JP4576850B2 - 発酵法によるl−アルギニン又はl−リジンの製造法 - Google Patents
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Description
(1)L−アルギニン又はL−リジン生産能を有し、かつ、細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が増強されるように改変されたコリネ型細菌。
(2)グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節が解除されるように改変されたことを特徴とする(1)のコリネ型細菌。
(3)グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節の解除が、アデニリル化による活性調節が解除されたグルタミンシンテターゼを保持すること、細胞内のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ活性が低下したこと、細胞内のPIIたんぱく質活性が低下したこと、又は、窒素代謝制御たんぱく質を細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が上昇するように改変することのいずれか1つ又は2つ以上によるものである(2)の細菌。
(4)染色体上のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が破壊されたことを特徴とする(3)のコリネ型細菌。
(5)窒素代謝制御たんぱく質がamtR遺伝子産物であり、同遺伝子産物が正常に機能しないことによりグルタミンシンテターゼ活性が上昇した(3)のコリネ型細菌。
(6)染色体上のamtR遺伝子が破壊されたことを特徴とする(5)のコリネ型細菌。
(7)アルギニンリプレッサーが正常に機能しないように改変された(1)〜(6)のいずれかのコリネ型細菌。
(8)染色体上のアルギニンリプレッサーをコードする遺伝子が破壊されたことを特徴とする(7)のコリネ型細菌。
(9)(1)〜(8)のいずれかのコリネ型細菌を培地に培養し、該培地中にL−アルギニン又はL−リジンを生成蓄積させ、同培地からL−アルギニン又はL−リジンを採取することを特徴とするL−アルギニン又はL−リジンの製造法。
本発明において、「コリネ型細菌」とは、従来ブレビバクテリウム属に分類されていたが、現在コリネバクテリウム属に分類された細菌も含み(Int. J. Syst. Bacteriol., 41, 255(1981))、またコリネバクテリウム属と非常に近縁なブレビバクテリウム属細菌を含む。このようなコリネ型細菌の例として以下のものが挙げられる。
コリネバクテリウム・アセトグルタミカム
コリネバクテリウム・アルカノリティカム
コリネバクテリウム・カルナエ
コリネバクテリウム・グルタミカム
コリネバクテリウム・リリウム
コリネバクテリウム・メラセコーラ
コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス
コリネバクテリウム・ハーキュリス
ブレビバクテリウム・ディバリカタム
ブレビバクテリウム・フラバム
ブレビバクテリウム・インマリオフィラム
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム
ブレビバクテリウム・ロゼウム
ブレビバクテリウム・サッカロリティカム
ブレビバクテリウム・チオゲニタリス
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス
ブレビバクテリウム・アルバム
ブレビバクテリウム・セリヌム
ミクロバクテリウム・アンモニアフィラス
コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム ATCC13870
コリネバクテリウム・アセトグルタミカム ATCC15806
コリネバクテリウム・アルカノリティカム ATCC21511
コリネバクテリウム・カルナエ ATCC15991
コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13020, ATCC13032, ATCC13060
コリネバクテリウム・リリウム ATCC15990
コリネバクテリウム・メラセコーラ ATCC17965
コリネバクテリウム・エッフィシエンス AJ12340(FERM BP-1539)
コリネバクテリウム・ハーキュリス ATCC13868
ブレビバクテリウム・ディバリカタム ATCC14020
ブレビバクテリウム・フラバム ATCC13826, ATCC14067, AJ12418(FERM BP-2205)
ブレビバクテリウム・インマリオフィラム ATCC14068
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム ATCC13869
ブレビバクテリウム・ロゼウム ATCC13825
ブレビバクテリウム・サッカロリティカム ATCC14066
ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ATCC19240
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス ATCC6871、ATCC6872
ブレビバクテリウム・アルバム ATCC15111
ブレビバクテリウム・セリヌム ATCC15112
ミクロバクテリウム・アンモニアフィラス ATCC15354
University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, United States of America)より分譲を受けることができる。すなわち、各菌株毎に対応する登録番号が付与されており、この登録番号を利用して分譲を受けることができる。各菌株に対応する登録番号はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログに記載されている。また、AJ12340株は、1987年10月27日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許微生物寄託センター)(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にFERM BP-1539の受託番号でブダペスト条約に基づいて寄託されている。また、AJ12418株は、1989年1月5日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP-2205の受託番号でブダペスト条約に基づいて寄託されている。
L−アルギニン生産能を有するコリネ型細菌の具体例としては、下記のような菌株が挙げられる。
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12092(FERM P-7273)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11336(FERM P-4939)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11345(FERM P-4948)
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12430(FERM BP-2228)
AJ12092は、1983年9月29日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-7273の受託番号で寄託され、1999年10月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6906の受託番号で寄託されている。
AJ11336は、1979年4月25日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-4939の受託番号で寄託され、1999年9月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6893の受託番号で寄託されている。
AJ11345は、1979年4月25日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-4948の受託番号で寄託され、1999年9月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6894の受託番号で寄託されている。
AJ12430は、1988年11月26日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP-2228の受託番号で、ブダペスト条約に基づき国際寄託されている。
米国特許第4411997号)がある。
酵素活性の増強は、細胞内の該酵素活性が上昇するように同酵素をコードする遺伝子に変異を導入するか、又は同遺伝子を用いた遺伝子組換え技術を利用することによって、行うことができる。
通常、N-アセチルグルタメートシンターゼ等アルギニンの生合成系遺伝子の発現は、培地中のアルギニン濃度により顕著な阻害を受ける。コリネ型細菌では、いくつかのL−アルギニン生合成系酵素の生成が、L−アルギニンにより抑制されていることが調べられている。さらに、L−アルギニン生合成系酵素のいくつかは、L−アルギニンによる抑制を
受けるが、L−アルギニン蓄積量が向上したコリネ型細菌の変異株では、これらの酵素のL−アルギニンによる抑制が解除されていることが報告されている(Agric. Biol. Chem., 43(1), 105, 1979)。
本発明において、活性の低減の対象となるアルギニンリプレッサーは、前記アルギニンリプレッサーのアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
は80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
argR遺伝子の遺伝子破壊は、後述するglnE遺伝子の遺伝子破壊と同様にして行うことができる。
本発明のコリネ型細菌は、上記のようなL−アルギニン又はL−リジン生産能を有するコリネ型細菌であって、かつ、細胞内のグルタミンシンテターゼ(以下、「GS」ともいう)活性が増強されるように改変されたコリネ型細菌である。
本発明のコリネ型細菌の育種において、L−アルギニン又はL−リジン生産能の付与とGS活性の増強は、どちらを先に行ってもよい。
DNAを作製し、これをコリネ型細菌に導入して形質転換すればよい。
以下に、GSのアデニリル化による活性調節を解除する手段を例示する。
エシェリヒア・コリ等においては、GSのアデニリル化は、一般にグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ(以下、「ATase」ともいう)によって行われる(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1703-1710, (58) 1967)。コリネ型細菌細菌においても、GSは、グルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼによってアデニリル化されることによって不活性型に変換される(FEMS Microbiology Letters, 303-310,(173)1999)(FEMS Microbiology Letters 201 (2001)91-98) 。コリネ型細菌においては、Genebank
accession Y13221の配列に示されるglnA遺伝子産物の405位のチロシン残基がアデニリル化されることが示唆されている(FEMS Microbiology Letters, 303-310,(173)1999)。このチロシン残基を他のアミノ酸残基、例えばフェニルアラニン残基に置換するようにglnA遺伝子に変異を導入することによってGSのアデニリル化による不活性化を解除できる。
グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節は、細胞内のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ(ATase)活性を低下させることによっても、解除することができる。ここで、ATase活性の低下とは、同活性を完全に欠失することに加えて、本発明のコリネ型細菌のATase活性がコリネ型細菌の野生株又は非改変株のそれよりも低くなったことをいう。例えば、細胞当たりのATase分子の数が低下した場合や、ATase分子当たりのATase比活性が低下した場合などが該当する。また、比較対象となる野生型のコリネ型細菌とは、例えばブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869が挙げられる。
本発明において、活性の低減の対象となるATaseは、前記ATaseのアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
ノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつATase活性を有するものであってもよい。
プラスミド状で細胞内に保持される。次に、温度感受性複製起点が機能しない温度で培養すると、プラスミド上のglnEは、プラスミドとともに細胞から脱落する。そして、PCRまたはサザンハイブリダイゼーション等により、染色体上に欠失型glnEが残った株を選択することによって、glnEが破壊された株を取得することができる。
尚、遺伝子破壊に用いるglnE遺伝子は、コリネ型細菌が元々保持しているglnE遺伝子と相同組換えを起こす程度の相同性を有していれば、由来を特に制限されない。たとえば、マイコバクテリウム・ツバクロシスのATase(GenBank ACCESION Z70692)およびストレプトマイセス・セリカラーのATase(GenBank ACCESSION Y17736)は、コリネ型細菌のATaseとそれぞれ51.9%、33.4%の相同性を有している(特開2002-300887、EP1229121)。
また、細胞内のPIIたんぱく質の活性を低下させることによっても、GSのアデニリル化による不活性化を解除できる。ATaseによるGSのアデニリル化にはPIIたんぱく質も関与することが知られている。PIIたんぱく質とは、GS活性を調節するためのシグナル伝達たんぱく質であり、ウリジリルトランスフェラーゼ(UTase)によるウリジリル化を受けることが知られている。ウリジリル化されたPIIたんぱく質は、ATaseによるGSの脱アデニリル化を促進し、脱ウリジリル化されたPIIたんぱく質はATaseによるGSのアデニリル化を促進する。
PIIたんぱく質をコードする遺伝子としてブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのglnBが明らかにされている(EP1229121)。同遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を配列番号23に、同アミノ酸配列を配列番号24に示す。
本発明において、活性の低減の対象となるPIIたんぱく質は、前記PIIたんぱく質のアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
いに高い相同性を有し、そのようなアミノ酸における差異は、タンパク質の三次元構造に著しい影響を及ぼさない。したがって、本発明の変異型PIIたんぱく質は、PIIたんぱく質を構成する全アミノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつPIIたんぱく質活性を有するものであってもよい。
glnB遺伝子の遺伝子破壊は、前記glnE遺伝子の遺伝子破壊と同様にして行うことができる。
GSのアデニリル化による活性調節は、窒素代謝制御たんぱく質が正常に機能しないことによっても解除され得る。
ル化したPIIたんぱく質の増加により、ATaseによるGSの脱アデニリル化を促進する事によりGS活性が上昇することが知られている。
amtR遺伝子の遺伝子破壊は、前記glnE遺伝子の遺伝子破壊と同様にして行うことができる。
上記のようにして得られるコリネ型細菌を培地で培養し、該培地中にL−アルギニン、L−リジンを生成蓄積させ、該培地からL−アルギニン、L−リジンを採取することにより、L−アルギニン、L−リジンを効率よく製造することができる。
培養は、発酵温度20〜45℃、pHを5〜9に制御し、通気培養を行う。培養中にpHが下がる場合には、炭酸カルシウムを加えるか、アンモニアガス等のアルカリで中和する。かくして10時間〜120時間程度培養することにより、培養液中に著量のL−アルギニン、L‐リジンが蓄積される。
<参考例1>コリネ型細菌のアルギニンリプレッサー欠損株の構築
<1>argR破壊用プラスミドの作製
ブレビバクテリウム・フラバム野生株2247株(AJ14067)の染色体DNAを鋳型とし、配列番号1(配列番号15の塩基番号4から28の配列)および配列番号2(配列番号15の塩基番号4235から4211の配列に相補的な配列)に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行った。PCRは、Pyrobest DNA polymerae(宝酒造)を用い、98℃10秒、58℃1分、72℃3分を1サイクルとして30サイクル行った。得られた
増幅断片を、クローニングベクターpHSG399のマルチクローニングサイト内のSmaIサイトに挿入した。
上記のようにして得たプラスミドpssERTを、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムの野生株2256(ATCC13869)に導入した。プラスミドの導入は電気パルス法(特開平2-207791号)を用いた。本プラスミドは、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム中で自律複製能が温度感受性であるため、本プラスミドが相同組換えによって染色体に組み込まれた株のみが、プラスミド複製の非許容温度である34℃でカナマイシン耐性株として選択できる。argR破壊用プラスミドが染色体に組み込まれた株は、25μg/mlのカナマイシンを含むCM2G培地プレート(ポリペプトン10g、酵母エキス10g、グルコース5g、NaCl 5g、寒天15gを純水1Lに含む。pH7.2)にて、カナマイシン耐性株として選択した。この段階では、染色体由来の正常なargR遺伝子と、プラスミド由来のORFが欠失したargR遺伝子とが、プラスミド部分を挟んで染色体上にタンデムに存在する。
<1>GlnE欠損用プラスミドの作製
ブレビバクテリウム・フラバムATCC14067のglnE配列は既に明らかにされている(EP1229121 A2)。報告されている塩基配列に基づいて、配列表配列番号5および6に示すプライマーを合成し、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株の染色体DNAを鋳型にして、PCR法によりglnE内部断片を増幅した。
参考例1で取得したアルギニンリプレッサー欠損株2256ΔargR株に、電気パルス法(特開平2-207791号公報参照)によりプラスミドpΔATase299を形質転換し、カナマイシン耐性を指標として形質転換体を得た。PCRにて形質転換体のglnE遺伝子近傍を増幅し、glnE遺伝子が破壊されているかを確認し、2256ΔargRのglnE破壊株(2256ΔargRΔglnE)を取得した。得られた形質転換体2256ΔargRΔglnEを用いてL−アルギニン、L−リジン生産のための培養を以下のように行った。
2256ΔargRΔglnE株は、プライベートナンバーAJ110145が付与され、2003年2月18日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM P-19216として寄託されている。同株は、2004年2月19日にブダペスト条約に基づき国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-08630が付与されている。
<1>GlnAアデニリル化部位改変プラスミドの構築
コリネ型細菌のglnA遺伝子産物(GlnA)のアデニリル化部位は、既に明らかにされている(FEMS Microbiology Letters, 303-310,(173)1999)。そこで、GlnAアデニリル化部位が改変されたglnA遺伝子で、染色体上のglnA遺伝子と置換することにより、GlnAアデニリル化部位改変株の取得を行った。具体的な方法を以下に記す。
glnA遺伝子増幅産物を得た。生成したPCR産物を常法により精製後、HincIIで消化し、pHSG299(宝酒造)のHincII部位に挿入した。このプラスミドをpGSA2と名付けた。
参考例1に記載のブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869由来のArgR欠損株である2256ΔR株を、電気パルス法(特開平2-207791号公報参照)により高濃度のプラスミドpGSA2を用いて形質転換し、カナマイシン耐性を指標として形質転換体を得た。得られた形質転換体のglnA遺伝子の配列を決定し、その配列中のアデニリル化部位がpGSA2由来のglnAのその領域と置換されたものを2256ΔargRAdeと名付けた。2256ΔargR、2256ΔargRAde株を用いて、L−アルギニン、L−リジン生産のための培養、及びGS酵素活性測定を、実施例1<2>に記載の方法と同様にして行った。その結果を表3、4に示した。
2256ΔargRAde株は、プライベートナンバーAJ110146が付与され、2003年2月18日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM P-19217として寄託されている。同株は、2004年2月19日にブダペスト条約に基づき国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-08631が付与されている。
<1>AmtR欠損用プラスミドの作製
コリネ型細菌のamtR遺伝子産物(AmtR)欠損用のプラスミドの取得は以下のように行なった。
まずブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株の染色体DNAを抽出し、これを鋳型として、配列番号13と14の合成DNAをプライマーとしてPCR反応を行った。得られたDNA断片を平滑末端化し、これをpHSG299(宝酒造)のHinCII部位に挿入した。このプラスミドをpΔamtRと名付けた。
参考例1で取得したアルギニンリプレッサー欠損株2256ΔargR株をpΔamtRで形質転換し、カナマイシン耐性を指標として形質転換体を得た。PCR法にて形質転換体のamtR遺伝子近傍を増幅し、amtR遺伝子が破壊されているかを確認し、2256ΔargR amtR破壊株(2256ΔargRΔamtR)を取得した。得られた形質転換体2256ΔArgRΔamtRを用いてL−アルギニン、L−リジン生産のための培養を、実施例1<2>に記載の方法で行った。その結果を表5、表6に示した。
2256ΔargRΔamtR株は、プライベートナンバーAJ110144が付与され、2003年2月18日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM P-19215として寄託されている。同株は、2004年2月19日にブダペスト条約に基づき国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-08629が付与されている。
配列番号1:argR遺伝子増幅用プライマー
配列番号2:argR遺伝子増幅用プライマー
配列番号3:argR遺伝子を含むプラスミドのargR遺伝子ORF以外の部分を増幅するためのプライマー
配列番号4:argR遺伝子を含むプラスミドのargR遺伝子ORF以外の部分を増幅するためのプライマー
配列番号5:glnE破壊用プライマーN
配列番号6:glnE破壊用プライマーC
配列番号7:glnAアデニリル化 1st PCRプライマーNN
配列番号8:glnAアデニリル化1st PCRプライマーNC
配列番号9:glnAアデニリル化 1st PCRプライマーCN
配列番号10:glnAアデニリル化1st PCRプライマーCC
配列番号11:glnA 2nd PCRプライマーN
配列番号12:glnA 2nd PCRプライマーC
配列番号13:amtR破壊用プライマーN
配列番号14:amtR破壊用プライマーC
配列番号15:argR遺伝子の塩基配列
配列番号16:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号17:glnE遺伝子の塩基配列
配列番号18:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号19:glnA遺伝子の塩基配列
配列番号20:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号21:amtR遺伝子の塩基配列
配列番号22:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号23:glnB遺伝子の塩基配列
配列番号24:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
Claims (2)
- L−アルギニン又はL−リジン生産能を有し、かつ、細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が増強されるように改変されたコリネ型細菌を培地に培養し、該培地中にL−アルギニン又はL−リジンを生成蓄積させ、同培地からL−アルギニン又はL−リジンを採取することを特徴とするL−アルギニン又はL−リジンの製造方法であって、前記コリネ型細菌は、
(A)405位のチロシン残基がL−フェニルアラニン残基に置換されたグルタミンシンテターゼを保持すること、
(B)染色体上のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼをコードするglnE遺伝子を破壊すること、
又は、(C)染色体上のamtR遺伝子を破壊すること、
から選ばれる1以上の方法により細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が増強された細菌であることを特徴とする方法。 - 前記コリネ型細菌は染色体上のアルギニンリプレッサーをコードする遺伝子が破壊された、請求項1に記載の方法。
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JP2002051790A (ja) * | 2000-04-28 | 2002-02-19 | Ajinomoto Co Inc | コリネ型細菌のアルギニンリプレッサー欠失株及びl−アルギニンの製造法 |
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