JP4018366B2 - 流体封入式マウント - Google Patents

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Description

【0001】
【背景技術】
本発明は、内部に封入された流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式マウントに係り、特にオリフィス通路の連通状態を切り換えることにより、防振特性を制御することのできる流体封入式マウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、防振マウントの一種として、内部に封入された流体の流動作用や圧力変動等を利用して得られる防振効果を、入力振動等に応じて調節変更することができるようにした流体封入式マウントが知られている。このような流体封入式マウントの一種として、例えば、特開2000−257665号公報等に記載されているように、第一の取付部材を、略円筒形状を有する第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、第二の取付部材の他方の開口部側をゴム弾性膜で覆蓋せしめて、それら本体ゴム弾性体とゴム弾性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に第二の取付部材で支持された仕切部材によってかかる流体室を仕切ることにより、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、ゴム弾性膜で壁部の一部が構成された平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室をそれぞれ連通する第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を形成する一方、ゴム弾性膜を挟んで平衡室と反対側にアクチュエータを配設し、該アクチュエータでゴム弾性膜を押圧して前記仕切部材に設けられた第二のオリフィス通路の平衡室への開口部に押し付けることによって第二のオリフィス通路を遮断可能とすることにより、オリフィス通路を開閉制御せしめて防振特性を調節するようにした流体封入式マウントが、知られている。
【0003】
ところで、このような従来の流体封入式マウントでは、ゴム弾性膜による第二のオリフィス通路の平衡室への開口部の覆蓋を、振動入力時に及ぼされる圧力変動に抗して安定して実現するために、ゴム弾性膜に対してアクチュエータによる押圧力を充分に大きく作用させる必要がある。
【0004】
ところが、アクチュエータの大きな押圧力をゴム弾性膜に作用せしめると、第二のオリフィス通路の平衡室への開口部を閉塞せしめるに際しての、ゴム弾性膜の仕切部材への当接に伴う大きな衝撃や打音の発生が問題となり易いという問題があった。
【0005】
また、従来構造の流体封入式マウントにおいては、ゴム弾性膜で第二のオリフィス通路の平衡室への開口部を閉塞せしめた状態下で、大きな振動荷重が入力されると、リバウンド荷重による負圧が受圧室に生ぜしめられ、ゴム弾性膜に作用せしめられることとなり、ゴム弾性膜が、第二のオリフィス通路の平衡室への開口部に吸い込まれることによって、ゴム弾性膜に局部的な応力集中が発生したり、ゴム弾性膜が第二のオリフィス通路の平衡室への開口部の周縁部付近で擦られて損傷し易く、ゴム弾性膜の耐久性が充分に確保され難いという問題があった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、第二のオリフィス通路の閉塞による防振特性の作動切り換え時における異音や振動の発生が低減乃至は防止されると共に、ゴム弾性膜の耐久性が向上され得る新規な構造の流体封入式マウントを提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
本発明の第一の態様は、第一の取付部材を、略円筒形状を有する第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部側をゴム弾性膜で覆蓋せしめて、それら本体ゴム弾性体とゴム弾性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に該第二の取付部材で支持された仕切部材によって該流体室を仕切ることにより、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、該ゴム弾性膜で壁部の一部が構成された平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室をそれぞれ連通する第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を形成する一方、該ゴム弾性膜を挟んで該平衡室と反対側にアクチュエータを配設し、該アクチュエータで該ゴム弾性膜を押圧して該仕切部材に設けられた該第二のオリフィス通路の該平衡室への開口部に押し付けることによって該第二のオリフィス通路を遮断可能とした流体封入式マウントにおいて、前記ゴム弾性膜の中央部分を外周部分よりも剛性の大きな蓋体部として、該蓋体部を前記第二のオリフィス通路の前記平衡室への開口部に対向位置せしめると共に、該ゴム弾性膜において該蓋体部の外周縁部から外周側に延び出す部分を略円弧形の湾曲断面形状で前記仕切部材に向かって突出する環状当接部として形成し、該環状当接部の裏表両面を何れも該蓋体部から延び出した自由表面として、前記アクチュエータによる押圧力が該蓋体部の外面に及ぼされることにより、該環状当接部の突出先端部の表面側が該仕切部材における該第二のオリフィス通路の該平衡室への開口部の周りに押し付けられるようにすると共に、該環状当接部の該突出先端部の裏面側には空間を形成せしめて、且つ、前記ゴム弾性膜における前記蓋体部の外径寸法よりも、前記仕切部材に押し付けられる前記環状当接部の突出先端部を大径とした流体封入式マウントを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式マウントにおいては、アクチュエータでゴム弾性膜を仕切部材に押し付けることにより、ゴム弾性膜における環状当接部の突出先端部が、仕切部材における第二のオリフィス通路の平衡室への開口部まわりに対して全周に亘って当接されて第二のオリフィス通路が流体密に閉塞されることとなるのであり、その際、環状当接部は、突出先端部の仕切部材への押し付けによって弾性的に剪断変形せしめることとなる。それ故、ゴム弾性膜がアクチュエータで仕切部材に強く当接せしめられた場合でも、柔らかいばね特性に基づく緩衝作用が発揮されてゴム弾性膜の仕切部材に対する当接に際しての打音や衝撃が低減され得るのである。
【0010】
しかも、第二のオリフィス通路の平衡室への開口部を覆蓋するゴム弾性膜の中央部分が剛性の大きい蓋体部とされていることから、大きなリバウンド荷重の入力によって受圧室に生ぜしめられた負圧が第二のオリフィス通路を通じて蓋体部に及ぼされた場合でも、蓋体部における第二のオリフィス通路の平衡室への開口部への入り込みが防止されて、ゴム弾性膜の不規則な弾性変形や仕切部材への擦れ等が回避されることにより、ゴム弾性膜の耐久性が向上され得るのである。
【0011】
なお、本態様において、アクチュエータの具体的構造は限定されるものでなく、ゴム弾性膜の蓋体部に対して仕切部材への押し付け力を解除可能に及ぼし得るものであれば良いのであり、例えば、密閉された作用空気室を備え、該空気室の空気圧変化に伴う壁部の変位を出力として取り出すようにした空気圧式アクチュエータや、電磁力や磁力の作用に基づいて変位せしめられる出力部材を備えた電磁式アクチュエータ等が、何れも採用可能である。また、蓋体部の剛性の向上には、例えば、蓋体部に該蓋体部よりも硬質の剛体を固着したり、或いは蓋体部の肉厚寸法を大きくすること等によって有利に実現され得る。更にまた、仕切部材は、例えば、オリフィス通路を形成するための凹溝を備えた金属や合成樹脂の成形品を用いて形成されることが望ましく、それによって、第一及び第二のオリフィス通路が、少ない部材点数と簡単な構造で実現され得る。
【0012】
また、本態様においては、仕切部材への押し付けに際しての環状当接部における剪断変形がより安定して生ぜしめられることとなり、環状当接部のばね特性を柔らかくチューニングすることが一層容易となる。
【0013】
また、本発明の第の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた流体封入式マウントにおいて、前記ゴム弾性膜における前記蓋体部の外径寸法を、前記仕切部材に形成された前記第二のオリフィス通路の前記平衡室への開口部よりも大径としたことを、特徴とする。このような本態様においては、蓋体部における第二のオリフィス通路の平衡室への開口部への入り込みがより効果的に防止され得る。
【0014】
また、本発明の第の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた流体封入式マウントにおいて、前記ゴム弾性膜の中央部分を外周部分よりも厚肉の平板形状として前記蓋体部を形成すると共に、該ゴム弾性膜の外周部分を変形が容易な薄肉の弛み形状とし、更に前記環状当接部の肉厚寸法を、少なくとも該蓋体部との接続部分から前記突出先端部にまで至る部分において該ゴム弾性膜の外周部分の肉厚寸法よりも大きくしたことを、特徴とする。このような本態様においては、蓋体部の剛性が大きく確保される一方、ゴム弾性膜の外周部分の可撓性が有利に確保されることにより、ゴム弾性膜の中央部分における変形剛性、延いては耐久性と平衡室の容積変化の許容量が両立して高度に確保され得る。
【0015】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式マウントにおいて、前記ゴム弾性膜の中央部分に少なくとも該ゴム弾性膜よりも硬質の補強部材を固着せしめて前記蓋体部を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、ゴム弾性膜の中央部分の剛性が一層有利に確保され得るのであり、それによって、例えば、全体に亘って薄肉のゴム弾性膜を採用することも可能とされる。なお、本態様において、補強部材には、公知の硬質の合成樹脂や金属等が採用可能であり、また、補強部材のゴム弾性膜への固着は、例えば、該ゴム弾性膜の表面に接着せしめたり、或いはゴム弾性膜内に埋設せしめること等によって実現され得る。
【0016】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式マウントにおいて、前記アクチュエータにおける前記蓋体部の押圧面に対して凹凸を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、アクチュエータと蓋体部の押圧(当接)面積が小さくされることにより、アクチュエータとゴム弾性膜の当接に際して生ぜしめられる打音等が効果的に防止され得る。なお、凹凸は、例えば、押圧面の外周縁部に環状乃至は分断状の突出部を設けて中央部分を凹陥状としたり、或いは押圧面の全体に亘って複数の小突部を突設する他、同心円状乃至は碁盤目状の凹溝を多数条設けること等によって実現され得る。
【0017】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式マウントにおいて、前記アクチュエータを、(a)前記ゴム弾性膜の外方に離隔して配設されて、前記第二の取付部材で固定的に支持された硬質のベース部材と、(b)該ベース部材と前記ゴム弾性膜の間に配設されて、該ベース部材との間において外部空間に対して遮断された作用空気室を画成する可撓性隔膜と、(c)該可撓性隔膜の中央部分に固着されて、該可撓性隔膜の変形により前記ベース部材に対して接近/離隔変位可能に支持されて、前記ゴム弾性膜の蓋体部に対して対向位置せしめられた押圧部材と、(d)該押圧部材を前記ベース部材から離隔する方向に付勢して、前記蓋体部に該押圧部材を当接させて押圧力を及ぼす付勢手段と、(e)前記作用空気室に対して外部から空気圧を及ぼす空気圧通路とを、含んで構成し、該空気圧通路を通じて前記作用空気室に負圧を及ぼすことによって、前記押圧部材による前記蓋体部への押圧力が解除されるようにしたことを、特徴とする。
【0018】
このような本態様においては、作用空気室への負圧力の作用を制御することにより、押圧部材の蓋体部に対する押圧力を作用または解除せしめて、ゴム弾性膜の蓋体部が第二のオリフィス通路の平衡室への開口部に対して確実に当接/離隔せしめられることとなり、以て、第二のオリフィス通路の遮断/連通状態等の切り換えが安定して行われ得る空気圧式のアクチュエータが、有利に実現され得るのである。なお、本態様において、押圧部材は、ゴム弾性膜に対して非接着とされていることが望ましく、それにより、製作性や組付け作業性等が有利に向上され得る。また、押圧部材を付勢する付勢手段は、例えば、押圧部材とベース部材の対向面間にコイルスプリングを配設すること等によって有利に実現され得る。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔てて配された第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16で連結された構造を有しており、第一の取付金具12が図示しないパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない車両ボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において上下方向とは、原則として、図1における上下方向をいうものとする。
【0021】
より詳細には、第一の取付金具12は、逆向きの略截頭円錐台形状を呈しており、その大径側上面には、固定片18が突設されている。この固定片18には、取付孔20が貫設されており、該取付孔20に挿通されるボルト等によって、第一の取付金具12が、図示しないパワーユニットに対して固定的に取り付けられるようになっている。
【0022】
また一方、第二の取付金具14は、第一の取付金具12の外径寸法よりも十分に大径とされた薄肉の略円筒形状を有しており、第二の取付金具14の一方の開口部である上側開口部には、屈曲等して径方向内方に突出するくびれ部22が形成されていると共に、該くびれ部22の開口周縁部には、径方向外周に広がるフランジ状部24が一体形成されている。
【0023】
また、第一の取付金具12は、第二の取付金具14の軸方向上方に所定距離を隔てて略同一中心軸上に配設されており、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、本体ゴム弾性体16が介装されている。この本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、小径側端面に第一の取付金具12が加硫接着されていると共に、大径側端部外周面に第二の取付金具14が加硫接着されている。即ち、本体ゴム弾性体16は、第一及び第二の取付金具12,14を備えた一体加硫成形品として形成されており、本体ゴム弾性体16によって第二の取付金具14の上側開口部が流体密に覆蓋されている。また、本体ゴム弾性体16には、大径側端面に開口する凹所26が形成されている。
【0024】
さらに、第二の取付金具14の内部には、仕切部材30と、ゴム弾性膜としてのダイヤフラム32が重ね合わされて収容されている。
【0025】
仕切部材30は、全体として略円板形状を有しており、金属のプレス成形品にて形成されていると共に、第一の仕切金具34と第二の仕切金具36が軸方向に重ね合わされることによって構成されている。第一の仕切金具34は、図3にも単品として示されているように、略円板形状を有しており、その中央部分には、小径の挿通孔38が貫設されていると共に、外周縁部には、周方向に一周弱の長さで略コ字型の断面形状で連続して延びる周溝44が形成されている。また、周溝44の周方向一端部は、周方向端面で開口する連通孔46によって第一の仕切金具34の上面側に開口し連通せしめられている一方、周溝44の周方向他端部は、下壁部に貫設された接続用孔50によって第一の仕切金具34の下面側に開口し連通せしめられている。更にまた、第一の仕切金具34には、周溝44の周方向両端部間、換言すれば周溝44が形成されていない外周縁部分において、透孔52が貫設されている。更に、第一の仕切金具34の径方向略中央部分には、周溝44や透孔52等を避ける位置に、一対の通孔54,54が貫設されている。
【0026】
また、第二の仕切金具36は、図4にも単品として示されているように、厚肉の略円板形状を有しており、その上面の中心軸上には、小径の円筒形状を有するかしめピン58が突設されていると共に、下面の中央部分には、円形の中央凹所60が形成されている。また、第二の仕切金具36には、外周縁部近くを周方向に半周弱の長さで延びる第一の周溝62が上方に向かって開口して形成されており、該第一の周溝62の周方向一端部が、底壁部に貫設された連通孔64によって第二の仕切金具36の下面に開口し連通せしめられている。更にまた、第二の仕切金具36において、第一の周溝62に対して径方向反対側に位置する部分には、第一の周溝62よりも大きな幅寸法をもって周方向に四半周強の長さで延びる第二の周溝66が上方に向かって開口して形成されている。また、第二の周溝66の周方向一端部が、次第に小さくなる曲率半径で径方向内方に向かって湾曲して延び出して、中央凹所60に対して開口し連通せしめられている一方、第二の周溝66の周方向他端部が、中央凹所60の周壁面および底面の略半周に亘って開口し連通されている。更に、第二の仕切金具36には、第一の周溝62の径方向内方に位置する部分において、第一の周溝62に沿って略半周の領域に広がる収容凹所70が上面に開口して形成されており、該収容凹所70の底壁部には、一対の通孔74,74が形成されている。
【0027】
また一方、ダイヤフラム32は、図1にも示されているように、特にその外周部分としての外周ゴム部78が変形容易な薄肉のゴム膜で形成されており、蛇行して径方向に延びる断面形状とされていることによって、かかる外周ゴム部78には充分な弛みが設けられている。また、外周ゴム部78の外周縁部には、大径の略円筒形状を有する金属リング80が加硫接着されている。更にまた、ダイヤフラム32の中央部分には、外周ゴム部78よりも厚肉とされており、弛みをもたないで軸直角方向に広がる蓋体部としての蓋板部82が形成されている。なお、この蓋板部82の外径寸法は、第二の仕切金具36における中央凹所60の開口部68の外径寸法よりも大きく設定されている。
【0028】
また、蓋板部82の外周縁部には、環状当接部としての当接ゴム部84が周方向の全周に亘って連続して形成されている。かかる当接ゴム部84は、図5にも示されているように、略半円形乃至は逆U字形の湾曲断面形状とされており、蓋板部82の外周縁部から軸方向上方に立ち上がり、突出先端部86で湾曲して下方に折り返す断面形状とされている。また、当接ゴム部84の突出先端部86が、蓋板部82よりも軸方向上方で且つ径方向外方に位置せしめられている。また、特に本実施形態では、当接ゴム部84の肉厚寸法が、蓋板部82の外周縁部から次第に小さくされて、外周ゴム部78につながっている。
【0029】
そして、このような第一及び第二の仕切金具34,36とダイヤフラム32が、第二の取付金具14の下側開口部から順次軸方向に挿入されて軸方向で重ね合わされた後、第二の取付金具14に縮径加工やかしめ加工が施されることにより、第一及び第二の仕切金具34,36とダイヤフラム32の金属リング80が第二の取付金具14に対して嵌着固定されていると共に、第二の取付金具14の開口周縁部に形成された係止爪25によって金属リング80の軸方向の抜け出しが防止されている。これにより、第二の取付金具14の下側開口部が、ダイヤフラム32によって流体密に覆蓋されており、以て、第二の取付金具14の内部には、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32の対向面間において、内部に非圧縮性流体が封入された流体室88が形成されている。
【0030】
また、かかる流体室88には、第一及び第二の仕切金具34,36が重ね合わされることによって構成された仕切部材30が、軸方向中間部分を軸直角方向に広がって配設されており、この仕切部材30で流体室88が仕切られて二分されることによって、仕切部材30を挟んだ一方の側(図1中の軸方向上側)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された受圧室90が形成されていると共に、仕切部材30を挟んだ他方の側(図1中の軸方向下側)には、壁部の一部がダイヤフラム32で構成された平衡室92が形成されている。そして、受圧室90は、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめられるようになっている一方、平衡室92は、主としてダイヤフラム32の外周部分に位置する外周ゴム部78の弾性変形に基づいて、容積変化が容易に許容されるようになっている。
【0031】
なお、これら受圧室90と平衡室92への非圧縮性流体の封入は、例えば、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対する第一及び第二の仕切金具34,36やダイヤフラム32の組み付けを、非圧縮性流体中で行うこと等によって、有利に為され得る。また、封入される非圧縮性流体としては、例えば、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が何れも採用可能であり、特に、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために、粘度が0.1Pa.s以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0032】
また、仕切部材30を構成する第一の仕切金具34と第二の仕切金具36は、軸方向で互いに重ね合わされ、各外周縁部に設けられた切欠凹所56,76によって周方向で位置合わせされて、第一の仕切金具34の挿通孔38に対して第二の仕切金具36のかしめピン58が挿通されてかしめ固定されている。また、かかる仕切部材30には、第一の仕切金具34と第二の仕切金具36の各周溝44,62,66等によって協働して、受圧室90と平衡室92の間で流体流動を許容する第一のオリフィス通路96と第二のオリフィス通路98が形成されている。
【0033】
第一のオリフィス通路96は、第一の仕切金具34の周溝44と第二の仕切金具36の第一の周溝62が接続用孔50で接続されることによって形成されており、仕切部材30を周方向に略1周半弱の長さで往復形状をもって延びていると共に、該第一のオリフィス通路96の周方向一端部が、透孔46を通じて受圧室90に開口し連通されている一方、その周方向他端部が、連通孔64を通じて平衡室92に開口し連通されている。一方、第二のオリフィス通路98は、第二の仕切金具36の第二の周溝66が第一の仕切金具34で覆蓋されることによって形成されており、仕切部材30を周方向に四半周強の長さで延びていると共に、該第二のオリフィス通路98の周方向一端部が、透孔52を通じて受圧室90に開口し連通されている一方、その周方向他端部が、中央凹所60を通じて平衡室92に開口し連通されている。なお、このことからも明らかなように、本実施形態では、第二のオリフィス通路98の平衡室92への開口部が、第二の仕切金具36における中央凹所60の開口部68によって構成されている。
【0034】
特に本実施形態では、第一のオリフィス通路96が、その内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェイク等の低周波振動に対する防振効果(減衰効果)を発揮し得るように、通路長さや断面積等が調節されている。また、第二のオリフィス通路98は、通路長さ:Lと断面積:Aの比の値:A/Lの値が第一のオリフィス通路96よりも大きく設定されており、アイドリング振動等の中周波振動の入力時に、第一のオリフィス通路96が実質的に閉塞状態となった状態下において、有効な防振効果(振動絶縁効果)を発揮し得るようにチューニングされている。
【0035】
また、かかる仕切部材30は、上述の如き第二の取付金具14への組付け状態下において、第二の仕切金具36の収容凹所70が第一の仕切金具34で覆蓋されていると共に、第一の仕切金具34の通孔54,54が収容凹所70の覆蓋部分に位置せしめられている。また、この収容凹所70には、可動ゴム板100が収容配置されている。かかる可動ゴム板100は、その外周縁部において軸方向両面側に突設された突出縁部102が、収容凹所70の底壁部と第一の仕切金具34の間で挟持されることにより、収容凹所70内の深さ方向の略中間部分に位置して展張状態で広がって、該収容凹所70内を底部側と開口部側とに流体密に仕切る状態で配設されている。そして、可動ゴム板100の上面および下面には、第一の仕切金具34の透孔54,54と第二の仕切金具36の透孔74,74を通じて、受圧室90の内圧と平衡室92の内圧が及ぼされるようになっており、それら両室90,92の圧力差に基づいて可動ゴム板100が弾性変形することに伴って、該可動ゴム板100の弾性変形量に相当する流体量だけ、受圧室90と平衡室92の間での実質的な流体流動が、収容凹所70を通じて生ぜしめられるようになっている。
【0036】
そして、かかる収容凹所70は、こもり音等の高周波振動の入力時に、第一及び第二のオリフィス通路96,98を通じての流体流通抵抗が著しく大きくなった状態下において、受圧室90と平衡室92の間で可動ゴム板100の弾性変形に基づく実質的な流体流動を許容することにより、受圧室90の圧力増大を軽減乃至は解消して著しい高動ばね化を回避し、良好な防振効果(振動絶縁効果)が維持され得るようにチューニングされている。
【0037】
また、本実施形態では、図5に示されているように、ダイヤフラム32が、略無荷重入力の状態でダイヤフラム32の第二の取付金具14への組付け状態下において、ダイヤフラム32の蓋板部82が、仕切部材30における中央凹所60の開口部68の軸方向下方に離隔して位置合わせされていると共に、ダイヤフラム32の当接ゴム部84が、中央凹所60の開口部68まわりに対して軸方向下方に離隔して対向するように位置合わせされている。
【0038】
また、上述の如き仕切部材30やダイヤフラム32を組み付けた第二の取付金具14(第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品)には、該第二の取付金具14の下方に位置して、アクチュエータとしての負圧式アクチュエータ104が配設されて組み付けられている。この負圧式アクチュエータ104は、合成樹脂や金属等の剛性材で形成された略円板形状を有するベース部材としての外壁部材106に対して、略円板形状を有する可撓性隔壁としてのゴム弾性壁108が軸方向に重ね合わされて、それら外壁部材106とゴム弾性壁108の対向面間に、外部空間に対して密閉された作用空気室110が形成された構造とされており、第二の取付金具14に圧入等で固着される支持筒金具112の軸方向下端部に対して固定的に取り付けられている。
【0039】
この支持筒金具112は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向下端部が、径方向内方に向かって広がる段差部114を介して小径化されて嵌着筒部116とされていると共に、軸方向下側開口部には、径方向内方に突出する略円環形状の係止突起118が一体形成されている一方、軸方向上側開口部には、径方向外方に向かって広がるフランジ状部120が一体形成されている。また、支持筒金具112の軸方向下端部分には、大径円筒形状のブラケット金具122が外挿されて溶着されており、該ブラケット金具122の下端周縁部に一体形成されたフランジ状部124が図示しない車両ボデーにボルト等で固着されることにより、第二の取付金具14が支持筒金具112を介して、車両ボデーに取り付けられるようになっている。
【0040】
そして、支持筒金具112の上方から、別途それぞれ製造した外壁部材106とゴム弾性壁108を、順次挿入し、外壁部材106の外周縁部を支持筒金具112の係止突起118上に係止させると共に、ゴム弾性壁108の外周面に加硫接着された固定スリーブ126を嵌着筒部116や段差部114に対して圧入や溶接等で固着せしめて、係止突起118と固定スリーブ126の間で外壁部材106とゴム弾性壁108の外周縁部を重ね合わせて流体密に密着させることにより、それら外壁部材106とゴム弾性壁108の間に作用空気室110が形成されている。なお、支持筒金具112や固定スリーブ126等の筒壁部には、必要に応じて内外に貫通する連通孔128が設けられており、この連通孔128を通じてダイヤフラム32とゴム弾性壁108の間に形成された密閉状空間が外部空間に連通されて、ダイヤフラム32の変形が容易に且つ安定して許容されるようになっている。
【0041】
また、ゴム弾性壁108の中央部分には、略逆カップ形状を有する押圧部材としての押圧金具130が埋設状態で加硫接着されていると共に、作用空気室110の中央部分には、付勢手段としてのコイルスプリング132が収容配置されて、外壁部材106と押圧金具130の対向面間に配設されている。また、本実施形態では、コイルスプリング132として圧縮コイルスプリングが採用されており、コイルスプリング132の付勢力によって、ゴム弾性壁108に固着された押圧金具130が、常時、外壁部材106から軸方向上方に離隔する方向に付勢されている。
【0042】
更にまた、外壁部材106の中央部分には、作用空気室110内に突出する中空山形の突部134が形成されていると共に、この突部134の上底中央から外部下方に突出する空気圧通路としてのポート136が一体形成されている。そして、このポート136に外部管路(図示せず)が接続されて、該外部管路を通じて、作用空気室110が、図示しない負圧源と大気中とに択一的に接続されるようになっている。これにより、作用空気室110に大気圧が及ぼされた状態下(図1参照)では、コイルスプリング132の付勢力で押圧金具130が上方に突出して位置せしめられる一方、作用空気室110に負圧が及ぼされた状態下(図5参照)では、コイルスプリング132の付勢力に抗して、押圧金具130が下方(外壁部材106側)に引き下げられて保持されるようになっている。
【0043】
また、押圧金具130の平坦な円板形状を有する上底部を被覆するゴム弾性壁108の中央上面138の外周縁部には、略円環形状を有する凸状ゴム140が上方に向かって突出して一体形成されており、それによって、中央上面138において凸状ゴム140で囲まれた中央部分が、全体として円形に凹んだ凹状面とされている。更にまた、外壁部材106における突部134の上底部に対向位置せしめられた押圧金具130の上底部には、ゴム弾性壁108と一体形成された逆向きの截頭円錐台形状の緩衝ストッパゴム142が、突部134に向かって突設されており、押圧金具130の引き下げ時における押圧金具130の変位量が、緩衝ストッパゴム142の突部134への当接によって緩衝的に制限されるようになっている。なお、本実施形態では、負圧式アクチュエータ104の押圧金具130における押圧面が、押圧金具130の上底部を被覆するゴム弾性壁108の中央上面138によって構成されていると共に、押圧金具130の押圧面(中央上面138)に設けられる凹凸が、中央上面138の外周縁部に形成された凸状ゴム140と該凸状ゴム140で囲まれた中央の凹状面によって構成されている。
【0044】
そして、支持筒金具112が、第二の取付金具14に対して軸方向下側から圧入されて支持筒金具112のフランジ状部120が第二の取付金具14のフランジ状部24に重ね合わされて軸方向に位置決めされた状態で支持筒金具112が第二の取付金具14に固着されており、それによって、負圧式アクチュエータ104が、第二の取付金具14の下側開口部に配設されている。
【0045】
また、このようにして第二の取付金具14の軸方向下方に配設された負圧式アクチュエータ104は、押圧金具130の上底部(ゴム弾性壁108の中央上面138)が、ダイヤフラム32の蓋板部82を挟んで、仕切部材30に設けられた中央凹所60の開口部68と軸方向で対向位置せしめられている。
【0046】
そして、負圧式アクチュエータ104の作用空気室110に大気圧が及ぼされた状態下では、図1に示されているように、コイルスプリング132の付勢力に基づいて、中央上面138の凸状ゴム140が蓋板部82の下面に当接されて、負圧式アクチュエータ104による押圧力が蓋板部82の外面に及ぼされることにより、該蓋板部82が上方に向かって押圧変位せしめられる。その結果、ダイヤフラム32における当接ゴム部84の突出先端部86が、軸直角方向に広がる平坦面とされた仕切部材30における中央凹所60の開口部68の周りに押し付けられて、該仕切部材30と密接状態に保持されることとなり、以て、中央凹所60を通じて平衡室92に連通せしめられた第二のオリフィス通路98が遮断状態に維持されるようになっている。
【0047】
一方、負圧式アクチュエータ104の作用空気室110に負圧が及ぼされた状態下では、図5に示されているように、押圧金具130がコイルスプリング132の付勢力に抗して下方に引き下げられて、押圧金具130による蓋板部82への押圧力が解除されて、押圧金具130およびダイヤフラム32が仕切部材30から離隔されることとなり、それによって、第二のオリフィス通路98が中央凹所60の開口部68を通じて平衡室92に接続されて、第二のオリフィス通路98が連通状態に維持されるようになっている。
【0048】
すなわち、負圧式アクチュエータ104の作用空気室110に大気圧を及ぼした状態下では、受圧室90と平衡室92の間で第一のオリフィス通路96を通じての流体流動が有効に生ぜしめられて、かかる流体の共振作用に基づいてシェイク等の低周波大振幅振動に対する有効な防振効果が発揮されると共に、高周波小振幅振動の入力時には、可動ゴム板100の弾性変形に伴う、受圧室90と平衡室92の間における第一の仕切金具34の通孔54および第二の仕切金具36の通孔74を通じての実質的な流体流動に基づいて、受圧室90の圧力変動が軽減乃至は吸収されて、低動ばね化による防振効果が発揮されることとなる。
【0049】
また一方、負圧式アクチュエータ104の作用空気室110に負圧を及ぼした状態下では、受圧室90と平衡室92の間で、第一のオリフィス通路96よりも流通抵抗が充分に小さい第二のオリフィス通路98を通じての流体流動が有効に生ぜしめられることから、かかる流体の共振作用に基づいて、アイドリング振動等の中周波中振幅振動に対する有効な防振効果が発揮されることとなる。
【0050】
それ故、車両の走行状態等に応じ、負圧式アクチュエータ104の作用空気室110に対して大気圧と負圧を択一的に及ぼすことによって、エンジンマウント10の防振特性を切換制御することが出来るのであり、それ故、エンジンマウント10に対して、入力される振動に対して最適な防振特性を付与せしめることが可能となるのである。
【0051】
そこにおいて、上述の如き構造とされたエンジンマウント10にあっては、仕切部材30に当接せしめられるダイヤフラム32における当接ゴム部84が、厚肉とされて大きな剛性が付与された蓋板部82の外周部分から円弧状断面で上方に向かって突出形成された特定の構造とされており、かかる当接ゴム部84の仕切部材30への当接に際して、該当接ゴム部84に剪断変形が生ぜしめられるようになっていることから、蓋板部82の変形量を小さく抑えつつ、当接ゴム部84の柔らかいばね特性に基づいて中央凹所60の開口部が有利に安定して閉塞せしめることが出来るのであり、しかも、当接ゴム部84の仕切部材30への当接時の衝撃が効果的に軽減されて、打音や振動等の不具合が防止され得るのである。
【0052】
また、本実施形態では、ダイヤフラム32で第二のオリフィス通路98を遮断せしめた状態下で、大きなリバウンド荷重の入力により受圧室90に生ぜしめられた負圧が第二のオリフィス通路98を通じてダイヤフラム32の蓋板部82に吸引力として作用せしめられた場合にも、蓋板部82の変形がその剛性によって抑えられて、当接ゴム部84の剪断変形によって蓋板部82が全体として中央凹所60の開口部68に対して接近/離隔する方向に変位せしめられるに止まることとなり、ダイヤフラム32の不規則な弾性変形や、ダイヤフラム32と仕切部材30の押圧部位における擦れ等が軽減乃至は回避されることから、ダイヤフラム32の耐久性が向上され得るのである。
【0053】
また、本実施形態では、押圧金具130の上底部に位置するゴム弾性壁108の中央上面138に対して凸状ゴム140が設けられており、負圧式アクチュエータ104の押圧面(中央上面138)と蓋板部82の間に隙間が形成されるようになっていることから、例えば、図1に示されている如き第二のオリフィス通路98の開口部(開口部68)を蓋板部82で覆蓋せしめた状態下で振動入力があり、負圧から正圧に変化した圧力変動が蓋板部82に及ぼされた場合においても、蓋板部82の押圧面(中央上面138)に対する強い打ち当りが回避されるのであり、それによって、かかる打ち当りに起因する打音や衝撃も軽減され得るのである。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0055】
例えば、前記実施形態では、押圧金具130の上底部に被着されたゴム弾性壁108の中央上面138の外周縁部に対して凸状ゴム140が設けられていたが、それに代えて、ダイヤフラム32(蓋板部82)における押圧金具130と対向位置する面に対して凸状ゴムを設けたり、或いは押圧金具130の中央上面138やダイヤフラム32の押圧金具130への当接面に、凹凸として多数の小突起や凹溝等を設けることも勿論可能である。
【0056】
さらに、仕切部材30においては、例えば、特開平9−310732号公報等に示されているように、第二のオリフィス通路の受圧室への開口部に可動部材としてのゴム板を配設しても良い。
【0057】
また、本実施形態においては、例えば、特開2000−257665号公報や特開平10−38017号公報等に示されているように、第一の取付金具の軸方向下端部に傘部材を取り付けると共に、該傘部材を受圧室内の略中央部分に収容配置して、傘部材の外周面と受圧室の内周面の対向面間に環状の狭窄部を形成することも可能である。
【0058】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウントや、或いは自動車以外に用いられる各種装置における防振装置に対しても有利に適用され得ることは、勿論である。
【0059】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式マウントにおいては、第二のオリフィス通路の平衡室への開口部を閉塞せしめるゴム弾性膜の中央部分を剛性の大きい蓋体部と仕切部材への当接に際して剪断変形せしめられる環状当接部からなる特定構造としたことにより、第二のオリフィス通路の連通/遮断の切り換えに際しての当接打音や衝撃が効果的に低減され得ると共に、ゴム弾性膜の耐久性も向上され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1に示された自動車用エンジンマウントを構成する第一の仕切金具の平面説明図である。
【図4】図1に示された自動車用エンジンマウントを構成する第二の仕切金具の平面説明図である。
【図5】図1に示された自動車用エンジンマウントの一作動形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 自動車用エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
30 仕切部材
32 ダイヤフラム
68 開口部
82 蓋板部
84 当接ゴム部
86 突出先端部
88 流体室
90 受圧室
92 平衡室
96 第一のオリフィス通路
98 第二のオリフィス通路
104 負圧式アクチュエータ

Claims (6)

  1. 第一の取付部材を、略円筒形状を有する第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部側をゴム弾性膜で覆蓋せしめて、それら本体ゴム弾性体とゴム弾性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に該第二の取付部材で支持された仕切部材によって該流体室を仕切ることにより、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、該ゴム弾性膜で壁部の一部が構成された平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室をそれぞれ連通する第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を形成する一方、該ゴム弾性膜を挟んで該平衡室と反対側にアクチュエータを配設し、該アクチュエータで該ゴム弾性膜を押圧して該仕切部材に設けられた該第二のオリフィス通路の該平衡室への開口部に押し付けることによって該第二のオリフィス通路を遮断可能とした流体封入式マウントにおいて、
    前記ゴム弾性膜の中央部分を外周部分よりも剛性の大きな蓋体部として、該蓋体部を前記第二のオリフィス通路の前記平衡室への開口部に対向位置せしめると共に、該ゴム弾性膜において該蓋体部の外周縁部から外周側に延び出す部分を略円弧形の湾曲断面形状で前記仕切部材に向かって突出する環状当接部として形成し、該環状当接部の裏表両面を何れも該蓋体部から延び出した自由表面として、前記アクチュエータによる押圧力が該蓋体部の外面に及ぼされることにより、該環状当接部の突出先端部の表面側が該仕切部材における該第二のオリフィス通路の該平衡室への開口部の周りに押し付けられるようにすると共に、該環状当接部の該突出先端部の裏面側には空間を形成せしめて、且つ、
    前記ゴム弾性膜における前記蓋体部の外径寸法よりも、前記仕切部材に押し付けられる前記環状当接部の突出先端部を大径としたことを特徴とする流体封入式マウント。
  2. 前記ゴム弾性膜における前記蓋体部の外径寸法を、前記仕切部材に形成された前記第二のオリフィス通路の前記平衡室への開口部よりも大径とした請求項1に記載の流体封入式マウント。
  3. 前記ゴム弾性膜の中央部分を外周部分よりも厚肉の平板形状として前記蓋体部を形成すると共に、該ゴム弾性膜の外周部分を変形が容易な薄肉の弛み形状とし、更に前記環状当接部の肉厚寸法を、少なくとも該蓋体部との接続部分から前記突出先端部にまで至る部分において該ゴム弾性膜の外周部分の肉厚寸法よりも大きくした請求項1又は2に記載の流体封入式マウント。
  4. 前記ゴム弾性膜の中央部分に少なくとも該ゴム弾性膜よりも硬質の補強部材を固着せしめて前記蓋体部を形成した請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式マウント。
  5. 前記アクチュエータにおける前記蓋体部の押圧面に対して凹凸を設けた請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式マウント。
  6. 前記アクチュエータを、
    前記ゴム弾性膜の外方に離隔して配設されて、前記第二の取付部材で固定的に支持された硬質のベース部材と、
    該ベース部材と前記ゴム弾性膜の間に配設されて、該ベース部材との間において外部空間に対して遮断された作用空気室を画成する可撓性隔膜と、
    該可撓性隔膜の中央部分に固着されて、該可撓性隔膜の変形により前記ベース部材に対して接近/離隔変位可能に支持されて、前記ゴム弾性膜の蓋体部に対して対向位置せしめられた押圧部材と、
    該押圧部材を前記ベース部材から離隔する方向に付勢して、前記蓋体部に該押圧部材を当接させて押圧力を及ぼす付勢手段と、
    前記作用空気室に対して外部から空気圧を及ぼす空気圧通路とを、
    含んで構成し、該空気圧通路を通じて前記作用空気室に負圧を及ぼすことによって、前記押圧部材による前記蓋体部への押圧力が解除されるようにした請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式マウント。
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