JP6971911B2 - 複層塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複層塗膜の形成方法に関し、特には、優れた漆黒性と小傷回復機能とを備えた複層塗膜を形成することができる複層塗膜の形成方法に関する。
一般に、各種の被塗物に塗料を塗装して形成される塗膜には、被塗物を保護するとともに、その外観に意匠性(美観)を与え得ることが求められる。特に、深みのある黒色の塗膜は、自動車等の被塗物に高級感のある外観品質を与えることができることから、優れた漆黒性を有する黒色塗膜の形成方法が求められている。
従来、このような深みのある黒色塗膜を実現する手段の一つとして、下地層の上にカラーベース層を形成し、その上にカラークリヤー層を形成して成る塗膜構造であって、明度が低い黒色ベースカラー層と、黒色染料を含有する黒色カラークリヤー層とを採用した塗膜構造が知られている(特許文献1)。かかる構成によれば、カラーベース層に含有される黒色顔料等による散乱が黒色カラークリヤー層に含有される黒色染料によって抑制されるために、散乱光に起因する白っぽさを軽減して漆黒性を向上させることができる。しかし、従来技術では必ずしも十分な漆黒性が得られるとはいえず、特に、表層の黒色カラークリヤー層の表面に小傷が生じた場合には、そのような小傷に起因して乱反射が発生し、この乱反射部分が白っぽく見えるために塗膜の漆黒性が損なわれるという問題があった。
また、特許文献2には、漆黒性と遮熱機能とを備えた塗膜形成方法として、遮熱機能を有する遮熱性塗料による塗膜、黒色ベース塗料による塗膜、黒色染料を含有するカラークリヤー塗料による塗膜、及びクリヤー塗料による塗膜を順次形成する方法が記載されている。かかる方法によれば、クリア感のある漆黒性を呈するとともに、遮熱効果のある塗膜を形成することができるが、かかる塗膜においても、表層の黒色カラークリヤー層の表面に小傷が生じた場合には、そのような小傷に起因して生じる乱反射部分が白っぽく見える結果、塗膜の漆黒性が低下する問題があった。
特開平6−15223号公報 特開2004−174469号公報
本発明は、複層塗膜の形成方法であって、優れた漆黒性を呈する塗膜を形成することができるとともに、塗膜表面に生じた小傷に起因する漆黒性の低下を抑止し、もって、塗膜の初期の漆黒性を長期にわたって維持できる複層塗膜を形成できる方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、黒色を呈する複層塗膜の形成方法として、前記複層塗膜を、第1黒色ベース塗膜、第1黒色ベース塗膜上に形成された第1クリヤー塗膜、第1クリヤー塗膜上に形成された第2黒色ベース塗膜、第2黒色ベース塗膜上に形成された第2クリヤー塗膜、及び第2クリヤー塗膜上に形成された第3クリヤー塗膜を含んでなる5層積層構造にするとともに、前記第2クリヤー塗膜を形成する塗料として黒色染料を含有するクリヤー塗料を採用すること、第3クリヤー塗膜を表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に形成すること、さらに、前記第3クリヤー塗膜を、小傷回復機能を呈することができる特定のクリヤー塗料により形成すること等の技術手段を採用することによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む、複層塗膜の形成方法に関するものである。
[項1]
被塗物上に形成された第1黒色ベース塗膜、第1黒色ベース塗膜上に形成された第1クリヤー塗膜、第1クリヤー塗膜上に形成された第2黒色ベース塗膜、第2黒色ベース塗膜上に形成された第2クリヤー塗膜、及び第2クリヤー塗膜上に形成された第3クリヤー塗膜を含んでなる複層塗膜の形成方法であって、
前記第2黒色ベース塗膜を、硬化された第1クリヤー塗膜上に形成する工程と、
前記第3クリヤー塗膜を、硬化され表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に形成する工程と、
を含み、
前記第2クリヤー塗膜は、クロム錯体系の黒色染料を含有する第2クリヤー塗料を塗装して形成され、
前記第3クリヤー塗膜は、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する第3クリヤー塗料を塗装して形成される、
複層塗膜の形成方法。
[項2]
被塗物上に、下記の工程(1)〜(9):
(1)黒色顔料を含有する第1黒色ベース塗料(BC1)を塗装して、未硬化の第1黒色ベース塗膜を形成する工程;
(2)前記工程(1)で形成された未硬化の第1黒色ベース塗膜上に、第1クリヤー塗料(CC1)を塗装して、未硬化の第1クリヤー塗膜を形成する工程;
(3)前記工程(1)及び(2)で形成された未硬化の第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜を、一度に加熱硬化する工程;
(4)前記工程(3)で形成された第1クリヤー塗膜上に、黒色顔料を含有する第2黒色ベース塗料(BC2)を塗装して、未硬化の第2黒色ベース塗膜を形成する工程;
(5)前記工程(4)で形成された未硬化の第2黒色ベース塗膜上に、クロム錯体系の黒色染料を含有する第2クリヤー塗料(CC2)を塗装して、未硬化の第2クリヤー塗膜を形成する工程;
(6)前記工程(4)及び(5)で形成された未硬化の第2黒色ベース塗膜及び第2クリヤー塗膜を、一度に加熱硬化する工程;
(7)前記工程(6)で形成された第2クリヤー塗膜の表面を研磨する工程;
(8)前記工程(7)で表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に、水酸基含有樹脂(c3−1)及びポリイソシアネート化合物(c3−2)を含有する第3クリヤー塗料(CC3)を塗装して、未硬化の第3クリヤー塗膜を形成する工程;並びに
(9)前記工程(8)で形成された未硬化の第3クリヤー塗膜を加熱硬化する工程、
を順次行なうことを含む、項1に記載の方法。
[項3]
前記第1クリヤー塗料が黒色染料を含有する、項2に記載の方法。
[項4]
前記黒色染料がクロム錯体系の黒色染料である、項3に記載の方法。
[項5]
被塗物が自動車車体である、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、優れた漆黒性を呈する5層積層構造を含む複層塗膜を形成することができるとともに、形成された塗膜の表面に位置するクリヤー層(第3クリヤー層)に特定の塗料を採用して、塗膜に小傷回復機能を持たせることによって、塗膜表面に小傷が生じた場合であってもこれに起因する乱反射を防止することができ、その結果、黒色塗膜形成時の優れた漆黒性を長期にわたって維持できるという優れた効果を奏することができる。
本発明に係る複層塗膜の形成方法は、被塗物上に、第1黒色ベース塗膜、第1クリヤー塗膜、第2黒色ベース塗膜、第2クリヤー塗膜、及び第3クリヤー塗膜を順次形成する工程を含む。
以下、これら各塗膜の形成工程にそって、本発明を実施するための好ましい形態について詳細に説明する。
[第1黒色ベース塗膜の形成]
本発明では、まず被塗物上に第1黒色ベース塗膜が形成される。具体的には、黒色顔料を含有する第1黒色ベース塗料(BC1)を塗装して、未硬化の第1黒色ベース塗膜を形成することができる。
第1黒色ベース塗料は、塗膜形成性の基体樹脂、黒色顔料に、必要に応じて架橋剤、溶剤、その他の添加成分を配合して調製されるものである。
黒色ベース塗料(BC1)に配合する黒色顔料としては、種々の塗料用黒色顔料を使用することができ、有機系顔料、無機系顔料のいずれであってもよい。このような黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒酸化鉄(四三酸化鉄)、黒酸化チタン、銅マンガンブラック、銅クロムブラック、コバルトブラック、シアニンブラック、アニリンブラック等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
黒色ベース塗料(BC1)の基体樹脂としては、塗料用の基体樹脂として用いられる各種の樹脂を用いることができ、例えば、水酸基、カルボキシル基、ケイ素含有基、エポキシ基、ブロックされていてもよいイソシアネ−ト基などから選ばれた1種もしくは2種以上の官能基を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれた1種もしくは2種以上の樹脂が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、上述した官能基と反応するメラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネ−ト化合物、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基含有化合物などから選ばれた1種もしくは2種以上の混合物が挙げられる。
塗料の希釈に用いる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、「スワゾール1000」(コスモ石油社製、商品名、高沸点石油系溶剤)等の芳香族系溶剤;ミネラルスピリット等の脂肪族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、2−エトキシエチルプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系溶剤などが挙げられる。
また、黒色ベース塗料(BC1)が水性である場合は、基体樹脂としては、樹脂を水溶性化もしくは水分散化するのに十分な量の親水性基、例えばカルボキシル基、水酸基、メチロール基、アミノ基、スルホン酸基、ポリオキシエチレン結合などを含有するものを使用し、この親水性基を中和してアルカリ塩とすることにより、基体樹脂を水溶性化もしくは水分散化してもよい。
黒色ベース塗料(BC1)には、必要に応じて塗料に添加され得る各種添加剤、例えば粘性付与剤、流動調整剤、光安定剤、紫外線吸収剤、体質顔料、顔料分散剤等を配合することができる。
黒色ベース塗料(BC1)は、エアスプレ−、エアレススプレ−、又は静電塗装機などの、適当な塗装手段を用いて塗装することができる。黒色ベース塗料(BC1)を塗装することによって形成される黒色ベース塗膜の膜厚は、乾燥塗膜の膜厚が5〜25μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜20μmの範囲内である。
[第1クリヤー塗膜の形成]
次に、第1黒色ベース塗膜上に第1クリヤー塗膜が形成される。具体的には、第1黒色ベース塗膜の未硬化の塗面に第1クリヤー塗料(CC1)を塗装することによって、未硬化の第1クリヤー塗膜を形成することができる。
第1クリヤー塗料(CC1)は透明塗膜を形成する塗料であり、その基体樹脂としては、塗料用の基体樹脂として用いられる各種の樹脂を用いることができ、例えば、水酸基、カルボキシル基、ケイ素含有基、エポキシ基、ブロックされていてもよいイソシアネ−ト基などから選ばれた1種もしくは2種以上の官能基を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれた1種もしくは2種以上の樹脂が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、上述した官能基と反応するメラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネ−ト化合物、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基含有化合物などから選ばれた1種もしくは2種以上の混合物が挙げられる。
第1クリヤー塗料(CC1)には、黒色の染料を配合して、さらに塗膜の漆黒性を高めることもできる。このような黒色の染料の種類としては、例えば、クロム錯体系染料などの金属錯体系染料、アニリン系染料、ジ及びトリアリルメタン系染料、ビニロン系染料、ローダミン系染料、アクリジン染料、サフラニン系染料、オキサジン系染料、キノリン系染料、チアゾール系染料、アゾ系染料、アゾメチン系染料、ポリメチン又はアゾポリメチン染料、アントラキノン染料、キノフタロン染料、フタロシアニン染料等の染料が挙げられ、黒色の染料の添加量は、基体樹脂と硬化剤の固形分の合計100質量部を基準に、0.1〜5.0質量部が好ましく、0.2〜2.0質量部添加することがより好ましい。
第1クリヤ塗料(CC1)には、さらに必要に応じて、着色顔料、機能性顔料、体質顔料、沈降防止剤、塗面調整剤、紫外線吸収剤などの、塗料に配合される通常の添加剤を適宜含有させることができる。顔料は、透明塗膜の透明性を損なわない範囲で配合することができる。
クリヤー塗料(CC1)は、上述した各成分を溶媒に溶解又は分散させることにより調製され、塗料粘度を適宜の範囲内に調整し、これをエアスプレー、エアレススプレーなどの噴霧塗装法により、第1黒色ベースコート塗料(BC1)の未硬化の塗面上に塗装することができる。塗装の際、必要に応じて静電印加を行なってもよい。クリヤコート塗料(CC1)により形成される第1クリヤー塗膜の膜厚は、硬化塗膜を基準にて20〜50μm程度の範囲が好ましく、25〜40μm程度の範囲がより好ましい。
[第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜の加熱硬化]
未硬化の第1黒色ベース塗膜上に未硬化の第1クリヤー塗膜を形成した後に、これら未硬化の第1黒色ベース塗膜と第1クリヤー塗膜とを一度に加熱硬化させることができる。これにより、硬化した第1黒色ベース塗膜と硬化した第1クリヤー塗膜とを含む積層塗膜が形成される。加熱硬化のための焼付け温度は被塗物の材質に応じて適宜選択されるが、例えば被塗物が鋼板である場合は100〜180℃、好ましくは120〜160℃で10〜90分間、被塗物がプラスチックである場合は60〜140℃、好ましくは90〜120℃で10〜90分間加熱することによって、硬化した黒色ベース塗膜と硬化した第1クリヤー塗膜とを含む積層塗膜を得ることができる。
本発明の一つの実施形態においては、上述のようにして硬化した第1黒色ベース塗膜と硬化した第1クリヤー塗膜とを含む積層塗膜を形成した後に、硬化した第1クリヤー塗膜の表面を研磨する工程を設けてもよい。硬化した第1クリヤー塗膜の表面を研磨することによって、塗面に高い平滑性を与えることができ、これによって第1クリヤー塗膜と後続する工程で形成される第2黒色ベース塗膜との境界面での乱反射を抑制して、形成される複層塗膜の漆黒性をさらに高めることができる。研磨を行う場合は、後述する第2クリヤー塗膜の表面研磨と同様の方法を用いることができる。
[第2黒色ベース塗膜の形成]
次いで、第1クリヤー塗膜上に第2黒色ベース塗膜が形成される。第2黒色ベース塗膜の形成は、硬化された第1クリヤー塗膜上に第2黒色ベース塗料(BC2)を塗装することによって行うことができる。第2黒色ベース塗料(BC2)としては、第1黒色ベース塗膜を形成するために用いる第1黒色ベース塗料と同様の塗料を用いることができる。
[第2クリヤー塗膜の形成]
第2黒色ベース塗膜の未硬化の塗面に、クロム錯体系の黒色染料を含有する第2クリヤー塗料(CC2)を塗装して、第2クリヤー塗膜を形成する。第2クリヤー塗料(CC2)にクロム錯体系の黒色染料を配合することにより、黒色顔料の場合に生じる光の乱反射に起因する白っぽさを抑制しつつ、塗膜の漆黒性をさらに高めることができる。
第2クリヤー塗料(CC2)に含有されるクロム錯体系の黒色染料としては、特に、短波長に反射を持つ青色を呈し、耐候性が良好で、かつアゾ系染料であるものが好ましい。このようなクロム錯体系染料の市販品としては、例えば、Orasol Black X51、Orasol Black X53、Orasol Black X55(BASF社製、商品名)が挙げられる。
クロム錯体系の黒色の染料の添加量は、基体樹脂と硬化剤の固形分の合計100質量部を基準に、0.1〜5.0質量部が好ましく、0.2〜2.0質量部添加することがより好ましい。クロム錯体系の黒色の染料の添加量が0.1質量部未満であると漆黒性の色味が得られず、また5.0質量部を越えると耐候性や塗膜物性が低下する。
[第2黒色ベース塗膜及び第2クリヤー塗膜の加熱硬化]
未硬化の第2黒色ベース塗膜上に第2クリヤー塗膜を形成した後に、これら未硬化の第2黒色ベース塗膜と第2クリヤー塗膜とを一度に加熱硬化させることにより、硬化した第2黒色ベース塗膜と硬化した第2クリヤー塗膜とを含む積層塗膜を形成することができる。加熱硬化のための焼付け温度や焼付け時間は、第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜の加熱硬化の場合に準じて設定することができる。
[第2クリヤー塗膜の表面研磨]
本発明による複層塗膜形成方法は、上述のようにして硬化した第2黒色ベース塗膜と硬化した第2クリヤー塗膜とを含む積層塗膜を形成した後に、硬化した第2クリヤー塗膜の表面を研磨する工程を包含する。
硬化した第2クリヤー塗膜の表面に研磨を行うことによって、第2クリヤー塗膜と後続する工程で形成される第3クリヤー塗膜との境界面での乱反射を抑制することができるので、形成される複層塗膜の漆黒性を高めることができる。
研磨は、サンドペーパー等の研磨材を用いて行うことが好ましく、水研ぎなどの湿式研磨により行うことがさらに好ましい。研磨工程にサンドペーパーを用いる場合には、好適には目の粗さが#600〜#1500の範囲のものが用いられ、より好適には#800〜#1000の範囲のものを用いることができる。
[第3クリヤー塗膜の形成]
本発明による複層塗膜の形成方法は、前工程において表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に、さらに第3クリヤー塗料(CC3)を塗装して未硬化の第3クリヤー塗膜を形成する工程(工程(9))を含む。この第3クリヤー塗料(CC3)は、水酸基含有樹脂(c3−1)及びポリイソシアネート化合物(c3−2)を含有するものである。
上述した各工程によって形成された第1黒色ベース塗膜、第1クリヤー塗膜、第2ベース塗膜、第2クリヤー塗膜の4層に加えて、この第3クリヤー塗膜を設けた5層積層塗膜構造とすることにより、本発明によって形成される多層積層塗膜の漆黒性を一層向上させることができる。
さらに、この第3クリヤー塗膜を構成する塗料として弾性を有する特定の塗料を採用することにより、塗膜表面に小傷が生じた場合であっても、塗膜を構成する樹脂の弾性によって小傷が生じた塗膜の表面を復元する機能(小傷回復機能)を持たせることができ、この小傷回復機能によって、小傷に起因する塗膜表面における光の乱反射(白っぽい視覚効果を生じる)を抑制することができるので、塗膜形成時の優れた漆黒性を長期にわたって維持することができる。
水酸基含有樹脂(c3−1)
水酸基含有樹脂(c3−1)としては、種々のものを使用することができるが、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂などを挙げることができ、好ましいものとして水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができ、特に好ましいものとして水酸基含有アクリル樹脂を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有不飽和単量体及びその他の共重合可能な不飽和単量体を常法により共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有不飽和単量体は、1分子中に水酸基と不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物であり、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物が好適であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。さらに、この単量体として、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンなどのラクトン類との開環重合付加物等を挙げることもできる。具体的には、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学(株)製、商品名)等を挙げることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
上記の水酸基含有不飽和単量体のうち、炭素原子数4以上の水酸基含有炭化水素基を有するものが、塗膜の小傷回復性を向上させる観点から好適に使用することができる。炭素原子数4以上の水酸基含有炭化水素基を有する水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数4〜10の2価アルコールとのモノエステル化物、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物などを挙げることができる。
水酸基含有不飽和単量体の配合割合は、単量体混合物全量に基づいて20〜50質量%、特に、25〜45質量%の範囲内であるのが好ましい。水酸基含有不飽和単量体の配合割合が20質量%未満であると、硬化塗膜の架橋が不十分となって、所定の小傷回復性が得られにくくなる場合がある。一方、50質量%を超えると、その他の共重合可能な不飽和単量体との相溶性や共重合反応性が低下することにより、塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
その他の共重合可能な不飽和単量体は、上記水酸基含有不飽和単量体以外の、1分子中に1個の不飽和結合を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、下記モノマー(i)〜(xx)等を使用することができる。これらの重合性不飽和モノマーは単独でもしくは2種以上で組み合わせて使用することができる。
(i) アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
(ii) イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー:イソボルニル(メタ)アクリレート等。
(iii) アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー:アダマンチル(メタ)アクリレート等。
(iv) トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー:トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
(v) 芳香環含有重合性不飽和モノマー:ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(vi) アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー:ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
(vii) フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー:パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
(viii) マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
(ix) ビニル化合物:N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
(x) カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等。
(xi) 含窒素重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等。
(xii) 重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー:アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
(xiii) エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
(xiv) 分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
(xv) スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等。
(xvi) リン酸基を有する重合性不飽和モノマー:アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシエチレン)グリコール(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシプロピレン)グリコール(メタ)アクリレート等。
(xvii) 紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー:2−ヒドロキシ−4(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−[2−ヒドロキシ−5−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等。
(xviii) 光安定性重合性不飽和モノマー:4−(メタ)アクリロイルオキシ1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
(xix) カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
(xx) 酸無水物基を有する重合性不飽和モノマー:無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等。
本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、マレイミド基等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
これらのうち、形成される塗膜の小傷回復性向上等の観点から、下記分岐構造を有する炭素原子数8〜22の炭化水素基含有重合性不飽和単量体(a)が特に好適に用いられる。
分岐構造を有する炭素原子数8〜22の炭化水素基含有重合性不飽和単量体(a)
分岐構造を有する炭素原子数8以上の炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(a)としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、一般式(1)
Figure 0006971911
(式中、Xは水素原子又はメチル基を示す。)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどを挙げることができる。一般式(1)で表わされる化合物の市販品としては、例えば、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業(株)製、一般式(1)においてXが水素原子である化合物)をあげることができる。
単量体(a)の使用割合は、形成される塗膜の小傷回復性等の観点から、単量体混合物全質量に基づいて、3〜40質量%程度、好ましくは8〜35重量%程度であることが適当である。
これらの不飽和単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。水酸基含有不飽和単量体及びその他の共重合可能な不飽和単量体からなる単量体混合物を共重合して、水酸基含有アクリル樹脂を得ることができる。
水酸基含有樹脂(c3−1)として用いることのできる水酸基含有ポリエステル樹脂は、その製造方法に特段の制限はなく、例えば、多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化反応によって製造することができる。前記多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びそれらの無水物などが挙げられ、また、前記多価アルコ−ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、及びトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分、並びに2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、カージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステ)などのモノエポキシ化合物などを酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入してもよい。
水酸基含有樹脂(c3−1)として用いることのできる水酸基含有ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価アルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどを挙げることができる。高分子量のものとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、前記の2価アルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの2塩基酸との重縮合物、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。また、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などのカルボキシル基含有ポリオールを使用することもできる。
上記のポリオールと反応させるポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;などを挙げることができる。
水酸基含有樹脂(c3−1)はそれぞれ単独で又は2種以上を併用して使用することができ、水酸基含有樹脂(c3−1)としては、水酸基含有アクリル樹脂又は水酸基含有ポリエステル樹脂を好適に使用することができる。
水酸基含有樹脂(c3−1)の水酸基価は80〜200mgKOH/gの範囲内であり、好ましくは100〜170mgKOH/gの範囲内である。水酸基価が80mgKOH/g未満であると、塗膜の小傷回復性が不十分な場合があり、また200mgKOH/gを超えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有樹脂(c3−1)の重量平均分子量は2500〜40000の範囲内であり、好ましくは5000〜30000の範囲内である。重量平均分子量が2500未満であると耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、また40000を超えると塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフには、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
水酸基含有樹脂(c3−1)のガラス転移温度は、形成される塗膜の小傷回復性の観点から、−45℃〜10℃、特に−35℃〜10℃の範囲内であるのが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(c3−2)
本発明の塗料組成物に用いられるポリイソシアネート化合物(c3−2)は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物である。該ポリイソシアネート化合物(c3−2)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの誘導体などを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどを挙げることができる。
また、ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI及び該ポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応物などを挙げることができる。
これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。また、これらのポリイソシアネート化合物のうち、小傷回復性、耐候性等の観点から、脂肪族ジイソシアネート及びそれらの誘導体を好適に使用することができる。
また、ポリイソシアネート化合物として、上記した1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物であるブロック化ポリイソシアネート化合物を使用することもできる。ブロック剤は、遊離のイソシアネート基を封鎖するもので、既知のさまざまなブロック剤を使用することができる。
ポリイソシアネート化合物(c3−2)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
第3クリヤー塗料(CC3)は、エアスプレ−、エアレススプレ−、又は静電塗装機などの、適当な塗装手段を用いて塗装することができる。第3クリヤー塗料(CC3)を塗装することによって形成される第3クリヤー塗膜の膜厚は、乾燥塗膜の膜厚が20μm以上であることが好ましく、より好ましくは25〜50μmの範囲内である。
[第3クリヤー塗膜の加熱硬化]
前工程で形成された未硬化の第3クリヤー塗膜を加熱硬化させて、硬化された第3クリヤー塗膜を得ることができる。加熱硬化のための焼付け温度や焼付け時間は、第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜の加熱硬化、並びに、第2黒色ベース塗膜及び第2クリヤー塗膜の加熱硬化の場合に準じて設定することができる。
[形成された複層塗膜]
以上の工程によって形成された黒色の複層塗膜は、第1黒色ベース塗膜、第1クリヤー塗膜、第2ベース塗膜、第2クリヤー塗膜の4層に加えて、水酸基含有樹脂(c3−1)及びポリイソシアネート化合物(c3−2)を含有する第3クリヤー塗膜を備えた、5層積層構造を有する。本発明の方法にしたがって形成された積層構造を有する複層塗膜は、優れた漆黒性を呈するとともに、第3クリヤー塗膜が有する小傷回復機能により、塗膜の初期の漆黒性を長期にわたって維持できる。
[被塗物]
本発明の複層塗膜形成方法が適用される被塗物は、特に限定されないが、例えば、自動車、二輪車等の各種車体;電気製品等を挙げることができ、特に自動車車体が好ましい。また、これらの被塗物を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック基材等であってもよい。
また、被塗物としては、上記車体、電気製品、金属基材等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。特に、本発明の方法が自動車車体等の上塗り塗装として用いられる場合は、被塗物としては、自動車車体又はその金属基材に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであることが、好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらにより限定されるものではない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準による。また、各成分の配合量は、特記しない限り固形分を示す。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
第1クリヤー塗料(CC1)の製造
製造例1
「マジクロン TC−69クリヤー」(商品名、関西ペイント社製、水酸基含有樹脂及びメラミン樹脂を含有する有機溶剤型クリヤー塗料)、「Orasol Black X55」(商品名、BASF社製、クロム錯体系の黒色染料)及び有機溶剤(メチルエチルケトン及びトルエンの等質量混合溶剤)を、該「Orasol Black X55」の含有量が該「マジクロン TC−69クリヤー」の固形分100部を基準として0.3部となり、得られる塗料の20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が24秒となるように攪拌混合して、第1クリヤー塗料(CC1−1)を得た。
製造例2〜3
配合する黒色染料及び黒色顔料の種類及び量を下記表2に示す通りとする以外は、製造例1と同様の方法により、第1クリヤー塗料(CC1−2)〜(CC1−3)を得た。
第2クリヤー塗料(CC2)の製造
製造例4
「マジクロン TC−69クリヤー」(商品名、関西ペイント社製、水酸基含有樹脂及びメラミン樹脂を含有する有機溶剤型クリヤー塗料)、「Orasol Black X55」(商品名、BASF社製、クロム錯体系の黒色染料)及び有機溶剤(メチルエチルケトン及びトルエンの等質量混合溶剤)を、該「Orasol Black X55」の含有量が該「マジクロン TC−69クリヤー」の固形分100部を基準として0.3部となり、得られる塗料の20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が24秒となるように攪拌混合して、第2クリヤー塗料(CC2−1)を得た。
製造例5〜9
配合する黒色染料及び黒色顔料の種類及び量を下記表2に示す通りとする以外は、実施例4と同様の方法により、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が24秒である第2クリヤー塗料(CC2−2)〜(CC2−6)を得た。
水酸基含有樹脂(c3−1)の製造
製造例10
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口及び滴下装置を備えた反応容器に、エトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、スチレン20部、シクロヘキシルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート13部、4−ヒドロキシブチルアクリレート36部及びアクリル酸1部からなる単量体(合計100部)と重合開始剤である2,2−ジ(t−アミルパーオキシ)ブタン3部との単量体混合物を4時間かけて滴下した。155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の水酸基含有樹脂(c3−1−1)溶液を得た。得られた水酸基含有樹脂(c3−1−1)の水酸基価は140mgKOH/g、重量平均分子量は13,600、ガラス転移温度は−5℃であった。
製造例11
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口及び滴下装置を備えた反応容器に、エトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、スチレン20部、n−ブチルメタアクリレート43部、4−ヒドロキシブチルアクリレート36部及びアクリル酸1部からなる単量体(合計100部)と重合開始剤である2,2−ジ(t−アミルパーオキシ)ブタン3部との単量体混合物を4時間かけて滴下した。155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の水酸基含有樹脂(c3−1−2)溶液を得た。得られた水酸基含有樹脂(c3−1−2)の水酸基価は140mgKOH/g、重量平均分子量は13,000、ガラス転移温度は−4℃であった。
第3クリヤー塗料(CC3)の製造
製造例12
製造例10で得た水酸基含有樹脂(c3−1−1)47部、「デュラネートE402−90T」(商品名、旭化成社製、3官能脂肪族系ポリイソシアネート化合物、固形分90%、イソシアネート含有率9.4%、数平均分子量1,400)53部及び「DBE」(グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル及びアジピン酸ジメチルの混合溶剤、RUNTAI CHEMICAL社製)を攪拌混合して、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が20秒である第3クリヤー塗料(CC3−1)を得た。なお、ポリイソシアネート化合物の配合割合は、水酸基含有樹脂の水酸基1当量当たり、該化合物のイソシアネート基が1当量となる量に相当する。
製造例13〜15
配合を下記表1に示す配合とする以外は、実施例12と同様の方法により、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が20秒である第3クリヤー塗料(CC3−2)〜(CC3−4)を得た。
Figure 0006971911
(注1)「デュラネートME20−100」:商品名、旭化成社製、9官能脂肪族系ポリイソシアネート化合物、固形分100%、イソシアネート含有率8.5%、数平均分子量1,900。
(注2)「アミディアL−127−60」:商品名、DIC社製、メラミン樹脂。
試験用被塗物の作製
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上に中塗り塗料組成物(商品名「TP−67」、関西ペイント社製)を膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。かくして、鋼板上に電着塗膜及び中塗り塗膜を形成してなる試験用被塗物を作製した。
実施例1
上記試験用被塗物に、「マジクロンTB−516 No.202」(商品名、関西ペイント社製、有機溶剤型黒色顔料含有ベース塗料)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化膜厚15μmとなるように静電塗装して第1黒色ベース塗膜を形成し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第1黒色ベース塗膜上に、製造例1で得た第1クリヤー塗料(CC1−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚30μmとなるように静電塗装して第1クリヤー塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜を同時に硬化させた。
次いで、上記第1クリヤー塗膜上に、前記「マジクロンTB−516 No.202」を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装して第2黒色ベース塗膜を形成し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第2黒色ベース塗膜上に製造例4で得た第2黒色クリヤー塗料(CC2−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚30μmとなるように静電塗装して第2クリヤー塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該第2黒色ベース塗膜及び第2クリヤー塗膜を同時に硬化させた。
次いで、上記第2クリヤー塗膜の表面を表層が無くなり平滑面が得られるまで♯1000番の耐水研磨紙で水研ぎした。
次いで、上記表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に、製造例12で得た第3クリヤー塗料(CC3−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚25μmとなるように静電塗装して第3クリヤー塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該第3クリヤー塗膜を硬化させることにより試験板を作製した。
実施例2〜8、比較例1〜5
実施例1において、第1クリヤー塗料(CC1−1)、第2クリヤー塗料(CC2−1)及び第3クリヤー塗料(CC3−1)の種類、研磨(水研ぎ)の有無を下記表2に示す通りとする以外は、実施例1と同様にして試験板を作製した。
実施例9
上記試験用被塗物に、「マジクロンTB−516 No.202」(商品名、関西ペイント社製、有機溶剤型黒色顔料含有ベース塗料)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化膜厚15μmとなるように静電塗装して第1黒色ベース塗膜を形成し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第1黒色ベース塗膜上に、製造例1で得た第1クリヤー塗料(CC1−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚30μmとなるように静電塗装して第1クリヤー塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜を同時に硬化させた。
次いで、上記第1クリヤー塗膜の表面を平滑面が得られるまで♯1000番の耐水研磨紙で水研ぎした。
次いで、上記表面が研磨された第1クリヤー塗膜上に、前記「マジクロンTB−516 No.202」を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装して第2黒色ベース塗膜を形成し、3分間放置した。次いで、該未硬化の第2黒色ベース塗膜上に製造例4で得た第2黒色クリヤー塗料(CC2−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚30μmとなるように静電塗装して第2クリヤー塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該第2黒色ベース塗膜及び第2クリヤー塗膜を同時に硬化させた。
次いで、上記第2クリヤー塗膜の表面を表層が無くなり平滑面が得られるまで♯1000番の耐水研磨紙で水研ぎした。
次いで、上記表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に、製造例12で得た第3クリヤー塗料(CC3−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚25μmとなるように静電塗装して第3クリヤー塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該第3クリヤー塗膜を硬化させることにより試験板を作製した。
評価試験
上記実施例1〜9及び比較例1〜5で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表2に示す。
(試験方法)
漆黒性:試験板について、それぞれマルチアングル分光測色計「CM−512m3」(コニカミノルタ社製)を用いて、塗膜面に垂直な軸に対し25°、45°及び75°の各角度から光を照射し、反射した光のうち塗膜面に垂直な方向の光についてのL値をそれぞれ測定した。次いで、各照射角度におけるL値の合計であるL(TOTAL)=L(25°)+L(45°)+L(75°)を算出し、下記基準にて評価した。L(TOTAL)が小さいほど漆黒性に優れていることを示す。
◎:L(TOTAL)が1.0未満
○:L(TOTAL)が1.0以上2.0未満
△:L(TOTAL)が2.0以上3.0未満
×:L(TOTAL)が3.0以上。
耐擦り傷性:ルーフにニチバン社製耐水テープにて試験板を貼りつけた自動車を、20℃の条件下、洗車機で15回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)を算出し、下記基準にて評価した。洗車機は、ヤスイ産業社製「PO20 FWRC」を用いた。
◎:光沢保持率70%以上
○:光沢保持率60%以上70%未満
△:光沢保持率50%以上60%未満
×:光沢保持率50%未満
Figure 0006971911
Figure 0006971911
(注3)「Raven 5000 ULTRA III POWDER」:商品名、BIRLA CARBON社製、カーボンブラック顔料。
(注4)「Orasol Black X51」(商品名、BASF社製、クロム錯体系の黒色染料)。
(注5)「マジクロンKINO−1210TW」:商品名、関西ペイント社製、酸/エポキシ系有機溶剤型上塗りクリヤー塗料組成物。

Claims (5)

  1. 被塗物上に形成された第1黒色ベース塗膜、第1黒色ベース塗膜上に形成された第1クリヤー塗膜、第1クリヤー塗膜上に形成された第2黒色ベース塗膜、第2黒色ベース塗膜上に形成された第2クリヤー塗膜、及び第2クリヤー塗膜上に形成された第3クリヤー塗膜を含んでなる複層塗膜の形成方法であって、
    前記第2黒色ベース塗膜を、硬化された第1クリヤー塗膜上に形成する工程と、
    前記第3クリヤー塗膜を、硬化され表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に形成する工程と、
    を含み、
    前記第2クリヤー塗膜は、クロム錯体系の黒色染料を含有する第2クリヤー塗料を塗装して形成され、
    前記第3クリヤー塗膜は、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する第3クリヤー塗料を塗装して形成される、
    複層塗膜の形成方法。
  2. 被塗物上に、下記の工程(1)〜(9):
    (1)黒色顔料を含有する第1黒色ベース塗料(BC1)を塗装して、未硬化の第1黒色ベース塗膜を形成する工程;
    (2)前記工程(1)で形成された未硬化の第1黒色ベース塗膜上に、第1クリヤー塗料(CC1)を塗装して、未硬化の第1クリヤー塗膜を形成する工程;
    (3)前記工程(1)及び(2)で形成された未硬化の第1黒色ベース塗膜及び第1クリヤー塗膜を、一度に加熱硬化する工程;
    (4)前記工程(3)で形成された第1クリヤー塗膜上に、黒色顔料を含有する第2黒色ベース塗料(BC2)を塗装して、未硬化の第2黒色ベース塗膜を形成する工程;
    (5)前記工程(4)で形成された未硬化の第2黒色ベース塗膜上に、クロム錯体系の黒色染料を含有する第2クリヤー塗料(CC2)を塗装して、未硬化の第2クリヤー塗膜を形成する工程;
    (6)前記工程(4)及び(5)で形成された未硬化の第2黒色ベース塗膜及び第2クリヤー塗膜を、一度に加熱硬化する工程;
    (7)前記工程(6)で形成された第2クリヤー塗膜の表面を研磨する工程;
    (8)前記工程(7)で表面が研磨された第2クリヤー塗膜上に、水酸基含有樹脂(c3−1)及びポリイソシアネート化合物(c3−2)を含有する第3クリヤー塗料(CC3)を塗装して、未硬化の第3クリヤー塗膜を形成する工程;並びに
    (9)前記工程(8)で形成された未硬化の第3クリヤー塗膜を加熱硬化する工程、
    を順次行なうことを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1クリヤー塗料が黒色染料を含有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記黒色染料がクロム錯体系の黒色染料である、請求項3に記載の方法。
  5. 被塗物が自動車車体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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