JP2002066610A - 継目無金属管の製造方法とその製造装置 - Google Patents

継目無金属管の製造方法とその製造装置

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JP2002066610A
JP2002066610A JP2000261043A JP2000261043A JP2002066610A JP 2002066610 A JP2002066610 A JP 2002066610A JP 2000261043 A JP2000261043 A JP 2000261043A JP 2000261043 A JP2000261043 A JP 2000261043A JP 2002066610 A JP2002066610 A JP 2002066610A
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metal pipe
seamless metal
hard
hardness
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Kazumune Shimoda
一宗 下田
Tomio Yamakawa
富夫 山川
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐スリップ性を損なうことなく優れた耐摩耗
性を有する主ロールを備えた継目無金属管の製造装置と
継目無金属管の効率的な製造製造方法を提供する。 【解決手段】 主ロールが硬質部と軟質部を有するもの
であることを特徴とする継目無金属管の製造装置。特
に、ゴージ部が硬質部であり、該ゴージ部の上流側に軟
質部と、その上流側に硬質部とを有し、硬質部と軟質部
の硬度差が10HS以上であるロールを主ロールとして
備えたものがよい。また、主ロールの硬質部が表面焼き
入れにより硬化されたものがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は傾斜圧延機による継
目無金属管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無金属管の製造方法として広く採用
されているいわゆるマンネスマン製管法では、適度の温
度に加熱した中実の丸ビレットを、一対の主ロールとプ
ラグとを備えた穿孔圧延機(以下、単に「ピアサ」とも
記す)に送給し、その軸芯部に孔を明ける穿孔圧延を施
して中空素管を得る。
【0003】得られた中空素管はそのまま、あるいは必
要に応じて前記ピアサと同一構成のエロンゲータもしく
はサイザにより拡径もしくは縮径をされて定径化された
後、プラグミル、マンドレルミル等の後続する延伸圧延
機により延伸圧延される。その後ストレッチレデュー
サ、リーラ、サイザなどの圧延機で磨管、形状修正およ
びサイジングを行う精整工程を経て製品管が製造され
る。
【0004】図1はマンネスマン製管法で用いられるピ
アサの構成例を概念的に示す斜視図である。図2は上記
ピアサのプラグ周辺の部分拡大図であり、図2(a)は
パスラインを含む水平断面図、図2(b)はパスライン
を含む垂直断面図である。
【0005】これらの図において、符号1aおよび1b
は主ロールである。主ロールは、被穿孔材料である丸ビ
レット4の送り線となるパスラインX−X方向にロール
の回転軸を有し、軸方向中央近傍に最大径部(ゴージ
部)を有する。一対の主ロールは、その回転軸をパスラ
インに対して傾斜角βで互いに逆方向に傾斜させて、パ
スラインを挟んで対向配置される。
【0006】ディスク2a、2bは、前記1対の主ロー
ルがなす方向と直角の位置に前記パスラインを挟んで配
設されている。ディスク2a、2bは固定式のプレート
で代用される場合もある。パスラインX−X上には芯金
5で支持されたプラグ3が配設される。
【0007】上記のように構成されたピアサにおいて
は、主ロール1a、1bがパスラインX−Xに対して傾
斜角βを付与されて同一方向に回転しており、パスライ
ンX−X上を送給された丸ビレット4は、主ロール1
a、1b間に噛み込み、その後は回転しつつパスライン
上を移動し、プラグ3によりその軸心部に孔を開けられ
て中空素管となる。
【0008】ディスクロール2a、2bにより、圧延中
の丸ビレット4はパスライン上に案内され、かつ、主ロ
ール1a、1bの対向方向と直角の方向への中空素管の
膨らみが抑制される。ディスクロール2a、2bは、焼
付き防止のために、丸ビレット4の送り出し方向(図1
では右方向)と同方向に回転駆動される。
【0009】穿孔圧延に限らず金属材料の圧延に用いら
れるロールは圧延長さに応じて摩耗するため、適当な圧
延回数を経た後にロール表面を改削して再使用される。
熱間圧延においては圧延作業が高温でおこなわれるた
め、冷間圧延に比較してロール摩耗が大きく、ロール改
削頻度が高い。このため、ロール原単位がよくなく、生
産能率もよくないという問題がある。これらの問題を解
決するために耐摩耗性の優れたロールが求められてい
る。
【0010】熱間圧延ロールの耐摩耗性を高める方法と
してはC含有量を高めて金属組織中セメンタイトの占め
る割合を高めること、またSi、Ni、Crなどの合金
元素を含有させて鋼を硬質にする方法が一般的に採られ
ている。しかしながら熱間圧延においては使用環境が過
酷なため、良好な圧延結果を得るには種々の1性能に優
れたロールが求められるため、ロール材質を単に高合金
とするのみでは満足な結果が得られない。これらの性能
をさらに改善するために種々の技術が提案されている。
【0011】例えば特開昭54−40219号公報で
は、Si含有量を低く制限した耐摩耗性、耐肌荒れ性お
よび耐ヒートクラック性に優れた熱間圧延用鋳鋼ロール
が提案されている。
【0012】また特開昭53−60849号公報には、
エレクトロスラグ溶接法によりロールの芯材の外周に特
定組成の溶着金属層を形成し、熱処理を施して耐摩耗
性、耐肌荒れ性、耐熱亀裂性および耐スポーリング性を
向上させる熱間圧延用ロールの製造方法が提案されてい
る。
【0013】特開昭53−21012号公報では、高硬
度の焼入れ可能材からなる厚さ1mm以上の焼結保護層
を有する連続鋳造用焼入れロールの製造方法が提案され
ている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らによる種々
の研究結果によれば、上述のロールをピアサによる穿孔
圧延に適用することは必ずしも適切ではないことが判明
した。すなわち、板圧延などに比較すると、ピアサによ
る穿孔圧延は材料に対して複雑かつ過酷な変形を与える
ので、主ロールと材料との間にスリップが生じ、噛み込
み不良などの不都合が生じやすい。特に圧延終了間際の
材料がプラグから抜ける時には尻詰まりと称されるスリ
ップが発生する。
【0015】スリップ防止には、主ロール表面が適度に
荒れており、主ロール表面の摩擦係数を高めておくこと
が有効な手段であることが知られている。例えば、ステ
ンレス鋼などの難加工性材料を穿孔圧延する場合、前も
ってある程度の本数の普通鋼を穿孔圧延することがおこ
なわれる。これにより主ロール表面肌を荒らくし摩擦係
数を高めることでスリップを防止できる。
【0016】しかるに、耐摩耗性に優れた主ロールを用
いた場合は主ロール表面が荒れ難く、通常の主ロールに
比べて摩擦係数は低いままである。そのため耐摩耗性に
優れた主ロールを用いた場合、通常の主ロールに比べて
スリップの発生頻度が高くなる傾向にある。また、特開
平2−251305号公報には、ロール表面にローレッ
ト加工やナーリング加工を施してスリップを防止する方
法が提案されているが、この方法は圧延後の材料表面に
疵を残すという問題がある。特開平6−344009号
公報には、固体微粒子を含む増摩材をロールと材料との
間に吹き込む方法が提案されているが、これはロールの
肌荒れを助長し、ロール寿命を短くするという問題があ
った。
【0017】以上述べたように、ピアサによる穿孔圧延
をおこなうに際して、耐摩耗性、耐肌荒れ性などのロー
ル性能に優れ、かつスリップの増加を招くことなく長時
間安定して穿孔圧延できる技術は未だ満足なものではな
かった。
【0018】本発明はこの問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、ピアサによ
る穿孔圧延において、耐スリップ性を損なうことなく長
時間安定して穿孔圧延することができる継目無金属管の
製造方法、および、その装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らはピアサによ
る穿孔圧延を注意深く観察を重ねた結果、以下の知見を
得た。
【0020】図3は、本発明の実施例に係わる主ロール
の1例を示す側面図である。図3で主ロール1の摩耗が
見られるのは、符号Bで示す肉厚圧下率が最も高くなる
ゴージ6を中心とするロール径の最大部近傍(以下、単
に「ゴージ部」と記す)、および、ゴージ部Bから入側
にかけての領域(図3でゴージ部Bの左側。以下、単に
「ゴージ部上流側」とも記す)、特にその丸ビレットと
主ロールが接触を開始する領域である(図3で符号Aで
示す部分。以下、単に「丸ビレット接触部」とも記
す)。従って、主ロールの耐摩耗性を高めるには、少な
くともこれら符号Bおよび符号Aで示す領域の耐摩耗性
を高めるのが重要である。
【0021】スリップを防止するには、ロール表面があ
る程度軟質で、容易にその表面の肌が荒れるロールが好
ましい。一部でも硬質部を設けると、スリップが増加す
る傾向にあるが、硬質部の間に、それよりも軟質な部分
を設けることにより、スリップの悪化程度が軽減でき
る、という効果が得られる。
【0022】従って耐摩耗性と耐スリップ性を兼備させ
るには、耐摩耗性が優れた部分と肌荒れが比較的容易に
生じる部分とを共有するロールを用いるのが効果的であ
る。すなわち、ピアサ等に用いられるロールは鋳込み→
熱処理→改削の行程を経て制作されるが、上記熱処理段
階において、摩耗し易い部分のみに硬度が高くなるよう
な熱処理を施して硬質部を設け、それ以外の部分は軟質
なままにしておくのが好ましい。
【0023】これにより、硬質部以外の部分では圧延中
に適度に表面が荒れるので、硬質部に比べて摩擦係数が
高くなる。その結果ロール全体の硬度を高めたロールに
比べてスリップが発生しにくくなる。部分的な焼入れ処
理をおこなうには高周波焼き入れ方法によるのが好適で
ある。
【0024】本発明はこれらの知見を基にして完成され
たものであり、その要旨は下記(1)〜(3)に記載の
継目無金属管の製造方法、ならびに(4)および(5)
に記載のその装置にある。
【0025】(1)パスラインの周りに傾斜して配置し
た一対の主ロールと、パスライン上に配したプラグとを
備えた穿孔圧延機で素材を穿孔して中空素管を得る継目
無金属管の製造方法において、主ロールとして、表面硬
さが高い環状の硬質部を備えたロールを用いることを特
徴とする継目無金属管の製造方法。
【0026】(2)主ロールの硬質部が、ゴージ部とゴ
ージ部の上流側とにあり、いずれの硬質部もその硬さ
が、ショア硬さで10以上他の部分よりも硬いものであ
ることを特徴とする上記(1)に記載の継目無金属管の
製造方法。
【0027】(3)主ロールの硬質部が表面焼き入れに
より硬化されたものであることを特徴とする上記(1)
または(2)に記載の継目無金属管の製造方法。 (4)パスラインの周りに傾斜して配置した一対の主ロ
ールと、パスライン上に配したプラグとを備えた穿孔圧
延機を有する継目無金属管の製造装置において、主ロー
ルとして、表面硬さが高い環状の硬質部を備えたロール
を有することを特徴とする継目無金属管の製造装置。
【0028】(5)主ロールの硬質部が、ゴージ部とゴ
ージ部の上流側とにあり、いずれの硬質部もその硬さ
が、ショア硬さで10以上他の部分よりも硬いものであ
ることを特徴とする上記(4)に記載の継目無金属管の
製造装置。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。本発明の継目無金属管の製造装置および
製造方法では、主ロールとして、主ロールの軸方向の一
部に、表面が他の部分よりも硬質な環状の部分を備えた
ロールを用いる。すなわち、主ロールの軸方向において
ロール摩耗が激しく生じる部分に対して、少なくともそ
のロール表面の硬度を、他の部分よりも高いものとする
(本発明ではこの部分を「硬質部」と称する)。これに
より、ロール全体としての耐摩耗性寿命を改善し、摩耗
に起因する改削間隔を長くして改削1回当たりの圧延可
能長さを長くする。
【0030】ロール摩耗がそれほど激しくない部分のロ
ール表面硬度は、上記硬質部よりも低いものとする。以
下では、この部分を硬質部に対応させて軟質部とも記
す。ここでいう軟質部は、硬質部とする前の硬さを有す
る部分を意味するものであり、特別な軟質化処理を必要
とするものではない。例えば高周波焼入れにより硬質部
を設ける場合には、高周波焼入れを施さない部分を軟質
部と称する。
【0031】主ロールに硬質部を設けると、硬質部を備
えないロールに比較して、熱間圧延においてスリップが
発生しやすくなる。ロール摩耗がさほど激しく生じない
部分は表面硬度を高くしすぎないで、軟質なままにして
おくことにより、肌荒れの発生を容易にし、スリップの
発生を抑制する(耐スリップ性を改善する)ことができ
る。
【0032】硬質部の耐摩耗性は低硬度の部分に比較し
て改善されるので、硬質部と軟質部との間の硬度差の下
限は特に限定するものではない。しかしながら通常の方
法で熱間圧延用ロールの素材鋼に熱処理をおこなった場
合には、ショア硬さで5HS程度の変動が生じるので、
耐摩耗性と耐スリップ性の両立効果を明確に得るには、
硬質部と軟質部の間の硬度差を10HS以上とするのが
望ましい。
【0033】硬質部と軟質部の間の硬度差の上限は特に
限定するものではないが、過度に大きい硬度差を付与す
るのは現在の熱処理技術では困難であるうえ、耐摩耗性
改善効果が飽和するので、ショア硬さで40HS以下と
するのが好ましい。
【0034】図3に示すように、主ロールのゴージ6は
ロール径が最大の部分であり、ゴージ部Bでは、穿孔さ
れた中空素管の管壁に対する圧下率が最も高くなるた
め、ロール摩耗が特に著しい。従ってゴージ部Bは上記
硬質部とするのがよい。
【0035】さらに、ゴージ部Bから上流側は、丸ビレ
ットが穿孔された後に中空素管の管壁が圧延されて薄く
なる領域であり、この部分においても摩耗が著しい。従
って、ゴージ部の上流側を硬質部とするのも望ましい。
【0036】ゴージ部とその上流側全面を硬質部とする
とスリップが生じやすくなる場合がある。ゴージ部の上
流側において、特に摩耗が著しいのは、図3で符号Aで
示す部分である。この部分は丸ビレット接触部であるの
で、ゴージ部と上記丸ビレット接触部Aを硬質部とし、
両者の間に軟質部を設けることにより、ゴージ部の上流
側全体を硬質部とする場合に比較して耐スリップ性を改
善することができる。
【0037】硬質部Aを設ける位置は、3次元幾何学的
に計算される材料とロールの接触開始位置に基づいて決
定すればよい。硬質部に「環状の」との限定を付すの
は、ロールとしての対称性のためである。
【0038】主ロールの材質は特に限定する必要はな
く、公知の熱間圧延用ロールとして用いられている各種
の炭素鋼、合金鋼などの鋳造品、鍛造品、あるいは、こ
れらにアルミナなどの表面溶射を施したものなど、任意
のものを使用することができる。また、主ロールは一体
の鋼で構成されていてもよいし、複合鋳造品や、複数の
部品を焼き嵌め法や溶接組み立て法などにより組み立て
た組み立てロールなど、任意の構造のロールを用いるこ
とができる。
【0039】主ロールの表面に硬質部を設ける方法は特
に限定するものではないが、例えば、上記のような鋼で
作製したロール素材を回転させながら部分焼入れ処理を
施し、所望の部分を環状に硬化させるのが好ましい。中
でも高周波焼入れ方法が経済性に優れるので好適であ
る。
【0040】なお、本発明の対象とする金属管は、普通
鋼、特殊鋼、オーステナイト系ステンレス鋼など、熱間
圧延で製造される継目無金属管の製造に有効に適用する
ことができる。
【0041】
【実施例】JIS−G3429に規定されるクロムモリ
ブデン鋼STH21からなる直径:90mm、長さ:5
00mmの丸ビレットを1200℃に加熱し、これをピ
アサに送給して穿孔圧延を施し、外径:93mm、肉
厚:10mm、長さ:1200mmの中空素管を作製し
た。
【0042】主ロールの概略形状を図3に示す。主ロー
ル、プラグなどの主要寸法は以下のものであった。符号
は図1〜図3に記したのと同一である。 主ロールゴージ径:400mm、 主ロール傾斜角(β):12°、 ディスク直径(D):1000mm、 プラグ長さ(L):180mm、 プラグ最大直径:70mm、 ロール開度(RO):77.4mm、 プラグリード(LD):55.0mm、 ディスク開度(DO):91.0mm。
【0043】主ロールは、JIS−G4105に規定さ
れるクロムモリブデン鋼SCM440を素材とし、これ
に機械加工を施したままで熱処理を施さないで9対の主
ロール用中間品を作製した。その硬度は主ロールの表面
全体において平均値が25HSであった。
【0044】上記中間品の内の1対の中間品は、そのま
まで従来例の主ロールとして試験に供した(試験番号
1)。上記中間品の内の2対の中間品には、ゴージ部B
と、その上流側全ての領域のロール表面(図3で二重線
で示す環状の領域)を高周波焼入れした(試験番号2と
試験番号3。以下、これを「焼入れタイプa」と記
す)。他の2対の中間品には、ゴージ部Bと、その上流
側の丸ビレット接触部Aに環状に高周波焼入れを施した
(試験番号4と試験番号5。以下、これを「焼入れタイ
プb」と記す)。焼入れタイプbにおいては、ゴージ部
Bとその硬質部Bとの間に、軟質部として高周波焼入れ
を施さなかった部分が存在する。
【0045】試験番号2〜5において、ゴージ部を含ま
ない下流側の部分は、硬度が25HSであり、本発明の
規定する軟質部に相当する。なお、上記高周波焼入れ
は、焼入れ後の硬さが種々のレベルに変化するように、
試験番号毎に焼入れ条件を変更した。
【0046】上記中間品の内の残り4対は、840℃に
加熱した後、油冷し、600℃で焼戻し処理をおこなう
ことによりロール全表面の平均硬度を35HSとした。
その内の1対は従来例として試験に供した(試験番号
6)。残余の3対の内1対には本発明例として焼入れタ
イプaの高周波熱処理を施し(試験番号7)、2対には
本発明例として焼入れタイプbの高周波熱処理を施した
(試験番号8および9)。
【0047】これらの9対の主ロールを用いて、それぞ
れ、1300〜2700本の製管をおこない、ロール摩
耗量とスリップ発生比率を調査した。高周波焼入れ部の
硬度は、それぞれの高周波焼き入れ領域の中央部でロー
ル円周に沿って測定された有効値5個以上の平均値とし
て測定した。ロール摩耗状況は、製管開始前と所定本数
の製管終了後の主ロール半径を、図3に示すa点(ゴー
ジの上流側105mm)、b点(ゴージ)、および、c
点(ゴージの下流側60mm)で測定して評価した。得
られた結果を表1に示す。
【0048】
【表1】 図4は、軟質部の硬さが25HSであった試験番号1〜
5で得られたロール摩耗量(棒グラフ、左目盛り)およ
びスリップ発生率(折れ線グラフ、右目盛り)を試験番
号毎に対比して示すグラフである。表1または図4から
わかるように、これら5対の主ロール間で、ゴージ下流
側のc点(ロール出側)における摩耗量はいずれの場合
も差異がなかったが、ゴージ上流側のa点(ロール入
側)、および、ゴージ(b点)では、本発明例のロール
摩耗量が著しく小さかった。試験番号3および5の結果
から判るように、a点、b点の摩耗量は、その硬度に応
じて減少していた。スリップ発生率は、焼入れタイプa
では若干悪化したが、焼入れタイプbでは従来例と同程
度のスリップ率であった。
【0049】図5は、軟質部の硬さが35HSであった
試験番号6〜9で得られたロール摩耗量およびスリップ
発生率を試験番号毎に対比して示すグラフである。軟質
部の硬度が35HSの場合も25HSの場合と同様の結
果が得られており、本発明例においてはロールの摩耗を
抑制できたことか明らかである。また試験番号6(従来
例)と試験番号2(本発明例)の結果の対比などからわ
かるように、硬質部の硬度が同一であっても、ロール出
側の硬度を低くすることにより、ロール摩耗量を殆ど変
化させないでスリップ発生率を減少させることができる
ことも確認された。
【0050】
【発明の効果】継目無金属管の製造において、主ロール
に硬質部と軟質部を備えさせることにより、穿孔圧延時
の耐スリップ性をさほど損なうことなく、主ロールの摩
耗を著しく低減することができる。従ってロールの改削
頻度が減少し、継目無金属管の能率と生産性を著しく高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンネスマン製管法で用いられるピアサの構成
例を概念的に示す斜視図である。
【図2】ピアサのプラグ周辺の部分拡大図であり、図2
(a)はパスラインを含む水平断面図、図2(b)はパ
スラインを含む垂直断面図である。
【図3】本発明の実施例に係わる主ロールの1例を示す
側面図である。
【図4】本発明例と従来例のロール摩耗量およびスリッ
プ発生率を示すグラフである。
【図5】本発明例と従来例のロール摩耗量およびスリッ
プ発生率を示すグラフである。
【符号の説明】
1aおよび1b:主ロール、2aおよび2b:ディス
ク、3:プラグ、4:丸ビレット、5:芯金、6:ゴー
ジ、β:主ロール傾斜角、D:ディスク直径、L:プラ
グ長さ、RO:ロール開度、LD:プラグリード、D
O:ディスク開度。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パスラインの周りに傾斜して配置した一
    対の主ロールと、パスライン上に配したプラグとを備え
    た穿孔圧延機で素材を穿孔して中空素管を得る継目無金
    属管の製造方法において、主ロールとして、表面硬さが
    高い環状の硬質部を備えたロールを用いることを特徴と
    する継目無金属管の製造方法。
  2. 【請求項2】主ロールの硬質部が、ゴージ部とゴージ部
    の上流側とにあり、いずれの硬質部もその硬さが、ショ
    ア硬さで10以上他の部分よりも硬いものであることを
    特徴とする請求項1に記載の継目無金属管の製造方法。
  3. 【請求項3】 主ロールの硬質部が表面焼き入れにより
    硬化されたものであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の継目無金属管の製造方法。
  4. 【請求項4】 パスラインの周りに傾斜して配置した一
    対の主ロールと、パスライン上に配したプラグとを備え
    た穿孔圧延機を有する継目無金属管の製造装置におい
    て、主ロールとして、表面硬さが高い環状の硬質部を備
    えたロールを有することを特徴とする継目無金属管の製
    造装置。
  5. 【請求項5】 主ロールの硬質部が、ゴージ部とゴージ
    部の上流側とにあり、いずれの硬質部もその硬さが、シ
    ョア硬さで10以上他の部分よりも硬いものであること
    を特徴とする請求項4に記載の継目無金属管の製造装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007229795A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Sanyo Special Steel Co Ltd 円周方向剪断歪みを低減するバレル型ピアサーロール

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JP2007229795A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Sanyo Special Steel Co Ltd 円周方向剪断歪みを低減するバレル型ピアサーロール

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