋白質PII(PII regulatory protein for glutamine synthetase。以下、GlnB蛋白質と称す)の活性が低下または喪失し、かつL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物。
(2)エシェリヒア属に属する微生物が野生型のGlnE蛋白質をコードする遺伝子(以下、glnE遺伝子と称す)、および野生型のGlnB蛋白質をコードする遺伝子(以下、glnB遺伝子と称す)の塩基配列中に塩基の欠失、置換または付加がある該遺伝子を有する微生物である、上記(1)の微生物。
(3)エシェリヒア属に属する微生物がエシェリヒア・コリである、上記(1)または(2)の微生物。
(4)L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質がアミノ酸または核酸である、上記(1)〜(3)のいずれか1つの微生物。
(5)アミノ酸がL−アルギニン、L−トリプトファン、L−ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群よりえらばれるアミノ酸である、上記(4)の微生物。
(6)核酸がアデノシン、イノシン、グアノシン、キサントシン、シチジン、ウリジン、チミジン、5’−アデニル酸、5’−イノシン酸、5’−グアニル酸、5’−シチジル酸、5’−キサンチル酸、5’−ウリジル酸および5’−チミジル酸からなる群よりえらばれる核酸である、上記(4)の微生物。
(7)上記(1)〜(3)のいずれか1つの微生物を培地に培養し、該培地中にL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積させ、該培地からL−グルタミンまたは該物質を採取することを特徴とするL−グルタミンまたは該物質の製造法。
(8)L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質がアミノ酸または核酸である、上記(7)の製造法。
(9)アミノ酸がL−アルギニン、L−トリプトファン、L−ヒスチジン、L−グルタミン酸からなる群よりえらばれるアミノ酸である、上記(8)の製造法。
(10)核酸がアデノシン、イノシン、グアノシン、キサントシン、シチジン、ウリジン、チミジン、5’−アデニル酸、5’−イノシン酸、5’−グアニル酸、5’−シチジル酸、5’−キサンチル酸、5’−ウリジル酸および5’−チミジル酸からなる群よりえらばれる核酸である、上記(8)の製造法。
本発明により、L−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、および該微生物を用いたL−グルタミンまたは該物質を製造する方法が提供される。
1.GlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下または喪失したエシェリヒア属に属する微生物とその調製
GlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下または喪失したエシェリヒア属に属する微生物は、既存のエシェリヒア属に属する微生物が有するglnE遺伝子またはglnB遺伝子欠損変異をP1形質導入[J.H.Miller,Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Lab.(1972)]によって1種のエシェリヒア属に属する微生物に集積する方法、UV照射などの変異処理後、GlnE蛋白質またはGlnB蛋白質の活性が低下または喪失した菌株を選択する方法、またはエシェリヒア属に属する微生物の染色体DNA上のglnE遺伝子およびglnB遺伝子の塩基配列に、塩基の欠失、置換または付加を導入する方法などにより取得することができる。ここで、glnE遺伝子およびglnB遺伝子は、それぞれGlnE蛋白質またはGlnB蛋白質をコードする塩基配列にプロモーター配列などの該遺伝子の発現を調節する領域を含む塩基配列が付加した配列よりなる。
本発明においてGlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下したエシェリヒア属に属する微生物とは、上記変異を導入することにより、該変異導入前の株(親株)に比べ、GlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下している微生物であり、好ましくは80%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下に低下した微生物をいう。GlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性は、公知の方法により測定することができる。
微生物の染色体DNAの遺伝子に塩基の欠失、置換または付加を導入する方法としては、相同組換えを利用した方法をあげることができる。一般的な相同組換えを利用した方法としては、塩基の欠失、置換または付加が導入された変異遺伝子を、塩基の欠失等を導入したい宿主細胞内では自立複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドDNAと連結して作製できる相同組換え用プラスミドを用いる方法をあげることができ、好ましい相同組換えを利用した方法としてはラムダファージの相同組換え系を利用して、塩基の欠失、置換または付加を導入する方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,6641−6645(2000)]をあげることができる。
該相同組換え用プラスミドを常法により宿主細胞に導入した後、薬剤耐性を指標にして相同組換えによって染色体DNA上に該相同組換え用プラスミドが組込まれた形質転換株を選択する。得られた形質転換株を該薬剤を含有しない培地で数時間〜1日間培養した後、該薬剤含有寒天培地、および該薬剤非含有寒天培地に塗布し、前者の培地で生育せず、後者の培地で生育できる株を選択することで、染色体DNA上において2回目の相同組換えが生じた株を取得することができる。染色体DNA上の欠失等を導入した遺伝子が存在する領域の塩基配列を決定することで、染色体DNA上の目的遺伝子に塩基の欠失、置換または付加が導入されたことを確認することができる。また、複数の遺伝子に効率よく塩基の欠失、置換または付加を導入する相同組換えを利用した方法としては、直鎖DNAを用いた方法をあげることができる。
具体的には、塩基の欠失、置換または付加を導入したい遺伝子を含有する直鎖DNAを細胞内に取り込ませ、染色体DNAと導入した直鎖DNAとの間で相同組換えが起こさせる方法である。本方法は、直鎖DNAを取り込む能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、好ましくはエシェリヒア・コリ、より好ましくはλファージ由来の組換えタンパク質群(Red組換え系)を発現しているシェリヒア・コリに用いることができる。
λRed組換え系を発現しているエシェリヒア・コリとしては、λRed組換え系遺伝子を有するプラスミドDNAであるpKD46[エシェリヒア・コリジェネティック ストック センター(米国エール大学)より入手可能]を保有するエシェリヒア・コリJM101株等をあげることができる。
相同組換えに用いられるDNAとしては、
(a)塩基の欠失、置換または付加の導入対象である染色体DNA上の領域の両端の外側に存在するDNAと相同性を有するDNAを、薬剤耐性遺伝子の両端に有する直鎖DNA、
(b)塩基の欠失、置換または付加の導入対象である染色体DNA上の領域の両端の外側に存在するDNAと相同性を有するDNAが連結した直鎖DNA、
(c)薬剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子からなるDNAの両端に、塩基の欠失、置換または付加の導入対象である染色体DNA上の領域の両端の外側に存在するDNAと相同性を有するDNAを有する直鎖DNA、および
(d)上記(a)の直鎖DNAにおいて、薬剤耐性遺伝子と染色体DNA上の領域の両端の外側に存在するDNAと相同性を有するDNAの間に、さらに酵母由来のFlp recombinase〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,82,5875(1985)〕が認識する塩基配列を有するDNA、
をあげることができる。
薬剤耐性遺伝子としては、宿主微生物が感受性を示す薬剤に対し、薬剤耐性を付与する薬剤耐性遺伝子であれば、いずれの薬剤耐性遺伝子も使用することができる。宿主微生物にエシェリヒア・コリを用いた場合は、薬剤耐性遺伝子としては、例えば、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ゲンタマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子およびアンピシリン耐性遺伝子等をあげることができる。
ネガティブセレクションに用いることができる遺伝子とは、宿主微生物で該遺伝子を発現させたとき、一定培養条件下においては、該微生物に致死的である遺伝子のことをいい、該遺伝子としては例えば、バチルス属に属する微生物由来のsacB遺伝子[Appl.Environ.Microbiol.,59,1361−1366(1993)]、およびエシェリヒア属に属する微生物由来のrpsL遺伝子[Genomics,72,99−104(2001)]等をあげることができる。
上記の直鎖DNAの両末端に存在する、置換または欠失の導入対象である染色体DNA上の領域の両端の外側に存在するDNAと相同性を有するDNAは、直鎖DNAにおいて、染色体DNA上の方向と同じ方向に配置され、その長さは10bp〜100bp程度が好ましく、20bp〜50bp程度がより好ましく、30〜40bp程度がさらに好ましい。
酵母由来のFlp recombinaseが認識する塩基配列とは、該蛋白質が認識し、相同組換えを触媒する塩基配列であれば、特に限定されないが、好ましくは配列番号9で表される塩基配列を有するDNA、および該DNAにおいて1個〜数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列を有し、かつ酵母由来のFlp recombinaseが認識し、相同組換えを触媒する塩基配列を有するDNAをあげることができる。
上記の相同性を有するDNAとは、上記直鎖DNAが、染色体DNA上の目的とする領域において、相同組換えが起こる程度の相同性を有するDNAであり、具体的な相同性としては、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%の相同性を有するDNAをあげることができる。
上記塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro.Natl.Acad.Sci.USA,90,5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol.,183,63(1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J.Mol.Biol.,215,403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
上記直鎖DNA断片は、PCRにより作製することができる。また上記直鎖DNAを含むDNAをプラスミド上にて構築した後、制限酵素処理にて目的の直鎖DNAを得ることもできる。
相同組換えを利用した微生物の染色体DNAに塩基の欠失、置換または付加を導入する、より具体的な方法としては、以下の方法1〜4をあげることができる。
方法1:上記(a)または(d)の直鎖DNAを宿主微生物に導入し、薬剤耐性を指標に該直鎖DNAが染色体DNA上に相同組換えにより挿入された形質転換株を選択する方法。
方法2:上記方法1により取得された形質転換株に、上記(b)の直鎖DNAを導入し、該方法により染色体DNA上に挿入された薬剤遺伝子を削除することにより、微生物の染色体DNA上の領域を置換または欠失させる方法。
方法3:
[1]上記(c)の直鎖DNAを宿主微生物に導入し、薬剤耐性を指標に該直鎖DNAが染色体DNA上に相同組換えにより挿入された形質転換株を選択する、
[2]染色体DNA上の置換または欠失の対象領域の両端の外側に位置するDNAと相同性を有するDNAを、染色体DNA上における方向と同一の方向で連結したDNAを合成し、上記[1]で得られた形質転換株に導入する、
[3]ネガティブセレクションに用いることができる遺伝子が発現する条件下において、上記[2]の操作を行った形質転換株を培養し、該培養において生育可能な株を、薬剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子が染色体DNA上から削除された株として選択する方法。
方法4:
[1]上記(d)の直鎖DNAを宿主微生物に導入し、薬剤耐性を指標に該直鎖DNAが染色体DNA上に相同組換えにより挿入された形質転換株を選択する、
[2]上記[1]で得られた形質転換株にFlp recombinase遺伝子発現プラスミドを導入し、該遺伝子を発現させた後、上記[1]で用いた薬剤に感受性である株を取得する方法。
上記方法で用いられる、直鎖DNAを宿主微生物に導入する方法としては、該微生物へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69,2110(1972)]、プロトプラスト法(特開昭63−248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res.,16,6127(1988)]等をあげることができる。
方法2または方法3[2]で用いられる直鎖DNAにおいて、該DNAの中央部付近に、染色体DNA上に挿入したい任意の遺伝子を組み込こんだ直鎖DNAを用いることにより、薬剤耐性遺伝子等を削除するのと同時に、任意の遺伝子を染色体DNA上に挿入することができる。
上記方法2〜4は、最終的に得られる形質転換株の染色体DNA上には薬剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子等の外来遺伝子を残さない方法である。よって、同一の薬剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子を用いて、該方法の操作を繰り返すことにより、容易に染色体DNA上の位置の異なる2以上の領域に塩基の欠失、置換または付加を有する微生物を製造することができる。
上記方法により取得されたGlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下もしくは喪失した微生物が、L−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有することは、該微生物を培地に培養し、該培地中に生成、蓄積するL−グルタミンまたは該物質を公知の方法、例えばHPLCを用いた分析またはバイオアッセイ等により容易に確認することができる。
上記方法により調製できるGlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が喪失し、かつL−グルタミンを生成、蓄積するエシェリヒア属に属する微生物としては、glnE遺伝子およびGlnB遺伝子が欠損しているエシェリヒア・コリJGLBE1をあげることができる。
上記したGlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下または喪失したエシェリヒア属に属する微生物は、L−グルタミンを生成、蓄積する能力を有するだけでなく、L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力も有する。
L−グルタミンからから供給される窒素を利用して生合成される物質としてはアミノ酸および核酸などをあげることができ、アミノ酸としては、好ましくはL−アルギニン、L−ヒスチジン、L−トリプトファンおよびL−グルタミン酸など、核酸としては、好ましくはアデノシン、イノシン、グアノシン、キサントシン、シチジン、ウリジン、チミジン、5’−アデニル酸、5’−イノシン酸、5’−グアニル酸、5’−シチジル酸、5’−キサンチル酸、5’−ウリジル酸および5’−チミジル酸などをあげることができる。
GlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性が低下または喪失し、かつL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物としては、エシェリヒア・コリJGLBE1をあげることができる他、上記方法で得られる微生物に、さらに、
(a)該物質の生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除する方法、
(b)該物質の生合成に関与する酵素の少なくとも1つを発現強化する方法、
(c)該物質の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも1つのコピー数を増加させる方法、
(d)該物質の生合成経路から該アミノ酸以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少なくとも1つを弱化または遮断する方法、および
(e)野生型株に比べ、該物質のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する方法、などの方法を単独または組み合わせて用いて取得される微生物をあげることができる。
該物質がアミノ酸である場合、上記(a)については、例えばAgric.Biol.Chem.,43,105−111(1979)、J.Bacteriol.,110,761−763(1972)およびAppl.Microbiol.Biotechnol.,39,318−323(1993)など、上記(b)については、例えばAgric.Biol.Chem.,43,105−111(1979)およびJ.Bacteriol.,110,761−763(1972)など、上記(c)については、例えばAppl.Microbiol.Biotechnol.,39,318−323(1993)およびAgric.Biol.Chem.,39,371−377(1987)など、上記(d)については、例えばAppl.Environ.Micribiol.,38,181−190(1979)およびAgric.Biol.Chem.,42,1773−1778(1978)など、上記(e)については、例えばAgric.Biol.Chem.,36,1675−1684(1972)、Agric.Biol.Chem.,41,109−116(1977)、Agric.Biol.Chem.,37,2013−2023(1973)およびAgric.Biol.Chem.,51,2089−2094(1987)などに記載されている。また、該物質が核酸である場合、上記(a)〜(e)の具体的な方法は、Biotechnology second,completely revised eddition,ed.H.J.Rehm,G.Reed,A.Puhler,and P.Stadler,vol.6,“products of primary metabolism”ed.M.Roehr,VCH verlagsgesellschaft mbH,Weinheim(1996)および特開2002−355087号などに記載されている。
また、L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生産する能力を有することがすでに知られているエシェリヒア属に属する微生物のGlnE蛋白質およびGlnB蛋白質の活性を上記した方法により低下または喪失させる方法によって得られる微生物も本発明の微生物としてあげることができる。
L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生産する能力を有する公知のエシェリヒア属に属する微生物としては、L−アルギニン生産菌であるエシェリヒア・コリ(特開昭57−5693号)など、L−トリプトファン生産菌であるエシェリヒア・コリ(米国特許第5,939,295号)、L−ヒスチジン生産菌であるエシェリヒア・コリ(特開2001−86998)、L−グルタミン酸生産菌であるエシェリヒア・コリ(特開平5−244970)、5’−イノシン酸生産菌である、エシェリヒア・コリ(特開2002−355087)、5’−グアニル酸生産菌であるエシェリヒア・コリ(特開2002−355087)などをあげることができる。
2.本発明の製造法
上記1の方法で調製することができるエシェリヒア属に属する微生物を培地に培養し、該培地中にL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積させ、該培地からL−グルタミンまたは該物質を採取することによりL−グルタミンまたは該物質を製造することができる。
L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質としては、上記1の物質をあげることができる。
本発明の製造法で用いられる培地は、炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンなど本発明の微生物の増殖、およびL−グルタミンまたはL−グルタミンからから供給される窒素を利用して生合成される物質の生合成に必要な栄養素を含む限り、合成培地、天然培地のいずれでもよい。
炭素源としては、使用する微生物の資化できる炭素源であればいずれでもよく、グルコース、フラクトースのような糖質、エタノール、グリセロールのようなアルコール類、酢酸のような有機酸類などをあげることができる。
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、アミン等の窒素化合物、ペプトン、大豆加水分解物のような天然窒素源などをあげることができる。
無機塩としては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、炭酸カリウムなどをあげることができる。
ビタミンとしては、ビオチンやチアミンなどをあげることができる。さらに必要に応じて本発明の微生物が生育に要求する物質(例えばアミノ酸要求性の微生物であれば要求アミノ酸)を添加することができる。
培養は、好ましくは振とう培養や通気攪拌培養のような好気的条件で行う。培養温度は20〜50℃、好ましくは20〜42℃、より好ましくは28〜38℃である。培養pHは5〜9、好ましくは6〜7.5である。培養時間は、5時間〜5日間、好ましくは16時間〜3日間である。
培地中に蓄積したL−グルタミンまたはL−グルタミンからから供給される窒素を利用して生合成される物質は、通常の精製方法によって採取することができる。例えばL−グルタミンは、培養後、遠心分離などで菌体や固形物を除いたあと、イオン交換、濃縮、結晶分別によって採取することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
glnE遺伝子、glnB遺伝子が欠損した微生物の作製
エシェリヒア・コリの染色体DNA上の特定遺伝子の欠損は、ラムダファージの相同組換え系を利用した方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,97,6641−6645(2000)]に従って行った。なお、以下に示すプラスミドpKD46、pKD3およびpCP20は、エシェリヒア・コリジェネティック ストック センター(米国エール大学)から該プラスミドを保持するエシェリヒア・コリ株を入手し、当該株から公知の方法により抽出して用いた。
(1)遺伝子欠損用薬剤耐性遺伝子断片のクローニング
エシェリヒア・コリK12株のglnEglnBの各遺伝子の塩基配列は既に明らかにされている[Science,5331,1453−1474(1997)]。報告されている塩基配列に基づいてパーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成機を用いて、glnE遺伝子欠損用のプライマーDNAとして配列番号1および2で表される塩基配列からなるDNA、glnB遺伝子欠損用のプライマーDNAとして配列番号3および4で表される塩基配列からなるDNAを合成した。合成したプライマーDNAは、各々の欠失の標的遺伝子の上流と下流に位置する36bpからなる塩基配列に基づき設計した。
上記合成DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、pKD3DNAを鋳型としてPCRを行った。PCRはプラスミドDNA 10ng、プライマー各0.5μmol/L、PfuDNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)2.5units、Pfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液(ストラタジーン社製)4μL、deoxyNTP各200μmol/Lを含む反応液40μLを用い、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間からなる工程を30回繰り返すことにより行った。
該反応液の1/10量をアガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅していることを確認後、残りの反応液と等量のTE[10mmol/L Tris−HCl(pH8.0)、1mmol/L EDTA]飽和フェノール/クロロホルム(1vol/1vol)溶液を添加し、混合した。
該混合液を遠心分離後、得られた上層に2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、−80℃に30分間放置した。該溶液を遠心分離してDNAを沈殿させた後、該DNAを20μLのTEに溶解した。上記操作により、glnE遺伝子欠損用、およびglnB遺伝子欠損用のクロラムフェニコール耐性遺伝子断片をそれぞれ取得した。
(2)染色体DNA上のglnE遺伝子が欠損したエシェリヒア・コリJM101株の作製
エシェリヒア・コリJM101株をpKD46で形質転換した後、100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地上でpKD46を保持するエシェリヒア・コリJM101株(以下、エシェリヒア・コリJM101/pKD46と称す)を選択した。10mmol/LのL−アラビノースと50μg/mlのアンピシリン存在下で培養したエシェリヒア・コリJM101/pKD46を、電気パルス法によりglnE遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子断片を用いて形質転換し、JM101株の染色体DNA上のglnE遺伝子にクロラムフェニコール耐性遺伝子が挿入され、glnE構造遺伝子が欠損するように組換えられた株を25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地上で選択した。
取得したクロラムフェニコール耐性株を、25mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地にレプリカし、42℃で保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた各コロニーを25mg/Lのクロラムフェニコール含むLB寒天培地、および100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地にレプリカし、クロラムフェニコール耐性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。次にこのpKD46脱落株をpCP20で形質転換し、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性株を薬剤無添加のLB寒天培地にレプリカし、42℃で保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた各コロニーを薬剤無添加のLB寒天培地、25mg/Lのクロラムフェニコール含むLB寒天培地、および100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地にレプリカし、クロラムフェニコール感受性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。ここで得られた各株からそれぞれ染色体DNAを常法(生物工学実験書、日本生物工学会編97〜98頁、培風館、1992年)により調製した。glnE遺伝子の内部配列を元に設計した配列番号5および6で表される塩基配列からなるプライマーDNAを用いて、コロニーPCRを行った。
コロニーPCRは、200μlのピペットチップをコロニーに触れさせることで取得した量の菌体、プライマー各0.5μmol/L、PfuDNAポリメラーゼ2.5units、Pfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液4μL、deoxyNTP各200μmol/Lを含む反応液40μlを用い、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間からなる工程を30回繰り返すことにより行った。PCRに供した株のうちで遺伝子増幅の見られなかった株は、glnE遺伝子欠損株であることを確認し、エシェリヒア・コリJGLE1と命名した。
また、上記と同様の操作により、エシェリヒア・コリJM101/pKD46をglnB遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子断片を用いて形質転換し、glnB遺伝子が欠損したエシェリヒア・コリを取得し、エシェリヒア・コリJGLB1と命名した。
(3)染色体DNA上のglnE遺伝子およびglnB遺伝子が欠損したエシェリヒア・コリJM101株の作製
上記(2)で得られたエシェリヒア・コリJGLE1株をpKD46で形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、30℃で一晩培養することによりpKD46を保持するエシェリヒア・コリJGLE1株(以下、エシェリヒア・コリJGLE1/pKD46と称す)を取得した。上記(2)と同様の操作により、エシェリヒア・コリJGLE1/pKD46をglnB遺伝子欠損用クロラムフェニコール耐性遺伝子断片を用いて電気パルス法により形質転換し、染色体DNA上のglnB遺伝子が欠損するように組換えられた株を取得した。glnB遺伝子の内部配列を元に設計した配列番号7および8で表される塩基配列からなるプライマーDNAを用いて、上記(2)の条件下でコロニーPCRを行った。該PCRにより遺伝子増幅が見られなかった株は、glnB遺伝子欠損株であることを確認し、エシェリヒア・コリJGLBE1と命名した。
glnE遺伝子、glnB遺伝子が欠損した微生物を用いたL−グルタミンの発酵生産(1)
エシェリヒア・コリJM101、実施例1で得られたエシェリヒア・コリJGLB1、エシェリヒア・コリJGLE1およびエシェリヒア・コリJGLBE1をそれぞれ8mlのLB培地[10g/lバクトトリプトン(ディフコ社製)、5g/lイーストエキス(ディフコ社製)、5g/l塩化ナトリウム]が入っている試験管に接種し、28℃で17時間培養した。該培養液をそれぞれ生産培地[16g/Lリン酸水素二カリウム、14g/Lリン酸二水素カリウム、5g/L硫酸アンモニウム、1g/Lクエン酸(無水)、5g/Lカザミノ酸(ディフコ社製)、10g/Lグルコース、10mg/LビタミンB、25mg/L硫酸マグネシウム・7水和物、50mg/L硫酸鉄・7水和物、pH7.2に10mol/Lの水酸化ナトリウムで調整、グルコース、ビタミンB、硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸鉄・7水和物は別個に蒸煮後添加した]が8ml入っている試験管に1%接種し、30℃で24時間培養した後、該培養液を遠心分離し培養上清を取得した。
培養上清中の生成物をF−moc化法で誘導体化した後にHPLC法により分析した。HPLC法による分析は、分離カラムにODS−HG5(野村化学社製)、溶離液としてA液(酢酸6ml/l、20%(v/v)アセトニトリル、トリエチルアミンにてpH4.8に調整)およびB液(酢酸6ml/l、70%(v/v)アセトニトリル、トリエチルアミンにてpH4.8に調整)を用い、分析開始後5分まではA液:B液=8:2、5分〜20分までは、20分に達したときにA液:B液=1:1になるようにリニアーグラジエントをかける条件で分析を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006001380
表1に示すように、glnE遺伝子またはglnB遺伝子の単独欠損株であるエシェリヒア・コリJGLB1およびエシェリヒア・コリJGLE1に比べ、glnE遺伝子およびglnB遺伝子が欠損しているエシェリヒア・コリJGLBE1は、培地中に著量のL−グルタミンを蓄積することがわかった。
glnE遺伝子およびglnB遺伝子が欠損した微生物を用いたL−グルタミンの発酵生産(2)
実施例1で得られたエシェリヒア・コリJGLBE1を50mlのLB培地が入っている300ml容の三角フラスコに接種し、28℃で17時間培養した。
該培養液を950mlのジャー培養用生産培地[7g/Lリン酸二水素カリウム、5g/L塩化アンモニウム、1g/Lクエン酸(無水)、5g/L酵母エキス(極東製薬工業社製)、10mg/L硫酸マンガン・7水和物、20g/Lグルコース、10mg/LビタミンB、2g/L硫酸マグネシウム・7水和物、0.2g/L硫酸鉄・7水和物、pH7.2に10mol/Lの水酸化ナトリウムで調整、グルコース、ビタミンB、硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸鉄・7水和物は別個に蒸煮後添加した]が入っている2Lのジャーファーメンターに1%接種した。培養中の培地pHは18%水酸化アンモニウムでpH7.0に保持し、培養温度30℃、撹拌速度900rpm、滅菌フィルターで除菌した圧縮空気を1.0vvmで通気しながら培養した。最初に添加したグルコースがなくなった後(24時間後)、滅菌した60%グルコース溶液を1時間あたり10〜13mlの速度で供給した。
50時間培養した後の培養液を実施例2と同様の方法で分析した結果、培養液中には8.0g/LのL−グルタミンが蓄積していた。
本発明により、L−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を効率よく製造することができる。
配列番号1−人工配列の説明:合成DNA
配列番号2−人工配列の説明:合成DNA
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA

Claims (10)

  1. グルタミンシンテターゼアデニリルトランスフェラーゼ(以下、GlnE蛋白質と称す)およびグルタミンシンテターゼ調節蛋白質PII(PII regulatory protein for glutamine synthetase。以下、GlnB蛋白質と称す)の活性が低下または喪失し、かつL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物。
  2. エシェリヒア属に属する微生物が野生型のGlnE蛋白質をコードする遺伝子、および野生型のGlnB蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列中に塩基の欠失、置換または付加がある該遺伝子を有する微生物である、請求項1記載の微生物。
  3. エシェリヒア属に属する微生物がエシェリヒア・コリである、請求項1または2記載の微生物。
  4. L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質がアミノ酸または核酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微生物。
  5. アミノ酸がL−アルギニン、L−トリプトファン、L−ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群より選ばれるアミノ酸である、請求項4記載の微生物。
  6. 核酸がアデノシン、イノシン、グアノシン、キサントシン、シチジン、ウリジン、チミジン、5’−アデニル酸、5’−イノシン酸、5’−グアニル酸、5’−シチジル酸、5’−キサンチル酸、5’−ウリジル酸および5’−チミジル酸からなる群より選ばれる核酸である、請求項4記載の微生物。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の微生物を培地に培養し、該培地中にL−グルタミンまたはL−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質を生成、蓄積させ、該培地からL−グルタミンまたは該物質を採取することを特徴とするL−グルタミンまたは該物質の製造法。
  8. L−グルタミンから供給される窒素を利用して生合成される物質がアミノ酸または核酸である、請求項7記載の製造法。
  9. アミノ酸がL−アルギニン、L−トリプトファン、L−ヒスチジンおよびL−グルタミン酸からなる群より選ばれるアミノ酸である、請求項8記載の製造法。
  10. 核酸がアデノシン、イノシン、グアノシン、キサントシン、シチジン、ウリジン、チミジン、5’−アデニル酸、5’−イノシン酸、5’−グアニル酸、5’−シチジル酸、5’−キサンチル酸、5’−ウリジル酸および5’−チミジル酸からなる群よりえらばれる核酸である、請求項8記載の製造法。
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