JPWO2004081408A1 - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、この種の防振装置の一例として、幅広い周波数の振動に対応すべく、液体が封入され且つ液体の通路であるオリフィスの切り換えを可能とした構造の制御マウントとしての防振装置が、従来より知られている。
つまり、この防振装置には、複数のオリフィス間で通路を切り替える為の電気的なアクチュエータ若しくは電磁バルブ等が必要なだけでなく、これらアクチュエータや電磁バルブ等を車両の走行条件に基づいて動作させ、オリフィスを切り替えさせるコントローラが構造上、必要であった。
しかし、これらアクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラは、比較的高価なものである為、これらの部材は防振装置の製造コストを増大させる要因となっていた。
請求項1による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁側に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
主液室と対向する面が凹状とされつつ弾性材料によりこの弁体が形成され、
主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置したことを特徴とする。
請求項2による防振装置は請求項1記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項3による防振装置は請求項1又は2記載の防振装置において、弾性部材がテーパを有した螺旋状に形成されたコイルスプリングとされることを特徴とする。
請求項4による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
これら取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁側に向かって付勢する弾性部材と、
開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内部材と、
を有したことを特徴とする。
請求項5による防振装置は請求項4記載の防振装置において、逆止弁が弁体及び弁座により構成され、弾性材料によりこの弁体が形成され、主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置したことを特徴とする。
請求項6による防振装置は請求項5記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項7による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項8による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項9による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項10による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項11による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、開閉部材側から主液室へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁から離れる方向に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
前記逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
この逆止弁を構成する弁体が弾性材料により形成され、
弁体と対向する開閉部材の部分に、弁体への接近時に弁体と当接し得る当接部を設けたことを特徴とする。
請求項12による防振装置は請求項11記載の防振装置において、当接部が弁体に向かって突出した形状とされることを特徴とする。
請求項13による防振装置は請求項11又は12記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項14による防振装置は請求項11、12又は12記載の防振装置において、開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内部材を有したことを特徴とする。
請求項15による防振装置は請求項14記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項16による防振装置は請求項14記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項17による防振装置は請求項14記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項18による防振装置は請求項14記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項19による防振装置は請求項1ないし17の何れか1項記載の防振装置において、オリフィスが2つ存在し、開閉部材により開閉される上記オリフィスがアイドルオリフィスとされ、他のオリフィスが、アイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスとされることを特徴とする。
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、この取付部材が変位するのに伴って、一対の取付部材間に配置される弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、振動が低減される。つまり、弾性体の変形によって振動が吸収されることで、他方の取付部材に連結された振動受け部側に振動が伝達され難くなる。
一方、本請求項では、隔壁の一部が弾性体により形成されて液体が封入された主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成されて同じく液体が封入される副液室との間が、オリフィスにより連通されている。さらに、このオリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に開閉部材が配置されており、主液室とこの開閉部材との間に配置される逆止弁が、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ、また、この逆止弁側に向かって弾性部材がこの開閉部材を付勢している。
従って、防振装置に振動が加わるのに伴って生じる弾性体の変形によって、液体が封入された主液室が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室の内容積の変化に伴って生じる液圧変動により開閉部材が往復動して、オリフィスを開閉動することになる。
つまり、防振装置に振幅の小さい振動入力が加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力よりも、開閉部材を逆止弁側に向かって付勢する弾性部材の予圧縮荷重の方が大きい為、逆止弁は閉じた状態となって開閉部材は静止している。これに伴って、オリフィスが開放された状態となり、主液室内からオリフィス内に液体が流入することで、圧力変化及び粘性抵抗等が生じつつこのオリフィス内を液体が流通し、主液室と副液室との間で液体が流動する。従って、液体の液柱共振や粘性抵抗等によっても振動が低減されて、振動受け部側に振動がより一層伝達され難くなる。
一方、防振装置に振幅の比較的大きな振動入力が加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力も大きくなって弾性部材の予圧縮荷重より大きくなる為、逆止弁が開放され、主液室から流入した液体に押されて開閉部材が、弾性部材の付勢力に抗しつつ弾性部材側に移動し、主液室の液圧変動の最大値と弾性部材の付勢力とが釣り合う位置で、静止する。そして、このように開閉部材が弾性部材側に向かって移動することで、この開閉部材によりオリフィスの一部が遮断されてこのオリフィス内で液体が流動しないようになる。
以上より、本請求項に係る防振装置は、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本請求項によれば、防振装置の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となる。
さらに、本請求項では、逆止弁が弁体及び弁座により構成され、主液室と対向する面が凹状とされつつ弾性材料によりこの弁体が形成され、主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置するという構成を有している。
すなわち、蝶番であるヒンジで弁体を支持する構造では、逆止弁を確実に作動させる為に弁体の軽量化が必要であった。この為、防振装置内の液体の圧力変動に対する逆止弁の耐久性が低く、またヒンジのような複雑な構造で弁体を支持するのでは、防振装置の量産性も低かった。
これに対して、本請求項によれば、弾性材料で形成された弁体の主液室と対向する面が凹状に形成されるだけでなく、主液室と対向するこの弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって弁体に予圧が加えられた構成とされている。つまり、本請求項の逆止弁は、単に弾性材料で形成された弁体の弾性を利用しただけの簡易な構造とされている。この為、必要時に確実に逆止弁が開閉可能となるだけでなく、逆止弁の耐久性及び防振装置の量産性が高くなる。
請求項2に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされるという構成を有している。
つまり、これらのゴム材或いは合成樹脂材を採用すれば、弁体が確実に弾性変形するようになるだけでなく、低コストで弁体が得られることになる。この為、必要時に確実に逆止弁が開閉可能となるだけでなく、逆止弁の耐久性及び防振装置の量産性が高くなるという請求項1の作用効果がより確実に得られるようになる。
請求項3に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1及び請求項2と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、弾性部材がテーパを有した螺旋状に形成されたコイルスプリングとされるという構成を有している。
本請求項では、弾性部材であるコイルスプリングをテーパを有した螺旋状に形成することで、付勢力が加わって圧縮された時でも、コイルスプリングの線材同士が接触しないので、弾性係数が非線形に変化して急激に高くならないようになる。この為、防振装置内の小さい空間にコイルスプリングを配置した場合でも、弾性係数が安定し、弾性部材として十分に機能するようになった。
つまり、本請求項によれば、防振装置の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となるだけでなく、コイルスプリングの弾性係数が一定となって、弾性部材として十分に機能するようになった。
請求項4に係る防振装置の作用を以下に説明する。
一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、この取付部材が変位するのに伴って、一対の取付部材間に配置される弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、振動が低減される。つまり、弾性体の変形によって振動が吸収されることで、他方の取付部材に連結された振動受け部側に振動が伝達され難くなる。
一方、本請求項では、隔壁の一部が弾性体により形成されて液体が封入された主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成されて同じく液体が封入される副液室との間が、オリフィスにより連通されている。さらに、このオリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に開閉部材が配置されており、主液室とこの開閉部材との間に配置される逆止弁が、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ、また、この逆止弁側に向かって弾性部材がこの開閉部材を付勢している。
従って、防振装置に振動が加わるのに伴って生じる弾性体の変形によって、液体が封入された主液室が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室の内容積の変化に伴って生じる液圧変動により開閉部材が往復動して、オリフィスを開閉動することになる。
つまり、防振装置に振幅の小さい振動入力が加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力よりも、開閉部材を逆止弁側に向かって付勢する弾性部材の予圧縮荷重の方が大きい為、逆止弁は閉じた状態となって開閉部材は静止している。これに伴って、オリフィスが開放された状態となり、主液室内からオリフィス内に液体が流入することで、圧力変化及び粘性抵抗等が生じつつこのオリフィス内を液体が流通し、主液室と副液室との間で液体が流動する。従って、液体の液柱共振や粘性抵抗等によっても振動が低減されて、振動受け部側に振動がより一層伝達され難くなる。
一方、防振装置に振幅の比較的大きな振動入力が加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力も大きくなって弾性部材の予圧縮荷重より大きくなる為、逆止弁が開放され主液室から流入した液体に押されて開閉部材が、弾性部材の付勢力に抗しつつ弾性部材側に移動し、主液室の液圧変動の最大値と弾性部材の付勢力とが釣り合う位置で、静止する。そして、このように開閉部材が弾性部材側に向かって移動することで、この開閉部材によりオリフィスの一部が遮断されてこのオリフィス内で液体が流動しないようになる。
さらに、本請求項では、開閉部材の中央部分に対応して配置された案内部材が、開閉部材の上記のような往復動を案内するので、開閉部材が斜めに傾くことがなくなるのに伴い、完全に往復動しない状態で開閉部材が止まってしまうことが無くなる結果、開閉部材が確実に往復動して、オリフィスが安定的に開閉されるようになる。
以上より、本請求項に係る防振装置は、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本請求項によれば、製造コストを低減するだけでなく、オリフィスを安定的に開閉して防振装置の防振性能を維持することが可能となる。
請求項7に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸部と、オリフィスを有したオリフィス形成材に形成された形の軸受け部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで案内されつつ開閉部材が往復動する結果、オリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項8に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と、オリフィスを有したオリフィス形成材に形成された形の軸部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで具体的に案内されつつ開閉部材が往復動する結果、請求項7と同様にオリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項9に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸部と、逆止弁を内蔵した仕切部材に形成された形の軸受け部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで案内されつつ開閉部材が往復動する結果、請求項7と同様にオリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項10に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と、逆止弁を内蔵した仕切部材に形成された形の軸部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで案内されつつ開閉部材が往復動する結果、請求項7と同様にオリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項11に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様に、一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、弾性体が弾性変形して振動が低減されて、他方の取付部材に連結された振動受け部側に振動が伝達され難くなる。さらに、主液室と副液室との間を連通するオリフィスの一部を含む空間内に、開閉部材が往復動可能に配置された構成をも同様に有している。
但し、本請求項では、主液室とこの開閉部材との間に配置される逆止弁が、開閉部材側から主液室へのみ液体を流動させ、またこの逆止弁から離れる方向に向かって、弾性部材がこの開閉部材を付勢した構成となっている。
そして、弾性材料により形成される弁体及び弁座により、この逆止弁が構成されており、弁体への開閉部材の接近時に、弁体と対向する開閉部材の部分に設けられた当接部で、弁体と当接するようになっている。
請求項1では、弾性部材が逆止弁側に向かって開閉部材を付勢する構成とされ、これに伴って、主液室内の液体の圧力変動が大きくなった時に、開閉部材が副液室側に移動してオリフィスを塞いでいた。しかし、この構成の場合、開閉部材によりオリフィスを塞いだ後も、オリフィスを塞ぎながら開閉部材に微振動が生じるので、開閉部材がオリフィスを形成する部材等と接触を繰り返して、接触音を発生させる虞を有していた。
これに対して本請求項では、上記のように開閉部材に当接部を設けると共に、逆止弁の一部を構成する弁体を開閉部材の接触音防止用の部材として活用する構成を採用した。つまり、逆止弁を請求項1と逆の向きに配置すると共に、弾性部材を逆止弁と開閉部材との間に配置することで、開閉部材側から主液室へのみ液体を逆止弁が流動させるようにし、また弾性部材がこの逆止弁から離れる方向に向かって、この開閉部材を付勢するようにしている。
以上より、防振装置に加わる振動入力の振幅が小さく圧力変動が小さい振動が加わった場合には、開閉部材は弾性部材により付勢されて副液室側寄りで静止して、接触音が発生しないようになる。この一方、防振装置に加わる振動入力の振幅が大きくなった場合には、逆止弁の作用で開閉部材側の液体が主液室に排出されて開閉部材が主液室側に移動し、この開閉部材がオリフィスの一部を遮断してこのオリフィス内で液体が流動しなくなる。その際、開閉部材の当接部を弾性材料で形成された弁体に接触させることで、開閉部材の当たり音を軽減することができる。
さらに、本請求項に係る防振装置も、請求項1と同様に、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本請求項によっても、防振装置の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となる。
請求項12に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項11と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、当接部が弁体に向かって突出した形状とされるという構成を有している。従って、このように突出した形状の当接部の存在により、一層確実に開閉部材が弁体に当接するようになる。
請求項19に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1から請求項18と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、オリフィスが2つ存在し、開閉部材により開閉される上記オリフィスがアイドルオリフィスとされ、他のオリフィスが、アイドルオリフィスよりも細く又は長い形成されたシェイクオリフィスとされるという構成を有している。
つまり、本請求項は、オリフィスが2つ存在するのに伴い、請求項1から請求項17に係る開閉部材により開閉されるオリフィスがアイドルオリフィスとされ、このアイドルオリフィスでは低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動を低減し得るように、他のオリフィスをアイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスとしている。
従って、アイドルオリフィスでは低減できないような振幅及び周波数の振動であっても、シェイクオリフィス内における液体の液柱共振や粘性抵抗等によって、振動が低減されるようになる。この結果、いずれの振幅及び周波数の振動が入力された状態であっても、これら2つのオリフィスを介して主液室と副液室との間で積極的に液体が流動して、幅広い振幅及び周波数の振動が低減されることになる。
尚、アイドルオリフィスが開放された状態では、主液室内からアイドルオリフィス及びシェイクオリフィスにそれぞれ液体が流入するが、アイドルオリフィスはシェイクオリフィスに比べて太く且つ短い為、液体の大部分はアイドルオリフィスを介して主液室と副液室との間を流動することになる。そして、開閉部材が振幅が大きく且つ低周波数の振動により所定の方向へ移動した場合、この開閉部材によりアイドルオリフィスとされるオリフィスの一部が遮断されて、シェイクオリフィス内で液体が積極的に流動することになる。
図2は、図1の2−2矢視線断面図である。
図3は、図1の要部拡大断面図である。
図4は、本発明に係る防振装置の第1の実施の形態の断面図であって、シェイクモード時を示す図である。
図5は、図4の5−5矢視線断面図である。
図6は、図4の要部拡大断面図である。
図7は、本発明に係る防振装置の第1の実施の形態に用いられる上側部材、下側部材及びオリフィス形成材等の分解斜視図である。
図8は、本発明に係る防振装置の第1の実施の形態に用いられる弁体の自由な状態における断面図である。
図9は、本発明に係る防振装置の第2の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図10は、本発明に係る防振装置の第3の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図11は、本発明に係る防振装置の第3の実施の形態の断面図であって、シェイクモード時を示す図である。
図12は、本発明に係る防振装置の第3の実施の形態に用いられる上側部材、下側部材、プランジャ及びオリフィス形成材等の分解斜視図である。
図13は、本発明に係る防振装置の第4の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図14は、図13の13−13矢視線断面図である。
図15は、図13の要部拡大断面図である。
図16は、本発明に係る防振装置の第4の実施の形態の断面図であって、シェイクモード時を示す図である。
図17は、図16の17−17矢視線断面図である。
図18は、図17の要部拡大断面図である。
図19は、本発明に係る防振装置の第4の実施の形態に用いられる上側部材、下側部材及びオリフィス形成材等の分解斜視図である。
図20は、本発明に係る防振装置の第4の実施の形態に用いられる弁体の自由な状態における断面図である。
図21は、本発明に係る防振装置の第5の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図22は、本発明に係る防振装置の第6の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図23は、本発明に係る防振装置の第7の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図24は、本発明に係る防振装置の第8の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図25は、本発明に係る防振装置の第9の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図26は、本発明に係る防振装置の第10の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
図27は、本発明に係る防振装置の第11の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
本実施の形態を表す図1及び図2に示すように、円筒状であって上端部に外周側に広がるフランジ部112Aを有した第1の取付部材である下部外筒金具112が、防振装置110の下部側を形成しており、この下部外筒金具112の図示しない車体への連結を介してこの防振装置110が車体に固着されるようになっている。そして、この下部外筒金具112の上部には、円筒状であって上側が若干小径とされる形に形成された上部外筒金具116が配置されている。
この上部外筒金具116の内周面には、円筒形状をしたゴム製の弾性体118の下部側を形成する薄肉ゴム層118Aが加硫接着されており、また、この弾性体118の上部側中央部は、第2の取付部材となる頂部金具120に加硫接着されている。そして、この頂部金具120の中央部には、エンジンの連結用として用いられる図示しないボルトがねじ止められる雌ねじ120Aが形成されている。
弾性体118の下部であって弾性体118と空間を挟んだ位置には、下部外筒金具112と上部外筒金具116との間のかしめ部分に外周部分が挟まれる形で、下部外筒金具112及び上部外筒金具116の内側に仕切部材128が配置されていて、これら弾性体118及び仕切部材128で区画された空間が主液室130を構成しており、例えば水、オイル、エチレングリコール等の液体が封入されている。従って、液体が封入された主液室130の隔壁がこれら弾性体118及び仕切部材128により構成されることになる。
尚、この仕切部材128は、それぞれ合成樹脂或いはアルミニウム等の金属などで円板状に形成された上側部材124及び下側部材126を相互に組み合わせて、構成されている。つまり、上側部材124が仕切部材128の上側部分を構成し、下側部材126が仕切部材128の下側部分を構成していることになる。これら上側部材124及び下側部材126の外周寄りの部分は、それぞれリング状に上側に突出しており、この上側に突出した外周寄りの部分の内側に対応する上側部材124と下側部材126との間の内周寄りの部分には、隙間が形成されている。
さらに、図7に示すように、この上側部材124の内周寄りの部分には、貫通穴124Aが上側部材124の中心廻りに円環状に複数設けられている。またこの下側部材126の内周寄りの部分には、貫通穴126Aが下側部材126の中心廻りに円環状に複数設けられており、この下側部材126のこれら複数の貫通穴126Aの中心には中央孔126Bが設けられている。
上側部材124と下側部材126との間の内周寄りの部分の隙間内には、ゴム材或いは合成樹脂材等の弾性材料により円板状に構成された弁体134Aが、配置されている。つまり、この弁体134の下面側中央部には、下側に突出する突部135が設けられており、この突部135が下側部材126の中央に設けられた中央孔126Bに嵌まり込んで弁体134が支持されている。尚、この弁体134は図8に示す自由な状態において、上側の中央部寄りの部分を若干凹ませた形状の円盤状に形成されている。
この弁体134の厚みは、上側部材124と下側部材126の間との隙間より若干小さくされているものの、防振装置110の組み立て時において、この弁体134に適当な予圧が加えられるので、図1及び図2においてこの弁体134の上面が、上側部材124の面に押しつけられて、ほぼ平面になるように弁体134は変形されている。
また、弁体134の外周端よりも上側部材124の複数の貫通穴124Aの外周部分は小さく形成されていて、弁体134Aの図1から図3に示す貫通穴124Aの閉鎖時には、この弁体134Aにより貫通穴124Aが下から完全に塞がれるようになっている。この一方、弁体134の外周端よりも下側部材126の複数の貫通穴126Aの外周部分は大きく形成されていて、これに伴って、図4から図6に示すように弁体134が変形した状態でも完全に塞がれることはない。
従って、図6に示すように、液圧Pが上側から加わった場合には、弁体134Aの外周寄り部分が下側に向かって弾性変形することで、貫通穴124Aが開放されて液体が矢印のように流れる。また、図3に示すように、液圧Pが下側から加わった場合には、弁体134Aの外周端が貫通穴124Aの周囲の壁面にこの液圧Pで強く当接することで、貫通穴124Aが確実に閉鎖されるようになる。つまり、この弁体134Aが当接する貫通穴124Aの周囲の壁面が弁座134Bとされている。以上より、これら弁体134A及び弁座134Bにより、主液室130側からのみ液体の流入を可能とし、且つ作動がより確実で構造が単純な逆止弁134が、構成される。
また、図1から図7に示すように、この下側部材126の下部には、底面を有する形の円筒状に形成されたオリフィス形成材122が配置されている。そして、下側部材126のリング状に上側に突出した部分に内壁面が嵌まり込むような大きさに、このオリフィス形成材122はなっていて、このオリフィス形成材122内の空間がシリンダ空間Sとされている。
他方、オリフィス形成材122内には、例えば金属材料等により上面が塞がれた形の円筒状に形成された開閉部材であるプランジャ136が、このオリフィス形成材122の内壁面と摺動可能に嵌合された状態で、配置されている。尚、このプランジャ136の中央部には小さな貫通孔136Aが形成されており、この貫通孔136Aにより液体の貫通を可能としている。
そして、このオリフィス形成材122の底面とこのプランジャ136の頂面との間には、プランジャ136を上方に付勢する為の金属製の弾性部材であるコイルスプリング138が配置されている。つまり、このプランジャ136が、コイルスプリング138に付勢されて上方に移動したり、コイルスプリング138の付勢力に抗して下方に移動したりすることになる。
ここで、このコイルスプリング138は、図1及び図2における上側が大径で下側が小径となったテーパを有する螺旋状に形成されている。この為、このコイルスプリング138が圧縮された場合でも、コイルスプリング138の線材同士が接触しなくなる。この結果として、小さい空間内にこのコイルスプリング138を内蔵可能としつつ、線材同士が接触してコイルスプリング138のばね定数が非線形的に高くなってしまう虞が無くなり、弾性係数が安定し、弾性部材として十分に機能するようになった。
また、弾性部材を金属製のスプリングの内でもコイルスプリング138としたことで、永続的に弾性係数を一定にして、防振装置110の耐久性が向上するだけでなく、液体の流路をコイルスプリング138の内周部分に配置でき、防振装置10の一層の小型化が図れることになる。
また、オリフィス形成材122の上部には、外周側にフランジ状に突出した挟持部122Aが形成されており、この挟持部122Aが、上部外筒金具116の下部と下部外筒金具112の上部との間のかしめ部分に仕切部材128の外周部分と共に挟まれた状態とされている。これにより、これら下部外筒金具112、上部外筒金具116、オリフィス形成材122及び仕切部材128が相互に一体的に固着されている。
さらに、下部外筒金具112の内外周面には薄くゴム材が加硫接着されており、弾性変形可能なゴム製の弾性膜であるダイヤフラム142の周縁部がこの下部外筒金具112に加硫接着されたゴム材の下部に繋がっている。これに伴って、この薄肉のダイヤフラム142が下部外筒金具112の下部に設置されることになり、このダイヤフラム142とオリフィス形成材122の下面との間の空間が副液室132とされている。尚、このダイヤフラム142の下部は大気に開放されていて、ダイヤフラム142の変形を容易にしている。
一方、下側部材126のリング状に上側に突出した部分とオリフィス形成材122の上面との間には、リング状の空間部分である上部通路が、設けられている。また、オリフィス形成材122の下部寄りの部分には、オリフィス形成材122の外周に沿って延びる溝部122Bが形成されており、下部外筒金具112の内周面に接着されたゴム材によりこの溝部122Bの解放部分が塞がれて、円弧状の下部通路となっている。
そして、オリフィス形成材122の上面には、図7に示す仕切壁123が設けられており、上部通路はこの仕切壁123により仕切られている。この仕切壁123により仕切られた上部通路の一端の図7における左隣の位置に対応する上側部材124及び下側部材126の部分には、主液室130と上記の上部通路との間を繋ぐ第1開口部140が図2及び図7に示すように形成されている。
この上部通路の一端に対応するオリフィス形成材122の部分には、溝部122Bとの間を繋ぐ第1連通穴122Cが図2及び図7に示すように設けられており、また、この溝部122Bの底面をオリフィス形成材122の内周側に向かって貫通するように、貫通部146がオリフィス形成材122に形成されている。
この結果、この下部通路及び貫通部146等を介して、上記の上部通路とオリフィス形成材122内の空間であるシリンダ空間Sとの間が繋がっていることになる。さらに、コイルスプリング138の底部外周部分に対応するオリフィス形成材122の箇所には、シリンダ空間Sと副液室132との間を繋ぐ第2開口部122Eが形成されている。
従って、第1開口部140を介して主液室130に繋がり、第2開口部122Eを介して副液室132に繋がると共に、オリフィス形成材122を貫通する第1連通穴122C、貫通部146及び溝部122Bにより連通された空間が、アイドルオリフィス152とされており、このアイドルオリフィス152がアイドル振動吸収用の制限通路となっている。
他方、図4及び図7に示すように、仕切壁123により仕切られた上部通路の他端に対応するオリフィス形成材122の部分には、副液室132との間を繋ぐ第2連通穴122Dが設けられている。従って、第1開口部140を介して主液室130に繋がり、上部通路をほぼ一周した後に第2連通穴122Dを介して副液室132に繋がる形に形成された通路がシェイクオリフィス154とされており、このシェイクオリフィス154がシェイク振動吸収用の制限通路となっている。
以上より、本実施の形態に係る防振装置110は、アイドルオリフィス152及びシェイクオリフィス154を介して、主液室130と副液室132とがそれぞれ連通されることになる。但し、アイドルオリフィス152は、シリンダ空間S内に摺動可能に嵌合されるプランジャ136が下降した場合に貫通部146が塞がれて、閉鎖されることになる。
従って、図1から図3に示すように、プランジャ136が上昇してアイドルオリフィス152が開放される位置と、図4から図6に示すように、プランジャ136が下降してアイドルオリフィス152が閉鎖される位置との間で、プランジャ136が移動してプランジャ136の位置が切り換えられることで、アイドルオリフィス152が開閉されることになる。
次に、本実施の形態に係る防振装置110の作用を説明する。
頂部金具120に搭載されるエンジンが作動すると、エンジンの振動が頂部金具120を介して弾性体118に伝達される。弾性体118は吸振主体として作用し、弾性体118の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、車体側に振動が伝達され難くなる。
さらに、この弾性体118の変形に伴って、隔壁の一部が弾性体118により形成される主液室130の内容積が変化し、この主液室130と副液室132との間を連通する2つのオリフィス152、154内の液体に圧力変化が生じる。この為、副液室132の隔壁の一部を変形可能に形成するダイヤフラム142が変形することで、副液室132が拡縮し、主液室130とこの副液室132との間のオリフィス152、154内の液体が流動する。
一方、これら2つのオリフィス152、154の内の少なくともアイドルオリフィス152が、主液室130と副液室132の間を仕切るように配置された仕切部材128及びオリフィス形成材122により、形成されているだけでなく、このアイドルオリフィス152の一部を含むシリンダ空間S内に、往復動可能にプランジャ136が配置されている。そして、主液室130とこのプランジャ136との間に配置される逆止弁134が、主液室130からプランジャ136側へのみ液体を流動させ、また、この逆止弁134側に向かってコイルスプリング138がこのプランジャ136を付勢している。
従って、防振装置110に振動が加わるのに伴って生じる弾性体118の変形により、液体が封入された主液室130が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室130の内容積の変化に伴って生じる液圧変動によりプランジャ136がシリンダ空間S内を上下方向に往復動して、貫通部146を開放及び閉鎖することで、アイドルオリフィス152を開閉動することになる。
この結果、エンジン側からの振動が伝達されると、弾性体118の弾性変形だけでなく、主液室130と副液室132との間を繋ぐオリフィス152、154内の液体の流動の粘性抵抗及び液柱共振等に基づく減衰作用によっても振動が減衰されて、車体側に振動が伝達され難くなる。さらに、常時開放されているシェイクオリフィス154の他に、プランジャ136の上下動により開閉されるアイドルオリフィス152を有する結果として、以下のように作用する。
以下に、本実施の形態に係る防振装置110の具体的な動作を説明する。
例えば、防振装置110にアイドル振動が加わった場合には、主液室130の液圧変動により生じる力よりも、プランジャ136を逆止弁134側に向かって付勢するコイルスプリング138の予圧縮荷重の方が大きい為、図1及び図2に示すように逆止弁134は閉じた状態となる。これに伴って、コイルスプリング138によりプランジャ136が押し上げられて、このプランジャ136がシリンダ空間S内の上方位置に静止した形となっている。
そして、プランジャ136がシリンダ空間S内の上方で静止し、貫通部146が開かれるのに伴って、貫通部146及び第2開口部122Eを通過した液体がこのシリンダ空間S内で流動可能とされて、アイドルオリフィス152を開放する開放状態となる。この為、アイドルオリフィス152を介して主液室130と副液室132とが連通され、液体がアイドルオリフィス152を行き来することができるようになる。そして、この結果、アイドルオリフィス152内で液体が液柱共振等して防振装置110の動ばね定数が低減され、アイドル振動が吸収される。
一方、防振装置110にシェイク振動が加わった場合には、主液室130の液圧変動により生じる力も大きくなってコイルスプリング138の予圧縮荷重より大きくなる為、弁体134Aの外周側が弾性変形するのに伴って、液体が主液室130から流入する。そして、この液体に押されてプランジャ136が、図4及び図5に示すようにコイルスプリング138の付勢力に抗しつつコイルスプリング138側である下方に移動され、オリフィス形成材122の底面に当接してプランジャ136は静止する。
従って、プランジャ136の外周部分によって貫通部146が塞がれて、アイドルオリフィス152の一部が確実に遮断されるアイドルオリフィス152の閉鎖状態となり、シェイクオリフィス154のみで主液室130と副液室132との間が連通される。この結果、シェイクオリフィス154内を液体が積極的に行き来して通過抵抗を受け、または液柱共振することによって、シェイク振動が吸収される。
この後、防振装置110に入力される振動の振幅が再び小さくなると、弁体134Aが閉じられると共に、プランジャ136を貫通する貫通孔136Aやオリフィス形成材122の内周面とプランジャ136との間の隙間を液体が流れて、プランジャ136は再び図1及び図2に示すようなシリンダ空間S内の上方の位置に戻ることになる。
一方、本実施の形態では、図8に示すように、主液室130と対向する面が凹状とされつつ弾性材料により弁体134が形成されており、主液室130と対向する弁体134の面を弁座134Bに押しつけるように、主液室130側に向かって予圧を加えた状態で弁体134が上側部材124と下側部材126との間に配置されている。
つまり、本実施の形態の逆止弁134は、単に弾性材料で形成された弁体134の弾性を利用しただけの簡易な構造とされている為、必要時に確実に逆止弁134が開閉可能となるだけでなく、逆止弁134の耐久性及び防振装置110の量産性が高くなる。これに伴って本実施の形態では、確実に弾性変形する弁体134が低コストで得られるように、弁体134を形成する弾性材料がゴム材或いは合成樹脂材とされている。
以上より、本実施の形態に係る防振装置110では、プランジャ136により開閉されるアイドルオリフィス152及び、このアイドルオリフィス152では低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動を低減し得るシェイクオリフィス154が設けられた構造とされていて、第1の実施の形態と同様に、防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となる。
次に、本発明に係る防振装置の第2の実施の形態を図9に示し、この図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図9に示すように、本実施の形態も第1の実施の形態とほぼ同様の構造となっているが、本実施の形態の主液室130の内壁を形成する薄肉ゴム層118Aの内周面には、金属製であってリング状に形成された支持リング162が嵌合されており、ゴム材により膜状に形成された膜部材164の外周部分がこの支持リング162に加硫接着された構造となっている。この為、本実施の形態では、この膜部材164が主液室130を上下に区画した形になっている。
つまり、この膜部材164が無ければ、弾性体118が経時劣化したときに、弾性体118のゴムかす等の異物Eが液体中に混入するので、逆止弁134及びプランジャ136等からなるアイドルオリフィス152の開閉機構にこの異物Eが入り込むことが考えられた。これに伴い、プランジャ136の上下動をこの異物Eが阻害して、走行条件によるアイドルオリフィス152の開閉動を困難にする虞があった。
これに対して、以上のような膜部材164の存在により、主液室130が上下に区画されるので、主液室130の下部側に位置するアイドルオリフィス152の開閉機構に、ゴムかす等の異物Eが混入するのを確実に防ぐことができ、アイドルオリフィス152を長期間確実に開閉可能となる。
次に、本発明に係る防振装置の第3の実施の形態を図10〜図12に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図10及び図11に示すように、本実施の形態に係る防振装置110も第1の実施の形態とほぼ同様の構造とされ、主液室130と副液室132との間を連通するアイドルオリフィス152の一部を含むシリンダ空間S内に、プランジャ136が往復動可能に配置された構造を有している。
但し、本実施の形態では、自由な状態において下側の中央部寄りの部分を若干凹ませた形状の円盤状に、弁体134が形成されている。この為、逆止弁134の向きが第2の実施の形態と逆に配置された構造になる。そして、第2の実施の形態と同様に、防振装置110の組み立て時において、この弁体134に適当な予圧が加えられるので、図10においてこの弁体134の下面が、下側部材126の面に押しつけられて、ほぼ平面になるように弁体134は変形されている。
さらに、本実施の形態では、弁体134の外周端よりも下側部材126の複数の貫通穴126Aの外周部分は小さく形成されていて、弁体134Aの図10に示す閉鎖時には、この弁体134Aにより貫通穴126Aが上から完全に塞がれるようになっている。この一方、弁体134の外周端よりも上側部材124の複数の貫通穴124Aの外周部分は大きく形成されており、これに伴って図11に示すように弁体134が変形した状態でも、貫通穴124Aが完全に塞がれることはない。以上より、プランジャ136側から主液室130へのみ液体を逆止弁134が流動させるような構造に、本実施の形態はなっている。
但し、この弁体134の下面側中央部には、下側に突出する突部135が第2の実施の形態よりも長めに形成されるように設けられており、この突部135が下側部材126の中央に設けられた中央孔126Bに嵌まり込むだけでなく、この中央孔126Bから先端部分が下方に突出した形となっている。
一方、本実施の形態では、図12に示すように、またプランジャ136が円筒状に形成されており、その内部には仕切部136Cが形成されて上部側と下部側の空間が区画されると共に、この仕切部136Cの中央部に上方へ突出する当接部136Bが形成されている。またプランジャ136には、仕切部136Cの僅かに下側にプランジャ136の内外を連通させるスリット状の連通口136Dが穿設されている。このプランジャ136の仕切部136Cと逆止弁134との間にはコイルスプリング138が配置されている。従って、コイルスプリング138がこの逆止弁134から離れる方向に向かって、このプランジャ136を付勢するように、本実施の形態ではなっている。
さらに、本実施の形態も、オリフィス形成材122に設けられた溝部122Bの底面をオリフィス形成材122の内周側に向かって貫通するように、オリフィス形成材122に貫通部146が形成されているが、この貫通部146は第1の実施の形態よりもオリフィス形成材122の上側寄りの位置に配置されている。
従って、本実施の形態では、主液室130とプランジャ136との間に配置される逆止弁134が、プランジャ136側から主液室130へのみ液体を流動させ、またこの逆止弁134から離れる方向に向かって、コイルスプリング138がこのプランジャ136を付勢した構造となっている。そして、弾性材料により形成される弁体134A及び弁座134Bにより、この逆止弁134が構成されており、弁体134Aへのプランジャ136の接近時に、弁体134Aと対向するプランジャ136の部分に設けられた当接部136Bにより、弁体134Aの突部135と当接するようになっている。
以上より、本実施の形態では、防振装置110に加わる振動入力の振幅が小さく圧力変動が小さいアイドル振動が加わった場合、図10に示すように、プランジャ136はコイルスプリング138により付勢されて副液室132側寄りで静止して、接触音が発生しないようになる。そしてこれに伴って、貫通部146とプランジャ136の連通口136Dが一致することにより、貫通部146が開かれてアイドルオリフィス152が開放されるようになる。
この一方、防振装置110に加わる振動入力の振幅が大きくなった場合、図11に示すように、逆止弁134の作用でプランジャ136側の液体が主液室130に排出されてプランジャ136が主液室130側に移動し、貫通部146をプランジャ136が塞ぐことにより、アイドルオリフィス152が閉鎖されてシェイクモードに移行する。その際、プランジャ136の当接部136Bが、弾性材料により形成された弁体134Aの突部135に接触することで、プランジャ136の当たり音を軽減することができる。
そして、本実施の形態のように、当接部136Bが弁体134Aに向かって突出した形状とされることで、一層確実にプランジャ136が弁体134Aに当接するようになる。尚、本実施の形態では、プランジャ136の中央部に当接部136Bが設けられた関係から、貫通孔136Aは第2開口部122Eと対向する部分に配置されている。
以上の結果として、本実施の形態に係る防振装置110も、第1の実施の形態と同様に、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置110と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本実施の形態によっても、防振装置110の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となり、これに伴ってプランジャ136の接触音の防止が図られるようになる。
尚、上記実施の形態において、振動発生部であるエンジン側に頂板金具20或いは頂部金具120が連結され、振動受け部である車体側に底板金具12或いは下部外筒金具112が連結される構成とされたが、この逆の構成としてもよい。
また、上記第1実施の形態から第3の実施の形態では、逆止弁を構成する弁体が、自由な状態において片面の中央部寄りの部分を若干凹ませた形状に形成されているが、この替わりにこの弁体を平らな形状とすると共に、弁体が当接する側の金具である例えば上側部材の形状を主液室側に凸状となるように形成し、防振装置の組み立て時に、弁体に適当な予圧を加えるようにしても良い。
また、上記実施の形態において、自動車のエンジン等の防振を目的としたが、本発明の防振装置は他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、形状等も実施の形態の構造のものに限定されるものではなく、他の構造の防振装置にも適用可能である。
次に、本発明に係る防振装置の第4の実施の形態を図13から図20に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態を表す図13及び図14に示すように、円筒状であって上端部に外周側に広がるフランジ部212Aを有した第1の取付部材である下部外筒金具212が、防振装置210の下部側を形成しており、この下部外筒金具212の図示しない車体への連結を介してこの防振装置210が車体に固着されるようになっている。そして、この下部外筒金具212の上部には、円筒状であって上側が若干小径とされる形に形成された上部外筒金具216が配置されている。
この上部外筒金具216の内周面には、円筒形状をしたゴム製の弾性体218の下部側を形成する薄肉ゴム層218Aが加硫接着されており、また、この弾性体218の上部側中央部は、第2の取付部材となる頂部金具220に加硫接着されている。そして、この頂部金具220の中央部には、エンジンの連結用として用いられる図示しないボルトがねじ止められる雌ねじ220Aが形成されている。
弾性体218の下部であって弾性体218と空間を挟んだ位置には、下部外筒金具212と上部外筒金具216との間のかしめ部分に外周部分が挟まれる形で、下部外筒金具212及び上部外筒金具216の内側に仕切部材228が配置されていて、これら弾性体218及び仕切部材228で区画された空間が主液室230を構成しており、例えば水、オイル、エチレングリコール等の液体が封入されている。従って、液体が封入された主液室230の隔壁がこれら弾性体218及び仕切部材228により構成されることになる。
尚、この仕切部材228は、それぞれ合成樹脂或いはアルミニウム等の金属などで円板状に形成された上側部材224及び下側部材226を相互に組み合わせて、構成されている。つまり、上側部材224が仕切部材228の上側部分を構成し、下側部材226が仕切部材228の下側部分を構成していることになる。これら上側部材224及び下側部材226の外周寄りの部分は、それぞれリング状に上側に突出しており、この上側に突出した外周寄りの部分の内側に対応する上側部材224と下側部材226との間の内周寄りの部分には、隙間が形成されている。
さらに、図19に示すように、この上側部材224の内周寄りの部分には、貫通穴224Aが上側部材224の中心廻りに円環状に複数設けられている。またこの下側部材226の内周寄りの部分には、貫通穴226Aが下側部材226の中心廻りに円環状に複数設けられており、この下側部材226のこれら複数の貫通穴226Aの中心には中央孔226Bが設けられている。
上側部材224と下側部材226との間の内周寄りの部分の隙間内には、ゴム材或いは合成樹脂材等の弾性材料により円板状に構成された弁体234Aが、配置されている。つまり、この弁体234Aの下面側中央部には、下側に突出する突部235が設けられており、この突部235が下側部材226の中央に設けられた中央孔226Bに嵌まり込んで弁体234Aが支持されている。尚、この弁体234Aは図20に示す自由な状態において、上側の中央部寄りの部分を若干凹ませた形状の円盤状に形成されている。
この弁体234Aの厚みは、上側部材224と下側部材226の間との隙間より若干小さくされているものの、防振装置210の組み立て時において、この弁体234Aに適当な予圧が加えられるので、図13及び図14においてこの弁体234Aの上面が、上側部材224の面に押しつけられて、ほぼ平面になるように弁体234Aは変形されている。
また、弁体234Aの外周端よりも上側部材224の複数の貫通穴224Aの外周部分は小さく形成されていて、弁体234Aの図13から図15に示す貫通穴224Aの閉鎖時には、この弁体234Aにより貫通穴224Aが下から完全に塞がれるようになっている。この一方、弁体234Aの外周端よりも下側部材226の複数の貫通穴226Aの外周部分は大きく形成されていて、これに伴って、図16から図18に示すように弁体234Aが変形した状態でも完全に塞がれることはない。
従って、図18に示すように、液圧Pが上側から加わった場合には、弁体234Aの外周寄り部分が下側に向かって弾性変形することで、貫通穴224Aが開放されて液体が矢印のように流れる。また、図15に示すように、液圧Pが下側から加わった場合には、弁体134Aの外周端が貫通穴224Aの周囲の壁面にこの液圧Pで強く当接することで、貫通穴224Aが確実に閉鎖されるようになる。つまり、この弁体234Aが当接する貫通穴224Aの周囲の壁面が弁座234Bとされている。以上より、これら弁体234A及び弁座234Bにより、主液室230側からのみ液体の流入を可能とし、且つ作動がより確実で構造が単純な逆止弁234が、構成される。
また、図13から図19に示すように、この下側部材226の下部には、底面を有する形の円筒状に形成されたオリフィス形成材222が配置されている。そして、下側部材226のリング状に上側に突出した部分に内壁面が嵌まり込むような大きさに、このオリフィス形成材222はなっていて、このオリフィス形成材222内の空間がシリンダ空間Sとされている。
他方、オリフィス形成材222内には、例えば金属材料等により上面が塞がれた形の円筒状に形成された開閉部材であるプランジャ236が、このオリフィス形成材222の内壁面と摺動可能に嵌合された状態で、配置されている。このプランジャ236の中央部分には、下方に伸びる軸部262が形成されており、また、このプランジャ236の軸部262内には小さな貫通孔236Aが形成されていて、この貫通孔236Aにより液体の貫通を可能としている。
さらに、このプランジャ236の軸部262に対向するオリフィス形成材222の底面には、凸部が形成されており、軸部262に合わせてこの凸部には、この軸部262に摺動可能に嵌合する貫通穴264(図15及び図18に示す)が形成されていることから、この凸部が軸受け部266とされる。
つまり、本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に形成された軸部262とオリフィス形成材222に形成された軸受け部266とで、このプランジャ236の往復動を案内する為にプランジャ236の中央部分に対応して配置されることになる案内部材が、構成されている。尚この際、プランジャ236の軸部262とオリフィス形成材222の軸受け部266との間の摺動をより安定させる為には、軸部262と軸受け部266とをそれぞれヤング率が異なる材質を素材として形成することが好ましく、具体的には、例えば、本実施形態のように、軸部262を鉄などのヤング率が高い材質とした上、軸受け部266を軸部262よりもヤング率が低い例えば合成樹脂等の材質を使用することが考えられる。
そして、このオリフィス形成材222の底面とこのプランジャ236の頂面との間には、プランジャ236を上方に付勢する為の金属製の弾性部材であるコイルスプリング238が配置されている。つまり、このプランジャ236が、コイルスプリング238に付勢されて上方に移動したり、コイルスプリング238の付勢力に抗して下方に移動したりすることになる。
但し、このコイルスプリング238は、図13及び図14における上側が大径で下側が小径となった螺旋状に形成されている。この為、このコイルスプリング238が圧縮された場合でも、コイルスプリング238の線材同士が接触しなくなる。この結果として、小さい空間内にこのコイルスプリング238を内蔵可能としつつ、線材同士が接触してコイルスプリング238のばね定数が非線形的に高くなってしまう虞が無くなる。
また、オリフィス形成材222の上部には、外周側にフランジ状に突出した挟持部122Aが形成されており、この挟持部222Aが、上部外筒金具216の下部と下部外筒金具212の上部との間のかしめ部分に仕切部材228の外周部分と共に挟まれた状態とされている。これにより、これら下部外筒金具212、上部外筒金具216、オリフィス形成材222及び仕切部材228が相互に一体的に固着されている。
さらに、下部外筒金具212の内外周面には薄くゴム材が加硫接着されており、弾性変形可能なゴム製の弾性膜であるダイヤフラム242の周縁部がこの下部外筒金具212に加硫接着されたゴム材の下部に繋がっている。これに伴って、この薄肉のダイヤフラム242が下部外筒金具212の下部に設置されることになり、このダイヤフラム242とオリフィス形成材222の下面との間の空間が副液室232とされている。尚、このダイヤフラム242の下部は大気に開放されていた、ダイヤフラム242の変形を容易にしている。
一方、下側部材226のリング状に上側に突出した部分とオリフィス形成材222の上面との間には、リング状の空間部分である上部通路が、設けられている。また、オリフィス形成材222の下部寄りの部分には、オリフィス形成材222の外周に沿って延びる溝部222Bが形成されており、下部外筒金具212の内周面に接着されたゴム材によりこの溝部222Bの解放部分が塞がれて、円弧状の下部通路となっている。
そして、オリフィス形成材222の上面には、図19に示す仕切壁223が設けられており、上部通路はこの仕切壁223により仕切られている。この仕切壁223により仕切られた上部通路の一端の図19における左隣の位置に対応する上側部材224及び下側部材226の部分には、主液室230と上記の上部通路との間を繋ぐ第1開口部240が図14及び図19に示すように形成されている。
この上部通路の一端に対応するオリフィス形成材222の部分には、溝部222Bとの間を繋ぐ第1連通穴222Cが図14及び図19に示すように設けられており、また、この溝部222Bの底面をオリフィス形成材222の内周側に向かって貫通するように、貫通部246がオリフィス形成材222に形成されている。
この結果、この下部通路及び貫通部246等を介して、上記の上部通路とオリフィス形成材222内の空間であるシリンダ空間Sとの間が繋がっていることになる。さらに、コイルスプリング238の底部外周部分に対応するオリフィス形成材222の箇所には、シリンダ空間Sと副液室232との間を繋ぐ第2開口部222Eが形成されている。
従って、第1開口部240を介して主液室230に繋がり、第2開口部222Eを介して副液室232に繋がると共に、オリフィス形成材222を貫通する第1連通穴222C、貫通部246及び溝部222Bにより連通された空間が、アイドルオリフィス252とされており、このアイドルオリフィス252がアイドル振動吸収用の制限通路となっている。
他方、図16及び図19に示すように、仕切壁223により仕切られた上部通路の他端に対応するオリフィス形成材222の部分には、副液室232との間を繋ぐ第2連通穴222Dが設けられている。従って、第1開口部240を介して主液室230に繋がり、上部通路をほぼ一周した後に第2連通穴222Dを介して副液室232に繋がる形に形成された通路がシェイクオリフィス254とされており、このシェイクオリフィス254がシェイク振動吸収用の制限通路となっている。
以上より、本実施の形態に係る防振装置210は、アイドルオリフィス252及びシェイクオリフィス254を介して、主液室230と副液室232とがそれぞれ連通されることになる。但し、アイドルオリフィス252は、シリンダ空間S内に摺動可能に嵌合されるプランジャ236が下降した場合に貫通部246が塞がれて、閉鎖されることになる。
従って、図13から図15に示すように、プランジャ236が上昇してアイドルオリフィス252が開放される位置と、図16から図18に示すように、プランジャ236が下降してアイドルオリフィス252が閉鎖される位置との間で、プランジャ236が移動してプランジャ236の位置が切り換えられることで、アイドルオリフィス252が開閉されることになる。
次に、本実施の形態に係る防振装置210の作用を説明する。
頂部金具220に搭載されるエンジンが作動すると、エンジンの振動が頂部金具220を介して弾性体218に伝達される。弾性体218は吸振主体として作用し、弾性体218の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、車体側に振動が伝達され難くなる。
さらに、この弾性体218の変形に伴って、隔壁の一部が弾性体218により形成される主液室230の内容積が変化し、この主液室230と副液室232との間を連通する2つのオリフィス252、254内の液体に圧力変化が生じる。この為、副液室232の隔壁の一部を変形可能に形成するダイヤフラム242が変形することで、副液室232が拡縮し、主液室230とこの副液室232との間のオリフィス252、254内の液体が流動する。
一方、これら2つのオリフィス252、254の内の少なくともアイドルオリフィス252が、主液室230と副液室232の間を仕切るように配置された仕切部材228及びオリフィス形成材222により、形成されているだけでなく、このアイドルオリフィス252の一部を含むシリンダ空間S内に、往復動可能にプランジャ236が配置されている。そして、主液室230とこのプランジャ236との間に配置される逆止弁234が、主液室230からプランジャ236側へのみ液体を流動させ、また、この逆止弁234側に向かってコイルスプリング238がこのプランジャ236を付勢している。
従って、防振装置210に振動が加わるのに伴って生じる弾性体218の変形により、液体が封入された主液室230が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室230の内容積の変化に伴って生じる液圧変動によりプランジャ236がシリンダ空間S内を上下方向に往復動して、貫通部246を開放及び閉鎖することで、アイドルオリフィス252を開閉動することになる。
この際、本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に形成された軸部262とオリフィス形成材222に形成された軸受け部266とで、プランジャ236の中央部分に対応して配置される案内部材が構成されていることから、プランジャ236の往復動をこれら軸部262及び軸受け部266が、案内することになる。
この結果、エンジン側からの振動が伝達されると、弾性体218の弾性変形だけでなく、主液室230と副液室232との間を繋ぐオリフィス252、254内の液体の流動の粘性抵抗及び液柱共振等に基づく減衰作用によっても振動が減衰されて、車体側に振動が伝達され難くなる。さらに、常時開放されているシェイクオリフィス254の他に、プランジャ236の上下動により開閉されるアイドルオリフィス252を有する結果として、以下のように作用する。
以下に、本実施の形態に係る防振装置210の具体的な動作を説明する。
例えば、防振装置210にアイドル振動が加わった場合には、主液室230の液圧変動により生じる力よりも、プランジャ236を逆止弁234側に向かって付勢するコイルスプリング238の予圧縮荷重の方が大きい為、図13及び図14に示すように逆止弁234は閉じた状態となる。これに伴って、コイルスプリング238によりプランジャ236が押し上げられて、このプランジャ236がシリンダ空間S内の上方位置に静止した形となっている。
そして、プランジャ236がシリンダ空間S内の上方で静止し、貫通部246が開かれるのに伴って、貫通部246及び第2開口部222Eを通過した液体がこのシリンダ空間S内で流動可能とされて、アイドルオリフィス252を開放する開放状態となる。この為、アイドルオリフィス252を介して主液室230と副液室232とが連通され、液体がアイドルオリフィス252を行き来することができるようになる。そして、この結果、アイドルオリフィス252内で液体が液柱共振等して防振装置210の動ばね定数が低減され、アイドル振動が吸収される。
一方、防振装置210にシェイク振動が加わった場合には、主液室230の液圧変動により生じる力も大きくなってコイルスプリング238の予圧縮荷重より大きくなる為、弁体234Aの外周側が弾性変形するのに伴って、液体が主液室230から流入する。そして、この液体に押されてプランジャ236が、図16及び図17に示すようにコイルスプリング238の付勢力に抗しつつコイルスプリング238側である下方に移動され、オリフィス形成材222の底面に当接してプランジャ236は静止する。
従って、プランジャ236の外周部分によって貫通部246が塞がれて、アイドルオリフィス252の一部が確実に遮断されるアイドルオリフィス252の閉鎖状態となり、シェイクオリフィス254のみで主液室230と副液室232との間が連通される。この結果、シェイクオリフィス254内を液体が積極的に行き来して通過抵抗を受け、または液柱共振することによって、シェイク振動が吸収される。
この後、防振装置210に入力される振動の振幅が再び小さくなると、弁体234Aが閉じられると共に、プランジャ236を貫通する貫通孔236Aやオリフィス形成材222の内周面とプランジャ236との間の隙間を液体が流れて、プランジャ236は再び図13及び図14に示すようなシリンダ空間S内の上方の位置に戻ることになる。
さらに、本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に対応して配置された案内部材である軸部262及び軸受け部266が、プランジャ236の上記のような往復動を案内するので、プランジャ236が斜めに傾くことがなくなる。そしてこれに伴い、完全に往復動しない状態でプランジャ236が止まってしまうことが無くなる結果、プランジャ236が確実に往復動して、アイドルオリフィス252が安定的に開閉されるようになる。
一方、本実施の形態では、図20に示すように、主液室230と対向する面が凹状とされつつ弾性材料により弁体234Aが形成されており、主液室230と対向する弁体234Aの面を弁座234Bに押しつけるように、主液室230側に向かって予圧を加えた状態で弁体234Aが上側部材224と下側部材226との間に配置されている。
つまり、本実施の形態の逆止弁234は、単に弾性材料で形成された弁体234Aの弾性を利用しただけの簡易な構造とされている為、必要時に確実に逆止弁234が開閉可能となるだけでなく、逆止弁234の耐久性及び防振装置210の量産性が高くなる。これに伴って本実施の形態では、確実に弾性変形する弁体234Aが低コストで得られるように、弁体234Aを形成する弾性材料がゴム材或いは合成樹脂材とされている。
以上より、本実施の形態に係る防振装置210は、プランジャ236により開閉されるアイドルオリフィス252及び、このアイドルオリフィス252では低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動を低減し得るシェイクオリフィス254が設けられた構造とされている。
この為、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、2つのオリフィス252、254が切り換えられて、幅広い振幅や周波数の範囲にわたって防振性能を維持しつつ防振装置210の製造コストを低減することが可能となる。さらに、本実施の形態では、軸部262及び軸受け部266の存在により、アイドルオリフィス252を安定的に開閉することも可能となる。
次に、本発明に係る防振装置の第5の実施の形態を図21に示し、この図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第4の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図21に示すように、本実施の形態も第4の実施の形態とほぼ同様な構造となっているが、本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に軸受け部272が形成されており、また、オリフィス形成材222に軸部274が形成された構造になっている。そして、これらプランジャ236の軸受け部272とオリフィス形成材222の軸部274とで案内部材が構成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に形成された軸受け部272と、オリフィス形成材222に形成された軸部274とで、案内部材が構成されているので、これら軸部274と軸受け部272とで具体的に案内されつつプランジャ236が往復動する結果、本実施の形態でも、第4の実施の形態と同様にアイドルオリフィス252の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
次に、本発明に係る防振装置の第6の実施の形態を図22に示し、この図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第4の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図22に示すように、本実施の形態も第4の実施の形態とほぼ同様な構造となっていて、本実施の形態でも、主液室230と副液室232との間に設けらてこれら主液室230と副液室232との間を仕切る仕切部材228に逆止弁234が内蔵されているが、本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に軸部276が形成されており、また、仕切部材228の下側部材226に軸受け部278が形成された構造になっている。そして、これら仕切部材228の軸受け部278とプランジャ236の軸部276とで案内部材が構成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に形成された軸部276と、逆止弁234を内蔵した仕切部材228に形成された形の軸受け部278とで、案内部材が構成されているので、これら軸部276と軸受け部278とで具体的に案内されつつプランジャ236が往復動する結果、本実施の形態でも、第4の実施の形態と同様にアイドルオリフィス252の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。尚、本実施の形態では、第4の実施の形態のような貫通孔236Aが軸部276に無い替わりに、貫通孔236Aと同様の機能を有する孔部280がプランジャ236に形成されている。
次に、本発明に係る防振装置の第7の実施の形態を図23に示し、この図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第4の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図23に示すように、本実施の形態も第7の実施の形態とほぼ同様な構造となっているが、本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に軸受け部282が形成されており、また、仕切部材228の下側部材226に軸部284が形成された構造になっている。そして、これらプランジャ236の軸受け部282と仕切部材228の軸部284とで案内部材が構成されている。また、プランジャ236には第6の実施の形態と同様に、孔部280が形成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ236の中央部分に形成された軸受け部282と、逆止弁234を内蔵した仕切部材228に形成された形の軸部284とで、案内部材が構成されているので、これら軸部284と軸受け部282とで具体的に案内されつつプランジャ236が往復動する結果、本実施の形態でも、第4の実施の形態と同様にアイドルオリフィス252の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
尚、上記実施の形態において、振動発生部であるエンジン側に頂部金具220が連結され、振動受け部である車体側に下部外筒金具212が連結される構成とされたが、この逆の構成としてもよい。さらに、上記実施の形態における軸受け部の形状は、穴や筒型のどちらでも良く、また、軸部及び軸受け部を製造する際には、切削や溶接でこれらの部分を製造しても良い。
他方、上記実施の形態において、自動車のエンジン等の防振を目的としたが、本発明の防振装置は他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、形状等も実施の形態の構造のものに限定されるものではなく、他の構造の防振装置にも適用可能である。
次に、本発明に係る防振装置の第8〜第11の実施の形態について図24〜図27に基づいて説明する。尚、これら第8〜第11の実施の形態は、本発明に係る防振装置の第3の実施の形態(図10〜図12参照)を基礎とし、この防振装置110の第3の実施の形態に、第4〜第7の実施の形態で説明した案内部材をそれぞれ適用したものである。このことから、第8〜第11の実施の形態では、第3〜第7の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図24に示すように、本発明に係る防振装置の第8の実施の形態では、プランジャ136の中央部分には、下方に伸びる軸部262が形成されている。一方、このプランジャ136の軸部262に対向するオリフィス形成材122の底面には、凸部が形成されており、軸部262に合わせてこの凸部には、この軸部262に摺動可能に嵌合する貫通穴264が形成されていることから、この凸部が軸受け部266とされる。つまり、本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に形成された軸部262とオリフィス形成材122に形成された軸受け部266とで、このプランジャ236の往復動を案内する為にプランジャ236の中央部分に対応して配置されることになる案内部材が、構成されている。
上記のように構成された本実施の形態に係る防振装置110では、基本的に第3の実施の形態に係る防振装置110と共通の作用及び効果を奏する。これに加え、本実施の形態に係る防振装置110では、プランジャ136の中央部分に形成された軸部262とオリフィス形成材222に形成された軸受け部266とで、プランジャ136の中央部分に対応して配置される案内部材が構成されていることから、プランジャ236の往復動をこれら軸部262及び軸受け部266が、案内することになる。
この結果、本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に対応して配置された案内部材である軸部262及び軸受け部266が、プランジャ136の上記のような往復動を案内するので、プランジャ136が斜めに傾くことがなくなる。そしてこれに伴い、完全に往復動しない状態でプランジャ136が止まってしまうことが無くなる結果、プランジャ136が確実に往復動して、アイドルオリフィス152が安定的に開閉されるようになる。
図25に示すように、本発明に係る防振装置の第9の実施の形態も第8の実施の形態とほぼ同様な構造となっているが、本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に軸受け部272が形成されており、また、オリフィス形成材122に軸部274が形成された構造になっている。そして、これらプランジャ136の軸受け部272とオリフィス形成材122の軸部274とで案内部材が構成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に形成された軸受け部272と、オリフィス形成材122に形成された軸部274とで、案内部材が構成されているので、これら軸部274と軸受け部272とで具体的に案内されつつプランジャ236が往復動する結果、本実施の形態でも、第8の実施の形態と同様にアイドルオリフィス152の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
図25に示すように、本発明に係る防振装置の第9の実施の形態も第8の実施の形態とほぼ同様な構造となっていて、本実施の形態でも、主液室130と副液室132との間に設けらてこれら主液室130と副液室132との間を仕切る仕切部材128に逆止弁134が内蔵されているが、本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に軸部276が形成されており、また、仕切部材128の下側部材126に軸受け部278が形成された構造になっている。そして、これら仕切部材128の軸受け部278とプランジャ136の軸部276とで案内部材が構成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に形成された軸部276と、逆止弁134を内蔵した仕切部材128に形成された形の軸受け部278とで、案内部材が構成されているので、これら軸部276と軸受け部278とで具体的に案内されつつプランジャ136が往復動する結果、本実施の形態でも、第8の実施の形態と同様にアイドルオリフィス152の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
図26に示すように、本発明に係る防振装置の第10の実施の形態も第8の実施の形態とほぼ同様な構造となっているが、本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に当接部136Bが形成されると共に、この当接部136Bの中心部に軸方向へ貫通する孔部を形成することで軸受け部282が形成されている。また、仕切部材128の下側部材126に軸部284が形成された構造になっている。そして、これらプランジャ136の軸受け部282と仕切部材128の軸部284とで案内部材が構成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に形成された軸受け部282と、逆止弁134を内蔵した仕切部材128に形成された形の軸部284とで、案内部材が構成されているので、これら軸部284と軸受け部282とで具体的に案内されつつプランジャ136が往復動する結果、本実施の形態でも、第8の実施の形態と同様にアイドルオリフィス152の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
図27に示すように、本発明に係る防振装置の第11の実施の形態も第8の実施の形態とほぼ同様な構造となっているが、本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に形成された当接部136Bが軸部290としての機能も有している。また仕切部材128の下側部材126には筒状の軸受け部292が形成されている。そして、これらプランジャ136の軸部290と仕切部材128の軸受部292とで案内部材が構成されている。
従って本実施の形態では、プランジャ136の中央部分に形成された軸部290と、逆止弁134を内蔵した仕切部材128に形成された形の軸受け部292とで、案内部材が構成されているので、これら軸部290と軸受け部292とで具体的に案内されつつプランジャ136が往復動する結果、本実施の形態でも、第8の実施の形態と同様にアイドルオリフィス152の安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
尚、上記実施の形態において、振動発生部であるエンジン側に頂部金具120が連結され、振動受け部である車体側に下部外筒金具112が連結される構成とされたが、この逆の構成としてもよい。また上記第8〜第11の実施の形態において、自動車のエンジン等の防振を目的としたが、本発明の防振装置は他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、形状等も実施の形態の構造のものに限定されるものではなく、他の構造の防振装置にも適用可能である。
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を構成する空間を含むシリンダ空間内に配置され、シリンダ空間内におけるオリフィスを開放する開放位置とオリフィスを閉鎖する閉鎖位置との間で往復動可能とされた開閉部材と、
主液室とシリンダ室との間に配置され且つ、主液室からシリンダ空間側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を開放位置側に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
逆止弁が弁体及び弁座により構成され、主液室と対向する面が凹状とされつつ弾性材料によりこの弁体が形成され、主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけ、弁座に対して予圧を加えた状態で弁体を配置し、
逆止弁は、弁体の弁座に対する予圧に応じて設定される振幅よりも大振幅の振動入力時にのみ、主液室からシリンダ空間側へ液体を流動させて、シリンダ空間内の液圧により開閉部材を弾性部材の付勢力に抗して開放位置から閉鎖位置へ移動させること特徴とする。
請求項2による防振装置は請求項1記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項3による防振装置は請求項1又は2記載の防振装置において、弾性部材がテーパを有した螺旋状に形成されたコイルスプリングとされることを特徴とする。
請求項4による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
これら取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を構成する空間を含むシリンダ空間内に配置され、シリンダ空間内におけるオリフィスを開放する開放位置とオリフィスを閉鎖する閉鎖位置との間で往復動可能とされた開閉部材と、
主液室とシリンダ室との間に配置され、所定の保持力により閉鎖状態に保持されると共に、閉鎖状態から開放状態になると主液室からシリンダ空間側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を開放位置側に向かって付勢する弾性部材と、
開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内部材と、
を有した防振装置であって、
逆止弁は、その保持力に応じて設定される振幅よりも大振幅の振動入力時にのみ開放状態となって主液室からシリンダ空間側へ液体を流動させ、シリンダ空間内の液圧により開閉部材を弾性部材の付勢力に抗して開放位置から閉鎖位置へ移動させること特徴とする。
請求項5による防振装置は請求項4記載の防振装置において、逆止弁が弁体及び弁座により構成され、弾性材料によりこの弁体が形成され、主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置したことを特徴とする。
請求項6による防振装置は請求項5記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項7による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項8による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項9による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項10による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項11による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、開閉部材側から主液室へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁から離れる方向に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
前記逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
この逆止弁を構成する弁体が弾性材料により形成され、
弁体と対向する開閉部材の部分に、弁体への接近時に弁体と当接し得る当接部を設けたことを特徴とする。
請求項12による防振装置は請求項11記載の防振装置において、当接部が弁体に向かって突出した形状とされることを特徴とする。
請求項13による防振装置は請求項11又は12記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項14による防振装置は請求項11又は12記載の防振装置において、開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内
部材を有したことを特徴とする。
請求項15による防振装置は請求項14記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項16による防振装置は請求項14記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項17による防振装置は請求項14記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項18による防振装置は請求項14記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項19による防振装置は請求項1ないし17の何れか1項記載の防振装置において、シリンダ空間により一部が構成され、開閉部材により開閉とされた上記オリフィスをアイドルオリフィスとして構成すると共に、このアイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスを有することを特徴とする。
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、この取付部材が変位するのに伴って、一対の取付部材間に配置される弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収
し、振動が低減される。つまり、弾性体の変形によって振動が吸収されることで、他方の取付部材に連結された振動受け部側に振動が伝達され難くなる。
一方、本請求項では、隔壁の一部が弾性体により形成されて液体が封入された主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成されて同じく液体が封入される副液室との間が、オリフィスにより連通されている。さらに、このオリフィスの一部を構成する空間を含むシリンダ空間内に配置された開閉部材が、シリンダ空間内におけるオリフィスを開放する開放位置とオリフィスを閉鎖する閉鎖位置との間で往復動可能とされており、主液室とシリンダ室との間に配置された逆止弁が、主液室からシリンダ空間側へのみ液体を流動させ、また弾性部材が開閉部材を開放位置側へ付勢している。
従って、防振装置に振動が加わるのに伴って生じる弾性体の変形によって、液体が封入された主液室が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室の内容積の変化に伴って生じる液圧変動により開閉部材が往復動して、オリフィスを開閉動することになる。
つまり、逆止弁における弁体の弁座に対する予圧に応じて設定される振幅よりも振幅の小さい振動が防振装置に加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力よりも、開閉部材を開放位置側に向かって付勢する弾性部材の予圧(予圧縮荷重)の方が大きい為、逆止弁は閉じた状態となって開閉部材は静止している。これに伴って、オリフィスが開放された状態となり、主液室内からオリフィス内に液体が流入することで、圧力変化及び粘性抵抗等が生じつつこのオリフィス内を液体が流通し、主液室と副液室との間で液体が流動する。従って、液体の液柱共振や粘性抵抗等によっても振動が低減されて、振動受け部側に振動がより一層伝達され難くなる。
一方、逆止弁における弁体の弁座に対する予圧に応じて設定される振幅よりも振幅が大きい振動が防振装置に加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力も大きくなって弾性部材の予圧縮荷重より大きくなる為、この液圧により逆止弁が開放されると共に、逆止弁を通って主液室からシリンダ空間内に流入した液体に押されて開閉部材が、弾性部材の付勢力に抗しつつ閉鎖位置から開放位置側に移動し、主液室の液圧変動の最大値と弾性部材の付勢力とが釣り合う開放位置で、静止する。そして、このように開閉部材が開放位置に移動することで、この開閉部材によりオリフィスの一部が遮断されてこのオリフィス内で液体が流動しないようになる。
以上より、本請求項に係る防振装置は、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い
本請求項では、弾性部材であるコイルスプリングをテーパを有した螺旋状に形成することで、付勢力が加わって圧縮された時でも、コイルスプリングの線材同士が接触しないので、弾性係数が非線形に変化して急激に高くならないようになる。この為、防振装置内の小さい空間にコイルスプリングを配置した場合でも、弾性係数が安定し、弾性部材として十分に機能するようになった。
つまり、本請求項によれば、防振装置の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となるだけでなく、コイルスプリングの弾性係数が一定となって、弾性部材として十分に機能するようになった。
請求項4に係る防振装置の作用を以下に説明する。
一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、この取付部材が変位するのに伴って、一対の取付部材間に配置される弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、振動が低減される。つまり、弾性体の変形によって振動が吸収されることで、他方の取付部材に連結された振動受け部側に振動が伝達され難くなる。
一方、本請求項では、隔壁の一部が弾性体により形成されて液体が封入された主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成されて同じく液体が封入される副液室との間が、オリフィスにより連通されている。さらに、このオリフィスの一部を構成する空間を含むシリンダ空間内に配置された開閉部材が、シリンダ空間内におけるオリフィスを開放する開放位置とオリフィスを閉鎖する閉鎖位置との間で往復動可能とされており、主液室とシリンダ室との間に配置された逆止弁が、主液室からシリンダ空間側へのみ液体を流動させ、また弾性部材が開閉部材を開放位置側へ付勢している。
従って、防振装置に振動が加わるのに伴って生じる弾性体の変形によって、液体が封入された主液室が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室の内容積の変化に伴って生じる液圧変動により開閉部材が往復動して、オリフィスを開閉動することになる。
つまり、逆止弁を閉鎖状態とする保持力に応じて設定される振幅よりも振幅の小さい振動が防振装置に加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力よりも、開閉部材を開放位置側に向かって付勢する弾性部材の予圧(予圧縮荷重)の方が大きい為、逆止弁は閉じた状態となって開閉部材は静止している。これに伴って、オリフィスが開放された状態となり、主液室内からオリフィス内に液体が流入することで、圧力変化及び粘性抵抗等が生じつつこのオリフィス内
を液体が流通し、主液室と副液室との間で液体が流動する。従って、液体の液柱共振や粘性抵抗等によっても振動が低減されて、振動受け部側に振動がより一層伝達され難くなる。
一方、逆止弁を閉鎖状態とする保持力に応じて設定される振幅よりも振幅が大きい振動が防振装置に加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力も大きくなって弾性部材の予圧縮荷重より大きくなる為、この液圧により逆止弁が開放されると共に、逆止弁を通って主液室からシリンダ空間内に流入した液体に押されて開閉部材が、弾性部材の付勢力に抗しつつ閉鎖位置から開放位置側に移動し、主液室の液圧変動の最大値と弾性部材の付勢力とが釣り合う開放位置で、静止する。そして、このように開閉部材が開放位置に移動することで、この開閉部材によりオリフィスの一部が遮断されてこのオリフィス内で液体が流動しないようになる。
さらに、本請求項では、開閉部材の中央部分に対応して配置された案内部材が、開閉部材の上記のような往復動を案内するので、開閉部材が斜めに傾くことがなくなるのに伴い、完全に往復動しない状態で開閉部材が止まってしまうことが無くなる結果、開閉部材が確実に往復動して、オリフィスが安定的に開閉されるようになる。
以上より、本請求項に係る防振装置は、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本請求項によれば、製造コストを低減するだけでなく、オリフィスを安定的に開閉して防振装置の防振性能を維持することが可能となる。
請求項7に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸部と、オリフィスを有したオリフィス形成材に形成された形の軸受け部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで案内されつつ開閉部材が往復動する結果、
オリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項8に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と、オリフィスを有したオリフィス形成材に形成された形の軸部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで具体的に案内されつつ開閉部材が往復動する結果、請求項7と同様にオリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項9に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸部と、逆止弁を内蔵した仕切部材に形成された形の軸受け部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで案内されつつ開閉部材が往復動する結果、請求項7と同様にオリフィスの安定的な開閉がより確実に確保されるようになる。
請求項10に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項4から請求項6と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成された形になっている。
従って本請求項では、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と、逆止弁を内蔵した仕切部材に形成された形の軸部とで、案内部材が構成されているので、これら軸部と軸受け部とで案内されつつ開閉部材が往復動する結果、請求項7と
れて開閉部材が主液室側に移動し、この開閉部材がオリフィスの一部を遮断してこのオリフィス内で液体が流動しなくなる。その際、開閉部材の当接部を弾性材料で形成された弁体に接触させることで、開閉部材の当たり音を軽減することができる。
さらに、本請求項に係る防振装置も、請求項1と同様に、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本請求項によっても、防振装置の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となる。
請求項12に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項11と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、当接部が弁体に向かって突出した形状とされるという構成を有している。従って、このように突出した形状の当接部の存在により、一層確実に開閉部材が弁体に当接するようになる。
請求項19に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1から請求項18と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、シリンダ空間により一部が構成され、開閉部材により開閉とされた上記オリフィスをアイドルオリフィスとして構成すると共に、このアイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスを有している。
つまり、本請求項は、オリフィスが2つ存在するのに伴い、請求項1から請求項17に係る開閉部材により開閉されるオリフィスがアイドルオリフィスとされ、このアイドルオリフィスでは低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動を低減し得るように、他のオリフィスをアイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスとしている。
従って、アイドルオリフィスでは低減できないような振幅及び周波数の振動であっても、シェイクオリフィス内における液体の液柱共振や粘性抵抗等によって、振動が低減されるようになる。この結果、いずれの振幅及び周波数の振動が入力された状態であっても、これら2つのオリフィスを介して主液室と副液室との間で積極的に液体が流動して、幅広い振幅及び周波数の振動が低減されることになる。
オリフィスの一部を構成する空間を含むシリンダ空間内に配置され、シリンダ空間内におけるオリフィスを開放する開放位置とオリフィスを閉鎖する閉鎖位置との間で往復動可能とされた開閉部材と、
主液室とシリンダ室との間に配置され、所定の保持力により閉鎖状態に保持されると共に、閉鎖状態から開放状態になると主液室からシリンダ空間側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を開放位置側に向かって付勢する弾性部材と、
開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内部材と、
を有した防振装置であって、
逆止弁は、その保持力に応じて設定される振幅よりも大振幅の振動入力時にのみ開放状態となって主液室からシリンダ空間側へ液体を流動させ、シリンダ空間内の液圧により開閉部材を弾性部材の付勢力に抗して開放位置から閉鎖位置へ移動させること特徴とする。
請求項5による防振装置は請求項4記載の防振装置において、逆止弁が弁体及び弁座により構成され、弾性材料によりこの弁体が形成され、主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置したことを特徴とする。
請求項6による防振装置は請求項5記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項7による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項8による防振装置は請求項4、6又は6記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項9による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、主液室とシリンダ空間との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項10による防振装置は請求項4、5又は6記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項11による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を構成する空間を含むシリンダ空間内に配置され、シリンダ空間内におけるオリフィスを開放する開放位置とオリフィスを閉鎖する閉鎖位置との間で往復動可能とされた開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、開閉部材側から主液室へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁から離れる方向に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
前記逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
この逆止弁を構成する弁体が弾性材料により形成され、
弁体と対向する開閉部材の部分に、弁体への接近時に弁体と当接し得る当接部を設けたことを特徴とする。
請求項12による防振装置は請求項11記載の防振装置において、当接部が弁体に向かって突出した形状とされることを特徴とする。
請求項13による防振装置は請求項11又は12記載の防振装置において、弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする。
請求項14による防振装置は請求項11又は12記載の防振装置において、開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内
部材を有したことを特徴とする。
請求項15による防振装置は請求項14記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項16による防振装置は請求項14記載の防振装置において、開閉部材が往復動可能に配置されるシリンダ空間及びオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項17による防振装置は請求項14記載の防振装置において、主液室とシリンダ空間との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする。
請求項18による防振装置は請求項14記載の防振装置において、主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする。
請求項19による防振装置は請求項1ないし21の何れか1項記載の防振装置において、シリンダ空間内における開閉部材により区画された主液室側の小空間を副液室側の小空間に連通させ、弾性部材の付勢力により開閉部材が閉鎖位置から開放位置側へ移動する際に、主液室側の小空間から副液室側の小空間へ液体を流出させる液体流出路を有することを特徴とする。
請求項20による防振装置は請求項1〜8、11〜16の何れか1項記載の防振装置において、主液室とシリンダ室とを仕切り、且つ逆止弁を内蔵する隙間が内部に形成された仕切部材を有し、
この仕切部材に隙間を主液室に連通する第1の貫通穴及び隙間をシリンダ空間に連通する第2の貫通穴をそれぞれ形成する共に、隙間内における第1の貫通穴の周縁部を逆止弁の外周側が押し付けられる弁座とし、
逆止弁の外周端を、全周に亘って第1の貫通穴の外周端よりも外周側に位置させると共に、第2の貫通穴の外周端よりも外周側に位置させたことを特徴とする。
請求項21による防振装置は請求項20記載の防振装置において、仕切部材に、逆止弁に係合して、逆止弁の径方向に沿った移動を制限する係合部を設けたことを特徴とする。
請求項22による防振装置は請求項1ないし21の何れか1項記載の防振装置において、シリンダ空間により一部が構成され、開閉部材により開閉とされた上記オリフィスをアイドルオリフィスとして構成すると共に、このアイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスを有することを特徴とする。
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、この取付部材が変位するのに伴って、一対の取付部材間に配置される弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収
Claims (19)
- 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁側に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
主液室と対向する面が凹状とされつつ弾性材料によりこの弁体が形成され、
主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置したことを特徴とする防振装置。 - 弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- 弾性部材がテーパを有した螺旋状に形成されたコイルスプリングとされることを特徴とする請求項1又は2記載の防振装置。
- 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
これら取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁側に向かって付勢する弾性部材と、
開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内部材と、
を有したことを特徴とする防振装置。 - 逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
弾性材料によりこの弁体が形成され、主液室と対向する弁体の面を弁座に押しつけるように、主液室側に向かって予圧を加えた状態で弁体を配置したことを特徴とする請求項4記載の防振装置。 - 弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする請求項5記載の防振装置。
- 開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする請求項4、5又は6記載の防振装置。 - 開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする請求項4、5又は6記載の防振装置。 - 主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする請求項4、5又は6記載の防振装置。 - 主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする請求項4、5又は6記載の防振装置。 - 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
第1と第2の取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、開閉部材側から主液室へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
開閉部材を逆止弁から離れる方向に向かって付勢する弾性部材と、
を有した防振装置であって、
前記逆止弁が弁体及び弁座により構成され、
この逆止弁を構成する弁体が弾性材料により形成され、
弁体と対向する開閉部材の部分に、弁体への接近時に弁体と当接し得る当接部を設けたことを特徴とする防振装置。 - 当接部が弁体に向かって突出した形状とされることを特徴とする請求項11載の防振装置。
- 弁体を形成する弾性材料が、ゴム材或いは合成樹脂材とされることを特徴とする請求項11又は12記載の防振装置。
- 開閉部材の中央部分に対応して配置されて開閉部材の往復動を案内する案内部材を有したことを特徴とする請求項11、12又は13記載の防振装置。
- 開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部とオリフィス形成材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする請求項14記載の防振装置。 - 開閉部材が往復動可能に配置され且つオリフィスを形成したオリフィス形成材が、主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部とオリフィス形成材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする請求項14記載の防振装置。 - 主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸受け部と仕切部材に形成された軸部とで構成されることを特徴とする請求項14記載の防振装置。 - 主液室と副液室との間を仕切り且つ逆止弁を内蔵した仕切部材が、これら主液室と副液室との間に設けられ、
案内部材が、開閉部材の中央部分に形成された軸部と仕切部材に形成された軸受け部とで構成されることを特徴とする請求項14記載の防振装置。 - オリフィスが2つ存在し、開閉部材により開閉される上記オリフィスがアイドルオリフィスとされ、他のオリフィスが、アイドルオリフィスよりも細く又は長く形成されたシェイクオリフィスとされることを特徴とする請求項1ないし18の何れか1項記載の防振装置。
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