JP4576850B2 - 発酵法によるl−アルギニン又はl−リジンの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、コリネ型細菌によるL−アミノ酸の製造法、特に、L−アルギニン及びL−リジンの製造法に関する。L−アルギニンは、肝機能促進薬、アミノ酸輸液及び総合アミノ酸製剤等の成分として、L−リジンは動物飼料用の添加物、健康食品の成分、アミノ酸輸液として産業上有用なアミノ酸である。
発酵法によってL−アミノ酸を製造するには、微生物の育種改良法が多用されてきた。すなわち、野生株そのもののL−アミノ酸生産の生産能は極めて低い場合が多いので、突然変異により栄養要求性、アナログ耐性、もしくは代謝調節変異を付与したり、又はこれらを組み合わせる方法が知られている。上述の方法によれば、それなりの収量でL−アミノ酸は得られるが、工業的に安価にL−アミノ酸を製造する為には、さらに発酵収率を向上させることが不可欠である。
発酵収率を向上させるためには、アミノ酸生合成経路の酵素活性を至適に調節させる事、即ち炭素源からアミノ酸に至る生合成系を強化する事が好ましいと考えられる。
塩基性アミノ酸は特に窒素含量が高く、アミノ酸1分子当たり、アルギニンは炭素分子6分子、窒素分子4分子、リジンは炭素分子6分子、窒素分子2分子から形成されている。
アミノ酸発酵において、炭素の代謝と同様に窒素の代謝が有効と考えられ、発酵収率を向上させるためには、炭素の代謝と同様に窒素の代謝を改変することが重要であると考えられる。アミノ酸生合成系過程において、窒素分子の付加はグルタミン、グルタミン酸に含まれるアミノ基のアミノ基転移反応により付加される。従って、細胞内のグルタミン、グルタミン酸濃度を上昇させる事が、アミノ酸の発酵収率向上に繋がると考えられる。
グルタミン酸濃度を上昇させる方法として、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子をコードするodhA遺伝子を欠損させる方法(特許文献1)、グルタミン濃度を上昇させる方法として、グルタミンシンテターゼをコードする遺伝子glnAを増強する方法(特許文献2、特許文献3)が考えられる。またグルタミンシンテターゼのアデニリル化を解除することがL−グルタミンの供給経路を強化する方法の一つとして効果がある事が開示されている(特許文献2、特許文献3)。 しかし、コリネ型細菌において、L−グルタミン又はL−グルタミン酸の生合成の強化がL−アルギニン又はL−リジンの生産性に与える影響については知られていない。
国際公開第95/34672号パンフレット 特開2002−300887号公報 欧州特許出願公開第1229121号明細書
本発明は、コリネ型細菌の窒素代謝を改変する事によって、L−アミノ酸、特にL−アルギニン、L−リジンの発酵収率を向上する事を課題とする。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、グルタミンシンテターゼのアデニリル化を中心とした窒素代謝制御機構が改変されたコリネ型細菌の菌株が、細胞内のグルタミン、グルタミン酸の濃度が向上されることにより、アミノ酸生産、特にL−アルギニン、L−リジンの塩基性アミノ酸の発酵生産に優れていることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)L−アルギニン又はL−リジン生産能を有し、かつ、細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が増強されるように改変されたコリネ型細菌。
(2)グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節が解除されるように改変されたことを特徴とする(1)のコリネ型細菌。
(3)グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節の解除が、アデニリル化による活性調節が解除されたグルタミンシンテターゼを保持すること、細胞内のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ活性が低下したこと、細胞内のPIIたんぱく質活性が低下したこと、又は、窒素代謝制御たんぱく質を細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が上昇するように改変することのいずれか1つ又は2つ以上によるものである(2)の細菌。
(4)染色体上のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が破壊されたことを特徴とする(3)のコリネ型細菌。
(5)窒素代謝制御たんぱく質がamtR遺伝子産物であり、同遺伝子産物が正常に機能しないことによりグルタミンシンテターゼ活性が上昇した(3)のコリネ型細菌。
(6)染色体上のamtR遺伝子が破壊されたことを特徴とする(5)のコリネ型細菌。
(7)アルギニンリプレッサーが正常に機能しないように改変された(1)〜(6)のいずれかのコリネ型細菌。
(8)染色体上のアルギニンリプレッサーをコードする遺伝子が破壊されたことを特徴とする(7)のコリネ型細菌。
(9)(1)〜(8)のいずれかのコリネ型細菌を培地に培養し、該培地中にL−アルギニン又はL−リジンを生成蓄積させ、同培地からL−アルギニン又はL−リジンを採取することを特徴とするL−アルギニン又はL−リジンの製造法。
本発明によれば、コリネ型細菌を用いた発酵法によるL−アルギニン、L−リジンの製造において、窒素代謝制御を改変する事により、L−アルギニン、L−リジンの発酵収率を向上させることが出来る。また、本発明のDNAは、コリネ型細菌のL−アルギニン、L−リジン生産菌の育種に利用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明のコリネ型細菌の構築のために用いられるコリネ型細菌
本発明において、「コリネ型細菌」とは、従来ブレビバクテリウム属に分類されていたが、現在コリネバクテリウム属に分類された細菌も含み(Int. J. Syst. Bacteriol., 41, 255(1981))、またコリネバクテリウム属と非常に近縁なブレビバクテリウム属細菌を含む。このようなコリネ型細菌の例として以下のものが挙げられる。
コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム
コリネバクテリウム・アセトグルタミカム
コリネバクテリウム・アルカノリティカム
コリネバクテリウム・カルナエ
コリネバクテリウム・グルタミカム
コリネバクテリウム・リリウム
コリネバクテリウム・メラセコーラ
コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス
コリネバクテリウム・ハーキュリス
ブレビバクテリウム・ディバリカタム
ブレビバクテリウム・フラバム
ブレビバクテリウム・インマリオフィラム
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム
ブレビバクテリウム・ロゼウム
ブレビバクテリウム・サッカロリティカム
ブレビバクテリウム・チオゲニタリス
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス
ブレビバクテリウム・アルバム
ブレビバクテリウム・セリヌム
ミクロバクテリウム・アンモニアフィラス
具体的には、下記のような菌株を例示することができる。
コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム ATCC13870
コリネバクテリウム・アセトグルタミカム ATCC15806
コリネバクテリウム・アルカノリティカム ATCC21511
コリネバクテリウム・カルナエ ATCC15991
コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13020, ATCC13032, ATCC13060
コリネバクテリウム・リリウム ATCC15990
コリネバクテリウム・メラセコーラ ATCC17965
コリネバクテリウム・エッフィシエンス AJ12340(FERM BP-1539)
コリネバクテリウム・ハーキュリス ATCC13868
ブレビバクテリウム・ディバリカタム ATCC14020
ブレビバクテリウム・フラバム ATCC13826, ATCC14067, AJ12418(FERM BP-2205)
ブレビバクテリウム・インマリオフィラム ATCC14068
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム ATCC13869
ブレビバクテリウム・ロゼウム ATCC13825
ブレビバクテリウム・サッカロリティカム ATCC14066
ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ATCC19240
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス ATCC6871、ATCC6872
ブレビバクテリウム・アルバム ATCC15111
ブレビバクテリウム・セリヌム ATCC15112
ミクロバクテリウム・アンモニアフィラス ATCC15354
これらを入手するには、例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801
University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, United States of America)より分譲を受けることができる。すなわち、各菌株毎に対応する登録番号が付与されており、この登録番号を利用して分譲を受けることができる。各菌株に対応する登録番号はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログに記載されている。また、AJ12340株は、1987年10月27日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許微生物寄託センター)(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にFERM BP-1539の受託番号でブダペスト条約に基づいて寄託されている。また、AJ12418株は、1989年1月5日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP-2205の受託番号でブダペスト条約に基づいて寄託されている。
本発明において、「L−アルギニン生産能」とは、本発明のコリネ型細菌を培養したときに、培地中にL−アルギニンを蓄積する能力をいう。このL−アルギニン生産能は、コリネ型細菌の野生株の性質として有するものであってもよく、育種によって付与または増強された性質であってもよい。
また、本発明において、「L−リジン生産能」とは、本発明のコリネ型細菌を培養したときに、培地中にL−リジンを蓄積する能力をいう。このL−リジン生産能は、コリネ型細菌の野生株の性質として有するものであってもよく、育種によって付与または増強された性質であってもよい。
L−リジン又はL−アルギニン生産能を有するコリネ型細菌は、コリネ型細菌の野生株にL−リジン又はL−アルギニン生産能を付与することにより取得され得る。L−リジン又はL−アルギニン生産能を付与するには、栄養要求性変異株、アナログ耐性株、又は代謝制御変異株の取得、L−リジン又はL−アルギニンの生合成系酵素が増強された組換え株の創製等、従来、コリネ型細菌又はエシェリヒア属細菌等の育種に採用されてきた方法を適用することができる(アミノ酸発酵、(株)学会出版センター、1986年5月30日初版発行、第77〜100頁参照)。L−リジン又はL−アルギニン生産菌の育種において、付与される栄養要求性、アナログ耐性、代謝制御変異等の性質は、単独でもよく、2種又は3種以上であってもよい。また、増強されるL−アミノ酸生合成系酵素も、単独であっても、2種又は3種以上であってもよい。さらに、栄養要求性、アナログ耐性、代謝制御変異等の性質の付与と、生合成系酵素の増強が組み合わされてもよい。
L−アルギニン生産能を有するコリネ型細菌としては、L−アルギニン生産能を有するものであれば特に制限されないが、コリネ型細菌野生株;サルファ剤、2−チアゾールアラニン又はα−アミノ−β−ヒドロキシ吉草酸等の薬剤に耐性を有するコリネ型細菌;2−チアゾールアラニン耐性に加えて、L−ヒスチジン、L−プロリン、L−スレオニン、L−イソロイシン、L−メチオニンまたはL−トリプトファン要求性を有するコリネ型細菌(特開昭54−44096号);ケトマロン酸、フルオロマロン酸又はモノフルオロ酢酸に耐性を有するコリネ型細菌(特開昭57−18989号);アルギニノールに耐性を有するコリネ型細菌(特開昭62−24075号);または、X−グアニジン(Xは脂肪酸又は脂肪鎖の誘導体)に耐性を有するコリネ型細菌(特開平2−186995号)等が挙げられる。
また、L−アルギニン生産能を有するコリネ型細菌は、5−アザウラシル、6−アザウラシル、2−チオウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−アザシトシン、6−アザシトシン等に耐性な変異株;アルギニンヒドロキサメート、2−チオウラシルに耐性な変異株、アルギニンヒドロキサメート及び6−アザウラシルに耐性な変異株(特開昭49-126819号);ヒスチジンアナログ又はトリプトファンアナログに耐性な変異株(特開昭52-114092号)、メチニオン、ヒスチジン、スレオニン、プロリン、イソロイシイン、リジン、アデニン、グアニンまたはウラシル(またはウラシル前駆体)の少なくとも一つに要求性を有する変異株(特開昭52-99289号参);アルギニンヒドロキサメートに耐性な変異株(特公昭51-6754号);コハク酸要求性又は核酸塩基アナログに耐性な変異株(特開昭58-9692号);アルギニン分解能を欠損し、アルギニンのアンタゴニスト及びカナバニンに耐性を有し、リジンを要求する変異株(特開昭52-8729号);アルギニン、アルギニンヒドロキサメート、ホモアルギニン、D−アルギニン、カナバニン耐性、アルギニンヒドロキサメート及び6−アザウラシル耐性の変異株(特開昭53-143288号);及び、カナバニン耐性の変異株(特開昭53-3586号)等として育種することができる。
L−アルギニン生産能を有するコリネ型細菌の具体例としては、下記のような菌株が挙げられる。
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11169(FERM P-4161)
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12092(FERM P-7273)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11336(FERM P-4939)
ブレビバクテリウム・フラバムAJ11345(FERM P-4948)
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12430(FERM BP-2228)
AJ11169株及びAJ12092株は特開昭54−44096号記載の2−チアゾールアラニン耐性株、AJ11336株は特公昭62−24075号記載のアルギニノール耐性及びサルファダイアジン耐性を有する株、AJ11345株は特公昭62−24075号記載のアルギニノール耐性、2−チアゾールアラニン耐性、サルファグアニジン耐性、及びヒスチジン要求性を有する株、及びAJ12430株は特開平2−186995号記載のオクチルグアニジン耐性及び2−チアゾールアラニン耐性を有する株である。
AJ11169は、1977年8月3日に工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6、以下同様)にFERM P-4161の受託番号で寄託され、1999年9月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6892の受託番号で寄託されている。
AJ12092は、1983年9月29日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-7273の受託番号で寄託され、1999年10月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6906の受託番号で寄託されている。
AJ11336は、1979年4月25日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-4939の受託番号で寄託され、1999年9月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6893の受託番号で寄託されている。
AJ11345は、1979年4月25日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-4948の受託番号で寄託され、1999年9月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-6894の受託番号で寄託されている。
AJ12430は、1988年11月26日に工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP-2228の受託番号で、ブダペスト条約に基づき国際寄託されている。
育種によってL−リジン生産能を付与または増強するには、以下のような変異を付与することによって行われる。この様な変異株としては次の様なものがある。S−(2−アミノエチル)−システイン(以下、「AEC」と略記する)耐性変異株(例えば、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ11082(NRRL B-11470)、特公昭56-1914号、特公昭56-1915号、特公昭57-14157号、特公昭57-14158号、特公昭57-30474号、特公昭58-10075号、特公昭59-4993号、特公昭61-35840号、特公昭62-24074号、特公昭62-36673号、特公平5-11958号、特公平7-112437号、特公平7-112438号参照)、その成長にL−ホモセリン等のアミノ酸を必要とする変異株(特公昭48-28078号、特公昭56-6499号)、AECに耐性を示し、更にL−ロイシン、L−ホモセリン、L−プロリン、L−セリン、L−アルギニン、L−アラニン、L−バリン等のアミノ酸を要求する変異株(米国特許第3708395号及び第3825472号)、DL−α−アミノ−ε−カプロラクタム、α−アミノ−ラウリルラクタム、アスパラギン酸−アナログ、スルファ剤、キノイド、N−ラウロイルロイシンに耐性を示すL−リジン生産変異株、オキザロ酢酸脱炭酸酵素(デカルボキシラーゼ)または呼吸系酵素阻害剤の耐性を示すL−リジン生産変異株(特開昭50-53588号、特開昭50-31093号、特開昭52-102498号、特開昭53-9394号、特開昭53-86089号、特開昭55-9783号、特開昭55-9759号、特開昭56-32995号、特開昭56-39778号、特公昭53-43591号、特公昭53-1833号)、イノシトールまたは酢酸を要求するL−リジン生産変異株(特開昭55-9784号、特開昭56-8692号)、フルオロピルビン酸または34℃以上の温度に対して感受性を示すL−リジン生産変異株(特開昭55-9783号、特開昭53-86090号)、エチレングリコールに耐性を示し、L−リジンを生産するブレビバクテリウム属またはコリネバクテリウム属の生産変異株(
米国特許第4411997号)がある。
次に、L−アルギニン又はL−リジン生合成系酵素活性の増強によってL−アミノ酸生産能を付与又は増強する方法を、以下に例示する。
酵素活性の増強は、細胞内の該酵素活性が上昇するように同酵素をコードする遺伝子に変異を導入するか、又は同遺伝子を用いた遺伝子組換え技術を利用することによって、行うことができる。
L−アルギニン生合成系酵素としては、N−アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ(argC)、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ(argJ)、N−アセチルグルタミン酸キナーゼ(argB)、アセチルオルニチントランスアミナーゼ(argD)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(argF)、アルギニノコハク酸シンターゼ(argG)、アルギニノコハク酸リアーゼ(argH)、カルバモイルリン酸シンターゼ(carAB)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの酵素名の後のカッコ内は、各酵素をコードする遺伝子名である。
前記遺伝子によってコードされる酵素の活性が上昇するような変異としては、同遺伝子の転写量が増大するようなプロモーター配列の変異、及び、前記酵素タンパク質の比活性が高くなるような前記遺伝子のコード領域内の変異が挙げられる。
また、遺伝子組換え技術を利用して酵素活性を高めるには、例えば、細胞中の同酵素遺伝子のコピー数を高めることによって達成される。例えば、前記遺伝子を含むDNA断片を、微生物で機能するベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを微生物に導入して形質転換すればよい。
遺伝子の発現の増強は、上記の遺伝子増幅による以外に、染色体DNA上またはプラスミド上の該遺伝子のプロモーター等の発現調節配列を強力なものに置換することによっても達成される(WO00/18935)。例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター等が強力なプロモーターとして知られている。また、lysE遺伝子のプロモーター領域に塩基置換等を導入し、より強力なものに改変することも可能である。これらのプロモーター置換または改変により遺伝子の発現が強化される。これら発現調節配列の改変は、遺伝子のコピー数を高めることと組み合わせてもよい。
L−リジン生合成系酵素遺伝子としては、例えば、L−リジン及びL−スレオニンによる相乗的なフィードバック阻害が実質的に解除されたアスパルトキナーゼαサブユニット蛋白質又はβサブユニット蛋白質をコードする遺伝子(WO94/25605国際公開パンフレット)、コリネホルム細菌由来の野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子(特開昭60-87788号公報)、コリネホルム細菌由来の野生型ジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードする遺伝子(特公平6-55149号公報)等が知られている。
上記のL−アルギニン生合成系酵素の活性を増強する手法は、L−リジンについても同様に適用することができる。
また、コリネ型細菌の細胞内のアルギニンリプレッサーが正常に機能しないように改変することによって、L−アルギニン生産能及びL−リジン生産能を付与又は増強することができる。
通常、N-アセチルグルタメートシンターゼ等アルギニンの生合成系遺伝子の発現は、培地中のアルギニン濃度により顕著な阻害を受ける。コリネ型細菌では、いくつかのL−アルギニン生合成系酵素の生成が、L−アルギニンにより抑制されていることが調べられている。さらに、L−アルギニン生合成系酵素のいくつかは、L−アルギニンによる抑制を
受けるが、L−アルギニン蓄積量が向上したコリネ型細菌の変異株では、これらの酵素のL−アルギニンによる抑制が解除されていることが報告されている(Agric. Biol. Chem., 43(1), 105, 1979)。
一方、エシェリヒア・コリでは、L−アルギニン生合成系のリプレッサー(アルギニンリプレッサー)及びリプレッサーをコードする遺伝子が特定されており(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1987), 84(19), 6697-701)、またリプレッサータンパクと各種L−アルギニン生合成系遺伝子との結合相互作用についても調べられている(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1987), 84(19), 6697-701、J. Mol. Biol. (1992), 226,367-386)。
アルギニンは、オルニチンやシトルリン等の中間体を経ながら、アルギニン特有の生合成経路を通じて生成されるが、同経路でカルバモイルリン酸が取り込まれる。ゆえにカルバモイルリン酸合成経路を強化することが、アルギニン発酵収率を上昇させる為に必要だと考えられる。
カルバモイルリン酸は、炭酸イオン、グルタミン、及びATPから生成される。コリネ型細菌では、炭酸イオンは、培養液中の炭酸イオンにより、またATPは、糖代謝の過程で生成される。したがって、カルバモイルリン酸の生成にはグルタミンの供給が重要である。
以上のことから、アルギニンリプレッサーが正常に機能しないように改変することと、後述するグルタミンシンテターゼ活性の上昇とを組み合わせることによって、L−リジン及びL−アルギニンの生産能を一層向上させることができると考えられる。
本発明において「アルギニンリプレッサー」とは、L−アルギニン生合成を抑制する作用を有するタンパク質であり、コリネ型細菌において同タンパク質をコードする遺伝子の発現量が増加するとL−アルギニン生産能が低下し、発現量が低下又は消失するとL−アルギニン生産能が向上する。以下、アルギニンリプレッサーをコードする遺伝子をargR遺伝子ともいう。「アルギニンリプレッサーが正常に機能しない」とは、野生株又は非改変株に比べて、アルギニンリプレッサーの活性が低下又は消失していることをいう。
ブレビバクテリウム・フラバムのargR遺伝子塩基配列及び同遺伝子がコードするアミノ酸配列を配列番号15に、該アミノ配列を配列番号16に示す。
本発明において、活性の低減の対象となるアルギニンリプレッサーは、前記アルギニンリプレッサーのアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
「複数の」アミノ酸の数は、タンパク質の三次元構造におけるアミノ酸残基の位置および型によって異なる。これは、以下の理由による。すなわち、いくつかのアミノ酸は、互いに高い相同性を有し、そのようなアミノ酸における差異は、タンパク質の三次元構造に著しい影響を及ぼさない。したがって、本発明の変異型アルギニンリプレッサーは、アルギニンリプレッサーを構成する全アミノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつアルギニンリプレッサー活性を有するものであってもよい。
上記アルギニンリプレッサーと実質的に同一なタンパク質をコードする遺伝子は、argR遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アルギニンリプレッサー活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましく
は80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
コリネ型細菌のアルギニンリプレッサーの活性を低下させるためには、例えば、コリネ型細菌を紫外線照射またはN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、アルギニンリプレッサーの活性が低下した菌株を選択する方法が挙げられる。また、アルギニンリプレッサーの活性が低下したコリネ型細菌は、変異処理の他に、アルギニンリプレッサーをコードする遺伝子argRの部分配列を欠失し、正常に機能するアルギニンリプレッサーを産生しないように改変したargR遺伝子(欠失型argR遺伝子)を含むDNAでコリネ型細菌を形質転換し、欠失型argRと染色体上のargRとの間で組換えを起こさせることにより、染色体上のargRを破壊することができる。
argR遺伝子の遺伝子破壊は、後述するglnE遺伝子の遺伝子破壊と同様にして行うことができる。
argR遺伝子は、目的の微生物のargR遺伝子と相同組換えを起こす程度の相同性を有していれば、由来を特に制限されない。例えば、コリネ型細菌のargR遺伝子として具体的には、前記ブレビバクテリウム・フラバムのargR遺伝子、及び、コリネバクテリウム・グルタミカムのargR遺伝子(GenBank accession AF049897)が挙げられる。これらのargR遺伝子は相同性が高く、argR遺伝子を破壊するコリネ型細菌と種又は属が異なるコリネ型細菌又は他の微生物のargR遺伝子であっても、遺伝子破壊に用いることができると考えられる。
<2>本発明のコリネ型細菌の構築
本発明のコリネ型細菌は、上記のようなL−アルギニン又はL−リジン生産能を有するコリネ型細菌であって、かつ、細胞内のグルタミンシンテターゼ(以下、「GS」ともいう)活性が増強されるように改変されたコリネ型細菌である。
本発明のコリネ型細菌の育種において、L−アルギニン又はL−リジン生産能の付与とGS活性の増強は、どちらを先に行ってもよい。
「細胞内のGS活性が増強されるように改変された」とは、細胞当たりのGS活性が非改変株、例えば野生型のコリネ型細菌のそれよりも高くなったことをいう。例えば、細胞当たりのGS分子の数が増加した場合や、GS分子当たりのGS活性が上昇した場合などが該当する。「GS活性」とは、ATPを用いたグルタミン酸およびアンモニアからのグルタミンの生成反応を触媒する活性を意味する。また、比較対象となる野生型のコリネ型細菌としては、例えばブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869が挙げられる。
GS活性が増強されたコリネ型細菌として具体的には、例えば、GS活性が100〜150nmol/min/mg菌体タンパク質以上であるコリネ型細菌、あるいは、野生株に比べてGS活性が2〜3倍であるコリネ型細菌が好ましい。但し、本発明のコリネ型細菌はこれらに限定されない。GS活性は、例えば、Journal of Fermentation and Bioengineering, Vol.70, No.3, 182-184, 1990に記載の方法によって測定することができる。また、菌体タンパク質は、例えば牛血清アルブミンを標準試料として、Protein Assay(Bio-Rad)を用いて定量することができる。
細胞内のグルタミンシンテターゼ活性を増強するには、例えば、GSをコードする遺伝子の発現を増強することによって達成される。同遺伝子の発現量の増強は、GSをコードする遺伝子のコピー数を高めることによって達成される。例えば、GSをコードする遺伝子断片を、該細菌で機能するベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換え
DNAを作製し、これをコリネ型細菌に導入して形質転換すればよい。
GS遺伝子は、コリネ型細菌由来の遺伝子およびエシェリヒア属細菌等の他の生物由来の遺伝子のいずれも使用することができる。このうち、発現の容易さの観点からは、コリネ型細菌由来の遺伝子が好ましい。
コリネ型細菌のGSをコードする遺伝子として、既にglnA(FEMS Microbiology Letters 81-88, (154) 1997) 、及びglnA2があることが報告されている(特開2002−300887、EP1229121、L.Nolden et al., FEMS Microbiology Letters 201 (2001) 91-98)。
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのglnA遺伝子塩基配列及び同遺伝子がコードするアミノ酸配列を配列番号19に、該アミノ配列を配列番号20に示す。尚、配列番号19及び20において、開始コドン(塩基番号1〜3)がコードするアミノ酸をバリンと記載しているが、メチオニンである可能性が高い。glnA2遺伝子の塩基配列及びそれによってコードされるアミノ酸配列は、特開2002-300887、EP1229121に記載されている。
本発明において、GSは、GS活性が低下しない限り、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。「複数の」アミノ酸の数は、タンパク質の三次元構造におけるアミノ酸残基の位置および型によって異なる。これは、以下の理由による。すなわち、いくつかのアミノ酸は、互いに高い相同性を有し、そのようなアミノ酸における差異は、タンパク質の三次元構造に著しい影響を及ぼさない。したがって、本発明の変異型GSは、GSを構成する全アミノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつGS活性を有するものであってもよい。
上記のようなGSと実質的に同一なタンパク質をコードする遺伝子は、glnA又はglnA2遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、GS活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
また、グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節が解除されるようにコリネ型細菌を改変することによっても、細胞内のグルタミンシンテターゼ活性を増強することができる。
GSは、そのアミノ酸配列中のチロシン残基がアデニリル化されることにより、不活性型に変化する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 642-649, (58) 1967)(J. Biol. Chem., 3769-3771, (243) 1968)。したがって、このGSのアデニリル化による活性調節を解除することによって、細胞内のGS活性を増強することができる。ここで、アデニリル化による活性調節の解除とは、アデニリル化が実質的に完全に解除されることに加えて、細胞内のGS活性が増強されるようにアデニリル化が低減されることを含む。「低減」とは、GSのアデニリル化が、コリネ型細菌の野生株又は非改変株よりも低減することをいう。比較対象となる野生型のコリネ型細菌とは、例えばブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869が挙げられる。
以下に、GSのアデニリル化による活性調節を解除する手段を例示する。
(1)グルタミンシンテターゼのアデニリル化部位の改変
エシェリヒア・コリ等においては、GSのアデニリル化は、一般にグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ(以下、「ATase」ともいう)によって行われる(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1703-1710, (58) 1967)。コリネ型細菌細菌においても、GSは、グルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼによってアデニリル化されることによって不活性型に変換される(FEMS Microbiology Letters, 303-310,(173)1999)(FEMS Microbiology Letters 201 (2001)91-98) 。コリネ型細菌においては、Genebank
accession Y13221の配列に示されるglnA遺伝子産物の405位のチロシン残基がアデニリル化されることが示唆されている(FEMS Microbiology Letters, 303-310,(173)1999)。このチロシン残基を他のアミノ酸残基、例えばフェニルアラニン残基に置換するようにglnA遺伝子に変異を導入することによってGSのアデニリル化による不活性化を解除できる。
また、前記glnA2産物も、glnAと同様にアデニリル化による活性調節を受けていると予想される。したがって、glnA2遺伝子に、glnA遺伝子産物の405位のチロシン残基に相当するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基、例えばフェニルアラニン残基に置換するようにglnA2遺伝子に変異を導入することによって、同遺伝子がコードするGSのアデニリル化による不活性化を解除できると考えられる。
アデニリル化による活性調節が解除されたGSをコードするDNAは、glnA又はglnA2遺伝子の配列を、コードされるGSが上記アデニリル化による活性調節が解除されるような変異を有するように改変することによって、取得することができる。得られた変異遺伝子は、前記L−アルギニン生合成系酵素遺伝子の増強と同様の手段によって、コリネ型細菌に導入することができる。
アデニリル化部位が改変されるGSも、GS活性が低下しない限り、上記アデニリル化による活性調節が解除される変異以外に、または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
(2)グルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ活性の低減
グルタミンシンテターゼのアデニリル化による活性調節は、細胞内のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼ(ATase)活性を低下させることによっても、解除することができる。ここで、ATase活性の低下とは、同活性を完全に欠失することに加えて、本発明のコリネ型細菌のATase活性がコリネ型細菌の野生株又は非改変株のそれよりも低くなったことをいう。例えば、細胞当たりのATase分子の数が低下した場合や、ATase分子当たりのATase比活性が低下した場合などが該当する。また、比較対象となる野生型のコリネ型細菌とは、例えばブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869が挙げられる。
ATaseをコードする遺伝子としてブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株のglnEが明らかにされている(EP1229121)。同遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を配列番号17に、同アミノ酸配列を配列番号18に示す。
本発明において、活性の低減の対象となるATaseは、前記ATaseのアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
「複数の」アミノ酸の数は、タンパク質の三次元構造におけるアミノ酸残基の位置および型によって異なる。これは、以下の理由による。すなわち、いくつかのアミノ酸は、互いに高い相同性を有し、そのようなアミノ酸における差異は、タンパク質の三次元構造に著しい影響を及ぼさない。したがって、本発明の変異型ATaseは、ATaseを構成する全アミ
ノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつATase活性を有するものであってもよい。
上記のようなATaseと実質的に同一なタンパク質をコードする遺伝子は、glnE遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ATase活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
コリネ型細菌の細胞内のATase活性を低下させるには、例えば、コリネ型細菌を紫外線照射またはN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、ATase活性が低下した変異株を選択する方法が挙げられる。また、ATase活性が低下したコリネ型細菌は、変異処理の他に、ATaseをコードする遺伝子(glnE)の部分配列を欠失し、正常に機能するATaseを産生しないように改変したglnE遺伝子(欠失型glnE)を含むDNAでコリネ型細菌を形質転換し、欠失型glnEと染色体上のglnEとの間で組換えを起こさせることにより、染色体上のglnEを破壊することができる。このような相同組換えを利用した遺伝子置換による遺伝子破壊は既に確立しており、直鎖DNAを用いる方法や温度感受性複製起点を含むプラスミドを用いる方法などがある。
欠失型glnEを、宿主染色体上のglnEと置換するには、例えば以下のようにすればよい。温度感受性複製起点とglnEの内部配列とクロラムフェニコール等の薬剤に耐性を示すマーカー遺伝子とを挿入して組換えDNAを調製し、この組換えDNAでコリネ型細菌を形質転換し、温度感受性複製起点が機能しない温度で形質転換株を培養し、続いてこれを薬剤を含む培地で培養することにより、組換えDNAが染色体DNAに組み込まれた形質転換株が得られる。
こうして染色体に組換えDNAが組み込まれた株は、染色体上にもともと存在するglnE配列との組換えを起こし、染色体glnEと欠失型glnEとの融合遺伝子2個が組換えDNAの他の部分(ベクター部分、温度感受性複製起点及び薬剤耐性マーカー)を挟んだ状態で染色体に挿入されている。
プラスミドに連結したGlnEはプロモーター、開始コドンを含まない内部配列を用いているので、染色体glnEと欠失型glnEとの融合遺伝子2個が組換えDNAの他の部分(ベクター部分、温度感受性複製起点及び薬剤耐性マーカー)を挟んだ状態で染色体に挿入された構造でGlnEの構造遺伝子が分断されていることにより、GlnEは機能を失っている。
また、欠失型glnEとして、内部配列を除去したglnEを用いてもよい。その場合は、染色体glnEと欠失型glnEとの融合遺伝子2個が染色体DNAに挿入されている状態では、正常なglnEが優性となり、形質転換株は正常なATaseを発現する。次に、染色体DNA上に欠失型glnEのみを残すために、2個のglnEの組換えにより1コピーのglnEを、ベクター部分(温度感受性複製起点及び薬剤耐性マーカーを含む)とともに染色体DNAから脱落させる。その際、正常なglnEが染色体DNA上に残され、欠失型glnEが切り出される場合と、反対に欠失型glnEが染色体DNA上に残され、正常なglnEが切り出される場合がある。いずれの場合も、温度感受性複製起点が機能する温度で培養すれば、切り出されたDNAは
プラスミド状で細胞内に保持される。次に、温度感受性複製起点が機能しない温度で培養すると、プラスミド上のglnEは、プラスミドとともに細胞から脱落する。そして、PCRまたはサザンハイブリダイゼーション等により、染色体上に欠失型glnEが残った株を選択することによって、glnEが破壊された株を取得することができる。
あるいは、上記温度感受性プラスミドに代えて、コリネ型細菌内で複製能を持たないプラスミドを用いて、同様に遺伝子破壊を行うことが出来る。コリネ型細菌内で複製能を持たないプラスミドは、エシェリヒア・コリで複製能力を持つプラスミドが好ましく、例えば、pHSG299(宝バイオ社製)pHSG399( 宝バイオ社製)等が挙げられる。
上記のようにして、glnEが破壊された株を取得することができる。
尚、遺伝子破壊に用いるglnE遺伝子は、コリネ型細菌が元々保持しているglnE遺伝子と相同組換えを起こす程度の相同性を有していれば、由来を特に制限されない。たとえば、マイコバクテリウム・ツバクロシスのATase(GenBank ACCESION Z70692)およびストレプトマイセス・セリカラーのATase(GenBank ACCESSION Y17736)は、コリネ型細菌のATaseとそれぞれ51.9%、33.4%の相同性を有している(特開2002-300887、EP1229121)。
(3)PIIたんぱく質の活性の低減
また、細胞内のPIIたんぱく質の活性を低下させることによっても、GSのアデニリル化による不活性化を解除できる。ATaseによるGSのアデニリル化にはPIIたんぱく質も関与することが知られている。PIIたんぱく質とは、GS活性を調節するためのシグナル伝達たんぱく質であり、ウリジリルトランスフェラーゼ(UTase)によるウリジリル化を受けることが知られている。ウリジリル化されたPIIたんぱく質は、ATaseによるGSの脱アデニリル化を促進し、脱ウリジリル化されたPIIたんぱく質はATaseによるGSのアデニリル化を促進する。
UTaseの欠損株においてはGSが高度にアデニリル化されることが報告されている(J. Bacteriology, 569-577, (134) 1978)。過剰にアデニリル化されるこの表現形は、PIIたんぱく質の変異によって抑制される(J.Bacteriology, 816-822,(164)1985)。すなわちPIIたんぱく質の活性低下によっても、GSのアデニリル化による不活性化を解除できる。PIIたんぱく質の活性低下とは、ATaseによるアデニリル化を促進する機能が低下することをいう。PIIたんぱく質活性の低下とは、同活性を完全に欠失することに加えて、本発明のコリネ型細菌のPIIたんぱく質活性がコリネ型細菌の野生株又は非改変株のそれよりも低くなったことをいう。例えば、細胞当たりのPIIたんぱく質分子の数が低下した場合や、PIIたんぱく質分子当たりのPIIたんぱく質比活性が低下した場合などが該当する。また、比較対象となる野生型のコリネ型細菌とは、例えばブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869が挙げられる。
コリネ型細菌のPIIたんぱく質をコードするglnB遺伝子は既に単離されており、その欠失によりGSのアデニリル化による抑制が解除されることが示唆されている(FEMS Microbiology Letters, 303-310, (173) 1999)。
PIIたんぱく質をコードする遺伝子としてブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのglnBが明らかにされている(EP1229121)。同遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を配列番号23に、同アミノ酸配列を配列番号24に示す。
本発明において、活性の低減の対象となるPIIたんぱく質は、前記PIIたんぱく質のアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
「複数の」アミノ酸の数は、タンパク質の三次元構造におけるアミノ酸残基の位置および型によって異なる。これは、以下の理由による。すなわち、いくつかのアミノ酸は、互
いに高い相同性を有し、そのようなアミノ酸における差異は、タンパク質の三次元構造に著しい影響を及ぼさない。したがって、本発明の変異型PIIたんぱく質は、PIIたんぱく質を構成する全アミノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつPIIたんぱく質活性を有するものであってもよい。
上記のようなPIIたんぱく質と実質的に同一なタンパク質をコードする遺伝子は、glnB遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、PIIたんぱく質活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
コリネ型細菌のPIIたんぱく質の活性を低下させるためには、例えば、コリネ型細菌を紫外線照射またはN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、PIIたんぱく質の活性が低下した菌株を選択する方法が挙げられる。また、PIIたんぱく質の活性が低下したコリネ型細菌は、変異処理の他に、PIIたんぱく質をコードする遺伝子glnBの部分配列を欠失し、正常に機能するPIIたんぱく質を産生しないように改変したglnB遺伝子(欠失型glnB遺伝子)を含むDNAでコリネ型細菌を形質転換し、欠失型glnBと染色体上のglnBとの間で組換えを起こさせることにより、染色体上のglnBを破壊することができる。
glnB遺伝子の遺伝子破壊は、前記glnE遺伝子の遺伝子破壊と同様にして行うことができる。
(4)窒素代謝制御機構の改変
GSのアデニリル化による活性調節は、窒素代謝制御たんぱく質が正常に機能しないことによっても解除され得る。
「窒素制御たんぱく質」とは、前記したようなGSのアミノ酸配列中のチロシン残基のアデニリル化によりGSが不活性型に変化する機構(グルタミンシンテターゼのアデニリル化を中心とした窒素代謝制御機構)に関与する因子であって、正の因子と負の因子が存在する。正の因子は細胞内のGS活性を上昇させる因子であり、負の因子は細胞内のGS活性を低下させる因子である。窒素制御たんぱく質はGSだけでなく、アンモニウムイオンの取り込み遺伝子(Amt, AmtB)の制御も行っている。細胞外のアンモニウムイオン濃度の上昇に伴い、窒素制御たんぱく質がAmt, AmtB等の取り込み遺伝子の活性を低下させることにより、アンモニウムイオンの取り込みが抑えられる。
エシェリヒア・コリでは、細胞内のグルタミン濃度が減少すると、窒素代謝制御の正の因子であるNRIが、ウリジリルトランスフェラーゼ(Utase)をコードする遺伝子glnDの発現を調節するプロモーターに結合し、glnDの発現量を上昇させ、ウリジリル化したPIIたんぱく質の増加により、ATaseによるGSの脱アデニリル化を促進する事によりGS活性が上昇することが知られている。(Mol Microbaiology (1998) 29(2),431-447)。
バチルス・サブチリスでは、細胞内のグルタミン濃度が減少すると、窒素代謝調節因子の負の因子であるTnrAやGlnRが、ウリジリルトランスフェラーゼ(Utase)をコードする遺伝子glnDの発現を調節するプロモーターから解離し、glnDの発現量を上昇させ、ウリジリ
ル化したPIIたんぱく質の増加により、ATaseによるGSの脱アデニリル化を促進する事によりGS活性が上昇することが知られている。
窒素代謝制御たんぱく質の改変により、GSのアデニリル化を中心とした窒素代謝制御機構が改変され、GS活性が恒常的に上昇させることができる。窒素代謝制御遺伝子が正の因子のときは同因子の活性を増強することにより、負の因子であるときは同因子の活性を低下させることにより、GS活性を恒常的に上昇させることができる。
コリネ型細菌では、GSのアデニリル化を中心とした窒素代謝制御機構は、負の窒素代謝制御タンパクであるamtR遺伝子産物(AmtR)によって制御されている(Mol. Microbiol. 2000 Aug;37(4):964-77)。したがって、AmtRが正常に機能しないようにamtR遺伝子を改変することによって、GS活性を上昇させることができる。「AmtRが正常に機能しない」とは、コリネ型細菌の野生株又は非改変株に比べて、AmtRの活性が低下又は消失し、その結果、細胞内のGS活性が上昇することをいう。
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのamtR遺伝子塩基配列及び同遺伝子がコードするアミノ酸配列を配列番号21に、該アミノ配列を配列番号22に示す。
本発明において、活性の低減の対象となるAmtRは、前記AmtRのアミノ酸配列において、1または複数の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を含んでいてもよい。
「複数の」アミノ酸の数は、タンパク質の三次元構造におけるアミノ酸残基の位置および型によって異なる。これは、以下の理由による。すなわち、いくつかのアミノ酸は、互いに高い相同性を有し、そのようなアミノ酸における差異は、タンパク質の三次元構造に著しい影響を及ぼさない。したがって、本発明の変異型AmtRは、AmtRを構成する全アミノ酸残基について、30〜50%以上、好ましくは50〜70%以上、より好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、かつAmtR活性を有するものであってもよい。
上記のようなAmtRと実質的に同一なタンパク質をコードする遺伝子は、amtR遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、AmtRの活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
コリネ型細菌のAmtRが正常に機能しないように改変するには、例えば、コリネ型細菌を紫外線照射またはN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、AmtRの活性が低下した菌株を選択する方法が挙げられる。また、AmtRの活性が低下したコリネ型細菌は、変異処理の他に、AmtRをコードする遺伝子amtRの部分配列を欠失し、正常に機能するAmtRを産生しないように改変したamtR遺伝子(欠失型amtR遺伝子)を含むDNAでコリネ型細菌を形質転換し、欠失型amtRと染色体上のamtRとの間で組換えを起こさせることにより、染色体上のamtRを破壊することができる。
amtR遺伝子の遺伝子破壊は、前記glnE遺伝子の遺伝子破壊と同様にして行うことができる。
GSのアデニリル化の解除は、上記のアデニリル化を受けないようなGSの変異、ATaseの活性低下、PIIたんぱく質の活性低下、及び窒素代謝制御たんぱく質の改変から選ばれる2つ、又は3つ以上の手段を組み合わせてもよい。
<2>本発明のコリネ型細菌を用いたL−アルギニン、L−リジンの生産
上記のようにして得られるコリネ型細菌を培地で培養し、該培地中にL−アルギニン、L−リジンを生成蓄積させ、該培地からL−アルギニン、L−リジンを採取することにより、L−アルギニン、L−リジンを効率よく製造することができる。
本発明のコリネ型細菌を用いてL−アルギニン、L−リジンを生産するには、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の培地を用いて常法により行うことができる。合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。培地に使用される炭素源および窒素源は培養する菌株の利用可能であるものならばいずれの種類を用いてもよい。
炭素源としては、グルコース、グリセロール、フラクトース、スクロース、マルトース、マンノース、ガラクトース、澱粉加水分解物、糖蜜等の糖類が使用され、その他、酢酸、クエン酸等の有機酸、エタノール等のアルコール類も単独あるいは他の炭素源と併用して用いられる。
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、りん酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩または硝酸塩等が使用される。
有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、更にこれらのものを含有するペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆たん白分解物等が使用され、生育にアミノ酸などを要求する栄養要求性変異株を使用する場合には要求される栄養素を補添することが好ましい。
無機塩類としてはりん酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が使用される。
培養は、発酵温度20〜45℃、pHを5〜9に制御し、通気培養を行う。培養中にpHが下がる場合には、炭酸カルシウムを加えるか、アンモニアガス等のアルカリで中和する。かくして10時間〜120時間程度培養することにより、培養液中に著量のL−アルギニン、L‐リジンが蓄積される。
培養終了後の培養液からL−アルギニン、L−リジンを採取する方法は、公知の回収方法に従って行えばよい。例えば、培養液から菌体を除去した後に、濃縮晶析することによって採取される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
<参考例1>コリネ型細菌のアルギニンリプレッサー欠損株の構築
<1>argR破壊用プラスミドの作製
ブレビバクテリウム・フラバム野生株2247株(AJ14067)の染色体DNAを鋳型とし、配列番号1(配列番号15の塩基番号4から28の配列)および配列番号2(配列番号15の塩基番号4235から4211の配列に相補的な配列)に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行った。PCRは、Pyrobest DNA polymerae(宝酒造)を用い、98℃10秒、58℃1分、72℃3分を1サイクルとして30サイクル行った。得られた
増幅断片を、クローニングベクターpHSG399のマルチクローニングサイト内のSmaIサイトに挿入した。
挿入されたDNA断片からアルギニンリプレッサーをコードしていると思われるORF全てを欠失させるために、配列番号3(配列番号15の塩基番号2372から2395の配列)および配列番号4(配列番号15の塩基番号1851から1827の配列に相補的な配列)に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとし、増幅断片が挿入されたpHSG399を鋳型をしてPCRを行った。PCR産物をセルフライゲーションすることにより、pssERを構築した。
次に、pssERを制限酵素SmaIおよびSalIで消化して得た断片と、温度感受性プラスミドpSFKT2(特開2000-262288号公報参照)をSmaI、SalIで消化したものを連結することにより、コリネ型細菌で自律複製能が温度感受性になったargR破壊用プラスミドpssERTを得た。
<2>相同組換えによるコリネ型細菌のアルギニンリプレッサー欠失株の取得
上記のようにして得たプラスミドpssERTを、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムの野生株2256(ATCC13869)に導入した。プラスミドの導入は電気パルス法(特開平2-207791号)を用いた。本プラスミドは、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム中で自律複製能が温度感受性であるため、本プラスミドが相同組換えによって染色体に組み込まれた株のみが、プラスミド複製の非許容温度である34℃でカナマイシン耐性株として選択できる。argR破壊用プラスミドが染色体に組み込まれた株は、25μg/mlのカナマイシンを含むCM2G培地プレート(ポリペプトン10g、酵母エキス10g、グルコース5g、NaCl 5g、寒天15gを純水1Lに含む。pH7.2)にて、カナマイシン耐性株として選択した。この段階では、染色体由来の正常なargR遺伝子と、プラスミド由来のORFが欠失したargR遺伝子とが、プラスミド部分を挟んで染色体上にタンデムに存在する。
次に、組換え株を、再度相同組換えを起こさせ、プラスミド複製の非許容温度34℃でカナマイシン感受性になった株を選択することにより、プラスミド部分とともにargR遺伝子の一方が脱落した株を選択した。これらの株は、染色体上に正常なargR遺伝子が残された株と、破壊型argR遺伝子が残された株とが存在する。これらの中から、破壊型argR遺伝子のみを保持する株を選択した。染色体上のargR遺伝子が破壊型であるかどうかは、34℃でカナマイシン感受性になった株の染色体を調製し、これを鋳型とし、配列番号1および配列番号2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、親株由来の染色体を鋳型にして同様にPCRを行ったものよりも、PCR産物が約600bp短くなることで確認することができる。
上記のようにして選択されたargR破壊株のPCR産物のダイレクトシークエンスを行い、目的どおりargR遺伝子が破壊されていることを確認し、2256ΔR株を得た。同株は、親株に比べて著量のL−アルギニンを産生する(特開2002−51790参照)。
<実施例1>アデニリルトランスフェラーゼ(GlnE)欠損株の構築
<1>GlnE欠損用プラスミドの作製
ブレビバクテリウム・フラバムATCC14067のglnE配列は既に明らかにされている(EP1229121 A2)。報告されている塩基配列に基づいて、配列表配列番号5および6に示すプライマーを合成し、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株の染色体DNAを鋳型にして、PCR法によりglnE内部断片を増幅した。
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株の染色体DNAの調製は、Bacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies Corp.)を用いて行った。また、PCR反応は、Pyrobest DNA Polymerase(宝酒造)を用い、変性94℃ 30秒、会合55℃ 15秒、伸長72℃ 2分の条件で30サイクル行った。
生成したPCR産物を常法により精製後、Blunting-Kit(宝酒造)で平滑末端化し、pHSG299のHincII部位にライゲーションキット(宝酒造)を用いて連結した後、エシェリヒア・コリJM109のコンピテントセル(宝酒造)を形質転換し、IPTG 10μg/ml, X-Gal 40μg/mlおよびカナマイシン25μg/mlを含むL培地に塗布し、一晩培養した。その後、出現した白色のコロニーを釣り上げ、単コロニー分離し、形質転換体を得た。
形質転換体からアルカリ法によりプラスミドを調製した後、構造を確認し、ベクターにglnE遺伝子の部分断片が挿入されているプラスミドをpΔATase-299と名付けた。
上述のpΔATase-299は、コリネ型細菌の細胞内で自律複製可能な配列を含まないため、本プラスミドでコリネ型細菌を形質転換した場合、極めて低頻度であるが本プラスミドが相同組換えにより染色体に組み込まれた株が形質転換体として出現する。
<2>アルギニンリプレッサー欠損株へのpΔATase-299の導入と培養評価
参考例1で取得したアルギニンリプレッサー欠損株2256ΔargR株に、電気パルス法(特開平2-207791号公報参照)によりプラスミドpΔATase299を形質転換し、カナマイシン耐性を指標として形質転換体を得た。PCRにて形質転換体のglnE遺伝子近傍を増幅し、glnE遺伝子が破壊されているかを確認し、2256ΔargRのglnE破壊株(2256ΔargRΔglnE)を取得した。得られた形質転換体2256ΔargRΔglnEを用いてL−アルギニン、L−リジン生産のための培養を以下のように行った。
25μg/mlのカナマイシンを含むCM2Gプレート培地にて培養して得た2256ΔargRΔglnEの菌体を、グルコース40g、(NH4)2SO4 65g、KH2PO4 1g、MgSO4・7H2O 0.4g、FeSO4 0.01g、MnSO4 0.01g, VB1-HCl 50μg、ビオチン50μg、大豆加水分解物45mg(N量)、CaCO3 50gを純水1Lに含む培地(KOHでpH7.0に調整されている)に接種し、31.5℃にて培地中の糖が消費されるまでしんとう培養した。
培養終了後、培養液中のL−アルギニン蓄積量(Arg)は、培養液を適当に希釈した後、液体クロマトグラフィーにより分析した。L−リジン蓄積量(Lys)、L−グルタミン酸蓄積量(Glu)は、培養液を適当に希釈した後、バイオテックアナライザー(旭化成)により測定した。L−グルタミン(Gln)、N−アセチルグルタミン酸は培養液を希釈した後、液体クロマトグラフィーにより分析した。結果を表1に示す。
上記の各菌株のGS活性についても測定した。GS活性は、Journal of Fermentation and Bioengineering, Vol.70, No.3, 182-184, 1990に記載の方法を参考とし、イミダゾール-HCl(pH7.0)100mM, NH4Cl 0.1mM, MnCl2 1mM, ホスホエノールピルビン酸1mM, NADH 0.3mM, ラクテートデヒドロゲナーゼ10U, ピルビン酸キナーゼ25U, ATP 1mM, MSG 10mMを含む溶液に、粗酵素液を加え、30℃における340nMの吸光度変化を測定することによって測定した。ブランクの測定には、上記反応液よりMSGを除いたものを用いた。粗酵素液は、上記の培養液より遠心分離により菌体を分離し、イミダゾール-HCl(pH7.0)100mMで洗浄後、超音波破砕し、未破砕菌体を遠心分離で除去することにより、調製した。粗酵素液のたんぱく質濃度は、牛血清アルブミンを標準試料として、Protein Assay(Bio-Rad)を用いて定量した。結果を表2に示す。
Figure 0004576850
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GlnE欠損株では、親株である2256ΔargRと比し、L−アルギニン、L−リジンの蓄積の向上が認められた。GSの比活性は、GlnE欠損株は親株の約2.4倍に向上していた。また、L−アルギニンの前駆体である、N−アセチルグルタミン酸、グルタミン酸の増加も認められた。
2256ΔargRΔglnE株は、プライベートナンバーAJ110145が付与され、2003年2月18日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM P-19216として寄託されている。同株は、2004年2月19日にブダペスト条約に基づき国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-08630が付与されている。
<実施例2>GSアデニリル化部位改変株の評価
<1>GlnAアデニリル化部位改変プラスミドの構築
コリネ型細菌のglnA遺伝子産物(GlnA)のアデニリル化部位は、既に明らかにされている(FEMS Microbiology Letters, 303-310,(173)1999)。そこで、GlnAアデニリル化部位が改変されたglnA遺伝子で、染色体上のglnA遺伝子と置換することにより、GlnAアデニリル化部位改変株の取得を行った。具体的な方法を以下に記す。
まず、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869の染色体DNAを鋳型として、配列番号7と8の合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、glnA遺伝子N末端側の増幅産物を得た。一方、glnA遺伝子C末端側の増幅産物を得るために、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株の染色体DNAを鋳型として、配列番号9と10の合成DNAをプライマーとしてPCRを行った。配列番号8と9にはミスマッチが導入されているので、これらの増幅産物の末端には変異が導入される。具体的には、この変異によってGlnAの405位のチロシン残基がL−フェニルアラニン残基に置換される。
次に、変異が導入されたglnA遺伝子断片を得るために、上記glnA N末側およびC末側の遺伝子産物を、それぞれほぼ等モルとなるように混合し、これを鋳型として、配列番号10と11の合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、アデニリル化部位に変異が導入された
glnA遺伝子増幅産物を得た。生成したPCR産物を常法により精製後、HincIIで消化し、pHSG299(宝酒造)のHincII部位に挿入した。このプラスミドをpGSA2と名付けた。
上述のpGSA2は、コリネ型細菌の細胞内で自律複製可能とする領域を含まないため、本プラスミドでコリネ型細菌を形質転換した場合、極めて低頻度であるが本プラスミドが相同組換えにより染色体に組み込まれた株が形質転換体として出現する。
<2>アルギニンリプレッサー欠損株へのpGSA2の導入と培養評価
参考例1に記載のブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869由来のArgR欠損株である2256ΔR株を、電気パルス法(特開平2-207791号公報参照)により高濃度のプラスミドpGSA2を用いて形質転換し、カナマイシン耐性を指標として形質転換体を得た。得られた形質転換体のglnA遺伝子の配列を決定し、その配列中のアデニリル化部位がpGSA2由来のglnAのその領域と置換されたものを2256ΔargRAdeと名付けた。2256ΔargR、2256ΔargRAde株を用いて、L−アルギニン、L−リジン生産のための培養、及びGS酵素活性測定を、実施例1<2>に記載の方法と同様にして行った。その結果を表3、4に示した。
Figure 0004576850
Figure 0004576850
2256ΔargRAde株では、2256ΔargRに比べ、L−アルギニン、L−リジン蓄積の向上が認められた。またアルギニンの前駆体である、L−グルタミン酸、L−グルタミン、N−アセチルグルタミン酸の増加も認められた。GS活性は約2.6倍に上昇していた。
2256ΔargRAde株は、プライベートナンバーAJ110146が付与され、2003年2月18日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM P-19217として寄託されている。同株は、2004年2月19日にブダペスト条約に基づき国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-08631が付与されている。
<実施例3>AmtR欠損株の取得と評価
<1>AmtR欠損用プラスミドの作製
コリネ型細菌のamtR遺伝子産物(AmtR)欠損用のプラスミドの取得は以下のように行なった。
まずブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株の染色体DNAを抽出し、これを鋳型として、配列番号13と14の合成DNAをプライマーとしてPCR反応を行った。得られたDNA断片を平滑末端化し、これをpHSG299(宝酒造)のHinCII部位に挿入した。このプラスミドをpΔamtRと名付けた。
上述のpΔamtRは、コリネ型細菌の細胞内で自律複製可能とする領域を含まないため、本プラスミドでコリネ型細菌を形質転換した場合、極めて低頻度であるが本プラスミドが相同組換えにより染色体に組み込まれた株が形質転換体として出現する。
<2>アルギニンリプレッサー欠損株へのpΔamtRの導入と培養評価
参考例1で取得したアルギニンリプレッサー欠損株2256ΔargR株をpΔamtRで形質転換し、カナマイシン耐性を指標として形質転換体を得た。PCR法にて形質転換体のamtR遺伝子近傍を増幅し、amtR遺伝子が破壊されているかを確認し、2256ΔargR amtR破壊株(2256ΔargRΔamtR)を取得した。得られた形質転換体2256ΔArgRΔamtRを用いてL−アルギニン、L−リジン生産のための培養を、実施例1<2>に記載の方法で行った。その結果を表5、表6に示した。
Figure 0004576850
Figure 0004576850
2256ΔargRΔamtR株では、2256ΔargRに比べ、L−アルギニン、L−リジン蓄積の向上が認められた。またアルギニンの前駆体である、グルタミン酸、N−アセチルグルタミン酸、グルタミンの蓄積も認められた。GS活性は約2.6倍に上昇していた。
2256ΔargRΔamtR株は、プライベートナンバーAJ110144が付与され、2003年2月18日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-5466 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM P-19215として寄託されている。同株は、2004年2月19日にブダペスト条約に基づき国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-08629が付与されている。
〔配列表の説明〕
配列番号1:argR遺伝子増幅用プライマー
配列番号2:argR遺伝子増幅用プライマー
配列番号3:argR遺伝子を含むプラスミドのargR遺伝子ORF以外の部分を増幅するためのプライマー
配列番号4:argR遺伝子を含むプラスミドのargR遺伝子ORF以外の部分を増幅するためのプライマー
配列番号5:glnE破壊用プライマーN
配列番号6:glnE破壊用プライマーC
配列番号7:glnAアデニリル化 1st PCRプライマーNN
配列番号8:glnAアデニリル化1st PCRプライマーNC
配列番号9:glnAアデニリル化 1st PCRプライマーCN
配列番号10:glnAアデニリル化1st PCRプライマーCC
配列番号11:glnA 2nd PCRプライマーN
配列番号12:glnA 2nd PCRプライマーC
配列番号13:amtR破壊用プライマーN
配列番号14:amtR破壊用プライマーC
配列番号15:argR遺伝子の塩基配列
配列番号16:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号17:glnE遺伝子の塩基配列
配列番号18:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号19:glnA遺伝子の塩基配列
配列番号20:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号21:amtR遺伝子の塩基配列
配列番号22:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列
配列番号23:glnB遺伝子の塩基配列
配列番号24:前記DNA断片がコードし得るアミノ酸配列

Claims (2)

  1. L−アルギニン又はL−リジン生産能を有し、かつ、細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が増強されるように改変されたコリネ型細菌を培地に培養し、該培地中にL−アルギニン又はL−リジンを生成蓄積させ、同培地からL−アルギニン又はL−リジンを採取することを特徴とするL−アルギニン又はL−リジンの製造方法であって、前記コリネ型細菌は、
    (A)405位のチロシン残基がL−フェニルアラニン残基に置換されたグルタミンシンテターゼを保持すること、
    (B)染色体上のグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼをコードするglnE遺伝子を破壊すること、
    又は、(C)染色体上のamtR遺伝子を破壊すること、
    から選ばれる1以上の方法により細胞内のグルタミンシンテターゼ活性が増強された細菌であることを特徴とする方法。
  2. 前記コリネ型細菌は染色体上のアルギニンリプレッサーをコードする遺伝子が破壊された、請求項1に記載の方法。
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