JP4237011B2 - ホールプラグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホールプラグに関する。特に、自動車等車両のボデー部材に作業孔や塗装孔として穿設された孔を防水機能を持たせて閉塞するホールプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等車両においては、例えば部品の組付け作業時に用いられる作業孔や、塗装時に用いられる塗装孔がボデー部材に穿設されている。これらの作業孔や塗装孔の孔は自動車の完成品状態においては何ら機能するものではないことから、この孔の役割を終えた後にこの孔をホールプラグにより閉塞している。一般にこれらの孔は外板のボデー部材に設けられることが多いことから、自動車の使用状態では走行時に雨水や泥水にさらされることがあり、このためホールプラグには防水機能を持たせているのが一般的である。
図4にこの種のホールプラグを示す(特許文献1参照)。図4において、10はホールプラグ、30はボデー部材を示しており、図示状態で上方がボデー部材30の外面すなわち自動車の外面を示している。ボデー部材30には前述した役割のための孔32が穿設されており、この孔32にホールプラグ10の嵌合部位20が嵌め込まれて取付けられている。図示状態で嵌合部位20の下端には係合爪21が取付けられており、この係合爪21が孔32の縁に係合して取付けられている。係合爪21は内方へ撓み得ることが可能なバネ作用が付与されており、このバネ作用が係合爪21と孔32との係合に付与されて、嵌合部位20が上方へ抜けないように係合している。
図示上方のボデー部材30の外面側には孔32を塞ぐための閉塞部位25が嵌合部位21の上端に一体的に取付けられている。閉塞部位25は円板形状に形成されており、その外周端にシール片27が一体的に設けられている。シール片27は図示で見て外方向下方に向けて延設して形成され、ボデー部材30に対して当接した状態で配設された状態となっている。
【0003】
従来のホールプラグ10は上述した構成をとることにより、図5に示すように、図示上方のボデー部材30の外面側から下方の内面側への水の浸入、すなわち(a)矢印で示す方向からの水の浸入に対しては防水機能を果たすことができる。この防水機能は、(a)矢印で示す方向から水が浸入しようとすると、その水の浸入圧力がシール片27の外面に作用し、シール片27とボデー部材30とが当接する密着力を強める。その結果、(a)矢印で示す方向からの水の浸入がシール片27により阻止され、ホールプラグ10としての防水性が確保される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−81428号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
自動車等車両においては、外部から内部への防水機能が必要とされるばかりでなく、孔が穿設される位置によっては内部から外部への防水機能も必要とされる場合があり、両方向からの防水機能を必要とする場合がある。しかし、図5に示すように、図示下方のボデー部材30の内面側から上方の外面側への水の浸入、(b)矢印で示す方向からの水の浸入に対しては、その水の浸入圧力はシール片27の内面に作用し、シール片27とボデー部材30とが当接する密着力を弱める方向に働く。この結果、水はシール片27を容易に通過することが可能となり、防水機能を果たすことができない、という問題点があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題点を解決するために創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、ホールプラグが取付けられるボデー部材の内外両方向からの水の浸入に対する防止機能を、水の浸入方向の圧力を利用して行わせることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明は次の手段をとる。
まず、第1の発明に係るホールプラグは次の手段をとる。すなわち、ボデー部材に穿設された孔を閉塞するために、該孔に嵌め込められて取付けられる防水機能を有するホールプラグにおいて、前記ボデー部材に穿設された孔に嵌合して取付けられる嵌合部位と、前記孔を塞ぐことができる面積形状を有し前記嵌合部位の一端に一体的に取付けられる閉塞部位とからなり、該閉塞部位には前記孔より外方位置に該孔に対して出入りしようとする両方向の流れに対してその流れの圧力を受けて防水機能を果たすシール部材が無端状に設けられており、該シール部材は、二重の同心円状のシール片から成っており、前記ボデー部材に対して、一片は外方に向けて当接配設されており、他片は内方に向けて当接配設されるようになっていることを特徴とする。
この第1の発明によれば、ホールプラグの閉塞部位に設けられた無端状のシール部材が、ボデー部材に穿設された孔に対して出入りしようとする両方向の流れに対してその流れの圧力を受けて防水機能を果たすようになっている。すなわち、シール部材は両方向の流れの圧力を受けるとシール部材とボデー部材との間の当接密着力を強め、シール機能を強める。このため、ホールプラグが取付けられるボデー部材の内外両方向からの水の浸入を効果的に防止することができる。
【0008】
また、シール部材を構成するシール片の一片により、孔が穿設されたボデー部材の一方側から他方側への水の浸入が阻止され、シール片の他片により逆にボデー部材の他方側から一方側への水の浸入が阻止される。この結果、二重のシール片によりホールプラグが取付けられるボデー部材の内外両方向からの水の浸入を効果的に防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るホールプラグの実施の形態を図1及び図2により説明する。図1は斜視図、図2は取付け状態を示す断面図である。なお、本実施の形態において、前述した図4に示す従来構造の部品と対応する部品には同一符号を付して示した。
図1及び図2に示されるように、ボデー部材30は板状部材で形成されており、貫通した孔32が穿設されている。孔32はこの実施の形態では丸孔として形成されている。ボデー部材30は例えば自動車の外板を構成するものであり、この外板に穿設される孔32は塗装時の塗料が流通するための孔として、または部品を組付ける際の作業用の孔として用いられるものである。これらの孔32は自動車を製造組立てる際に必要となるもので、組立てが終わった後の自動車の使用状態では何ら機能を果たさない不要のものである。このため、孔32の機能が不要となった状態では、この孔32にホールプラグ10が取付けられて閉塞される。なお、このホールプラグ10の閉塞においては、ボデー部材30の内外の両方向に対する水の流通を遮断するために防水機能を持たせて閉塞される。
【0010】
ホールプラグ10は嵌合部位20と閉塞部位25とから成っている。図2で見て、嵌合部位20の上端に閉塞部位25が取付けられている。嵌合部位20と閉塞部位25は一体成形により一体的に形成されており、剛性のある合成樹脂製で形成されている。嵌合部位20はボデー部材30に穿設された孔32に嵌合して取付けられる円筒形状の部位であり、図示で見て、嵌合部位20の下端部には係合爪21が形成されている。係合爪21は円筒形状の円周の全周に亘って設けても良いが、この実施の形態では、90度間隔で円周の4箇所に設けられている。そして、係合爪21が形成された部位の両側は、図1に示されるように、スリット26が形成されており、係合爪21は独立して径方向に撓み得るようにバネ作用が付与されている。具体的には、係合爪21は径方向外方へのバネ作用が付与されており、このバネ作用を以ってボデー部材30の孔32の下縁に係合して、図2で見て、嵌合部位20の上方への抜け止めを行っている。
【0011】
閉塞部位25は、ボデー部材30に穿設された孔32を閉塞するための部位であって、孔32の面積形状より大きい円板形状で形成されている。図で見て、閉塞部位25の下面には中央部に突起部40と、外周位置にシール部材11が設けけられている。この両者40と11の中間位置に嵌合部位20の上端が一体的に取り付けられている。突起部40は閉塞部位25を樹脂成形する必要性から設けられているものである。なお、突起部40の長さは嵌合部位20の長さより短くされている。
【0012】
シール部材11は無端の円環状に配置された二重のシール片11a、11bとから成っている。シール片11aが外周位置に配置され、シール片11bが内周位置に配置されている。シール片11a、11bは閉塞部位25に取付けられる根元部で一体とされており、閉塞部位25に接着等適宜固定手段により固定されている。
外周位置に配置されたシール片11aは半径方向外方に向けて、且つボデー部材30に向けて下方に傾斜した状態で配設され、ボデー部材30の表面に適当な圧接状態で配設されている。これに対して、内周位置に配置されたシール片11bは半径方向内方に向けて、且つボデー部材30に向けて下方に傾斜した状態で配設され、ボデー部材30の表面に適当な圧接状態で配設されている。すなわち、シール片11aと11bは逆方向に向けて配設されている。
なお、シール部材11を構成するシール片11a、11bは、シール機能を持たせることができる材質で形成される。例えば、ゴム材、或いはエラストマ等の樹脂材で形成される。
【0013】
上記構成よりなる本実施の形態のホールプラグ10のシール機能を図3により次に説明する。
図3は上述において説明した図2に示すホールプラグ10の取付け状態を示す断面図の左半分を拡大して示したものである。先ず、図示上方のボデー部材30の外面側から下方の内面側への水の浸入、すなわち(a)矢印で示す方向からの水の浸入に対しては、シール部材11として外周位置に配置されたシール片11aによりシールされ防水作用が行われる。この防水作用は、(a)矢印で示す方向から水が浸入しようとすると、その水の浸入圧力がシール片11aの外面に作用し、シール片11aとボデー部材30とが当接する圧接密着力を強める。その結果、(a)矢印で示す方向からの水の浸入がシール片11aにより阻止され、ホールプラグ10としての防水性が確保される。
【0014】
次に、逆方向からの水の浸入である図示下方のボデー部材30の内面側から上方の外面側への水の浸入、すなわち(b)矢印で示す方向からの水の浸入に対しては、シール部材11として内周位置に配置されたシール片11bによりシールされ防水作用が行われる。この防水作用は、(b)矢印で示す方向から水が浸入しようとすると、その水の浸入圧力がシール片11bの外面に作用し、シール片11bとボデー部材30とが当接する圧接密着力を強める。その結果、(b)矢印で示す方向からの水の浸入に対してもシール片11bにより阻止され、ホールプラグ10としての防水性が確保される。
すなわち、本実施の形態のホールプラグ10によれば、(a)及び(b)矢印方向の、ボデー部材30の内外両方向からの水の浸入に対して、防水機能を有するものである。
【0015】
なお、本実施の形態においても、従来と同様、嵌合部位20の係合爪21が孔32に抜け止め係合することにより、シール片11a、11bとボデー部材30の表面との間に生じる当接密着力によってもシール機能がなされている。したがって、詳細にはシール部材11による防水機能は両シール機能が合わされて行われているものである。
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態のほか各種の形態で実施が可能なものである。
例えば、上述した実施の形態では、ボデー部材30に穿設される孔32は丸孔の場合について説明したが、孔32は角形状のものであっても良い。同様に、シール部材11を構成するシール片11a、11bも円環状の場合について説明したが、孔32に対応した形状に適宜形成することができるものである。しかし、いずれの形状とする場合でも無端状に構成することは必要である。
【0016】
【発明の効果】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、ボデー部材に穿設された孔に嵌め込まれて取付けられたホールプラグのシール部材によって、ボデー部材の内外両方向からの孔を通じての水の浸入を阻止することができるため、このシール部材によって両方向の防水機能を効果的に果たすことができる。
そして、シール部材は二重のシール片から構成されており、シール部材の一片によりボデー部材の一方から他方への水の浸入を阻止することができ、また、シール部材の他片により逆にボデー部材の他方から一方への水の浸入を確実に阻止することができる。この結果、二重のシール片により両方向からの水の浸入を防止する防水機能を効果的に果たすことができる。
また、本発明に係るホールプラグをボデー部材に取付ける場合、車両の外・室内のいずれから嵌めても水漏れがしないことから、該ホールプラグの嵌合方向を気にせずに済み、作業性が向上するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のホールプラグを示す斜視図である。
【図2】本実施の形態のホールプラグの取付状態を示す断面図である。
【図3】本実施の形態のホールプラグの防水機能を説明するための拡大断面図である。
【図4】従来のホールプラグの断面図である。
【図5】従来のホールプラグの防水機能状態を説明するための拡大断面図である。
【符号の説明】
10 ホールプラグ
11 シール部材
11a、11b シール片
20 嵌合部位
21 係合爪
25 閉塞部位
26 スリット
30 ボデー部材
32 孔

Claims (1)

  1. ボデー部材に穿設された孔を閉塞するために、該孔に嵌め込められて取付けられる防水機能を有するホールプラグであって、
    前記ボデー部材に穿設された孔に嵌合して取付けられる嵌合部位と、前記孔を塞ぐことができる面積形状を有し前記嵌合部位の一端に一体的に取付けられる閉塞部位とからなり、該閉塞部位には前記孔より外方位置に該孔に対して出入りしようとする両方向の流れに対してその流れの圧力を受けて防水機能を果たすシール部材が無端状に設けられており、該シール部材は、二重の同心円状のシール片から成っており、前記ボデー部材に対して、一片は外方に向けて当接配設されており、他片は内方に向けて当接配設されるようになっていることを特徴とするホールプラグ。
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