JP4638771B2 - ホワイトパール塗膜形成方法及び積層塗膜 - Google Patents

ホワイトパール塗膜形成方法及び積層塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、ホワイトパール塗膜形成方法及びこの方法により形成される積層塗膜に関する。
自動車車体等の高い意匠性が必要とされる分野において、上塗り塗色の多色化ニーズに対応するために、鱗片状のマイカ顔料を含有する塗料により形成されるパール塗膜が年々増加している。このような塗膜が形成された塗板は、垂直に近い状態(ハイライト位置)で見ると干渉色を有する真珠光沢を発現し、塗板を斜め上(シェード位置)から見ると真珠光沢が消え、白く曇ったような色調を発現する。一方、従来から、自動車車体等の被塗物に対して、カラーベース塗膜、マイカベース塗膜、クリヤー塗膜を順次積層することにより見る角度によって色調が変化して見えるフリップフロップ性を有するパール塗膜を得ていた。
しかし、今までのパール塗膜は、フリップフロップ性が小さいため、近くで見た場合は、フリップフロップ性を有する塗膜であることを判別できるが、遠くから見た場合、フリップフロップ性を有する塗膜であることが判別しにくく、全体が白く見えてしまう、即ち、意匠性を充分に発現できないといった問題が生じていた。このため、遠くから見た場合であっても、フリップフロップ性が高い塗膜が要求されていた。
特許文献1には、下地塗装された塗板に、カラーベース塗膜、シリカを含有したマイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を順次塗装することにより、シェード位置から見た場合の白濁感、無色化を抑制し、どの方向から見てもパール感、光輝感、キラキラ感を有するパール塗膜を形成する方法が開示されている。しかし、遠くから見た場合には、得られたパール塗膜はフリップフロップ性が低いものである。
特許文献2には、ビヒクル、暗部領域を有する干渉マイカ顔料及びこれ以外のマイカ顔料を含有することにより、塗膜の色彩が濃彩色系の場合、シェード部での白ボケ感が起きずに深みのある色調を呈する光輝性塗膜を得ることができる塗料組成物が開示されている。しかし、この塗料組成物は、濃彩色系の色相の塗膜を形成するものであり、ホワイトパール塗膜のフリップフロップ性の向上を目的とするものではない。また、これらの文献には、カラーベースが、特に白色である場合に、高いフリップフロップ性と同時に明度の高い良好なホワイトパール感を有するパール塗膜を形成するための方法についても示唆されていない。
特開2001−170559号公報 特開2001−164197号公報
本発明は、上記現状に鑑み、近くで見た場合だけでなく、遠くから見た場合においてもフリップフロップ性を有するパール塗膜であることが判別できるような高いフリップフロップ性を有し、かつ優れたホワイトパール感を有するパール塗膜が得られるホワイトパール塗膜形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に、ホワイトカラーベース塗膜、マイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を、順次形成するホワイトパール塗膜形成方法であって、上記マイカベース塗膜は、還元チタンコート干渉マイカ顔料を、上記還元チタンコート干渉マイカ顔料と金属酸化物被覆顔料との総合計質量に対して3〜50質量%含有することを特徴とするホワイトパール塗膜形成方法である。
上記還元チタンコート干渉マイカ顔料は、低次酸化チタンを含むチタン化合物で被覆したのち二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料(A)、及び/又は、表面を二酸化チタン層で被覆したのち金属チタンをスパッタリングして表面に金属チタン部と二酸化チタン膜の一部を還元した低次酸化チタン部とが点在する干渉マイカ顔料(B)であることが好ましい。
本発明はまた、上述のホワイトパール塗膜形成方法により形成されることを特徴とする積層塗膜でもある。
本発明を以下に詳細に説明する。
ホワイトパール塗膜形成方法
本発明のホワイトパール塗膜形成方法は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に、ホワイトカラーベース塗膜、特定量の還元チタンコート干渉マイカ顔料及び金属酸化物被覆顔料を含有するマイカベース塗膜、並びに、クリヤー塗膜を、順次形成する方法であるため、高いフリップフロップ性を有するホワイトパール塗膜を形成することができる。このため、この形成された塗膜を近くから見ても、遠くから見ても、見る角度によって色調が変化して見える。また、この塗膜は、優れたホワイトパール感のある色感を有するものである。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に、ホワイトカラーベース塗膜、マイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を、順次形成する方法である。
ホワイトカラーベース塗膜
本発明のホワイトパール塗膜形成方法において、上記ホワイトカラーベース塗膜は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に形成される塗膜であり、基材に色彩を付すことができる。上記ホワイトカラーベース塗膜を形成するためにホワイトカラーベース塗料が用いられる。
上記ホワイトカラーベース塗料としては、例えば、着色顔料、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機アマイド及び架橋樹脂粒子を含有するもの等を挙げることができる。
上記着色顔料としては、白色系顔料、例えば、二酸化チタン等を挙げることができる。
上記白色系顔料の含有量は、顔料濃度(PWC)で下限30%、上限75%であることが好ましい。30%未満であると、下地隠蔽性が低下するおそれがある。75%を超えると、外観が低下するおそれがある。上記白色系顔料を上記範囲で含有することで、マンセル値でN7〜N9.5の、いわゆるホワイトカラーベース塗膜を形成することができる。上記下限は、40%であることがより好ましく、上記上限は、65%であることがより好ましい。
また、上記ホワイトカラーベース塗料は、塗膜のホワイト感を阻害しない範囲内で、その他の顔料を含有してもよい。上記その他の顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック等の無機系着色顔料;炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の体質顔料等を挙げることができる。
上記塗膜形成性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
上記硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂及び/又はブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤が用いられる。
上記ホワイトカラーベース塗料中における塗膜形成性樹脂及び硬化剤の固形分含有量は、製造時30〜70質量%、塗布時10〜50質量%の範囲であることが好ましい。
上記有機アマイドとしては、チクソトロピー性を付与するための粘性制御剤として一般に知られているものを挙げることができる。具体的には、例えば、脂肪酸アマイドを挙げることができ、市販品として入手可能なものとしては、粉末状態のものやペースト状態のものを挙げることができる。上記ペースト状態のものは、一般にキシレンやアルコール等の溶剤によって希釈されている。
上記脂肪酸アマイドとしては、例えば、ジアマイドやポリアマイドを挙げることができる。ジアマイドは、ジアミンに水酸基含有脂肪酸を反応させることにより得られる化合物である。また、ポリアマイドは、多塩基カルボン酸とジアミンと水酸基含有脂肪酸を反応させて得られる化合物である。上記脂肪酸アマイドの数平均分子量(Mn)は一般的に1000〜2000であるものが好ましい。
上記有機アマイドの含有量は、上記ホワイトカラーベース塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、下限0.1質量部、上限10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、本発明の効果が充分に得られず、艶感や色感等の塗膜外観が低下するおそれがある。10質量部を超えると、塗膜に肌荒れが生じ、塗膜性能が低下するおそれがある。上記下限は、0.3質量部であることがより好ましく、0.5質量部であることが更に好ましい。上記上限は、5質量部であることがより好ましく、3質量部であることが更に好ましい。
上記架橋樹脂粒子としては、粘性制御剤として一般に知られているものを使用できるが、例えば、NAD(Non Aqueous Dispersion)と言われる樹脂粒子を使用することができる。この例として、色材,48巻(1975)第28〜34頁中に記載されているNAD塗料に用いられる樹脂粒子を挙げることができる。また、特開昭53−133236号公報に開示されている重合性樹脂粒子を、ホワイトカラーベース塗料中の架橋樹脂粒子として用いることができる。
上記のなかでも、有機溶剤に不溶であり、塗膜化した場合に光沢、発色性に影響を及ぼさないものが好ましく、極性基の相互作用を利用する非架橋若しくは架橋型の樹脂又は粒子が特に好ましい。最も好ましいのは、両性イオン基を有するポリエステル樹脂の存在下にモノマーを重合させて得られるものである。
上記架橋樹脂粒子としてはまた、多価アルコール成分の一つとして両イオン性基を分子内に有する単量体を用いて合成したアルキド樹脂又はポリエステル樹脂等の乳化能を有する樹脂と、重合開始剤の存在下で、水性媒体中でエチレン性不飽和モノマーとを乳化重合させることにより得られるものが好ましい。
この方法で得られる上記架橋樹脂粒子は、一般にエマルション樹脂に含有され、塗膜化したときに性能を低下させるような低分子乳化剤又は保護コロイドを含まず、しかも分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーを共重合することにより架橋されているため、塗膜の耐水性、耐溶剤性及び光沢等が優れている。
上記架橋樹脂粒子の含有量は、上記ホワイトカラーベース塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、下限2質量部、上限20質量部であることが好ましい。2質量部未満であると、艶感や色感等の塗膜外観が低下するおそれがある。20質量部を超えると、塗膜に肌荒れが生じ、塗膜性能が低下するおそれがある。上記下限は、4質量部であることがより好ましく、6質量部であることが更に好ましい。上記上限は、17質量部であることがより好ましく、15質量部であることが更に好ましい。
上記ホワイトカラーベース塗料において、上記有機アマイドと上記架橋樹脂粒子との配合割合は、有機アマイド/架橋樹脂粒子の固形分の比率で、1/50〜1.5/1であることが好ましい。配合割合における有機アマイドの量が少ないと、塗膜外観における艶感や色感等が低下するおそれがある。また配合割合における有機アマイドの量が多すぎると、塗膜性能が低下するおそれがある。上記配合割合は、1/20〜1/1であることがより好ましい。
上記有機アマイドと架橋樹脂粒子との合計の含有量は、上記ホワイトカラーベース塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、下限2質量部、上限30質量部であることが好ましい。2質量部未満であると、塗膜外観における艶感や色感が低下するおそれがあり、30質量部を超えると、塗膜に肌荒れを生じ、塗膜性能が低下するおそれがある。上記下限は、4質量部であることがより好ましく、6質量部であることが更に好ましい。上記上限は、20質量部であることがより好ましく、16質量部であることが更に好ましい。
上記ホワイトカラーベース塗料にはまた、所望により、その他の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、シリコーン及び有機高分子のような表面調整剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール等を挙げることができる。
上記ホワイトカラーベース塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型又は粉体型のいずれでもよく、また必要により硬化触媒、表面調整剤等を用いることができる。
上記ホワイトカラーベース塗料の製造方法は、特に限定されず、顔料等の配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の方法を適用することができる。
上記ホワイトカラーベース塗料の市販品としては、例えば、オルガP−30ホワイトカラーベース塗料、スーパーラックM−155HS(以上いずれも、日本ペイント社製)等を挙げることができる。
マイカベース塗膜
本発明のホワイトパール塗膜形成方法において、上記マイカベース塗膜は、上述のホワイトカラーベース塗膜の上に形成されるものであり、得られる積層塗膜にパール感や光輝感、フリップフロップ性を付与することができる。上記マイカベース塗膜の形成にはマイカベース塗料が用いられる。
上記マイカベース塗料は、還元チタンコート干渉マイカ顔料、金属酸化物被覆顔料を含有するものである。上記マイカベース塗料としては、例えば、金属酸化物被覆顔料、還元チタンコート干渉マイカ顔料、塗膜形成性樹脂、硬化剤及び架橋樹脂粒子等を含有するものを挙げることができる。
上記金属酸化物被覆顔料は、アルミナフレーク又はマイカ顔料の表面をTiO、SnO、ZrO、Fe、ZnO、Cr、V等又はそれらの含水物等の金属酸化物によりコーティングした干渉アルミナフレーク顔料等、着色アルミナフレーク顔料等あるいはホワイトアルミナフレーク顔料等である。
上記金属酸化物被覆顔料は、真珠箔状、金属様且つ玉虫色効果を有する上に、金属酸化物種とそのコーティング層の厚みが奏する色感をもたらすものである。なかでも、二酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物により均一に被覆されたものが好ましい。
上記金属酸化物被覆顔料の形状は特に限定されないが、例えば、鱗片状のものが好ましく、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、且つ厚みが0.1〜3μmであるものが好ましい。
干渉色を与える上記顔料の市販品としては、例えば、ホワイトの干渉色を有するシラリックT60−10 W3(商品名、メルクジャパン社製)、パールグレイスSME 90−9(商品名、日本光研社製)、グリーンの干渉色を有するイリオジン ウルトラ 7235 W2(商品名、メルクジャパン社製)、ブルーの干渉色を有するイリオジン ウルトラ 7225 W2(商品名、メルクジャパン社製)、エローの干渉色を有するイリオジン ウルトラ 7205 W2(商品名、メルクジャパン社製)等を挙げることができる。
尚、ホワイトカラーベース塗膜として上述のマンセル値でN7〜N9.5のホワイトカラーベース塗膜を用いる場合には、マイカベース塗料の光輝材として、シラリック T60−10 W3(商品名、メルクジャパン社製)、パールグレイスSME 90−9(商品名、日本光研社製)のようなホワイトの干渉色を有する顔料が好ましい。これにより、白いパール感を好適に得ることができる。また、マンセル値でN7〜N9.5のホワイトカラーベース塗膜上に、上記ホワイトの干渉色を有する干渉マイカ顔料を用いたマイカベース塗膜を形成した場合には、よりフリップフロップ性を高めることができるため、得られるホワイトパール塗膜(積層塗膜)を遠くから見た場合であっても、フリップフロップ性を有する塗膜であることを判別することができる。
上記マイカベース塗料中の、上記金属酸化物被覆顔料の顔料濃度(PWC)は、一般的に18.0%以下であることが好ましい。18.0%を超えると、塗膜外観を低下させるおそれがある。上記PWCは、0.01〜17.0%であることがより好ましく、0.01〜16.0%であることが更に好ましい。
上記マイカベース塗料は、還元チタンコート干渉マイカ顔料を含有する。
上記還元チタンコート干渉マイカ顔料は、マイカ顔料の表面を一部還元された酸化チタンによってコーティングした干渉色を発する顔料である。上記ホワイトベース塗膜の上に、上記還元チタンコート干渉マイカ顔料及び上記金属酸化物被覆顔料を含有するマイカベース塗料を塗布することによりマイカベース塗膜を形成する場合には、高いフリップフロップ性を有するホワイトパール塗膜を得ることができる。このため、遠くから見てもフリップフロップ性を有する塗膜であることを判別することができる。また同時に、優れたホワイト感とパール感を有するホワイトパール塗膜を得ることができる。
上記還元チタンコート干渉マイカ顔料は、低次酸化チタンを含むチタン化合物で被覆したのち二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料(A)、及び/又は、表面を二酸化チタン層で被覆したのち金属チタンをスパッタリングして表面に金属チタン部と二酸化チタン膜の一部を還元した低次酸化チタン部とが点在する干渉マイカ顔料(B)であることが好ましい。上記還元チタンコート干渉マイカ顔料(A)、(B)と上記金属酸化物被覆顔料と併用することにより、塗膜のフリップフロップ性を高めることができるとともに、優れたホワイト感を有するホワイトパール塗膜を得ることができる。
上記還元チタンコート干渉マイカ顔料(A)は、マイカ顔料の表面を、低次酸化チタンを含むチタン化合物で被覆したのち、更に二酸化チタンで被覆することによって得られる干渉マイカ顔料である。上記還元チタンコート干渉マイカ顔料(B)は、マイカ顔料の表面を、二酸化チタンで被覆したのち、更に金属チタンを用いたスパッタリングにより表面に金属チタン部と上記二酸化チタン膜の一部を還元した低次酸化チタン部とが点在するように処理して得られる干渉マイカ顔料である。
なお、上記低次酸化チタンとは、一般式TiO(a=1〜1.99)で表されるものであり、例えば、Ti、Ti、TiO等を挙げることができる。
上記還元チタンコート干渉マイカ顔料の形状は、鱗片状のものが好ましい。
上記鱗片状の還元チタンコート干渉マイカ顔料の平均粒径は、下限5μm、上限44μmであることが好ましい。5μm未満であると、得られる塗膜のフリップフロップ性が低いおそれがある。一方、44μmを超えると、塗膜の平滑性低下に由来して塗膜外観が低下するおそれがある。上記下限は、8μmであることがより好ましく、10μmであることが更に好ましい。上記上限は、40μmであることがより好ましく、25μmであることが更に好ましい。なお、上記平均粒径の測定方法は、レーザー回折法による。
また、上記平均粒径は、体積平均粒径である。上記鱗片状の還元チタンコート干渉マイカ顔料の平均厚みは、0.1〜3.0μmであることが好ましい。なお、上記平均厚みの測定方法は、電子顕微鏡観察によるものである。また、上記平均厚みは、数平均の厚みである。
上記各還元チタンコート干渉マイカ顔料の色は、被覆する金属酸化物の種類・量(被覆厚)を調整することで、所望の色を得ることができる。更に、これらの各還元チタンコート干渉マイカ顔料は、耐候性や耐水性を向上させるために、更に錫、ジルコニウム、クロム又は珪素等の酸化物を用いて被覆処理を施したものであってもよい。
上記還元チタンコート干渉マイカ顔料の市販品としては、例えば、上記還元チタンコート干渉マイカ顔料(A)については、イリオジン 605W2、イリオジン 602W2、イリオジン 612W2(以上、メルク社製)、INFINITE COLOR GB−06、INFINITE COLOR CB−06、INFINITE COLOR BP−15(以上、資生堂社製)、L−6000(BASF社製)等を挙げることができる。上記還元チタンコート干渉マイカ顔料(B)については、例えば、TISPEAL235(日新製鋼社製)等を挙げることができる。
上記マイカベース塗料を用いて得られるマイカベース塗膜において、上記還元チタンコート干渉マイカ顔料の含有量は、上記マイカベース塗膜中に含まれる還元チタンコート干渉マイカ顔料と上記金属酸化物被覆顔料との総合計質量100質量%中に、下限3質量%、上限50質量%である。上記ホワイトカラーベース塗膜上に、上記範囲内の量の還元チタンコート干渉マイカ顔料及び金属酸化物被覆顔料を含むマイカベース塗膜を形成することにより、高いフリップフロップ性を付与することができる。このため、遠くから見た場合においても、得られたホワイトパール塗膜がフリップフロップ性を有することを判別することができる。また、得られるホワイトパール塗膜は、優れたホワイト感を有するものである。3質量%未満では、フリップフロップ性が低下する。50質量%を超えると、得られる塗膜が着色して、色相感が異なるようになる。上記下限は、8質量%であることが好ましく、上記上限は、30質量%であることが好ましい。
上記マイカベース塗料中の、上記還元チタンコート干渉マイカ顔料のみの顔料濃度(PWC)は、一般的に5.0%以下であることが好ましい。5.0%を超えると、色相が変わる程度に着色し、塗膜の膜厚依存性が高くなり、色相安定性が低下するおそれがある。上記顔料濃度は、0.01〜4.8%であることがより好ましい。
上記マイカベース塗料において、上記塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、上述のホワイトカラーベース塗料に含有される塗膜形成性樹脂と同様のものを挙げることができる。上記塗膜形成性樹脂は、水性媒体中に溶解又は分散したものが好ましい。
上記マイカベース塗料において、上記架橋樹脂粒子としては、上述のホワイトカラーベース塗料に含有される架橋樹脂粒子と同様のものを挙げることができる。上記架橋樹脂粒子を含有することにより、塗装作業性が容易になるといった利点がある。
上記マイカベース塗料において、上記架橋樹脂粒子の含有量は、上記マイカベース塗料の樹脂固形分100質量部に対して下限0.01質量部、上限10質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、粘性制御効果が得られず、層間でなじみや反転をおこすおそれがある。10質量部を超えると、外観が低下するおそれがある。上記下限は0.02質量部であることが好ましく、0.03質量部であることが更に好ましい。上記上限は、8質量部であることがより好ましく、6質量部であることが更に好ましい。
上記マイカベース塗料の全固形分量は、下限10質量%、上限60質量%であることが好ましく、上記下限は、15質量%であることがより好ましく、上記上限は、55質量%であることがより好ましい。
上記マイカベース塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤等を用いることができる。
上記マイカベース塗料の製造方法は、上述のホワイトカラーベース塗料の製造方法と同様に、特に限定されず、顔料等の配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の方法を適用することができる。
クリヤー塗膜
本発明のホワイトパール塗膜形成方法において、上記クリヤー塗膜は、上述のマイカベース塗膜の上に形成され、塗膜の表面を保護することができるものである。
上記クリヤー塗膜の形成には、クリヤー塗料が用いられる。上記クリヤー塗料としては、例えば、塗膜形成性樹脂及び硬化剤等を含有するものを挙げることができる。
上記クリヤー塗料において、上記塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂を利用することができ、これらはアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いることができる。なかでも、透明性若しくは耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを組み合わせたもの、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等が好ましい。
上記クリヤー塗料中の上記塗膜形成性樹脂の含有量は、樹脂固形分質量100質量%中に、下限20質量%、上限60質量%であることが好ましい。上記下限は、35質量%であることがより好ましく、上記上限は、55質量%であることがより好ましい。また、塗布時の固形分含有量は、10〜50質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
上記クリヤー塗料はまた、架橋樹脂粒子を含有することが好ましい。架橋樹脂粒子を含有することにより、マイカベース塗料の塗装後、未硬化の状態で上記クリヤー塗料を塗装する、いわゆるウェットオンウェットで塗膜を形成する場合に、マイカベース塗膜とクリヤー塗膜との二層間のなじみや反転又はタレ等を防止することができる。
上記架橋樹脂粒子としては、上述のホワイトベース塗料に含有される架橋樹脂粒子と同様のものを挙げることができる。
上記架橋樹脂粒子の含有量は、上記クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対して、下限0.01質量部、上限10質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、粘性制御効果が得られず、タレ等の不具合をおこすおそれがある。10質量部を超えると、外観が低下するおそれがある。上記下限は、0.02質量部であることがより好ましく、0.03質量部であることが更に好ましい。上記上限は、8質量部であることがより好ましく、6質量部であることが更に好ましい。
上記クリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を用いることができる。
上記クリヤー塗料の製造方法は、上述のホワイトカラーベース塗料の製造方法と同様に、特に限定されず、樹脂等の配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の方法を適用することができる。
上記クリヤー塗料の市販品としては、スーパーラック O−1810クリヤー、スーパーラック O−150(以上、日本ペイント社製)等を挙げることができる。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法においては、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に、上記ホワイトカラーベース塗料を塗装して硬化させた後に、ウェットオンウェットでマイカベース塗料及びクリヤー塗料をこの順に塗装して同時に硬化させる3コート2ベークの方法で塗膜形成を行うことが好ましい。
また、同時に次のような3コート1ベーク塗装方法にも適用できる。すなわち、まず下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に、カラーベースを塗装し、次にウェットオンウェットでマイカベース塗料を塗装し、さらにウェットオンウェットでクリヤー塗料を塗装して、3層同時に硬化させる塗膜形成方法である。
上記3コート2ベークによりホワイトパール塗膜を形成する場合において、上記ホワイトカラーベース塗料の塗装方法は、例えば、自動車車体等に塗装する場合には、意匠性を高めるためにエアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装する方法、あるいは、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」又は「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法であることが好ましい。
上記ホワイトカラーベース塗料を塗装した後、これを硬化させる方法において、硬化温度は、100〜180℃であることが好ましい。100℃未満では、硬化が不充分であるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。上記硬化温度は、120〜160℃であることがより好ましい。硬化時間は、硬化温度により変化するが、120〜160℃である場合、10〜30分であることが好ましい。
上記ホワイトカラーベース塗料の塗布により形成されるホワイトカラーベース塗膜の乾燥膜厚は所望の用途により変化するが、多くの場合、下限20μm、上限60μmであることが好ましい。20μm未満であると、下地が隠蔽できず膜切れが発生するおそれがある。60μmを超えると、塗装時に流れ等の不具合が生じたりするおそれがある。上記下限は、25μmであることがより好ましく、上記上限は、45μmであることがより好ましい。
上記3コート2ベークによりホワイトパール塗膜を形成する場合において、硬化したホワイトカラーベース塗膜の形成後、この塗膜上に、マイカベース塗料及びクリヤー塗料をウェットオンウェットでこの順に塗装し、次いで、形成された未硬化のマイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を硬化させることによって硬化したマイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する。
上記マイカベース塗料の塗装方法としては、上記ホワイトカラーベース塗料と同様に、上述の回転霧化式の静電塗装機により塗装する方法を挙げることができ、形成されるマイカベース塗膜の乾燥膜厚は、下限8μm、上限30μmであることが好ましい。8μm未満であると、マイカ顔料による意匠性が充分得られないおそれがある。30μmを超えると、鮮映性が低下したり、流れ等の不具合を生ずるおそれがある。上記下限は、10μmであることがより好ましく、上記上限は、20μmであることがより好ましい。
上記クリヤー塗料の塗装方法としては、上記ホワイトカラーベース塗料と同様に、上述の回転霧化式の静電塗装機により塗装する方法が好ましい。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に、下限20μm、上限70μmが好ましい。20μm未満であると、下地の凹凸の隠蔽が不充分であるおそれがある。70μmを超えると、塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起こるおそれがある。上記下限は、25μmであることがより好ましく、上記上限は、60μmであることがより好ましい。
上記マイカベース塗料及びクリヤー塗料を塗装した後、これらを硬化させる方法において、硬化温度は、下限100℃、上限180℃であることが好ましい。100℃未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。高い架橋度の硬化塗膜を得られる点で、下限は120℃であることがより好ましく、上限は160℃であることがより好ましい。硬化時間は硬化温度により変化するが、120〜160℃の場合、10〜30分が好ましい。上記マイカベース塗料及びクリヤー塗料をウェットオンウェットにより塗装、同時に硬化して硬化した塗膜を形成する場合、上記マイカベース塗料の塗装後に40〜100℃で1〜10分間水分を揮散させる工程(プレヒート)を行うことが好ましい。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材に適用する方法である。
基材
上記基材としては、例えば、木、金属、ガラス、布、プラスチック、発泡体等、特に金属表面及び鋳造物等を挙げることができる。特に、カチオン電着塗装が可能な金属製品が好ましい。
上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金等を挙げることができる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。これらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものがより好ましい。
下塗り塗膜
上記下塗り塗膜は、基材の上に形成される塗膜であり、これにより基材の腐食等を防ぐことができる。上記下塗り塗膜を形成する電着塗料としては、カチオン型電着塗料及びアニオン型電着塗料を使用できるが、防食性において優れた積層塗膜を与える点で、カチオン型のものが好ましい。上記電着塗料の市販品としては、パワートップU−50、パワーニックス100(以上、日本ペイント社製)等を挙げることができる。
中塗り塗膜
上記中塗り塗膜は、上記下塗り塗膜の上に形成され、下地欠陥を隠蔽し、上塗り塗装後の表面平滑性を確保(外観向上)し、塗膜物性(耐衝撃性、耐チッピング性等)を付与することができる。上記中塗り塗膜を形成するには中塗り塗料が用いられる。上記中塗り塗料として、顔料、塗膜形成性樹脂及び硬化剤を含有するものを挙げることができる。
上記中塗り塗料において、上記顔料としては、有機系又は無機系の各種着色顔料や体質顔料であればよく、例えば、上述のホワイトカラーベース塗料に含有される各種着色顔料や体質顔料と同様のものが挙げられる。更に、アルミニウム粉、グラファイト粉等の扁平顔料を使用しても良い。標準的には、カーボンブラックと二酸化チタンを主要顔料としたグレー系中塗り塗料が使用される。更に、セットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料を用いることもできる。
上記中塗り塗料において、上記塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、上述のホワイトカラーベース塗料に含有される塗膜形成性樹脂と同様のものを挙げることができる。なかでも、顔料分散性あるいは作業性の点から、アルキド樹脂及び/又はポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを組み合わせたものが好ましい。
上記中塗り塗料の市販品としては、オルガP−2グレー、オルガP−30グレー(以上、日本ペイント社製)等を挙げることができる。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法においては、下塗り塗膜が形成された基材上に、上記中塗り塗料を塗装した後、未硬化の状態でも次のホワイトカラーベース塗料を更に塗装することができるが、上記中塗り塗膜を硬化させる場合には、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができる点で、硬化温度は、下限100℃、上限180℃であることが好ましい。100℃未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。上記下限は、120℃であることがより好ましく、上記上限は、160℃であることがより好ましい。上記硬化時間は、硬化温度により変化するが、硬化温度120〜160℃の場合、10〜30分が好ましい。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法により形成される積層塗膜の膜厚は、下限30μm、上限300μmであることが好ましい。30μm未満であると、膜自体の強度が低下するおそれがあり、300μmを超えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下するおそれがある。上記下限は、50μmであることがより好ましく、上記上限は、250μmであることがより好ましい。
積層塗膜
本発明のホワイトパール塗膜形成方法により形成された積層塗膜は、優れたホワイトパールの色感と高いフリップフロップ性を有する。このため、積層塗膜を近くから見た場合だけでなく、遠くから見た場合であっても、フリップフロップ性を有するホワイトパール塗膜であることを判別することができる。このような積層塗膜もまた、本発明の一つである。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法は、ホワイトカラーベース塗膜上に、上記還元チタンコート干渉マイカ顔料及び上記金属酸化物被覆顔料を特定量含有するマイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を、順次形成する方法である。これにより、遠くから見た場合でも高いフリップフロップ性を有し、かつ明度の高い優れたホワイトパール感を有する積層塗膜を形成することができる。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法は、上述した構成からなるため、高いフリップフロップ性と優れたホワイトパールの色感を有するホワイトパール塗膜を形成することができる。従って、上記ホワイトパール塗膜形成方法を、自動車車体及び部品等に適用することにより、外観の高級感を高めることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下の実施例において、「部」又は「%」はそれぞれ「質量部」、「質量%」を意味する。
〔製造例1〕
(ホワイトカラーベース塗料の製造)
オルガP−30ホワイトカラーベース塗料(商品名、日本ペイント社製)を用いて、塗装前に25秒/20℃になるようにNo.4フォードカップで粘度調整した。白色系顔料含有量(PWC)は、45質量%である。
〔製造例2〕
(塗膜形成性樹脂の製造)
窒素導入管、撹拌機、温度調節機、滴下ロート及び冷却管を備えた2Lの反応容器にプロピレングリコールエチルエーテル450部を仕込んで、温度を107℃とした。次に、アクリルアミド100部をプロピレングリコールメチルエーテル200部に溶かし、これにスチレン50部、2−エチルヘキシルメタクリレート200部、n−ブチルアクリレート313部、メタクリル酸77部、プラクセルFM−1(商品名、水酸基含有重合性単量体、ダイセル社製)260部及びt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエート8部を混合することによりモノマー溶液を別途調製した。このモノマー溶液を反応容器に、撹拌下、3時間かけて滴下した後、30分間撹拌を継続し、更にt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエート5部とプロピレングリコールメチルエーテル50部との混合液を15分間で滴下した後、1時間攪拌を継続し、樹脂固形分が59%、数平均分子量13000、水酸基価60及び酸価50mgKOH/gのアクリル樹脂を得た。
このアクリル樹脂500部を、樹脂固形分が75%になるまで脱溶剤し、ジメチルエタノールアミン23.4部及びイオン交換水925部を加えて、樹脂固形分が22%の水溶性アクリル樹脂を得た。
〔製造例3〕
(マイカベース塗料の製造)
上述の製造例2で得られた水溶性アクリル樹脂273部に、「シラリックT60−10W3」(ホワイト干渉アルミナフレーク顔料、平均粒径19μm、メルクジャパン社製)9.9部及び「イリオジン 605W2」(還元チタンコート干渉マイカ顔料、平均粒径18μm、メルクジャパン社製)1.2部を加えて均一分散し、更に、メラミン樹脂「サイメル202」(三井サイテック社製)50部及びアクリル系表面調整剤0.20部を加えて均一分散することによりマイカベース塗料を得た。
〔実施例
(塗膜の形成方法)
リン酸亜鉛処理した厚さ0.8cm、20cm×30cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料「パワートップU−50」(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた。次に、得られた電着塗膜上に、グレー色の中塗り塗料「オルガP−2グレー」(ポリエステル・メラミン樹脂系塗料、日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で20分間焼き付け下地塗膜を作成した。
得られた中塗り塗膜上に、上述の製造例1で得られたホワイトカラーベース塗料を、乾燥膜厚が15μmとなるように、2分間隔の2ステージで「オートREA」(ランズバーグ社製エアー静電塗装機)により塗装し、8分間のインターバルの後、140℃で20分間焼き付け硬化させた。得られたホワイトカラーベース塗膜の色相はマンセル表示でN9であった。
更に、上述の製造例3で得られたマイカベース塗料を、乾燥膜厚が15μmとなるように、2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルを行った。2回目の塗布後、3分間セッティングを行った後、80℃で3分間プレヒートを行った。更に、クリヤー塗料「スーパーラック O−1810クリヤー」(酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系塗料、日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が30μmとなるように、μμベルにより回転霧化型静電塗装した。その後、140℃で20分間焼き付け、評価用塗膜を作成した。
〔実施例〜5、比較例1〜5〕
上記マイカベース塗料中の「シラリックT60−10W3」と「イリオジン 605W2」との含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例と同様にして評価用塗膜を作成した。
〔評価方法〕
(フリップフロップ(FF)性)
ミノルタ変角色差計512−M3(ミノルタ社製)を用いて、入射光に対する25度及び75度における上記各塗膜のL値からフリップフロップ性を評価した。なお、フリップフロップ性は(25度でのL値)/(75度でのL値)によって求めた。
また、得られた塗膜について、フリップフロップ性の有無を目視にて、下記の基準で評価した。
◎:FF性かなり有り
〇:FF性有り
△:FF性若干有り
×:FF性なし
(明度)
ミノルタ変角色差計512−M3(ミノルタ社製)を用いて、入射光に対する25度における各評価用塗膜のL値を測定した。
(色感)
得られた各評価用塗膜の色感について、目視にて下記の基準で評価した。
〇:ホワイト感がある
△:若干グレーと感じる
×:グレーと感じる
Figure 0004638771
表1より、実施例では、高いフリップフロップ性と良好なホワイト感を有する積層塗膜が得られたが、比較例では、高いフリップフロップ性とホワイト感を同時に有する塗膜は得られなかった。
本発明のホワイトパール塗膜形成方法は、自動車車体及び部品等に好適に適用することができる。

Claims (2)

  1. 下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成した基材上に、ホワイトカラーベース塗膜、マイカベース塗膜及びクリヤー塗膜を、順次形成するホワイトパール塗膜形成方法であって、
    前記マイカベース塗膜は、還元チタンコート干渉マイカ顔料および金属酸化物被覆顔料を含み、還元チタンコート干渉マイカ顔料の含有量は、前記還元チタンコート干渉マイカ顔料と金属酸化物被覆顔料との総合計質量に対して3〜50質量%であり、
    前記還元チタンコート干渉マイカ顔料は、低次酸化チタンを含むチタン化合物で被覆したのち二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料(A)であり、
    前記金属酸化物被覆顔料はホワイト干渉アルミナフレーク顔料であり、および
    前記ホワイトカラーベース塗膜はマンセル値でN7〜N9.5である
    ことを特徴とするホワイトパール塗膜形成方法。
  2. 請求項記載のホワイトパール塗膜形成方法により形成されることを特徴とする積層塗膜。
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