JP5450250B2 - 防振装置 - Google Patents

防振装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5450250B2
JP5450250B2 JP2010114177A JP2010114177A JP5450250B2 JP 5450250 B2 JP5450250 B2 JP 5450250B2 JP 2010114177 A JP2010114177 A JP 2010114177A JP 2010114177 A JP2010114177 A JP 2010114177A JP 5450250 B2 JP5450250 B2 JP 5450250B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
vibration
liquid chamber
chamber
communication
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010114177A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011241892A (ja
Inventor
哲 植木
基宏 柳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2010114177A priority Critical patent/JP5450250B2/ja
Priority to IN6724DEN2012 priority patent/IN2012DN06724A/en
Priority to PCT/JP2011/051301 priority patent/WO2011099357A1/ja
Priority to CN201180018236.2A priority patent/CN102834643B/zh
Priority to US13/577,396 priority patent/US9074654B2/en
Priority to EP11742104.0A priority patent/EP2535615B1/en
Publication of JP2011241892A publication Critical patent/JP2011241892A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5450250B2 publication Critical patent/JP5450250B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

本発明は、自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を減衰吸収させる液体封入型の防振装置に関するものである。
乗用車等の車両では、振動発生部となるエンジンと振動受け部となる車体との間に防振装置が介装されており、この防振装置がエンジンから発生する振動を減衰吸収し、車体側に伝達されるのを阻止するような構造となっている。
この種の防振装置の1つとして、振動発生部と振動受け部とのうちのいずれか一方に連結される第1取付部材、及び他方に連結される第2取付部材と、両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、液体が封入された第1取付部材の液室を主液室と副液室とに区画すると共に、両液室を連通するオリフィス通路(制限通路)が形成された仕切り部材と、を備えた液体封入型の防振装置が知られている(特許文献1参照)。
この防振装置では、シェイクオリフィス通路と該通路よりも液体の流通抵抗が小さいアイドルオリフィス通路とで、上記オリフィス通路を構成しており、主液室内の液圧変動に応じてスライド移動するピストン部材を利用して、シェイクオリフィス通路とアイドルオリフィス通路とを切り替えている。
具体的に、上記ピストン部材は、筒状のオリフィス部材の内部に形成されたシリンダ室内に移動可能に配設されており、シリンダ室内を移動することにより、オリフィス部材に形成されたオリフィス開口を閉塞或いは開放する役割を担っている。そして、このオリフィス開口が開放されているとアイドルオリフィス通路が開放され、オリフィス開口が閉塞されるとアイドルオリフィス通路が閉塞されるようになっている。
ピストン部材は、シリンダ室に摺動自在に接して上記オリフィス開口を塞ぐ円筒部と、該円筒部の内部を上下に仕切る仕切部と、を備えている。
上記円筒部には、仕切部よりも副液室側に位置する部分に、該円筒部の内外を連通させる連通口が形成されている。この連通口は、周方向に長いスリット状に形成されており、円筒部の周方向に間隔を開けて複数形成されている。そして、ピストン部材の移動によって、この連通口とオリフィス開口とが連通することで、アイドルオリフィス通路が開放されるようになっている。
このように構成された防振装置において、振動発生部から振動が発生すると、該振動によって弾性体が弾性変形すると共に主液室内に振動に応じた液圧変動が生じる。この際、入力された振動がアイドル振動の場合には、連通口とオリフィス開口とが連通するようにピストン部材が移動する。そのため、主液室内の液体は、シェイクオリフィス通路よりも流通抵抗が小さいアイドルオリフィス通路を優先的に通って、主液室内と副液室内との間を行き来する。
この際、アイドルオリフィス通路の流通抵抗が、アイドル振動の周波数に対応するようにチューニングされているので、通路内で液柱共振が生じ、該液柱共振の作用によってアイドル振動を減衰吸収する。
一方、入力された振動がシェイク振動の場合には、円筒部がオリフィス開口を塞ぐようにピストン部材が移動する。すると、アイドルオリフィス通路が閉塞されるので、主液室内の液体はシェイクオリフィス通路のみを通って、主液室内と副液室内との間を行き来する。この際、シェイクオリフィス通路の流通抵抗が、シェイク振動の周波数に対応するようにチューニングされているので、アイドル振動時と同様に液柱共振の作用によってシェイク振動を減衰吸収する。
このように、従来の防振装置は、シリンダ室内を移動するピストン部材を利用してシェイクオリフィス通路とアイドルオリフィス通路とを切り替えることで、アイドル振動とシェイク振動とを共に減衰吸収している。
国際公開第04/081408号パンフレット
しかしながら、上記従来のピストン部材は、連通口が円筒部の周方向に間隔を開けて複数形成されているので、周方向に隣り合う連通口と連通口との間の部分は柱部分となってしまう。そのため、防振装置の組立時やピストン部材の移動時等において、該ピストン部材の回転具合によって上記柱部分がオリフィス開口に向き合ってしまう可能性があった。この場合、柱部分が液体の流れの妨げになり、減衰性能を低下させて防振特性にばらつきが生じる恐れが残されていた。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、防振特性のばらつきを低減することができる高性能な液体封入型の防振装置を提供することである。
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る防振装置は、振動発生部及び振動受け部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、及び他方に連結される第2取付部材と、前記第1取付部材及び前記第2取付部材を弾性的に連結する弾性体と、液体が封入された前記第1取付部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備えた液体封入型の防振装置であって、前記仕切り部材が、前記主液室と前記副液室とを連通し、振動の入力に対して液柱共振を生じさせ振動を減衰吸収し、且つ共振周波数が互いに異なる複数の制限通路と、側壁に連通開口部が形成されると共に、該連通開口部を通じて前記複数の制限通路のうちの1つの制限通路に連通するシリンダ室と、該シリンダ室内に摺動自在に嵌合され、前記連通開口部を開閉して前記1つの制限通路を通じた前記主液室と前記副液室との連通及びその遮断を切り替えるピストン部材と、を備え、前記ピストン部材が、前記シリンダ室内を、前記連通開口部に連通可能で前記1つの制限通路の一部を構成する通路空間と、入力された前記振動に基づいて発生した液圧が作用する作用空間と、に区画すると共に、該ピストン部材を往復動させる受圧壁部と、該受圧壁部から前記通路空間及び前記作用空間の拡縮方向に沿って離間して配設されると共に、前記連通開口部を開閉する開閉壁部と、を備え、前記開閉壁部に、前記拡縮方向に貫通する流通開口が形成され、前記連通開口部が、前記ピストン部材の移動によって前記開閉壁部が該連通開口部を開放したときに、前記受圧壁部と前記開閉壁部との間に画成された環状の開放空間に連通することを特徴とする。
本発明に係る防振装置によれば、振動が入力されると、該振動に基づいて発生した液圧が作用空間に作用し、該作用空間と通路空間との液圧差が変化する。すると、ピストン部材はこの液圧差に応じてシリンダ室内を往復動し、複数の制限通路のうちの1つの制限通路を通じた主液室と副液室との連通及びその遮断を切り替える。
例えば、作用空間内の液圧と通路空間内の液圧との液圧差に差が生じない程度の振動が入力された場合、ピストン部材の開閉壁部が連通開口部を塞いだままの状態となる。そのため、上記1つの制限通路を通じた主液室と副液室との連通が遮断される。よって、液体は、複数の制限通路のうちの1つの制限通路以外の他の通路を積極的に通って主液室と副液室との間を行き来する。これにより、液体に液柱共振を生じさせることができ、この液柱共振の作用によって入力された振動を減衰吸収することができる。
一方、作用空間と通路空間との液圧差に大きな差がつく程度の振動が入力された場合、受圧壁部が、作用空間及び通路空間の拡縮方向に沿ってシリンダ室内を移動する。すると、開閉壁部によって塞がれていた連通開口部は、開放状態になると同時に、受圧壁部と開閉壁部との間に画成された環状の開放空間に連通した状態となる。
これにより、上記1つの制限通路の遮断が解除されて、該通路を通じて主液室と副液室とが連通する。よって、液体は、複数の制限通路のうちの1つの制限通路を積極的に通って主液室と副液室との間を行き来する。これにより、液体に液柱共振を生じさせることができ、この液柱共振の作用によって入力された先ほどとは異なる振動を減衰吸収することができる。
特に、ピストン部材は従来のものとは異なり、開閉壁部が受圧壁部から離間して配設され、これら受圧壁部と開閉壁部との間に環状の開放空間が画成されている。よって、組立時やピストン部材の移動時等において、ピストン部材がシリンダ室内で回転してしまったとしても、シリンダ室の側壁に形成された連通開口部を従来のように遮ってしまう恐れがない。
そのため、液体は連通開口部から開閉壁部に形成された流通開口を通じて、副液室側に何ら妨げを受けることなくスムーズに流れる。また、副液室側から連通開口部側に流れる際も同様である。従って、減衰性能が低下し難く、防振特性にばらつきが生じ難い。よって、高性能な防振装置とすることができる。
(2)また、上記本発明の防振装置において、前記ピストン部材が、前記受圧壁部の周面が前記連通開口部を塞ぐまで移動可能に前記シリンダ室内に配設されていても構わない。
この場合には、受圧壁部と開閉壁部との間に画成された開放空間を介して、1つの制限通路を通じて主液室と副液室とが連通した後、例えば、入力された振動の周波数が高くなって主液室内で反共振が発生したとしても、これによって防振装置の動ばね定数が上昇し、振動の減衰吸収性能が悪化するのを抑えることができる。
つまり、主液室内で反共振が生じると、ピストン部材がさらに移動して、受圧壁部の周面が連通開口部を塞ぐ。これにより、上記1つの制限通路を通じた主液室と副液室との連通を再度遮断でき、液体を1つの制限通路以外の他の通路を通じて主液室と副液室との間で行き来させることができる。そのため、防振装置の動ばね定数の上昇を抑えることができる。
(3)また、上記本発明の防振装置において、前記開閉壁部が、筒状に形成されると共に、前記受圧壁部に連結されて前記拡縮方向に沿って延びた軸部と連結梁部を介して一体的に連結され、前記連結梁部が、前記軸部を中心として径方向に放射状に複数配設され、周方向に互いに隣接する連結梁部同士の間の部分が前記流通開口とされていても構わない。
この場合には、放射状に複数配置された連結梁部を介して、開閉壁部を強固且つ安定に軸部に連結させることができ、受圧壁部、軸部及び開閉壁部を確実に一体化させてピストン部材の剛性を高めることができる。従って、シリンダ室内にてピストン部材をがたつかせることなく、より滑らかに移動させることが可能である。
また、流通開口を軸部回りにバランス良く分散配置させながら、該流通開口の開口面積を大きく確保することができるので、液体をより効率良く流通させることも可能である。
本発明に係る防振装置によれば、減衰性能が低下し難く、防振特性のばらつきを低減できるので、高性能な防振装置とすることができる。
本発明に係る防振装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す防振装置を構成する仕切り部材の分解斜視図である。 図2に示す仕切り部材を構成する仕切り部材本体の斜視図である。 図2に示す仕切り部材の縦断面図である。 図2に示す仕切り部材を構成するピストン部材の斜視図である。 図1に示す防振装置を模式的に示す図である。 図4に示す状態から、ピストン部材が副液室側に移動した状態を示す仕切り部材の縦断面図である。 図7に示す状態における防振装置を模式的に示す図である。 図7に示す状態から、ピストン部材が副液室側にさらに移動した状態を示す仕切り部材の縦断面図である。 図9に示す状態における防振装置を模式的に示す図である。
以下、本発明に係る一実施形態について、図1から図10を参照して説明する。
本実施形態の防振装置1は、振動発生部と振動受け部との間に介装され、振動発生部で発生した振動を減衰吸収する液体封入型の防振装置である。
図1及び図2に示すように、この防振装置1は、振動発生部と振動受け部とのうちいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材2と、他方に連結される第2取付部材3と、第1取付部材2と第2取付部材3とを弾性的に連結する弾性体4と、液体Wが封入された第1取付部材2の内部の液室5を、弾性体4を壁面の一部とする一方側の主液室6と、他方側の副液室7とに区画する仕切り部材8と、を備えている。
なお、本実施形態では、第1取付部材2が円筒状に形成され、第2取付部材3、弾性体4及び仕切り部材8がそれぞれ平面視円形状に形成され、これら第1取付部材2、第2取付部材3、弾性体4及び仕切り部材8はいずれも中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸線Oという。
そして、中心軸線Oに沿って仕切り部材8に対する主液室6側を一方側といい、副液室7側を他方側という。また、中心軸線Oに直交する方向を径方向といい、中心軸線Oを中心に周回する方向を周方向という。
このように構成された防振装置1が例えば自動車に装着された場合には、第2取付部材3が振動発生部としてのエンジンに連結され、第1取付部材2が振動受け部としての車体に連結される。これにより、エンジンの振動が車体に伝達されるのを抑えることができるようになっている。
以下、各構成品について、詳細に説明する。
第1取付部材2は、一方向側に位置する一方側筒部10と、他方側に位置する他方側筒部11と、が互いにボルト12で固定された構成となっている。
他方側筒部11は、内周面が全面に亘って被覆膜13で被覆された周壁部14と、該周壁部14の一端部に径方向の外側に向けて突設されたフランジ部15と、を備えている。
他方側筒部11の周壁部14の他端開口部(第1取付部材2の他方側の開口部)は、副液室7の壁面の一部を構成するダイヤフラム17により閉塞されている。このダイヤフラム17は、平面視円形状に形成されていると共に、中心軸線Oと同軸に配設されている。ダイヤフラム17の外周縁部は、全周に亘って周壁部14の他端部の内周面に加硫接着されている。
なお、図示の例では、ダイヤフラム17及び被覆膜13は、例えばゴム材料や合成樹脂等の弾性材料で一体に形成されている。
一方側筒部10は、他方側筒部11のフランジ部15が固定された周壁部18と、周壁部18の一端部に径方向の外側に向けて突設されたフランジ部19と、を備えている。
周壁部18は、その内径が他方側筒部11の周壁部14の内径と同等とされていると共に、その外径が他方側筒部11のフランジ部15の外径と同等とされている。
第2取付部材3は、一方側から他方側に向かうにしたがい漸次縮径する逆円錐台形状のアンカー部20と、アンカー部20に一方側に向けて突設された連結板部21と、を備えている。
弾性体4は、第1取付部材2の一端側の開口部を閉塞しており、例えばゴム材料や合成樹脂材料等の弾性材料で形成されている。弾性体4の他端部は、第1取付部材2の一方側筒部10の周壁部18における内周面に加硫接着されていると共に、弾性体4の一端部は、第2取付部材3のアンカー部20の外周面に加硫接着されている。
なお、図示の例では、弾性体4の他端面は、径方向の外側から中央部に向かうにしたがい漸次一方側に向けて窪んでいる。
液室5は、第1取付部材2の内部のうち、ダイヤフラム17と弾性体4との間に位置する部分とされ、この液室5内に、例えばエチレングリコール、水、シリコーンオイル等の液体Wが充填されると共に仕切り部材8が配設されている。
仕切り部材8は、円柱状の仕切り部材本体30と、仕切り部材本体30に一方側から組み付けられた円盤状の押さえプレート31と、これらの仕切り部材本体30と押さえプレート31との間に挟み込まれ、弾性材料(例えばゴム材料など)で形成されたメンブランプレート32と、主液室6と副液室7とを連通し、振動の入力に対して液柱共振を生じさせて振動を減衰吸収し、且つ共振周波数が互いに異なる2つの制限通路R1、R2と、主液室6及び副液室7にそれぞれ連通すると共に、2つの制限通路R1、R2のうちの1つの制限通路R1に連通するシリンダ室40と、該シリンダ室40内に摺動自在に嵌合された状態で往復移動可能に配設され、上記制限通路R1を通じた主液室6と副液室7との連通及びその遮断を切り替えるピストン部材82と、を備えている。
なお図示の例では、仕切り部材本体30、押さえプレート31及びメンブランプレート32は、いずれも前記中心軸線Oと同軸に配設されている。また仕切り部材8には、一方側に向けて開口するねじ孔が形成されると共に、押さえプレート31及びメンブランプレート32には、前記中心軸線O方向に貫通する挿通孔が各別に形成されている。そして、押さえプレート31及びメンブランプレート32は、前記挿通孔に一方側から差し込まれ前記ねじ孔に螺着された固定ボルト35により、仕切り部材本体30に組み付けられている。
図2に示すように、仕切り部材本体30の一端面には、メンブランプレート32の外周縁部に他方側に向けて延設された嵌合筒部66が嵌合される環状溝67が形成されている。また、図1に示すように、仕切り部材本体30の一端部の外周面には、外径が押さえプレート31の外径と同等のフランジ部36が突設されている。
押さえプレート31の外周縁部及びフランジ部36は、第1取付部材2における一方側筒部10の周壁部18と、他方側筒部11のフランジ部15との間に挟みこまれている。なお、仕切り部材本体30及びフランジ部36は、例えば金属材料(例えば、アルミニウム等)や合成樹脂材料等で一体に形成されている。
ところで、本実施形態の仕切り部材8は、主液室6と副液室7との間で液体Wが行き来する通路を制限通路R1又は制限通路R2に切り替える切替手段72と、主液室6と副液室7とを接続する接続路74と、接続路74の主液室6側の端部を構成する薄膜体室41に連通し、接続路74内の液圧を切替手段72に導入して該切替手段72を作動させる液圧導入路47と、薄膜体室41において液圧導入路47よりも主液室6側に配設され、接続路74を通した主液室6と副液室7との連通を遮断する薄膜体73と、を備えている。
2つの制限通路R1、R2のうち、一方の制限通路(1つの制限通路)R1は共振周波数がアイドル振動(例えば、周波数が18Hz〜30Hz、振幅が±0.5mm以下)の周波数とされたアイドルオリフィスとして機能する。以下、適宜アイドルオリフィスR1と称する。
また、他方の制限通路R2は、共振周波数がアイドル振動よりも周波数が低いシェイク振動(例えば、周波数が14Hz以下、振幅が±0.5mmより大きい)の周波数とされたシェイクオリフィスとして機能する。以下、適宜シェイクオリフィスR2と称する。
なお、図示の例では、アイドルオリフィスR1の一部分がシェイクオリフィスR2の一部分を兼ねている。
仕切り部材本体30の外周面には、被覆膜13で径方向の外側から閉塞された第1周溝37、第2周溝38、第3周溝39が、中心軸線O方向に間隔を開けて一方側から他方側に向けてこの順序で形成されている。また、仕切り部材本体30において、これらの3つの周溝37、38、39よりも径方向の内側で、且つ一端面に形成された前記環状溝67よりも径方向の内側に位置する部分には、中心軸線O方向に延びると共に一方側に向けて開口するシリンダ室40、薄膜体室41及びオリフィス室42と、中心軸線O方向に延びる貫通孔43と、がこの順序で周方向に形成され、互いに周方向に隣接している。
図1に示すように、オリフィス室42は、押さえプレート31及びメンブランプレート32それぞれにおいて、このオリフィス室42に中心軸線O方向で対応する位置に形成された第1オリフィス開口部61、及び第2オリフィス開口部64を通じて主液室6に連通している。オリフィス室42は、中心軸線O方向で第3周溝39と同等の深さで形成されており、該オリフィス室42を画成する側壁面に形成され径方向の外側に向けて開口する第1連通開口53を通じて第2周溝38及び第3周溝39とそれぞれ連通している。
図2及び図3に示すように、第2周溝38は、仕切り部材8の外周面に全周に亘って形成されており、該第2周溝38を画成する底壁面のうち、シリンダ室40の径方向の外側に位置する部分に形成され、径方向の内側に向けて開口する第2連通開口(連通開口部)50を通じてシリンダ室40に連通している。
シリンダ室40は、平面視円形状に形成されており、液圧導入路47及び接続路74の一部を通じて主液室6に連通していると共に、後述する連通孔46を通じて副液室7に連通している。
また、メンブランプレート32において、シリンダ室40に中心軸線O方向で対応する位置には、シリンダ開口部63が形成されている。また図4に示すように、仕切り部材本体30においてシリンダ室40が形成された周方向部分の他端面には、他方側に向けて張り出す張出部44が備えられており、シリンダ室40はこの張出部44内に至るまで深く形成されている。
また、シリンダ室40を画成する底壁面の中央部には、一方側に向けて延びる軸部45が設けられている。そして底壁面には、平面視で軸部45の周囲を囲うように間隔をあけて複数配置されると共に他方側に向けて開口する連通孔46が形成されている。
図3に示すように、第3周溝39は、仕切り部材本体30の外周面において、オリフィス室42の径方向の外側に位置する部分から貫通孔43の径方向の外側に位置する部分にまで、この外周面を約1周周回するように延びている。そして第3周溝39は、該第3周溝39において貫通孔43の径方向の外側に位置する部分に形成された第1連通切欠51を通じて副液室7に連通している。
なお図示の例では、第1連通切欠51は、第3周溝39と貫通孔43とを連通するように、第3周溝39を画成する壁面のうち側壁面から底壁面に亘って形成されている。
ここで、図2から図4に示すように、上記アイドルオリフィスR1は、主液室6側から副液室7側に向けて、第1オリフィス開口部61、第2オリフィス開口部64、オリフィス室42、第1連通開口53、第2周溝38、第2連通開口50、シリンダ室40のうちの後述する通路空間95、及び連通孔46の順で構成される。
アイドルオリフィスR1の流路長及び流路断面積は、アイドルオリフィスR1の共振周波数がアイドル振動の周波数となるように予め設定(チューニング)されている。また図示の例では、アイドルオリフィスR1を構成する構成要素(液室、開口、周溝)のうち、第2周溝38の流路断面積が最も小さくなっている。
また図2及び図3に示すように、シェイクオリフィスR2は、主液室6側から副液室7側に向けて、第1オリフィス開口部61、第2オリフィス開口部64、オリフィス室42、第1連通開口53、第3周溝39、及び第1連通切欠51の順で構成されている。
シェイクオリフィスR2の流路長及び流路断面積は、シェイクオリフィスR2の共振周波数がシェイク振動の周波数となるように予め設定(チューニング)される。また図示の例では、シェイクオリフィスR2を構成する構成要素(液室、開口、周溝、切欠き)のうち、第3周溝39の流路断面積が最も小さくなっている。
なお図3に示すように、第2周溝38と第3周溝39とは、両周溝38、39を仕切る溝仕切壁部52aに形成された第2連通切欠52を通じて連通されている。この第2連通切欠52は、溝仕切壁部52aのうち、オリフィス室42の径方向の外側に位置する部分に形成されている。
図2に示すように、薄膜体室41は、押さえプレート31によって固定された薄膜により主液室6より圧力が及ぼされるようになっている。また図4に示すように、薄膜体室41は、中心軸線O方向で第1周溝37と同等の深さで形成されており、該薄膜体室41を画成する側壁面に形成され径方向の外側に向けて開口する第3連通開口48を通じて第1周溝37に連通している。
図3に示すように、第1周溝37は、仕切り部材本体30の外周面において、薄膜体室41の径方向の外側に位置する部分から貫通孔43の径方向の外側に位置する部分にまで延びている。図示の例では、第1周溝37は、仕切り部材本体30の外周面に沿って薄膜体室41と貫通孔43とを結ぶ円弧のうちの優弧に沿って延びており、仕切り部材本体30の外周面においてオリフィス室42の径方向の外側に位置する部分を回避している。
また第1周溝37は、該第1周溝37において貫通孔43の径方向の外側に位置する周端部を画成する底壁面に形成され径方向の内側に向けて開口する第4連通開口49を通じて貫通孔43に連通している。
ここで、図2及び図3に示すように、接続路74は、主液室6側から副液室7側に向けて、膜開口部60、薄膜体室41、第3連通開口48、第1周溝37、第4連通開口49、及び貫通孔43の順で構成されている。なお図示の例では、接続路74を構成する構成要素(液室、開口、周溝、孔)のうち、第1周溝37の流路断面積が最も小さくなっている。
なお図2に示すように、メンブランプレート32において、貫通孔43に中心軸線O方向で対応する位置には、アイドル振動よりも周波数が高い高周波数振動(例えば、周波数が100Hz以上)を減衰吸収する構成とされた高周波メンブラン65が形成されている。この高周波メンブラン65は、押さえプレート31に形成された高周波開口部62を通じて主液室6に面する緩衝膜となっている。
液圧導入路47は、薄膜体室41を画成する側壁面にシリンダ室40に向けて開口し、薄膜体室41とシリンダ室40とを連通している。図示の例では、一方側に向けて開口する切り欠き部となっている。
薄膜体73は、メンブランプレート32において薄膜体室41に中心軸線O方向で対応する位置に形成されている。この薄膜体73は、例えば、接続路74の流路長、流路断面積及び薄膜体73の弾性率等が、予め設定(チューニング)されることで、アイドル振動の入力時に接続路74内で液柱共振を生じさせるように弾性変形する構成となっている。
図4に示すように、切替手段72は、シリンダ室40内に往復移動可能に配設されたピストン部材82を有しており、該ピストン部材82を利用して流通抵抗が最も小さいアイドルオリフィスR1を通した主液室6と副液室7との連通及びその遮断を切り替えて、液体Wが流通する通路をアイドルオリフィスR1又はシェイクオリフィスR2に切り替える役割を果している。
本実施形態では、切替手段72は、アイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通を遮断しており、接続路74内の液圧が高められたときにアイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通の遮断を解除し、接続路74内で高められた液圧が低下したときにアイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通を遮断するようになっている。
具体的に、切替手段72はシリンダ室40内に配設されており、シリンダ室40の一端部内に嵌合された有底筒状の固定部材80と、該固定部材80に対して他方側から一方側への液体Wの流入を規制する弁部材81と、中心軸線O方向(後述する通路空間95と作用空間96との拡縮方向)に往復移動可能に配設されたピストン部材82と、該ピストン部材82とシリンダ室40を画成する底壁面との間に介装されたコイルスプリング83と、を備えている。
なお、弁部材81及びピストン部材82は平面視円形状に形成されている。また、固定部材80、弁部材81、ピストン部材82及びコイルスプリング83は、前記軸部45と同軸に配設されている。
固定部材80の周壁部84には、液圧導入路47に連通する連絡窓85が形成されている。また図示の例では、固定部材80の周壁部84において、連絡窓85よりも他方側に位置する部分には、例えばゴム材料などの弾性材料で形成され該周壁部84の外周面とシリンダ室40を画成する側壁面との間を液密に封止する外嵌リング87が外嵌されている。
また、固定部材80の底壁部88には、その中央部に配置された嵌合孔89と、この嵌合孔89を周囲から囲うように複数配置された弁座開口90と、が形成されている。
弁部材81は、固定部材の底壁部88に他方側から圧接し弁座開口90を閉塞する円盤状の弁本体91と、弁本体91の中央部に一方側に向けて突設されると共に嵌合孔89内に嵌合された一方側突起92と、弁本体91の中央部に他方側に向けて突設されると共に端面が軸部45の端面に当接した他方側突起93と、を備えている。
これらの弁本体91、一方側突起92及び他方側突起93は、例えばゴム材料や合成樹脂材料等の弾性材料で一体に形成されている。他方側突起93の外径は、軸部45の外径と同等とされ、これらの他方側突起93及び軸部45は、中心軸線O方向に延びると共に軸部45と同軸に配設された嵌合筒94内に嵌合されている。
ピストン部材82は、図2、図4及び図5に示すようにシリンダ室40内に摺動自在に嵌合された部材であり、環状の受圧壁部100と、該受圧壁部100に連結された円筒状のガイド筒部(軸部)101と、シリンダ室40の側壁面に摺動自在に接して第2連通開口50を開閉する摺動筒部(開閉壁部)102と、該摺動筒部102とガイド筒部101とを一体的に連結する連結梁部103と、を備えている。
受圧壁部100は、摺動筒部102の外径と同等の外径に形成されており、周面100aがシリンダ室40内の側壁面に摺動自在に接している。
この受圧壁部100は、シリンダ室40内を、第2連通開口50に連通可能でアイドルオリフィスR1の一部を構成すると共に連通孔46を通じて副液室7に連通する他方側の通路空間95と、アイドルオリフィスR1から隔離されると共に液圧導入路47及び接続路74の一部を通じて主液室6に連通し、入力された振動に基づいて発生した液圧が作用する作用空間96と、に区画する役割を果している。
ガイド筒部101は、受圧壁部100の内周縁部に連設されており、この内周縁部から他方側に向けて延在している。そして、受圧壁部100内及びガイド筒部101内には、嵌合筒94が挿通されている。つまり、ピストン部材82は、軸部45に嵌合された嵌合筒94にガイドされながら、シリンダ室40内を移動可能とされている。
摺動筒部102は、受圧壁部100よりも上記拡縮方向に沿った通路空間95側に受圧壁部100から離間して配設されており、ガイド筒部101を径方向の外側から囲み、且つシリンダ室40の側壁面に摺動自在に接するように配設されている。そして、この摺動筒部102は、シリンダ室40の側壁面に形成され、シリンダ室40内と第2周溝38とを連通する第2連通開口50を開閉する役割を担っている。
連結梁部103は、摺動筒部102とガイド筒部101との間に配設され、両者101、102の間に流通開口104を確保しながら両者101、102を一体的に連結している。
本実施形態の連結梁部103は、ガイド筒部101を中心として径方向の外側に向けて放射状に4つ配設されており、ガイド筒部101の外周面と摺動筒部102の一方側開口の内周縁部とを連結している。そして、ガイド筒部101を中心として周方向に互いに隣接する連結梁部103同士の間の部分が、上記流通開口104とされている。
図1、図2及び図4に示すように、コイルスプリング83は、嵌合筒94及びガイド筒部101に外挿されるように配設され、受圧壁部100が弁本体91に当接するようにピストン部材82を一方側に付勢している。これにより、振動が入力されてくるまでの通常時の状態では、摺動筒部102が第2連通開口50を塞いでいる。
なお、コイルスプリング83の付勢力は、アイドル振動の入力時における作用空間96内の液圧に平衡する力よりも小さくなっている。よって、アイドル振動が入力された場合、ピストン部材82はコイルスプリング83の付勢力に抗して通路空間95側に移動するようになっている。そして、この場合には、受圧壁部100と摺動筒部102との間に画成された環状の開放空間105と第2連通開口50とが連通する。
また本実施形態のピストン部材82は、さらに通路空間95側に移動したときに、受圧壁部100の周面100aが第2連通開口50を再び塞ぐように設計されている。また、シリンダ室40内には、ピストン部材82がこの位置で停止するように、摺動筒部102の他端開口縁に当接するストッパリング110が嵌合されている。このストッパリング110は、例えばゴム材料や合成樹脂等の弾性材料で形成されている。
次に、以上のように構成された防振装置1の作用について説明する。
なお、以下に示す図6、図8及び図10は、防振装置1の主液室6、副液室7、アイドルオリフィスR1、シェイクオリフィスR2、接続路74及びピストン部材82の関係を模式的に示した図である。
はじめに、図4及び図6に示すように、防振装置1に振動が入力されていない無入力状態からシェイク振動が入力された場合について説明する。
この場合、本実施形態では、薄膜体73がアイドル振動の入力時に接続路74内で液柱共振を生じさせるように弾性変形するように構成されているので、シェイク振動の入力によって薄膜体73は弾性変形するものの接続路74内で液柱共振が生じない。そのため、接続路74内での液圧変動が小さく、作用空間96内の液圧と通路空間95内の液圧との液圧差に差が生じ難い。よって、ピストン部材82は摺動筒部102が第2連通開口50を塞いだままの状態に維持される。即ち、アイドルオリフィスR1を通した主液室6と副液室7との連通の遮断が維持される。
従って、液体WはシェイクオリフィスR2を積極的に通って主液室6と副液室7との間を行き来し、このシェイクオリフィスR2内で液柱共振が生じてシェイク振動が減衰吸収される。
次に、防振装置1に、アイドル振動が入力された場合について説明する。
この場合、アイドル振動の周波数によって、薄膜体73が弾性変形して接続路74内で液柱共振が生じ、該接続路74内の液圧が大きく変動して高められる。そして、この高くなった液圧が液圧導入路47から作用空間96に導入されることにより、作用空間96内の液圧と通路空間95内の液圧との液圧差に大きな差が生じる。
即ち、接続路74内の液圧が、液圧導入路47及び連絡窓85を通って固定部材80内に伝わり、さらに弁座開口90を通じて、弁部材81の弁本体91に伝わる。この際、弁本体91が、固定部材80の底壁部88から離反するように弾性変形することで、弁座開口90が開放されて、固定部材80内と作用空間96内とが連通する。これにより、作用空間96内の液圧が、通路空間95内の液圧に比べて高くなる。
すると、両空間95、96内の液圧差によって、受圧壁部100が作用空間96の内容積を拡大し、且つ通路空間95の内容積を縮小するように、コイルスプリング83の付勢力に抗してシリンダ室40内を他方側に向けて移動する。これに伴って、ガイド筒部101を介して連結された摺動筒部102がシリンダ室40の側壁面に摺動しながら移動する。つまり、ピストン部材82の全体が通路空間95側に向けて移動する。
これにより、図7及び図8に示すように、摺動筒部102によって塞がれていた第2連通開口50が、開放状態になると同時に、受圧壁部100と摺動筒部102との間に画成された環状の開放空間105に連通した状態となる。そのため、アイドルオリフィスR1の遮断が解除されて、該アイドルオリフィスR1を通じて主液室6と副液室7とが連通した状態となる。
ここで、アイドルオリフィスR1は、複数の制限通路R1、R2のなかで最も流通抵抗が小さいので、アイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通の遮断が解除されたときには、液体WがアイドルオリフィスR1を通じて主液室6と副液室7との間を積極的に行き来する。つまり、液体Wが流通する通路が、シェイクオリフィスR2からアイドルオリフィスR1に切り替えられることとなる。
これにより、アイドルオリフィスR1内で液体Wに液柱共振を生じさせることができ、この液柱共振の作用によってアイドル振動を減衰吸収することができる。
ところで、その後、防振装置1に対するアイドル振動の入力がなくなり、かわりにシェイク振動が入力された場合には、接続路74内の液圧変動が小さくなって、接続路74内の液圧が高められた状態から徐々に低下する。そのため、作用空間96内の液圧と通路空間95内の液圧との液圧差がなくなり、ピストン部材82がコイルスプリング83の付勢力を受けながら一方側に移動する。そして、図4及び図6に示すように、摺動筒部102が第2連通開口50を再度閉塞する。
この際、固定部材80内の液圧が作用空間96の液圧よりも小さくなるため、弁部材81の弁本体91が、固定部材80の底壁部88に他方側から圧接することとなり、弁座開口90が閉塞される。また、作用空間96内の液体Wは、例えばピストン部材82とシリンダ室40を画成する側壁面との間の図示しない隙間、及び連通孔46を通って副液室7に流入される。
そして、上述したように第2連通開口50が再度塞がれることで、アイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通が遮断され、液体Wの流通する通路がアイドルオリフィスR1からシェイクオリフィスR2に切り替えられる。従って、液体Wを、シェイクオリフィスR2を通じて主液室6と副液室7との間で行き来させることができ、シェイクオリフィスR2内で液柱共振を生じさせて該液柱共振の作用によってシェイク振動を減衰吸収することができる。
特に、本実施形態の防振装置1によれば、ピストン部材82が従来のものとは異なり、摺動筒部102が受圧壁部100から離間して配設されており、受圧壁部100とは独立して連結梁部103を介してガイド筒部101に連結されている。そのため、受圧壁部100と摺動筒部102との間に、ガイド筒部101を囲むように環状の開放空間105を画成することができる。よって、組立時やピストン部材82の移動時等において、ピストン部材82がシリンダ室40内でガイド筒部101回りに回転してしまったとしても、第2連通開口50を従来のように遮ってしまう恐れがない。
そのため、液体Wは第2連通開口50から摺動筒部102とガイド筒部101との間に確保された流通開口104を通じて、副液室7側に何ら妨げを受けることなくスムーズに流れる。なお、副液室7側から第2連通開口50側に流れる際も同様である。従って、減衰性能が低下し難く、防振特性にばらつきが生じ難い。よって、高性能な防振装置1とすることができる。
しかも、本実施形態では、連結梁部103が放射状に配設されているので、摺動筒部102を強固且つ安定にガイド筒部101に連結させることができ、受圧壁部100、ガイド筒部101及び摺動筒部102を確実に一体化でき、ピストン部材82の剛性を高めることができる。従って、シリンダ室40内にてピストン部材82をがたつかせることなく、滑らかに移動させることが可能である。
加えて、流通開口104をガイド筒部101回りにバランス良く分散配置させながら開口面積を大きく確保できるので、液体Wを効率良く流通させることができる。
ところで、本実施形態の防振装置1において、アイドル振動が入力され、受圧壁部100と摺動筒部102との間に画成された環状の開放空間105と、第2連通開口50とが連通した後、入力振動の周波数がさらに高くなり、アイドルオリフィスR1内及び接続路74内での反共振が発生したとしても、防振装置1の動ばね定数が上昇し振動の減衰吸収性能が悪化してしまうことを抑制することができる。
つまり、接続路74内で反共振が生じた場合には、該接続路74内の液圧がさらに高められるので、作用空間96内の液圧と通路空間95内の液圧との液圧差がさらに大きくなり、ピストン部材82が他方側に移動する。そして、さらに移動したピストン部材82は、図9及び図10に示すように、摺動筒部102の他方側開口縁がストッパリング110に当接することで停止する。このとき、受圧壁部100の周面100aが第2連通開口50を塞いだ状態となる。
これにより、アイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通が遮断され、液体WがシェイクオリフィスR2を流通することとなり、防振装置1の動ばね定数の上昇を抑えることができる。従って、振動の減衰吸収性能が悪化してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態の防振装置1は、主液室6に面する高周波メンブラン65を備えているので、防振装置1全体の柔軟性を高めて減衰吸収性能を向上させることができる。
更に、この高周波メンブラン65が、高周波数振動(例えば、共振周波数が100Hz以上の振動)を減衰吸収するので、車速が例えば100Km/h以上の場合や、エンジン回転数が3000rpm以上の場合等に生じる高周波数振動を効果的に抑制し、例えば高周波数振動を起因とするこもり音等の発生を抑制することができる。
なお、この高周波メンブラン65は必須なものではなく、備えなくても構わない。
また、本実施形態の防振装置1では、液圧導入路47及び接続路74の一部を通じて作用空間96と主液室6とが連通するように構成すると共に、主液室6側の接続路74内に薄膜体73を設け、接続路74を通じた主液室6と副液室7との連通を遮断している。
そのため、入力された振動の周波数に応じて薄膜体73を弾性変形させて、接続路74内の液圧を変動させることができ、それにより作用空間96内の液圧と通路空間95内の液圧との液圧差を作り出し、ピストン部材82を作動させている。
つまり、入力された振動の周波数に応じて、液体Wが流動する通路をアイドルオリフィスR1又はシェイクオリフィスR2に切り替えることができ、周波数帯が互いに異なる振動を確実に減衰吸収することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明に係る防振装置1は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外の防振装置に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用可能であるし、工場等に設置される各種機械のマウントにも適用することは可能である。
また、上記実施形態では、エンジンマウントに適用される場合を例に挙げ、第1取付部材2が振動受け部に連結され、第2取付部材3が振動発生部に連結されている構成を示したが、これとは逆に、第1取付部材2が振動発生部に連結され、第2取付部材3が振動受け部に連結されていても構わない。
また、上記実施形態では、支持荷重が作用することで主液室6に正圧が作用する圧縮式の防振装置を例に挙げたが、主液室6が鉛直方向下側に位置し且つ副液室7が鉛直方向上側に位置するように取り付けられ、支持荷重が作用することで主液室6に負圧が作用する吊り下げ式の防振装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、ピストン部材82を利用して、アイドルオリフィスR1を通じた主液室6と副液室7との連通及びその遮断を切り替えるように構成したが、この場合に限られず、シェイクオリフィスR2を通じた主液室6と副液室7との連通及びその遮断を切り替えるように構成しても構わない。
また、上記実施形態において、接続路74、液圧導入路47や薄膜体73は必須なものではなく、設けなくても構わない。
例えば、作用空間96を直接主液室6内に連通するように構成し、入力された振動に応じて変動する主液室6内の液圧変動によって、作用空間96内の液圧と通路空間95内の液圧とに液圧差を生じさせ、これによりピストン部材82を往復移動させる構成としても構わない。
また、上記実施形態では、ピストン部材82の連結梁部103を放射状に4つ配設したが、4つに限られるものではなく、2つ、3つ又は5つ以上であっても構わない。また、摺動筒部102の一方側の開口縁部とガイド筒部101とを連結梁部103にて連結するように構成したが、摺動筒部102の他方側の開口縁部とガイド筒部101とを連結させても構わないし、摺動筒部102における中心軸線O方向の略中間部分とガイド筒部101とを連結させても構わない。
いずれにしても、摺動筒部102とガイド筒部101とを一体的に連結し、両者の間に流通開口104を確保できれば連結梁部103をどのように設計しても構わない。
更には、上記実施形態では、第2連通開口50を開閉する開閉壁部を、筒状の摺動筒部102としたが、筒状ではなく、第2連通開口50を塞ぐことが可能な板厚で形成された板状部材であっても構わない。この場合には、開閉壁部に拡縮方向に貫通する貫通孔を形成し、該貫通孔を流通開口104とすれば良い。
W…液体
R1…アイドルオリフィス(制限通路)
R2…シェイクオリフィス(制限通路)
1…防振装置
2…第1取付部材
3…第2取付部材
4…弾性体
6…主液室
7…副液室
8…仕切り部材
40…シリンダ室
50…第2連通開口(連通開口部)
82…ピストン部材
95…通路空間
96…作用空間
100…受圧壁部
100a…受圧壁部の周面
101…ガイド筒部(軸部)
102…摺動筒部(開閉壁部)
103…連結梁部
104…流通開口
105…開放空間

Claims (3)

  1. 振動発生部及び振動受け部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、及び他方に連結される第2取付部材と、
    前記第1取付部材及び前記第2取付部材を弾性的に連結する弾性体と、
    液体が封入された前記第1取付部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備えた液体封入型の防振装置であって、
    前記仕切り部材は、
    前記主液室と前記副液室とを連通し、振動の入力に対して液柱共振を生じさせ振動を減衰吸収し、且つ共振周波数が互いに異なる複数の制限通路と、
    側壁に連通開口部が形成されると共に、該連通開口部を通じて前記複数の制限通路のうちの1つの制限通路に連通するシリンダ室と、
    該シリンダ室内に摺動自在に嵌合され、前記連通開口部を開閉して前記1つの制限通路を通じた前記主液室と前記副液室との連通及びその遮断を切り替えるピストン部材と、を備え、
    前記ピストン部材は、
    前記シリンダ室内を、前記連通開口部に連通可能で前記1つの制限通路の一部を構成する通路空間と、入力された前記振動に基づいて発生した液圧が作用する作用空間と、に区画すると共に、該ピストン部材を往復動させる受圧壁部と、
    該受圧壁部から前記通路空間及び前記作用空間の拡縮方向に沿って離間して配設されると共に、前記連通開口部を開閉する開閉壁部と、を備え、
    前記開閉壁部には、前記拡縮方向に貫通する流通開口が形成され、
    前記連通開口部は、前記ピストン部材の移動によって前記開閉壁部が該連通開口部を開放したときに、前記受圧壁部と前記開閉壁部との間に画成された環状の開放空間に連通することを特徴とする防振装置。
  2. 請求項1に記載の防振装置において、
    前記ピストン部材は、前記受圧壁部の周面が前記連通開口部を塞ぐまで、移動可能に前記シリンダ室内に配設されていることを特徴とする防振装置。
  3. 請求項1又は2に記載の防振装置において、
    前記開閉壁部は、筒状に形成されると共に、前記受圧壁部に連結されて前記拡縮方向に沿って延びた軸部と連結梁部を介して一体的に連結され、
    前記連結梁部は、前記軸部を中心として径方向に放射状に複数配設され、周方向に互いに隣接する連結梁部同士の間の部分が前記流通開口とされていることを特徴とする防振装置。
JP2010114177A 2010-02-09 2010-05-18 防振装置 Expired - Fee Related JP5450250B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010114177A JP5450250B2 (ja) 2010-05-18 2010-05-18 防振装置
IN6724DEN2012 IN2012DN06724A (ja) 2010-02-09 2011-01-25
PCT/JP2011/051301 WO2011099357A1 (ja) 2010-02-09 2011-01-25 防振装置
CN201180018236.2A CN102834643B (zh) 2010-02-09 2011-01-25 隔振装置
US13/577,396 US9074654B2 (en) 2010-02-09 2011-01-25 Vibration-damping device
EP11742104.0A EP2535615B1 (en) 2010-02-09 2011-01-25 Vibration-damping device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010114177A JP5450250B2 (ja) 2010-05-18 2010-05-18 防振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011241892A JP2011241892A (ja) 2011-12-01
JP5450250B2 true JP5450250B2 (ja) 2014-03-26

Family

ID=45408765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010114177A Expired - Fee Related JP5450250B2 (ja) 2010-02-09 2010-05-18 防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5450250B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014052045A (ja) * 2012-09-07 2014-03-20 Bridgestone Corp 防振装置
JP2014178016A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Bridgestone Corp 防振装置
JP6240482B2 (ja) * 2013-11-25 2017-11-29 住友理工株式会社 流体封入式防振装置
JP7183082B2 (ja) * 2019-03-14 2022-12-05 株式会社プロスパイラ ストラットマウント

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7815174B2 (en) * 2003-03-11 2010-10-19 Bridgestone Corporation Vibration isolator
JP4263159B2 (ja) * 2004-11-05 2009-05-13 株式会社ブリヂストン 防振装置
JP4728773B2 (ja) * 2005-10-26 2011-07-20 株式会社ブリヂストン 防振装置及びプランジャ部材の製造方法
JP2010091062A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP5518354B2 (ja) * 2009-03-23 2014-06-11 株式会社ブリヂストン 防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011241892A (ja) 2011-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2011099357A1 (ja) 防振装置
JP4699863B2 (ja) 防振装置
CN102678811B (zh) 液封式防振装置
JP5977141B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP7159303B2 (ja) 防振装置
WO2018193670A1 (ja) 防振装置
JP4939997B2 (ja) 防振装置
WO2015122034A1 (ja) 防振装置
JP5325602B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP5450250B2 (ja) 防振装置
JP5184276B2 (ja) 液封入式防振装置
JP2022062335A (ja) 防振装置
WO2018225289A1 (ja) 防振装置
WO2021053905A1 (ja) 防振装置
JP2007071314A (ja) 防振装置
JP5436252B2 (ja) 防振装置
JP7290549B2 (ja) 防振装置
JP7326121B2 (ja) 防振装置
JP4579994B2 (ja) 液封入式防振装置
JP2009133347A (ja) 液封入式防振装置
JP2006291990A (ja) 防振装置
JP2019196792A (ja) 防振装置
JP2015017677A (ja) 防振装置
JP2019027510A (ja) 防振装置
JP5893482B2 (ja) 液封入式防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130409

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131225

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees