JP2009216132A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャビテーションの発生を抑制することが可能なエンジンマウントを提供する。
【解決手段】オリフィス通路130の断面積を拡縮する方向に移動可能な可動部材120と、オリフィス通路の断面積を拡大する方向に可動部材120を付勢する板ばね140と、を有し、可動部材120は、主液室84の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合に、オリフィス通路130の断面積を縮小する方向に移動するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、防振装置に関するものである。
車両の振動発生部であるエンジンと、振動受け部である車体との間には、エンジンの振動が車体に伝達されるのを抑制する防振装置として、エンジンマウントが配設されている。エンジンマウントは、エンジンに連結される内筒と、車体に連結される外筒と、内筒および外筒を連結しつつ外筒の一方端部を閉塞する弾性体と、外筒の他方端部を閉塞するダイヤフラムと、外筒の内部を弾性体側の主液室とダイヤフラム側の副液室とに仕切る仕切部材と、主液室および副液室を連通するオリフィスと、を有している。
上述した従来のエンジンマウントでは、主液室の液圧が上昇する方向の荷重(以下「正荷重」という。)が入力され、続けて主液室の液圧が下降する方向の荷重(以下「負荷重」という。)が入力されて、主液室内に急激な圧力変動が作用した場合に、瞬間的に主液室内が負圧になる。これにより、主液室の液体の一部が気化して気泡が発生する(キャビテーション)。そして、その負圧が解消され気泡が消滅する際に、異音が発生するという問題がある。
そこで特許文献1には、オリフィス通路を短絡させる短絡路を仕切部材の受圧室側の面に開口するように設ける一方、短絡路を連通状態と遮断状態に切り換える弁体を設けると共に、弁体を初期弾性変形量で遮断状態に保持する金属ばねを設ける技術が記載されている。これにより、衝撃的な大荷重の振動入力時に受圧室に惹起される著しい負圧が可及的速やかに且つ確実に解消され得て、受圧室での気相分離に起因する大きな振動や異音の発生が防止され得ると記載されている。また特許文献2には、短絡路の受圧室側の開口部を本体ゴム弾性体の大径側端面の外周部分によって覆蓋することにより、本体ゴム弾性体の弾性変形に基づいて短絡路を連通状態と閉塞状態に切り換える弁体を構成する技術が記載されている。
特開2007−107712号公報 特開2007−100875号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載された技術では、大きな正荷重が入力された場合に、受圧室からオリフィス通路に液体が流れ込むため、受圧室の正圧は大きくならない。そのため、次に大きな負荷重が入力された場合に、短絡路が連通状態になったとしても、受圧室の負圧が大きくなる。したがって、キャビテーション発生の抑制には限界があるという問題がある。
また特許文献1および2に記載された技術では、シェイク振動の入力時に受圧室に惹起される負圧によっても、若干ながら短絡路が連通状態になる。この場合、オリフィス通路に液体が流通し難くなり、防振性能が十分に発揮できなくなるという問題がある。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたもので、キャビテーションの発生を抑制することが可能な防振装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結され、略筒状に形成された第1取付部材と、前記振動発生部および前記振動受部のいずれか他方に連結され、前記第1取付部材の内周側に配置された第2取付部材と、前記第1取付部材と前記第2取付部材との間を弾性的に支持する弾性体と、隔壁の一部が前記弾性体で構成され、液体が封入された主液室と、隔壁の一部がダイヤフラムで構成されるとともに液体が封入され、液圧の変化に応じて内容積が拡縮可能な副液室と、前記主液室と前記副液室との間に設けられた仕切部材と、前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、前記オリフィス通路の少なくとも一部の断面積を拡縮する方向に移動可能な可動部材と、前記オリフィス通路の断面積を拡大する方向に前記可動部材を付勢する付勢手段と、を有し、前記可動部材は、前記主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合に、前記オリフィス通路の断面積を縮小する方向に移動しうるように構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、主液室の液圧が上昇する方向に大きな荷重が入力されると、可動部材が移動して、オリフィス通路の断面積が縮小される。これにより、オリフィス通路の流路抵抗が増加するため、液柱共振周波数が低周波側にシフトする。その結果、キャビテーションを発生させる振動が入力された場合に、オリフィス通路が目詰まりした状態になる。これにより、主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力されても、主液室からオリフィス通路に液体が流入し難くなるので、主液室内の正圧が大きくなる。そのため、次に主液室の液圧が下降する方向の荷重が入力されても、主液室内の負圧は大きくならない。したがって、キャビテーションの発生を抑制することができる。
前記付勢手段は、前記オリフィス通路の断面積が最大となるように前記可動部材が位置している状態でも、前記オリフィス通路の断面積を拡大する方向に前記可動部材を付勢していることを特徴とする。
この構成によれば、主液室の液圧が上昇する方向に小さな荷重(シェイク振動による荷重)が入力された場合には、可動部材が移動せず、オリフィス通路の断面積が最大の状態に維持される。これにより、シェイク振動の入力時には液体をオリフィス通路に流通させることが可能になり、良好な防振性能を発揮することができる。
前記付勢手段は、板ばねであることを特徴とする。
この構成によれば、低コストかつ省スペースの付勢手段を採用することができる。
本発明によれば、主液室の液圧が上昇する方向に大きな荷重が入力されると、可動部材が移動してオリフィス通路の断面積が縮小される。これにより、キャビテーション振動に対してオリフィス通路が目詰まりするので、主液室からオリフィス通路に液体が流入し難くなり、主液室内の正圧が大きくなる。そのため、続けて主液室の液圧が下降する方向の荷重が入力されても、主液室内の負圧は大きくならない。したがって、キャビテーションの発生を抑制することができる。
以下、本発明に係る防振装置の実施形態に係るエンジンマウントを、図面に基づいて説明する。
(エンジンマウント)
図1は、第1実施形態に係るエンジンマウントの全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、エンジンマウント(防振装置)10は、自動車における振動発生部であるエンジンを、振動受け部である車体へ支持するものである。なお、図中の符号Sはエンジンマウント10の中心軸を示しており、この中心軸Sに沿った方向をエンジンマウント10の軸方向とする。なお以下には、エンジンマウントの軸方向における弾性体18側を「上」と呼び、ダイヤフラム部材側を「下」と呼ぶ場合がある。
エンジンマウント10は、筒状の外筒部材(第1取付部材)14と、外筒部材14の内周側の上方に略同軸的に配置された内筒部材(第2取付部材)16と、外筒部材14と内筒部材16との間を弾性的に支持するゴム材料等からなる弾性体18とを備えている。
外筒部材14には、上端部に筒状の大径部28が形成されるとともに、下端側に大径部28に対して小径とされた筒状の小径部30が形成されている。大径部28と小径部30との間には、内周側へ縮径された絞り部32が全周に亘って形成されている。
内筒部材16は砲弾形状の部材であって、その上部には軸心Sに沿って延びる連結部22が形成されている。この連結部22の中心部にねじ孔24が穿設されている。このねじ孔24にボルト26が捻じ込まれてエンジン側ブラケット(不図示)が固定され、内筒部材16はエンジン側ブラケットを介してエンジン側に締結固定される。一方、内筒部材16の下側には、下方に向けて先細るテーパ部21が形成されている。そして、連結部22とテーパ部21との間には、内筒部材16の径方向外側に張り出すアンカ部20が形成されている。
弾性体18は、外周面が外筒部材14における大径部28及び絞り部32の内周側に加硫接着されるとともに、内周面が内筒部材16におけるテーパ部21の外周側に加硫接着されている。これにより、内筒部材16と外筒部材14とが弾性的に連結されている。外筒部材14と内筒部材16との間には、内筒部材16におけるテーパ部21の周囲を囲むように弾性体18を貫通するインナーリング35が内装されている。また、弾性体18の内周面の上端部がアンカ部20を包み込むように延設されて、リバウンドストッパ機構が形成されている。
一方、外筒部材14の小径部30の内周側には、円筒形状のダイヤフラム支持部材80が嵌挿されている。ダイヤフラム支持部材80の内周側には、ゴム等の弾性材料からなる椀状のダイヤフラム82が加硫接着されている。ダイヤフラム支持部材80は、外筒部材14の小径部30を径方向内側に加締ることによって固定されている。これにより、外筒部材14の内部が密閉封止され、その内部には液体が封入されている。なお、外筒部材14の内部に充填される液体としては、エチレングリコールや水等が用いられる。
外筒部材14の内部には、仕切部材100が設けられている。仕切部材100は、ダイヤフラム支持部材80と外筒部材14の絞り部32との間に挟持されている。そして、仕切部材100と弾性体18との間に主液室84が形成され、仕切部材100とダイヤフラム82との間に副液室86が形成されている。すなわち仕切部材100は、主液室と前記副液室との間に設けられている。なおダイヤフラム82を備えた副液室86は、液圧の変化に応じて内容積が拡縮可能になっている。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態における仕切部材の側面断面図である。図2(a)に示すように仕切部材100は、固定部材110、可動部材120および板ばね140を備えている。固定部材110および可動部材120は、樹脂材料やアルミニウム合金等により成型されている。
固定部材110は、平板リング状の底板部112と、底板部112の外周縁部から立設された外壁部114とを備えている。なお外筒部材14の絞り部32の下方には、弾性体18の座面42が下方に向けて形成されている。この座面42とダイヤフラム支持部材80との間に外壁部114が挟持されて、固定部材110の相対位置が固定されている。
固定部材110の内側に、可動部材120が設けられている。可動部材120は、平板リング状の天板部122と、天板部122の内周縁部から垂下された内壁部124とを備えている。可動部材120は、固定部材110の内側において上下方向に移動可能とされている。なお可動部材120の内壁部124の内周面は、固定部材110の底板部112の内側面との間で、液体をシールしつつ摺動しうるようになっている。
可動部材120の内壁部124の内面から中心軸に向かって、メンブラン支持部126が設けられている。メンブラン支持部126の中央には開口部が形成され、その開口部を閉塞するようにメンブラン75が設けられている。メンブラン75は、ゴム等の弾性材料により膜状に形成されている。シェイク振動より高い周波数の振動がエンジンマウントに入力された場合には、オリフィス通路130が目詰まりするので主液室84の圧力が上昇することになる。この場合、主液室84と副液室86との圧力差に応じてメンブラン75がたわみ変形することにより、主液室84の圧力上昇を緩和して動的ばね定数の増加を抑制することができる。
固定部材110および可動部材120によって囲まれた空間に、主液室84と副液室86とを連通するオリフィス通路130が形成されている。オリフィス通路130は、固定部材110の底板部112および外壁部114、並びに可動部材120の天板部122および内壁部124を壁面とし、外筒部材14の内周に沿って円環状に形成されている。可動部材120の天板部122にはオリフィス通路130の主液室84側の開口部132が形成され、内壁部124にはオリフィス通路130の副液室86側の開口部134が形成されている。主液室84側の開口部132と副液室86側の開口部134との間には、オリフィス通路130の閉塞部(不図示)が形成されている。
そして、可動部材120が上下移動することにより、固定部材110の底板部112と可動部材120の天板部122との距離が変化して、オリフィス通路130の断面積(液体の流通方向に垂直な断面積)が拡大および縮小されるようになっている。
仕切部材100の下方に、付勢手段として板ばね140が設けられている。板ばね140は、金属材料等により平板リング状に形成されている。板ばね140の外径は固定部材110の外径と同等に形成され、板ばね140の内径は可動部材120の内径と同等に形成されている。板ばね140は、仕切部材100とダイヤフラム支持部材80との間に外周縁部が挟持され、内周縁部が軸方向に撓み変形可能とされている。この板ばね140により、可動部材120がオリフィス通路130の断面積を拡大する方向(本実施形態では上方向)に付勢されている。また可動部材120は、板ばね140を撓み変形させつつ上下方向に移動しうるようになっている。なお可動部材120の上方向への移動は、弾性体の座面42に当接することで規制される。
なお可動部材120が上端部に位置し、オリフィス通路130の断面積が最大となっている状態でも、オリフィス通路130の断面積をさらに拡大する方向に、可動部材120が板ばね140によって付勢されていることが望ましい。具体的には、板ばね140の内周縁部を上方に立ち上げて、その先端を可動部材120の内壁部124の下端面に当接させればよい。これにより、シェイク振動の入力時には可動部材120が移動せず、シェイク振動より大きい振動の入力時に初めて可動部材120が下降して、オリフィス通路130の断面積を縮小させることができる。また可動部材120のがたつきを防止することができる。
(作用)
次に、上記構成のエンジンマウントの作用を説明する。
図5はエンジンマウントの作用のフローチャートである。
従来技術に係るエンジンマウントでは、路面の凹凸等により、主液室84の液圧が上昇する方向の荷重(以下「正荷重」という。)が入力されると(S10,S12)、主液室84内の液圧が上昇する(S14)。これにより、液体がオリフィス通路130を通って副液室86に移動するため(S16)、主液室84の液圧は大気圧付近に維持される(S18)。そのため、次に主液室84の液圧が下降する方向の荷重(以下「負荷重」という。)が入力されると、主液室84の液圧は大気圧付近から負圧に低下するため、負圧が大きくなる(S20)。このように、大きな正荷重が入力された後に大きな負荷重が入力されると、主液室84の負圧が大きくなり、主液室84の液体の一部が気化して気泡が発生する(キャビテーション:S22)。そして、再び正荷重が入力されて主液室の液圧が上昇し(S24)、負圧が解消され気泡が消滅する際に、異音が発生するという問題がある(S26)。
なお、特許文献1に記載された発明のように負圧弁を採用した場合には、主液室内の負圧が大きくなると(S20)、主液室と副液室との間に配設された負圧弁が開いて(S30)、主液室と副液室とが短絡する(S32)。これにより、主液室内の負圧が緩和され、キャビテーションの発生を抑止しうるとされている(S34)。その後、再び正荷重が入力されると、主液室内の液圧が上昇し(S36)、負圧弁が閉じて(S36)、初期状態に復帰する(S40)。このように、特許文献1に記載された負圧弁は、負荷重が入力され主液室が負圧となった場合に動作する。
しかしながら、特許文献2に記載された発明では、シェイク振動の入力時に主液室に惹起される負圧によっても、若干ながら短絡路が連通状態になる。この場合、オリフィス通路に液体が流入し難くなり、防振性能が十分に発揮できなくなるという問題がある。
これに対して、本実施形態の可動部材は、正荷重が入力され主液室が正圧となった場合に動作する正圧弁(狭窄弁)として機能する。
図2(b)は、正荷重が入力された場合の動作説明図である。本実施形態に係るエンジンマウントでは、大きな正荷重が入力されて主液室84の液圧が急激に上昇すると(S14)、可動部材120の天板部122および可動部材120に固定されたメンブラン75の上面に液圧が作用する。液圧により可動部材120を押し下げる力が、板ばね140により可動部材120を押し上げる力を上回ると、可動部材120が下降する(S50)。これにより、オリフィス通路130の断面積が縮小され(S52)、ひいてはオリフィス通路130が閉塞される。このように可動部材120は正圧弁(狭窄弁)として機能する。
図6は、オリフィス通路の断面積縮小に伴う動特性変化を示すグラフである。図6において破線で示すように、オリフィス通路の液柱共振周波数は、シェイク振動の周波数(例えば、8〜12Hz程度)にチューニングされている。そのオリフィス通路の断面積が縮小された場合には、流路抵抗が増加するため、図6において実線で示すように、液柱共振周波数は低周波側にシフトする(S54)。ここで、上述したキャビテーションを発生させる振動の周波数は、シェイク振動の周波数と同等(例えば、8〜15Hz程度)である。すなわち、本実施形態に係るエンジンマウントにキャビテーションを発生させる振動が入力されると、オリフィス通路が目詰まりした状態になる(S56)。そのため、さらに正荷重が入力されても、主液室内の液体はオリフィス通路に流入し難くなる。したがって、本実施形態に係るエンジンマウントでは、従来技術に比べて主液室の正圧が大きくなる(S58)。
次に負荷重が入力されると、主液室内の液圧はまず大きな正圧から大気圧に低下し、さらに負荷重が入力されると、液圧は大気圧から負圧に低下する。そのため、本実施形態に係るエンジンマウントでは、従来技術に比べて主液室の負圧が小さくなる。したがって、キャビテーションの発生を抑制することができる(S60)。
続けて負荷重が入力され、主液室内の液圧が低下すると(S62)、図2(b)に示す可動部材120が上昇し(S64)、オリフィス通路130の断面積が拡大されて、図2(a)に示す初期状態に復帰する(S66)。
なお図2(a)に示すように、可動部材120が上端部に位置しオリフィス通路130の断面積が最大となっている状態でも、可動部材120は板ばね140によりオリフィス通路130の断面積を拡大する方向に付勢されている。そのため、キャビテーションを発生させる振動よりも小振幅のシェイク振動の入力時には、可動部材120が下降せず、オリフィス通路130は断面積が最大の状態に維持される。これにより、シェイク振動の入力時には液体をオリフィス通路130に流通させることが可能になり、良好な防振性能を発揮することができる。なお、オリフィス通路130の断面積が最大の状態では、固定部材110の外壁部114および可動部材120の天板部122が共に弾性体の座面42に当接しているので、両者間のシールを確保することが可能である。
このように、本実施形態に係るエンジンマウントは、オリフィス通路130の少なくとも一部の断面積を拡縮する方向に移動可能な可動部材120と、オリフィス通路130の断面積を拡大する方向に可動部材120を付勢する付勢手段140と、を有し、可動部材120は、主液室84の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合に、オリフィス通路130の断面積を縮小する方向に移動しうるように構成されている。
この構成によれば、大きな正荷重が入力されると、可動部材120が移動してオリフィス通路130の断面積が縮小される。これにより、キャビテーション振動に対してオリフィス通路が目詰まりするので、主液室からオリフィス通路130に液体が流入し難くなり、主液室内の正圧が大きくなる。そのため、次に大きな負荷重が入力されても、主液室内の負圧は大きくならない。したがって、キャビテーション発生を抑制することができる。これに伴って、気泡の消滅に伴う異音の発生を防止することができる。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るエンジンマウントの全体構成を示す断面図である。第2実施形態では、付勢手段としてコイルばね240を採用している点で、板ばねを採用している第1実施形態とは相違している。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
図4は、第2実施形態における仕切部材の側面断面図である。図4(a)に示すように仕切部材100は、固定部材110、可動部材120およびコイルばね240を備えている。コイルばね240は、オリフィス通路130の内部であって、固定部材110の底板部112と可動部材120の天板部122との間に配置されている。コイルばね240を構成する線材の直径は小さく設定され、オリフィス通路130における液体の流通を妨げないようになっている。
コイルばね240は、オリフィス通路130の断面積を拡大する方向(本実施形態では上方向)に可動部材120を付勢している。なお可動部材120が上端部に位置、オリフィス通路130の断面積が最大となっている状態でも、オリフィス通路130の断面積を拡大する方向に、可動部材120がコイルばね240によって付勢されていることが望ましい。具体的には、コイルばね240に予圧縮を与えてオリフィス通路130の内部に配置すればよい。これにより、シェイク振動の入力時には可動部材120が移動せず、シェイク振動より大きい振動の入力時に初めて可動部材120が下降して、オリフィス通路130の断面積を縮小させることができる。また可動部材120のがたつきを防止することができる。
図4(b)は、正荷重が入力された場合の動作説明図である。大きな正荷重が入力されて主液室84の液圧が急激に上昇すると、可動部材120およびメンブラン75の上面に液圧が作用する。液圧により可動部材120を押し下げる力が、コイルばね240により可動部材120を押し上げる力を上回ると、可動部材120が下降する。これにより、オリフィス通路130の断面積が縮小され、キャビテーション振動に対してオリフィス通路が目詰まりするので、主液室84内の液体はオリフィス通路130に流入し難くなる。したがって、主液室84の正圧が大きくなる。
次に負荷重が入力されても、主液室84内の液圧は大きな正圧から負圧に低下するので、負圧が大きくならない。したがって、キャビテーションの発生を抑制することができる。
このように、板ばねに代えてコイルばね240を採用した第2実施形態においても、第1実施形態と同様にキャビテーション発生を抑制することができる。これに伴って、気泡の消滅に伴う異音の発生を防止することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では内筒部材の上方にエンジンが固定されるエンジンマウントを例にして説明したが、これとは逆に内筒部材の下方にエンジンが固定される、いわゆる吊り下げ型のエンジンマウントに本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態では主液室と副液室との圧力差に応じてたわみ変形する固定型のメンブラン部材を採用したが、圧力差に応じて所定範囲内で自在に移動しうるガタ部材や、ガタ部材およびメンブラン部材の機能を併有するガタメンブラン部材等を採用することも可能である。
第1実施形態に係るエンジンマウントの全体構成を示す断面図である。 第1実施形態における仕切部材の側面断面図である。 第2実施形態に係るエンジンマウントの全体構成を示す断面図である。 第2実施形態における仕切部材の側面断面図である。 エンジンマウントの作用のフローチャートである。 オリフィス通路の狭窄に伴う動特性変化を示すグラフである。
符号の説明
10…エンジンマウント(防振装置) 14…外筒部材(第1取付部材) 16…内筒部材(第2取付部材) 18…弾性体 82…ダイヤフラム 84…主液室 86…副液室 100…仕切部材 120…可動部材 130…オリフィス通路 140…板ばね(付勢手段) 240…コイルばね(付勢手段)

Claims (3)

  1. 振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結され、略筒状に形成された第1取付部材と、
    前記振動発生部および前記振動受部のいずれか他方に連結され、前記第1取付部材の内周側に配置された第2取付部材と、
    前記第1取付部材と前記第2取付部材との間を弾性的に支持する弾性体と、
    隔壁の一部が前記弾性体で構成され、液体が封入された主液室と、
    隔壁の一部がダイヤフラムで構成されるとともに液体が封入され、液圧の変化に応じて内容積が拡縮可能な副液室と、
    前記主液室と前記副液室との間に設けられた仕切部材と、
    前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、
    前記オリフィス通路の少なくとも一部の断面積を拡縮する方向に移動可能な可動部材と、
    前記オリフィス通路の断面積を拡大する方向に前記可動部材を付勢する付勢手段と、を有し、
    前記可動部材は、前記主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合に、前記オリフィス通路の断面積を縮小する方向に移動しうるように構成されていることを特徴とする防振装置。
  2. 前記付勢手段は、前記オリフィス通路の断面積が最大となるように前記可動部材が位置している状態でも、前記オリフィス通路の断面積を拡大する方向に前記可動部材を付勢していることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記付勢手段は、板ばねであることを特徴とする請求項1または2に記載の防振装置。
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