JPWO2005114011A1 - ホールプラグ - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、ホールプラグの構成について述べると、例えば円形状を呈した貫通孔内に嵌着される筒形状の取付部と、取付部の根元側に皿形状に一体的に形成された蓋部と、を有して成形されている。なお、この種のホールプラグには、取付部と蓋部とが弾性やシール性に優れた素材であるエラストマによって一体成形されたものや、合成樹脂製の取付部に対しエラストマ製の蓋部が接合されて一体的とされたものなどがある。以下、これらの構成について簡潔に説明する。
先ず、前者のエラストマによって一体成形されたタイプのものは、取付部の先端側部位が切頭傘形状とされて外方向に張出されて形成されている。詳しくは、貫通孔の径よりも張出されて形成されている。一方、蓋部も取付部の傘形状の垂下がる方向に対向して切頭傘形状に形成されている。したがって、使用時には、取付部の切頭側を貫通孔内に差込むと、取付部の傘形状が窄められながら挿入され、貫通孔を通過した後に広げられて貫通孔周りの内側壁面に掛着する。一方、この取付部を差込む動作に伴なって、蓋部の傘形状は外側壁面上を摺動するようにして広げられる。そして、取付部を掛着したことにより生じる弾発力(反発力)の作用によって、広げられた蓋部の傘形状が貫通孔周りの外側壁面に密着力を作用させる。すなわち、取付部と蓋部とに設けられた傘形状の両者が互いに弾発力を作用させることにより密着力を発揮している。
次に、後者のタイプのものは、合成樹脂製の取付部の先端側の両側面(周面)部位が部分的に切込まれて外方向に張出された(貫通孔の径よりも張出された)掛着爪が形成されている。なお、蓋部については前者のものと略同様の構成を有しているため説明を省略する。したがって、このような構成のホールプラグを貫通孔内に差込むと、掛着爪が貫通孔の内側壁面に弾性的に掛着する。なお、この場合には、蓋部の傘形状に作用する弾発力(反発力)によって、密着力を作用させることになる。
なお、この種の関連技術として、下記特許文献1が開示されている。
すなわち、例えば、上記従来の技術のうちの前者(ホールプラグがエラストマによって一体成形されているタイプ)の場合には、蓋部が比較的剛性の低いエラストマによって形成されているため、作業者が取付部の傘形状を貫通孔内に差込んだとしても、窄められた傘形状が内部で開かれた(掛着した)かどうかの節度感が得られない。したがって、取付部が完全に差込まれたかどうかが把握できず、何度も差込み方向に力を加えてみたり、場合によっては嵌込みをし直してみたりしなければならなかった。
また、後者の場合には、蓋部が合成樹脂製であるため、その剛性によって、差込んだ際に一定の節度感を得ることはできた。しかしながら、この場合には、取付部を掛着させても蓋部の傘形状を外側壁面に密着させるための弾発力(反発力)が作用しない。したがって、例えば、蓋部を2重シール構造に形成したり、傘形状を長尺にして垂下方向を向く形状にしたりして、密着力(シール性能)が確保される形状にしなければならなかった。しかし、このような形状にすると、蓋部の構造上、取付部を貫通孔内に差込むに随って蓋部の傘形状に作用する弾発力(ホールプラグを抜き外す方向に作用する反発力)が増大するため、取付部を差込み難くなる。また、傘形状を長尺に形成したことによって、最終的な蓋部の広がり量(シール面の占める径)が無駄に大きくなってしまう。したがって、ホールプラグの十分な取付けスペースが確保できないような場所では、その使用が制限されてしまう。
先ず、第1の発明は、所定の区画壁に形成された貫通孔に嵌着して、貫通孔を塞ぐホールプラグであって、貫通孔に嵌合されて区画壁の一側面に掛着される合成樹脂製の取付部と、貫通孔を塞ぐことのできる大きさ形状であってその周縁部位が区画壁の他側面に密着接触すると共に、その中央部位で取付部に一体的とされている蓋部とを有し、蓋部は、その周縁部位又は周縁部位近傍には蓋部に外力を加えても周縁部位の大きさ形状を維持することのできる形状維持手段が設けられていると共に、形状維持手段と取付部に一体的とされた中央部位との間には外力が加わったとき弾性座屈変形可能な弾発力付与手段が設けられており、弾発力付与手段により蓋部の周縁部位を区画壁の他側面に密着接触させているものである。
ここで、形状維持手段としては、例えば、蓋部の区画壁の他側面に接触する部位に摺動摩擦抵抗力を付与するなどして移動を拘束するものや、周縁部位又は周縁部位近傍の形状や素材を圧縮力によって変形し難くした(フープ応力を高めた)ものが挙げられる。
この第1の発明によれば、取付部を貫通孔内に差込む圧縮力を作用させると、蓋部の周縁部位が区画壁の他側面に密着接触する。このとき、周縁部位又は周縁部位近傍は、蓋部に外力を加わっても形状維持手段によって大きさ形状が維持される。したがって、この形状維持手段が形成された部位は、他側面上に密着接触した位置で位置固定されるため、外力によって広げられない。一方、形状維持手段と取付部に一体的とされた中央部位との間の部位は、この外力を受けると、弾発力付与手段により形状維持手段が形成された部位に対して弾性座屈を伴ないながら内側に折曲げられる。そして、この折曲げられることで生じる弾発力によって、周縁部位を区画壁の他側面に密着接触させる。
この第2の発明によれば、蓋部はエラストマにより一体成形されている。また、形状維持手段を形成する部位が厚肉に形成されているため、弾発力付与手段を形成する部位よりも変形し難くなり(フープ応力が高くなり)、かつ、外力の作用が弾発力付与手段を形成した部位に集中し易くなる。
この第3の発明によれば、蓋部の形状維持手段を形成する部位が断面V字状に形成されているため、区画壁の他側面(接触面)に対するシール姿勢を一定に保持するように作用する。したがって、弾発力が安定的に作用する。また、2重シール構造とすることでシール性能が向上する。
先ず、第1の発明によれば、ホールプラグを貫通孔に差込むときに、蓋部の周縁部位が広がらない(外方向に張出さない)ため、シール面の占める径を小さく抑えることができる。また、ホールプラグを貫通孔内に差込むに随って、蓋部が弾性座屈を伴いながら変形する。したがって、ホールプラグの差込みに必要な力が少なくて済み、かつ、弾性座屈時に適度な節度感が得られるため、取付作業が容易となる。
次に、第2の発明によれば、エラストマの一体成形による簡単な構成によって、第1の発明の効果を得ることができる。また、蓋部をエラストマ製とすることでシール性能が向上する。
次に、第3の発明によれば、蓋部に生じる弾性反発力が区画壁の他側面への密着接触力として安定的に作用させることができる。したがって、シール性能を安定的に発揮することができる。
本実施例のホールプラグ10は、車両のボデー等の部位(区画壁40)の製造加工時に形成された貫通孔41のうち、最終的に使用されずに開口状態のままにされる貫通孔41に差込まれることにより、貫通孔41に嵌着し内側Iを密閉状態にする。
次に、ホールプラグ10の構成について説明する。ホールプラグ10は、図1に良く示されるように、合成樹脂製の有底筒形状の取付部30と、この取付部30の根元側30bで一体形成された切頭傘形状の蓋部20と、によって構成されている。
したがって、この取付部30は、ホールプラグ10を先端側30aから貫通孔41の内側Iに向けて差込むようにすると、掛着爪32が区画壁40の孔壁面42に当接して弾性的に窄められる。そして、図3に良く示されるように、取付部30を更に差込んで掛着爪32が貫通孔41内を通過して内側Iに完全に到達すると、掛着爪32が弾性的に拡開されて内側面43に掛着する。これにより、取付部30が掛着状態となって抜け外れない状態(ロック状態)になる。ここで、内側面43が本発明の一側面に相当する。
更に、周縁部位21の厚肉部21aには断面V字状のシール部21bが形成されている。詳しくは、図2及び図3に良く示されるように、取付部30を貫通孔41内に差込む外力を作用させると、このシール部21bが区画壁40の外側面44に接触し、密着力を作用させる。より詳しくは、V字状のそれぞれの接触部位は、外力の作用を受けた際のシール姿勢を一定に保持するように保持力を作用させる。また、いわゆる2重シール構造によってシール性能を向上させた構成となっているが、この接触部位がV字の開き形状とされていることで、内外に対するシール性能がより効果的に発揮されるようになっている。ここで、外側面44が本発明の他側面に相当する。
先ず、図2に良く示されるように、取付部30を貫通孔41内に差込む外力を作用させると、蓋部20の周縁部位21が区画壁40の外側面44に密着接触する。詳しくは、周縁部位21に設けられた断面V字状のシール部21bが外側面44に密着接触して2重シールする。このとき、周縁部位21は、蓋部20に外力が加わっても厚肉部21aによって大きさ形状が維持される。したがって、この周縁部位21は、区画壁40の外側面44に面接触した位置で位置固定されるため、外力によって外側面44の面方向に広げられることがない。
一方で、蓋部20の側面部位23は、この外力を受けると、その作用が集中的に作用する。詳しくは、図3に良く示されるように、側面部位23は、周縁部位21よりも薄肉で、かつ、長尺形状に形成されているため、位置固定された周縁部位21に対しその偏心位置から外力が作用すると、大きな曲げ力の作用を受ける。そして、側面部位23は、この曲げ力によって局所的な弾性座屈を伴いながら内側に折曲げられる。したがって、この弾性座屈に伴ない、ホールプラグ10を差込むために必要な力が小さくなる。
また、このとき、側面部位23には、折曲げられた分の弾性変形に対する弾発力(復元力)が作用する。この弾発力は、蓋部20の周縁部位21を区画壁40の外側面44に密着接触させるように作用する。また、蓋部20に形成された断面V字状のシール部21bは、この弾発力の作用によって、周縁部位21を外側面44の面方向に移動させる力に対し抑止力を作用させる。
そして、取付部30は、掛着爪32が貫通孔41内を通過して弾性的に拡開されることにより内側面43に掛着し、上記した弾発力に対抗する掛着力を作用させる。これにより、蓋部20の周縁部位21が区画壁40の外側面44に密着接触された状態で保持される。
先ず、ホールプラグ10の取付部30を先端側30aから貫通孔41の内側Iに向けて差込む。これにより、図2に良く示されるように、蓋部20の周縁部位21が区画壁40の外側面44に密着接触する。その後、更に取付部30を内側Iに向けて差込むと、蓋部20の周縁部位21は外側面44の面方向に広げられることなく位置固定され、側面部位23は弾性座屈を伴いながら内側に折曲げられる。すなわち、蓋部20に作用する弾発力(反発力)が小さくなる。このとき、ホールプラグ10の取付作業者は、この弾発力(反発力)の変化が一定の節度感として感じられる。そして、取付部30を区画壁40の内側面43に掛着するまで差込むことにより、ホールプラグ10が貫通孔41に嵌着され、内側Iが密閉状態とされる。
また、蓋部20は、周縁部位21を厚肉形状にし側面部位23を薄肉形状にしたエラストマによる一体成形とされており、このような簡単な構成により上述した効果が得られる。更に、蓋部20に形成された断面V字状のシール部21bによって、区画壁40の外側面44への密着接触力を安定的に作用させることができるため、シール性能が安定的に発揮される。
図4及び図5に示されるように、ボデー部材130は板状部材で形成されており、貫通した孔132が穿設されている。孔132はこの実施の形態では丸孔として形成されている。ボデー部材130は例えば自動車の外板を構成するものであり、この外板に穿設される孔132は塗装時の塗料が流通するための孔として、または部品を組付ける際の作業用の孔として用いられるものである。これらの孔132は自動車を製造組立てる際に必要となるもので、組立てが終わった後の自動車の使用状態では何ら機能を果たさない不要のものである。このため、孔132の機能が不要となった状態では、この孔132にホールプラグ110が取付けられて閉塞される。なお、このホールプラグ110の閉塞においては、ボデー部材130の内外の両方向に対する水の流通を遮断するために防水機能を持たせて閉塞される。
そして、係合爪121が形成された部位の両側は、図4に示されるように、スリット126が形成されており、係合爪121は独立して径方向に撓み得るようにバネ作用が付与されている。具体的には、係合爪121は径方向外方へのバネ作用が付与されており、このバネ作用を以ってボデー部材130の孔132の下縁に係合して、図5で見て、嵌合部位120の上方への抜け止めを行っている。
外周位置に配置されたシール片111aは半径方向外方に向けて、且つボデー部材130に向けて下方に傾斜した状態で配設され、ボデー部材130の表面に適当な圧接状態で配設されている。これに対して、内周位置に配置されたシール片111bは半径方向内方に向けて、且つボデー部材130に向けて下方に傾斜した状態で配設され、ボデー部材130の表面に適当な圧接状態で配設されている。すなわち、シール片111aと111bは逆方向に向けて配設されている。
なお、シール部材111を構成するシール片111a、111bは、シール機能を持たせることができる材質で形成される。例えば、ゴム材、或いはエラストマ等の樹脂材で形成される。
図6は上述において説明した図5に示すホールプラグ110の取付け状態を示す断面図の左半分を拡大して示したものである。先ず、図示上方のボデー部材130の外面側から下方の内面側への水の浸入、すなわち(a)矢印で示す方向からの水の浸入に対しては、シール部材111として外周位置に配置されたシール片111aによりシールされ防水作用が行われる。この防水作用は、(a)矢印で示す方向から水が浸入しようとすると、その水の浸入圧力がシール片111aの外面に作用し、シール片111aとボデー部材130とが当接する圧接密着力を強める。その結果、(a)矢印で示す方向からの水の浸入がシール片111aにより阻止され、ホールプラグ110としての防水性が確保される。
すなわち、本実施の形態のホールプラグ110によれば、(a)及び(b)矢印方向の、ボデー部材130の内外両方向からの水の浸入に対して、防水機能を有するものである。
次に、シール部材は二重のシール片から構成されており、シール部材の一片によりボデー部材130の一方から他方への水の浸入を阻止することができ、また、シール部材の他片により逆にボデー部材130の他方から一方への水の浸入を確実に阻止することができる。この結果、二重のシール片により両方向からの水の浸入を防止する防水機能を効果的に果たすことができる。
また、ホールプラグ110をボデー部材130に取付ける場合、車両の外・室内のいずれから嵌めても水漏れがしないことから、該ホールプラグ110の嵌合方向を気にせずに済み、作業性が向上するという効果もある。
先ず、実施例1では、本発明の形状維持手段に相当する厚肉部21aを蓋部20の周縁部位21に形成したものを示したが、例えば、意匠性を考慮して、周縁部位の近傍に形成したものであってもよい。この場合でも、周縁部位の大きさ形状を維持させることができる。
また、本発明の弾発力付与手段に相当する構成として、蓋部20の側面部位23を薄肉にした(薄肉部23aを形成した)ものを示したが、例えば、側面部位に部分的な切欠きを形成して外力による作用が集中(応力集中)するように形成したものでも良い。その他にも、厚肉部に対して外力の作用する偏心位置を変化させることにより、側面部位に大きな曲げ応力が作用するように設定したものであっても良い。
更に、実施例1では、貫通孔41が円形状に形成され、ホールプラグ10もこれに対応した形状にしたものを示したが、例えば、貫通孔が四角形状や三角形状で形成されている場合には、その貫通孔の形状に合わせて取付部や蓋部の形状が決定されることは言うまでもない。
また、実施例2では、ボデー部材130に穿設される孔132は丸孔の場合について説明したが、孔132は角形状のものであっても良い。同様に、シール部材111を構成するシール片111a、111bも円環状の場合について説明したが、孔132に対応した形状に適宜形成することができるものである。しかし、いずれの形状とする場合でも無端状に構成することは必要である。
Claims (3)
- 所定の区画壁に形成された貫通孔に嵌着して、該貫通孔を塞ぐホールプラグであって、
前記貫通孔に嵌合されて区画壁の一側面に掛着される合成樹脂製の取付部と、
前記貫通孔を塞ぐことのできる大きさ形状であってその周縁部位が前記区画壁の他側面に密着接触すると共に、その中央部位で前記取付部に一体的とされている蓋部とを有し、
該蓋部は、その周縁部位又は周縁部位近傍には該蓋部に外力を加えても該周縁部位の大きさ形状を維持することのできる形状維持手段が設けられていると共に、該形状維持手段と前記取付部に一体的とされた中央部位との間には外力が加わったとき弾性座屈変形可能な弾発力付与手段が設けられており、該弾発力付与手段により蓋部の周縁部位を前記区画壁の他側面に密着接触させているホールプラグ。 - 請求項1に記載のホールプラグであって、
前記蓋部はエラストマで形成されており、前記形状維持手段を形成する部位が前記弾発力付与手段を形成する部位より厚肉に形成されて構成されているホールプラグ。 - 請求項2に記載のホールプラグであって、
前記エラストマで厚肉に形成された形状維持手段を形成する部位には断面V字状の2重シール構造が形成されているホールプラグ。
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