JP2010106865A - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オリフィス部材44の主液室対向面を円形とし、断面円形のシリンダ室60を中心から一方向に変位させて配置し、シリンダ室60の変位方向とは反対側に空いた略三日月形状のスペースに、空いたスペースと同様の略三日月形状に形成したメンブラン146を配置したので、主液室対向面に空いたスペースを最大限に使って大面積のメンブラン146を配置できた。面積の大きなメンブラン146は、高周波振動入力時の液圧変化によって弾性変形し易く、こもり音等の高周波振動を従来よりも効果的に吸収可能となった。
【選択図】図5
Description
このため、特許文献2に記載の防振装置では、切換機構として主液室の液圧によってシリンダ内で移動するピストンを備え、さらに、制限通路が目詰まり状態となる高周波振動入力時においては、主液室に面したメンブランを弾性変形させて主液室の液圧の上昇を抑えて動ばねの上昇を抑えることのできる機構を備えている。
特許文献2に記載の防振装置のようにメンブランを設けることで、制限通路では対応できなかった高い周波数域の振動を吸収できるようになったが、近年では、さらなる防振特性の向上が求められている。
したがって、こもり音となるような高い周波数域の振動をより効果的に吸収するには、メンブランの面積を大きく確保することが必要であるが、特許文献2の防振装置では、円形の仕切り部材の中央に長方形のシリンダ室を配置し、その幅方向両側にメンブランを配置した構成となっており、大面積のメンブランを配置できていなかった。
特許文献1の防振装置では、円形の仕切り部材の中央に円形のシリンダ室を設けた構成となっており、メンブランを配置しようとすると、シリンダ室の周囲の幅の狭い環状のスペースに配置せざるを得ず、開いたスペースをメンブランの為に有効活用することは困難である。
また、第1の目的に加え、制限通路の切り換えを確実に行うことが第2の目的である。
請求項1の防振装置では、基本的に、第1及び第2の取付部材の何れか一方に振動が伝達されると、第1及び第2の取付部材間に配置された弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦等に基づく吸振作用によって振動が吸収され、振動受け部側へ伝達される振動が低減される。
従って、ある制限通路における液体の流通抵抗を低周波域振動の周波数及び振幅に対応するように設定(チューニング)しておけば、その制限通路を通って主液室と副液室との間を行き来する液体に共振現象(液柱共振)が生じ、この液柱共振の作用によって低周波域振動を特に効果的に吸収できる。また、他の制限通路における液体の通過抵抗を、さらに周波数域の高い振動に対応するように設定しておけば、他の制限通路によって周波数域の高い振動を特に効果的に吸収できる。
この結果、請求項1に係る防振装置によれば、高周波域振動の入力時にも、主液室内の液圧上昇に起因する装置(弾性体)の動ばね定数の上昇を抑えることができるので、弾性体の動ばね定数を低く維持し、弾性体の弾性変形により高周波振動も効果的に吸収できる。
請求項2に記載の防振装置では、略三日月形状に空いたスペースに、空いたスペースと同様の形状(略三日月形状)に形成したメンブランを形成するので、空いたスペースを最大限に使った、液圧変化によって弾性変形し易い大面積のメンブランを配置できる。
また、弁体の周囲には、弁体の中心部を曲率中心とした円弧形状の切り込みが形成されているので、弁体を動き易くすることができる。
請求項2に記載の防振装置は上記構成としたので、制限通路の切り換えを確実に行うことができる、という優れた効果を有する。
また、請求項3に記載の防振装置は上記構成としたので、メンブランと弁体とが一体化しているので、部品点数を低減することができる。
図1及び図2に示すように、防振装置10には、その外周部の上端側に円筒状の第1外筒12が設けられると共に、この第1外筒12の下側に円筒状の第2外筒14が連結固定されている。なお、軸心Sは、第1外筒12の軸心、及び第2外筒14の軸心と一致している。
第2外筒14には、その上端部に外周側へ延出するフランジ部24が屈曲形成されている。防振装置10では、フランジ部24の外周側がフランジ部16の外周側を挟み込みむように内周側へ屈曲されることにより、第1外筒12と第2外筒14とが互いにかしめ固定されている。
防振装置10は、第1外筒12又は第2外筒14がブラケット18に取り付けられ、このブラケット18を介して車両の車体側へ連結固定される。
ゴム弾性体26は、その断面形状が外周側から内周側へ向って上方へ傾斜する略逆V字状に形成されている。
取付金具30には、軸心に沿ってねじ穴32が穿設されている。防振装置10は、ねじ穴32にねじ込まれたボルト20を介して取付金具30がエンジン側の取付部材22へ連結固定される。
図1、及び図2に示すように、仕切金具34は、外筒12,14の内周側の空間を軸方向に沿って2個の小空間に区画しており、これら2個の小空間はそれぞれ水、エチレングリコール等の液体が封入される主液室36及び副液室38とされる。
ここで、主液室36は、ゴム弾性体26を隔壁の一部としており、その内容積がゴム弾性体26の弾性変形に伴って変化(拡縮)する。
また副液室38は、後述するダイヤフラム40を隔壁の一部としており、ダイヤフラム40の変形により内容積が拡縮可能とされている。
オリフィス部材44の主液室側には、軸心Sから半径方向外周側の内の一方向側(図5では矢印A方向側)へ変位した位置に、凹状に窪んだシリンダ室60が形成されている。
シリンダ室60は、軸心Sに対する直交する断面形状が円形とされおり、このシリンダ室60内には、後述する円盤状のピストン78が軸方向に沿って移動可能に収納される。
なお、流通開口48は、副液室38と、後述するシリンダ室60の液圧空間112とを連通させている。
また、オリフィス部材44には、その外周面の下端側に外周側へ延出する環状のフランジ部52が形成されている。
図5に示されるように、オリフィス部材44の外周面には、周方向に延在する外周溝66が形成されている。この外周溝66は、オリフィス部材44の外周面を1周弱に亘って周回しており、軸心方向から見て略C字形状を呈している。
また、オリフィス部材44には、図1、6に示されるように、外周溝66における長手方向中間部分に、外周溝66の内周側の底面部とシリンダ室60の内周壁面との間を貫通したオリフィス開口76が形成されている。
このオリフィス開口76は、シリンダ室60の長手方向に沿って一端側の内壁面(幅の狭い壁面)に開口しており、その開口形状がシリンダ室60の周方向に沿って細長いスロット状に形成されている。
これにより、オリフィス部材44の外周溝66の外周側が被覆部42の内周面により閉塞され、1本の細長い空間であるシェイクオリフィス118を形成する。第1の制限通路であるシェイクオリフィス118は、その一端部がオリフィス部材44の上部連通穴72を通して副液室38に接続されると共に、他端部が下部連通穴74を通して主液室36に連通する。
ここで、シェイクオリフィス118は、入力振動のうち相対的に低周波域の振動であるシェイク振動(例えば、9〜15Hz)に対応するように、その路長及び断面積、すなわち液体の流通抵抗が設定(チューニング)されている。
ピストン78の中央には、軸方向に貫通するガイド孔78Aの穿孔されたボス78Bが形成されており、このガイド孔78Aにシリンダ室60のガイドピン50が挿入されている。ピストン78は、ガイドピン50にガイドされながらシリンダ室60の内部を軸方向に沿って所定の範囲(後述する開放位置と閉塞位置との間)で移動可能となっている。
このピストン78は、シリンダ室60を軸方向に沿って主液室36側の小空間である液圧空間112と副液室38側の小空間であるオリフィス空間114とに区画している。
ピストン78は、その外周面がシリンダ室60の内周壁面と液密状態で接し、また微小間隔を空けて対向するシール領域132として構成されている。
またピストン78には、軸方向に貫通する液圧解放路126が穿設されている。
また、シリンダ室60内には、ピストン78と底壁部60Aとの間に圧縮状態とされたコイルスプリング86が介装されており、コイルスプリング86は、ピストン78を主液室側(下方側)へ付勢している。
ここで、メンブラン開口138は、三日月凹部58に正対している。
仕切金具34とオリフィス部材44との間には、NR、NBR等のゴム材料からなる略円板状の弾性部材95が挟持されている。
弾性部材95には、三日月凹部58、及びメンブラン開口138と対向する位置に、略三日月状のメンブラン(可動膜)146が形成されており、オリフィス部材44の下部連通穴74、及び仕切金具34の連通穴100と対向する位置に連通穴102が形成されている。なお、メンブラン146は、オリフィス部材44のメンブラン押圧枠144と仕切金具34との間に挟持固定されている。
弁本体98は、仕切金具34のガイド孔64に挿入される突起98Cを備えており、弁座部88に当接して全ての弁座開口90を閉塞可能な外径を有している。
弁本体98の中央部分は、ガイドピン50の端部と仕切金具34との間に挟持固定されている。
即ち、本実施形態では、シェイクオリフィス118の一部分(オリフィス開口76〜下部連通穴74)が、アイドルオリフィス120の一部分と共通になっている。
ここで、アイドルオリフィス120における液体の流通抵抗は、シェイクオリフィス118における液体の流通抵抗よりも小さくなっている。
これにより、主液室36内の液圧が変化すると、この液圧変化に従って主液室36の内容積を拡縮するようにメンブラン146が弾性変形する。
次に、防振装置10の作用を説明する。
防振装置10では、例えば、車両におけるエンジンが作動すると、エンジンが発生した振動が取付金具30を介してゴム弾性体26に伝達され、ゴム弾性体26が弾性変形する。このとき、ゴム弾性体26は吸振主体として作用し、ゴム弾性体26の内部摩擦等に基づく吸振作用によって振動が吸収され、外筒12,14を介して車体側へ伝達される振動が低減される。
12 第1外筒(第1の取付部材)
14 第2外筒(第1の取付部材)
26 ゴム弾性体(弾性体)
30 取付金具(第2の取付部材)
34 仕切金具(仕切部材)
36 主液室
38 副液室
40 ダイヤフラム
44 オリフィス部材(仕切部材)
48 流通開口(切換手段)
60 シリンダ室(切換手段)
76 オリフィス開口(切換手段)
78 ピストン(切換手段)
86 コイルスプリング(切換手段)
88 弁座部(逆止弁)
98 弁本体(逆止弁:弁体)
98A 切り込み
116 逆止弁
118 シェイクオリフィス(制限通路)
120 アイドルオリフィス(制限通路)
146 メンブラン
Claims (3)
- 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2の取付部材と、
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材との間に配置された弾性体と、
前記弾性体を隔壁の一部として液体が封入され、該弾性体の弾性変形に伴って内容積が変化する主液室と、
液体が封入され内容積が拡縮可能とされた副液室と、
前記主液室と前記副液室との間に配置される仕切り部材と、
前記主液室と前記副液室とを互いに連通する防振特性の異なる複数の制限通路と、
前記仕切り部材に設けられ、シリンダ室と、前記シリンダ室の内部に配置され前記主液室の圧力により移動して前記複数の制限通路の切換を行うピストンとを備えた切換手段と、
前記仕切り部材の前記主液室に対向する主液室対向面に配置され、振動入力により前記制限通路が目詰まりを生じた際に、前記主液室内に封入された液体の液圧変化に従って前記主液室の内容積を拡縮するように弾性変形して前記主液室の圧力上昇を抑えるメンブランと、
を備え、
前記主液室対向面を正面視した際に、前記シリンダ室の中心部は前記主液室対向面の中心部から前記主液室対向面の端部側へ向かう第1の方向に変位して設けられ、前記メンブランは前記シリンダ室に対して前記第1の方向とは反対方向に設けられている防振装置。 - 前記主液室対向面を正面視した際に、前記主液室対向面の形状、前記シリンダ室の形状、及び前記ピストンの形状は各々円形であり、前記メンブランは、前記主液室対向面の外周縁の円弧部分、及び前記シリンダ室の外周縁の円弧部分に沿った湾曲形状に形成されている請求項1に記載の防振装置。
- 前記シリンダ室に前記ピストンを配置することで前記ピストンの主液室側に区画された液圧空間と前記主液室との間に配置され、前記主液室内の液圧変化に伴って該主液室と前記液圧空間との間で一方向へのみ液体を流通させ得る逆止弁と、
前記仕切り部材と前記主液室との間に設けられ、一部に前記メンブランが形成され、他の一部に前記逆止弁の弁体が形成された弾性部材と、
を備え、
前記弁体の周囲には、前記弁体の中心部を曲率中心とした円弧形状の切り込みが形成されている請求項1または請求項2に記載の防振装置。
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