JP4741540B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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本発明は、例えば、自動車のエンジンマウント等として好適に用いられる防振装置に係り、特に、内部に封入された流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、防振連結すべき一方の部材を他方の部材に防振連結する手段として、例えば、第一の取付部材を、筒状部を有する第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で相互に連結した構造を有する防振装置が知られている。また、問題となる特定周波数域の振動に対して優れた防振効果を得るために、内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用した流体封入式の防振装置も提案されている。
すなわち、流体封入式防振装置は、例えば、特許文献1(特許第2805305号公報)に示されているように、第一の取付部材を筒状部を備えた第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめると共に、該第二の取付部材で仕切部材を支持せしめて、該仕切部材を挟んだ一方の側に壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室を形成すると共に、該仕切部材を挟んだ他方の側に壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた構造とされている。このような流体封入式防振装置によれば、振動入力時において、内圧変動が生ぜしめられる受圧室と、容積変化が許容されて略大気圧に維持される平衡室の間で相対的な圧力変動が生ぜしめられる。そして、かかる相対的な圧力変動によってそれら両室を相互に連通するオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく優れた防振効果が発揮されるようになっている。
しかしながら、例えば、上述の如き流体封入式防振装置を自動車用のエンジンマウントとして採用する場合等においては、自動車の走行状態等に応じて入力振動の周波数が変化する。それ故、オリフィス通路のチューニング周波数域の振動が入力されると、流体の流動作用に基づいて有効な防振効果が発揮される一方、チューニング周波数よりも高周波数域の振動が入力されると、オリフィス通路が実質的に閉塞状態とされて防振性能が低下するという問題があった。
そこで、特許文献1等において、受圧室と平衡室を仕切る可動ゴム膜を仕切部材に組み付けて、該可動ゴム膜の微小変形による液圧吸収作用を利用して、オリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動に対して有効な防振効果を得られるようにした構造が提案されている。
ところで、従来の流体封入式防振装置においては、第一の取付部材と第二の取付部材の間に大きな振動が入力された場合に、異音や振動が発生するおそれがあった。例えば、流体封入式防振装置を自動車のエンジンマウントとして採用する場合には、凹凸のある波状路上の走行時等において、第一の取付部材と第二の取付部材の間に衝撃的な振動荷重が入力されて、乗員が体感できる程の異音や振動を生じる場合があった。
このような異音や振動が発生するメカニズムは、未だ充分に明らかとはなっていないが、大きな加速度で衝撃的な振動荷重が第一の取付部材と第二の取付部材の間に入力されると、受圧室内においてキャビテーションと解される気泡が発生する。そして、かかる気泡の崩壊に際して形成される爆発的な微小噴流が水撃圧となって第一の取付部材や第二の取付部材に伝播し、車両ボデーに伝達されることによって、問題となる異音や振動が生ぜしめられるものと考えられる。従って、衝撃荷重の入力に際して発生する受圧室内の負圧を可及的速やかに解消することが、キャビテーションに起因する異音や振動を低減乃至は回避するために有効とされている。
そこで、このような異音や振動を低減乃至は回避する一つの方法として、特許文献1に示された流体封入式防振装置においては、受圧室と平衡室を仕切るように配設された可動ゴム膜に短絡孔としてのスリットを形成した構造が提案されている。このような特許文献1に記載の流体封入式防振装置では、第一の取付部材と第二の取付部材の間に衝撃的な振動荷重が入力されて受圧室内に負圧が発生すると、可動ゴム膜に形成されたスリットが開口せしめられて、該スリットを通じて受圧室と平衡室が相互に短絡されることにより、受圧室内の負圧が速やかに解消されるようになっている。
ところが、このような特許文献1に示された流体封入式防振装置においては、受圧室と平衡室を隔てる可動ゴム膜にスリットが設けられていることから、受圧室に負圧が及ぼされた場合だけでなく、受圧室に正圧が及ぼされた場合にもスリットが開いて、スリットを通じて受圧室と平衡室が短絡せしめられる。それ故、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動が充分には生じ得ず、オリフィス通路を通じて両室間を流動せしめられる流体の流動量を充分に得ることが難しい。従って、目的とする防振効果が有効に得られないおそれがある。
また、例えば、可動ゴム膜を厚肉として可動ゴム膜の弾性変形を制限することにより、スリットを開き難くすることも考えられる。これによれば、有効な防振効果を実現でき得るが、一方では、衝撃的な振動荷重が入力されて受圧室内の圧力が大きく低下した場合にも、スリットが開くことによって得られる受圧室内の負圧解消効果が不十分となり易く、上述の如きキャビテーションに起因する異音や振動の問題を解決することが困難となるおそれがある。
特許第2805305号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、通常の振動入力時における流体の流動作用に基づく目的とする防振効果を有効に実現しつつ、衝撃的な振動荷重の入力に際して問題となる異音や振動の発生を低減乃至は回避することが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することを目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、第一の取付部材が筒状部を有する第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置されて、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で相互に連結されることにより、該第二の取付部材の一方の開口部が該本体ゴム弾性体で閉塞されると共に、該第二の取付部材の他方の開口部が可撓性膜で閉塞されて、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の間に外部から密閉されて非圧縮性流体が封入された流体室が形成されると共に、該第二の取付部材で支持される仕切部材によって該流体室が二分されており、該仕切部材を挟んだ一方の側に壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成した受圧室が形成されると共に、該仕切部材を挟んだ他方の側に壁部の一部を該可撓性膜で構成した平衡室が形成されて、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路が形成された流体封入式防振装置において、前記仕切部材に可動ゴム膜が組み付けられており、該可動ゴム膜の一方の面に前記受圧室の圧力が及ぼされると共に他方の面に前記平衡室の圧力が及ぼされてこれら受圧室と平衡室の圧力差に基づく該可動ゴム膜の弾性変形によって該受圧室の圧力変動を吸収する液圧吸収機構が構成されていると共に、該可動ゴム膜の中央部分には該受圧室側に向かって突出する突部が形成されていると共に、該突部の形成部分において該可動ゴム膜を貫通する短絡孔が形成されており、更に、該可動ゴム膜の弾性に基づいて該短絡孔が閉塞状態に保持される一方、振動入力時に該受圧室に対して所定の負圧が惹起されて該可動ゴム膜が該受圧室側に向かって弾性変形せしめられることにより連通状態とされる弁機構が、該突部によって構成されていることを特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、衝撃的な振動荷重の入力によって受圧室内の圧力が大きく低下せしめられた場合には、可動ゴム膜が受圧室側に向かって弾性変形せしめられて、可動ゴム膜の弾性に基づいて短絡孔が開口せしめられる。これにより、短絡孔を通じて受圧室と平衡室の間で流体流動が生ぜしめられて、受圧室内の負圧が可及的速やかに解消される。従って、受圧室内の圧力低下に起因すると考えられている異音や振動を低減乃至は回避することが出来る。
一方、衝撃的な振動荷重の入力によって受圧室に正圧が及ぼされた場合には、可動ゴム膜が平衡室側に向かって弾性変形せしめられて、可動ゴム膜の弾性に基づいて短絡孔が閉塞状態に保持される。これにより、受圧室と平衡室の間で短絡孔を通じての流体流動が防がれて、受圧室に惹起される内圧変動が平衡室側に逃されることなく有利に確保される。従って、オリフィス通路を通じての流体の流動を有利に生ぜしめることが出来て、流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得ることが出来る。
しかも、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動ゴム膜に形成された突部が受圧室側に突出せしめられている。これにより、受圧室内に負圧が及ぼされた場合には、突部が可動ゴム膜の外周側に向かって吸引変形せしめられることにより、短絡孔がより有利に開口せしめられるようになっている。一方、受圧室内に正圧が及ぼされた場合には、突部が内周側に向かって押圧されることにより、短絡孔がより有利に閉塞状態で保持されるようになっている。このように、突部が受圧室内に突出せしめられていることにより、受圧室内に及ぼされる圧力変動に応じて弁機構を有利に開閉作動せしめることが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記可動ゴム膜における前記突部の形成部分には、前記短絡孔の前記平衡室側への開口部分において該平衡室側に向かって拡開する形状の開口凹所が形成されていることが望ましい。
これによれば、衝撃的な振動の入力により受圧室内の圧力が低下し、可動ゴム膜が受圧室側に吸引されて変形せしめられると、平衡室側に向かって拡開するように形成された開口凹所が設けられていることにより、短絡孔が有利に開口せしめられる。それ故、キャビテーションによる気泡が生じる程の負圧が受圧室に及ぼされた場合には、短絡孔を通じての流体流動が有利に生ぜしめられて、受圧室の負圧が速やかに解消されるようになっている。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記突部が、前記可動ゴム膜の中央部分を通って直線的に延びる突条形状とされていると共に、前記短絡孔が該突部に沿って延びるスリット形状の短絡スリットとされていても良い。
このような突条形状の突部とスリット形状の短絡孔を採用することにより、衝撃的な振動荷重の入力によって受圧室に負圧が及ぼされた場合には、可動ゴム膜の変形に伴って、突部において短絡スリットを挟んだ両側に位置する部分が相互に離隔変位せしめられて、短絡スリットが開口せしめられる一方、受圧室に正圧が及ぼされた場合には、突部において短絡スリットを挟んで両側に位置する部分が相互に押し当てられることにより、短絡スリットの閉塞状態がより有利に維持される。それ故、目的とする防振性能とキャビテーションによる異音や振動の低減乃至は回避を、両立して実現することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記短絡スリットにおいて直線的に延びた両端部分には、前記可動ゴム膜を貫通する亀裂防止孔が形成されていると共に、該可動ゴム膜の前記仕切部材への組付状態下では該亀裂防止孔が閉塞されている構造を採用することも出来る。
このように亀裂が生じ易い短絡スリットの長手方向両端部に亀裂防止孔を形成することにより、亀裂の進展を防いで、可動ゴム膜の耐久性を有利に向上せしめることが出来る。しかも、可動ゴム膜の仕切部材への組付け状態下で亀裂防止孔が閉塞されるようにすることにより、防振対象振動の入力に際して、受圧室と平衡室の間で亀裂防止孔を通じて流体が流動せしめられるのを防いで、オリフィス通路を通じての流体流動量を有利に確保し、流体の流動作用に基づく防振効果を有効に発揮せしめることが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の一実施形態として、自動車用エンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で連結された構造を有している。そして、第一の取付金具12が振動伝達系を構成する一方の部材である図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が振動伝達系を構成する他方の部材である図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、振動伝達系を構成する部材間にエンジンマウント10が介装されて、パワーユニットが車両ボデーによって防振支持されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、主たる振動入力方向である図1中の上下方向を言うものとする。また、図1には、本実施形態に係るエンジンマウント10の非装着状態が示されている。
より詳細には、第一の取付金具12は、鉄やアルミニウム合金等の剛性材で形成されており、略円形ブロック形状を有している。また、第一の取付金具12の上端部には、径方向外方に向かって広がるフランジ部18が一体形成されている。更に、第一の取付金具12の上端面に開口して中心軸上を延びるようにボルト穴20が形成されており、ボルト穴20の内周面には雌ねじが刻設されている。このような第一の取付金具12は、例えば、ボルト穴20に螺着される図示しない取付ボルトによって図示しないパワーユニットにボルト固定されるようになっている。
一方、第二の取付金具14は、第一の取付金具12と同様の剛性材で形成されており、薄肉大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付金具14の軸方向中間部分には、くびれ部22が設けられている。くびれ部22は、軸方向下方に向かって次第に縮径するテーパ部24と、テーパ部24の下端部から外周側に向かって広がる段差部26を含んで構成されている。また、第二の取付金具14の下端部には、外周側に向かって広がる段差28が形成されており、段差28の外周縁部から下方に向かって延び出す大径円筒形状のかしめ片29が一体形成されている。このような第二の取付金具14は、例えば、第二の取付金具14に外嵌固定される図示しないブラケットが車両ボデーに取り付けられること等により、車両ボデーに固定されるようになっている。
このような第一の取付金具12と第二の取付金具14は、同一中心軸上に配設されると共に、第一の取付金具12が第二の取付金具14に対して軸方向上方に離隔配置される。そして、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が介装されることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性的に連結されている。
本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円錐台形状を有するゴム弾性体で形成されている。また、本体ゴム弾性体16の径方向中央部分には、大径側端面(図1中、下側の端面)に開口するように大径の円形凹所30が形成されている。このような本体ゴム弾性体16の小径側端部には、第一の取付金具12が埋設されており、フランジ部18の下面が本体ゴム弾性体16の小径側端面に重ね合わされるようにして加硫接着されている。一方、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面には、第二の取付金具14の上端部およびテーパ部24が重ね合わされて加硫接着されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で相互に連結されている。なお、本実施形態における本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12と第二の取付金具14を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシールゴム層32が第二の取付金具14の内周面に固着せしめられている。シールゴム層32は、薄肉のゴム膜で形成されており、第二の取付金具14における段差部26の内周面から段差28の内周縁部に亘る部位を覆うように被着形成されている。
また、第二の取付金具14の下端開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム34が配設されている。ダイヤフラム34は、薄肉大径の略円形ドーム形状を有するゴム膜で形成されており、弾性変形が容易に許容されるようになっている。また、ダイヤフラム34の外周縁部には、固定金具36が固着されている。固定金具36は、略円環形状を有しており、筒状の固着部38と該固着部38の上端から外周側に向かって広がるかしめ部40を一体的に備えている。そして、固定金具36の固着部38に対してダイヤフラム34の外周縁部が加硫接着されることにより、ダイヤフラム34が固定金具36を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されている。なお、本実施形態では、かしめ部40の外周縁部と上端面を除く略全面に亘って固定金具36がダイヤフラム34と一体形成されたゴム層で覆われている。
このようなダイヤフラム34は、第二の取付金具14に組み付けられる。即ち、固定金具36におけるかしめ部40の外周縁部が、第二の取付金具14の下端部に設けられた段差28に対して下方から重ね合わされると共に、かしめ部40が第二の取付金具14に一体形成されたかしめ片29によってかしめ固定されることにより、ダイヤフラム34が第二の取付金具14の下端部に固定されるようになっている。
このように第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対してダイヤフラム34が組み付けられることにより、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されていると共に、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部がダイヤフラム34で流体密に閉塞されている。これにより、第二の取付金具14の内周側において本体ゴム弾性体16とダイヤフラム34の軸方向間には、外部から密閉された流体室としての流体封入領域42が形成されている。また、流体封入領域42には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油、或いはそれらの混合液等の非圧縮性流体が封入流体として封入されている。なお、封入流体は、特に限定されるものではないが、後述するオリフィス通路82を流動せしめられる流体の共振作用等に基づく防振効果を有利に得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、このような流体の封入は、ダイヤフラム34の第二の取付金具14(第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品)への組付けを非圧縮性流体中で行うことにより、有利に実現することが出来る。
また、流体封入領域42には、仕切部材44が収容配置されている。仕切部材44は、厚肉の略円板形状を有しており、本実施形態では、仕切金具本体46と蓋金具48を備えている。
仕切金具本体46は、全体として厚肉の略円板形状を有しており、その外周縁部が下方に向かって突出せしめられている。また、仕切金具本体46の径方向中間部分には、周溝52が形成されている。周溝52は、仕切金具本体46の上面に開口する凹溝であって、周方向に所定の長さで延びるように形成されている。
また、仕切金具本体46の径方向中央部分には、上方に向かって開口する円形の中央凹所54が形成されていると共に、中央凹所54の底壁部の中央を貫通する中央孔56が形成されている。中央孔56は、一定の円形断面を有しており、仕切金具本体46の径方向中央部分を貫通するように形成されている。更に、中央孔56の開口周縁部には、支持突条58が仕切金具本体46と一体形成されている。支持突条58は、周方向に延びる円環形状を有しており、中央凹所54の底壁部の内周縁部から上方に向かって突出せしめられている。なお、仕切金具本体46の内周縁部に支持突条58が設けられることにより、支持突条58と中央凹所54の壁部の協働によって、周方向に全周に亘って延びて上方に向かって開口する凹溝が設けられている。
一方、蓋金具48は、薄肉大径の板状とされており、本実施形態では、中央部分が外周部分よりも上方に位置せしめられた段付きの円板形状を有している。また、蓋金具48の径方向中央部分には、貫通孔60が形成されている。貫通孔60は、仕切金具本体46の中央孔56と略等しい直径で形成された円形の孔であって、蓋金具48の径方向中央部分を板厚方向で貫通するように形成されている。また、貫通孔60の開口周縁部には、蓋突条62が一体形成されている。蓋突条62は、全周に亘って延びる円環形状を有しており、蓋金具48の内周縁部から下方に向かって突出するように形成されている。
そして、蓋金具48は、仕切金具本体46の上端面に対して上方から重ね合わされて組み合わされている。これにより、仕切金具本体46の上端面に開口するように形成された周溝52の上側開口部が蓋金具48で覆蓋されて、周方向に所定の長さで延びるトンネル状の流路が形成されている。
また、これら仕切金具本体46と蓋金具48の間には、可動ゴム膜64が配設されている。可動ゴム膜64は、図2〜4に示されているように、略円板形状のゴム弾性体で形成されており、外周縁部には、中央部分に比して厚肉とされた環状支持部66が一体形成されている。
ここにおいて、可動ゴム膜64には、突部としての弁突条68が形成されている。弁突条68は、可動ゴム膜64の板厚方向一方の側に向かって突出せしめられており、環状支持部66よりも内周側に離隔した位置において径方向一方向で延びるように形成されている。また、本実施形態における弁突条68は、その突出先端部分が基端部分に比して薄肉となっている。
また、可動ゴム膜64において弁突条68が形成された部分には、弁突条68と反対側の面に開口する開口凹所70が形成されている。開口凹所70は、弁突条68の長手方向に延びるように直線的に形成されており、可動ゴム膜64の下端面に開口せしめられている。また、本実施形態における開口凹所70は、開口部側である下方に向かって次第に拡開するように形成されている。
さらに、可動ゴム膜64における弁突条68の形成部位には、短絡孔としての短絡スリット72が形成されている。短絡スリット72は、弁突条68の長手方向で直線的に延びて、可動ゴム膜64を板厚方向に貫通する切込みであって、弁突条68の幅方向(図2中、左右)中央に形成されている。また、短絡スリット72は、可動ゴム膜64の板厚方向一方の側において弁突条68の突出先端部分に開口すると共に、板厚方向他方の側において開口凹所70内に開口するように形成されている。また、かかる短絡スリット72によって弁突条68が幅方向両側に分割されており、一対の弁突条68a,68bとされている。そして、後述する仕切金具本体46及び蓋金具48に対する可動ゴム膜64の組付け状態下において、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動荷重が入力されない静置状態下では、一対の弁突条68a,68bが可動ゴム膜64の弾性によって相互に当接せしめられており、短絡スリット72が閉塞状態に保持されるようになっている。
更にまた、弁突条68a,68bの長手方向両側には、補強部74,74が形成されている。補強部74は、平面視で周方向に湾曲する略矩形状を呈しており、弁突条68a,68bの形成部分よりも薄肉とされている一方、可動ゴム膜64の中央部分において弁突条68a,68bを外れた部分よりも厚肉とされている。また、可動ゴム膜64の補強部74には、亀裂防止孔76が形成されている。亀裂防止孔76は、可動ゴム膜64における一対の補強部74,74の形成部位にそれぞれ貫通形成された小径の円形孔であって、弁突条68a,68bの長手方向両側に形成されている。更に、本実施形態では、短絡スリット72が弁突条68a,68bの長手方向両端よりも僅かに両側に延び出すように形成されており、短絡スリット72が亀裂防止孔76に至る長さで形成されている。
そして、このような本実施形態に係る可動ゴム膜64は、仕切金具本体46と蓋金具48の間で挟持されて、それら金具46,48に組み付けられている。即ち、可動ゴム膜64が、仕切金具本体46の中央部分に形成された中央凹所54に嵌め付けられて、可動ゴム膜64の外周縁部に設けられた環状支持部66が、中央凹所54の周壁部と支持突条58の径方向間で位置決め支持されると共に、仕切金具本体46と仕切金具本体46に対して上方から重ね合わされる蓋金具48との間で環状支持部66が挟み込まれることにより、可動ゴム膜64が仕切金具本体46と蓋金具48に対して固定的に取り付けられている。
かかる可動ゴム膜64の仕切金具本体46および蓋金具48への組付け状態下においては、仕切金具本体46に形成された中央孔56と蓋金具48に形成された貫通孔60が、可動ゴム膜64によって遮断されている。これにより、可動ゴム膜64を備えた本実施形態に係る仕切部材44が構成されている。特に本実施形態では、蓋金具48の内周縁部に設けられた蓋突条62の突出先端面が、亀裂防止孔76に対して上方から重ね合わされることにより、可動ゴム膜64の仕切金具本体46及び蓋金具48への組付け状態下において亀裂防止孔76が閉塞されるようになっている。
このような構造とされた仕切部材44は、第二の取付金具14に支持されて流体封入領域42に収容配置されている。即ち、ダイヤフラム34が第二の取付金具14に組み付けられる前に、仕切部材44が第二の取付金具14に対して下側開口部から挿し入れられて、第二の取付金具14に設けられた段差部26に対してシールゴム層32を介して下方から当接せしめられる。そして、第二の取付金具14に対して八方絞り等の縮径加工を施すことにより、仕切部材44が第二の取付金具14に対して内嵌固定されて支持されるようになっている。なお、本実施形態では、仕切部材44が第二の取付金具14に組み付けられた状態で、ダイヤフラム34が第二の取付金具14に対して組み付けられるようになっており、かしめ部40の内周縁部上面が仕切金具本体46の外周縁部下面に当接せしめられることにより、ダイヤフラム34と仕切部材44が相対的に位置決めされるようになっている。
また、仕切部材44がシールゴム層32を介して第二の取付金具14で支持されることにより、仕切部材44が第二の取付金具14に対して流体密に組み付けられている。これにより、仕切部材44が流体封入領域42内に収容配置された組付け状態下においては、流体封入領域42が仕切部材44を挟んだ両側に二分されている。そして、仕切部材44を挟んだ一方の側(図1中、上)に、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動の入力に際して圧力変動が及ぼされる受圧室78が形成されていると共に、仕切部材44を挟んだ他方の側(図1中、下)に、壁部の一部がダイヤフラム34で構成されて、容積変化が容易に許容される平衡室80が形成されている。なお、本実施形態では、仕切部材44がシールゴム層32を介して第二の取付金具14に組み付けられており、第二の取付金具14と仕切部材44の間が流体密にシールされている。
また、仕切部材44が第二の取付金具14に対して組み付けられた状態においては、可動ゴム膜64の一方の面に対して蓋金具48に形成された貫通孔60を通じて受圧室78内の圧力が及ぼされるようになっていると共に、他方の面に対して仕切金具本体46に形成された中央孔56を通じて平衡室80内の圧力が及ぼされるようになっている。更に、仕切部材44の第二の取付金具14への組付け状態下において、可動ゴム膜64に形成された弁突条68a,68bが受圧室78側に突出せしめられていると共に、可動ゴム膜64に形成された開口凹所70が平衡室80側に向かって開口せしめられている。
また、周溝52の開口部を蓋金具48で覆うことにより形成されるトンネル状の流路は、その一方の端部が蓋金具48に形成された図示しない連通孔を通じて受圧室78に連通せしめられると共に、他方の端部が仕切金具本体46に形成された図示しない連通孔を通じて平衡室80に連通せしめられる。これにより、仕切部材44に形成された周溝52を利用して、受圧室78と平衡室80を相互に連通するオリフィス通路82が形成されている。
なお、本実施形態におけるオリフィス通路82は、内部を流動せしめられる流体の共振周波数が10Hz程度の低周波数域となるようにチューニングされており、自動車のエンジンシェイク等に相当する低周波数振動に対して、オリフィス通路82を通じて流動する流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるようになっている。このようなオリフィス通路82のチューニングは、オリフィス通路82の通路長と通路断面積の比を適当に調節することにより、設定することが出来る。
このような本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10は、第一の取付金具12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が図示しない車両ボデーに取り付けられた車両への装着される。そして、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に主たる振動入力方向である上下方向で振動荷重が入力されると、流体の流動作用等に基づいて目的とする防振効果が発揮されるようになっている。
すなわち、自動車の走行時等において、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動が第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力されると、本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられて、受圧室78内に圧力変動が及ぼされる。これにより、エンジンシェイク等に相当する低周波数域にチューニングされたオリフィス通路82を通じて、受圧室78と平衡室80の間で封入流体が流動せしめられて、流体の共振作用等の流動作用に基づいた高減衰効果等の防振効果が有効に発揮される。なお、低周波数域の振動入力に際しては、入力振動の振幅が大きいことから、可動ゴム膜64の微小な弾性変形による液圧吸収効果が有効に発揮されない。それ故、受圧室78に充分な内圧変動が及ぼされて、オリフィス通路82を通じての流体流動を有利に生ぜしめることが出来る。
一方、自動車の停車時等において、アイドリング時振動などの中乃至高周波小振幅振動が第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力されると、受圧室78と平衡室80の間で相対的な圧力差が生ぜしめられて、かかる圧力差に基づいて可動ゴム膜64が微小変形せしめられる。そして、可動ゴム膜64の微小変形によって受圧室78内の液圧が平衡室80側に伝達される。これにより、可動ゴム膜64の微小な弾性変形による液圧吸収作用に基づいた低動ばね効果等の防振効果が有効に発揮される。なお、以上の説明からも明らかなように、可動ゴム膜64によって本実施形態における液圧吸収機構が構成されている。
なお、本実施形態において、防振対象となる通常の振動荷重が入力されることにより可動ゴム膜64が微小変形せしめられた場合には、弁突条68a,68b間での当接が維持されて、可動ゴム膜64に形成された短絡スリット72が閉塞状態に保持されるようになっている。
さらに、自動車の走行時における段差の乗越え等により、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に衝撃的な振動荷重が入力されて、受圧室78内の圧力が大幅に低下せしめられると、図5に示されているように、可動ゴム膜64に形成された短絡スリット72が開口せしめられるようになっている。即ち、受圧室78内が大幅に減圧されると、受圧室78内の負圧が可動ゴム膜64に及ぼされて、可動ゴム膜64に対して受圧室78側への吸引力が作用する。かかる吸引力によって可動ゴム膜64は、受圧室78側に向かって弾性変形せしめられて受圧室78側に吸引変位せしめられる。
ここにおいて、可動ゴム膜64に一体形成された弁突条68a,68bが受圧室78側に向かって突出せしめられていることにより、図5にも示されているように、可動ゴム膜64が受圧室78側に向かって凸となるように弾性変形せしめられるに従って、弁突条68a,68bが相互に離隔するように変位せしめられる。そして、一対の弁突条68a,68bが離隔するように変位せしめられることにより、短絡スリット72が開口せしめられて、短絡スリット72を通じて受圧室78と平衡室80が相互に連通せしめられる。
特に本実施形態における可動ゴム膜64には、平衡室80側に向かって次第に拡開する開口凹所70が形成されており、開口凹所70内に開口するように短絡スリット72が形成されている。それ故、受圧室78内の負圧に起因する可動ゴム膜64の弾性変形によって短絡スリット72が開き易くなっている。
このように、受圧室78内の圧力が大きく低下して、可動ゴム膜64が受圧室78側に向かって弾性変形せしめられると、可動ゴム膜64に形成された短絡スリット72が開口せしめられて、受圧室78と平衡室80が短絡スリット72を通じて相互に連通せしめられる。これにより、受圧室78と平衡室80の間で短絡スリット72を通じての流体流動が生ぜしめられて、受圧室78内の負圧が可及的速やかに解消される。従って、受圧室78内の圧力低下に起因すると考えられる異音や振動の発生を効果的に防ぐことが出来る。
しかも、本実施形態では、弁突条68が受圧室78内に突出するように設けられており、短絡スリット72が弁突条68の形成部分において可動ゴム膜64を貫通するように形成されている。これにより、受圧室78内の圧力が低下せしめられると、受圧室78内の負圧が弁突条68に対して作用せしめられることにより、弁突条68を幅方向両側に向かって吸引する引張力が及ぼされる。そして、可動ゴム膜64の弾性と受圧室78内の圧力の作用によって、一対の弁突条68a,68bがより有利に離隔せしめられて、短絡スリット72が充分に開口せしめられるようになっている。
一方、衝撃的な振動荷重の入力によって、受圧室78内の圧力が上昇した場合には、図6に示されているように、可動ゴム膜64に形成された短絡スリット72が遮断状態に維持されるようになっている。即ち、受圧室78内の圧力が大幅に上昇せしめられると、受圧室78内の正圧が可動ゴム膜64に及ぼされて、可動ゴム膜64に対して平衡室80側への押圧力が作用する。かかる押圧力によって可動ゴム膜64が弾性変形せしめられて、中央部分が平衡室80側に変位せしめられる。
ここにおいて、可動ゴム膜64が平衡室80側に突出するように弾性変形せしめられると、可動ゴム膜64に一体形成された弁突条68a,68bが受圧室78側に向かって突出せしめられていることにより、図6にも示されているように、弁突条68a,68bの突出先端部分が相互に押し付けられて、短絡スリット72が閉塞状態に維持される。これにより、受圧室78に正圧が及ぼされた場合には、受圧室78内の液圧が短絡スリット72を通じての流体流動によって平衡室80側に逃されるのを防いで、オリフィス通路82を通じての流体流動量を有利に確保し、流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるようになっている。
しかも、本実施形態では、弁突条68が受圧室78内に突出するように設けられており、短絡スリット72が弁突条68の形成部分において可動ゴム膜64を貫通するように形成されている。これにより、受圧室78内の圧力が上昇せしめられると、受圧室78内の正圧が弁突条68に対して作用せしめられることにより、弁突条68を幅方向中央側に向かって押圧する圧縮力が及ぼされる。そして、可動ゴム膜64の弾性と受圧室78内の圧力の作用によって、一対の弁突条68a,68bがより有利に密着せしめられて、短絡スリット72が閉塞状態で安定して保持されるようになっている。
なお、以上の説明からも明らかなように、受圧室78に作用する圧力に応じて弁突条68a,68bの密着と離隔が切り換えられることにより、短絡スリット72の遮断状態と連通状態が切り替えられるようになっており、本実施形態における弁機構が弁突条68a,68bによって構成されている。
以上のように、本実施形態に係るエンジンマウント10では、衝撃的な振動荷重の入力に際して、キャビテーションに起因する異音や振動の低減乃至は回避と、流体の流動作用に基づいた優れた防振効果を、両立して高度に実現することが出来る。しかも、受圧室78内に突出する特定形状の弁突条68a,68bを可動ゴム膜64に一体形成し、弁突条68a,68bの重ね合せ面間に受圧室78と平衡室80を連通せしめる短絡スリット72を設けることにより、受圧室78に正圧が及ぼされた場合には、可動ゴム膜64自体の弾性や受圧室78内の圧力を利用して弁突条68a,68bを相互に圧接せしめて、短絡スリット72の開口を防ぐことが出来るようになっている。それ故、可動ゴム膜64の弾性変形を制限するために拘束部材等の特別な部材を設けることなく、簡易な構造と少ない部品点数で上記の如き優れた効果を実現することが出来る。
また、本実施形態に従う構造のエンジンマウント10では、可動ゴム膜64に形成された短絡スリット72の長手方向両側に亀裂防止孔76が形成されており、短絡スリット72が亀裂防止孔76に至る長さで形成されている。これにより、短絡スリット72の開閉に伴って短絡スリット72の長手方向両端部で亀裂が生じるのを防いで、可動ゴム膜64の耐久性の向上を図ることが出来る。特に本実施形態では、亀裂防止孔76が厚肉とされた補強部74を貫通するように形成されており、短絡スリット72の端部付近における亀裂の発生がより有利に防がれるようになっている。
しかも、本実施形態では、可動ゴム膜64の仕切部材44への組付け状態下において、亀裂防止孔76が蓋金具48の内周縁部に設けられた蓋突条62で覆われて遮断されている。これにより、亀裂防止孔76を通じて受圧室78と平衡室80の間で流体が流動せしめられるのを防いで、振動入力時において受圧室78内に内圧変動を有利に惹起せしめることが出来る。それ故、オリフィス通路82を通じての流体流動を有利に実現して、目的とする防振効果を有効に得ることが出来る。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態においては、可動ゴム膜64に設けられる突部として径方向で延びる弁突条68が形成されており、短絡孔として弁突条68の長手方向で延びる短絡スリット72が形成されているが、突部及び短絡孔の形状等は、前記実施形態に記載された具体的な形状によって限定的に解釈されるものではない。具体的には、例えば、突部が互いに直交する径方向で延びる十字状とされており、かかる突部の幅方向中央を延びるように十字スリット状の短絡孔が形成されていても良い。更に、例えば、突部が可動ゴム膜64の径方向中央において突出する山形の突起状とされていると共に、短絡孔が突部の中央を貫通する針孔状の小径孔とされていても良い。また、前記実施形態では、弁突条68と短絡スリット72が直線的に延びているが、例えば、突部や短絡孔が湾曲や屈曲等して延びるスリット状とされていても良い。
さらに、前記実施形態では、可動ゴム膜64において弁突条68や開口凹所70,環状支持部66を外れた径方向中間部分が、略一定の板厚で形成されているが、例えば、内周側に行くに従って次第に板厚寸法が大きくなる等、径方向や周方向で板厚が変化せしめられていても良い。
また、前記実施形態では、低周波数域にチューニングされたオリフィス通路82を備えた構造のエンジンマウント10が示されているが、例えば、エンジンシェイク等に相当する低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路82と、アイドリング時振動等に相当する中周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路82を備えた構造の流体封入式防振装置等、各種公知の構造の流体封入式防振装置に対して、本発明は適用可能である。
また、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用した例を示したが、本発明は、例えばサブフレームマウント等、エンジンマウント以外の流体封入式防振装置に適用することも出来る。なお、本発明が自動車以外に用いられる流体封入式防振装置に対しても適用可能であることは言うまでもない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図であって、図2におけるI−I線断面図。 図1に示されたエンジンマウントを構成する可動ゴム膜を示す平面図。 図2に示された可動ゴム膜のIII−III線断面図。 図2に示された可動ゴム膜のIV−IV線断面図。 図1に示されたエンジンマウントにおいて、受圧室に負圧が及ぼされた状態を示す縦断面図。 図1に示されたエンジンマウントにおいて、受圧室に正圧が及ぼされた状態を示す縦断面図。
符号の説明
10:エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16本体ゴム弾性体,34:ダイヤフラム,42:流体封入領域,44:仕切部材,64:可動ゴム膜,68:弁突条,70:開口凹所,72:短絡スリット,76:亀裂防止孔,78:受圧室,80:平衡室,82:オリフィス通路

Claims (4)

  1. 第一の取付部材が筒状部を有する第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置されて、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で相互に連結されることにより、該第二の取付部材の一方の開口部が該本体ゴム弾性体で閉塞されると共に、該第二の取付部材の他方の開口部が可撓性膜で閉塞されて、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の間に外部から密閉されて非圧縮性流体が封入された流体室が形成されると共に、該第二の取付部材で支持される仕切部材によって該流体室が二分されており、該仕切部材を挟んだ一方の側に壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成した受圧室が形成されると共に、該仕切部材を挟んだ他方の側に壁部の一部を該可撓性膜で構成した平衡室が形成されて、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路が形成された流体封入式防振装置において、
    前記仕切部材に可動ゴム膜が組み付けられており、該可動ゴム膜の一方の面に前記受圧室の圧力が及ぼされると共に他方の面に前記平衡室の圧力が及ぼされてこれら受圧室と平衡室の圧力差に基づく該可動ゴム膜の弾性変形によって該受圧室の圧力変動を吸収する液圧吸収機構が構成されていると共に、
    該可動ゴム膜の中央部分には該受圧室側に向かって突出する突部が形成されていると共に、該突部の形成部分において該可動ゴム膜を貫通する短絡孔が形成されており、
    更に、該可動ゴム膜の弾性に基づいて該短絡孔が閉塞状態に保持される一方、振動入力時に該受圧室に対して所定の負圧が惹起されて該可動ゴム膜が該受圧室側に向かって弾性変形せしめられることにより連通状態とされる弁機構が、該突部によって構成されていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記可動ゴム膜における前記突部の形成部分には、前記短絡孔の前記平衡室側への開口部分において該平衡室側に向かって拡開する形状の開口凹所が形成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記突部が、前記可動ゴム膜の中央部分を通って直線的に延びる突条形状とされていると共に、前記短絡孔が該突部に沿って延びるスリット形状の短絡スリットとされている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記短絡スリットにおいて直線的に延びた両端部分には、前記可動ゴム膜を貫通する亀裂防止孔が形成されていると共に、該可動ゴム膜の前記仕切部材への組付状態下では該亀裂防止孔が閉塞されている請求項3に記載の流体封入式防振装置。
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