JP2004003615A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルスプリングの弾性係数を一定としつつ、防振装置の製造コストを低減する。
【解決手段】弾性体18及び仕切部材28で区画された空間が主液室30を構成している。仕切部材28の上側部分を構成する上側部材24の貫通穴24Aを介して主液室30側からのみ液体の流入を可能とする逆止弁34を有する。上側部材24の環状リブ24B内に、プランジャ36がこの環状リブ24Bの内壁面と摺動可能に嵌合される形で配置される。仕切部材28の下側部分を構成するこの下側部材26の底面中央部とこのプランジャ36との間に、プランジャ36を上方に付勢する為のテーパを有したコイルスプリング38が配置される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動を発生する部材からの振動の伝達を防止する防振装置に係り、特に、自動車のエンジンマウントやブッシュ等に適用可能な流体封入式の防振装置に採用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両の振動発生部となるエンジンと振動受け部となる車体との間には、エンジンマウントとしての防振装置が配設されていて、エンジンが発生する振動をこの防振装置が吸収し、車体側に伝達されるのを阻止するような構造となっている。
【0003】
そして、この種の防振装置の一例として、幅広い周波数の振動に対応すべく、液体が封入され且つ液体の通路であるオリフィスの切り換えを可能とした構造の制御マウントとしての防振装置が、従来より知られている。
つまり、この防振装置には、複数のオリフィス間で通路を切り替える為の電気的なアクチュエータ若しくは電磁バルブ等が必要なだけでなく、これらアクチュエータや電磁バルブ等を車両の走行条件に基づいて動作させ、オリフィスを切り替えさせるコントローラが構造上、必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらアクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラは、比較的高価なものである為、これらの部材は防振装置の製造コストを増大させる要因となっていた。
【0005】
また、開閉弁やコイルスプリング等を用いてオリフィスを切り換える構造も考えられるが、弾性部材として単純な円筒形状のコイルスプリングを用いた場合には、圧縮された時にコイルスプリングの線材同士が接触する結果として、コイルスプリングのばね定数である弾性係数が接触に伴って非線形に変化して急激に高くなり、弾性部材として十分に機能しない虞があった。
本発明は上記事実を考慮し、コイルスプリングの弾性係数を一定としつつ製造コストを低減し得る防振装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
これら取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
主液室と開閉部材との間に配置され且つ、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
テーパを有した螺旋状に形成され且つ、開閉部材を逆止弁側に向かって付勢するコイルスプリングと、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
一対の取付部材の内の何れか一方に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、この取付部材が変位するのに伴って、一対の取付部材間に配置される弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、振動が低減される。つまり、弾性体の変形によって振動が吸収されることで、他方の取付部材に連結された振動受け部側に振動が伝達され難くなる。
【0008】
一方、本請求項では、隔壁の一部が弾性体により形成されて液体が封入された主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成されて同じく液体が封入される副液室との間が、オリフィスにより連通されている。さらに、このオリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に開閉部材が配置されており、主液室とこの開閉部材との間に配置される逆止弁が、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させるようになった。そして、テーパを有した螺旋状に形成されるコイルスプリングが、この逆止弁側に向かう方向に開閉部材を付勢している。
【0009】
従って、防振装置に振動が加わるのに伴って生じる弾性体の変形によって、液体が封入された主液室が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室の内容積の変化に伴って生じる液圧変動により開閉部材が往復動して、オリフィスを開閉動することになる。
【0010】
つまり、防振装置に振幅の小さい振動入力が加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力よりも、開閉部材を逆止弁側に向かって付勢するコイルスプリングの予圧縮荷重の方が大きい為、逆止弁は閉じた状態となって開閉部材は静止している。これに伴って、オリフィスが開放された状態となり、主液室内からオリフィス内に液体が流入することで、圧力変化及び粘性抵抗等が生じつつこのオリフィス内を液体が流通し、主液室と副液室との間で液体が流動する。従って、液体の液柱共振や粘性抵抗等によっても振動が低減されて、振動受け部側に振動がより一層伝達され難くなる。
【0011】
一方、防振装置に振幅の比較的大きな振動入力が加わった場合、主液室の液圧変動により生じる力も大きくなってコイルスプリングの予圧縮荷重より大きくなる為、逆止弁が開放され、主液室から流入した液体に押されて開閉部材が、コイルスプリングの付勢力に抗しつつコイルスプリング側に移動し、主液室の液圧変動の最大値とコイルスプリングの付勢力とが釣り合う位置で、静止する。そして、このように開閉部材がコイルスプリング側に向かって移動することで、この開閉部材によりオリフィスの一部が遮断されてこのオリフィス内で液体が流動しないようになる。
【0012】
この際、コイルスプリングをテーパを有した螺旋状に形成することで、付勢力が加わって圧縮された時でも、コイルスプリングの線材同士が接触しないので、弾性係数が非線形に変化して急激に高くならないようになる。この為、防振装置内の小さい空間にコイルスプリングを配置した場合でも、弾性係数が安定し、弾性部材として十分に機能するようになった。
【0013】
以上より、本請求項に係る防振装置は、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、オリフィスを切り換えて従来の防振装置と同様に幅広い振動の低減が可能となる。この為、本請求項によれば、防振装置の防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となるだけでなく、コイルスプリングの弾性係数が一定となって、弾性部材として十分に機能するようになった。
【0014】
請求項2に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、オリフィスが2つ存在し、開閉部材により開閉される上記オリフィスがアイドルオリフィスとされ、他のオリフィスが、アイドルオリフィスよりも細く且つ長いシェイクオリフィスとされるという構成を有している。
つまり、本請求項は、オリフィスが2つ存在するのに伴い、請求項1に係る開閉部材により開閉されるオリフィスがアイドルオリフィスとされ、このアイドルオリフィスでは低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動を低減し得るように、他のオリフィスをアイドルオリフィスよりも細く且つ長く形成されたシェイクオリフィスとしている。
【0015】
従って、アイドルオリフィスでは低減できないような振幅及び周波数の振動であっても、シェイクオリフィス内における液体の液柱共振や粘性抵抗等によって、振動が低減されるようになる。この結果、いずれの振幅及び周波数の振動が入力された状態であっても、これら2つのオリフィスを介して主液室と副液室との間で積極的に液体が流動して、幅広い振幅及び周波数の振動が低減されることになる。
【0016】
尚、アイドルオリフィスが開放された状態では、主液室内からアイドルオリフィス及びシェイクオリフィスにそれぞれ液体が流入するが、アイドルオリフィスはシェイクオリフィスに比べて太く且つ短い為、液体の大部分はアイドルオリフィスを介して主液室と副液室との間を流動することになる。そして、請求項1のように開閉部材がコイルスプリング側に向かって移動した場合、この開閉部材によりアイドルオリフィスとされるオリフィスの一部が遮断されて、シェイクオリフィス内で液体が積極的に流動することになる。
【0017】
請求項3に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1及び請求項2と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、主液室と副液室との間にこれらの間を仕切る仕切部材が配置され、この仕切部材内に、オリフィスが形成されると共に開閉部材が往復動可能に配置されるという構成を有している。
つまり、本請求項によれば、主液室と副液室とを隔離して仕切る仕切部材内に、オリフィスが形成されると共に開閉部材が配置される結果として、これらオリフィスや開閉部材を配置する為の余計な空間が不要となって、防振装置の小型化が図れることになる。
【0018】
請求項4に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1から請求項3と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、コイルスプリングが金属製のスプリングとされるという構成を有している。つまり、本請求項によれば、コイルスプリングを金属製のスプリングとしたことで、永続的に弾性係数を一定にすることができ、防振装置の耐久性が向上することになる。
【0019】
請求項5に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1から請求項4と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、第1の取付部材が振動発生部とされるエンジン及び振動受け部とされる車体の一方に連結され、第2の取付部材がこれらエンジン及び車体の他方に連結されるという構成を有している。
つまり、本請求項は、防振装置を自動車のエンジンマウントに適用した場合であり、この場合でも防振装置が確実に動作して、請求項1の作用効果を奏することが可能となる。
【0020】
請求項6に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項5と同様の構成を有して同様に作用するものの、さらに、エンジンのアイドリング時に対応したアイドルモードにおいてオリフィスを開放状態にすると共に、車両の走行時に対応したシェイクモードにおいてオリフィスを閉鎖状態とするように、開閉部材が往復動するという構成を有している。
つまり、本請求項によれば、この開閉部材がオリフィスを開閉するのに伴って、本来的にオリフィスを閉鎖する必要のあるシェイクモード時において確実にオリフィスを閉鎖状態とすることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る防振装置の第1の実施の形態を図1及び図2に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態を表す図1及び図2に示すように、防振装置10の下部側を第1の取付部材である皿状の底板金具12が形成し、この底板金具12の下部には、図示しない車体にこの防振装置10を連結して固着する為のボルト14が植設されている。そして、この底板金具12の外側にはフランジ部12Aが設けられており、このフランジ部12Aの上部には、円筒状であって上側がフランジ状に拡がる形に形成された外筒金具16が配置されている。
【0022】
この外筒金具16の内周面には、円筒形状をしたゴム製の弾性体18の下部側を形成する薄肉ゴム層18Aが加硫接着されており、また、この弾性体18の上部側中央部は、第2の取付部材となる頂板金具20に加硫接着されている。そして、この頂板金具20の中央部から図示しないエンジンの連結用として用いられるボルト22が、上側に突出している。
【0023】
弾性体18の下部であって弾性体18と空間を挟んだ位置には、薄肉ゴム層18Aを介して外筒金具16の内側に仕切部材28が嵌合されつつ配置されていて、これら弾性体18及び仕切部材28で区画された空間が主液室30を構成しており、例えば水、オイル、エチレングリコール等の液体が封入されている。従って、液体が封入された主液室30の隔壁がこれら弾性体18及び仕切部材28により構成されることになる。
【0024】
尚、この仕切部材28は、それぞれ合成樹脂或いはアルミニウム等の金属などで円板状に形成された上側部材24及び下側部材26を相互に組み合わせて、構成されている。さらに、この仕切部材28の上側部分を構成する上側部材24の中央には、貫通穴24Aが設けられており、またこの貫通穴24Aを囲む形で下側方向にリング状に延びる環状リブ24Bをこの上側部材24は有する構造になっている。この上側部材24の貫通穴24Aの下側部分には、貫通穴24Aより若干大きく形成された弁体34Aが、ヒンジ部分を介して開閉動可能に取付けられており、閉鎖時にはこの弁体34Aにより貫通穴24Aが完全に塞がれるようになっている。
【0025】
従って、貫通穴24Aから下側に向かって弁体34Aが開放可能とされていて、この弁体34Aが当接する貫通穴24Aの周囲の壁面が弁座34Bとされている。この為、これら弁体34A及び弁座34Bにより、主液室30側からのみ液体の流入を可能とする逆止弁34が、構成されている。また、この上側部材24の上部には、リング状のカバー材40が上側部材24の上面に固着されることで、配置されている。
【0026】
一方、仕切部材28の下側部分を構成する下側部材26の外周側上部には、二段の溝状空間を外周側に有してW字状に形成された外周溝形成部26Aが設けられている。さらに、この外周溝形成部26Aの上側の壁部の一部が切り欠かれて第1連通部26Bが形成されており、また、外周溝形成部26Aの上下方向中央部の壁部の一部が切り欠かれて第2連通部26Cが形成されており、外周溝形成部26Aの下側の壁部の一部が開放されて第3連通部26Dが形成されている。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、外周溝形成部26Aの上面で上側部材24の下面と当接すると共に、下側部材26の内周側寄りの部分に上側部材24の環状リブ24Bが当接する形で、これら上側部材24と下側部材26とが相互に組み合わされて、仕切部材28が構成されており、この環状リブ24B内の空間がシリンダ空間Sとされている。
【0028】
他方、上側部材24の環状リブ24B内には、例えば合成樹脂等により円盤状に形成された開閉部材であるプランジャ36が、この環状リブ24Bの内壁面と摺動可能に嵌合された状態で配置されている。尚、このプランジャ36の中央部には小さな貫通孔36Aが形成されており、この貫通孔36Aにより液体の貫通を可能としている。
【0029】
そして、仕切部材28の下側部分を構成するこの下側部材26の底面の一段低く形成された底面中央部とこのプランジャ36との間には、プランジャ36を上方に付勢する為の金属製の弾性部材であるコイルスプリング38が配置されている。つまり、このプランジャ36が、コイルスプリング38に付勢されて上方に移動したり、コイルスプリング38の付勢力に抗して下方に移動したりすることになる。
【0030】
但し、このコイルスプリング38は、図1及び図2における上側が大径で下側が小径とされるようなテーパを有した螺旋状に形成されている。この為、このコイルスプリング38が圧縮された場合でも、円筒状のコイルスプリングと異なって、コイルスプリング38の線材同士が接触しなくなる。
【0031】
また、下側部材26の下部は外周側に突出した挟持部26Eを有しており、この下側部材26の挟持部26Eが外筒金具16の下部と底板金具12のフランジ部12Aとの間に挟まれた状態とされている。この外筒金具16の下部が底板金具12のフランジ部12Aの外周部分にかしめられることで、これら底板金具12、外筒金具16及び仕切部材28が相互に一体的に固着されている。
【0032】
さらに、仕切部材28の挟持部26Eと底板金具12のフランジ部12Aとの間には、弾性変形可能なゴム製の弾性膜であるダイヤフラム42の周縁部が挟持されており、これによって、この薄肉のダイヤフラム42が仕切部材28と底板金具12との間に設置されている。そして、このダイヤフラム42と仕切部材28の下面との間の空間が副液室32とされており、また、ダイヤフラム42の下側と底板金具12の底部との間の空間が空気室44とされている。この空気室44は、底板金具12に形成された空気穴13により大気に開放されていて、ダイヤフラム42の変形をこの空気室44で容易にしている。
【0033】
一方、仕切部材28内の上側部材24と下側部材26との間の部分には、外周溝形成部26Aの内周側の壁部と環状リブ24Bとで挟まれたリング状の空間部分である大径の通路が、設けられている。また、仕切部材28を構成する上側部材24の環状リブ24B先端寄りの部分には、この環状リブ24Bを貫通するように貫通部46が形成されており、この貫通部46を介して環状リブ24B内の空間であるシリンダ空間S内と上記の大径の通路との間が繋がっている。
【0034】
さらに、この上側部材24には、主液室30と上記の大径の通路との間を繋ぐ第1開口部24Cが形成されており、コイルスプリング38の内周側に対応する下側部材26の箇所には、シリンダ空間Sと副液室32との間を繋ぐ第2開口部26Fが形成されている。
【0035】
以上より、第1開口部24Cを介して主液室30に繋がり、第2開口部26Fを介して副液室32に繋がると共に、環状リブ24Bを貫通する貫通部46により連通された空間が、アイドルオリフィス52とされており、このアイドルオリフィス52がアイドル振動吸収用の制限通路となっている。
【0036】
他方、図1及び図2に示すように、外周溝形成部26Aの二段の溝状空間が仕切部材28の周方向に沿って、仕切部材28の外周面にそれぞれ形成されており、これら二段の溝状空間が前述の第2連通部26Cで相互に繋がった構造となっている。そして、この外周溝形成部26Aの溝状空間と薄肉ゴム層18Aの内周面とで形成された通路がシェイク振動吸収用の制限通路となるシェイクオリフィス54とされている。このシェイクオリフィス54の一端側は、第1連通部26B及び上側部材24の開放部分を介して主液室30に連結されており、このシェイクオリフィス54の他端側は、第3連通部26Dを介して副液室32に連結されている。
【0037】
以上より、本実施の形態に係る防振装置10は、アイドルオリフィス52及びシェイクオリフィス54を介して、主液室30と副液室32とがそれぞれ連通されることになる。但し、アイドルオリフィス52は、シリンダ空間S内に摺動可能に嵌合されるプランジャ36が下降した場合に貫通部46が塞がれて、閉鎖されることになる。従って、図1に示すように、プランジャ36が上昇してアイドルオリフィス52が開放される位置と、図2に示すように、プランジャ36が下降してアイドルオリフィス52が閉鎖される位置との間で、プランジャ36が移動してプランジャ36の位置が切り換えられることで、アイドルオリフィス52が開閉されることになる。
【0038】
尚、本実施の形態では、アイドルオリフィス52の通路長さよりシェイクオリフィス54の通路長さの方が長く、アイドルオリフィス52の通路断面積よりシェイクオリフィス54の通路断面積の方が細くなっている。つまり、オリフィスの長さや断面積により制限通路での液柱共振周波数が決定されるので、上記の様な相違が生じることとなる。
【0039】
次に、本実施の形態に係る防振装置10の作用を説明する。
頂板金具20に搭載されるエンジンが作動すると、エンジンの振動が頂板金具20を介して弾性体18に伝達される。弾性体18は吸振主体として作用し、弾性体18の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、車体側に振動が伝達され難くなる。
【0040】
さらに、この弾性体18の変形に伴って、隔壁の一部が弾性体18により形成される主液室30の内容積が変化し、この主液室30と副液室32との間を連通する2つのオリフィス52、54内の液体に圧力変化が生じる。この為、副液室32の隔壁の一部を変形可能に形成するダイヤフラム42が変形することで、副液室32が拡縮し、主液室30とこの副液室32との間のオリフィス52、54内の液体が流動する。
【0041】
一方、これら2つのオリフィス52、54の内の少なくともアイドルオリフィス52が、主液室30と副液室32の間を仕切るように配置された仕切部材28内に、形成されているだけでなく、このアイドルオリフィス52の一部を含むシリンダ空間S内に往復動可能にプランジャ36が配置されている。そして、主液室30とこのプランジャ36との間に配置される逆止弁34が、主液室30からプランジャ36側へのみ液体を流動させ、また、この逆止弁34側に向かってコイルスプリング38がこのプランジャ36を付勢している。
【0042】
従って、防振装置10に振動が加わるのに伴って生じる弾性体18の変形により、液体が封入された主液室30が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室30の内容積の変化に伴って生じる液圧変動によりプランジャ36がシリンダ空間S内を上下方向に往復動して、貫通部46を開放及び閉鎖することで、アイドルオリフィス52を開閉動することになる。
【0043】
この結果、エンジン側からの振動が伝達されると、弾性体18の弾性変形だけでなく、主液室30と副液室32との間を繋ぐオリフィス52、54内の液体の流動の粘性抵抗及び液柱共振等に基づく減衰作用によっても振動が減衰されて、車体側に振動が伝達され難くなる。さらに、常時開放されているシェイクオリフィス54の他に、プランジャ36の上下動により開閉されるアイドルオリフィス52を有する結果として、以下のように作用する。
【0044】
以下に、本実施の形態に係る防振装置10の具体的な動作を説明する。
例えば車両が停止すると、エンジンがアイドルモードであるアイドリング運転となって振動の周波数が高く振幅が小さいアイドル振動(20〜40Hz)が生じ、防振装置10にこの振動が加わる。この際、主液室30の液圧変動により生じる力よりも、プランジャ36を逆止弁34側に向かって付勢するコイルスプリング38の予圧縮荷重の方が大きい為、図1に示すように逆止弁34は閉じた状態となり、コイルスプリング38によりプランジャ36が押し上げられて、このプランジャ36がシリンダ空間S内の上方位置に静止した形となっている。
【0045】
そして、プランジャ36がシリンダ空間S内の上方で静止し、貫通部46が開かれるのに伴って、貫通部46及び第2開口部26Fを通過した液体がこのシリンダ空間S内で流動可能とされて、アイドルオリフィス52を開放する開放状態となる。この為、アイドルオリフィス52を介して主液室30と副液室32とが連通され、液体がアイドルオリフィス52を行き来することができるようになる結果、アイドルオリフィス52内で液体が液柱共振等して防振装置10の動ばね定数が低減され、アイドル振動が吸収される。
【0046】
また、本実施の形態では、この第2開口部26Fがコイルスプリング38の内周部分に位置していることから、液体の流路をコイルスプリング38の内周部分に配置できることなる。尚、このアイドルオリフィス52が開放された状態では、主液室30内からアイドルオリフィス52及びシェイクオリフィス54にそれぞれ液体が流入するが、アイドルオリフィス52はシェイクオリフィス54に比べて太く且つ短い為、液体の大部分はアイドルオリフィス52を介して主液室30と副液室32との間を流動することになる。
【0047】
一方、例えば車両走行時に、突起の乗り越し等でアイドル振動よりも比較的大きな振動入力があると、エンジンは重量とエンジンマウントの支持ばねで決定される周波数の強制振動(シェイク振動:15Hz未満)を励起され、防振装置10にこの振動が加わる。これにより、主液室30の液圧変動により生じる力も大きくなってコイルスプリング38の予圧縮荷重より大きくなる為、弁体34Aが下側にヒンジ部分廻りに開くのに伴って、液体が主液室30から流入し、この液体に押されてプランジャ36が、図2に示すようにコイルスプリング38の付勢力に抗しつつコイルスプリング38側である下方に移動され、主液室30の液圧変動の最大値とコイルスプリング38の付勢力とが釣り合う位置で、静止する。
【0048】
さらに、プランジャ36の外周部分によって貫通部46が塞がれて、アイドルオリフィス52の一部が確実に遮断されるアイドルオリフィス52の閉鎖状態となり、シェイクオリフィス54のみで主液室30と副液室32との間が連通される。この結果、シェイクオリフィス54内を液体が積極的に行き来して通過抵抗を受け、または液柱共振することによって、シェイク振動が吸収される。
【0049】
この後、防振装置10に入力される振動の振幅が再び小さくなると、弁体34Aが閉じられると共に、プランジャ36を貫通する貫通孔36Aや環状リブ24Bとプランジャ36との間の隙間を液体が流れて、プランジャ36は再び図1に示すようなシリンダ空間S内の上方の位置に戻ることになる。
【0050】
以上より本実施の形態に係る防振装置10では、プランジャ36により開閉されるアイドルオリフィス52の他に、アイドルオリフィス52よりも細く且つ長く形成されたシェイクオリフィス54を設け、アイドルオリフィス52では低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動をこのシェイクオリフィス54で低減し得るようにした。従って、アイドルオリフィス52では低減できないような振幅及び周波数の振動であっても、シェイクオリフィス54内における液体の液柱共振や粘性抵抗等によって、振動が低減されるようになる。
【0051】
つまり、車両の走行時と停止時とでは、相互にエンジンの発生する振動の振幅や周波数が異なるが、アクチュエータ、電磁バルブ及びコントローラ等が無くとも、2つのオリフィス52、54が切り換えられて、振幅や周波数の相違に対応して防振装置10の特性を変化させ、幅広い振幅や周波数の範囲に渡って振動を吸収することができるようになる。
【0052】
そして、本実施の形態では、コイルスプリング38をテーパを有した螺旋状に形成したことで、付勢力が加わって圧縮された時でも、コイルスプリング38の線材同士が接触しないので、弾性係数が非線形に変化して急激に高くならなくなり、防振装置10内の小さい空間にコイルスプリング38を配置した場合でも弾性係数が安定し、弾性部材として十分に機能するようになった。
【0053】
従って、本実施の形態に係る防振装置10によれば、防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となるだけでなく、コイルスプリング38の弾性係数が一定となって、弾性部材として十分に機能するようになった。
【0054】
さらに、本実施の形態によれば、主液室30と副液室32とを隔離して仕切る仕切部材28内に、アイドルオリフィス52が形成されると共にプランジャ36が配置される結果として、これらアイドルオリフィス52やプランジャ36を配置する為の余計な空間が不要となって、防振装置10の小型化が図れることになる。
【0055】
また、弾性部材を金属製のスプリングの内でもコイルスプリング38としたことで、永続的に弾性係数を一定にして、防振装置10の耐久性が向上するだけでなく、液体の流路をコイルスプリング38の内周部分に配置でき、防振装置10の一層の小型化が図れることになる。
【0056】
次に、本発明に係る防振装置の第2の実施の形態を図3から図10に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態を表す図3及び図4に示すように、円筒状であって上端部に外周側に広がるフランジ部112Aを有した第1の取付部材である下部外筒金具112が、防振装置110の下部側を形成しており、この下部外筒金具112の図示しない車体への連結を介してこの防振装置110が車体に固着されるようになっている。そして、この下部外筒金具112の上部には、円筒状であって上側が若干小径とされる形に形成された上部外筒金具116が配置されている。
【0057】
この上部外筒金具116の内周面には、円筒形状をしたゴム製の弾性体118の下部側を形成する薄肉ゴム層118Aが加硫接着されており、また、この弾性体118の上部側中央部は、第2の取付部材となる頂部金具120に加硫接着されている。そして、この頂部金具120の中央部には、エンジンの連結用として用いられる図示しないボルトがねじ止められる雌ねじ120Aが形成されている。
【0058】
弾性体118の下部であって弾性体118と空間を挟んだ位置には、下部外筒金具112と上部外筒金具116との間のかしめ部分に外周部分が挟まれる形で、下部外筒金具112及び上部外筒金具116の内側に仕切部材128が配置されていて、これら弾性体118及び仕切部材128で区画された空間が主液室130を構成しており、例えば水、オイル、エチレングリコール等の液体が封入されている。従って、液体が封入された主液室130の隔壁がこれら弾性体118及び仕切部材128により構成されることになる。
【0059】
尚、この仕切部材128は、それぞれ合成樹脂或いはアルミニウム等の金属などで円板状に形成された上側部材124及び下側部材126を相互に組み合わせて、構成されている。つまり、上側部材124が仕切部材128の上側部分を構成し、下側部材126が仕切部材128の下側部分を構成していることになる。これら上側部材124及び下側部材126の外周寄りの部分は、それぞれリング状に上側に突出しており、この上側に突出した外周寄りの部分の内側に対応する上側部材124と下側部材126との間の内周寄りの部分には、隙間が形成されている。
【0060】
さらに、図9に示すように、この上側部材124の内周寄りの部分には、貫通穴124Aが上側部材124の中心廻りに円環状に複数設けられている。またこの下側部材126の内周寄りの部分には、貫通穴126Aが下側部材126の中心廻りに円環状に複数設けられており、この下側部材126のこれら複数の貫通穴126Aの中心には中央孔126Bが設けられている。
【0061】
上側部材124と下側部材126との間の内周寄りの部分の隙間内には、ゴム材或いは合成樹脂材等の弾性材料により円板状に構成された弁体134Aが、配置されている。つまり、この弁体134の下面側中央部には、下側に突出する突部135が設けられており、この突部135が下側部材126の中央に設けられた中央孔126Bに嵌まり込んで弁体134が支持されている。尚、この弁体134は図10に示す自由な状態において、上側の中央部寄りの部分を若干凹ませた形状の円盤状に形成されている。
【0062】
この弁体134の厚みは、上側部材124と下側部材126の間との隙間より若干小さくされているものの、防振装置110の組み立て時において、この弁体134に適当な予圧が加えられるので、図3及び図4においてこの弁体134の上面が、上側部材124の面に押しつけられて、ほぼ平面になるように弁体134は変形されている。
【0063】
また、弁体134の外周端よりも上側部材124の複数の貫通穴124Aの外周部分は小さく形成されていて、弁体134Aの図3から図5に示す貫通穴124Aの閉鎖時には、この弁体134Aにより貫通穴124Aが下から完全に塞がれるようになっている。この一方、弁体134の外周端よりも下側部材126の複数の貫通穴126Aの外周部分は大きく形成されていて、これに伴って、図6から図8に示すように弁体134が変形した状態でも完全に塞がれることはない。
【0064】
従って、図8に示すように、液圧Pが上側から加わった場合には、弁体134Aの外周寄り部分が下側に向かって弾性変形することで、貫通穴124Aが開放されて液体が矢印のように流れる。また、図5に示すように、液圧Pが下側から加わった場合には、弁体134Aの外周端が貫通穴124Aの周囲の壁面にこの液圧Pで強く当接することで、貫通穴124Aが確実に閉鎖されるようになる。つまり、この弁体134Aが当接する貫通穴124Aの周囲の壁面が弁座134Bとされている。以上より、これら弁体134A及び弁座134Bにより、主液室130側からのみ液体の流入を可能とし、且つ作動がより確実で構造が単純な逆止弁134が、構成される。
【0065】
つまり、本実施の形態の逆止弁134は、単に弾性材料で形成された弁体134の弾性を利用しただけの簡易な構造とされている為、必要時に確実に逆止弁134が開閉可能となるだけでなく、逆止弁134の耐久性及び防振装置110の量産性が高くなる。
【0066】
また、図3から図9に示すように、この下側部材126の下部には、底面を有する形の円筒状に形成されたオリフィス形成材122が配置されている。そして、下側部材126のリング状に上側に突出した部分に内壁面が嵌まり込むような大きさに、このオリフィス形成材122はなっていて、このオリフィス形成材122内の空間がシリンダ空間Sとされている。
【0067】
他方、オリフィス形成材122内には、例えば金属材料等により上面が塞がれた形の円筒状に形成された開閉部材であるプランジャ136が、このオリフィス形成材122の内壁面と摺動可能に嵌合された状態で、配置されている。尚、このプランジャ136の中央部には小さな貫通孔136Aが形成されており、この貫通孔136Aにより液体の貫通を可能としている。
【0068】
そして、このオリフィス形成材122の底面とこのプランジャ136の頂面との間には、プランジャ136を上方に付勢する為の金属製の弾性部材であるコイルスプリング138が配置されている。つまり、このプランジャ136が、コイルスプリング138に付勢されて上方に移動したり、コイルスプリング138の付勢力に抗して下方に移動したりすることになる。
【0069】
但し、このコイルスプリング138は、図3及び図4における上側が大径で下側が小径とされるテーパを有した螺旋状に形成されている。この為、このコイルスプリング138が圧縮された場合でも、コイルスプリング138の線材同士が接触しなくなる。
【0070】
また、オリフィス形成材122の上部には、外周側にフランジ状に突出した挟持部122Aが形成されており、この挟持部122Aが、上部外筒金具116の下部と下部外筒金具112の上部との間のかしめ部分に仕切部材128の外周部分と共に挟まれた状態とされている。これにより、これら下部外筒金具112、上部外筒金具116、オリフィス形成材122及び仕切部材128が相互に一体的に固着されている。
【0071】
さらに、下部外筒金具112の内外周面には薄くゴム材が加硫接着されており、弾性変形可能なゴム製の弾性膜であるダイヤフラム142の周縁部がこの下部外筒金具112に加硫接着されたゴム材の下部に繋がっている。これに伴って、この薄肉のダイヤフラム142が下部外筒金具112の下部に設置されることになり、このダイヤフラム142とオリフィス形成材122の下面との間の空間が副液室132とされている。尚、このダイヤフラム142の下部は大気に開放されていて、ダイヤフラム142の変形を容易にしている。
【0072】
一方、下側部材126のリング状に上側に突出した部分とオリフィス形成材122の上面との間には、リング状の空間部分である上部通路が、設けられている。また、オリフィス形成材122の下部寄りの部分には、オリフィス形成材122の外周に沿って延びる溝部122Bが形成されており、下部外筒金具112の内周面に接着されたゴム材によりこの溝部122Bの解放部分が塞がれて、円弧状の下部通路となっている。
【0073】
そして、オリフィス形成材122の上面には、図9に示す仕切壁123が設けられており、上部通路はこの仕切壁123により仕切られている。この仕切壁123により仕切られた上部通路の一端の図9における左隣の位置に対応する上側部材124及び下側部材126の部分には、主液室130と上記の上部通路との間を繋ぐ第1開口部140が図4及び図9に示すように形成されている。
【0074】
この上部通路の一端に対応するオリフィス形成材122の部分には、溝部122Bとの間を繋ぐ第1連通穴122Cが図4及び図9に示すように設けられており、また、この溝部122Bの底面をオリフィス形成材122の内周側に向かって貫通するように、貫通部146がオリフィス形成材122に形成されている。
【0075】
この結果、この下部通路及び貫通部146等を介して、上記の上部通路とオリフィス形成材122内の空間であるシリンダ空間Sとの間が繋がっていることになる。さらに、コイルスプリング138の底部外周部分に対応するオリフィス形成材122の箇所には、シリンダ空間Sと副液室132との間を繋ぐ第2開口部122Eが形成されている。
【0076】
従って、第1開口部140を介して主液室130に繋がり、第2開口部122Eを介して副液室132に繋がると共に、オリフィス形成材122を貫通する第1連通穴122C、貫通部146及び溝部122Bにより連通された空間が、アイドルオリフィス152とされており、このアイドルオリフィス152がアイドル振動吸収用の制限通路となっている。
【0077】
他方、図6及び図9に示すように、仕切壁123により仕切られた上部通路の他端に対応するオリフィス形成材122の部分には、副液室132との間を繋ぐ第2連通穴122Dが設けられている。従って、第1開口部140を介して主液室130に繋がり、上部通路をほぼ一周した後に第2連通穴122Dを介して副液室132に繋がる形に形成された通路がシェイクオリフィス154とされており、このシェイクオリフィス154がシェイク振動吸収用の制限通路となっている。
【0078】
以上より、本実施の形態に係る防振装置110は、アイドルオリフィス152及びシェイクオリフィス154を介して、主液室130と副液室132とがそれぞれ連通されることになる。但し、アイドルオリフィス152は、シリンダ空間S内に摺動可能に嵌合されるプランジャ136が下降した場合に貫通部146が塞がれて、閉鎖されることになる。
【0079】
従って、図3から図5に示すように、プランジャ136が上昇してアイドルオリフィス152が開放される位置と、図6から図8に示すように、プランジャ136が下降してアイドルオリフィス152が閉鎖される位置との間で、プランジャ136が移動してプランジャ136の位置が切り換えられることで、アイドルオリフィス152が開閉されることになる。
【0080】
次に、本実施の形態に係る防振装置110の作用を説明する。
頂部金具120に搭載されるエンジンが作動すると、エンジンの振動が頂部金具120を介して弾性体118に伝達される。弾性体118は吸振主体として作用し、弾性体118の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収し、車体側に振動が伝達され難くなる。
【0081】
さらに、この弾性体118の変形に伴って、隔壁の一部が弾性体118により形成される主液室130の内容積が変化し、この主液室130と副液室132との間を連通する2つのオリフィス152、154内の液体に圧力変化が生じる。この為、副液室132の隔壁の一部を変形可能に形成するダイヤフラム142が変形することで、副液室132が拡縮し、主液室130とこの副液室132との間のオリフィス152、154内の液体が流動する。
【0082】
一方、これら2つのオリフィス152、154の内の少なくともアイドルオリフィス152が、主液室130と副液室132の間を仕切るように配置された仕切部材128及びオリフィス形成材122により、形成されているだけでなく、このアイドルオリフィス152の一部を含むシリンダ空間S内に、往復動可能にプランジャ136が配置されている。そして、主液室130とこのプランジャ136との間に配置される逆止弁134が、主液室130からプランジャ136側へのみ液体を流動させ、また、この逆止弁134側に向かってコイルスプリング138がこのプランジャ136を付勢している。
【0083】
従って、防振装置110に振動が加わるのに伴って生じる弾性体118の変形により、液体が封入された主液室130が拡縮して内容積が変化すると共に、主液室130の内容積の変化に伴って生じる液圧変動によりプランジャ136がシリンダ空間S内を上下方向に往復動して、貫通部146を開放及び閉鎖することで、アイドルオリフィス152を開閉動することになる。
【0084】
この結果、エンジン側からの振動が伝達されると、弾性体118の弾性変形だけでなく、主液室130と副液室132との間を繋ぐオリフィス152、154内の液体の流動の粘性抵抗及び液柱共振等に基づく減衰作用によっても振動が減衰されて、車体側に振動が伝達され難くなる。さらに、常時開放されているシェイクオリフィス154の他に、プランジャ136の上下動により開閉されるアイドルオリフィス152を有する結果として、以下のように作用する。
【0085】
以下に、本実施の形態に係る防振装置110の具体的な動作を説明する。
例えば、防振装置110にアイドル振動が加わった場合には、主液室130の液圧変動により生じる力よりも、プランジャ136を逆止弁134側に向かって付勢するコイルスプリング138の予圧縮荷重の方が大きい為、図3及び図4に示すように逆止弁134は閉じた状態となる。これに伴って、コイルスプリング138によりプランジャ136が押し上げられて、このプランジャ136がシリンダ空間S内の上方位置に静止した形となっている。
【0086】
そして、プランジャ136がシリンダ空間S内の上方で静止し、貫通部146が開かれるのに伴って、貫通部146及び第2開口部122Eを通過した液体がこのシリンダ空間S内で流動可能とされて、アイドルオリフィス152を開放する開放状態となる。この為、アイドルオリフィス152を介して主液室130と副液室132とが連通され、液体がアイドルオリフィス152を行き来することができるようになる。そして、この結果、アイドルオリフィス152内で液体が液柱共振等して防振装置110の動ばね定数が低減され、アイドル振動が吸収される。
【0087】
一方、防振装置110にシェイク振動が加わった場合には、主液室130の液圧変動により生じる力も大きくなってコイルスプリング138の予圧縮荷重より大きくなる為、弁体134Aの外周側が弾性変形するのに伴って、液体が主液室130から流入する。そして、この液体に押されてプランジャ136が、図6及び図7に示すようにコイルスプリング138の付勢力に抗しつつコイルスプリング138側である下方に移動され、オリフィス形成材122の底面に当接してプランジャ136は静止する。
【0088】
従って、プランジャ136の外周部分によって貫通部146が塞がれて、アイドルオリフィス152の一部が確実に遮断されるアイドルオリフィス152の閉鎖状態となり、シェイクオリフィス154のみで主液室130と副液室132との間が連通される。この結果、シェイクオリフィス154内を液体が積極的に行き来して通過抵抗を受け、または液柱共振することによって、シェイク振動が吸収される。
【0089】
この後、防振装置110に入力される振動の振幅が再び小さくなると、弁体134Aが閉じられると共に、プランジャ136を貫通する貫通孔136Aやオリフィス形成材122の内周面とプランジャ136との間の隙間を液体が流れて、プランジャ136は再び図3及び図4に示すようなシリンダ空間S内の上方の位置に戻ることになる。
【0090】
一方、本実施の形態では、コイルスプリング138をテーパを有した螺旋状に形成したことで、付勢力が加わって圧縮された時でも、コイルスプリング138の線材同士が接触しないので、弾性係数が非線形に変化して急激に高くならなくなり、防振装置110内の小さい空間にコイルスプリング138を配置した場合でも弾性係数が安定し、弾性部材として十分に機能するようになった。
【0091】
以上より、本実施の形態に係る防振装置110でも、第1の実施の形態と同様に、プランジャ136により開閉されるアイドルオリフィス152及び、このアイドルオリフィス152では低減できない振幅が大きく且つ低周波数の振動を低減し得るシェイクオリフィス154が設けられた構造とされている。この為、第1の実施の形態と同様に、防振性能を維持しつつ製造コストを低減することが可能となるだけでなく、コイルスプリング138の弾性係数が一定となって、弾性部材として十分に機能するようになった。
【0092】
次に、本発明に係る防振装置の第3の実施の形態を図11に示し、この図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第2の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図11に示すように、本実施の形態も第2の実施の形態とほぼ同様の構造となっているが、本実施の形態の主液室130の内壁を形成する薄肉ゴム層118Aの内周面には、金属製であってリング状に形成された支持リング162が嵌合されており、ゴム材により膜状に形成された膜部材164の外周部分がこの支持リング162に加硫接着された構造となっている。この為、本実施の形態では、この膜部材164が主液室130を上下に区画した形になっている。
【0093】
つまり、この膜部材164が無ければ、弾性体118が経時劣化したときに、弾性体118のゴムかす等の異物Eが液体中に混入するので、逆止弁134及びプランジャ136等からなるアイドルオリフィス152の開閉機構にこの異物Eが入り込むことが考えられた。これに伴い、プランジャ136の上下動をこの異物Eが阻害して、走行条件によるアイドルオリフィス152の開閉動を困難にする虞があった。
【0094】
これに対して、以上のような膜部材164の存在により、主液室130が上下に区画されるので、主液室130の下部側に位置するアイドルオリフィス152の開閉機構に、ゴムかす等の異物Eが混入するのを確実に防ぐことができ、アイドルオリフィス152を長期間確実に開閉可能となる。
【0095】
尚、上記実施の形態において、振動発生部であるエンジン側に頂板金具20或いは頂部金具120が連結され、振動受け部である車体側に底板金具12或いは下部外筒金具112が連結される構成とされたが、この逆の構成としてもよい。
【0096】
また、上記第2実施の形態及び第3実施の形態では、逆止弁を構成する弁体が、自由な状態において片面の中央部寄りの部分を若干凹ませた形状に形成されているが、この替わりにこの弁体を平らな形状とすると共に、弁体が当接する側の金具である例えば上側部材の形状を主液室側に凸状となるように形成し、防振装置の組み立て時に、弁体に適当な予圧を加えるようにしても良い。
【0097】
また、上記実施の形態において、自動車のエンジン等の防振を目的としたが、本発明の防振装置は他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、形状等も実施の形態の構造のものに限定されるものではなく、他の構造の防振装置にも適用可能である。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防振装置は上記構成としたので、コイルスプリングの弾性係数を一定としつつ、製造コストを低減し得ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
【図2】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態の断面図であって、シェイクモード時を示す図である。
【図3】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
【図4】図3の4−4矢視線断面図である。
【図5】図3の要部拡大断面図である。
【図6】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態の断面図であって、シェイクモード時を示す図である。
【図7】図6の7−7矢視線断面図である。
【図8】図6の要部拡大断面図である。
【図9】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態に用いられる上側部材、下側部材及びオリフィス形成材等の分解斜視図である。
【図10】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態に用いられる弁体の自由な状態における断面図である。
【図11】本発明に係る防振装置の第3の実施の形態の断面図であって、アイドルモード時を示す図である。
【符号の説明】
10   防振装置
12   底板金具(第1の取付部材)
18   弾性体
20   頂板金具(第2の取付部材)
28   仕切部材
30   主液室
32   副液室
34   逆止弁
36   プランジャ(開閉部材)
38   コイルスプリング(弾性部材)
52   アイドルオリフィス
54   シェイクオリフィス
110  防振装置
112  下部外筒金具(第1の取付部材)
118  弾性体
120  頂部金具(第2の取付部材)
128  仕切部材
130  主液室
132  副液室
134  逆止弁
136  プランジャ(開閉部材)
138  コイルスプリング(弾性部材)
152  アイドルオリフィス
154  シェイクオリフィス

Claims (6)

  1. 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
    振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
    これら取付部材間に配置されて弾性変形し得る弾性体と、
    弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
    隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され且つ液体が封入される副液室と、
    主液室と副液室との間を連通するオリフィスと、
    オリフィスの一部を含む空間内に往復動可能に配置され且つ往復動によりオリフィスを開閉する開閉部材と、
    主液室と開閉部材との間に配置され且つ、主液室から開閉部材側へのみ液体を流動させ得る逆止弁と、
    テーパを有した螺旋状に形成され且つ、開閉部材を逆止弁側に向かって付勢するコイルスプリングと、
    を備えたことを特徴とする防振装置。
  2. オリフィスが2つ存在し、開閉部材により開閉される上記オリフィスがアイドルオリフィスとされ、他のオリフィスが、アイドルオリフィスよりも細く且つ長いシェイクオリフィスとされることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
  3. 主液室と副液室との間にこれらの間を仕切る仕切部材が配置され、この仕切部材内に、オリフィスが形成されると共に開閉部材が往復動可能に配置されることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の防振装置。
  4. コイルスプリングが金属製のスプリングとされることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の防振装置。
  5. 第1の取付部材が振動発生部とされるエンジン及び振動受け部とされる車体の一方に連結され、第2の取付部材がこれらエンジン及び車体の他方に連結されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の防振装置。
  6. エンジンのアイドリング時に対応したアイドルモードにおいてオリフィスを開放状態にすると共に、車両の走行時に対応したシェイクモードにおいてオリフィスを閉鎖状態とするように、開閉部材が往復動することを特徴とする請求項5記載の防振装置。
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