JP2001336568A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JP2001336568A
JP2001336568A JP2000161571A JP2000161571A JP2001336568A JP 2001336568 A JP2001336568 A JP 2001336568A JP 2000161571 A JP2000161571 A JP 2000161571A JP 2000161571 A JP2000161571 A JP 2000161571A JP 2001336568 A JP2001336568 A JP 2001336568A
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pressure source
elastic plate
wall
fluid
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Hiroaki Tanahashi
洋昭 棚橋
Akio Saeki
明雄 佐伯
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一つのオリフィス通路のチューニング特性
を、簡単な構造をもって変更することが出来、複数種の
入力振動に対して、単一のオリフィス通路を流動せしめ
られる流体の共振作用等に基づく防振効果を、何れも有
効に発揮させることの出来る、新規な流体封入式防振装
置を提供することを、目的とする。 【解決手段】 オリフィス通路56を通じて平衡室48
に連通された受圧室46の壁部の一部を弾性板壁72に
よって構成すると共に、弾性板壁72の背後に作用空気
室80を形成する一方、異なる空気圧を与える第一空気
圧源と第二空気圧源96を作用空気室80に選択的に接
続するようにした。そして、作用空気室80の空気圧の
大きさを切り換えて、受圧室46の壁部を構成する弾性
板壁72のばね剛性を変化せしめることにより、一つの
オリフィス通路56のチューニング周波数を、それぞれ
防振すべき異なる振動周波数域に変更,設定するように
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、オリフィス通路を通じて流動せ
しめられる非圧縮性流体の共振作用等の流動作用を利用
して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係
り、特に、流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮さ
れる振動周波数域を、空気圧を利用して変更することが
可能であり、入力振動等に応じて防振特性を変更するこ
との出来る流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車用エンジンマウント等の
防振支持体乃至は防振連結体の一種として、相互に離隔
配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム
弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一
部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる
受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて該可撓性
膜の変形に基づいて容積変化が許容される平衡室を形成
して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入する
と共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフ
ィス通路を設けた構造の流体封入式防振装置が、知られ
ている。このような防振装置においては、オリフィス通
路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等に基づい
て、ゴム弾性体のみでは得られ難い防振効果を得ること
が出来るのである。
【0003】ところで、防振装置には、一般に、周波数
の異なる複数種の振動が入力されることから、それら複
数種の振動に対して有効な防振効果が要求される。例え
ば、自動車用エンジンマウントでは、走行時にシェイク
等の低周波振動に対する防振効果が要求される一方、車
両停車時にアイドル振動等の高周波数振動に対する防振
効果が要求される。しかしながら、従来の流体封入式防
振装置においては、オリフィス通路を通じて流動せしめ
られる流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果
が、オリフィス通路のチューニングされた限られた周波
数域の入力振動にしか有効には発揮されず、そのため
に、複数種の入力振動に対して十分な防振効果を得るこ
とが難しかったのである。
【0004】なお、このような問題に対処するために、
例えば、互いに異なるチューニングが施された複数のオ
リフィス通路を形成し、それらを弁体によって択一的に
連通させることにより、各オリフィス通路を流動せしめ
られる流体の共振作用に基づく防振効果を選択的に発揮
させるようにした防振装置も提案されているが、そのよ
うな防振装置では、弁体の組み付けのために構造が複雑
となり、製造が難しくなることが避けられなかった。ま
た、複数のオリフィス通路を相互に独立して形成する必
要があるために、設計が難しいことに加えて、各オリフ
ィス通路の流路断面積や流路長さが十分に確保され難く
なって、オリフィス通路の目的とする振動周波数へのチ
ューニングが難しくなったり、流体の共振作用に基づく
防振効果が低下してしまう等という問題もあったのであ
る。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、一つのオリフィス通路のチューニング特性
を、簡単な構造をもって変更することが出来、複数種の
入力振動に対して、オリフィス通路を流動せしめられる
流体の共振作用等に基づく防振効果を、何れも有効に発
揮させることの出来る、新規な流体封入式防振装置を提
供することにある。
【0006】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0007】すなわち、本発明の第一の態様は、相互に
離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体
ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部
の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめら
れる受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて該可
撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される平衡室を
形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入
すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオ
リフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、受
圧室の壁部の一部を構成する弾性板壁を設けると共に、
該弾性板壁の背後に作用空気室を形成する一方、該作用
空気室を、互いに異なる空気圧を与える第一空気圧源と
第二空気圧源に択一的に接続する切換空気通路を設け
て、作用空気室の圧力を第一空気圧源への接続状態と第
二空気圧源への接続状態で切換変更して弾性板壁のばね
剛性を変化せしめることにより、作用空気室の第一空気
圧源への接続状態下と第二空気圧源への接続状態下で、
オリフィス通路のチューニング周波数が、それぞれ防振
すべき異なる振動周波数域に設定されるようにしたこと
を、特徴とする。
【0008】このような本態様に係る流体封入式防振装
置においては、弾性板壁に対して背面、即ち受圧室と反
対側から及ぼされる空気圧が、弾性板壁に対して補助的
なばね剛性を与えることから、弾性板壁の背後に形成さ
れた作用空気室に及ぼされる空気圧を切換変更して弾性
板壁の背面に及ぼされる空気圧を変化させることによ
り、弾性板壁のばね特性、ひいては受圧室の壁ばね剛性
が変化せしめられることとなる。また、オリフィス通路
を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振
効果が発揮される周波数域、即ちオリフィス通路のチュ
ーニング周波数は、オリフィス通路の流路断面積:Aと
流路長さ:Lの比:A/Lと、封入流体の比重や粘度、
受圧室および平衡室の壁ばね剛性等に応じて決定される
ものであることから、受圧室の壁ばね剛性が変化する
と、オリフィス通路のチューニング周波数が変化するこ
ととなって、オリフィス通路を通じて流動せしめられる
流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が発揮さ
れる周波数域が変更されるのである。
【0009】それ故、かかる流体封入式防振装置におい
ては、防振すべき入力振動に応じて、作用空気室に接続
される空気圧源を変更することにより、弾性板壁によっ
て壁部の一部が構成された受圧室において、柔らかい壁
ばね剛性と硬い壁ばね剛性を選択的に発現させることが
出来るのであり、それによって、単一のオリフィス通路
のチューニングを変更し、以て、該オリフィス通路を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果
を、異なる周波数域の入力振動に対して何れも有効に発
揮させることが出来るのである。特に、かかる流体封入
式防振装置においては、単一のオリフィス通路により、
複数の周波数域の振動に対して有効な防振効果が発揮さ
れ得ることから、各別に複数のオリフィス通路を独立形
成したり、それらのオリフィス通路を択一的に切り換え
る切換弁等を組付ける必要がなく、簡単な構造によっ
て、複数の入力振動に対して有効な防振効果を発揮し得
る防振装置が実現可能となるのである。
【0010】なお、本態様の流体封入式防振装置におけ
る弾性板壁は、背後に形成された作用空気室の調圧によ
ってばね特性が変化せしめられるものであれば良く、例
えば、ゴム弾性体によって全体を形成する他、金属板や
合成樹脂板等の硬質板をゴム弾性体で弾性変位可能に支
持せしめること等によって形成することも可能である。
また、全体がゴム弾性体で形成された弾性板壁であって
も、例えば、適当な材質のゴム弾性体の積層構造として
も良く、或いは、ゴム弾性体と樹脂層や帆布,補強材等
との複合構造としても良い。
【0011】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、
受圧室の壁部の一部を構成する剛性壁部材に対して受圧
室側に開口する凹所を形成し、該凹所の開口を弾性板壁
で覆蓋することによって作用空気室を形成する一方、第
一空気圧源よりも低圧の負圧源を第二空気圧源に採用し
て、該作用空気室に第二空気圧源の圧力が及ぼされた際
に弾性板壁を作用空気室側に吸引して弾性変形せしめる
ようにすると共に、第一空気圧源の圧力作用状態下で離
隔位置せしめられていた弾性板壁の一部が第二空気圧源
の圧力作用状態下で当接状態に維持される当接支持部を
剛性壁部材に設けて、該当接支持部に弾性板壁の一部を
当接させて弾性変形可能な面積を減少させることによ
り、第一空気圧源の圧力作用状態下よりも第二空気圧源
の圧力作用状態下の方が弾性板壁のばね剛性が硬くなる
ようにしたことを、特徴とする。
【0012】このような本態様においては、防振特性の
切換変更に際して、弾性板壁の背面に及ぼす空気圧を変
更するだけでなく、弾性板壁における弾性変形可能な有
効面積も変更せしめられる。それ故、弾性板壁によって
壁部の一部が構成される受圧室の壁ばね剛性の変更を、
より確実に行うことが出来るのであり、また、第一空気
圧源と第二空気圧源によって作用空気室に及ぼされる空
気圧の大きさの差が小さくても、受圧室の壁ばね剛性を
大きく変化させることが可能となることから、オリフィ
ス通路に対して異なるチューニング周波数を設定するに
際して、その設定自由度の範囲をより大きく確保するこ
とが出来る。
【0013】また、本発明の第三の態様は、前記第二の
態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、
剛性壁部材における凹所の開口周縁部に略平坦な環状当
接面を設けて、該環状当接面で当接支持部を構成するこ
とにより、作用空気室に第一空気圧源の圧力が及ぼされ
た状態で弾性板壁が環状当接面から離隔位置せしめられ
る一方、作用空気室に前記第二の空気圧源の圧力が及ぼ
された状態で該弾性板壁が該環状当接面に当接されるよ
うにしたことを、特徴とする。このような本態様におい
ては、弾性板壁の背面に及ぼす空気圧の変更によって弾
性板壁の弾性変形可能な有効面積、延いては受圧室の壁
ばね剛性を、より確実且つ安定して変化させることが出
来るのであり、以て、目的とする防振特性を一層安定し
て得ることが可能となる。
【0014】更にまた、本発明の第四の態様は、前記第
一乃至第三の何れかの態様に従う構造とされた流体封入
式防振装置において、弾性板壁を、略平板形状の中央板
部と、中央板部の外周縁部から軸方向一方の側に拡径し
て広がる略テーパ筒形状の周壁部分からなるゴム弾性板
で構成せしめて、該周壁部分の外周部分を支持せしめて
受圧室内に向かって突出するように配設したことを、特
徴とする。このような本態様においては、振動入力時に
おける受圧室の圧力増大に際しても、弾性板壁における
大きな弾性変形を軽減乃至は回避することが出来るので
あり、目的とするばね特性をより安定して得ることが可
能となる。
【0015】また、本発明の第五の態様は、前記第一乃
至第四の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防
振装置において、第二の取付部材に筒状部を設けて、該
筒状部の一方の開口部を前記本体ゴム弾性体で閉塞する
と共に、該筒状部の他方の開口部を可撓性膜で閉塞せし
めて、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面間に非
圧縮性流体の封入領域を形成し、該第二の取付部材の筒
状部内に収容配置して固定的に支持せしめた剛性の仕切
部材で該封入領域を仕切ることにより、該仕切部材を挟
んだ両側に受圧室と平衡室を形成する一方、かかる仕切
部材の受圧室側の面において偏心位置して形成せしめた
凹所の開口部を弾性板壁で覆蓋することによって作用空
気室を形成すると共に、該仕切部材における該凹所の偏
心側と反対側の外周面に開口して接続用凹部を設けて、
該接続用凹部を第二の取付部材の筒状部に貫設した開口
窓部を通じて外周面に開口せしめると共に、該接続用凹
部内にポートを突設して、作用空気室に通じる空気給排
路を、該ポートにより、開口窓部を通じて挿入される外
部空気管路に接続せしめるようにしたことを、特徴とす
る。
【0016】このような本態様の防振支持装置において
は、弾性板壁の配設支持と作用空気室の形成が、第二の
取付部材に形成された筒状部によって支持された仕切部
材を利用して、優れた製作性と簡単な構造で実現され得
る。また、作用空気室形成用の凹所とポート形成用の接
続用凹部を、互いに仕切部材の径方向で反対側に偏心さ
せたことにより、それら両者の形成用スペースの軸方向
での重なりを軽減乃至は回避してスペースを有効利用す
ることが可能となり、以て、仕切部材の厚さ寸法、延い
ては流体封入式防振装置全体のコンパクト化が図られ得
る。
【0017】また、本発明の第六の態様は、前記第五の
態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、
仕切部材の外周面に開口して周方向に延びる周溝を設け
ると共に、該周溝を第二の取付部材の筒状部で覆蓋する
ことにより、オリフィス通路を形成したことを、特徴と
する。このような本態様においては、オリフィス通路の
形成が、作用空気室を形成する仕切部材を利用して、簡
単な構造でコンパクトに実現され得る。しかも、オリフ
ィス通路が、仕切部材の外周縁部を周方向に延びる形態
で形成されることから、オリフィス通路の流路長さの設
定自由度が大きく確保され得る。
【0018】また、本発明の第七の態様は、前記第一乃
至第六の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防
振装置において、第一空気圧源として大気圧を採用する
と共に、第二空気圧源として負圧源を採用したことを、
特徴とする。このような本態様においては、空気圧源の
一方に大気圧を採用したことにより、実質的に一つの空
気圧源だけを準備すれば良いこととなり、構造の簡略化
が図られ得る。しかも、第二の空気圧源として負圧源を
採用したことにより、前記第二の態様や第三の態様が一
層有利に実現可能とされる。また、大気圧と負圧源を採
用したことにより、外部空気管路の内圧に起因する管体
接続部位の抜け外れが防止されて、空気管路の信頼性と
耐久性の確保が容易であるという利点もある。
【0019】さらに、本発明の第八の態様は、前記第一
乃至第七の何れかに記載の流体封入式防振装置を用い、
第一の取付部材と第二の取付部材の一方を自動車のパワ
ーユニットに取り付けると共に、他方を自動車のボデー
に取り付けることにより、パワーユニットをボデーに対
して防振支持せしめるようにする一方、作用空気室の第
一空気圧源への接続状態下で、オリフィス通路のチュー
ニング周波数がシェイクに対応すると共に、作用空気室
の前記第二空気圧源への接続状態下で、オリフィス通路
のチューニング周波数がアイドリング振動に対応するよ
うに設定した自動車用エンジンマウントを、特徴とす
る。
【0020】すなわち、このような本態様に従う構造と
された自動車用エンジンマウントにおいては、一つのオ
リフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づ
いて、車両走行時に問題となるシェイクと、車両停止時
に問題となるアイドリング振動との、何れの振動に対し
ても、有効な防振効果を得ることが出来るのであり、簡
単な構造で優れた防振効果を発揮し得るエンジンマウン
トが実現可能となる。特に、第一空気圧源における大気
圧は常に安定して容易に得ることが出来る一方、自動車
用エンジンにおいては、内燃機関のインテーク側から負
圧を容易に得ることが出来ることに加えて、アイドリン
グ状態では走行状態よりも安定した負圧力を得ることが
容易であることから、第二空気圧源も安定して確保する
ことが可能であり、シェイクとアイドリング振動の何れ
に対しても、目的とする防振特性を安定して得ることが
出来るのである。
【0021】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0022】先ず、図1〜2には、本発明に従う構造と
された自動車用エンジンマウント10が示されている。
このエンジンマウント10は、互いに離隔配置された第
一の取付金具12と第二の取付金具14が、それらの間
に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結
された構造を有しており、第一の取付金具12が図示し
ないパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付
金具14が図示しないボデーに取り付けられることによ
り、パワーユニットをボデーに対して防振支持するよう
になっている。なお、そのような装着状態下では、第一
の取付金具12と第二の取付金具14の略対向方向(図
1中、中心軸方向となる上下方向)にパワーユニット荷
重が及ぼされて、本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめ
られると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付
金具14の略対向方向に、防振すべき振動が入力される
こととなる。
【0023】より詳細には、第一の取付金具12は、全
体として略円形ブロック形状を有しており、軸方向中央
部分には、径方向外方に広がる円環板状の鍔部18が一
体形成されている。また、鍔部18よりも軸方向下側部
分20は、下方に向かって次第に小径化となる逆円錐台
形状とされている一方、鍔部18よりも軸方向上側部分
22には、上端面に開口して軸方向に延びるねじ穴24
が形成されており、このねじ穴24に螺着されるボルト
(図示せず)によって、第一の取付金具12が、図示し
ない自動車のパワーユニットに固定されるようになって
いる。
【0024】一方、第二の取付金具14は、全体として
大径の略円筒形状を有しており、第一の取付金具12と
略同軸上で下方に所定距離だけ離隔して配設されてい
る。そして、図面上に明示はされていないが、外嵌固定
されたり或いは外周面に溶接固定されること等によって
固着されるブラケットを介して、かかる第二の取付金具
14は、図示しない自動車のボデーに対して固定される
ようになっている。また、第二の取付金具14の軸方向
上側部分は、開口部に向かって次第に拡開するテーパ筒
部26とされていると共に、該テーパ筒部26の開口周
縁部には、径方向外方に突出するフランジ部28が一体
形成されている。そして、第二の取付金具14における
テーパ筒部26の内周面が、第一の取付金具12におけ
る軸方向下側部分20の外周面に対して、所定距離を隔
てて対向位置せしめられており、それらの対向面間に、
本体ゴム弾性体16が介装されている。
【0025】かかる本体ゴム弾性体16は、全体として
略円錐台形状を有しており、その小径側端部に対して、
第一の取付金具12の軸方向下側部分20が、軸方向に
突き刺さった状態で加硫接着されている一方、大径側端
部の外周面に対して、第二の取付金具14のテーパ筒部
26の内周面が加硫接着されている。即ち、本実施形態
では、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と第
二の取付金具14に対して、それぞれ加硫接着された一
体加硫成形品として形成されており、それによって、第
一の取付金具12と第二の取付金具14が、ゴム弾性体
16により、相互に弾性的に連結されている。
【0026】そして、この一体加硫成形品においては、
第二の取付金具14の軸方向上側の開口部が本体ゴム弾
性体16によって流体密に閉塞されており、以て、軸方
向下方に向かって開口する内部凹所30が形成されてい
る。また、第二の取付金具14の内周面には、その略全
面に亘って被覆ゴム層32が形成されて、加硫接着され
ている。なお、被覆ゴム層32は、本体ゴム弾性体16
と一体形成されている。また、本体ゴム弾性体16には
大径側端面に開口する大径のすり鉢形状の凹所34が形
成されており、エンジンマウント10の装着状態下でパ
ワーユニット荷重が及ぼされた際、本体ゴム弾性体16
における引張応力の発生が軽減乃至は防止されて、良好
な耐久性が確保されるようになっている。
【0027】さらに、第二の取付金具14の内周面を被
覆する被覆ゴム層32には、軸方向中間部分を周方向に
連続して延びる環状の段差部36が形成されており、該
段差部36を挟んで軸方向下側が薄肉ゴム層とされてい
ると共に、軸方向上側が厚肉ゴム層とされている。そし
て、第二の取付金具14における軸方向下方の開口部か
ら、仕切部材38と可撓性膜としてのダイヤフラム40
が順次挿入されて、薄肉ゴム層の形成部分において、そ
れぞれ、第二の取付金具14の内周面に対して嵌着固定
されている。その際、挿入された仕切部材38の上面外
周部分が、段差部36に当接されることにより、仕切部
材38の軸方向上方への挿入端が規定されている。
【0028】そこにおいて、ダイヤフラム40は、変形
容易な薄肉のゴム弾性膜によって構成されており、その
外周面には、円筒形状の金属製の嵌着スリーブ42が加
硫接着されている。そして、この嵌着スリーブ42が、
第二の取付金具14の下端開口部に嵌め込まれて、第二
の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されること
により、嵌着スリーブ42が、被覆ゴム層32を介し
て、第二の取付金具14の下端部に対して流体密に嵌着
固定されており、それによって、第二の取付金具14の
下側開口部がダイヤフラム40によって流体密に覆蓋さ
れている。なお、第二の取付金具14の下端開口部44
は、径方向内方にかしめ加工されており、嵌着スリーブ
42の軸方向の抜け出しが阻止されている。
【0029】これにより、第二の取付金具14の内部に
は、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム40の対向面間
において、外部空間に対して流体密に仕切られた封入領
域が形成されているのであり、そして、この封入領域に
対して、非圧縮性流体が封入されている。なお、封入流
体としては、水やアルキレングリコール、ポリアルキレ
ングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合物等
が何れも採用可能であるが、特に、流体の共振作用に基
づく防振効果を有利に得るために、0.1pa・s以下
の粘度を有する低粘性流体が好適に採用される。
【0030】また一方、仕切部材38は、アルミニウム
合金等の金属や合成樹脂の如き剛性材料で形成されてお
り、全体として厚肉の略円板形状を有している。そし
て、この仕切部材38が第二の取付金具14の軸方向中
央部分に嵌め込まれて、外周面が、被覆ゴム層32を介
して、第二の取付金具14の軸方向中間部分に対して流
体密に嵌着固定されており、それによって、第二の取付
金具14の軸方向中間部分が軸方向両側に流体密に仕切
られている。
【0031】これにより、第二の取付金具14の内部に
形成された非圧縮性流体の封入領域が仕切部材38で仕
切られて軸方向両側に二分されており、以て、仕切部材
38の軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体1
6で構成された受圧室46が形成されていると共に、仕
切部材38の軸方向下側には、壁部の一部がダイヤフラ
ム40で構成された平衡室48が形成されている。そし
て、受圧室46は、第一の取付金具12と第二の取付金
具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾
性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめられるようになっ
ている一方、平衡室48は、ダイヤフラム40の変形が
容易に許容されることにより、圧力変化が速やかに解消
されるようになっており、以て、振動入力時には、それ
ら受圧室46と平衡室48の間に相対的な圧力差が生ぜ
しめられるようになっている。
【0032】また、仕切部材38には、外周面に開口し
て周方向に一周弱の長さで、略一定の断面積をもって連
続して延びる周溝50が形成されており、この周溝50
の仕切部材38の外周面への開口部分が、全周に亘っ
て、第二の取付金具14で流体密に覆蓋されている。こ
れにより、仕切部材38の外周部分を周方向に延びて、
周方向一端部が、第一の連通孔52を通じて受圧室46
に接続されると共に、周方向他端部が、第二の連通孔5
4を通じて平衡室48に接続されることにより、それら
受圧室46と平衡室48を相互に連通せしめて、それら
両室46,48間での流体流動を許容するオリフィス通
路56が形成されている。そして、第一の取付金具12
と第二の取付金具14の間への振動入力時には、上述の
如き、受圧室46と平衡室48の間に圧力差が生ぜしめ
られることにより、それら両室46,48間で、オリフ
ィス通路56を通じての流体流動が生ぜしめられるよう
になっている。
【0033】更にまた、仕切部材38には、軸方向上面
に開口する円形の凹所58が形成されている。この凹所
58は、深さ方向中間部分に径方向に広がる段差面60
が形成されており、該段差面60を挟んで底部側が小径
の空気室用凹所62とされていると共に、該段差面60
を挟んで開口部側が大径の嵌着用凹所64とされてい
る。また、これら空気室用凹所62と嵌着用凹所64
は、同一中心軸66上に形成されていると共に、かかる
中心軸66が、仕切部材38の中心軸68から所定量:
δだけ、偏心位置して設定されている。なお、空気室用
凹所62と嵌着用凹所64の何れも、周壁面は、略軸方
向に延びる円筒状面とされていると共に、空気室用凹所
62の開口周縁部、即ち空気室用凹所62の周壁面と段
差面60の境界角部は、全周に亘ってアール状の面取り
が施されて滑らかに接続されている。また、嵌着用凹所
64の開口周縁部には、周方向の全周に亘って連続して
延びる円環形状の突出カラー70が、仕切部材38の軸
方向上面に一体的に突出形成されている。
【0034】そして、かかる嵌着用凹所64に対して、
弾性板壁としてのゴム弾性板72が配設されている。こ
のゴム弾性板72は、ゴム弾性体の一体成形品であっ
て、中央部分に位置せしめられた円形の小径平板形状の
中央板部74と、該中央板部74の外周縁部から軸方向
下方に傾斜した径方向斜め外方に広がるテーパ筒形状の
周壁部76を一体的に備えている。また、周壁部76の
外周面には、円筒形状の嵌着筒金具78が加硫接着され
ている。而して、この嵌着筒金具78が、仕切部材38
の嵌着用凹所64に対して圧入固定されることによっ
て、かかるゴム弾性板72が、凹所58の開口部を覆蓋
する状態で組み付けられており、かかる凹所58がゴム
弾性板72によって流体密に覆蓋されることにより、凹
所58内に作用空気室80が形成されている。要する
に、ゴム弾性板72は、その上面が直接に受圧室46に
露呈されており、受圧室46の壁部の一部がゴム弾性板
72によって構成されている。また、ゴム弾性板72を
挟んで、受圧室46と反対側には、受圧室46に対して
流体密に仕切られて、外部空間に対しても密閉された作
用空気室80が、仕切部材38の内部に形成されてい
る。
【0035】なお、ゴム弾性板72は、上方に凸となっ
た略一定の肉厚を有する逆皿形状を呈しており、凹所5
8の段差面60から軸方向上方に離隔配置されることに
より、その全体が、段差面60等に当接することなく、
弾性変形が許容され得る状態で配設されている。また、
嵌着用凹所64への嵌着筒金具78の圧入後に、突出カ
ラー70に対して、周上の複数箇所に径方向内方へのか
しめ加工が施されており、嵌着筒金具78へのかしめ部
82の係止によって、嵌着用凹所64からの嵌着筒金具
78の抜け出しが防止されている。
【0036】また、仕切部材38には、凹所58の偏心
方向で、仕切部材38の中心軸68に対する凹所58の
中心軸66の偏心方向と反対側、即ち、図1における右
側に位置して、仕切部材38の中心軸68に直交する径
方向線上で、外周面に開口する接続用凹部84が形成さ
れている。この接続用凹部84は、仕切部材38の半径
の略半分の深さ寸法で、仕切部材38の外周面に開口す
る円形の凹所形状を有しており、径方向外方の開口部側
に向かって次第に拡開した深底すり鉢形状を有してい
る。特に、本実施形態では、かかる接続用凹部84は、
凹所58の形成部位までは至らない深さ寸法で形成され
ており、接続用凹部84と凹所58は、仕切部材38の
軸方向の投影で、重ならない位置と形状で形成されてい
る。これにより、仕切部材38において、接続用凹部8
4と凹所58が、それらの偏心方向となる仕切部材38
の径方向での投影で、一部が重なる位置と形状で形成さ
れており、接続用凹部84の内径寸法と、凹所58の深
さ寸法を十分に確保しつつ、仕切部材38の軸方向厚さ
寸法が小さく設定可能とされている。
【0037】更にまた、仕切部材38の中空内部には、
その底壁面から径方向外方に向かって突出する接続ポー
ト86が一体的に突設されている。そして、仕切部材3
8の軸方向中間部分において、接続用凹部84と凹所5
8の偏心方向に延びる径方向線上に穿孔された空気給排
路88が、空気室用凹部62の外周面から接続ポート8
6内を延びて直線的に形成されており、接続ポート86
の突出先端面に開口せしめられている。
【0038】また、仕切部材38の外周面に密着固定さ
れた第二の取付金具14には、接続用凹部84の開口部
分に対応する位置に、該接続用凹部84よりも僅かに大
きな開口面積で、円形の開口窓部90が形成されてお
り、この開口窓部90を通じて、接続用凹部84内に突
設された接続ポート86が外部空間に露呈されている。
そして、第二の取付金具14の開口窓部90から挿入さ
れた外部空気管路92が、接続ポート86に外挿されて
接続されることにより、空気給排路88に接続されてい
るのである。
【0039】さらに、外部空気管路92には、二方向切
換構造の電磁ソレノイドバルブ等の空気圧切換弁94が
配設されており、この空気圧切換弁94の切換作動に基
づいて、空気給排路88を通じて、作用空気室80が、
大気中と、負圧源96とに、択一的に連通,接続される
ようになっている。なお、負圧源96としては、例え
ば、自動車の内燃機関におけるインテーク側に直接に或
いはアキュムレータ等を介して間接的に外部空気管路9
2を接続することによって構成され得るが、その他、負
圧ポンプ等を特設しても良い。
【0040】従って、上述の如き構造とされた自動車用
エンジンマウント10においては、その装着状態下、空
気圧切換弁94を切換操作することによって、作用空気
室80の圧力を、大気圧と負圧源96の設定負圧とに選
択的に切換変更することが出来るようになっている。そ
して、作用空気室80に大気圧を及ぼした状態下では、
図示されているように、ゴム弾性板72には、受圧室4
6から及ぼされる液圧と、作用空気室80から及ぼされ
る空気圧が略釣り合って、外力が及ぼされない状態とさ
れることとなり、以て、ゴム弾性板72に設定された本
体のばね特性が発揮されるようになっている。なお、車
両への装着状態下では、前述の如く、パワーユニット荷
重が及ぼされることによって本体ゴム弾性体16が弾性
変形せしめられるが、オリフィス通路56を通じての受
圧室46から平衡室48への流体流動によって、受圧室
46の容積減少が速やかに許容されることにより、受圧
室46の圧力上昇が回避され得るようになっている。
【0041】また一方、作用空気室80に負圧源96の
負圧を及ぼした状態下では、図1中に仮想線で示されて
いるように、ゴム弾性板72に対して受圧室46から及
ぼされる液圧が、作用空気室80から及ぼされる空気圧
よりも大きくなって、軸方向下方に向かって付勢する外
力がゴム弾性板の全面に及ぼされた状態とされることと
なる。そして、かかる状態下では、ゴム弾性板72の外
周部分が、凹所58の段差面60に当接せしめられて、
変位、弾性変形が阻止されることにより、実質的にゴム
弾性板の面積が減少せしめられて、ばね特性が硬くな
る。また、それに加えて、受圧室46の液圧と作用空気
室80に及ぼされた負圧力の相対圧力が、ゴム弾性板7
2の両面に及ぼされることにより、それら受圧室46と
作用空気室80の差圧がゴム弾性板72に対して付加的
なばね力として作用することとなり、それによっても、
ゴム弾性板72におけるばね特性が、見かけ上硬くな
る。
【0042】その結果、空気圧切換弁94を切り換える
ことによって、ゴム弾性板72のばね剛性、ひいては受
圧室46の壁ばね剛性を、柔らかい状態と硬い状態とに
切り換えることが出来るのである。そして、受圧室46
の壁ばね剛性は、オリフィス通路56のチューニング周
波数、即ち、受圧室46と平衡室48の圧力差に基づい
てそれら両室46,48間でオリフィス通路56を通じ
て流動せしめられる流体の共振周波数に対して、直接的
な影響を及ぼすことから、空気圧切換弁94を切り換え
ることによって、オリフィス通路56を流動せしめられ
る流体の共振作用に基づいて発揮されるマウント防振効
果を切換変更することが出来るのである。
【0043】具体的には、本実施形態では、作用空気室
80が大気中に接続されてゴム弾性板72のばね剛性が
柔らかくされた状態下において、図3に示されているよ
うに、オリフィス通路56を流動せしめられる流体の共
振作用が、シェイク等の低周波振動に対応する周波数域
(例えば、10Hz前後)で生ぜしめられて、かかるシェ
イク等に対して有効な減衰効果を発揮し得るように設定
されている。また一方、作用空気室80が負圧源96に
接続されてゴム弾性板72のばね剛性が硬くされた状態
下においては、オリフィス通路56を流動せしめられる
流体の共振作用が、アイドリング振動等の高周波振動に
対応する周波数域(例えば、15〜30Hz程度)で生ぜ
しめられて、かかるアイドリング振動等に対して有効な
絶縁効果を発揮し得るように、オリフィス通路56がチ
ューニングされている。なお、かかるオリフィス通路5
6のチューニングは、例えば、ゴム弾性板72のばね剛
性の変化幅に併せて、オリフィス通路56の通路断面
積:Aと通路長さ:Lの比:A/Lの大きさを調節する
ことによって行うことが可能である。
【0044】そして、かかるエンジンマウント10にお
いては、単一のオリフィス通路56により、二つの異な
る周波数域の振動に対して有効な防振効果を、何れも有
効に得ることが出来るのであり、防振すべき振動周波数
毎に各別に複数のオリフィス通路を独立形成したり、そ
れらのオリフィス通路を択一的に切り換える切換弁等を
組み付ける必要がなく、簡単な構造によって、複数の入
力振動に対して有効な防振効果を得ることが出来る点
に、大きな利点を有するのである。
【0045】なお、上述の説明から明らかなように、本
実施形態では、第一空気圧源として大気圧が採用されて
いると共に、第二空気圧源として負圧源96が採用され
ている。
【0046】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、か
かる実施形態における具体的な説明によって、何等、限
定されるものでない。
【0047】例えば、前記実施形態では、略逆皿形状の
ゴム弾性板72が採用されていたが、要求される防振特
性や採用する空気圧源の大きさ等に応じて、各種形状の
ゴム弾性板を採用することが可能であり、例えば、全体
として平板形状のゴム弾性板や、反対に受圧室46側に
向かって拡開する皿形状のゴム弾性板等も、適宜に採用
可能である。
【0048】また、弾性板壁の配設部位は、仕切部材に
限定されるものでなく、受圧室に面する各部位に弾性板
壁を配設することが可能であり、例えば、第一の取付部
材の一部を受圧室46に面させて、そこに弾性板壁を配
設することにより、第一の取付部材の内部に作用空気室
を形成することも可能である。
【0049】更にまた、弾性板壁の仕切部材等への組付
構造も、例示の如き嵌着筒金具78を利用した圧入構造
に限定されるものでなく、例えば直接的な加硫接着等に
よって、弾性板壁を仕切部材等に組み付けることも可能
である。
【0050】さらに、受圧室と平衡室の間に形成される
オリフィス通路の構造や形状等は、要求される防振特性
等に応じて適宜に変更されるものであって、例示のもの
に限定されるものではない。
【0051】また、弾性板壁を仕切部材に配設する場合
にも、仕切部材における弾性板壁の配設位置は、オリフ
ィス通路や空気通路の形状や位置等を考慮して適宜に設
定されるものであって、例示の如き偏心設定構造に限定
されるものでなく、例えば、仕切部材の中心軸上に弾性
板壁を配設することも、勿論、可能である。
【0052】更にまた、本発明は、特公平5−5573
9号公報等に記載されているように、第一の取付部材と
しての軸金具の径方向外方に離隔して、第二の取付部材
としての外筒金具を配設せしめて、それら軸金具と外筒
金具を、両金具間に介在せしめた本体ゴム弾性体で弾性
的に連結すると共に、それら軸金具と外筒金具の径方向
対向面間に、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された
受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を
形成して、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路で相
互に連通せしめた構造の、FF型自動車用エンジンマウ
ントや自動車用のサスペンションブッシュ、ボデーマウ
ント、デフマウント等に好適に採用される流体封入式の
筒型防振装置にも、適用可能である。なお、かくの如き
筒形防振装置においては、例えば、外筒金具の内周面側
に弾性板壁を配設支持せしめて、外筒金具の内部乃至は
外周側に作用空気室を形成することによって、本発明が
有利に実現され得る。
【0053】加えて、本発明は、自動車用の防振装置以
外にも、各種装置における防振装置に対して、同様に適
用可能であることは、勿論である。
【0054】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0055】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、作
用空気室に及ぼされる空気圧を切り換えるだけの簡単な
操作によって、一つのオリフィス通路のチューニング周
波数が変更設定されて、該オリフィス通路を流動せしめ
られる流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果を
適宜に切り換えて変更させることが出来るのであり、そ
れ故、複数のオリフィス通路の切換機構等を装置内に組
み込むことなく、異なる複数種類の振動に対してそれぞ
れ有効な防振効果を発揮し得る流体封入式防振装置が、
簡単でコンパクトな構造で有利に実現され得るのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントを示す横断面
図であって、図1中のII−II断面に相当する図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントにおける防振
特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 38 仕切部材 40 ダイヤフラム 46 受圧室 48 平衡室 50 周溝 56 オリフィス通路 58 凹所 60 段差面 72 ゴム弾性板 74 中央板部 76 周壁部 80 作用空気室 84 接続用凹部 86 接続ポート 88 空気給排路 90 開口窓部 92 外部空気管路 94 空気圧切換弁 96 負圧源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D035 CA05 CA27 CA28 CA42 3J047 AA03 AB01 AB02 CA04 CA13 CD02 FA02 3J048 AA02 AC01 AC04 BA18 BE02 CB23 CB24 DA03 EA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に離隔配置された第一の取付部材と
    第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該
    本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に
    圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が可撓
    性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化
    が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室
    に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡
    室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式
    防振装置において、 前記受圧室の壁部の一部を構成する弾性板壁を設けると
    共に、該弾性板壁の背後に作用空気室を形成する一方、
    該作用空気室を、互いに異なる空気圧を与える第一空気
    圧源と第二空気圧源に択一的に接続する切換空気通路を
    設けて、該作用空気室の圧力を該第一空気圧源への接続
    状態と該第二空気圧源への接続状態で切換変更して前記
    弾性板壁のばね剛性を変化せしめることにより、該作用
    空気室の該第一空気圧源への接続状態下と該第二空気圧
    源への接続状態下で、前記オリフィス通路のチューニン
    グ周波数が、それぞれ防振すべき異なる振動周波数域に
    設定されるようにしたことを特徴とする流体封入式防振
    装置。
  2. 【請求項2】 前記受圧室の壁部の一部を構成する剛性
    壁部材に対して該受圧室側に開口する凹所を形成し、該
    凹所の開口を前記弾性板壁で覆蓋することによって前記
    作用空気室を形成する一方、前記第一空気圧源よりも低
    圧の負圧源を前記第二空気圧源に採用して、該作用空気
    室に該第二空気圧源の圧力が及ぼされた際に前記弾性板
    壁を該作用空気室側に吸引して弾性変形せしめるように
    すると共に、前記第一空気圧源の圧力作用状態下で離隔
    位置せしめられていた該弾性板壁の一部が該第二空気圧
    源の圧力作用状態下で当接状態に維持される当接支持部
    を前記剛性壁部材に設けて、該当接支持部に該弾性板壁
    の一部を当接させて弾性変形可能な面積を減少させるこ
    とにより、該第一空気圧源の圧力作用状態下よりも該第
    二空気圧源の圧力作用状態下の方が該弾性板壁のばね剛
    性が硬くなるようにした請求項1に記載の流体封入式防
    振装置。
  3. 【請求項3】 前記剛性壁部材における前記凹所の開口
    周縁部に略平坦な環状当接面を設けて、該環状当接面で
    前記当接支持部を構成することにより、該作用空気室に
    前記第一空気圧源の圧力が及ぼされた状態で前記弾性板
    壁が該環状当接面から離隔位置せしめられる一方、該作
    用空気室に前記第二の空気圧源の圧力が及ぼされた状態
    で該弾性板壁が該環状当接面に当接されるようにした請
    求項2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性板壁を、略平板形状の中央板部
    と、該中央板部の外周縁部から軸方向一方の側に拡径し
    て広がる略テーパ筒形状の周壁部分からなるゴム弾性板
    で構成せしめて、該周壁部分の外周部分を支持せしめて
    前記受圧室内に向かって突出するように配設した請求項
    1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記第二の取付部材に筒状部を設けて、
    該筒状部の一方の開口部を前記本体ゴム弾性体で閉塞す
    ると共に、該筒状部の他方の開口部を前記可撓性膜で閉
    塞せしめて、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面
    間に前記非圧縮性流体の封入領域を形成し、該第二の取
    付部材の筒状部内に収容配置して固定的に支持せしめた
    剛性の仕切部材で該封入領域を仕切ることにより、該仕
    切部材を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室を形成す
    る一方、かかる仕切部材の該受圧室側の面において偏心
    位置して形成せしめた凹所の開口部を前記弾性板壁で覆
    蓋することによって前記作用空気室を形成すると共に、
    該仕切部材における該凹所の偏心側と反対側の外周面に
    開口して接続用凹部を設けて、該接続用凹部を前記第二
    の取付部材の筒状部に貫設した開口窓部を通じて外周面
    に開口せしめると共に、該接続用凹部内にポートを突設
    して、前記作用空気室に通じる空気給排路を該ポートに
    より、前記開口窓部を通じて挿入される外部空気管路に
    接続せしめるようにした請求項1乃至4の何れかに記載
    の流体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記仕切部材の外周面に開口して周方向
    に延びる周溝を設けると共に、該周溝を前記第二の取付
    部材の筒状部で覆蓋することにより、前記オリフィス通
    路を形成した請求項5に記載の流体封入式防振装置。
  7. 【請求項7】 前記第一空気圧源として大気圧を採用す
    ると共に、前記第二空気圧源として負圧源を採用した請
    求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載の流体封
    入式防振装置を用い、前記第一の取付部材と前記第二の
    取付部材の一方を自動車のパワーユニットに取り付ける
    と共に、他方を自動車のボデーに取り付けることによ
    り、該パワーユニットを該ボデーに対して防振支持せし
    めるようにする一方、前記作用空気室の前記第一空気圧
    源への接続状態下で、前記オリフィス通路のチューニン
    グ周波数がシェイクに対応すると共に、前記作用空気室
    の前記第二空気圧源への接続状態下で、前記オリフィス
    通路のチューニング周波数がアイドリング振動に対応す
    るように設定したことを特徴とする自動車用エンジンマ
    ウント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10253249A1 (de) * 2002-11-15 2004-05-27 Audi Ag Hydraulisch gedämpftes Elastomerlager zur Lagerung einer Brennkraftmaschine in einem Fahrzeug
JP2010106865A (ja) * 2008-10-28 2010-05-13 Bridgestone Corp 防振装置

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