JPWO2004108311A1 - 熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーおよびその製造方法 - Google Patents

熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーによれば、軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaと同時に、軸方向および円周方向の最大深さRvを規定し、さらに軸方向および円周方向の最大高さRpを限定するので、マンドレルミルの延伸圧延に際し焼付きやその他の表面疵が発生し難いので、耐用寿命を飛躍的に向上させることができ、大幅な工具費の圧縮を達成できる。しかも、マンドレルミル圧延された熱間継目無管の内面品質の改善に関しても大きく寄与できる。また、本発明の製造方法は、上記の熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーを効率的に製造することができる。

Description

本発明は、熱間継目無管の製管用工具およびその製造方法に関し、さらに詳しくは熱間継目無管のマンドレルミル圧延に際し長寿命化を達成することができるCrめっきマンドレルバーおよびその製造方法に関するものである。
小径および中径の熱間継目無管の製造には、マンドレルミル圧延による製管方法が用いられている。
図1は、マンドレルミル圧延法による製管工程の概略を説明する図である。この製管方法では、所定温度に加熱された中実の丸ビレット1を被圧延材とし、穿孔圧延機(いわゆる、ピアサー)3で軸心部を穿孔加工して中空素管2を製造する。次いで、得られた中空素管2を後続するマンドレルミル4に供給して延伸圧延する。
マンドレルミル4では中空素管2を圧下する対向配置された圧延ロール6がパスラインを中心に複数組設置されており、中空素管2は装入されたマンドレルバー5と素管外面を圧下する圧延ロール6によって延伸される。通常、圧延ロール6はロールスタンドに収納され、隣接するロールスタンド間では圧延ロール6は90°の移相角で配置されるため、中空素管2はロールスタンド毎に90°ずつ圧延方向を変化しながら圧延される。
このマンドレルミル圧延に用いられるマンドレルバー5には、従来からJIS SKD6、SKD61等の熱間加工用工具鋼からなる丸棒素材が採用される。そして、靱性や耐亀裂性を確保するため、その表面を滑らかに研磨した後、マンドレルバー本体の焼き入れおよび焼き戻し処理によって、表面硬度をHV350〜450程度に調整し、かつマンドレルバー表面にスケール皮膜を形成するのが一般的である。
マンドレルミル圧延の際には、中空素管2とマンドレルバー5との焼き付きを防止するため、延伸圧延の前に、マンドレルバー5表面に固体潤滑剤を主成分とした水溶性潤滑剤を塗布・乾燥し固体潤滑皮膜を予め形成する。さらに潤滑性を向上させる必要がある場合には、中空素管内面に固体潤滑剤を供給して、中空素管2の保有熱により溶融させて液状潤滑皮膜を予め形成する。
予め形成された液状潤滑皮膜により、延伸圧延時およびマンドレルバーの引き抜き時に発生する中空素管2内面とマンドレルバー5表面との間に発生する摩擦力を減少して、中空素管2の焼き付きやマンドレルバー5の摩耗を防止することができる。
しかしながら、延伸圧延中において中空素管2内面とマンドレルバー5表面との間は厳しいすべり摩擦状態になるため、常に、両者の間で完全な潤滑状態を保つことは困難である。そのため、マンドレルバーを繰り返し使用するうちに、摩耗、焼き付き、肌荒れおよびクラック等の表面疵が発生し、耐用寿命に達する。その後、寿命に達したマンドレルバーは外周面を機械加工され、より外径の小さいマンドレルバーとして再使用される。
ところが、マンドレルミル圧延による熱間継目無管の製造コストに占める工具費用、特にマンドレルバーに要する費用が高い。このため、従来から、熱間継目無管の製造コストの低減を目的として、マンドレルミル圧延に用いられるマンドレルバーの表面疵の発生を抑制し、その長寿命化を図るために表面状態の改善が検討されている。
例えば、特開昭63−20105号公報(以下、「特許文献1」という)では、マンドレルバー表面に最大深さ50μmの凹みを長さ1mm当たり2ヶ以上設けることによって、マンドレルミル圧延時の摩擦係数を小さくするとともに、スケールの密着性を高める処理方法が提案されている。
また、特開平4−284905号公報(以下、「特許文献2」という)では、マンドレルバー本体の表面を円周方向を研磨したのち、長手方向の表面粗さRaを4〜12μmに仕上研磨を施す継目無鋼管圧延用マンドレルバーの表面処理方法が提案されている。さらに、特開平8−164404号公報(以下、「特許文献3」という)では、円周方向の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で1.0〜4.0μmである熱間継目無管圧延用マンドレルバーが提案されている。
上記特許文献1〜3で提案されたマンドレルバーおよびその処理方法は、いずれも表面にスケール皮膜を形成することを前提として、スケール皮膜の密着性を向上させることを目的としたものである。
したがって、特許文献1〜3のマンドレルバーであれば、スケール皮膜の密着性に関し所定の効果が認められるが、提案のマンドレルバー表面処理を行っても、延伸圧延中にマンドレルバー表層が500〜600℃の高温に晒されるため、バー表層で酸化脱炭が起こり表層が軟化する。表層が軟化したマンドレルバーでは、スケール皮膜が形成されていても焼付きを発生する。このため、表面にスケール皮膜を形成するマンドレルバーでは、耐用寿命の延長を充分に図れない。
上述の通り、スケール皮膜を形成するマンドレルバーでは長寿命化に一定の制限がある。このため、最近では硬質のCrめっき皮膜を形成して耐摩耗性を向上したマンドレルバーが採用されている。すなわち、形成するCrめっき層を50μm程度の厚いめっきとすることにより、母材表面と大気中酸素との直接接触を遮断し、酸化脱炭を防止している。
図2は、マンドレルミルでステンレス鋼を製管した場合のマンドレルバー寿命を比較した図である。同図では、スケール皮膜を形成するマンドレルバーの寿命を1として、Crめっきマンドレルバーの寿命を対比している。なお、製管されたステンレス鋼は、SUS420J1等の鋼種である。
Crめっきマンドレルバーの寿命は、スケール形成マンドレルバーに比べ、格段に向上しており、製管サイズや材質、特に肉厚圧下量により変動するが、平均すると5倍程度の向上が見られる。
通常、Crめっきマンドレルバーを採用するには、初期投資としてめっき設備の導入が必要になるが、以後のランニングコストとしては、従来のスケール形成マンドレルバーの場合のそれと同等になる。このため、製造コストの低減に対応するマンドレルバー長寿命化への取り組みは、Crめっきマンドレルバーによるものが主体となっている。
このような観点から、Crめっきマンドレルバーの寿命延長について、さらに幾つかの提案がなされている。例えば、特開平8−71618号公報(以下、「特許文献4」という)では、軸方向の中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜4.0μmであるCrめっき皮膜を有するマンドレルバーが提案され、特開2000−246312号公報(以下、「特許文献5」というでは、軸方向の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以上、1.0μm未満であるCrめっき皮膜を有するマンドレルバーが提案されている。
さらに、特開2001−1016号公報(以下、「特許文献6」という)では、Crメッキ皮膜の厚みが60〜200μmであるマンドレルバーに関し、特開2000−351007号公報(以下、「特許文献7」という)では、軸長方向の表面のうねり形状を規定したマンドレルバーに関して提案されている。
上記特許文献4〜7で提案されたマンドレルバーはCrめっき処理を前提として、所期の耐用寿命の延長を図ることができる。しかしながら、熱間継目無管のマンドレルミル法における製管コストの低減要請は厳しく、特に工具費用の圧縮が重点とされている。このような状況から、マンドレルバーの寿命延長に関して、さらに飛躍的な改善が要求されている。
本発明は、上述したマンドレルバー耐用寿命の延長要請に基づいてなされたものであり、マンドレルミルで継目無管を延伸圧延する際に、表面疵の発生を抑制して、耐用寿命を大幅に改善することができる熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーおよびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決しマンドレルバーの寿命延長を達成するため、マンドレルバーの表面状態が耐用寿命に及ぼす影響を詳細に調査した。
具体的には、大きく表面状態の異なっている特許文献4が提案するマンドレルバーと特許文献5が提案するマンドレルバーとの耐用寿命の比較を実施した。すなわち、特許文献4のマンドレルバーは、軸方向の中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜4.0μmのCrめっき皮膜を有し、特許文献5のマンドレルバーは、軸方向の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以上、1.0μm未満のCrめっき皮膜を有している。
これらの耐用寿命を比較した結果、特許文献4で提案するマンドレルバーの方が、若干寿命が長かったものの、両者の有意差は認められなかった。すなわち、両マンドレルバーの表面状態が大きく異なるにも関わらず、両者の寿命に顕著な有意差が認められなかった。
本発明者らは、上記の意外な結果を解明するために、マンドレルミル圧延を圧延の途中で停止し、両マンドレルバーにおける潤滑剤の残存状況を詳細に観察した。使用した潤滑剤は、黒鉛を主成分とした水溶性潤滑剤(例えば特公昭59−37317号公報で開示)を塗布・乾燥させたものである。
図3は、マンドレルミル圧延の途中におけるマンドレルバー表面の潤滑剤の残存状況を示す図であり、(a)はマンドレルバーの長手方向に観察した残存状況であり、(b)は(a)中のX−X視野によるマンドレルバーの円周方向に観察した残存状況である。前述の通り、マンドレルミル圧延では、対向配置した圧延ロールがロールスタンド毎に90°ずつ向きを変えているため、90°ずつ圧延領域が変わりながら圧延される。このため、図3(a)、(b)に示すように、圧延領域7と潤滑剤残存領域8(斜線部)は、圧延方向に沿って90°ずつ向きを変える。
特許文献4の軸方向の中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜4.0μmであるマンドレルバーの方が、特許文献5の軸方向の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以上、1.0μm未満であるマンドレルバーよりも、圧延途中での潤滑剤の残存量は多いものの、その差は僅かであった。
次に、図3(a)に示す潤滑剤残存領域8において、軸方向に対向する8a部だけでなく、円周方向にも対向する8b部にも潤滑剤が多量に残存することから、延伸圧延中では、マンドレルバー5表面の潤滑剤は圧延軸方向だけでなく、圧延円周方向にも排出されることが推察される。
換言すれば、圧延中に延伸比の大きい圧延軸方向に潤滑剤が排出されることは容易に予測されるが、それに加えて、軸方向と比較すると延伸比の極めて小さい円周方向にも潤滑剤が排出されることが知見された。
この知見に基づけば、特許文献4および特許文献5で提案されたマンドレルバーのように表面状態が大きく異なる場合に、耐用寿命に有意差が認められない結果も納得できる。
すなわち、マンドレルバーの焼付きを防止するため、圧延中に潤滑剤を表面に残存させるには、マンドレルバーの一方向のみの表面状態を規定するだけでは不充分である。例えば、研磨により表面粗さを調整する場合、研磨方向に直角の方向の表面粗さが適正であっても、研磨方向に平行の方向の表面粗さが細かくなり過ぎると、圧延中に潤滑剤が残存しなくなる。このため、マンドレルバー表面に焼付き等が発生し易くなり、耐用寿命を延長することができない。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)の熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバー、および(2)の製造方法を要旨としている。
(1)軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであり、かつ、軸方向および円周方向の最大深さRvが10μm以上であることを特徴とする熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーである。
上記のCrめっきマンドレルバーは、さらに、軸方向および円周方向の最大高さRpが30μm以下にするのが望ましい。
(2)表面に軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであり、かつ、軸方向および円周方向の最大深さRvが10μm以上であるCrめっき皮膜を形成した後、研磨することを特徴とする熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーの製造方法である。
本発明で規定する「最大深さRv」は、図5に示すように、断面曲線の基準長さ内における最大の谷と平均線までの距離を示し、「最大高さRp」は、同様に、断面曲線の基準長さ内における最大の山と平均線までの距離を示している。
本発明の研磨として「軽研磨」を採用することができる。ここで、「軽研磨」とは、「最大深さRv」の値をあまり変化させずに「最大高さRp」の値のみを小さくする処理をいい、例えば、#280より微細なサンドペーパーを用いて研磨を行うことが例示される。
図1は、マンドレルミル圧延法による製管工程の概略を説明する図である。
図2は、マンドレルミルでステンレス鋼を製管した場合のマンドレルバー寿命を比較した図である。
図3は、マンドレルミル圧延の途中におけるマンドレルバー表面の潤滑剤の残存状況を示す図であり、(a)はマンドレルバーの長手方向に観察した残存状況であり、(b)は(a)中のX−X視野によるマンドレルバーの円周方向に観察した残存状況である。
図4は、マンドレルバーの表面状態(Ra、Rv)を規定する範囲を説明する図であり、(a)は圧延前の構成を示し、(b)は圧延後の構成を示している。
図5は、本発明で規定する「最大深さRv」および「最大高さRp」を説明する図である。
図6は、中心線平均粗さRaと最大深さRvとが潤滑溜まりに及ばす作用の違いを説明する図である。
図7は、前記図6と同様に、中心線平均粗さRaと最大深さRvの潤滑溜まりに及ばす作用の違いを説明する図である。
本発明のマンドレルバーは、軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであり、かつ、軸方向および円周方向の最大深さRvが10μm以上であることを特徴としている。軸方向および円周方向の表面状態を規定しているのは、延伸圧延中に潤滑剤を表面に充分に残存させるには、マンドレルバーの一方向のみを規定するだけでは不充分であり、軸方向および円周方向の2方向について規定する必要があるからである。
図4は、マンドレルバーの表面状態(Ra、Rv)を規定する範囲を説明する図であり、(a)は圧延前の構成を示し、(b)は圧延後の構成を示している。対象となる範囲は、マンドレルバー5が圧延時に被圧延材2と接触する全長および全周である。
具体的には、図4(a)に示すように、圧延前に被圧延材2にマンドレルバー5が挿入された状態での被圧延材のボトム端2bから、図4(b)に示すように、圧延後の被圧延材のトップ端2tまでのマンドレルバー接触長さLにおける全長および全周が対象となる範囲である。対象となる範囲を、例えば、軸方向は1mピッチで、円周方向は90°毎に2箇所を測定し、その平均値をマンドレルバーの表面状態(Ra、Rv)と規定できる。
圧延中における潤滑剤の残存は、マンドレルバーの中心線平均粗さRaと断面曲線の最大深さRvに影響される。まず、中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmの範囲であることが必要である。すなわち、軸方向、円周方向のいずれであっても、Raが1.0μm以下の場合にはその方向の潤滑剤の保持性が低下し潤滑剤が表面に残存しない。一方、Raが5.0μmを超えると、表面凸部での焼付きが発生し、マンドレルバーの耐用寿命が短くなる。
同時に、軸方向、円周方向のいずれであっても、平均線からの最大深さRvが10μm以上であることが必要である。最大深さRvが小さすぎると、潤滑剤を保持するための深さが確保できず凹部が早期に摩滅するので、潤滑剤の保持性が低下し潤滑剤が残存しない。一方、最大深さRvの上限は定めないが、50μm以下にするのが望ましい。
本発明において中心線平均粗さRaおよび最大深さRvは、ともに潤滑剤を残存させるための保持性、すなわち潤滑溜まりに大きな影響を及ぼすが、両者が潤滑溜まりに及ばす作用は相違する。具体的には、中心線平均粗さRaは潤滑溜まりの容積を表す指標であり、最大深さRvは潤滑溜まりの深さを表す指標として捉えることができる。
図6および図7は、中心線平均粗さRaと最大深さRvとが潤滑溜まりに及ばす作用の違いを説明する図である。図中の実線と点線はマンドレルバーの断面粗さ曲線を模式的に示したものである。
図6で示す実線と点線とは、平均線からの最大深さRvは同じであるが、中心線平均粗さRaは点線で示したものの方が大きく、潤滑溜まりの容積が大きいことを示している。逆に実線で示したものは、潤滑溜まりの容積が小さいため、潤滑剤が十分量保持できないことが懸念される。
図7で示す実線と点線とは、中心線平均粗さRaは同じであるが、平均線からの最大深さRvは実線で示したものの方が大きく、潤滑溜まりの深さが深いことを示している。逆に実線で示したものは、潤滑溜まりの深さが浅いため、凹部が早期に摩滅し、潤滑剤の保持性が低下することが懸念される。
したがって、圧延中に潤滑剤を残存させるためには、潤滑溜まりの容積を保持するとともに、潤滑溜まりの深さを確保することが必要になる。このため、潤滑溜まりの容積を表す中心線平均粗さRaと、潤滑溜まりの深さを表す最大深さRvとが上記条件を同時に満たす必要がある。
さらに、本発明のマンドレルバーでは、軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaおよび最大深さRvが適正範囲であり、潤滑溜まりが確保できていても、平均線からの最大高さRpが大きい場合には、表面に存在する凸部で焼付きを発生し易く、これが要因となり耐用寿命を延長できない場合がある。
このような事態を回避するため、軸方向および円周方向の平均線からの最大高さRpを30μm以下で管理するのが望ましい。
本発明のマンドレルバーを製造する場合には、軸方向および円周方向の表面状態が上記で規定する中心線平均粗さRaおよび最大深さRvが適正範囲になるように調整できれば、表面加工方法はショット、研削、研磨、マスキングエッチングおよびレーザー処理等の何れの方法を採用してもよい。これらのうちで簡便で有効な表面加工方法はショットであるが、これを本発明のマンドレルバーの表面加工に適用する場合に留意すべきことがある。
まず、ショット前の軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaは、ショット後に実現しようとする中心線平均粗さRaより小さくする必要がある。マンドレルバーにショットを施すと、その表面を削り取るために、ショット前の表面粗さはショット後の表面粗さに影響を与えないと思えるが、ショット前の表面粗さの管理は重要である。
例えば、円周方向に研削や研磨を行った後にショットを施した場合、軸方向の中心線平均粗さRaが適正範囲になるが、円周方向の中心線平均粗さRaが適正範囲外になることがある。これは、外観的には全面がショットされているように見えても、研削や研磨で形成された凹部にショット粒が十分なエネルギーを持って到達できず、十分にショットできないことによる。
このため、ショット前の軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaは、ショット後の目標とする中心線平均粗さRaより小さくする必要がある。具体的には、ショット加工として、ベルター(ベルト式研磨装置)等を用いて研磨仕上げをした後に、ショット処理する方法などが挙げられる。
次に、ショットノズルからマンドレルバー表面までのノズル距離を適正な範囲で管理することが必要である。ショットの研掃力を確保するためノズルを表面に近づけることがあるが、ノズル距離が小さすぎるとショット粒が均一に分布せず、軸方向と円周方向のRaが異なることがある。その場合には、軸方向または円周方向のいずれかの方向の中心線平均粗さRaが適正範囲を外れる。
したがって、ノズル距離は適正な範囲で管理する必要がある。例えば、本発明では、固定したショットノズルにより回転しながら先進するマンドレルバーをショット処理する場合に、平均粒径:0.1〜0.4mmで硬度HRC55以上のスチールグリッドを用い、噴射圧:35〜40Mpa、ノズル距離:150〜300mmの処理条件を適用することができる。しかし、例示の条件は、硬度Hs:45〜55程度の熱間工具鋼(SKD6またはSKD61)であるマンドレルバーを対象とした条件であり、ノズル距離の適正範囲は、被ショット材の材質、硬度によって相違する。このため、ノズル距離の適正範囲は、ショット条件等に応じて適宜定めなければならない。
さらに、Crめっき処理後のめっき皮膜の表面粗さは、めっき前のマンドレルバーの表面粗さを調整することによって調整することができる。通常、Crめっきを施すことによって、表面粗さは下地の表面粗さよりやや低下する傾向にある。これを考慮して、Crめっき処理前のマンドレルバーの軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaおよび最大深さRv、さらに必要ある場合には、軸方向および円周方向の最大高さRpを予め調整しておく必要がある。
本発明の製造方法では、Crめっきの処理方法やその条件は特に限定されるものではなく、慣用の処理方法や条件によればよい。例えば、マンドレルバー素地への密着性等を考慮すれば、一般の機械部品などを処理する場合と同様の処理条件の下で、電気めっき法により処理するのが望ましい。
上記で製造した本発明のマンドレルバーの表面状態が平均線からの最大高さRpが30μm以上の場合には、表面を軽研磨することが有効である。具体的な軽研磨の処理条件として、#280より微細なサンドペーパーを用いて研磨することが例示される。
本発明のマンドレルバーの効果を実機の製管圧延で確認した。使用したマンドレルバーはJISに規定されるSKD61で、寸法は外径が200〜450mm、長さが24mとして、耐用寿命に至るまでの圧延本数を調査した。耐用寿命か否かの判断は、マンドレルバー表面に焼き付きが発生したか否かに基づいたが、マンドレルバー表面に抉られたような開口状の表面疵が目視観察された場合に焼き付き発生とした。対象となる疵の深さは、浅いもので200μm程度、深いもので1mmに至るものがあった。
使用したマンドレルバーは、所定寸法まで研削、研磨した後、ショット加工を施し、50μm厚さのCrめっきを施した。マンドレルバーの表面加工に際して、ショット前の表面粗さは、軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが0.5以下となるように研磨仕上げを施した。
ショットは、S1〜S5の5種類の粒径(平均粒径で、S1:0.1mm、S2:0.15mm、S3:0.23mm、S4:0.36mm、およびS5:0.7mm)で硬度HRC55以上のスチールグリッドを用い、噴射圧35〜40Mpaおよびノズル距離150〜450mmの処理条件で行った。実施例で採用したショット前の表面粗さ(Ra)およびショット条件を表1に示す。
Figure 2004108311
本発明例No.1〜3は、ショット加工後にCrめっきを施した。本発明例No.4は、ショット加工後にCrめっきを施し、さらに最終仕上げとして#400のサンドペーパーを用いて研磨を施した。
一方、比較例No.5は、#400のサンドペーパーを用いて押し付け荷重5Nで表面を仕上げた後にCrめっきを施した。比較例No.6は、円周方向に研磨した後にCrめっきを施した。比較例No.7は、円周方向に研磨した後に、ショット加工を施し、Crめっきを施した。比較例No.8および9は、ショット加工後にCrめっきを施した。
本発明例No.1〜4および比較例No.5〜9を用いた圧延結果を表2に示す。
Figure 2004108311
表1に示す結果から、本発明で規定する軸方向および円周方向のRa並びにRVを満足する本発明例では、いずれも耐用寿命が圧延1000本以上となり長寿命化が図れた。さらに、軸方向および円周方向の最大高さRpが30μm以下となる本発明例1〜3は、耐用寿命が圧延1200本以上となり、一層の長寿命化が図れた。
これに対し、マンドレルバーのいずれかの表面状態が本発明で規定する範囲外となった比較例では、いずれも耐用寿命が圧延1000本未満に留まり、長寿命化が図れなかった。
産業上の利用の可能性
本発明の熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーによれば、軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaと同時に、軸方向および円周方向の最大深さRvを規定し、さらに軸方向および円周方向の最大高さRpを限定するので、マンドレルミルの延伸圧延に際し焼付きやその他の表面疵が発生し難いので、耐用寿命を飛躍的に向上させることができ、大幅な工具費の圧縮を達成できる。しかも、マンドレルミル圧延された熱間継目無管の内面品質の改善に関しても大きく寄与できる。
したがって、本発明の製造方法は、低廉な製造コストで、かつ効率的に上記の熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーを得ることができることから、熱間継目無管の製造分野で広く適用することができる。

Claims (3)

  1. 軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであり、かつ、軸方向および円周方向の最大深さRvが10μm以上であることを特徴とする熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバー。
  2. さらに、軸方向および円周方向の最大高さRpが30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバー。
  3. 表面に軸方向および円周方向の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであり、かつ、軸方向および円周方向の最大深さRvが10μm以上であるCrめっき皮膜を形成した後、研磨を施すことを特徴とする熱間継目無製管用Crめっきマンドレルバーの製造方法。
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