JP2007270866A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな振動荷重の入力時に受圧室に発生する過大な負圧を速やかに解消してキャビテーションに起因すると考えられる異音や衝撃の発生を抑えることの出来る、簡単で実用性の高い新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【解決手段】受圧室36と平衡室38を仕切る仕切壁部24に透孔42を形成すると共に、仕切壁部24に対して受圧室36側から重ね合わされることによって透孔42を流体密に閉塞し且つ仕切壁部24から離隔することで透孔42を連通状態とする閉塞部材44を設け、更に閉塞部材44から平衡室38側に向かって延び出して可撓性膜28を貫通して外部に至る付勢力伝達部52,54を設けて、平衡室38の外部に配設した付勢手段62による付勢力を付勢力伝達部52,54を通じて閉塞部材44に及ぼし、閉塞部材44を仕切壁部24に対する重ね合わせ状態に付勢力をもって保持せしめた。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、例えば自動車用のエンジンマウント等として好適に採用され得る流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振装置として、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用などの流動作用に基づく防振効果を利用した流体封入式の防振装置が知られている。かかる防振装置は、一般に、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室にそれぞれ水等の非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた構造とされている。
そして、このような流体封入式防振装置は、オリフィス通路のチューニング周波数域で特に有効な防振効果を得ることが出来る。それ故、例えば、アイドリング振動やエンジンシェイク等の特定周波数域の振動に対して高度な防振性能が要求される自動車用のエンジンマウント等への適用が検討されている。
ところで、従来構造の流体封入式防振装置では、第一の取付部材と第二の取付部材の間に大きな振動荷重が入力されると、防振装置から異音や振動が発せられる場合がある。具体的には、流体封入式防振装置をエンジンマウントとして採用した自動車では、波状路やスピードブレーカ等を走行した場合に、車室内で乗員が体感できる程の異音や衝撃を発するおそれがある。
このような異音や振動の発生は、衝撃的な振動の入力時において、オリフィス通路を通じての受圧室と平衡室の間での流体流動が追従しきれず、受圧室内に瞬間的に著しい負圧が生ぜしめられることにより、封入流体からの溶存気体の遊離や蒸発でキャビテーションと解せられる気泡が形成されることに起因すると考えられる。そして、かかる気泡は、受圧室内で成長してから潰れる時に大きな衝撃を発生する。これが水撃圧となって、第一の取付部材や第二の取付部材に伝播し、自動車のボデーなどに伝達されることによって、前述の如き問題となる異音や衝撃が発生すると考えられる。
このような問題に対処するために、例えば、特許文献1(特公平07−107416号公報)には、受圧室と平衡室を仕切る仕切ゴム膜を設けると共に、この仕切ゴム膜に切込みを形成した構造が提案されている。このような構造では、受圧室と平衡室の圧力差が大きくなった場合に、仕切ゴム膜が大きく弾性変形することに伴い、切込みが開口する。これにより、受圧室と平衡室の圧力差を解消することが可能とされている。
しかしながら、このような特許文献1において提案されている構造では、受圧室に負圧が生じた場合だけでなく、正圧が生じた場合でも仕切ゴム膜の切込みが開口することから、振動入力時に受圧室と平衡室の相対的な圧力変動を十分に得ることが困難となる。その結果、オリフィス通路を通じての流体流動量を確保し難くなって、オリフィス通路による所期の防振効果が十分に発揮され難くなってしまうという問題があった。
そこで、本出願人は、特許文献2(特開2003−148548号公報)において、リップ状のゴム弾性体による弁手段を採用することによって、設定負圧よりも大きな負圧が受圧室に生ぜしめられた場合に、仕切部材に形成された短絡通路によってオリフィス通路を受圧室に短絡させる構造を提案した。この先願の構造によれば、弁手段が一方向弁として機能することにより、受圧室に大きな正圧が発生しても圧力の逃げが防止される。従って、オリフィス通路を通じての流体流動量を確保しつつ、受圧室における過大な負圧の発生を回避してキャビテーションによると思われる上述の如き異音や衝撃の発生を抑えることが可能となるのである。
ところが、本発明者が更なる検討を加えた結果、特許文献2に示された流体封入式防振装置でも、未だ十分でない場合のあることがわかった。即ち、特許文献2に示された弁手段は、リップ状のゴム片によって構成されていることから、その肉厚寸法や大きさ、ゴム材料等の設定によっては、開閉作動を繰り返すことにより変形や変質,破損といった不具合が生じるおそれがあり、十分な耐久性の確保が難しい場合があった。また、かかる弁手段では、その開作動が受圧室の負圧を利用した弁手段の弾性変形に基づいて行なわれるものであり、弁体の開閉作動の特性設定が難しいという問題があった。即ち、弁手段の開閉条件は、弁手段を構成するゴム片の肉厚寸法や大きさ、ゴム材料等の選択で設定することが出来るが、その設定が難しく、受圧室における小さな負圧でも弁体が不必要に開状態になると、受圧室の圧力変動が抑えられてしまい、オリフィス通路を通じての流体流動に基づく所期の防振効果が得られ難くなる。一方、受圧室における大きな負圧でも弁体が閉状態に維持されてしまうと、受圧室の負圧が速やかに解消されずに、目的とするキャビテーションによる異音や衝撃の緩和効果が十分に発揮されなくなってしまう。そのような種々なる条件を考慮して、比較的に小さなゴム片からなる弁手段のばね特性を調節して適当に設定することが、難しかったのである。
また、本出願人は、特許文献3(特開2005−048906号公報)において、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材にチェックバルブを内蔵して、受圧室に大きな負圧が発生した場合の受圧室と平衡室の圧力差に基づいてチェックバルブが開いて受圧室の負圧を解消するようにした構造を提案した。即ち、チェックバルブを採用したことにより、バルブを閉状態に保持する付勢手段として、バルブ本体とは別体のコイルスプリングを採用することが出来るのであり、それにより、上述の特許文献2に記載されている如きゴム片から成る弁手段自体の弾性を調節するよりも、容易にバルブ特性のチューニングが可能となるのである。
しかしながら、このようなチェックバルブを採用することは、部品点数の増加と組付作業工程の煩雑化を伴うことから、実用化が難しいという問題がある。また、チェックバルブでは、それを組み込む仕切部材の肉厚寸法等の制限によって、充分に大きな流路面積を設定することが困難であるという問題があり、急激で且つ著しい受圧室の負圧を速やかに解消するに際して充分でない場合もあったのである。
特公平07−107416号公報 特開2003−148548号公報 特開2005−048906号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、大きな振動荷重の入力時に受圧室に発生する過大な負圧を速やかに解消してキャビテーションに起因すると考えられる異音や衝撃の発生を抑えることの出来る、簡単で実用性の高い新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結して、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室とを形成し、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、受圧室と平衡室を仕切る仕切壁部に透孔を形成すると共に、仕切壁部に対して受圧室側から重ね合わされることによって透孔を流体密に閉塞し且つ仕切壁部から離隔することで透孔を連通状態とする閉塞部材を設け、更に閉塞部材から平衡室側に向かって延び出して可撓性膜を貫通して外部に至る付勢力伝達部を設けて、平衡室の外部に配設した付勢手段による付勢力を付勢力伝達部を通じて閉塞部材に及ぼし、閉塞部材を仕切壁部に対する重ね合わせ状態に付勢力をもって保持せしめたことにある。
本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、静置状態や通常の振動入力状態下で、付勢手段の付勢力で閉塞部材が仕切壁部への重ね合わせ状態に保持されて透孔は遮断状態に維持される。それ故、通常の振動入力に際しては、受圧室と平衡室の間でオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられて、その流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮され得る。
一方、かかる流体封入式防振装置に対して大きな振動荷重が外部から及ぼされて受圧室に大きな負圧が発生した場合には、閉塞部材の一方の面に及ぼされる受圧室の圧力と他方の面に及ぼされる平衡室の圧力との相対的な圧力差に基づいて、閉塞部材が仕切壁部から離れて受圧室側に変位せしめられる。これにより、仕切壁部に設けられた透孔が開口せしめられて、受圧室と平衡室が小さな流路抵抗をもった透孔で連通されることとなり、その結果、受圧室における大きな負圧が、平衡室からの流体流入によって速やかに解消され得るのであり、以て、受圧室におけるキャビテーションに起因すると考えられる異音や衝撃の発生が効果的に抑えられるのである。
ここにおいて、かかる閉塞部材を仕切壁部に対する重ね合わせ方向に付勢する付勢手段は、閉塞部材の付勢力伝達部が可撓性膜を貫通して配設されていることにより、受圧室や平衡室などの非圧縮性流体の封入領域に配設する必要がなく、外部空間に配設されることとなり、その付勢力を付勢力伝達部を介して閉塞部材に及ぼすことが出来る。それ故、かかる付勢手段の大きさや形状、材質、配設スペースなどを、非常に大きな自由度をもって設定することが可能となるのであり、付勢手段の特性チューニングや、付勢手段の組付作業なども容易となる。
しかも、付勢手段を閉塞部材から離れた位置に配設することが出来ることから、付勢手段の構造や種類等によって閉塞部材の形状や大きさ等が特別な制限を受けるようなこともない。また、付勢手段が非圧縮性流体の封入領域外に配設されることから、非圧縮性流体の封入領域内における閉塞部材の配設スペースを、付勢手段の配設スペースで制限されることなく充分に大きく設定することが可能となる。それ故、仕切壁部に設けられて閉塞部材で開閉される透孔を充分に大きな開口面積をもって形成することが可能となるのであり、それによって、上述の如き大きな振動荷重の入力時における受圧室の衝撃的な負圧を極めて速やかに解消せしめて、かかる負圧に起因する異音や衝撃を極めて効果的に回避せしめることが出来るのである。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、付勢手段として引張コイルばねと板ばねの少なくとも一方を採用し、第二の取付部材と閉塞部材の付勢力伝達部との間において、閉塞部材を仕切壁部に対して受圧室側から重ね合わせて押し付ける方向に、付勢手段による付勢力が作用せしめられるようにした構造が、好適に採用される。これによれば、付勢手段の付勢力が作用する方向が、受圧室の正圧が閉塞部材に対して及ぼされる方向と略同じとなり、透孔の遮断状態が一層安定して維持され得る。しかも、付勢力を特別に大きくする必要がなくなって、付勢手段や閉塞部材、仕切壁部の耐久性が向上され得ると共に、受圧室の問題となる負圧の発生に際して、閉塞部材の仕切壁部からの離隔に基づく透孔の開口状態も、より安定して維持され得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、第二の取付部材を円筒形状として、その一方の開口部側に第一の取付部材を配設し、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結することによって第二の取付部材の一方の開口部を流体密に閉塞すると共に、第二の取付部材の他方の開口部側を可撓性膜で流体密に閉塞し、更に第一の取付部材と可撓性膜の対向面間で軸直角方向に広がる仕切壁部を第二の取付部材で固定的に支持せしめることにより、仕切壁部を挟んだ両側に受圧室と平衡室を形成する一方、仕切壁部から平衡室側に向かって延びて可撓性膜を貫通して外部に至るようにして付勢力伝達部を設けると共に、付勢手段を第二の取付部材における他方の開口端縁部で支持せしめて、第二の取付部材と付勢力伝達部との間に付勢手段による付勢力が作用せしめられるようにした構造が、好適に採用される。これにより、付勢力伝達部が可撓性膜を貫通して外部に至るようにされていることで、付勢手段が防振装置の内部に配設されることなく、外部から閉塞部材に対して付勢力を及ぼす構造がコンパクトに実現され得る。それ故、受圧室や平衡室、オリフィス通路、付勢手段の設計自由度が大きく確保されて、防振効果の更なる向上が図られ得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、閉塞部材の中央に開口窓を形成すると共に、開口窓をゴム弾性膜で流体密に閉塞せしめて可動膜を形成した構造が、採用されても良い。これにより、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動が入力されて、オリフィス通路を通じての流体の流動抵抗の著しい増大に伴いオリフィス通路が実質的に目詰まり状態となった場合に、ゴム弾性膜の弾性変形に基づき受圧室の圧力変動が平衡室に逃がされることによって、受圧室の高動ばね化が回避される。その結果、複数の乃至は広い周波数域に亘って安定した防振効果が得られるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。この自動車用エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされている。第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットがボデーに対して防振支持されるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前のエンジンマウント10の単体での状態が示されているが、本実施形態では、装着状態において、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力される。従って、マウント装着状態下では、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で互いに接近する方向に変位する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明において、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12は、下方に向かって径寸法が次第に小さくなる略円錐台形状を呈している。第一の取付金具12には、上方に開口する螺子穴18が形成されている。
第二の取付金具14は、大径の略円筒形状を有している。第二の取付金具14の一方の開口部としての上方開口部側に第一の取付金具12が離隔配置されて、両金具12,14の中心軸が略同一線上に位置せしめられている。第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、本体ゴム弾性体16が配設されている。
本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、その小径側端面には、第一の取付金具12が埋設された状態で加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、第二の取付金具14の軸方向中間部分乃至は上端部分の内周面が加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16で相互に弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14の一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。
また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、下方に開口する略すり鉢形状の凹所20が形成されている。更に、第二の取付金具14軸方向中間部分から下端部分にかけての内周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層22が、略一定の厚さ寸法で全体に亘って被着形成されている。
これら第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、第二の取付金具14の他方の開口部としての下方開口部側から仕切壁部としての隔壁部材24やオリフィス部材26、可撓性膜としてのダイヤフラム28が組み付けられている。
隔壁部材24は、薄肉の円板形状を有しており、金属材や合成樹脂材、或いはそれらの複合材等の硬質材料を用いて形成されている。
オリフィス部材26は、厚肉の円環板形状を有しており、金属材や合成樹脂材、或いはそれらの複合材等の硬質材料を用いて形成されている。オリフィス部材26の外径寸法と隔壁部材24の外径寸法が略同じとされていると共に、それらが第二の取付金具14の内径寸法よりも小さくされている。また、オリフィス部材26には、外周面に開口する略一定の凹状断面で周方向に所定の長さ(例えば、一周弱)で延びる周溝30が形成されている。
ダイヤフラム28は、中央部分に十分な弛みをもたせて変形容易とした薄肉の略円板形状のゴム弾性膜によって構成されている。ダイヤフラム28の外周面には、大径の円筒形状の固定リング32が加硫接着されている。固定リング32の外径寸法が、オリフィス部材26の外径寸法や隔壁部材24の外径寸法と略同じとされている。
これら隔壁部材24やオリフィス部材26、固定リング32が、各中心軸を略同一線上に位置させるようにして、軸方向に互いに重ね合わせられていると共に、何れも軸直角方向に広がるようにして第二の取付金具14の下方開口部から内挿されている。そして、隔壁部材24やオリフィス部材26が第二の取付金具14の軸方向中間部分に位置せしめられていると共に、固定リング32が第二の取付金具14の下方開口部のあたりに位置せしめられた形態で、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されている。それによって、隔壁部材24やオリフィス部材26、固定リング32の各外周面が、シールゴム層22を介して第二の取付金具14の内周面に密着状に固定されている。
これにより、第二の取付金具14の下方開口部が、ダイヤフラム28で流体密に閉塞されている。本体ゴム弾性体16とダイヤフラム28の軸方向(図1中、上下)の対向面間が、外部空間に対して密閉されており、そこに非圧縮性流体が封入された流体室34が形成されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、流体室34への非圧縮性流体の封入は、例えば、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して、隔壁部材24やオリフィス部材26、固定リング32の組み付けを、非圧縮性流体中で行うことによって、有利に実現される。
また、流体室34は、その内部に隔壁部材24やオリフィス部材26が軸直角方向に拡がるように配設されていることによって、隔壁部材24やオリフィス部材26を挟んで軸方向上下に二分されている。隔壁部材24やオリフィス部材26を挟んだ軸方向一方(図1中、上)の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室36が形成されている。一方、隔壁部材24やオリフィス部材26を挟んだ軸方向他方(図1中、下)の側には、壁部の一部がダイヤフラム28で構成されて、ダイヤフラム28の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室38が形成されている。
また、オリフィス部材26の周溝30がシールゴム層22を介して第二の取付金具14に流体密に覆蓋されていることによって、周方向に所定の長さで延びるオリフィス通路40が形成されている。オリフィス通路40の一方の端部がオリフィス部材26の上壁部および隔壁部材24を貫通して受圧室36に接続されていると共に、オリフィス通路40の他方の端部がオリフィス部材26の周壁部乃至は下壁部を貫通して平衡室38に接続されている。これにより、受圧室36と平衡室38がオリフィス通路40で相互に接続されていて、それら両室36,38間で、オリフィス通路40を通じての流体流動が許容されるようになっている。
特に本実施形態では、オリフィス通路40を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。オリフィス通路40のチューニングは、例えば、受圧室36や平衡室38の各壁ばね剛性、即ちそれら流体室34を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム28の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路40の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路40を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路40のチューニング周波数として把握することが出来る。
そこにおいて、隔壁部材24の中央部分には、透孔42が厚さ方向(図1中、上下)に貫設されている。透孔42が大径の円形状とされていることで、隔壁部材24が円環板形状を呈している。また、透孔42の径寸法がオリフィス部材26の内径寸法よりも小さくされていることにより、隔壁部材24とオリフィス部材26がそれらの中心軸をマウント中心軸上に位置せしめて軸方向に重ね合わせられた形態で、透孔42の周縁部がオリフィス部材26の内周縁部よりも径方向内側に位置せしめられている。それによって、受圧室36と平衡室38が透孔42を通じて相互に連通せしめられている。
また、透孔42には、閉塞部材としての蓋金具44が配設されている。蓋金具44は、鉄等の硬質材からなり、薄肉の略円板形状を有する部材の中央部分に円形状の開口窓46が設けられていることで、全体として円環板形状を呈している。また、透孔42の径寸法に比して、蓋金具44の外径寸法が大きくされていると共に、蓋金具44の内径寸法が小さくされている。
蓋金具44の開口窓46には、可動膜48が設けられている。可動膜48は、円板形状を有する弾性変形可能なゴム弾性膜からなり、外周縁部が蓋金具44の開口窓46の周縁部に加硫接着されていることによって、開口窓46を覆蓋するようにして蓋金具44に一体的に設けられている。即ち、可動膜48が蓋金具44を備えた一体加硫成形品として形成されている。
また、蓋金具44の外周面には、可動膜48と一体形成されたゴム層50が、略一定の厚さ寸法で略全体に亘って被着形成されている。
これら可動膜48やゴム層50を備えた蓋金具44が、中心軸を透孔42の中心軸となるマウント10の中心軸と同一線上に位置せしめて、受圧室36の側から隔壁部材24の透孔42の周縁部にゴム層50を介して密着状に重ね合わせられることによって、透孔42が可動膜48および蓋金具44で流体密に覆蓋される。その結果、受圧室36と平衡室38が流体密に閉塞される。
また、蓋金具44には、固定筒部52が一体形成されている。固定筒部52は、円筒形状を有していると共に、蓋金具44の開口窓46の周縁部から軸方向一方(図1中、下)の平衡室38の側に向かって突設されている。蓋金具44が隔壁部材24に重ね合わせられることに伴い、固定筒部52が、隔壁部材24の透孔42を挿通して、平衡室38におけるオリフィス部材26の径方向内側に位置せしめられている。かかる固定筒部52に対して連結金具54が固定されている。
連結金具54は、固定筒部52よりも小径の円筒形状を有しており、その軸方向一方(図1中、上)の筒状部分が固定筒部52に圧入固定されている。また、連結金具54の固定筒部52から外方に延びる軸方向他方(図1中、下)の端部には、径方向内方に突出した鉤状の断面で周方向に所定の長さで延びる係止部56が一体形成されている。
この連結金具54が、略円板形状を有するダイヤフラム28の中央部分を軸方向に貫通して、その軸方向中間部分乃至は突出先端部分の外周面がダイヤフラム28の貫通した部位に加硫接着されている。即ち、連結金具54は、固定リング32と共にダイヤフラム28と一体加硫成形されていて、該加硫成形品の一部を構成している。要するに、蓋金具44が、固定筒部52および連結金具54を介してダイヤフラム28の中央部分に連結されており、蓋金具44が軸方向に変位することに伴い、ダイヤフラム28が軸方向に弾性変形するようになっている。
なお、固定筒部52や連結金具54の外径寸法が、隔壁部材24の透孔42の径寸法に比して所定の大きさだけ小さくされている。
また、ダイヤフラム28の下方に位置せしめられた第二の取付金具14の下方開口部のあたりには、支持板金具58が設けられている。支持板金具58は、略円環板形状を有していると共に、内周縁部には、軸方向一方(図1中、上)のダイヤフラム28の側に向かって係止部60が突設されている。係止部60は、支持板金具58の内周縁部のまわりを鉤状の断面で周方向に所定の長さで延びている。
かかる支持板金具58が第二の取付金具14の下方開口部から嵌め込まれて、第二の取付金具14に施された八方絞り等の縮径加工によって、支持板金具58の外周縁部がシールゴム層22を介して第二の取付金具14に固定的に支持されている。これにより、支持板金具58の中央部分の係止部60とダイヤフラム28の中央部分に設けられた連結金具54が軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。
支持板金具58と連結金具54の間には、付勢手段としてのコイルスプリング62が配設されている。コイルスプリング62は、細長の金属材を円筒状に巻回した公知の引張コイルばねの構造を呈している。コイルスプリング62の軸方向一方の端部が連結金具54の係止部56に係止されていると共に、コイルスプリング62の軸方向他方の端部が支持板金具58の係止部60に係止されていることで、コイルスプリング62が、中心軸を連結金具54や支持板金具58の中心軸となるマウント10の中心軸と同一線上に位置せしめて、連結金具54と支持板金具58の軸方向間に架設されている。また、コイルスプリング62の軸方向長さがその自由長よりも大きくされた状態で架設されていることによって、連結金具54と支持板金具58の間にコイルスプリング62による付勢力が及ぼされて、第二の取付金具14に固定的に支持された支持板金具58に対して連結金具54が接近する方向に変位する力が作用せしめられている。
これにより、蓋金具44には、固定筒部52および連結金具54を介してコイルスプリング62による付勢力が及ぼされており、かかる付勢力に基づいて、蓋金具44が、隔壁部材24の透孔42の周縁部のまわりに受圧室36側から重ね合わせられて押し付けられている。即ち、支持板金具58を介した第二の取付金具14と固定筒部52および連結金具54との間において、蓋金具44を隔壁部材24に対して受圧室36側から重ね合わせて押し付ける方向にコイルスプリング62による付勢力が作用せしめられている。特に本実施形態では、蓋金具44に被着されたゴム層50が付勢力に基づき蓋金具44と隔壁部材24の間に狭圧保持されて弾性変形していることによって、蓋金具44と隔壁部材24がゴム層50を介して密着状に当接している。その結果、受圧室36と平衡室38が流体密に閉塞されている。このことからも明らかなように、本実施形態では、蓋金具44から平衡室38側に向かって延び出してダイヤフラム28を貫通して外部に至り、コイルスプリング62による付勢力を蓋金具44に及ぼす付勢力伝達部が、固定筒部52や連結金具54を含んで構成されている。
ここで、コイルスプリング62による付勢力は、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に通常の大きさの振動荷重が入力されて、受圧室36に通常の大きさの圧力変動が生ぜしめられた際に、蓋金具44と隔壁部材24の重ね合わせ状態が十分に維持される程度の大きさとされている。従って、かかる振動荷重の入力時や静置状態では、蓋金具44が隔壁部材24の透孔42のまわりに対する重ね合わせ状態に付勢力をもって保持されて、受圧室36と平衡室38の閉塞状態が維持されている。
一方、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に衝撃的で大きな振動荷重が入力されることに起因して受圧室36に過大な負圧が生ぜしめられた際には、図2にも示されているように、負圧の作用によって、蓋金具44が受圧室36の内方に向かって隔壁部材24から離隔せしめられて、蓋金具44と隔壁部材24の重ね合わせ状態が解除される形態が許容される程度に、コイルスプリング62による付勢力の大きさが設定されている。かかる離隔状態では、隔壁部材24の透孔42に対して固定筒部52や連結金具54が径方向に所定距離を隔てて挿通せしめられ、透孔42における固定筒部52乃至は連結金具54のまわりの部分が、受圧室36と平衡室38の両方に開口している。これにより、受圧室36と平衡室38が透孔42を通じて相互に連通せしめられている。
このような構造とされた自動車用エンジンマウント10を製造するに際して、例えば以下に説明する流体封入式防振装置の製造方法が好適に採用されるが、本発明はかかる具体例に限定されるものでない。
先ず、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品や固定筒部52が一体形成された蓋金具44を備えた可動膜48の一体加硫成形品、隔壁部材24、オリフィス部材26、固定リング32と連結金具54を備えたダイヤフラム28の一体加硫成形品、コイルスプリング62、支持板金具58を用意する。
非圧縮性流体中または大気中で、蓋金具44を上方から隔壁部材24の透孔42の周縁部のまわりに重ね合わせると共に、固定筒部52を透孔42に挿通する。また、オリフィス部材26を隔壁部材24における固定筒部52が突出した側の透孔42のまわりの外周部分に重ね合わせる。更に、連結金具54におけるダイヤフラム28が加硫接着された部分よりも上方の部位を、固定筒部52に圧入固定する。ダイヤフラム28の端部が固定筒部52の突出先端部に当接しているが、これは離隔していても良い。更にまた、固定リング32をオリフィス部材26の外周部分に下方から重ね合わせる。これにより、蓋金具44や隔壁部材24、オリフィス部材26、固定リング32がそれぞれ軸方向に重ね合わせられると共に、蓋金具44の固定筒部52とダイヤフラム28に設けられた連結金具54とが互いに固定された組付け体を得る。
また、非圧縮性流体中で、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品における第二の取付金具14に対して上述の組付け体を内挿して、第二の取付金具14の軸方向中間部分に位置せしめると共に、その軸方向中間部分に八方絞り等の縮径加工を施す。それによって、隔壁部材24やオリフィス部材26、固定リング32に固着されたダイヤフラム28を、シールゴム層22を介して第二の取付金具14に固定的に支持せしめて、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム28の間に受圧室36や平衡室38、オリフィス通路40を形成する。
さらに、非圧縮性流体中または大気中で、コイルスプリング62の軸方向一方の端部を連結金具54の係止部56に係止すると共に、コイルスプリング62の軸方向他方の端部を支持板金具58の係止部60に係止する。それによって、支持板金具58と連結金具54が、コイルスプリング62を介して連結されると共に、コイルスプリング62の自由長の分だけ軸方向に離隔せしめられる。また、支持板金具58の外周縁部を、第二の取付金具14における固定リング32の下方の内側に配置する。
そして、第二の取付金具14と支持板金具58の何れか一方を他方から離隔する方向に変位させることで、固定筒部52を介して蓋金具44が受圧室36側から隔壁部材24に重ね合わせられた状態を保持する。更に、両金具14,58を離隔させることによって、蓋金具44の隔壁部材24に対する重ね合わせにより連結金具54がマウント10内で静止した状態で連結金具54と支持板金具58の何れか一方が他方から離隔することに基づき、コイルスプリング62に引張荷重を及ぼして、コイルスプリング62の軸方向長さを自由長よりも大きくする。
このコイルスプリング62の長さを自由長よりも大きくした連結金具54と支持板金具58の離隔状態において、支持板金具58の外周縁部が第二の取付金具14の開口部付近の周壁部と径方向で対向位置せしめられている。そして、かかる周壁部に外方から縮径加工を施すことにより、支持板金具58をシールゴム層22を介して第二の取付金具14に固定的に支持する。
その結果、平衡室38の外部に配設したコイルスプリング62による付勢力を、連結金具54および固定筒部52を通じて蓋金具44に及ぼして、蓋金具44を隔壁部材24の透孔42のまわりに対する重ね合わせ状態に付勢力をもって保持せしめ、受圧室36と平衡室38の閉塞状態を維持している。こうした工程を経て、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10が実現される。
なお、支持板金具58の第二の取付金具14に対する組み付けを非圧縮性流体中で行った場合に、支持板金具58とダイヤフラム28の間に非圧縮性流体が残存することがあるが、かかる流体は支持板金具58の中央の孔を通じて外部に排出することが可能である。
上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、第一の取付金具12の螺子穴18に螺着される図示しない固定ボルトを用いてパワーユニット側の取付部材に固定されると共に、第二の取付金具14がブラケットや固定用ボルト等を用いて車両ボデー側の取付部材に固定されるようになっている。これにより、エンジンマウント10が、パワーユニットと車両ボデーの間に装着されて、パワーユニットを車両ボデーに防振支持せしめるようになっている。
そして、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に通常の大きさのエンジンシェイク等の振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変形によって受圧室36と平衡室38の間に惹起される圧力差に基づいてオリフィス通路40を通じて流体流動が生ぜしめられることとなり、該流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮され得る。
特に、通常の振動入力に際しては、コイルスプリング62の付勢力により蓋金具44が隔壁部材24への重ね合わせ状態に保持されて、透孔42が遮断状態に維持されているため、透孔42を通じての受圧室36の圧力漏れが回避される。これにより、受圧室36と平衡室38の相対的な圧力変動の差が有効に惹起されて、オリフィス通路40を通じての流体流動量が十分に確保されることとなり、所期の防振効果が安定して得られる。
また、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にオリフィス通路40のチューニング周波数よりも高周波数域の振動が入力されると、オリフィス通路40を通じての流体の流動抵抗が大きくなって、オリフィス通路40が実質的に閉塞状態となり、受圧室36の高動ばね化が問題となる可能性があるが、特に本実施形態では、受圧室36に面した蓋金具44の中央部分に可動膜48が設けられている。そのため、オリフィス通路40が閉塞した状態で、受圧室36と平衡室38の間に相対的な圧力差が生じると、その圧力差に基づいて可動膜48が弾性変形することにより、受圧室36の圧力変動が吸収されて、高動ばね化が回避される。それ故、そのようなオリフィス通路40のチューニング周波数よりも高周波数域の振動が入力された場合にも、安定した防振効果が発揮され得る。
ところで、自動車が波状路やスピードブレーカ等を走行して衝撃的な振動荷重が第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力された場合に、オリフィス通路40を通じての受圧室36と平衡室38の間での流体流動が追従しきれず、受圧室36内に過大な負圧が生ぜしめられることがある。かかる過大な負圧の発生により、流体室34の非圧縮性流体からの溶存気体の遊離や蒸発が生じてキャビテーション気泡が発生すると、かかる気泡が潰れる際に問題となる異音や衝撃が生じるおそれがある。
そこにおいて、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10においては、受圧室36に過大な負圧が生じた際に、蓋金具44の一方の面に及ぼされる受圧室36の圧力と他方の面に及ぼされる平衡室38の圧力との相対的な圧力差に基づいて、コイルスプリング62による付勢力に抗して、蓋金具44が隔壁部材24から離隔して受圧室36側に変位する。これにより、蓋金具44によって閉じられていた透孔42が開口せしめられて、受圧室36と平衡室38が透孔42を通じて連通されることとなり、その結果、受圧室36における過大な負圧状態が平衡室38からの流体流入によって解消される。
特に、コイルスプリング62が受圧室36や平衡室38を含む流体室34の外部に配設されていると共に、コイルスプリング62による付勢力を蓋金具44に伝達する連結金具54等がダイヤフラム28を貫通して設けられていることから、それらコイルスプリング62や連結金具54等の配設スペースを流体室34に設定することが回避される。
その結果、隔壁部材24における透孔42を充分に大きな開口面積をもって形成することが出来、透孔42の流路抵抗が小さくされることから、上述の如き大きな振動荷重の入力時における受圧室36の衝撃的な負圧が速やかに解消されて、かかる負圧に起因する異音や衝撃が効果的に抑えられるのである。
また、本実施形態では、蓋金具44がゴム層50を介して隔壁部材24に重ね合わせられることにより、ゴム層50の弾性に基づいて透孔42の流体密性が向上され得る。しかも、蓋金具44が隔壁部材24から離隔して受圧室36の負圧状態を解消した後に、コイルスプリング62の付勢力に基づき蓋金具44が隔壁部材24に再び重ね合わせられる際に、ゴム層50を介することで緩衝的に当接することとなり、当接に起因する異音の発生が有利に抑えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、透孔42や蓋金具44で構成された閉塞部材、コイルスプリング62で構成された付勢手段、固定筒部52や連結金具54で構成された付勢力伝達部等における形状や大きさ、構造、配置、数等の形態は例示の如きものに限定されない。以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、図中に当該実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
具体的には、前記実施形態において、付勢手段としてコイルスプリング62が用いられていたが、例えば図3に示されているように、付勢手段として板ばね64を採用しても良い。かかる具体例のエンジンマウントでは、ダイヤフラム28の中央部分を貫通して固着される連結金具54が軸方向に大きく延びる有底円筒形状とされている。また、板ばね64が略円板形状のばね板で構成されており、その中央部分が連結金具54の底部に重ね合わせられて固定ピン66で固定されていると共に、その外周部分が第二の取付金具14の開口部付近の内側に配されて、第二の取付金具14に縮径加工が施されることにより第二の取付金具14に固定的に支持されている。特に、板ばね64の中央部分が外周部分よりも平衡室38側に引張変形して組み付けられていることによって、連結金具54を介して蓋金具44を受圧室36側から隔壁部材24の透孔42のまわりに押し付けて重ね合わせ状態に保持する方向の付勢力を及ぼしている。そして、受圧室36に過大な負圧が発生した際には、受圧室36と平衡室38の相対的な圧力差に基づいて、蓋金具44に隔壁部材24から離隔して受圧室36に向かう力が及ぼされることに基づき、板ばね64により一層大きな引張変形が生ぜしめられて、板ばね64による付勢力に抗して蓋金具44が隔壁部材24から離隔して透孔42が開口状態となる。それによって、前記実施形態と同様に、平衡室38の流体が透孔42を通じて受圧室36に流入されることで、受圧室36の過大な負圧状態が解消されて、かかる負圧に起因する異音や衝撃の発生が効果的に抑えられる。特に本具体例では、付勢手段が板ばね64で構成されていることによって、軸直角方向等の力が及ぼされても弾性変形が比較的に安定する。それ故、付勢力による蓋金具44の変位が安定して、隔壁部材24の透孔42における開口および遮断状態の変化が安定し、所期の防振効果が一層安定して得られる。
また、前記実施形態では、隔壁部材24とオリフィス部材26が別体形成されていたが、一体形成されることも可能である。
加えて、本発明は、例示の如きエンジンマウントの他、ボデーマウントやデフマウント、更には、例えば自動車用サスペンションブッシュ等として採用される円筒型の防振ブッシュにおいても適用可能であり、自動車に限らず、受圧室の過大な負圧状態の解消が要求される各種の流体封入式防振装置に対して好適に用いられる。
本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントの縦断面図。 同自動車用エンジンマウントの一作動形態の要部の縦断面図。 同自動車用エンジンマウントと異なる形態の本発明に係る一具体例としての自動車用エンジンマウントの縦断面図。
符号の説明
10:自動車用エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、24:隔壁部材、28:ダイヤフラム、36:受圧室、38:平衡室、40:オリフィス通路、42:透孔、44:蓋金具、52:固定筒部、54:連結金具、62:コイルスプリング

Claims (4)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結して、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室とを形成し、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記受圧室と前記平衡室を仕切る仕切壁部に透孔を形成すると共に、該仕切壁部に対して該受圧室側から重ね合わされることによって該透孔を流体密に閉塞し且つ該仕切壁部から離隔することで該透孔を連通状態とする閉塞部材を設け、更に該閉塞部材から該平衡室側に向かって延び出して前記可撓性膜を貫通して外部に至る付勢力伝達部を設けて、該平衡室の外部に配設した付勢手段による付勢力を該付勢力伝達部を通じて該閉塞部材に及ぼし、該閉塞部材を該仕切壁部に対する重ね合わせ状態に付勢力をもって保持せしめたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記付勢手段として引張コイルばねと板ばねの少なくとも一方を採用し、前記第二の取付部材と前記閉塞部材の前記付勢力伝達部との間において、該閉塞部材を前記仕切壁部に対して前記受圧室側から重ね合わせて押し付ける方向に、該付勢手段による付勢力が作用せしめられるようにした請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記第二の取付部材を円筒形状として、その一方の開口部側に前記第一の取付部材を配設し、該第一の取付部材と該第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することによって該第二の取付部材の該一方の開口部を流体密に閉塞すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部側を前記可撓性膜で流体密に閉塞し、更に該第一の取付部材と該可撓性膜の対向面間で軸直角方向に広がる前記仕切壁部を該第二の取付部材で固定的に支持せしめることにより、該仕切壁部を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室を形成する一方、該仕切壁部から該平衡室側に向かって延びて該可撓性膜を貫通して外部に至るようにして前記付勢力伝達部を設けると共に、前記付勢手段を該第二の取付部材における該他方の開口端縁部で支持せしめて、該第二の取付部材と該付勢力伝達部との間に該付勢手段による付勢力が作用せしめられるようにした請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記閉塞部材の中央に開口窓を形成すると共に、該開口窓をゴム弾性膜で流体密に閉塞せしめて可動膜を形成した請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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