JPWO2004094545A1 - アルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物及びアルミニウムホイールの塗装方法 - Google Patents

アルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物及びアルミニウムホイールの塗装方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、(A)(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステル、第2級水酸基含有不飽和単量体及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含有し、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルの含有量が10〜50重量%であり、第2級水酸基含有不飽和単量体の含有量が8〜40重量%である単量体混合物を共重合して得られ、且つ水酸基価が90〜150mgKOH/g及び酸価が1〜30mgKOH/gである水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂、並びに(B)アミノ樹脂、を含有するアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物、並びにこれを用いたアルミニウムホイールの塗装方法を提供するものである。

Description

本発明は、アルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物及び該塗料組成物を用いるアルミニウムホイールの塗装方法に関する。
チューブ、タイヤ等の取付け部材である自動車用ホイールとして、スチールホイール、アルミニウムホイール等が使用されている。特に、軽量性、防食性、デザイン性等に優れたアルミニウムホイールが多く用いられている。
アルミニウムホイールには、保護と美観のために、通常、プライマー塗料組成物を塗装後、透明、着色又は光輝性の熱硬化性上塗り塗料組成物が、1回又は2回以上塗装されている。
従って、アルミニウムホイール用のプライマー塗料組成物には、該ホイール素地及び着色塗膜等の上塗り塗膜のいずれに対しても付着性に優れることが要求される。また、該ホイール素地の平滑性を改良するため、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、更に液状プライマー塗料組成物を塗装する場合があり、この場合の液状プライマー塗料組成物には、粉体プライマー塗膜に対する付着性に優れることが要求される。
一方、アルミニウムホイールのプライマー塗膜上に形成される上塗り塗膜には、平滑性、光沢等の塗膜外観に優れること、自動車の走行中の飛び石などによる傷を防止するため、耐擦り傷性に優れることが要求される。また、該ホイールの塗装ラインにおいて、上塗り塗膜上にゴミ等が付着した場合に、その部分を研ぎ落とした後に同じ塗料を再塗装して補修する必要がある。この場合に、再塗装した塗膜の密着性、即ちリコート付着性に優れることが必要である。更に、アルミニウムホイールの上塗り塗膜の外観を向上させるために膜厚を大きくした場合に、タレ、ワキ等の塗膜欠陥が発生し難いことも必要である。
特開2001−62391号公報は、アルミニウムホイールに、プライマー塗膜層、光輝性クリヤー塗膜層及びトップクリヤー塗膜層を形成する塗膜形成方法において、トップクリヤー塗膜層を熱硬化性アクリル樹脂系塗料組成物を用いて形成することを開示している。しかしながら、この方法で用いられた従来公知の熱硬化性アクリル樹脂系塗料組成物では、塗膜外観、耐擦り傷性及びリコート付着性のいずれにも優れるトップクリヤー塗膜を形成することは困難であった。
本発明の目的は、アルミニウムホイール用のプライマー塗料組成物として用いる場合に、該ホイール素地、粉体プライマー塗膜及び上塗り塗膜のいずれに対しても付着性に優れるプライマー塗膜を形成できるアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、アルミニウムホイール用のトップクリヤー塗料組成物として用いる場合に、塗膜外観、耐擦り傷性及びリコート付着性に優れたクリヤー塗膜を、アルミニウムホイールに形成でき、しかも膜厚を大きくした場合にもタレ等の塗膜欠陥が発生し難いアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記アルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物を用いるアルミニウムホイールの塗装方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく、特に熱硬化性アクリル樹脂系塗料組成物の基体樹脂について鋭意研究した。その結果、基体樹脂として、特定量の(メタ)アクリル酸の長鎖アルキルエステル、特定量の第2級水酸基含有不飽和単量体及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含有する単量体混合物を共重合して得られ、且つ水酸基価と酸価が特定範囲内にあるアクリル樹脂を用いた液状熱硬化性塗料組成物によれば、アルミニウムホイール用のプライマー塗料組成物及びトップクリヤー塗料組成物として要求される性能を全て充足でき、上記目的を達成できることを見出した。
本発明は、上記新たな知見に基づいて、完成されたものである。
本発明は、以下のアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物及び該塗料組成物を用いるアルミニウムホイールの塗装方法を提供するものである。
1.(A)(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステル、第2級水酸基含有不飽和単量体及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含有し、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルの含有量が10〜50重量%であり、第2級水酸基含有不飽和単量体の含有量が8〜40重量%である単量体混合物を共重合して得られ、且つ水酸基価が90〜150mgKOH/g及び酸価が1〜30mgKOH/gである水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂、並びに
(B)アミノ樹脂、を含有するアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物。
2.アミノ樹脂(B)の配合割合が、固形分で、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、アミノ樹脂(B)5〜70重量部である上記項1に記載の塗料組成物。
3.第2級水酸基含有不飽和単量体が、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びカルボキシル基含有不飽和単量体にエポキシ基含有化合物をエステル化反応させて得られる不飽和単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の第2級水酸基含有不飽和単量体である上記項1に記載の塗料組成物。
4.さらにエポキシ樹脂(C)を含有するものである上記項1に記載の塗料組成物。
5.アルミニウムホイール用プライマー塗料組成物である上記項1に記載の塗料組成物。
6.アルミニウムホイール用トップクリヤー塗料組成物である上記項1に記載の塗料組成物。
7.(1)アルミニウムホイールに、上記項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に着色熱硬化性塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
8.(1)アルミニウムホイールに、上記項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
9.(1)アルミニウムホイールに、液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、上記項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
10.(1)アルミニウムホイールに、上記項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、上記項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
11.(1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、上記項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
12.(1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、上記項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
13.(1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、上記項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、上記項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
アルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物
本発明のアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物は、特定のアクリル樹脂(A)、アミノ樹脂(B)及び必要に応じてエポキシ樹脂(C)を含有する組成物である。
アクリル樹脂(A)
アクリル樹脂(A)は、本発明塗料組成物の基体樹脂であり、(A)(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステル、第2級水酸基含有不飽和単量体及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含有し、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルの含有量が10〜50重量%程度であり、第2級水酸基含有不飽和単量体の含有量が8〜40重量%程度である単量体混合物を共重合することにより、得られる水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂である。
上記単量体混合物において、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルの含有量が10〜50重量%程度であることが、塗装時のタレ発生防止、塗膜の平滑性等の点から、必要である。
上記単量体混合物において、第2級水酸基含有不飽和単量体の含有量が8〜40重量%程度であることが、塗膜のアルミニウムホイール素材との付着性、粉体プライマー塗膜との付着性、上塗り塗膜との付着性及びリコート付着性に優れることから、必要である。
上記単量体混合物において、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルの含有量が15〜40重量%程度であり、第2級水酸基含有不飽和単量体の含有量が10〜30重量%程度であるのが、好ましい。
また、アクリル樹脂(A)は、水酸基価が90〜150mgKOH/g程度で、酸価が1〜30mgKOH/g程度であることが、塗料組成物の硬化性、塗膜の耐擦り傷性とリコート付着性とがバランス良く優れる点から、必要である。アクリル樹脂(A)は、水酸基価が100〜140mgKOH/g程度で、酸価が2〜20mgKOH/g程度であるのが好ましい。
上記単量体混合物における(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルとしては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
第2級水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有不飽和単量体にエポキシ基含有化合物をエステル化反応させて得られる不飽和単量体等を挙げることができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、バーサチック酸グリシジルエステル、三級脂肪酸グリシジルエステル、p−tert−ブチル安息香酸グリシジルエステル、飽和脂肪酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;アルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類を挙げることができる。
上記グリシジルエステル類としては、市販品を使用することができる。バーサチック酸グリシジルエステルの市販品としては、例えば、「カージュラE」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、炭素原子数9〜11の分岐高級脂肪酸のグリシジルエステル)等を挙げることができる。三級脂肪酸グリシジルエステルの市販品としては、例えば、「エクアテート9G」(商品名、出光化学(株)製)等を挙げることができる。p−tert−ブチル安息香酸グリシジルエステルの市販品としては、例えば、「PES−10」(商品名、扶桑化学(株)製)等を挙げることができる。
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等を挙げることができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
上記単量体混合物においては、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステル、第2級水酸基含有不飽和単量体及びカルボキシル基含有不飽和単量体以外に、必要に応じて、その他の不飽和単量体を併用することができる。
上記その他の不飽和単量体としては、例えば、第1級水酸基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜5のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル、ビニルエーテル及びアリルエーテル類、芳香族ビニル単量体、脂環族重合性不飽和単量体、窒素含有不飽和単量体、リン酸基含有不飽和単量体等を挙げることができる。
第1級水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸の炭素数1〜5のアルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステルとしては、例えば、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ビニルエーテル及びアリルエーテル類としては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、トリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルエチルエーテル等を挙げることができる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
脂環族重合性不飽和単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メタノールシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
窒素含有不飽和単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アリルアミン等を挙げることができる。
リン酸基含有不飽和単量体としては、例えば、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、オルトリン酸又は酸性リン酸エステルにグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体を等モル付加したもの等を挙げることができる。
上記単量体混合物を共重合することにより、アクリル樹脂(A)を調製することができる。共重合手法としては、一般的なビニルモノマーの重合法を用いることができるが、汎用性、コスト等を考慮して、有機溶剤中におけるラジカル重合法が最も適している。例えば、有機溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤の存在下、通常60〜170℃程度の温度範囲で共重合反応を行なうことによって、容易に目的の重合体を得ることができる。
アクリル樹脂(A)の数平均分子量は、1,000〜100,000程度であるのが好ましく、3,000〜50,000程度であるのがより好ましい。
アミノ樹脂(B)
本発明組成物におけるアミノ樹脂(B)は、アクリル樹脂(A)に対する架橋剤として機能するものである。
アミノ樹脂(B)としては、例えば、アミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂、該メチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってエーテル化した樹脂等を挙げることができる。
上記アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等を挙げることができる。アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等を挙げることができる。また、上記エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等を挙げることができる。
本発明組成物におけるアミノ樹脂(B)の配合割合は、固形分で、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、アミノ樹脂(B)が5〜70重量部程度であるのが、組成物の硬化性と塗膜の上塗り塗膜、リコート塗膜等との付着性とがバランス良く優れることから、好ましい。アクリル樹脂(A)100重量部に対して、アミノ樹脂(B)が10〜50重量部程度であるのが、より好ましい。
エポキシ樹脂(C)
本発明の塗料組成物においては、アクリル樹脂(A)及びアミノ樹脂(B)以外に、必要に応じて、エポキシ樹脂(C)を含有していてもよい。エポキシ樹脂(C)を含有することにより、塗膜の耐食性が向上する。
エポキシ樹脂(C)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂又はノボラックエポキシ樹脂を変性した変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は水酸基に各種変性剤を反応せしめることにより、調製することができる。
エポキシ樹脂(C)の数平均分子量は、300〜6,000程度であるのが好ましく、800〜5,500程度であるのがより好ましい。また、該樹脂のエポキシ当量は、150〜5,000程度であるのが好ましく、250〜4,500程度であるのがより好ましい。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、重縮合させて、高分子量化してなる樹脂;エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させて得られた樹脂等を挙げることができる。
上記ビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができる。これらの内、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が好ましい。上記ビスフェノール類は、1種単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、「エピコート1001」、「エピコート1004」、「エピコート1007」、「エピコート1009」、「エピコート1010」(以上、ジャパンエポキシレジン社製、商品名);「AER6097」、「AER6099」(以上、旭化成エポキシ社製、商品名);「エポミックR−309」(三井化学社製、商品名)などを挙げることができる。
また、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、分子内に多数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
前記変性エポキシ樹脂としては、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂に、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;アクリル酸又はメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分を反応させたエポキシアクリレート樹脂;イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂;上記ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂又は上記各種変性エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させて、アミノ基又は4級アンモニウム塩を導入してなるアミン変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本発明組成物に、エポキシ樹脂(C)を配合する場合、その配合割合は、固形分で、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、エポキシ樹脂(C)が1〜50重量部程度であるのが、塗膜の耐食性の向上の観点から好ましい。エポキシ樹脂(C)の配合割合は、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、5〜35重量部程度であるのがより好ましい。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて、顔料、有機樹脂、ハジキ防止剤、レベリング剤、潤滑剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含有することができる。有機樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。また、顔料としては、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を挙げることができる。
本発明の塗料組成物を、アルミニウムホイール用プライマー塗料組成物として用いる場合には、着色顔料、体質顔料、防錆顔料などの顔料を含有することが好ましい。また、アルミニウムホイール用トップクリヤー塗料組成物として用いる場合には、得られる塗膜の透明性を損なわない範囲で、着色顔料、光輝性顔料等を含有することができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などの白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;ナフトールエローS、ハンザエロー、ピグメントエローL、ベンジジンエロー、パーマネントエローなどの黄色顔料;クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジなどの橙色顔料;酸化鉄、アンバーなどの褐色顔料;ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッド、キナクリドン系赤顔料などの赤色顔料;コバルト紫、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インジゴなどの青色顔料;クロムグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられる。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、マイカ顔料、銀メッキガラスフレーク、アルミナフレーク、シリカフレーク、ステンレススチールフレーク、板状酸化鉄、ガラスフレーク等を挙げることができる。
体質顔料としては、例えば、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉などが挙げられる。
防錆顔料としては、例えば、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメート、鉛シアナミド、鉛酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどが挙げられる。
本発明の液状塗料組成物は、有機溶剤型塗料組成物であっても、水性塗料組成物であってもよい。また、塗料組成物の固形分含量は、通常、10〜80重量%程度とするのがよい。
本発明塗料組成物が、有機溶剤型塗料組成物である場合は、以上に述べた各成分を、それ自体既知の方法で、有機溶剤又は有機溶剤と水の混合物である媒体中に、溶解又は分散させて、調製することができる。使用される有機溶剤としては、例えば、芳香族系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種又は2種以上組み合わせて、使用することができる。また、有機溶剤としては、各成分製造時に用いたものを、そのまま用いてもよい。
芳香族系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸カルビトール、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、二塩基酸エステル等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等を挙げることができる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等を挙げることができる。
本発明塗料組成物が、水性塗料組成物である場合には、以上に述べた各成分を、それ自体既知の方法で、水又は水と上記有機溶剤の混合物である水性媒体中に、溶解又は分散させて、調製することができる。水性媒体中に、溶解又は分散させる際に、アンモニア、アミン化合物等の中和剤を用いてもよい。また、水性媒体としては、各成分製造時に用いたものを、そのまま用いてもよい。
本発明の熱硬化性液状塗料組成物は、アルミニウムホイール用のプライマー塗料組成物又はトップクリヤー塗料組成物として、使用することが好ましい。
アルミニウムホイールの塗装方法
本発明の熱硬化性液状塗料組成物は、アルミニウムホイールに、プライマー塗料組成物として直接塗装してもよいし、又粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼き付けて得られる粉体プライマー塗膜上に、第2プライマー塗料組成物として、塗装してもよい。
また、本発明の熱硬化性液状塗料組成物は、アルミニウムホイールに、プライマー塗膜及び着色塗膜、又はプライマー塗膜及び光輝性塗膜を介して、トップクリヤー塗料組成物として塗装してもよい。このプライマー塗膜は、粉体プライマー塗膜と液状プライマー塗料組成物に基づく第2プライマー塗膜との2層からなっていてもよい。
本発明塗料組成物の塗装方法としては、公知の塗装方法、例えば、エアレススプレー、エアースプレー、静電方式等の方法を採用できる。塗装膜厚は、硬化塗膜として、通常、10〜60μm程度とするのが好ましく、15〜40μm程度とするのがより好ましい。また、焼付けする場合の加熱条件は、通常、100〜180℃程度で、10〜40分間程度とするのが好ましく、110〜160℃程度で、15〜30分間程度とするのがより好ましい。
本発明の熱硬化性液状塗料組成物を用いたアルミニウムホイールの塗装方法としては、以下の塗装方法I〜VIIにより、アルミニウムホイール上に複層塗膜を形成する方法が好ましい。
塗装方法I:(1)アルミニウムホイールに、本発明のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に着色熱硬化性塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
塗装方法II:(1)アルミニウムホイールに、本発明のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
塗装方法III:(1)アルミニウムホイールに、液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、本発明のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
塗装方法IV:(1)アルミニウムホイールに、本発明のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、本発明のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
塗装方法V:(1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、本発明のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
塗装方法VI:(1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、本発明のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
塗装方法VII:(1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
(2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、本発明のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
(3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
(4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、本発明のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
アルミニウムホイール
本発明塗装方法の被塗物は、乗用車、オートバイ、トラック、ワゴン車などの自動車用のチューブ、タイヤなどの取付け部材であるアルミニウムホイールである。アルミニウムホイールは、材質としては、通常、アルミニウムを主成分とし、更にマグネシウム、ケイ素などを含む合金からなっている。
アルミニウムホイールとしては、軽量性、デザイン性などの目的で、任意の形状に成型加工したものを使用できる。また、ショットブラストした凹凸状の鋳肌面、切削した平滑面などが混在するものも使用できる。
また、アルミニウムホイールは、塗装を行うのに先立って、クロム酸塩系表面処理剤、リン酸塩系表面処理剤、ジルコニウム系表面処理剤等で、その表面をあらかじめ化成処理しておくことが好ましい。
2コート塗装方法
本発明塗装方法Iは、アルミニウムホイールに、本発明のプライマー塗料組成物を塗装し、焼付け後、着色熱硬化性塗料組成物を塗装し、焼付ける2コート2ベーク方式、又は該プライマー塗料組成物及び着色熱硬化性塗料組成物を塗装し、両塗膜を同時に焼き付ける2コート1ベーク方式により、行うことができる。2コート1ベークの場合、プライマー塗料組成物を塗装後、通常、10秒〜10分間程度室温で静置してから、着色熱硬化性塗料組成物を塗装するのが好ましい。
2コート塗装方法においては、プライマー塗膜の硬化膜厚は、15〜35μm程度とするのが好ましい。また、着色熱硬化性塗料組成物は、エアレススプレー、エアースプレー、静電方式等の公知の塗装方法により、硬化塗膜として、通常、10〜40μm程度となるように、塗装するのが好ましい。
また、着色熱硬化性塗料組成物塗装後の焼付け条件は、2コート1ベーク及び2コート2ベークのいずれの場合も、通常、130〜160℃程度で、10〜30分間程度とするのが好ましい。
上記着色熱硬化性塗料組成物としては、上塗り用着色塗料としてそれ自体公知の塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂;ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの架橋剤;着色顔料等を、水及び/又は有機溶剤に溶解又は分散させて得られる塗料組成物を、好適に使用できる。
3コート塗装方法
本発明塗装方法II、III及びIVは、アルミニウムホイールに、本発明又は公知の液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付け後、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付け、更に本発明又は公知のクリヤー塗料組成物を塗装し、焼付ける3コート塗装方法である。
3コート塗装方法は、各塗料組成物を順次塗装後に3層塗膜を同時に焼付ける3コート1ベーク方式;プライマー塗料塗装後に焼付け、次いで着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物及びクリヤー塗料組成物を順次塗装後に焼付ける3コート2ベーク方式A;プライマー塗料組成物及び着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を順次塗装後に焼付け、次いでクリヤー塗料組成物塗装後に焼付ける3コート2ベーク方式B;又は各塗料組成物塗装後にそれぞれ焼付ける3コート3ベーク方式により、行うことができる。
3コート1ベーク又は3コート2ベークにおいて、液状プライマー塗料組成物、又は着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装後、焼付けを行わない場合には、通常、10秒〜10分間程度室温で静置してから、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物、又はクリヤー塗料組成物を塗装するのが好ましい。
3コート塗装方法においては、本発明塗料組成物によるプライマー塗膜の硬化膜厚は、15〜35μm程度とするのが好ましい。また、公知の液状プライマー塗料組成物を用いる場合には、エアレススプレー、エアースプレー、静電方式等の公知の塗装方法により、硬化塗膜として、通常、15〜35μm程度となるように、塗装するのが好ましい。
3コート塗装方法で使用される公知の液状プライマー塗料組成物としては、アルミホイール用のプライマーとして通常用いられているそれ自体公知の塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、水酸基などの架橋性官能性基を有する、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤;着色顔料、体質顔料、防錆顔料などの顔料;硬化触媒、レベリング剤、ワキ防止剤などの添加剤等を、水及び/又は有機溶剤に溶解又は分散させて得られる液状塗料組成物を好適に使用できる。
また、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物は、エアレススプレー、エアースプレー、静電方式等の公知の塗装方法により、硬化塗膜として、通常、10〜30μm程度となるように、塗装するのが好ましい。
上記着色熱硬化性塗料組成物としては、前記2コートによる塗装方法において述べたものを使用できる。また、上記光輝性塗料組成物としては、上塗り用光輝性塗料としてそれ自体公知の塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂;ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの架橋剤;アルミニウムフレーク顔料、マイカ顔料等の光輝性顔料;着色顔料等を、水及び/又は有機溶剤に溶解又は分散させて得られる塗料組成物を、好適に使用できる。
この塗装方法においては、本発明塗料組成物によるクリヤー塗膜の硬化膜厚は、15〜35μm程度とするのが好ましい。また、公知のクリヤー塗料組成物は、エアレススプレー、エアースプレー、静電方式等の公知の塗装方法により、硬化塗膜として、通常、15〜35μm程度となるように、塗装するのが好ましい。
上記公知のクリヤー塗料組成物としては、それ自体公知の塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂;ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの架橋剤等を、水及び/又は有機溶剤に溶解又は分散させて得られる塗料組成物を、好適に使用できる。また、得られる塗膜の透明性を損なわない範囲で、着色顔料、アルミニウムフレーク顔料、マイカ顔料、体質顔料等を含有していてもよい。
上記3コート1ベーク方式、3コート2ベーク方式又は3コート3ベーク方式による塗装方法における各焼付け条件は、いずれの場合も、通常、130〜160℃程度で、10〜30分間程度とするのが好ましい。
3コート塗装方法の内、前記3コート2ベーク方式B又は3コート3ベーク方式による塗装方法においては、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、焼付け後、必要に応じて、アルミニウムホイールの一部の切削工程及び化成処理を行ってから、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼付けることもできる。
また、前記3コート2ベーク方式Aの塗装方法において、黒色等に着色したプライマー硬化塗膜上に、硬化膜厚で0.1〜2μm程度となるように光輝性熱硬化性塗料組成物を塗装し、10秒〜10分間程度室温で静置してから、クリヤー塗料組成物を塗装し、両塗膜を焼付けることもできる。この態様によれば、光輝性塗膜の膜厚を極めて薄くすることにより、アルミニウムフレーク顔料、マイカ顔料等の鱗片状光輝性顔料の配列を制御して、光輝感を向上させることができるので、好ましい。
4コート塗装方法
本発明塗装方法V、VI及びVIIは、アルミニウムホイールに、公知の粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付けた後、本発明又は公知の液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付け、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付け、更に本発明又は公知のクリヤー塗料組成物を塗装し、焼付ける4コートによる塗装方法である。この塗装方法は、アルミニウムホイールに、最初に、粉体プライマー塗料組成物を塗装、焼付けておくこと以外は、前記3コート塗装方法と同様である。
4コート塗装方法においては、アルミニウムホイールに、先ず、公知の粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける。粉体プライマー塗料組成物は、被塗物であるアルミニウムホイール表面のショットブラスト処理等により、該ホイール素地の凹凸が著しくなった場合に、その平滑性を向上させるために、塗装されるものである。
粉体プライマー塗料組成物は、静電粉体塗装等の公知の塗装方法により、通常、硬化塗膜として、50〜150μm程度となるように、塗装するのが好ましい。また、焼付け条件は、通常、140〜180℃程度で、10〜40分間程度とするのが好ましい。
上記公知の粉体プライマー塗料組成物としては、アルミニウムホイール用の粉体プライマーとして通常用いられているそれ自体公知の塗料組成物をいずれも使用できる。粉体プライマー塗料組成物としては、塗膜の耐食性に優れる点から熱硬化性エポキシ樹脂系粉体プライマー塗料組成物を用いるのが好ましい。
熱硬化性エポキシ樹脂系粉体プライマー塗料組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、ビスフェノール−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の無水物、ポリカルボン酸のジヒドラジドなどの架橋剤;着色顔料、体質顔料、防錆顔料などの顔料;硬化触媒、レベリング剤、ワキ防止剤などの添加剤等を、ミキサーでドライブレンドした後、加熱溶融混練し、冷却し、粉砕し、必要に応じて濾過することにより製造できる。
次に、粉体プライマー硬化塗膜上に、前記3コートによる塗装方法の場合と同様にして、本発明又は公知の液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付け、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付け、更に本発明又は公知のクリヤー塗料組成物を塗装し、焼付けて、4コートによる塗装方法を行えばよい。
かくして、本発明塗装方法により、アルミニウムホイール上に、2コート、3コート又は4コートからなる複層塗膜が形成される。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。各例において、「部」及び「%」はいずれも重量基準による。
製造例1〜10:アクリル樹脂(A)の製造
撹拌機、還流冷却管、窒素吹込管および滴下装置を有する四つ口フラスコに、ブチルセロソルブ100部及びイソブチルアルコール30部を加え、窒素気流中で115℃に加温し、同温度で表1に記載の配合組成からなる不飽和単量体混合物(合計100部)及びアゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合物を3時間かけて加えた。その後、同温度で30分熟成し、アゾビスイソブチロニトリル1部とブチルセロソルブ20部との混合物を1時間にわたって加え、30分熟成してから、200メッシュナイロンクロスで濾過して、固形分40%の各アクリル樹脂溶液を得た。
製造例1〜4及び6〜10で得られた各アクリル樹脂の数平均分子量は、いずれも5,000であった。また、製造例5で得られたアクリル樹脂の数平均分子量は、4,500であった。
製造例1〜10の各不飽和単量体混合物の配合組成(部)及び得られた各アクリル樹脂の水酸基価及び酸価を、表1に、それぞれ示す。
Figure 2004094545
表1において、(*1)〜(*3)は、各々下記の内容のものである。
(*1)ヒドロキシプロピルアクリレート:2級水酸基/1級水酸基=約75/25(モル比)。
(*2)ヒドロキシプロピルメタクリレート:2級水酸基/1級水酸基=約75/25(モル比)。
(*3)「アクリットM201」:商品名、大同化成(株)製、メタクリル酸に「カージュラE」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、炭素原子数9〜11の分岐高級脂肪酸のグリシジルエステル)をエステル化反応して得られた不飽和単量体。
実施例1〜3及び比較例1〜7:クリヤー塗料組成物の調製
表2に示す配合割合に従って、各クリヤー塗料組成物を得た。表2における配合量は、固形分(部)で示した。
Figure 2004094545
表2において、(*4)〜(*6)は、各々下記の内容のものである。
(*4)メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂:商品名「サイメル232」、三井サイテック(株)製。
(*5)ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「エピコート1001」、ジャパンエポキシレジン社製、数平均分子量約900、エポキシ当量約490。
(*6)紫外線吸収剤:商品名「チヌビン900」、チバガイギー社製。
実施例4〜6及び比較例8〜14:複層塗膜の形成
クロム酸クロメート(商品名「AL−1000」、日本パーカライジング社製)で化成処理を施したアルミニウム鋳造板(AC4C、10mm×70mm×150mm)に、15秒/フォードカップ#4/20℃に粘度調整したアルミニウムホイール用熱硬化性エポキシ樹脂系有機溶剤型塗料(商品名「#550プライマー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装して20℃で3分間静置した。
未硬化のプライマー塗膜上に、塗装粘度10秒/フォードカップ#4/20℃に調整した熱硬化性アクリル樹脂系有機溶剤型光輝性カラーベース塗料(商品名「マジクロンAL2500シルバー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で15μmになるようにエアースプレー塗装して20℃で1分間静置した。
さらに、未硬化の光輝性カラーベース塗膜上に、25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した実施例1〜3及び比較例1〜7で得られた各クリヤー塗料組成物を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で5分間静置した後、140℃で20分間加熱して、プライマー塗膜、光輝性カラーベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる三層塗膜を、同時に焼付けた。
かくして、3コート1ベーク方式により、硬化した複層塗膜を形成した。
次に、実施例4〜6及び比較例8〜14で得た各複層塗膜について、塗膜外観、耐擦り傷性及び塗膜硬度の塗膜性能を調べた。試験方法は、次の通りである。
塗膜外観:複層塗膜表面の平滑性及び光沢を、目視で観察し、外観を評価した。Aは平滑性及び光沢が良好で外観に優れることを、Bは平滑性又は/及び光沢が不良で外観が劣ることを示す。
耐擦り傷性:耐擦り傷性試験機として、染色物堅牢度摩擦試験機(商品名「FR−II」、スガ試験機(株)製)を用いた。磨き粉(商品名「ダルマクレンザー」、やま三商店社製)3gに対して、水2gの割合で、混合して、研磨剤とした。この研磨剤を、ネルに3滴程度付着させ、そのネルを試験機端子で押さえ、500gの荷重をかけ、複層塗膜面を往復25回こすりつけた。その後、塗面を流水で洗浄し、自然乾燥後、塗膜のツヤを目視にて観察し、下記基準により耐擦り傷性を評価した。
A:塗面のツヤに変化が認められず、耐擦り傷性に優れる、
B:塗面にツヤビケが少し認められ、耐擦り傷性やや不良、
C:塗面にツヤビケが著しく認められ、耐擦り傷性不良。
塗膜硬度:複層塗膜について、JISK−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験により、硬度を測定した。
リコート付着性の性能試験
(1)実施例4〜6及び比較例8〜14において、三層塗膜の焼付け条件を、140℃で60分間とする以外は、同様にして、3コート1ベーク方式により硬化した各複層塗膜を形成した。
(2)上記で得られた各複層塗膜に、それぞれの塗膜の作成に用いたものと同一のクリヤー塗料組成物を、硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で5分間静置した後、140℃で20分間焼付けてリコート塗膜を形成した。この試料を用いて、下記方法によりリコート付着性を調べた。
リコート付着性:試料のリコート塗膜面に、JIS K−5400 8.5.2(1990)に準じて、カッターナイフで素地に到達するように、直交する縦横11本づつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成した。その表面に粘着テープを密着させ、該テープを急激に剥離した際の碁盤目のリコート塗膜の残存個数をカウントし、付着性を次の基準で評価した。
A:残存個数100個で、リコート付着性が優れる、
B:残存個数80〜99個で、リコート付着性がやや不良、
C:残存個数80個未満で、リコート付着性が不良。
タレ及びワキの塗膜欠陥の防止性
(1)リン酸亜鉛化成処理した軟鋼板(0.8mm×100mm×450mm)に、15秒/フォードカップ#4/20℃に粘度調整したアルミニウムホイール用熱硬化性エポキシ樹脂系有機溶剤型塗料(商品名「#550プライマー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で5分間静置した。
未硬化のプライマー塗膜上に、塗装粘度10秒/フォードカップ#4/20℃に調整した熱硬化性アクリル樹脂系有機溶剤型光輝性カラーベース塗料(商品名「マジクロンAL2500シルバー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で15μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で5分間静置した後に、プライマー塗膜及び光輝性カラーベース塗膜を140℃で20分間焼付けて、塗装板を得た。
(2)上記塗装板を用いて、次の様にして、実施例1〜3及び比較例1〜7の各塗料組成物について、タレ及びワキの塗膜欠陥が生じる最小膜厚を調べた。
即ち、上記塗装板の長手方向の端部に10mm幅のマスキングテープを貼付した後、各塗料組成物を、硬化膜厚が長手方向に10μm〜70μmの勾配になるようにエアースプレー塗装した。直ちにマスキングテープを剥してその端部が下になるように水平からの傾斜角度60度に傾けて、20℃で5分間静置した後、140℃で20分間焼付けて、タレ及びワキの試験用の試料を得た。
上記各試験用試料について、下記試験方法に従って、タレ及びワキの塗膜欠陥が生じる最小膜厚を測定して、塗膜欠陥の防止性を調べた。
タレ防止性:試料の塗膜を観察し、該テープを剥した見切り部からタレが発生している箇所の上塗塗料の最低膜厚を測定して下記基準で評価した。
A:最低膜厚が45μm以上で、タレ防止性が優れる、
B:最低膜厚が30μm以上45μm未満で、タレ防止性がやや不良、
C:最低膜厚が30μm未満で、タレ防止性が不良。
ワキ防止性:試料の塗膜を観察し、ワキが発生している箇所の上塗塗料の最低膜厚を測定して下記基準で評価した。
A:最低膜厚が45μm以上で、ワキ防止性が優れる、
B:最低膜厚が30μm以上45μm未満で、ワキ防止性がやや不良、
C:最低膜厚が30μm未満で、ワキ防止性が不良。
実施例4〜6及び比較例8〜14の各複層塗膜の試験結果、並びに複層塗膜の形成時の実施例1〜3及び比較例1〜7の各塗料組成物の性能試験結果を、表3に示す。
Figure 2004094545
実施例7〜9及び比較例15〜21:プライマー塗料組成物の調製
表4に示す配合割合に従って、各プライマー塗料組成物を得た。表4における配合量は、固形分(部)で示した。
Figure 2004094545
表4において、(*4)〜(*6)は、前記の通りである。また、(*7)は下記の内容のものである。
(*7)黒顔料:商品名「カーボンMA−100」、三菱化学(株)製。アクリル樹脂溶液の一部を用いて、シェーカーで分散した後、混合した。
実施例10〜12及び比較例22〜28:複層塗膜の形成
クロム酸クロメート(商品名「AL−1000」、日本パーカライジング社製)で化成処理を施したアルミニウム鋳造板(AC4C、10mm×70mm×150mm)に、15秒/フォードカップ#4/20℃に粘度調整した実施例7〜9及び比較例15〜21の各プライマー塗料組成物を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装して20℃で3分間静置した。
未硬化のプライマー塗膜上に、塗装粘度10秒/フォードカップ#4/20℃に調整した熱硬化性アクリル樹脂系有機溶剤型光輝性カラーベース塗料(商品名「マジクロンAL2500シルバー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で15μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で1分間静置した。
さらに、未硬化の光輝性カラーベース塗膜上に、25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した熱硬化性アクリル樹脂系有機溶剤型クリヤー塗料(商品名「マジクロンALC−2クリヤー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で5分間静置した後、140℃で20分間加熱して、プライマー塗膜、光輝性カラーベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる三層塗膜を、同時に焼付けた。
かくして、3コート1ベーク方式により、硬化した複層塗膜を形成した。
次に、実施例10〜12及び比較例22〜28で得た各複層塗膜について、塗膜外観及びプライマー塗膜の付着性を調べた。試験方法は、次の通りである。
塗膜外観:複層塗膜表面の平滑性及び光沢を、目視で観察し、外観を評価した。Aは平滑性及び光沢が良好で外観に優れることを、Bは平滑性又は/及び光沢が不良で外観が劣ることを示す。
プライマー塗膜の付着性:素材とプライマー塗膜との付着性及びプライマー塗膜とベース塗膜との付着性を次の様にして調べた。JIS K−5400 8.5.2(1990)の碁盤目−テープ法に準じて、カッターナイフで素地に到達するように、直交する縦横11本づつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成した。その表面に粘着テープを密着させ、該テープを急激に剥離した際に、クリヤー塗膜迄残存した碁盤目の個数をカウントし、付着性を次の基準で評価した。
A:残存個数100個で、付着性が優れる、
B:残存個数95〜99個で、付着性がやや不良、
C:残存個数94個以下で、付着性が不良。
実施例10〜12及び比較例22〜28の各複層塗膜の性能試験結果を、表5に示す。
Figure 2004094545
実施例13〜15及び比較例29〜35:複層塗膜の形成
クロム酸クロメート(商品名「AL−1000」、日本パーカライジング社製)で化成処理を施したアルミニウム鋳造板(AC4C、10mm×70mm×150mm)に、熱硬化性粉体プライマー塗料(商品名「エバクラッドNo.3600」、関西ペイント(株)製、ドデカン二酸ジヒドラジドを硬化剤とするエポキシ樹脂系塗料)を硬化膜厚で70μmになるように静電粉体塗装した後、160℃で15分間焼付けて、粉体プライマー塗膜を硬化させた。
粉体プライマー硬化塗膜上に、15秒/フォードカップ#4/20℃に粘度調整した実施例7〜9及び比較例15〜21の各プライマー塗料組成物を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で3分間静置した後、140℃で20分間焼付けて、第2プライマー塗膜を硬化させた。
硬化した第2プライマー塗膜上に、塗装粘度8秒/フォードカップ#4/20℃に調整した熱硬化性アクリル樹脂系有機溶剤型光輝性カラーベース塗料(商品名「マジクロンAL2500シルバー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で1μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で1分間静置した。
さらに、未硬化の光輝性カラーベース塗膜上に、25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した熱硬化性アクリル樹脂系有機溶剤型クリヤー塗料(商品名「マジクロンALC−2クリヤー」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚で40μmになるようにエアースプレー塗装し、20℃で5分間静置した後、140℃で20分間加熱して、光輝性カラーベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる二層塗膜を、同時に焼付けた。
かくして、4コート3ベーク方式により、硬化した複層塗膜を形成した。
次に、実施例13〜15及び比較例29〜35で得た各複層塗膜について、塗膜外観及び第2プライマー塗膜の付着性を調べた。試験方法は、次の通りである。
塗膜外観:複層塗膜表面の平滑性及び光沢を、目視で観察し、外観を評価した。Aは平滑性及び光沢が良好で外観に優れることを、Bは平滑性又は/及び光沢が不良で外観が劣ることを示す。
第2プライマー塗膜の付着性:粉体プライマー塗膜と第2プライマー塗膜との付着性及び第2プライマー塗膜とベース塗膜との付着性を次の様にして調べた。JIS K−5400 8.5.2(1990)の碁盤目−テープ法に準じて、カッターナイフで素地に到達するように、直交する縦横11本づつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成した。その表面に粘着テープを密着させ、該テープを急激に剥離した際に、クリヤー塗膜迄残存した碁盤目の個数をカウントし、付着性を次の基準で評価した。
A:残存個数100個で、付着性が優れる、
B:残存個数95〜99個で、付着性がやや不良、
C:残存個数94個以下で、付着性が不良。
タレ及びワキの塗膜欠陥の防止性
(1)リン酸亜鉛化成処理した軟鋼板(0.8mm×100mm×450mm)に、熱硬化性粉体プライマー塗料(商品名「エバクラッドNo.3600」、関西ペイント(株)製、ドデカン二酸ジヒドラジドを硬化剤とするエポキシ樹脂系塗料)を硬化膜厚で70μmになるように静電粉体塗装した後、160℃で15分間、粉体プライマー塗膜を焼付けて、塗装板を得た。
(2)上記塗装板を用いて、次の様にして、実施例7〜9及び比較例15〜21の各プライマー塗料組成物について、タレ及びワキの塗膜欠陥が生じる最小膜厚を調べた。
即ち、上記塗装板の長手方向の端部に10mm幅のマスキングテープを貼付した後、各塗料組成物を、硬化膜厚が長手方向に10μm〜70μmの勾配になるようにエアースプレー塗装した。直ちにマスキングテープを剥してその端部が下になるように水平からの傾斜角度60度に傾けて、20℃で5分間静置した後、140℃で20分間焼付けて、タレ及びワキの試験用の試料を得た。
上記各試験用試料について、下記試験方法に従って、タレ及びワキの塗膜欠陥が生じる最小膜厚を測定して、塗膜欠陥の防止性を調べた。
タレ防止性:試料の塗膜を観察し、該テープを剥した見切り部からタレが発生している箇所の上塗塗料の最低膜厚を測定して下記基準で評価した。
A:最低膜厚が45μm以上で、タレ防止性が優れる、
B:最低膜厚が30μm以上45μm未満で、タレ防止性がやや不良、
C:最低膜厚が30μm未満で、タレ防止性が不良。
ワキ防止性:試料の塗膜を観察し、ワキが発生している箇所の上塗塗料の最低膜厚を測定して下記基準で評価した。
A:最低膜厚が45μm以上で、ワキ防止性が優れる、
B:最低膜厚が30μm以上45μm未満で、ワキ防止性がやや不良、
C:最低膜厚が30μm未満で、ワキ防止性が不良。
実施例13〜15及び比較例29〜35の各複層塗膜の性能試験結果、並びに複層塗膜の形成時の実施例7〜9及び比較例15〜21の各プライマー塗料組成物の性能試験結果を、表6に示す。
Figure 2004094545
発明の効果
本発明のアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物によれば、次のような顕著な効果が得られる。
(1)本発明塗料組成物をアルミニウムホイール用のプライマー塗料組成物として用いる場合に、該ホイール素地、粉体プライマー塗膜及び上塗り塗膜のいずれに対しても付着性に優れるプライマー塗膜を形成できる。
(2)本発明塗料組成物をアルミニウムホイール用のトップクリヤー塗料組成物として用いる場合に、塗膜外観、耐擦り傷性及びリコート付着性に優れたクリヤー塗膜を形成できる。
(3)本発明塗料組成物は、膜厚を大きくした場合にもタレ、ワキ等の塗膜欠陥が発生し難い。従って、特に、アルミニウムホイール用のトップクリヤー塗料組成物として用いる場合に、膜厚を大きくすることにより、平滑性、光沢等の塗膜外観を更に向上させることができる。

Claims (13)

  1. (A)(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステル、第2級水酸基含有不飽和単量体及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含有し、(メタ)アクリル酸の炭素数6〜18のアルキルエステルの含有量が10〜50重量%であり、第2級水酸基含有不飽和単量体の含有量が8〜40重量%である単量体混合物を共重合して得られ、且つ水酸基価が90〜150mgKOH/g及び酸価が1〜30mgKOH/gである水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂、並びに
    (B)アミノ樹脂、を含有するアルミニウムホイール用熱硬化性液状塗料組成物。
  2. アミノ樹脂(B)の配合割合が、固形分で、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、アミノ樹脂(B)5〜70重量部である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 第2級水酸基含有不飽和単量体が、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びカルボキシル基含有不飽和単量体にエポキシ基含有化合物をエステル化反応させて得られる不飽和単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の第2級水酸基含有不飽和単量体である請求項1に記載の塗料組成物。
  4. さらにエポキシ樹脂(C)を含有するものである請求項1に記載の塗料組成物。
  5. アルミニウムホイール用プライマー塗料組成物である請求項1に記載の塗料組成物。
  6. アルミニウムホイール用トップクリヤー塗料組成物である請求項1に記載の塗料組成物。
  7. (1)アルミニウムホイールに、請求項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に着色熱硬化性塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
  8. (1)アルミニウムホイールに、請求項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
    (2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
  9. (1)アルミニウムホイールに、液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
    (2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、請求項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
  10. (1)アルミニウムホイールに、請求項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
    (2)工程(1)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (3)工程(2)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、請求項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
  11. (1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
    (2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、請求項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
    (3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
  12. (1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
    (2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、液状プライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
    (3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、請求項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
  13. (1)アルミニウムホイールに、粉体プライマー塗料組成物を塗装し、焼付ける工程、
    (2)工程(1)で得られた粉体プライマー塗膜上に、請求項5に記載のプライマー塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、
    (3)工程(2)で得られたプライマー塗膜上に、着色又は光輝性の熱硬化性塗料組成物を塗装し、必要に応じて焼付ける工程、及び
    (4)工程(3)で得られた着色又は光輝性塗膜上に、請求項6に記載のトップクリヤー塗料組成物を塗装し、焼き付ける工程、
    を含むアルミニウムホイールの塗装方法。
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