JP5053760B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた外観および意匠性を有する複層塗膜形成方法に関する。
自動車車体などの基材の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を順次形成して、基材を保護すると同時に美しい外観を付与している。複層塗膜の形成方法としては、導電性に優れた基材に電着塗装などの下塗り塗装を施し、次いで、中塗り塗装、上塗り塗装を順次施す方法が一般的である。特に、外観および意匠性を大きく左右するのは、ベース塗装とクリヤー塗装とからなる上塗り塗装であり、塗膜数を増やしたり、焼き付け硬化回数を増やし、焼き付け硬化後に研磨工程を入れたりすると、外観が良くなっていく傾向にあるが、省資源やコストあるいは作業性の観点から3コート1ベーク(3層1回焼き付け)や3コート2ベーク(3層2回焼き付け)が多く採用されている。最近、高級車などにおいて、暗色系の深い透明感を有する外観が採用されてきており、これを提供する塗装方法が提案されている。
特許文献1(特開2001−314807号公報)には、高意匠性多層塗膜形成方法が開示されており、この方法は、被塗装物表面に対して、(1)着色成分および/または光輝材を含有している第1塗料を塗布して第1塗膜を形成する工程、(2)前記第1塗膜を焼き付け硬化せずに、その上に、着色成分を含有している第2塗料を塗布して第2塗膜を形成する工程、(3)さらに、前記第2塗膜を焼き付け硬化せずに、その上に、クリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成する工程を包含する(3C1B(3コート1ベーク)法)。この方法の複層塗膜の模式断面図を図1に示す。図1に示すように、第2塗膜が着色成分を樹脂固形分に対して0.01〜1重量含有したカラークリヤーと呼ばれるものであり、第2塗膜を第1塗膜(ベース塗膜)と同色系にすることにより深い透明感を出している。
特許文献1の方法は、図1に示すように、第1塗膜から第3塗膜を形成するまで焼き付け硬化しないので、タレやワキ、艶の低下等の塗膜不良が生じる可能性が高く、暗色系において深みのある透明感が低下する。上記特許文献1の方法を改善するために、図2に示すように、第2塗膜を焼き付け硬化することが考えられる。図2の場合、焼き付け硬化しない場合に生じる塗膜欠陥は減るが、その上にクリヤー塗料を塗布する際に上塗りとの濡れ性を改善するためにサンドペーパーなどで研磨することがあるが、その場合にカラークリヤー層(第2塗膜)の厚みが変化して色ムラが生じたり、研磨界面で透過光が屈折するためか、本来の色相と異なる色相が生じ、塗膜の透明感や色の深み感さえ無くなってしまうことがある。
特許文献2(特開2005−305424号公報)には、深み感に優れた高彩度複層塗膜を形成する方法が開示されている。この方法は、基材上に、光輝性顔料を含んでなるベース塗料(A)を塗装し、そして、得られるベースコート上にクリヤー塗料(B)を塗装した後、加熱して塗膜を硬化させ、得られるクリヤーコート上に、さらに、着色顔料および/または染料を含んでなるカラークリヤー塗料(C)を塗装し、得られるカラークリヤーコート上にトップクリヤー塗料(D)を塗装することを特徴とする。
この特許文献2の方法は、いわゆる4コート2ベーク法(4層2回焼き付け)であり、外観的には質感、透明感共に高いが、塗装工程が4回と多く、回数が増えればそれだけ塗膜不良の生じる可能性が高くなる。
特許文献3(特開平11−104563号公報)には、着色顔料、干渉性顔料およびカーボンブラックを含有するダークカラー塗料を塗装し、次いで、該塗面に、カーボンブラック、必要により着色顔料を含有させてなるカラークリヤー塗料を塗装する方法が開示されている。
この特許文献3の方法は、いわゆる2コート1ベーク法(2層1回焼き付け)といわれる方法であり、どうしても透明感や深み感が不足し、2層のみからなるので塗膜不良を生じる確率は低いものの、透明感、深み感が暗色系で求められる高級車には適当ではないと考えられる。
特許文献4(特開平2−131171号公報)には、被塗物の上に電着塗膜およびカラー中塗り塗膜をこの順に設け、該カラー中塗り塗膜を焼き付けた後にまたはウェットオンウェットで前記カラー中塗り塗膜の上にクリヤー塗料を塗布し、焼き付けを行い、さらに得られたクリヤー塗膜の上に低隠蔽性上塗り塗膜を設けることが開示されている。この方法は、カラー中塗り塗膜上に2層のクリヤー層を設けるものであるが、カラー中塗り塗膜は光輝材を含まないので、求める塗膜の色相や質感が高級車に求められるものと相違する。
特開2001−314807号公報 特開2005−305424号公報 特開平11−104563号公報 特開平2−131171号公報
本発明は、暗色系の塗膜において、優れた平滑性、透明感および色の深み感を有する複層塗膜の簡便な形成方法の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、被塗物に光輝材および着色顔料を含むベース塗料を塗装し、その上に着色顔料を含まないクリヤー塗料を塗装し、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化した後、硬化クリヤー塗膜の少なくとも一部を研磨し、その後、クリヤー塗膜全体に、着色顔料を含むクリヤー塗料を塗装し、焼き付け硬化することによって、4C2B法に匹敵する優れた外観(平滑性)および意匠性(透明感および色の深み感)を有する複層塗膜が得られることを見出した。従って、本発明は以下の複層塗膜形成方法を提供する。
被塗物に光輝材および着色顔料を含むベース塗料を塗装し、ベース塗膜を形成する工程、
ベース塗膜上に第1クリヤー塗料を塗装し、第1クリヤー塗膜を形成する工程、
ベース塗膜および第1クリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化し、硬化ベース塗膜および硬化第1クリヤー塗膜を形成する工程、
硬化第1クリヤー塗膜の少なくとも一部を研磨し、部分研磨第1クリヤー塗膜を形成する工程、
第1クリヤー塗膜全体上に第2クリヤー塗料を塗装し、第2クリヤー塗膜を形成する工程、および
第2クリヤー塗膜を焼き付け硬化し、硬化第2クリヤー塗膜を形成する工程、
を包含する複層塗膜形成方法であって、
前記第1クリヤー塗料が着色顔料を含まず、
前記第2クリヤー塗料が着色顔料を含み、前記第2クリヤー塗料における着色顔料の濃度(PWC)が0.001〜0.8%である、
複層塗膜形成方法。
好ましくはベース塗料が着色顔料としてカーボンブラックを含有する。
好ましくは第2クリヤー塗料が着色顔料としてカーボンブラックを含有する。
また、本発明は、上記複層塗膜形成方法によって形成される複層塗膜に関する。
本発明の方法によって、4C2B法に匹敵する優れた外観(平滑性)および意匠性(透明感および色の深み感)を有する複層塗膜を提供することができ、なおかつ、本発明の方法は、4C2B法よりも塗装時に塗膜不良を生じる可能性も低く、工程も簡便である。
また、本発明の方法は、優れた透明感および色の深み感を提供することができるので、暗色の塗装に適しており、優れた漆黒性を提供することができ、特に、高級車などの塗装において非常に有益である。
本発明の方法では、硬化第1クリヤー塗膜形成に着色顔料を含まないクリヤー塗料を用いているので、硬化第1クリヤー塗膜の少なくとも一部を研磨することによっても、カラークリヤー塗膜の研磨で見られるような色ムラや色相の変化は見られず、しかも、高い塗膜平滑性が得られる。
研磨によって、次に塗布される第2クリヤー塗料に対する濡れ性を大きく改善することができ、優れた平滑性を有する複層塗膜を提供することもできる。
さらに、本発明では、研磨の際に塗膜不良(へこみやキズ、ゴミ・塵などの付着など)を併せて補修することもできる。
本発明の複層塗膜は、図3に示すように、被塗物(例えば、下塗り塗膜および中塗り塗膜を有する基材)上にベース塗膜、第1クリヤー塗膜(無色透明クリヤー層)および第2クリヤー塗膜(カラークリヤー層)を有する。以下、本発明の複層塗膜形成方法における各工程および各塗膜を形成する塗料について詳細に説明する。
本発明の方法は、第1の工程として、被塗物に光輝材および着色顔料を含むベース塗料を塗装し、ベース塗膜を形成する工程を包含する。
被塗物
本発明で使用することができる被塗物としては、特に限定はなく、例えば、金属製品ならびにプラスチック製品およびその発泡体等の基材が挙げられる。
金属製品の材料としては、例えば、鉄、鋼、銅、アルミニウム、マグネシウム、スズ、亜鉛などの金属およびこれらの金属を含む合金などが挙げられる。金属製品として、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体および自動車車体用の部品などが挙げられる。これらの金属製品としては、予めリン酸塩、クロム酸塩等の化成処理されたものが特に好ましい。
プラスチック製品の材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。プラスチック製品としては、具体的には、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品などが挙げられる。さらに、これらのプラスチック製品は、純水および/または中性洗剤で洗浄されたものが好ましい。また、静電塗装を可能にするためのプライマー塗装が施されていてもよい。
基材としては、導電性に優る金属製品(特に、金属表面を有する金属製品および鋳造物)が特に好ましい。なぜなら、下塗り塗膜として、電着塗膜の形成が可能だからである。電着塗膜を形成する電着塗料としては、特に限定はなく、カチオン型およびアニオン型の電着塗料が挙げられるが、防食性に優れた塗膜を与えるという観点から、カチオン型電着塗料が好ましい。
また、本発明で使用する被塗物は、中塗り塗膜を有していてもよく、中塗り塗膜を形成することのできる中塗り塗料は、塗膜形成性樹脂、硬化剤、必要に応じて顔料を含んでいてもよい。
中塗り塗料に含まれる塗膜形成性樹脂としては、特に限定はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂が挙げられ、これらは、通常、硬化剤と組み合わせて用いられる。中塗り塗膜の諸性能、コストの点から、硬化剤としては、通常、アミノ樹脂および/または(ブロック)イソシアネート樹脂が用いられる。
中塗り塗料に含まれる顔料としては、通常使用される顔料、例えば、有機系や無機系の各種着色顔料および体質顔料等が挙げられるが、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機系顔料が好ましい。例えば、中塗り塗料として、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料としたグレー系中塗り塗料や上塗りとの明度を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料を用いることができる。中塗り塗料は、さらに、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料を含んでいてもよい。
中塗り塗料は、上記成分の他、塗料に通常添加され得る添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を含んでいてもよい。
上記下塗り塗料および中塗り塗料は、市販品を使用してもよい。また、下塗り塗膜および中塗り塗膜の形成方法としては、特に限定はなく、当業者に公知の通常の方法を用いることができる。
ベース塗料
本発明の方法に従い、被塗物の表面に塗装されるベース塗料としては、樹脂成分、光輝材、着色顔料および溶剤を含有する既知の熱硬化性塗料を使用することができ、メタリック塗料、マイカ塗料などを挙げることができる。なお、本発明で用いる第1クリヤー塗料との組み合わせに於いては、光輝性顔料を含有するベースコート塗料との組み合わせに優れたFF性を発揮することができ好ましい。
具体的には、樹脂成分は、架橋性官能基(例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシラン基など)を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれる1種またはそれ以上の基体樹脂と、これらを架橋硬化させるためのアルキルエーテル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物などから選ばれた1種もしくはそれ以上の架橋剤成分とからなり、該両成分の合計を基準にして、基体樹脂は50〜90%、架橋剤成分は50〜10%の比率で併用することが好ましい。
光輝材としては、形状は特に限定されず、また下記の着色顔料で着色されていてもよいが、例えば、鱗片状粒子であって、平面方向の大きさが平均粒径(D50)として、2〜50μmであり、かつ厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、さらに好適に用いられる。具体的には、アルミニウム(例えば、りん片状のアルミニウム)、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝材およびその混合物などが挙げられる。この他に、マイカ(雲母、金属酸化物で表面被覆した雲母、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、着色マイカ)、板状酸化鉄、グラファイト顔料などもこの中に含めるものとする。
着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン(例えば、二酸化チタン)、黄鉛、亜鉛華、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、黄色酸化鉄、ベンガラなどの無機顔料;アゾ系顔料(例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料)、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、ジオキサン系顔料、金属錯体顔料などの有機顔料が挙げられる。着色顔料としては、漆黒性を出すために、カーボンブラックが好ましい。また、体質顔料(例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等)などを含んでいてもよい。
光輝材および着色顔料は、それぞれ単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ベース塗料中の全顔料(光輝材および着色顔料の合計)濃度(PWC(pigment weight content))[PWC=(全光輝材および全着色顔料の合計質量)/(全光輝材、全着色顔料および全樹脂成分の固形分の合計質量)×100(%)]は、0.1〜50%であることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜40%であり、特に好ましくは1.0〜30%である。上限を越えると塗膜外観が低下する。また、着色顔料は、その顔料濃度(PWC)としては、一般的に30%以下であることが好ましい。上限を越えると塗膜外観が低下する恐れがある。さらに好ましくは0.05〜20%であり、特に好ましくは0.1〜15%である。
さらに、溶剤としては有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、通常の塗料用溶剤を使用することができる。
ベース塗料は水性塗料であってもよい。この場合、主な溶媒は水となるが、有機溶剤を含有してもよい。
ベース塗料には、必要に応じてさらに、紫外線吸収剤、光安定剤、流動調整剤、粘性付与剤、表面調整剤、はじき防止剤などの通常の塗料用添加剤を配合することができる。
本発明において、ベース塗料は、上記の金属製もしくはプラスチック製の材料に直接塗装することもできるが、上記の材料にカチオン電着塗料などの下塗り塗料および場合によりさらに中塗り塗料を塗装し、硬化させてなる塗面にベース塗料を塗装することが好ましい。
ベース塗料は、エアスプレー、静電塗装などにより、硬化塗膜で約10〜約50μmになるような膜厚に塗装することが好ましい。また、必要に応じて、室温〜約100℃で数分間放置してから、この未硬化塗面に、下記の第1クリヤー塗料を塗装してもよい。
本発明の複層塗膜形成方法は、第2の工程として、上記ベース塗膜上に第1クリヤー塗料を塗装し、第1クリヤー塗膜を形成する工程を包含する。
第1クリヤー塗料
本発明に従い上記ベース塗料の未硬化塗面に塗装される第1クリヤー塗料は、着色顔料を含まないクリヤー塗料であり、無色透明クリヤー塗膜を形成するものである。
本発明で用いられる第1クリヤー塗料は、塗膜性能の観点から、硬化型クリヤー塗料であることが好ましい。上記硬化型クリヤー塗料は、熱硬化性の塗膜形成性成分および硬化剤を含んでいる。上記塗膜形成性成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂成分を例示することができる。上記樹脂成分のうち硬化官能基を有するものと、これらの官能基に応じたアミノ樹脂や必要によりブロック化されたイソシアネート樹脂等の硬化剤との組合せを挙げることができるが、水酸基等の活性水素含有官能基を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、メラミン樹脂、必要に応じてブロック化されたポリイソシアネート樹脂の硬化剤との組合わせを用いることが好ましい。
さらに、本発明の第1クリヤー塗料は、表面調整剤、粘性制御剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の当業者によってよく知られている各種添加剤を含むことができる。
また、上記クリヤー塗料は、得られる塗膜のムラおよび艶の観点から、着色顔料および光輝材を含有しない。なお、上記クリヤー塗料の形態としては特に限定されず、溶剤型、水分散型、水溶型または粉体のいずれであってもよい。
好ましくは、第1クリヤー塗料は、以下のアクリル樹脂(a)、アクリル樹脂(b)およびメラミン樹脂硬化剤(c)を含有する有機溶剤系塗料である。
(a)炭素数8以上のアルキルエステル基を有するアクリルモノマー(1)、アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)、カルボキシル基を有するアクリルモノマー(3)、および、その他のアクリルモノマー(4)を、前記炭素数8以上のアルキルエステル基を有するアクリルモノマー(1)の量がモノマー全量の5〜20重量%の量で重合して得られる、水酸基価110〜160mgKOH/gおよび酸価5〜35mgKOH/gを有するアクリル樹脂;
(b)水酸基を有するアクリルモノマー(5)とエポキシ基を有するアクリルモノマー(6)と、その他のアクリルモノマー(7)を重合して得られる、水酸基価10〜150mgKOH/gおよびエポキシ当量230〜800g/eqを有するアクリル樹脂;および
(c)メラミン樹脂硬化剤であって、該メラミン樹脂硬化剤の溶解度パラメーター(Sp値)が9.5〜11.0であり、該メラミン樹脂硬化剤のうち50重量%以上がイミノ基含有メラミン樹脂であるメラミン樹脂硬化剤。
アクリル樹脂(a)
アクリル樹脂(a)は、前述のように炭素数8以上のアルキルエステル基を有するモノマー(1)、アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)、カルボキシル基を有するアクリルモノマー(3)およびその他のアクリルモノマー(4)を重合して得られるが、上記アクリル樹脂(a)を得るのに用いられる炭素数8以上のアルキルエステル基を有するアクリルモノマー(1)の量が、該アクリル樹脂を合成するのに用いられる全アクリルモノマーの5〜20重量%である。更に5〜13重量%であることが好ましく、下限を下回ると得られる塗膜のフリップフロップ性が確保できず、上限を上回ると塗膜層間の付着性が低下する。
上記炭素数8以上のアルキルエステル基を有するアクリルモノマー(1)は、好ましくは炭素数8〜18、より好ましくは10〜15のアルキルエステル基を含有しているものであり、アクリルモノマー(1)を用いることで、ウェット・オン・ウェット塗装されるベース塗膜との層間でのなじみを抑制し、ベース塗膜のフリップフロップ性を向上させることができる。更に、第1クリヤー塗膜硬化時の内部応力の発生を抑制することができ、第2塗膜の硬化ひずみも抑制することができるので好ましい。上記モノマー(1)の具体例としては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニルまたはそれらの混合物が挙げられる。ただし、炭素数が8以上のアルキル基が含まれる場合は、ベース塗料と第1クリヤー塗料とのなじみを防ぐことができ、好ましい。炭素数が18を上回ると、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜の層間密着性が不良となる可能性があり、あまり好ましくない。
特に上記炭素数8以上のアルキルエステル基を有するアクリルモノマー(1)の中でも、長鎖または直鎖状のアルキルエステル基を有するアクリルモノマーを用いることが好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルが好ましいものとして挙げられ、これは単独または2種以上併用して用いることができる。
本発明のアクリル樹脂(a)に適用されるアクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)は、アクリル基からの距離が炭素数で4以上、好ましくは4〜16、より好ましくは4〜9であることを必要とする。本発明における「アクリル基」からの距離とは、アクリルモノマー(2)における以下の構造(化1):
Figure 0005053760
におけるエステル部分の酸素(−O−)と対象となる水酸基との距離を意味するものであり、その間に存在する炭素原子の数によって決定される。ただし、この場合、直鎖状の炭素のみが数に含まれ、枝分かれした炭素原子は数に含まれない。尚、エステル部分の酸素と水酸基との間に、エーテル結合やエステル結合などが存在する場合においても、炭素原子の数のみをカウントし、酸素原子などの炭素原子以外の原子の数はカウントしない。本発明の「アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)」は、上記エステル部分の酸素(−O−)と対象となる水酸基との距離が炭素数で4以上離れているアクリルモノマーを意味する。水酸基がアクリル基から離れていることで、立体障害を受けずに、反応に寄与する可能性が高くなるので、有効であると考えている。尚、水酸基がアクリル基から炭素数で4以上離れていない水酸基を有するアクリルモノマーを同時に使用できるが、それらはその他のモノマー(4)の範疇に入る。アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)の例としては、例えば、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸7−メチル−8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−8−ヒドロキシオクチルが挙げられ、その他に、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルをε−カプロラクトンなどのラクトン類を1〜5モル反応させてなるラクトン変性アクリルモノマーなどが挙げられる。カプロラクトンで変性したアクリルモノマーの市販品の具体例として、例えば、ダイセル化学工業(株)製商品名で、プラクセルFA−1、プラクセルFA−2、プラクセルFA−3(アクリル酸ヒドロキシエチルにε−カプロラクトンをそれぞれ1モル、2モル、3モルを付加したモノマー)、プラクセルFM−1、プラクセルFM-2、プラクセルFM−3(メタクリル酸ヒドロキシエチル1モルにε−カプロラクトンをそれぞれ1モル、2モル、3モルを付加したモノマー)、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社(アメリカ)製商品名で、TONE m−100(アクリル酸ヒドロキシエチル1モルにε−カプロラクトン2モルを付加したモノマー)などが挙げられる。
また更に、ポリエーテルグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル、およびポリエーテルグリコールと(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルとのモノエーテルが挙げられる。例えば、日本油脂社製「ブレンマーAP−150」などが挙げられる。
アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)の中でも、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンの反応物であるプラクセルFM−1、FM−2、FA−1およびFA−2を好ましいアクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(8)として挙げることができる。上記好ましいモノマーは単独または2種以上を併用して用いることができる。
なお、上記アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)は、アクリル樹脂(a)を合成する際に使用する全ての水酸基含有モノマー全量(その他のモノマー(4)の中の水酸基含有モノマーとアクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)と合計量)に対し、50質量%以上の量で用いることが特に好ましい。アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)の配合量が、全ての水酸基含有モノマー全量に占める割合が50重量%を下回ると、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜の反応性が不十分となる可能性があり、その結果として、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜の層間密着性が悪化する恐れがある。特に好ましくは、55〜100重量%である。
上記カルボキシル基を有するモノマー(3)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸である。
その他のアクリルモノマー(4)は、炭素数8以上のアルキルエステル基を有するアクリルモノマー(1)と、アクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)およびカルボキシル基を有するアクリルモノマー(3)を除いたもので、これらのアクリルモノマーとの共重合可能なものが挙げられる。
上記その他のアクリルモノマー(4)としては、エステル部の炭素数7以下の(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル等)、前述のアクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)以外の水酸基含有アクリルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)、重合性ニトリル、α−オレフィン、ビニルエステル、及びジエンを挙げることができる。これらは目的により選択することができる。
なお、これらのその他のアクリルモノマー(4)は、上記モノマー混合物中の含有量が35重量%未満に設定されることが好ましい。
アクリル樹脂(a)は、上記のモノマーを例えば、ラジカル重合触媒を使って通常の方法により溶液重合することによって調製することができる。
上記各モノマーの構成比率は、生成するアクリル樹脂の水酸基価が110〜160mgKOH/g、好ましくは120〜150mgKOH/gの範囲内となるように選択することができる。下限を下回ると得られる塗膜の硬化性が確保できず、上限を上回ると塗膜の耐水性が低下する。上記アクリル樹脂の酸価は、5〜35mgKOH/gであり、好ましくは10〜30mgKOH/gである。上限を上回ると架橋反応が進みすぎて得られる塗膜の可とう性が確保できず、また耐水性も低下する。下限を下回ると硬化性が低下する。
上記アクリル樹脂の数平均分子量は、2000〜15000の範囲内にあることが好ましく、下限を下回ると塗膜硬度が不十分となり、上限を上回ると塗膜外観の低下を招く恐れがある。特に好ましくは、2500〜5000である。
なお、本明細書内での数平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値を、ポリスチレン標準により換算したものである。
アクリル樹脂(b)
アクリル樹脂(b)は、水酸基を有するアクリルモノマー(5)、エポキシ基を有するアクリルモノマー(6)およびその他のアクリルモノマー(7)を重合して得られるアクリル樹脂である。また、アクリル樹脂(b)の合成に当たっては、得られる樹脂の特数を損なわない範囲で、上記以外のモノマーを併用しても良い。水酸基を有するアクリルモノマー(5)は、前述のアクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)と、それ以外のアクリル基からの距離が炭素数4未満である水酸基を有するアクリルモノマーの両方を包含する概念である。それらの例としては、既に述べたアクリル基からの距離が炭素数4以上である水酸基を有するアクリルモノマー(2)で例示したもの、さらにそれ以外の水酸基を有するアクリルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルが挙げられる。さらに、水酸基を有するアクリルモノマー(5)のうち、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンの反応物であるプラクセルFM−1、FM−2、FA−1およびFA−2からなる水酸基含有モノマー(8)を用いることが更に好ましく、その配合量は、水酸基を有するモノマー(5)全体に占める割合が50重量%を下回ると、第1クリヤーと第2クリヤーの反応性が不十分となる恐れがあり、その結果として、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜の層間密着性が悪化する可能性がある。
エポキシ基を有するアクリルモノマー(6)としては、分子内にエポキシ基と重合性不飽和二重結合を有していれば特に限定されないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキサンメタノールの(メタ)アクリレートを挙げることができる。反応性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
さらに、アクリル樹脂(b)に用いられるその他のモノマー(7)は、水酸基を有するモノマー(5)とエポキシ基を有するモノマー(6)以外で、これらのアクリルモノマーとの共重合可能なモノマーを意味し、具体的には(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)、重合性ニトリル、α−オレフィン、ビニルエステル、及びジエンを挙げることができる。これらは目的により選択することができる。
なお、これらのその他のモノマー(7)は、上記モノマー全体の混合物中の含有量が35重量%未満に設定されることが好ましい。
上記アクリル樹脂(b)の水酸基価は10〜150mgKOH/g、より好ましくは20〜130mgKOH/g、エポキシ当量は230〜800g/eq、より好ましくは250〜700g/eq、数平均分子量は約1500〜12000が好ましく、2000〜4000であることが更に好ましい。水酸基価が下限を下回ると密着性が低下し、上限を上回ると耐水性および/またはフリップフロップ性が悪化するため好ましくない。エポキシ当量が下限を下回ると第2クリヤー塗料を塗布して得た複合塗膜の耐水性が悪くなり、上限を上回ると密着性が悪くなる。また、分子量が下限を下回ると塗膜硬度が不十分となり、上限を上回ると得られる塗膜外観が悪くなるおそれがある。
メラミン樹脂硬化剤(c)
メラミン樹脂硬化剤(c)は、その溶解度パラメーター(Sp値)が9.5〜11.0であり、その50重量%以上がイミノ基含有メラミン樹脂であるものが用いられる。
イミノ基含有メラミン樹脂(c)は、下記化学式のメラミン骨格を有するメラミン樹脂の窒素原子に結合した水素、すなわち、イミノ基が分子中に少なくとも1個以上含まれているものが好ましい。
Figure 0005053760
上記メラミン樹脂のトリアジン核のNに結合する基は、6個存在するが、イミノ型の数が多いものをイミノ基含有メラミン樹脂(若しくは、イミノ型メラミン樹脂)と称し、残りの結合基はその他の基を有していてもよい。
第1クリヤー塗料には、配合されるメラミン樹脂中において、イミノ基含有メラミン樹脂を50重量%以上含有する必要がある。50重量%を下回ると複合塗膜の層間一次密着性が悪化する恐れがある。イミノ基含有メラミン樹脂はメラミン樹脂の全体の50〜75重量%が好ましい。イミノ基含有メラミン樹脂は前述したようにイミノ基を1分子内に平均1個以上有するものをいう。下限を下回ると硬化性および付着性が低下する。ただし、イミノ基が多すぎるもの、例えば1分子内に平均3.5個以上のものは、硬く脆弱な塗膜を形成しやすく、塗膜の耐水性・耐衝撃性が劣るため好ましくない。
イミノ基を1個以上含有するメラミン樹脂の例として、ユーバン125(三井化学、商品名)、ユーバン225(三井化学、商品名)、サイメル254(三井サイテックインダストリー、商品名)、マイコート508(三井サイテックインダストリー、商品名)が挙げられる。
メラミン樹脂の溶解度パラメーター(Sp値)は、9.5〜11.0、好ましくは9.7〜10.9である。Sp値が、11.0を超えると、第2クリヤーとの密着性と塗膜の耐水性が低下する恐れがある。Sp値が9.5を下回ると、得られる塗膜の透明性が低下するので好ましくない。Sp値は、イミノ基含有メラミン樹脂単独の値とする。Sp値とは、solubility parameter(溶解性パラメーター)の略であり、溶解性の尺度となるものである。Sp値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。
上記イミノ基含有メラミン樹脂は、自己縮合反応を行う傾向が強く、第1クリヤー塗膜内に未反応の水酸基が残存する割合が増加する為、第1クリヤーと第2クリヤーの密着性が改善されると推測する。ただし、メラミン樹脂配合量の内、75重量%を超えてイミノ基含有メラミン樹脂を配合すると、上記自己縮合反応が過度に進行し、得られる塗膜の可撓性が失われ、また塗膜の耐水性が低下する恐れがある。一方、イミノ基含有メラミン樹脂の配合量が50重量%を下回ると、第1クリヤー塗膜中の未反応の水酸基が残りにくく、その結果、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜の層間密着性が悪化する可能性があり好ましくない。
一般に、樹脂のSp値は、Sp値既知の良溶媒に溶解させておき、その溶媒より高Sp値の貧溶媒と低Sp値の貧溶媒で濁度滴定することにより、当該樹脂のSp値を決定できることが知られている(参考文献1:C.M.Hansen J.Paint.Tech.,39[505]、104(1967)および参考文献2:小林敏勝 色材、77[4]、188-192 (2004))。
例えば、樹脂のSp値の測定例を示すと、
測定温度:20℃
サンプル:樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒10mlをホールピペットを用いて加え、マグネチックスターラーにより溶解する。
良溶媒:アセトン(Hansenの測定によるSp値:δ=9.77)
貧溶媒:ヘキサン(Sp値:δpl=7.24)、脱イオン水(Sp値:δph=23.50)
濁度測定:50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、滴定混合物にヘキサンを滴下して、濁りが生じた点のヘキサンの体積分率φpl、ならびに滴定混合物に脱イオン水を滴下して、濁りが生じた点の脱イオンの体積分率φphを記録する。
ヘキサンあるいは脱イオン水を滴下して生じた濁点における混合様態のSp値δml、δmhはそれぞれ貧溶媒と良溶媒のSp値の体積平均であらわすことができる。
Figure 0005053760
Figure 0005053760
樹脂のSp値δpolyは、δmlとδmhとの中間値となるので、次式によって決定できる。
Figure 0005053760
上記アクリル樹脂(a)は、塗料中の樹脂固形分当たり、50〜85重量%、特に60〜80重量%の範囲で含有することが好ましい。上限を上回ると、上層に位置する塗膜との付着性が低下し、下限を下回ると、ベース塗膜との混層性が低下する。
上記アクリル樹脂(b)は、塗料中の樹脂固形分当たり、5〜30重量%、特に8〜25重量%の範囲で含有することが好ましい。上限を上回ると、塗膜が硬く脆くなり、下限を下回ると、上塗塗膜との付着性が低下する。
上記メラミン樹脂(c)は、塗料中の樹脂固形分当たり、10〜40重量%、特に15〜35重量%の範囲で含有することが好ましい。上限を上回ると、塗膜が硬く脆くなり、下限を下回ると、硬化性が低下する。
本発明の第1クリヤー塗料はさらに必要に応じ、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、流動調整剤、はじき防止剤などの通常の塗料用添加剤を配合してもよい。
第1クリヤー塗料の製造方法は、特に限定されず、当業者の周知の任意の方法を用いることができる。
第1クリヤー塗料は、エアスプレー、静電塗装などにより、上記ベース塗料の未硬化塗面に、硬化塗膜で10〜50μmとなるような膜厚で塗装することが好ましい。また、必要により室温〜約100℃で数分間放置してもよい。
着色ベース塗料の塗面に無色透明塗膜を形成する第1クリヤー塗料を塗装すると、ベース塗料の単独塗膜に比べて意匠性、特に、透明感および色の深み感が向上する。
本発明の複層塗膜形成方法は、第3の工程として、上記ベース塗膜および第1クリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化(2C1B(2コート1ベーク)法)し、硬化ベース塗膜および硬化第1クリヤー塗膜を形成する工程を包含する。
焼き付け硬化温度は、100〜180℃、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃であり、焼きつけ硬化時間は、10〜60分間、好ましくは15〜50分間、より好ましくは20〜40分間である。
本発明の複層塗膜形成方法は、第4の工程として、硬化第1クリヤー塗膜の少なくとも一部を研磨し、部分研磨第1クリヤー塗膜を形成する工程を包含する。
硬化第1クリヤー塗膜表面の少なくとも一部(全面であってもよい)に研磨を施すことによって、塗面に高い平滑性を与えることができ、さらに、次工程で塗布される第2クリヤー塗料に対する濡れ性(接触角)を大きく改善することができる。図3は、本発明の複層塗膜の一実施形態を示し、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜との境界における研磨部分を模式的に示す。
また、研磨によって、塗装ムラ(タレ、ワキなど)を同時に改善することもでき、併せて、塗膜不良(へこみやキズ、ゴミ・塵などの付着など)を部分的に補修することも可能である。
例えば、被塗物が自動車車体の場合、高外観(平滑性)が要求される部位、具体的には、ボンネット、フェンダー、ピラー、ルーフ、トランクリッドなどに研磨を施すことが好ましい。
研磨は、具体的には、♯600〜2000番程度のサンドペーパー等の研磨材を用いて行うことが好ましく、いわゆる水研ぎによって研磨することがさらに好ましい。
なお、塗膜が有する凹凸(肌・ラウンド)のうち凸部分のみを軽い研磨によって研ぎ落とすだけでも塗膜平滑性向上の効果は認められるが、凸部分だけでなく、凹部分も含めて均一に研磨を行うことが好ましい。さらに、研磨を部分的に行う場合には、研磨必要部分から研磨不要部分にかけて、その研磨の深さ方向において、緩やかに勾配をつけて研磨を行うことが好ましい。
研磨後、ワイプまたはエアーブローによって、研磨屑、ゴミ、塵等を取り除くことが好ましい。
研磨工程後、本発明の複層塗膜形成方法は、第5の工程として、第1クリヤー塗膜全体上に第2クリヤー塗料を塗装し、第2クリヤー塗膜を形成する工程を包含する。なお、第2クリヤー塗料は、以下にて詳細に説明するが、着色顔料を含むカラークリヤー塗料である。
第2クリヤー塗料
第2クリヤー塗料は、ポリエポキシドとポリカルボン酸とを含有する酸エポキシ硬化系クリヤー塗料組成物、または、水酸基含有樹脂とポリイソシアネート硬化剤とを含むウレタンクリヤー塗料組成物のいずれかであり、いずれも、さらに着色顔料を含むカラークリヤー塗料である。
第2クリヤー塗料としては、着色顔料を含む酸エポキシ硬化系クリヤー塗料組成物が好ましく用いられる。特に、酸エポキシ硬化系クリヤー塗料組成物は、酸無水物基含有アクリル樹脂(a)、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)および水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂(c)を用いることが好ましく、上記酸無水物基含有アクリル樹脂(a)、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)および水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂(c)を含有することにより、耐酸性に優れた塗膜を形成する高固形分の第2クリヤー塗料が得られる。なお、酸無水物基含有アクリル樹脂(a)は、貯蔵安定性の観点から、樹脂(a)内の酸無水物基が低分子量のアルコールなどによってハーフエステル化されていることが好ましい。また、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)は、水酸基を併有するものである。
酸無水物基含有アクリル樹脂(a)、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)および水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂(c)の配合は、当業者に周知の方法で行いうる。
上記酸無水物基含有アクリル樹脂(a)及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)に含有されるカルボキシル基と、水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂(c)に含有されるエポキシ基とのモル比が1/1.4〜1/0.6、好ましくは1/1.2〜1/0.8となり、かつ酸無水物基含有アクリル樹脂(a)に含有されるカルボキシル基(酸無水物基に起因する)とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)および水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂(c)に含有される水酸基とのモル比が1/2.0〜1/0.5、より好ましくは1/1.5〜1/0.7となるような量で配合を行うことが好ましい。
酸無水物基含有アクリル樹脂(a)及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)に含有されるカルボキシル基と、水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂(c)に含有されるエポキシ基との割合が1/0.6を上回ると得られる塗料組成物の硬化性が低下するおそれがあり、1/1.4を下回ると塗膜が黄変するおそれがある。酸無水物基含有アクリル樹脂(a)に含有されるカルボキシル基(酸無水物基に起因する)と、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)及び水酸基とエポキシ基とを含有するアクリル樹脂(c)に含有される水酸基とのモル比が1/0.5を上回ると得られる塗料組成物の硬化性が低下するおそれがあり、1/2.0を下回ると水酸基が過剰となるので耐水性が低下するおそれがある。この配合量はそれぞれのポリマーの水酸基価、酸価およびエポキシ当量から当業者に周知の計算法により計算することができる。
このようにして得られる本発明の第2クリヤー塗料の硬化機構は、まず、加熱により酸無水物基含有アクリル樹脂(a)中の酸無水物基がカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)および水酸基とエポキシ基とを含有するアクリル樹脂(c)中に含有される水酸基と反応することにより架橋点を形成し、再度カルボキシル基を形成する。このカルボキシル基およびカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(b)に存在するカルボキシル基は、水酸基とエポキシ基とを含有するアクリル樹脂(c)中に存在するエポキシ基と反応することにより架橋点を形成する。このように、3種類のポリマーが相互に反応することにより硬化が進行して高い架橋密度を提供することができる。
また、第2クリヤー塗料としては、着色顔料を含むウレタンクリヤー塗料組成物が好ましく用いられ、ウレタンクリヤー塗料組成物としては、水酸基含有樹脂とイソシアネート化合物硬化剤を含有するクリヤー塗料を挙げることができる。上記硬化剤としてのイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂肪族環式イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル等の脂環族イソシアネート、これらのビューレット体、ヌレート体等の多量体及び混合物等を挙げることができる。
上記水酸基含有樹脂の水酸基価としては、20〜200の範囲内であることが好ましい。上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。上記下限は、30がより好ましく、上記上限は、180がより好ましい。
更に、上記水酸基含有樹脂の数平均分子量は、1000〜20000の範囲内であることが好ましい。上記数平均分子量が1000より小さいと作業性及び硬化性が十分でなく、20000を越えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって作業性が悪く
なる。上記下限は、2000がより好ましく、上記上限は、15000がより好ましい。なお、本明細書では、分子量はスチレンポリマーを標準とするGPC法により決定されるものである。
上記水酸基含有樹脂は、更に、2〜30mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。上記上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。上記下限は、3mgKOH/gがより好ましく、上記上限は、25mgKOH/gがより好ましい。
水酸基含有樹脂に対するイソシアネート化合物の配合比は、目的により種々選択できるが、本発明で用いる第2クリヤー塗料においてはイソシアネート基(NCO)と水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.5〜1.7の範囲内となるように構成するのが好ましい。上記含有量が下限を下回ると硬化性が不十分となり、上限を上回ると硬化膜が堅くなりすぎ脆くなる。上記下限は、0.7がより好ましく、上記上限は、1.5がより好ましい。上記クリヤー塗料の形態としては、溶剤型及び水性型どちらでもよい。
上記水酸基含有樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂等を挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂を用いることが耐候性、耐水性等の塗膜性能面から好ましい。
第2クリヤー塗料が含む着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン(例えば、二酸化チタン)、黄鉛、亜鉛華、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、黄色酸化鉄、ベンガラなどの無機顔料;アゾ系顔料(例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料)、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、ジオキサン系顔料、金属錯体顔料などの有機顔料が挙げられる。着色顔料としては、漆黒性を出すためにカーボンブラックが好ましい。
この第2クリヤー塗料によって得られる第2クリヤー塗膜の色相は、ベース塗膜の色相と同系色とすることが好ましく、同色とすることがさらに好ましい。ここで、本発明における同系色とは、マンセル表示系の色相環(10色相)の色配置において、少なくとも隣り合った色をいう。このようにすることで、より深み感と透明感のある暗色系の塗膜が得られる。
第2クリヤー塗料中の全着色顔料の濃度(PWC(pigment weight content))[PWC=(全着色顔料の合計質量)/(全着色顔料および全樹脂成分の固形分の合計質量)×100(%)]は、0.001〜0.8%、好ましくは0.005〜0.5%、より好ましくは0.01〜0.3%である。着色顔料の濃度(PWC)が0.001%未満の場合、透明性が高くなりすぎ、深みのある色相にならないなどの問題の恐れがあり、着色顔料の濃度(PWC)が0.8%を上回る場合、第2クリヤーが濁り、第1層であるベース塗膜の色相が見えず、深みのある塗色にならないとともに、耐候劣化による変退色などの問題の恐れがある。
第2クリヤー塗料組成物には塗膜の耐候性向上のために、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤等を加えてもよい。更にレオロジーコントロール剤として架橋樹脂粒子や、外観の調整の為表面調整剤を添加しても良い。また、必要に応じて、硬化触媒を含ませることが好ましい。
架橋樹脂粒子を用いる場合は、第2クリヤー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の量で添加される。架橋樹脂粒子の添加量が10質量部を上回ると外観が悪化するおそれがあり、0.01質量部を下回るとレオロジーコントロール効果が得られないおそれがある。
また、本発明で用いる樹脂が酸基を官能基として有する場合、これをアミンで中和することにより、水を媒体とする水性塗料組成物とすることも可能である。
具体的には、ポリエポキシドとポリカルボン酸とを含有する酸エポキシ硬化系クリヤー塗料組成物としては、耐酸性の観点から、日本ペイント社から発売されている「マックフロー O−570クリヤー」、「マックフロー O−1820クリヤー」、「マックフロー O−1800クリヤー」(いずれも、商品名)が好適に使用することができる。また、水酸基含有樹脂とポリイソシアネート硬化剤とを含むウレタンクリヤー塗料組成物である場合は、日本ビー・ケミカル社から販売されている「R290Sクリヤー」(商品名)を好適に使用することができる。
第2クリヤー塗料の製造方法は、特に限定されず、当業者の周知の任意の方法を用いることができる。例えば、市販の酸エポキシ硬化系クリヤー塗料組成物またはウレタンクリヤー塗料組成物に上記着色顔料を従来公知の方法で配合することによって、第2クリヤー塗料を調製することができる。
第2クリヤー塗料を、第1クリヤー塗料の硬化塗面全体に、エアスプレー、静電塗装などにより、膜厚が硬化塗膜で20〜200μmとなるように塗装することが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法は、第6の工程として、第2クリヤー塗膜を焼き付け硬化し、硬化第2クリヤー塗膜を形成する工程を包含する。
焼き付け硬化温度は、100〜180℃、好ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜150℃であり、焼きつけ硬化時間は、10〜60分間、好ましくは15〜50分間、より好ましくは20〜40分間である。
図3に示すように、本発明の方法によって、被塗物(例えば、下塗り塗膜および中塗り塗膜を順に形成した基材)上に、上塗り塗膜として、ベース塗膜(カラーベース層)、第1クリヤー塗膜(無色透明クリヤー層)および第2クリヤー塗膜(カラークリヤー層)を順に有する複層塗膜を形成することができる。第1クリヤー塗膜形成に着色顔料を含まないクリヤー塗料を用いているので、第1クリヤー塗膜を部分的または全体的に研磨することによっても、従来のカラークリヤー塗膜の研磨で見られるような色ムラや色相の変化は見られず、優れた平滑性を塗膜に付与することができる。また、研磨の際に、塗膜不良(へこみやキズ、ゴミ・塵などの付着など)を同時に改善(補修)することも可能である。また、研磨はその上に塗布される第2クリヤー塗料に優れた濡れ性(有意な接触角)を与え、最終的に優れた平滑性を有する複層塗膜が得られる。本発明の方法によって形成された複層塗膜は、2種類のクリヤー層、すなわち、無色透明クリヤー層およびカラークリヤー層を有するので、4C2B法に匹敵する優れた透明感および色の深み感をも達成することができる。また、ベース塗料および/または第2クリヤー塗料にカーボンブラックなどの着色顔料を配合することによって、優れた透明感および色の深み感を有する暗色塗装が可能であり、優れた漆黒性を提供することができる。このような特徴は、卓越して優れた意匠性が要求される高級車などの塗装において、非常に有益である。また、本発明の方法は、基本的には、3C2B法であり、4C2B法よりも簡便である。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例中、「部」および「%」は特に指示しない限り、重量に基づく。ただし、本発明は以下の記載に限定したものではない。
製造例1:ベース塗料1の調製
ステンレスビーカーに、日本ペイント社製熱硬化性アクリル樹脂(水酸基価45、酸価15、数平均分子量21000、固形分50質量%)、日本ペイント社製熱硬化性ポリエステル樹脂(水酸基価110、酸価8、数平均分子量2700、重量平均分子量16000、固形分60質量%)およびユーバン20N60(三井東圧社製ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)が固形分換算で60/15/25(アクリル樹脂/ポリエステル樹脂/メラミン樹脂)になるように配合し、着色顔料として、CYANINE BLUE G−314(山陽色素社製有機青色顔料、PWC=2.3%)、Hostaperm Violet BL(Clariant社製有機紫色顔料、PWC=1.8%)およびRAVEN 5000 ULTRA III POWDER(COLUMBIAN CHEMICALS社製カーボンブラック顔料、PWC=1.3%)、光輝材として、Iriojin 225 WNT(メルク社製干渉マイカ光輝材、PWC=4.5%)、更に、架橋樹脂粒子(日本ペイント社製粘性付与剤、平均粒径55nm、固形分20%)、およびアクリル樹脂系表面調整剤を、それぞれ樹脂固形分に対して、8質量%および0.8質量%になるように配合し、べース塗料1を調製した。
製造例2:ベース塗料2の調製
ステンレスビーカーに、日本ペイント社製熱硬化性アクリル樹脂(水酸基価45、酸価15、数平均分子量21000、固形分50質量%)、日本ペイント社製熱硬化性ポリエステル樹脂(水酸基価110、酸価8、数平均分子量2700、重量平均分子量16000、固形分60質量%)およびユーバン20N60(三井東圧社製ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)が固形分換算で60/15/25(アクリル樹脂/ポリエステル樹脂/メラミン樹脂)になるように配合し、着色顔料として、CYANINE BLUE G−314(山陽色素社製有機青色顔料、PWC=6.5%)およびHostaperm Violet BL(Clariant社製有機紫色顔料、PWC=1.4%)、光輝材として、ALUMINUM PASTE 65−388(東洋アルミ社製アルミ光輝材、PWC=1.6%)およびXIRALLIC T60−23WNT(メルク社製干渉アルミナ光輝材、PWC=6.9%)、更に、架橋樹脂粒子(日本ペイント社製粘性付与剤、平均粒径55nm、固形分20%)、およびアクリル樹脂系表面調整剤を、それぞれ樹脂固形分に対して、8質量%および0.8質量%になるように配合し、ベース塗料2を調製した。
製造例3:第1クリヤー塗料1の調製
製造例3−1:アクリル樹脂(a)の合成
還流冷却器、滴下ロート、温度計、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコにキシレン70.0g及びn−ブタノール30.0gを仕込み、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。これにスチレン35.0部、アクリル酸n−ブチル14.5部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル38.6部、メタクリル酸ラウリル10.0部、アクリル酸1.9部、カヤエステル−O(化薬アクゾ社製ラジカル重合開始剤)7.0g及びキシレン10.0gからなるモノマー混合溶液を滴下ロートを通じて、3時間で等速滴下し、滴下終了の後さらに30分、窒素雰囲気、撹拌、温度をそのまま維持した。その後、キシレン10.0g及びカヤエステル−Oを1.0gの混合溶液を滴下ロートを通じて、30分で等速滴下した。その後、窒素雰囲気、撹拌、温度をそのまま2時間維持した。得られたアクリル樹脂の水酸基価は150mgKOH/g 、酸価は15mgKOH/g 、数平均分子量は3500であった。
製造例3−2:アクリル樹脂(b)の合成
還流冷却器、滴下ロート、温度計、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコにソルベッソ100(S−100)を70.0g及び酢酸ブチル30.0gを仕込み、窒素雰囲気下で130℃に昇温した。これにスチレン35.0部、アクリル酸n−ブチル1.3部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル25.7部、メタクリル酸グリシジル38.0部、カヤエステル−Oを8.0g及びS−100を10.0gからなるモノマー混合溶液を滴下ロートを通じて、3時間で等速滴下し、滴下終了の後さらに30分、窒素雰囲気、撹拌、温度をそのまま維持した。その後、S−100を10.0g及びカヤエステル−Oを1.0gの混合溶液を滴下ロートを通じて、30分で等速滴下した。その後、窒素雰囲気、撹拌、温度をそのまま2時間維持した。得られたアクリル樹脂の水酸基価は100mgKOH/g 、エポキシ基当量374g/eq 、数平均分子量は2500であった。
製造例3−3:第1クリヤー塗料1の調製
ステンレスビーカーにアクリル樹脂(a)60部、アクリル樹脂(b)20部、ならびに、メラミン樹脂として、三井化学製のユーバン20N−60(Sp値=9.7)10部および三井化学製のユーバン225(イミノ基含有、Sp値=9.8)10部を量りとり、つぎに、ソルベッソ100/酢酸エチル=1/1(重量比)からなるシンナーを加えてディスパーで撹拌し、続いて第1クリヤー塗料1の粘度がフォードカップNo.4で20秒(20℃)の粘度となるように上記シンナーを用いて調整し、第1クリヤー塗料1を得た。
製造例4:第1クリヤー塗料2の調製
日本ペイント(株)製の「マックフロー O−1800クリヤー(商品名)」(酸無水物基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂および水酸基とエポキシ基を含有するアクリル樹脂を含有する、酸エポキシ硬化系クリヤー塗料)を第1クリヤー塗料2として使用した。
製造例5:第2クリヤー塗料1の調製
ステンレスビーカー中、日本ペイント(株)製の「マックフロー O−1800クリヤー(商品名)」、着色顔料として、CYANINE BLUE G−314(山陽色素社製有機青色顔料、PWC=0.2%)およびRAVEN 5000 ULTRA III POWDER(COLUMBIAN CHEMICALS社製カーボンブラック顔料、PWC=0.08%)を混合・撹拌し、続いて第2クリヤー塗料1の粘度がフォードカップNo.4で20秒(20℃)の粘度となるようにソルベッソ100/酢酸エチル=1/1(重量比)からなるシンナーを用いて調整し、第2クリヤー塗料1を調製した。
製造例6:第2クリヤー塗料2の調製
ステンレスビーカー中、日本ペイント(株)製の「マックフロー O−1800クリヤー(商品名)」、着色顔料として、CYANINE BLUE G−314(山陽色素社製有機青色顔料、PWC=0.2%)を混合・撹拌し、続いて第2クリヤー塗料2の粘度がフォードカップNo.4で20秒(20℃)の粘度となるようにソルベッソ100/酢酸エチル=1/1(重量比)からなるシンナーを用いて調整し、第2クリヤー塗料2を調製した。
製造例7:工程試験板の作製
リン酸亜鉛処理鋼板に、日本ペイント(株)製カチオン電着塗料の「パワートップU−80」を塗装し、焼付乾燥の後、その上に日本ペイント(株)製中塗り塗料の「オルガP−2」を塗装し、焼付乾燥することによって、工程試験板を作製した。
実施例1
第1工程:
製造例1で調製したベース塗料1を製造例7で作製した工程試験板にスプレー塗装し、未硬化のベース塗膜1を乾燥膜厚が15μmとなるように形成した。
第2工程:
未硬化のベース塗膜1上に製造例3で調製した第1クリヤー塗料1をウェット・オン・ウェットで塗布し、未硬化の第1クリヤー塗膜1を乾燥膜厚が25μmとなるように形成した。
第3工程:
未硬化のベース塗膜1および未硬化の第1クリヤー塗膜1を140℃で30分間同時に焼き付け硬化した。
第4工程:
硬化した第1クリヤー塗膜1の表面を平滑面が得られるまで♯1500番のサンドペーパーで水研ぎした。
第5工程:
第1クリヤー塗膜1全体に、製造例5で調製した第2クリヤー塗料1を塗布し、未硬化の第2クリヤー塗膜1を乾燥膜厚が35μmとなるように形成した。
第6工程:
未硬化の第2クリヤー塗膜1を140℃で30分間に焼き付け硬化し、硬化第2クリヤー塗膜1を形成し、複層塗膜を得た。
実施例2
実施例1に従い、実施例1の第5工程で用いた製造例5で調製した第2クリヤー塗料1の代わりに製造例6で調製した第2クリヤー塗料2を用いて、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
実施例3
実施例1に従い、実施例1の第1工程で用いた製造例1で調製したベース塗料1の代わりに製造例2で調製したベース塗料2を用いて、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
実施例4
実施例1に従い、実施例1の第1工程で用いた製造例1で調製したベース塗料1の代わりに製造例2で調製したベース塗料2を用い、さらに、実施例1の第5工程で用いた製造例5で調製した第2クリヤー塗料1の代わりに製造例6で調製した第2クリヤー塗料2を用いて、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
比較例1
実施例1に従い、実施例1の第3工程(焼き付け硬化工程)および第4工程(研磨工程)を省略し、実施例1と同様に複層塗膜を形成した(3C1B)。
比較例2
実施例1に従い、実施例1の第2工程で用いた製造例3で調製した第1クリヤー塗料1の代わりに製造例5で調製した第2クリヤー塗料1(カラークリヤー塗料)を用い、第4工程(研磨工程)を省略し、さらに、実施例1の第5工程で用いた製造例5で調製した第2クリヤー塗料1の代わりに製造例4で調製した第1クリヤー塗料2(無色透明クリヤー塗料)を用いて、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
比較例3
実施例1に従い、実施例1の第2工程で用いた製造例3で調製した第1クリヤー塗料1の代わりに製造例4で調製した第1クリヤー塗料2(無色透明クリヤー塗料)を用い、第4工程(研磨工程)を省略し、さらに、実施例1の第5工程で用いた製造例5で調製した第2クリヤー塗料1の代わりに製造例4で調製した第1クリヤー塗料2(無色透明クリヤー塗料)を用いて、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
比較例4
実施例1に従い、第4工程(研磨工程)を省略し、さらに、実施例1の第5工程で用いた製造例5で調製した第2クリヤー塗料1の代わりに製造例4で調製した第1クリヤー塗料2(無色透明クリヤー塗料)を用いて、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
比較例5
実施例1に従い、第4工程(研磨工程)を省略し、実施例1と同様に複層塗膜を形成した。
比較例6
比較例2に従い、第4工程(研磨工程)を行い、比較例2と同様に複層塗膜を形成した。
実施例および比較例で得られた複層塗膜を外観(平滑性)、意匠性(透明感、深み感および漆黒性)、未研磨付着性およびムラ感について以下の基準に従って評価した。結果を以下の表に示す。
外観(平滑性)
平滑性を以下の基準に従って目視により評価した。
1:かなり劣る
2:やや劣る
3:劣る
4:やや優れている
5:かなり優れている
透明感
透明感を以下の基準に従って目視により評価した。
1:かなり劣る
2:やや劣る
3:劣る
4:やや優れている
5:かなり優れている
深み感
深み感を以下の基準に従って目視により評価した。
1:かなり劣る
2:やや劣る
3:劣る
4:やや優れている
5:かなり優れている
漆黒性
漆黒性を以下の基準に従って目視により評価した。
1:かなり劣る
2:やや劣る
3:劣る
4:やや優れている
5:かなり優れている
未研磨付着性
未研磨付着性を以下に説明する碁盤目試験により評価した。
碁盤目試験(160℃×60分/120℃×30分)
製造例7で作製した工程試験板に、各実施例および各比較例で用いたベース塗料を、静電塗装機Auto REA(ランズバーグゲマ社製)により霧化圧5kg/cm2で乾燥膜厚が約16μmになるようにエアースプレー塗装し、約1分間セッティングした後、80℃で5分間プレヒートした。
次に、予めフォードカップNo.4で20秒(20℃)に粘度調整した第1のクリヤー塗料を、乾燥膜厚が約40μmとなるように塗装し、約7分間セッティング後、160℃で60分間焼き付けた。
焼き付け後、デシケーター中で30分間放置し、取り出した後、直ちに第1のクリヤー塗膜上に、予めフオードカップNo.4で20秒(20℃)に粘度調整された各第2クリヤー塗料を、乾燥膜厚が約40μmとなるようにスプレー塗装し、約7分間セッティングした。次に、120℃で30分間焼き付けて試験片とした。
このようにして得た試験片の塗面にカッター(NTカッター(商品名)S型、A型又はその相当品)の切り刃を塗面に対して約30度に保持して素地に達する2mmの碁盤目を形成し、その上に粘着テープ(ニチバン社製セロテープ)を気泡が残らないように指先で均一に圧着させた。直ちに粘着テープの一端を持ち、塗面の表面に対して垂直に急激に引っ張って試験片から粘着テープを剥がした。このときの上記碁盤目の塗膜が下地に付着している数を100〜0の数値で記載した。
ムラ感
ムラ感を以下の評価基準に従い評価した。
○:優れている
×:劣る
Figure 0005053760
Figure 0005053760
実施例1〜4は、第1クリヤー塗膜として無色透明のクリヤー層および第2クリヤー塗膜としてカラークリヤー層を備え、無色透明の第1クリヤー塗膜を研磨した後に、第2クリヤー塗膜を設けることによって、優れた平滑性、透明感および深み感が得られた。また、実施例1および3において、ベース塗膜および/または第2クリヤー塗膜がカーボンブラックを含むことによって、優れた漆黒性が得られた。対して、研磨工程を含まない比較例1〜5では、平滑性、透明感および深み感が低下した。また、比較例6において、第2工程で形成したカラークリヤー層を第4工程において研磨し、さらにその上に、第5工程において無色透明クリヤー層を形成した結果、比較例6では、カラークリヤー層の研磨によって、カラークリヤー層の厚みが変化して色ムラが生じ、研磨界面で透過光が屈折し、本来の色相と異なる色相が生じ、研磨工程を含まない比較例2と比べて平滑性は向上したが、本発明の実施例1〜4で得られるような優れた平滑性、透明感、深み感および漆黒性を得ることはできなかった。
本発明の方法によって、4C2B法に匹敵する優れた外観(平滑性)および意匠性(透明感および色の深み感)を有する複層塗膜を提供することができ、なおかつ、4C2B法よりも簡便である。
また、本発明の方法は、優れた透明感および色の深み感を得ることができるので、特に、暗色の塗装に適しており、優れた漆黒性を提供することができ、特に、高級車などの塗装において非常に有益である。
従来の3コート1ベーク法によって形成された複層塗膜の模式図であり、第1塗膜としてベース塗膜、第2塗膜としてカラークリヤー塗膜、第3塗膜として無色クリヤー塗膜を有し、第1塗膜、第2塗膜および第3塗膜を同時に焼き付け硬化する。 従来の3コート2ベーク法によって形成された複層塗膜の模式図であり、第1塗膜としてベース塗膜、第2塗膜としてカラークリヤー塗膜、第3塗膜として無色クリヤー塗膜を有し、第1塗膜および第2塗膜を同時に焼き付け硬化し、必要に応じて研磨後、その上に第3塗膜を形成する。 本発明の方法によって形成される複層塗膜の一実施形態の模式図である。

Claims (4)

  1. 被塗物に光輝材および着色顔料を含むベース塗料を塗装し、ベース塗膜を形成する工程、
    ベース塗膜上に第1クリヤー塗料を塗装し、第1クリヤー塗膜を形成する工程、
    ベース塗膜および第1クリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化し、硬化ベース塗膜および硬化第1クリヤー塗膜を形成する工程、
    硬化第1クリヤー塗膜の少なくとも一部を研磨し、部分研磨第1クリヤー塗膜を形成する工程、
    第1クリヤー塗膜全体上に第2クリヤー塗料を塗装し、第2クリヤー塗膜を形成する工程、および
    第2クリヤー塗膜を焼き付け硬化し、硬化第2クリヤー塗膜を形成する工程、
    を包含する複層塗膜形成方法であって、
    前記第1クリヤー塗料が着色顔料を含まず、
    前記第2クリヤー塗料が着色顔料を含み、前記第2クリヤー塗料における着色顔料の濃度(PWC)が0.001〜0.8%である、
    複層塗膜形成方法。
  2. 前記ベース塗料が着色顔料としてカーボンブラックを含有する、請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記第2クリヤー塗料が着色顔料としてカーボンブラックを含有する、請求項1または2記載の複層塗膜形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法によって形成される複層塗膜。
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