JP4314893B2 - 金属調光輝性塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば自動車、オートバイ、家電製品およびその部品等の物品の塗装に好適に利用できる、高度の真珠光沢と金属光沢を併せ持つ、光輝感ならびに立体的な光輝感を有する塗膜を与えることができる金属調光輝性塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属調の光沢を有するメタリック塗膜を形成する光輝性塗料として、従来からアルミニウム粉末や雲母粉末を含有させたメタリック塗料が用いられている。例えば被塗物表面に形成されたアルミニウム粉末を含有する第1メタリック塗膜と、該第1メタリック塗膜表面に形成された表面に金属光輝層をもつ燐片状ガラス粉末を含有する第2メタリック塗膜と、該第2メタリック塗膜表面に形成されたクリヤー塗膜とよりなるメタリック塗膜が提案されている(特許文献1参照)が、ここで用いる金属光沢層をもつ燐片状ガラス粉末であり、真珠光沢が得られない欠点があった。
【0003】
また、被塗物の表面に光輝性材料を0.1〜30質量部含有する透明もしくはカラー化されたメタリック塗膜層およびこのメタリック塗膜層で用いた光輝性材料と種類、粒径又は含有量において少なくともいずれかが異なる光輝性材料を0.1〜30質量部含有する透明もしくはカラー化されたメタリック塗膜層を少なくとも2層積層してなるメタリック塗膜構造が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、それぞれのメタリック塗膜層が同じ種類の光輝性材料を使用する場合、真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感ならびに立体的な光輝感を得ることが困難であり、それぞれのメタリック塗膜層に異なる光輝材を使用する場合は、高彩度で立体感のある塗膜をうるために、2層のメタリック層以外に最下層に光輝性材料を含有するソリツドカラーを必要とし、かつ真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感に欠ける欠点があった。
【0004】
また、チタン白顔料およびアルミニウムフレークを含有し、マンセルカラーチャートN7〜N9の色調になる着色ベースコートを塗装し、さらに酸化チタンで被覆された燐片状雲母粉末を含有するホワイトパール調またはシルバーパール調のベースコートを塗装後、クリヤー塗装を行い、加熱硬化させる3コート1ベークの複層塗膜形成法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、酸化チタンを用いることによって素材の色調を隠蔽する性能は高まるが、金属調の光輝感に欠ける欠点があった。
【0005】
また、被塗基材に光輝材含有ベース塗膜を形成させた後に、(A)平均粒子径(D50)が20±5μm、粒子平均厚みが0.5〜1.5μm、ロジンーラムラー線図における勾配nが2.5以上のアルミフレーク顔料、または(B)金属酸化物を被覆した合成雲母粉末顔料の少なくとも一種の光輝材を樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜0.1質量部未満含有する光輝材含有クリヤー塗膜を形成させる塗膜形成方法が提案されている(特許文献4参照)。 しかしながら、光輝性クリヤー塗膜に使用する光輝性顔料は、特定のアルミフレーク顔料および/または合成雲母粉末顔料であるが、含有量が0.05〜0.1質量部未満と非常に少なく真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感ならびに立体的な光輝感が不十分であった。
【0006】
さらに、ビヒクルおよび2種以上の干渉光輝性顔料を含む塗料組成物であって、前記2種以上の干渉光輝性顔料中、1種が(a)平均粒径5〜10μmの干渉光輝性顔料および他の1種が(b)平均粒径10〜30μmの(a)と異種の光輝材である光輝性塗料組成物が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この方法でも真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感を得ることができない。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−160079号公報 特許請求の範囲
【特許文献2】
特開平3−270768号公報 特許請求の範囲
【特許文献3】
特開平8−164358号公報 請求項1
【特許文献4】
特開平9−323064号公報 請求項1
【特許文献5】
特開2003−73621号公報 請求項1
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高度の真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感ならびに立体的な光輝感を有する塗膜を得ることができる金属調光輝性塗膜形成方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を解決するために鋭意研究を進めた結果、被塗物表面に形成する下地塗膜にアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料を含有してなる金属調塗膜を形成し、その上に微小鱗片状顔料、または微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料を含有してなる光輝性塗膜を形成し、さらにクリヤー塗膜を形成させる3層塗膜にし、硬化させることにより、高度の真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感ならびに立体的な光輝感を得ることを見出し本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、アルミニウム顔料、微小鱗片状顔料、及び必要に応じて着色顔料を含有してなる金属調第1コート塗料、微小鱗片状顔料または微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料、並びに必要に応じて着色顔料を含有してなる光輝性第2コート塗料、およびクリヤーコート塗料である第3コート塗料を順次塗装して、塗膜を形成し、硬化させる金属調光輝性塗膜形成方法であって、金属調第1コート塗料におけるアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料の含有割合が、樹脂固形分100質量部に対して7〜50質量部であり、また、当該アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率が、質量比で70〜95:5〜30の範囲であり、着色顔料の含有量がアルミニウム顔料及び微小麟片状顔料100質量部に対して0〜30質量部であり、光輝性第2コート塗料における微小鱗片状顔料、又は微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料の含有割合が、樹脂固形分100質量部に対して3〜40質量部であり、当該アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率が、質量比で0〜40:60〜100の範囲であり、着色顔料の含有量がアルミニウム顔料及び微小麟片状顔料100質量部に対して0〜50質量部であることを特徴とする金属調光輝性塗膜形成方法である。
【0011】
また、本発明は、上記金属調光輝性塗膜形成方法において、アルミニウム顔料が、アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、及び蒸着アルミニウムフレーク顔料から選ばれる1種又は2種以上からなる金属調光輝性塗膜形成方法である。
【0012】
さらに、本発明は、上記金属調光輝性塗膜形成方法において、微小鱗片状顔料が、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、板状酸化鉄、及びコレステリック液晶ポリマーから選ばれる1種又は2種以上からなる金属調光輝性塗膜形成方法である。
【0013】
また、本発明は、上記金属調光輝性塗膜形成方法において、アルミニウム顔料が、平均粒径5〜25μm、平均厚さ0.02〜1.0μmであり、微小鱗片状顔料が、平均粒径5〜50μm、平均厚さ0.2〜2.0μmである金属調光輝性塗膜形成方法である。
【0014】
また、本発明は、上記金属調光輝性塗膜形成方法において、金属調第1コート塗料を塗装して得られる塗膜の厚みが、7〜20μmであり、光輝性第2コート塗料を塗装して得られる塗膜の厚みが、5〜30μmである金属調光輝性塗膜形成方法である。
また、本発明は、上記金属調光輝性塗膜形成方法において、金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料、およびクリヤーコート塗料である第3コート塗料のいずれもが、2液型のウレタン塗料又は1液型のアクリルメラミン塗料である金属調光輝性塗膜形成方法である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
〈金属調第1コート塗料〉
本発明の金属調第1コート塗料は、アルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料を含有してなる塗料であって、得られる塗膜の金属調の輝度感(キラキラ感)を発現する。
〈光輝性第2コート塗料〉
本発明の光輝性第2コート塗料は微小鱗片状顔料、又は微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料を含有してなる塗料であって、得られる塗膜の真珠光沢を発現する。
また、金属調第1コート塗料を塗装して得られる金属調第1コート塗膜の上に、光輝性第2コート塗料を塗装して得られる光輝性第2コート塗膜を重ねることによって、得られる塗膜に金属調の輝度感(キラキラ感)を持ち、さらに真珠光沢と深み(立体感)を併せ持つ色調が発現されてくる。
【0016】
ここで使用されるアルミニウム顔料としては、アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料等が挙げられる。
上記アルミニウムフレーク顔料は、塗膜に隠蔽性および金属調のメタリック感を付与する顔料であり、具体例としては、アルミニウムフレークをステアリン酸のような脂肪酸とともにボールミルで粉砕処理する通常の方法によって調整されたリーフィング、セミリーフィングまたはノンリーフィング系のアルミニウムフレークなどが挙げられる。
着色アルミニウムフレーク顔料としては、基体のアルミニウムフレークに有機着色顔料または無機着色顔料を薄片状にコーティングしたものが挙げられる。金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料としては、基体のアルミニウムフレークにTiO2、Fe2O3、SiO2、Al2O3などの金属酸化物を被覆したものなどが挙げられる。蒸着アルミニウムフレーク顔料は、一般にベース有機フィルムにアルミニウムを蒸着させた後、ベース有機フィルムを溶解させて、アルミニウムの極薄膜シートを作り、このシートを粉砕することにより得られる。アルミニウム顔料は、1種または2種以上を使用することができる。
アルミニウム顔料の平均粒子径は、好ましくは2〜30μm、より好ましくは4〜30μm、さらに好ましくは5〜25μmであり、平均厚さは0.01〜1.5μm、好ましくは0.02〜1.0μmである。
【0017】
微小鱗片状顔料としては、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄顔料、ステンレスフレーク顔料、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン顔料、板状塩化ビスマス顔料、板状酸化鉄顔料、およびコレステリック液晶ポリマー顔料等が挙げられる。
【0018】
上記金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料は、天然又は合成のマイカ粉末(雲母粉末)が金属酸化物により被覆されたものであり、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、酸化アルミニウム粉末が金属酸化物により被覆されたものであり、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、シリカ粉末が金属酸化物により被覆されたものであり、また、金属酸化物被覆板状酸化鉄は、板状酸化鉄粉末が金属酸化物により被覆されたものである。金属酸化物としては、TiO2、Fe2O3、SnO2、ZrO2等の金属酸化物が挙げられる。微小鱗片状顔料は、1種または2種以上を使用することができる。
微小鱗片状顔料の平均粒子径は、好ましくは2〜70μm、より好ましくは4〜60μm、さらに好ましくは5〜50μmであり、平均厚さは0.1〜2.5μm、好ましくは0.2〜2.0μmである。
【0019】
金属調第1コート塗料に含有されるアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料の含有割合は、樹脂固形分100質量部に対して7〜40質量部である。7質量部より少ない場合には第1コートの金属調の発現が不十分になり、40質量部を超える場合には塗膜外観の低下が生ずるために好ましくない。
また、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の比率は、質量比で70〜95:5〜30である。アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の比率においてアルミニウム顔料の比率が質量比で70未満の場合には、金属調第1コートを隠蔽するのに塗装回数が増え好ましくない。アルミニウム顔料の比率が質量比で95を超える場合には、微小燐片状光輝材を添加しても光輝性第2コートの真珠光沢の発現にあまり寄与できず、好ましくない。
【0020】
光輝性第2コート塗料に含有される微小鱗片状顔料、または微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料の含有割合は、樹脂固形分100質量部に対して3〜40質量部であり、さらに好ましくは3〜30質量部である。3質量部より少ない場合には第2コートの光輝性の発現が不十分になり、40質量部を超える場合には塗膜外観の低下が生ずるために好ましくない。
アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率は、質量比で0〜40:60〜100、さらに好ましくは0〜30:70〜100である。
アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の比率においてアルミニウム顔料の比率が質量比で50を超える場合には、アルミニウム顔料により隠蔽性が増加し、立体感がなくなり、また真珠光沢の光輝感が低下するため好ましくない。
【0021】
金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料には、それぞれ、必要に応じて、本発明の特徴である高度の真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感ならびに立体的な光輝感を失わない程度に着色顔料を含有させることができる。使用できる顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、マイクロ酸化チタン、カーボンブラック、体質顔料等が挙げられる。
金属調第1コート塗料に用いる着色顔料の添加量は、アルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料100質量部に対して0〜30質量部である。着色顔料が30質量部を超える場合には、着色顔料による隠蔽性が増加し、金属調の輝度感が不十分になる。
【0022】
光輝性第2コート塗料に用いる着色顔料の添加量は、微小鱗片状顔料またはアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料100質量部に対して0〜50質量部、より好ましくは0〜30質量部である。着色顔料が50質量部を超える場合には、着色顔料による隠蔽性が増加し、真珠光沢の光輝感が不十分になる。
【0023】
金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料には、通常樹脂成分として塗膜形成用樹脂と架橋剤が含まれる。塗膜形成用樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、架橋性官能基を有し、アクリル系モノマーと他のエチレン系不飽和モノマーと共重合させてなるアクリル樹脂、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して得られるポリエステル樹脂、多塩基酸と多価アルコールにさらに油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて変性させて得られるアルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、特に、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂が好ましく用いられる。塗膜形成用樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、アミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、多価カルボン酸系樹脂等が挙げられる。架橋剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。塗膜形成用樹脂と架橋剤は、混合して使用され、加熱または常温で硬化反応を進行させることができる。
【0024】
金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料における塗膜形成用樹脂と架橋剤の割合としては、好ましくは固形分換算で塗膜形成用樹脂が90〜50質量部、架橋剤が10〜50質量部であり、より好ましくは塗膜形成用樹脂が85〜60質量部であり、架橋剤が15〜40質量部である。架橋剤が10質量部未満では(塗膜形成用樹脂が90質量部を超えると)、塗膜中の架橋が十分でない。一方、架橋剤が50質量部を超えると(塗膜形成用樹脂が50質量部未満では)、塗料組成物の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が低下する。
【0025】
金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料には、上記成分の他に、塗料や塗膜の性能を改善することを目的として、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を適宜添加することができる。
金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料は、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエテルケトン等のケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ等のエステル類、アルコール類等の有機溶剤で溶解または分散した液状の状態で使用されるものが好ましい。
【0026】
本発明の金属調光輝性塗膜形成方法は、金属調第1コート塗膜を形成後、光輝性第2コート塗膜を形成した後、クリヤーコート塗料である第3コート塗料を用いてクリヤーコート塗膜である第3コート塗膜を形成するものである。
金属調第1コート塗膜は、通常は基材上に形成される。
基材としては、特に限定されるものでなく、鉄、アルミニウム、銅またはこれらの合金等の金属類;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等のプラスチック材料;木材、繊維材料(紙、布等)等の天然または合成材料等が挙げられる。
なお、基材には、必要に応じて、化成処理、下塗り塗装、中塗り塗装等を施しておいてもよい。
【0027】
金属調第1コート塗料の塗装方法は、エアースプレー、エアレススプレー、静電塗装等の方法で行うことができる。
金属調第1コート塗膜の厚みは、硬化塗膜として5〜30μmが好ましく、7〜20μmが特に好ましい。
該塗膜は、常温から160℃の範囲で硬化させることが可能である。常温から100℃では、2液型のウレタン塗料の使用が好ましく、100℃から160℃では、たとえば、1液型のアクリルメラミン塗料の使用が好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の塗膜形成方法においては、上記光輝性第2コート塗膜は、その下層を完全には隠蔽せず、下層として存在する金属調第1コート塗膜と複合された塗膜となってはじめて金属調の輝度感(キラキラ感)を持ち、さらに真珠光沢と深み(立体感)を併せ持つ色調が発現されてくる。
【0029】
光輝性第2コート塗料は、硬化された金属調第1コート塗膜上に塗装されるか、または、未硬化状態の金属調第1コート塗膜上にウェットオンウェットで塗装される。塗装方法は、エアースプレー、エアレススプレー、静電塗装等の方法で行うことができる。また、光輝性第2コート塗膜の膜厚は、特に制限はないが、硬化塗膜として一般に5〜30μmの範囲が好ましい。
該塗膜は、常温から160℃の範囲で硬化させることが可能である。常温から100℃では、2液型のウレタン塗料の使用が好ましく、100℃から160℃では、たとえば、1液型のアクリルメラミン塗料の使用が好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0030】
このようにして形成された光輝性第2コート塗膜上に、クリヤーコート塗料である第3コート塗料を塗装してクリヤーコート塗膜を少なくとも一層形成する。塗膜の表面光沢を向上させることにより、塗膜外観、意匠性はさらに向上する。上記光輝性第2コート塗膜層中に光輝性顔料が多い場合には、クリヤーコート塗膜を2層以上形成することにより、塗膜の外観、光輝感及び立体感がさらに向上する。クリヤーコート塗膜を2層以上形成する場合、作業効率からは層の数が少ない方が好ましく、3層以下が特に好ましい。
【0031】
クリヤーコート塗料には、樹脂成分が含まれる。樹脂成分としては、通常塗膜形成用樹脂と架橋剤が含まれる。塗膜形成用樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。クリヤーコート塗料には、溶剤を含有させることが好ましい。溶剤としては、前記金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料において使用できる有機溶剤と同様なものが挙げられる。また、クリヤーコート塗料には、塗料用添加剤を配合することができる。さらに、塗膜の透明性や外観性を損なわない範囲で必要に応じて着色顔料等意匠性に関わる材料を含有させても良い。
【0032】
クリヤーコート塗料に用いる熱硬化性樹脂としては、従来公知の熱硬化性樹脂が使用でき、例えば、架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂及びフッ素樹脂等から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂が挙げられる。架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート樹脂及びブロックイソシアネート樹脂等から選ばれる1種以上の架橋剤が挙げられる。また、架橋反応がカルボキシル基(ブロックされたカルボキシル基を含む)とエポキシ基によるものおよびシラノール基の自己縮合やシラノール基とヒドロキシル基の架橋剤反応によるものなども挙げられる。
また、これらのクリヤーコート塗料は、必要に応じて、その透明性を損なわない範囲で、着色顔料、体質顔料、改質剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を適宜含有させることが可能である。
【0033】
クリヤーコート塗料である第3コート塗料は、硬化した状態の光輝性第2コート塗膜上に塗装しても良いし、未硬化状態の光輝性第2コート塗膜上にウェットオンウェットで塗装しても良い。塗装方法はエアースプレー、エアレススプレー、静電塗装等の方法で行うことができる。特に限定しないが、クリヤーコート塗膜の膜厚は、硬化塗膜として一般に15〜60μmの範囲が好ましい。該塗膜は、常温から160℃の範囲で硬化させることが可能である。常温から100℃では、2液型のウレタン塗料の使用が好ましく、100℃から160℃では、たとえば、1液型のアクリルメラミン塗料の使用が好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0034】
前記金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料、および第3コート塗料に使用される熱硬化性樹脂の架橋性官能基としては、架橋剤と架橋反応が可能な従来公知のものが使用される。例えば、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、ブロック化カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アトミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基、ケタール基等が挙げられる。
【0035】
被塗物上に前記金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料、および第3コート塗料を塗装し金属調光輝性塗膜を形成する方法として、この順に3層の塗膜をウェットオンウェットで塗装し、ついで3層を同時に硬化させる3コート1ベーク、金属調第1コート塗料を塗装し、金属調第1コート塗膜を硬化させた後、金属調第1コート塗膜上に光輝性第2コート塗料と第3コート塗料を順次ウェットオンウェットで塗装した後、3層の塗膜を同時硬化させる3コート2ベーク、金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料、および第3コート塗料をそれぞれ塗装毎にそれぞれの塗膜を硬化させる3コート3ベークが挙げられる。硬化は、常温から160℃の範囲で可能である。常温から100℃では、2液型のウレタン塗料の使用が好ましく、100℃から160℃では、たとえば、1液型のアクリルメラミン塗料の使用が好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明を製造例、実施例、比較例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下において、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0037】
(製造例1)樹脂溶液の製造温度計、かきまぜ機、還流用コンデンサーおよびモノマー滴下装置を備えたガラス製の2リットルのフラスコに300部のキシレンを仕込み、徐々に昇温して還流状態にした。次に、その還流状態を保ちながら、スチレン75部、メチルメタクリレート140部、ブチルメタクリレート149部、ブチルアクリレート50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート75部、アクリル酸10部とパーブチルZ(日本油脂(株)製、t−ブチルペルオキシベンゾエート、重合開始剤)1部の混合溶液を、3時間を要して滴下装置から滴下した。滴下終了後3時間還流状態に保ち、次いで、パーブチルZ 0.5部およびキシレン10部の混合物を、滴下装置から滴下した。さらに、2時間還流温度に保ち反応を続けた後、酢酸ブチル189.5部を加え、室温まで冷却して、不揮発分50重量パーセントのアクリル樹脂溶液(a)を得た。
【0038】
金属調第1コート塗料(A−1)〜(A−15)の調製
製造例1で得た水酸基含有のアクリル樹脂(a)およびメラミン樹脂からなる樹脂固形分100部に対して、アルミニウム顔料、微小燐片状顔料、着色顔料を表1、表2に示す比率で配合し、金属調第1コート塗料(A−1)〜(A−15)を調製した。なお、表中の着色顔料は、製造例1のアクリル樹脂(a)の一部を用いて常法に従ってサンドミル分散によりミルベース化したものを使用した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
光輝性第2コート塗料(B−1)〜(B−15)の調製
製造例1で得た水酸基含有アクリル樹脂およびメラミン樹脂からなる樹脂固形分100部に対して、微小燐片状顔料、着色顔料を表3、表4に示す比率で配合し、光輝性第2コート塗料(B−1)〜(B−15)を調製した。なお、表中の着色顔料は、製造例1のアクリル樹脂(a)の一部を用いて常法に従ってサンドミル分散によりミルベース化したものを使用した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
上記表1〜4において、添字は、以下のものを示す。
1):商品名、東洋アルミニウム株式会社製、アルミニウム顔料(平均粒子径15μm)、不揮発分65%
2):商品名、メルク株式会社製、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料(平均粒子径18.4μm、金属酸化物:TiO2)、シルバー色、不揮発分100%
3):商品名、石原産業株式会社製、酸化チタン、無機顔料
4):商品名、BASF社製、ブルー系着色顔料、有機顔料
5):商品名、BASF社製、レッド系着色顔料、有機顔料
6):商品名、三井サイテック株式会社製、混合アルキル化メラミン樹脂、不揮発分100%
7):商品名、メルク株式会社製、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料(平均粒子径18.5μm、金属酸化物:TiO2)、ブルー色、不揮発分100%
8):商品名、メルク株式会社製、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料(平均粒子径18.6μm、金属酸化物:TiO2)、レッド色、不揮発分100%
9):商品名、メルク株式会社製、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料(平均粒子径20.1μm、金属酸化物:TiO2)、不揮発分100%
10):商品名、メルク株式会社製、金属酸化物被覆マイカ顔料(平均粒子径19.6μm、金属酸化物:TiO2)、不揮発分100%
11):商品名、住友バイエルウレタン(株)製、ポリイソシアネート樹脂、不揮発分75%、イソシアネート含有量16.5%
【0045】
外観評価板の作成
ブリキ板上に、「ハイエピコNo.500シーラーホワイト」(日本油脂BASFコーティングス(株)製、商品名)を硬化後膜厚が30μmになるようにエアースプレー塗装し、5分セット後140℃で20分間焼付け硬化させて中塗板を作成した。
【0046】
(実施例1)
上記中塗り塗板上に、表1に示す金属調第1コート塗料(A−1)100部に対してトルエン50部、酢酸ブチル50部からなる希釈シンナーで希釈したものを、エアースプレーにて塗装し、金属調第1コート塗膜とした。25℃で2分セット後、該金属調第1コート塗面上に表3に示す光輝性第2コート塗料(B−1)100部に対してトルエン50部、酢酸ブチル50部からなる希釈シンナーで希釈したものを、エアースプレーにて塗装し光輝性第2コート塗膜を形成した。25℃で3分セット後、該光輝性第2コート塗面上に第3コート塗料となるクリヤーコート塗料(「ベルコートNo.6200クリヤー」、1液型アクリルメラミン型塗料、日本油脂BASFコーティングス(株)製、商品名)をエアースプレーにて塗装しクリヤーコート塗膜を形成した。25℃で5分セット後、該複層塗膜を140℃で20分間焼付け硬化させて塗板を作成した。該複層塗膜の硬化後の膜厚は、金属調第1コート塗膜は12μm、光輝性第2コート塗膜は10μm、クリヤーコート塗膜は30μmであった。
【0047】
(実施例2〜6)
実施例1と同様にして、表5及び表6に示す実施例2〜6の塗板を作成した。
【0048】
(実施例7)
予め準備した中塗り塗板上に、表2に示す金属調第1コート塗料(A−16)100部に対してトルエン50部、酢酸ブチル50部からなる希釈シンナーで希釈したものを、エアースプレーにて塗装し、金属調第1コート塗膜とした(該金属調第1コート塗料は、ウレタン硬化剤としてスミジュールN−75(商品名、住友バイエルウレタン株式会社製、固形分75%、イソシアネート含有量=16.5%)を使用した2液ウレタン塗料である。)。25℃(常温)で2分セット後、該金属調第1コート塗面上に表4に示す光輝性第2コート塗料(B−16)100部に対してトルエン50部、酢酸ブチル50部からなる希釈シンナーで希釈したものを、エアースプレーにて塗装し光輝性第2コート塗膜とした(該光輝性第2コート塗料は、ウレタン硬化剤としてスミジュールN−75(商品名、住友バイエルウレタン株式会社製、固形分75%、イソシアネート含有量=16.5%)を使用した2液ウレタン塗料である。)。25℃で3分セット後、該光輝性第2コート塗面上に第3コート塗料となるクリヤーコート塗料(「ハイウレタンNo.6500クリヤー」、2液型ポリウレタン塗料、日本油脂BASFコーティングス(株)製、商品名)をエアースプレーにて塗装した。25℃で3日間常温放置した。該複層塗膜の硬化後の膜厚は、金属調第1コート塗膜は12μm、光輝性第2コート塗膜は9μm、第3コート塗膜のクリヤーコート塗膜は30μmであった。
【0049】
(実施例8)
予め準備した中塗り塗板上に、表1に示す金属調第1コート塗料(A−1)100部に対してトルエン50部、酢酸ブチル50部からなる希釈シンナーで希釈したものを、エアースプレーにて塗装し、金属調第1コート塗膜とした。25℃(常温)で5分セット後、140℃で20分間焼付け硬化した。該塗膜を常温まで冷却した後、該金属調第1コート塗面上に表3に示す光輝性第2コート塗料(B−1)100部に対してトルエン50部、酢酸ブチル50部からなる希釈シンナーで希釈したものを、エアースプレーにて塗装し光輝性第2コート塗膜とした。25℃で3分セット後、該光輝性第2コート塗面上に第3コート塗料となるクリヤーコート塗料(「ベルコートNo.6200クリヤー」、アクリルメラミン型1液塗料、日本油脂BASFコーティングス(株)製、商品名)をエアースプレーにて塗装した。25℃で5分セット後、該複層塗膜を140℃で20分間焼付け硬化した。該複層塗膜の硬化後の膜厚は、金属調第1コート塗膜は14μm、光輝性第2コート塗膜は10μm、第3コート塗膜のクリヤーコート塗膜は30μmであった。
(比較例1〜10)
実施例1と同様にして、表7及び表8に示す比較例1〜10の塗板を作成した。
実施例1〜8および比較例1〜10の塗板について次に示す基準で各項目を評価した。
【0050】
(1)下地の隠蔽
◎:下地を完全に隠蔽している。
○:下地を隠蔽し実用上問題ない。
△:下地がすけて見える。
×:下地が完全にすける。
(2)金属調第1コートの金属感
◎:金属感が充分ある。
○:実用上問題のない金属感がある。
△:金属感が弱い。
×:金属感がない。
【0051】
(3)光輝性第2コートの光輝感
◎:光輝感が充分ある。
○:実用上問題のない光輝感がある。
△:光輝感が弱い。
×:光輝感がない。
(4)塗膜外観
◎:問題ない。
○:実用上問題がない塗膜外観である。
△:吸い込みあるいはチカチカがわかる。
×:吸い込みあるいはチカチカが簡単にわかる。
【0052】
(5)真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感と立体的な光輝感
◎:真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感と立体的な光輝感が十分ある。
○:実用上問題ない真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感と立体的な光輝感である。
△:効果が不十分である。
×:効果がない。
以上の評価基準に従い、実施例1〜8および比較例1〜10の塗板を評価し表5〜8に纏めた。
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
なお、表5〜8において、略号のAMは、アクリルメラミン塗料を意味し、略号のUは、ウレタン塗料を意味する。
【0057】
表5及び表6の実施例1〜8に示すように、アルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料が、樹脂固形分100質量部に対して7〜50質量部を含有する金属調第1コート塗膜を形成した後、微小鱗片状顔料、または微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料が樹脂固形分100質量部に対して3〜40質量部からなる光輝性第2コート塗膜を形成し、さらにクリヤーコート塗膜を形成し焼付硬化させることにより、真珠光沢と金属光沢を併せ持つ金属調光輝性塗膜を形成することができる。ここにおいて、金属調第1コート塗料中のアルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率は、質量比で70〜95:5〜30であり、光輝性第2コート塗料中のアルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率は、質量比で0〜40:60〜100である。
【0058】
実施例7は、実施例1の条件で、金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料、クリヤーコート塗料ともに2液ウレタン塗料とした場合である。塗料タイプが変わり、且つ25℃の条件下でも、本発明の目的とする真珠光沢と金属光沢を併せ持つ金属調光輝性塗膜を得ることができる。
実施例8は、金属調第1コート塗料で、一旦塗膜を硬化させた後に、光輝性第2コート塗料を塗装し、クリヤーコート塗料を塗装し、焼付け硬化した場合である。この場合も、本発明の目的とする真珠光沢と金属光沢を併せ持つ金属調光輝性塗膜を得ることができる。
また、実施例3、実施例5における金属調第1コート塗料中の着色顔料の添加量はアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料100質量部に対して0〜100質量部の範囲にあり、実施例2における光輝性第2コート塗料中、微小鱗片状顔料またはアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料100質量部に対して0〜50質量部の範囲にある。
これら実施例では、いずれの場合も、真珠光沢と金属光沢を併せ持つ金属調光輝性塗膜を形成することができる。
【0059】
しかし、表7の比較例1に示すように、金属調第1コート塗料および光輝性第2コート塗料のいずれもが、樹脂固形分100質量部に対して2未満の場合(金属調第1コート塗料中、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の合計は1.5質量部であり、光輝性第2コート塗料中、微小鱗片状顔料は1質量部である)は、金属調第1コートで下地が隠蔽できない問題、あるいは、光輝性第2コートで十分な光輝感が得られないといった問題を生ずる。
また、比較例6に示すように、光輝性第2コートのみが樹脂固形分100質量部に対して2未満(微小鱗片状顔料は1質量部である)の場合の場合は、光輝性第2コートの光輝感の弱さが問題となる。
さらに、比較例9に示すように、金属調第1コートのみが樹脂固形分100質量部に対して2未満(金属調第1コート塗料中、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の合計は1.5質量部である)の場合、下地の隠蔽が問題となる。
【0060】
次に、比較例2に示すように、金属調第1コート塗料および光輝性第2コート塗料のいずれもが、樹脂固形分100質量部に対して50を超える場合(金属調第1コート塗料中、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の合計は55質量部であり、光輝性第2コート塗料中、微小鱗片状顔料は55質量部である)は、金属調第1コート塗料では、アルミニウム顔料が必要以上に配合されるため、緻密感はあるものの金属感が低下し、また、光輝性第2コート塗料でも、必要以上に微小鱗片状顔料が配合されるため緻密感はあるものの光輝感が低下する。さらに、金属調第1コート塗料中のアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料および光輝性第2コート塗料中の微小鱗片状顔料が必要以上に配合されるため、顔料の突起に起因するチカチカの発生、あるいは、第3コート塗料であるクリヤーコートの吸い込みといった問題が発生する。
【0061】
また、比較例7に示すように、光輝性第2コート塗料のみが樹脂固形分100質量部に対して50を超える場合(光輝性第2コート塗料中、微小鱗片状顔料は55質量部である)、光輝性第2コート塗料中の微小鱗片状顔料が必要以上に配合されるため、顔料の突起に起因するチカチカの発生、あるいは、第3コート塗料であるクリヤーコートの吸い込みといった問題が発生する。さらに、比較例10に示すように、金属調第1コート塗料樹脂固形分100質量部に対して50を超える場合(金属調第1コート塗料中、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の合計は62質量部)、アルミニウム顔料が必要以上に配合されるため、緻密感はあるものの金属感が低下する。
【0062】
次に、比較例3に示すように、金属調第1コート塗料中のアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料の比率において、アルミニウム顔料が48質量部でかつ光輝性第2コート塗料中の微小鱗片状顔料が45質量の場合、金属調第1コート塗料では、必要以上に微小鱗片状顔料が配合され、金属感が低下し、光輝性第2コート塗料では、必要以上にアルミニウム顔料が配合されるので、微小鱗片状顔料の光輝感が低下する。更に、比較例3では、金属調第1コート塗料および光輝性第2コート塗料のいずれもが、構成する顔料が樹脂固形分100質量部に対して50質量部を超える(金属調第1コート塗料中、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の合計は62質量部であり、光輝性第2コート塗料中、微小鱗片状顔料は58質量部である)ので、顔料の突起に起因するチカチカの発生、あるいは、第3コート塗料であるクリヤーコートの吸い込みといった問題が発生する。また、比較例4では、構成する顔料が樹脂固形分100質量部に対して50質量部以内(金属調第1コート塗料中、アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料の合計は8質量部であり、光輝性第2コート塗料中、微小鱗片状顔料は15質量部である)であるが、金属調第1コート塗料では、アルミニウム顔料の比率が47質量部であり、下地の隠蔽が低下すると供に、金属感も低下し、光輝性第2コート塗料では、微小鱗片状顔料の比率が43質量部に対してアルミニウム顔料の比率が57質量部と配合量がまし、微小鱗片状顔料の光輝感が低下する。また、比較例8では、光輝性第2コート塗料中の微小鱗片状顔料とアルミニウム顔料において、アルミニウム顔料が57質量部と多く、微小鱗片状顔料の光輝感を低下させている。
【0063】
最後に、比較例5は、金属調第1コート中のアルミニウム顔料と微小鱗片状顔料に100質量部に対して着色顔料110質量部、光輝性第2コート中のアルミニウム顔料と微小鱗片状顔料に対して着色顔料55質量部配合した系である。この場合、金属調第1コートでは、着色顔料が多くアルミニウム顔料の金属感が消失している。また、光輝性第2コートでも着色顔料が多く微小鱗片状顔料の光輝感が消失している。
【0064】
【発明の効果】
本発明により、高度の真珠光沢と金属光沢を併せ持つ光輝感ならびに立体的な光輝感を有する塗膜を得ることができる。
Claims (6)
- アルミニウム顔料、微小鱗片状顔料、及び必要に応じて着色顔料を含有してなる金属調第1コート塗料、微小鱗片状顔料または微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料、並びに必要に応じて着色顔料を含有してなる光輝性第2コート塗料、およびクリヤーコート塗料である第3コート塗料を順次塗装して、塗膜を形成し、硬化させる金属調光輝性塗膜形成方法であって、金属調第1コート塗料におけるアルミニウム顔料及び微小鱗片状顔料の含有割合が、樹脂固形分100質量部に対して7〜50質量部であり、また、当該アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率が、質量比で70〜95:5〜30の範囲であり、着色顔料の含有量がアルミニウム顔料及び微小麟片状顔料100質量部に対して0〜30質量部であり、光輝性第2コート塗料における微小鱗片状顔料、又は微小鱗片状顔料及びアルミニウム顔料の含有割合が、樹脂固形分100質量部に対して3〜40質量部であり、当該アルミニウム顔料と微小鱗片状顔料との比率が、質量比で0〜40:60〜100の範囲であり、着色顔料の含有量がアルミニウム顔料及び微小麟片状顔料100質量部に対して0〜50質量部であることを特徴とする金属調光輝性塗膜形成方法。
- アルミニウム顔料が、アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、及び蒸着アルミニウムフレーク顔料から選ばれる1種又は2種以上からなる請求項1に記載の金属調光輝性塗膜形成方法。
- 微小鱗片状顔料が、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、板状酸化鉄、及びコレステリック液晶ポリマーから選ばれる1種又は2種以上からなる請求項1又は2に記載の金属調光輝性塗膜形成方法。
- アルミニウム顔料が、平均粒径5〜25μm、平均厚さ0.02〜1.0μmであり、微小鱗片状顔料が、平均粒径5〜50μm、平均厚さ0.2〜2.0μmである請求項1〜3のいずれかに記載の金属調光輝性塗膜形成方法。
- 金属調第1コート塗料を塗装して得られる塗膜の厚みが、7〜20μmであり、光輝性第2コート塗料を塗装して得られる塗膜の厚みが、5〜30μmである請求項1〜4のいずれかに記載の金属調光輝性塗膜形成方法。
- 金属調第1コート塗料、光輝性第2コート塗料、およびクリヤーコート塗料である第3コート塗料のいずれもが、2液型のウレタン塗料又は1液型のアクリルメラミン塗料である請求項1〜5のいずれかに記載の金属調光輝性塗膜形成方法。
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