JPWO2004074390A1 - 水性インク及び該水性インクによる記録画像と画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
旧来、水性インクは、水溶性色材を用いているため、耐固着性、経時安定等の信頼性が良好で、且つ記録された記録物の記録物品位も良好であったが、耐水性、耐光性等の堅牢性が思わしくない場合が多かった。
これに対して、近年、記録画像の耐水性、耐光性等の堅牢性向上のために、カーボンブラック、有機顔料等の色材を水系インクに分散させて用いる試みがなされている。
この分散用の色材は、一般に、色材に対して界面活性剤や樹脂を化学的、物理的に作用させて水系中に分散させて用いているため、これが水分散した状態で被記録材に付与して安定な分散状態を壊し、色材同士の凝集を生じさせることで、良好な記録物の耐水性、耐光性等の堅牢性を提供することができる。その一方で、水分散色材を含むインクによる記録では、被記録材上での色材凝集の発生により、着色部の彩度が低下する傾向にある。また、インクジェットヘッドに水分散色材を含有するインクを用いた場合に、ヘッドのノズル近傍では、インク中の水、溶剤等の蒸発により、該色材の安定な分散が壊れ、色材同士の凝集が生じ、固着、目詰りが起こってしまう。
上記課題に対して、特開平8−231911号公報(特許文献1)には、水に可溶な常温固体物の加熱溶融液に溶解した難水溶性又非水溶性の着色材を、水分散安定な粒径の微粒子にした着色微粒子、又は水に可溶な常温固体物の加熱溶融液に溶解した難水溶性又非水溶性の着色材からなる固溶体を含有する水性インクが提案されている。この公報には、水性インクが被記録材に付与されると、固体溶液は水と共に被記録材内部に浸透していくが、着色材微粒子は非水溶性であるため、被記録材表面で凝集することで耐水性の優れた記録物が提供される旨が記載されている。また、この公報にはインクジェットヘッドのノズル近傍においては、着色材が固体溶剤結晶相内に溶け込んでいるため、着色材のみの析出を防ぎ、吸引等の操作によりノズルの後方からフレッシュなインクを供給すると、固体成分が可溶化し固着を解消する旨が記載されている。
特許文献1:特開平8−231911号公報
特許文献2:特開平05−179183号公報
特許文献3:特開平06−136311号公報
特許文献4:特開平07−053841号公報
特許文献5:特開平10−87768号公報
特許文献6:特開平11−043639号公報
特許文献7:特開平11−236502号公報
特許文献8:特開平11−269418号公報
しかしながら、上記提案のように色材を微粒子化して用いる場合のインク中での着色材微粒子の安定性を考慮すると、例えば25nm位に色材微粒子を微粒子化する必要がある。しかしながら、色材を微粒子化すると、被記録材内に色材が吸着しにくく、言い換えれば色材微粒子の浸透性が増し、印字濃度を高くすることが難しくなる場合がある。また、耐固着性は、前記固溶体で向上させ得るが、インクジェットヘッドのノズル近傍での乾燥が進むと、固溶体の固体成分が強固な固体化した塊になり、吸引回復操作を行なっても、ノズル後方からフレッシュなインキを吸引しにくくなり、最悪の場合は、吸引回復操作を行っても固体化した塊を除去しにくくなる。
上記目的は以下の本発明によって達成することができる。
本発明にかかる水性インクの一態様は、水性媒体と、該水性媒体中に分散している色材と、単体としては常温環境下で固体であり且つ水可溶性の結晶性物質とを少なくとも含む水性インクであって、該インク中に前記色材が分散し、かつ前記物質が溶解している状態から、該水性インク中の水分量の減少に伴い、結晶として析出した該物質を核にして、前記分散状態にある色材が前記核の回りに集合した集合体を形成し得るものであることを特徴とする水性インクである。
本発明にかかる水性インクの他の態様は、水性媒体と、該水性媒体中に分散している水分散性色材と、単体で結晶性を呈し且つ結晶化した際に該水分散性色材を周囲に保持する水可溶性物質と、を有することを特徴とする水性インクである。さらに、この水性インクは、上記水可溶性物質が環状構造を有していることで、より優れた効果を発揮する。また、この水性インクは、上記水可溶性物質を溶解する有機溶媒を有し、上記水可溶性物質の量は、該有機溶媒の飽和濃度以上の量であることで、一層効果が確実になる。具体的には、この水可溶性物質はエチレン尿素であることが好ましい。又、上記水性インクは、さらに、水可溶性の染料を溶解していることで、優れた耐固着性を確保できる。加えて、上記水性インクは、さらに、蛍光性染料を溶解していることで、蛍光発光を得つつ顔料を含んだ画像を形成できる。又、これらのいずれかの水性インクを用いて、繊維系の被記録媒体に形成された記録画像は、従来にはない画像を形成できる。そして、これらのいずれかに記載の水性インクをインクジェットヘッドからインク液滴として吐出させたのち、被記録媒体に付着させ画像を形成する事を特徴とする画像形成方法によれば、インク滴が定着する過程で、下記メカニズムによる作用をより一層確実に行わせしめることができる。
本発明にかかる水性インクの別の態様は、水性媒体と、該水性媒体中に分散している色材と、水可溶性色材と、単体としては常温環境下で固体であり且つ水可溶性の結晶性物質とを少なくとも含む水性インクであって、該インク中に前記色材が分散し、かつ前記物質及び水可溶性色材が溶解している状態から、該水性インク中の水分量の減少に伴い、結晶として析出した該物質を核にして、前記分散状態にある色材が前記核の回りに集合した集合体を形成し得るものであることを特徴とする水性インクである。
本発明にかかる記録物は、被記録材に水性インクを付着させて得られた画像を有する記録物において、前記水性インクとして、上記の2種の態様にかかる水性インクの一方もしくは両方を少なくとも用いたことを特徴とするものである。
図2はインクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。
図3は図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
図4は液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
図5は液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図である。
図6は図5に示した吐出口の部分の拡大図である。
図7は図6に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
図8は図5における主要部の模式図である。
図9は本発明のインクにおける集合体の形成を説明するための図である。
図10は水分散色材の凝集体の形成を説明するための図である。
図11は本発明における水分散色材の集合体が被記録材に付着した際の状態を説明するための図である。
図12は水分散色材と水可溶性色材とを併行した際に水分散色材の凝集体が形成された状態を説明するための図である。
図13は水分散色材が結晶を核として集合体を形成しているインク中の溶媒中に水分散色材よりも溶解性が高い水可溶性色材を存在させた状態を示す図である。
図14は水分散色材と水可溶性色材とを併用した際に本発明にかかる水分散色材の集合体が形成された状態を説明するための図である。
先ず、本発明のインクによって、インクの良好な耐固着性等の信頼性を確保し、更に記録物の品位、堅牢性を良好とすることのできる水性インクについて説明する。
本発明者等は、水分散色材、すなわち水または水を主成分とする水性媒体に分散し得る色材を用いた水性インクの耐固着性を始とする信頼性の向上、更に記録物の品位、堅牢性を良好にするために、多種多様なメカニズムを考え、多種多様な色材やインク組成について検討及び確認を行ってきた。その結果、インクの構成成分として、水分散色材と、常温環境下で固体である水可溶性の結晶性物質成分を有する水性インクにおいて、前記水溶性インク中の水成分の減少に伴い、上記結晶性物質成分の結晶析出が起る水性インクの中で、前記析出する結晶成分に対し、該結晶を核として、核の回りに水分散色材が集合体を形成することを見出した。この水性インクは、得られる記録物の品位、堅牢性を良好にするばかりでなく、耐固着性を始とする信頼性を良好にできるという新たな事実にたどりつき、本発明に至った。
更に、上記水性インクの色材として、少なくとも水分散色材と水可溶性色材からなる色材群を用いると、上記効果が更に良好な、発色性の良好な記録物を得られる事実に至った。特に、水可溶性色材に、蛍光性色材を用いた場合、被記録材上に付与したインクは、従来の蛍光インクを用いて形成した記録物と比べて蛍光強度と記録物濃度が共に格段に向上することがわかった。特に、かかるインクは、インクジェット記録に用いた場合に良好な結果を示すことがわかった。
水分散色材を用いた水性インクで、耐固着性を始とする種々の特性に基づく信頼性が良好に発揮するためのメカニズムを考えるに当たり、一般的な耐固着性手法は、色材同士の凝集を防止するために水分散色材の粒子径を如何に小さくする手段、または多く使用できる保湿剤の選定、といった点から検討がなされる。また、記録物の発色性を向上させる手段を検討する際には、インク中で色材をいかに均一に良好な状態で溶解或いは分散させる手段や、発色の良好な色材の選定という点について注目が集まる。このような検討点(色材の凝集防止)を基礎にして、耐固着性が良好なインク、且つ発色性が良好なインク設計が一般的になされている。
上記の一般的なアプローチに対して、本発明者等は、気液界面でのインク状態について、及び記録物上に付与されたインク状態について世の中にある多種多様なインク、記録物について再度検討し、考察を重ねた。その結果、先ず、水分散色材を用いた水系インクは、インク状態で放置され、乾燥等の影響により凝集が始まり、最終的にはインク系全体にわたって、水分散色材がネットワークを形成した様な凝集が生じ、固化してしまうこと、また、被記録材上に付与されたインクも同様な凝集が生じていることに注目した。更に、水分散色材が凝集しやすい状態のインク(例えば水分散色材含有量が多いインクや分散が不安定なインク等)ほど、被記録材表面で、水分散色材が凝集することにも着目した。これらのことから、ノズル近傍では、壊れやすい凝集をつくるために小さい水分散色材の凝集塊を作るか、更に、被記録材上では、如何に効率的に水分散色材の凝集を作るかという一見相反する観点から検討を行なった。
更に、インク中の水分散色材について詳細に観察すると、水分散色材を用いたインクが、ビーカー等の容器に入れた状態で、インクを乾燥、蒸発させると、疎水性である容器面(インクと容器の界面)に水分散色材が凝集することにも着目した。この現象は、水分散色材がインク中で安定な状態を形成するために、飽和濃度以上の水分散色材が、容器面(液固界面)に析出した色材同士の相互作用によるものと予想した。水分散色材は、疎水性色材とは異なり、水溶性基(遊離酸の状態で、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基等)を有しているため、直ぐ沈殿に移行しない。
以上を元に、各種メカニズムを考察し、かつ材料を検討することで本発明に至った。
本発明者らは、本発明のインクは、下記の具体的なメカニズムによって、耐目詰り性、耐固着性を始とする各種特性に基づく信頼性、更に記録物の品位や発色性を格段に向上できたものと考えている。
本発明のインクは、通常は、水分散色材、液媒体(水性媒体)、水可溶性の結晶形成用成分が混合され、安定な状態である。水分散色材は、必要に応じて界面活性剤や樹脂等により水に対し安定な分散が行われている。かかるインクが放置されると、インク中の水分が、蒸発により減少し、更に該インク中の水可溶性の結晶形成成分の濃度が、インク中での飽和濃度に達し、結晶形成用成分が結晶析出をはじめる。更に同時に、水分散色材も飽和濃度に達し、色材分散状態が不安定な凝集しやすい状態になる。この2種の状態、すなわち、インク中に結晶を析出させた状態と水分散色材が不安定な凝集しやすい状態を同時に発現させると、水分散色材が、インク中に析出した個々の結晶を核として、その回りに集合した、結晶を核とした水分散色材の集合分散体を形成する(図9)。この状態のインクは、インク中に結晶を核とした分散色材の集合体が存在する状態になり、通常の水分散色材を用いたインク状態での水分散色材同士のネットワーク形成(図10)を阻害する。結晶を核とした分散色材の集合体は、このネットワークを形成しにくいため、分散色材単独におけるような強固な固着を形成しないため耐固着性、耐目詰り性が良好になる。更にこの集合体が水可溶性の核を有しているため、例えば、インクジェットヘッドのノズル近傍で目詰りが生じても、吸引加圧等の回復操作を行なうと、目詰りを生じているノズル近傍に存在する該結晶を核とした水分散色材の集合体に対して、外と内からの作用により、目詰り状態を容易に回復させることができる。
また、被記録材上では、被記録材に付与されたインクが、蒸発、浸透により水分が減少し、結晶成分を核に回りに集合した水分散色材集合体が、被記録材表相部で発現すると同時に、水分散色材が被記録材を構成するセルロース繊維等と化学的、物理的に強固インターラクションするため、耐水性等の堅牢性が良好になる。(図11)
更に、本発明者らの検討によれば、本発明のインクを構成する色材に於いて、水分散色材と水可溶色材の色材をインク中で共存させると、記録画像の発色性、耐固着性が更に良好に成ることがわかった。この理由としては、おそらく、従来の水分散色材と水可溶性色材の共存したインクでは、被記録材に付与されたインクの水分量が減少し、被記録材に定着して行く過程で、水分散色材の凝集ネットワークに水可溶性色材も取り込まれてしまい、水分散色材と共に水可溶性色材も凝集状態になり、凝集ネットワーク中に水可溶性色材は取り込まれ、発色性を良好に発現しにくくなると予想されている(図12)。しかしながら、本発明では、水分散色材によって結晶成分を核にその回りに集合した集合体が形成されるため、水分散色材のネットワークが存在せず、水可溶性色材がインク中の溶媒部の非集合体部に存在するため、水可溶性色材は、良好に発色するためと予想している。(図14)、また耐固着性を向上させる理由としては、結晶を核としその回りに水分散色材が集まった集合体間のバッファー効果により、集合体を良好に存在させることができ、且つインク中の溶媒中に水分散色材よりも溶解性が高い水可溶性色材を存在させることで、2種の色材のインク中での溶解性の差により、良好に、水分散色材が結晶を核とした集合体に集合するのではないかと予想している(図13)。水可溶性色材に、蛍光性を有する色材を用いた場合は、画像の蛍光強度を高くする点で特に効果がある。これは、蛍光色材が単分子状態で、先の水可溶性色材のように水分散色材の凝集に取り込まれないために、高い蛍光強度を発現するものと予想している。また、この場合、蛍光色材は、被記録材上で濃度消光を発現する含有量より少ない量、例えば、水系インク組成から水を除いた状態での濃度消光を発現する蛍光色材の含有量より少ない含有量であることが必要である。此処で、濃度消光とは、インク中の蛍光色材の含有量が増大すると、蛍光強度が低下する現象を指す。
更に、本発明のインクは、インクの構成成分として、水性媒体、水分散色材及び結晶形成用成分を少なくとも含有するが、インク中に、結晶形成用成分が溶解する有機溶剤を併用する方が、好ましい効果を出すことができる。かかる有機溶剤が併用されている本発明のインクによれば、水分散色材が、結晶を核とした集合体を形成しやすくなるばかりか、耐固着性に対しては、有機溶媒を含んだインク中に該集合体を個々に独立して含有させることができ、水分散色材集合体を効果的に発現するためである。特に前記有機溶剤において、グリセリン、トリエチレングリコール等の常温環境下で揮発しにくいものが好ましい。また、該有機溶剤は、水可溶性色材をも可溶化するものであれば、記録物の蛍光性を含む発色性を更に良好にする。すなわち、前記水可溶性色材の良好な溶解状態が、前記有機溶剤によって確保することが出来るからである。
更に、上記有機溶剤と結晶形成用成分との関係で、インク中に含有する結晶形成成分含有量が、選択されたインク中に使用される有機溶剤含有量に対し、飽和濃度以上である関係であることが特に好ましい。これは、結晶形成用成分から得られる結晶を核とした水分散色材の集合体を作りやすくするためである。よって、結晶形成用成分の有機溶剤中での飽和濃度は、使用される水に対する飽和濃度以下である方が、本発明のメカニズムを発現するには特に好ましい。
また、結晶形成成分のインク中での含有量は、インク中の水に対する飽和濃度以下で、且つインク中に使用される有機溶剤に対する飽和濃度以上である場合は、本発明の効果を更に良好に発現できる。すなわち、インク中では、結晶形成成分は、良好に溶解していて、且つインク中の蒸発成分が蒸発していくと、結晶形成成分の結晶形成が速やかに発現できるからである。
以下、上記したメカニズムによって優れた効果が得られる本発明のインクの成分(水分等)について説明する。
前記「水溶性インク中の水成分の減少に伴い、水分散色材が結晶形成用成分から得られた結晶に対して集合体を形成する」とは、水の減少のない状態のインクでは、水分散色材、水に可溶な結晶形成用成分等のインク成分が共存しているが、インク中に溶解された結晶形成用成分がインク中の水の減少に伴い、結晶化し、該結晶を核として水分散色材が前記核の回りに集合した集合体を形成することを指すものである。
また、上記のように水成分の減少に伴い、水分散色材が上記結晶に対して集合体を形成する時期は、インク状態から50質量%以上のインク成分の蒸発等による損失が生じることで集合体の形成が始まることが好ましい。本発明にとっては、インク構成成分の蒸発等による損失が80質量%以上になっても前記集合体が維持されているものが好ましい。本発明において、水溶性有機溶剤と組合せてインクに使用される液媒体、及びインク中の水成分の減少時の液媒体に於ける結晶形成用成分量を有機溶媒に結晶形成用成分が溶解する飽和濃度以上含むように調整することにより、より安定した効果が得られるし、コントロール可能となる。すなわち、インク中に含有された水以外の水溶性有機媒体含有量に対し、結晶形成用成分(特にエチレン尿素が好ましい)の含有量が、飽和濃度以上に成るような比率でインク中に含有させることにより、本発明を良好に発現することが可能となる。これは、以下に説明する実施例の比較から理解できる。
本発明の構成成分である水分散色材は、色材自身では水に分散、溶解せず、界面活性剤や樹脂等の水可溶化基を有する化合物の化学的、物理的な作用により、水に分散する色材をさす。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料であり、一次粒子径が15〜40nm、BET法による比表面積が50〜300mm2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%の特性を有するものが好ましい。更に、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の水不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の不溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、金を含むフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等の顔料が例示できる。
また、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。上記のような顔料以外でも使用することができるが、特に、これらの顔料の中でも、C.I.ピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185、C.I.ピグメントレッド122、202、209、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4が更に好ましい。
上記した顔料の好ましい体積平均粒径は150nm以下である。また、得られる画像濃度の向上と、結晶を核として水分散色材の集合体が形成される際の集合できない水分散色材の量を好適なものとするために、インク中での上記した水分散色材の含有量は、この範囲に限定されるものではないが、0.1〜10質量%未満の範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜8質量%未満、更に好ましくは、0.3〜2質量%未満である。また、水分散色材は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの色材をインク中に分散させるための分散剤としては、水溶性で、顔料分散機能を有するものであれば特に制約はないが、ランダムやブロック重合されたスチレンアクリル酸共重合体、スチレンマレイン酸共重合体等の樹脂や、ミセル状態やエマルジョン状態を用いて水分散状態を付与できるノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤を挙げることができる。具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。中でも、本発明を実施する上で特に好ましい分散剤は、ブロック共重合体である。ブロック共重合体でえられた水分散色材は、個々の水分散色材間にばらつきが少なく、安定なインクを提供しやすいからである。
ブロック共重合体は、AB、BAB、及びABC型等で示される構造を有する。疎水性のブロックと親水性のブロックとを有し、また、分散安定性に貢献する均衡のとれたブロックサイズを有するブロック共重合体は、本発明を実施する上で特に有利である。官能基を疎水性ブロック(顔料が結合するブロック)に組み込むことができ、それによって分散安定性を向上させるための分散剤と顔料との間の特異的相互作用をよりいっそう強化することができる。また、重合体の重量平均分子量は、30,000未満、好ましくは20,000未満、より好ましくは2,000〜10,000の範囲内とすることができる。
また、これらの重合体についての製造方法は、特開平05−179183号公報(特許文献2)、特開平06−136311号公報(特許文献3)、特開平07−053841号公報(特許文献4)、特開平10−87768号公報(特許文献5)、特開平11−043639号公報(特許文献6)、特開平11−236502号公報(特許文献7)、特開平11−269418号公報(特許文献8)において開示されている。
ブロック共重合体に用いることができる代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMAまたはNBMA)、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレートおよびソルビルアクリレートなどである。好ましい疎水モノマーはベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートであり、これらから製造されたホモポリマーおよびコポリマー、例えばメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとのコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
また、ブロック共重合体に用いることができる代表的な親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第3−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドおよびジメチルアクリルアミド等が挙げられる。メタクリル酸、アクリル酸またはジメチルアミノエチルメタアクリレートのホモポリマーまたはコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
酸を含有するポリマーは直接製造されるかまたは重合後除去されるブロッキング基を有するブロックされたモノマーから製造される。ブロッキング基の除去後に、アクリル酸またはメタクリル酸を生ずるブロックされたモノマーの例としては、トリメチルシリルメタクリレート(TMS−MAA)、トリメチルシリルアクリレート、1−ブトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、2−テトラヒドロピラニルアクリレートおよび2−テトラヒドロピラニルメタクリレートが挙げられる。
特に、多様な環境下におけるインクの経時安定性や本発明の良好な効果を考慮すると、樹脂を用いた分散剤のほうが好ましく、特にブロック重合樹脂を用いた分散体が好ましい。
樹脂分散剤は、1種を単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができ、これらのインク中における好ましいインク中の樹脂分散剤量は0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは、1〜6質量%の範囲である。もし、分散剤の含有量がこの範囲よりも高い場合、所望のインク粘度を維持するのが困難となる場合がある。
本発明のインクに含有させる結晶形成用物質は、単体では常温環境下で固体で、水可溶性の物質から構成され、この物質自身は、結晶性物質であり、針状、球状等の結晶性を有し、且つ水に添加すると溶解するものをさす。また、該物質を含有する水溶液から、加温等により、水分量を減少させていくと再度結晶を形成するものである。この物質としては、例えば、尿素、エチレン尿素、εカプロラクトン、スクシンイミド、チオ尿素、ジメチロール尿素及び2−ピロリドン等が上げられ、またこれらの化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びアルキルの少なくとも1種を置換基として付加してもよい。また、好ましくは、環状構造を有しているとインク中での結晶成分の安定性の点から好ましい。結晶形成用成分は1種を単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。また、常温環境下で固体形態を示すものが、本発明の結晶成分の析出による発明の効果を良好に発現できる。前記、常温環境下とは、20℃〜25℃の範囲を示すが、使い勝手を考慮すると、常温環境下で固体形態を示す結晶形成用成分の融点が30℃以上にあるもの、好ましくは60℃以上に融点を示すものが好ましく、更に好ましくは、120℃以上に融点を有するもが良い。これらのインク中における含有量は被記録材に種類に応じて選択することができるが、インク全質量に対して、1〜30質量%、更に、2〜20質量%とするのが好ましい。少な過ぎると、本発明の効果が発現できず、また、多すぎると、インクジェット記録に用いた場合、吐出性に悪影響を与える。
本発明のインクに水可溶性色材を併用させる場合は、色材構造中に、遊離酸の状態でスルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、水酸基、アミノ基等の水溶性基を有し、且つ界面活性剤や樹脂等の第二成分の作用無しに水中で安定に存在できるものを指す。例えば、直接性染料、酸性染料、塩基性染料、バット染料等が上げられ、具体的には、例えば、ダイレクトブラック168、ダイレクトブラック154、ダイレクトイエロー142、ダイレクトイエロー86、ダイレクトレッド227、ダイレクトブルー199、ダイレクトイエロー142、ダイレクトブラック195、フードブラック1,2が挙げられるが、これらに限定されるものではない。水可溶性色材も単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の水可溶性色材の使用量については特に制限されないが、一般的にはインクの全質量に対して0.1〜15質量%の範囲が好適で、より好適には0.1〜10質量%である。
また、水溶性蛍光性染料を併用することにより本発明の作用効果を最も高く発現させることができ、本発明のインクを蛍光発色を目的としたインクとして用いると、今まで解決がむずかしかった蛍光強度と濃度や堅牢性の向上を可能とすることが出来る。
本発明のインクの構成成分として使用する蛍光性を示す化合物や蛍光色材としては、その構造中に下記の原子団を含んでいるものが特に好ましい。
また、アシッドレッド52、アシッドレッド92、アシッドレッド289、アシッドイエロー73等のキサンテン構造を有するもの、ソルベントグリーン7等のピラニン構造を有するもの、アシッドイエロー184等のクマリン構造を有するものや、蛍光性を有する直接染料や下記構造及びその水溶化物等の水溶性蛍光性染料は、本発明の作用効果を最も高く発現させることが出来る。
又、蛍光性を示す化合物として、例えば、一般に使用されている蛍光増白剤等も用いることができる。
蛍光染料のインク中における含有量は、例えば、インク全質量に対して、0.01〜30質量%、更に、0.05〜20質量%とするのが好ましい。また、記録物に蛍光性を求めた場合は、本発明のインクを被記録材に付与して記録を行なった際、濃度消光(インク中での含有量が、ある値を超えると蛍光強度が低下してくるという性質)を発現させない含有量であるのが好ましい。蛍光性の向上を最重要視する場合、3質量%以下の含有量であるのが特に好ましい。しかし、被記録材、蛍光色材の特性によっては、これらに限定されない。
分散色材などの成分を含有させる液媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合物が好ましい。この水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイミド等のイミド化合物等が挙げられ、これらは、単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水溶性有機溶剤としては、先に述べた結晶形成用成分の溶媒として機能し得る有機溶剤を用いるのが、本発明の目的を更に効果的に達成する上で好ましい。先に述べたとおり、かかる有機溶剤が併用されている本発明のインクによれば、水分散色材が、結晶を核として集合体を形成しやすくなるばかりか、耐固着性に対しては、有機溶媒を含んだインク中に該集合体を個々に独立して含有させることができ、水分散色材集合体を効果的に発現するためである。好ましくは、糖アルコール、グリコール等の、親水基として水酸基を有しているものが好ましい。出来れば極性基を有していないものが好ましいが、他に極性基を有さない有機溶剤を主溶剤として併用していれば大きな影響はない。更に好ましくは、蒸気圧温度が、通常大気環境下で、250℃以上であるのが好ましい。
上記した水溶性有機溶剤の含有量は、一般には、インクの全質量に対して、1%〜40質量%が好ましく、より好ましくは3%〜30質量%の範囲である。
又、インク中の水の含有量は、好ましくは、30〜95質量%の範囲から選択する。30質量%より少ないと水溶性の成分の溶解性が確保できない場合があり、またインクの粘度も高くなる。一方、水が95質量%より多いと蒸発成分が多過ぎて、十分な固着特性を満足することができない場合がある。
本発明のインクの構成成分として界面活性剤を用いても良い。好ましい界面活性剤は、非極性のノニオン界面活性剤である。ノニオン系界面活性剤は、水溶液状態で、該水溶液からそれ自身が相分離しないものであることが好ましい。水溶液から相分離する状態のノニオン系界面活性剤を使用した場合には、インク化したときにインクが不安定になるので好ましくない。このことは、見かけ上は、水に溶けた状態や均一状に分散しているものを使用することが好ましいことを示しており、特に、水溶液に対してエマルジョン状態になるノニオン系界面活性剤を選択するとよいことがわかった。更に、ノニオン系界面活性剤のインク中の含有量を、水溶液の状態でエマルジョン状態を保持できる添加量以下に選択すると、インクの安定性の低下に対する不安がなくなるので好ましい。
ノニオン系界面活性剤の中でも本発明に好適なものとしては、そのHLBが13以下のものである。一般的に、HLBが13よりも大きくなると、水溶性特性が強くなり、溶剤に近い特性を示しやすくなり結晶析出に悪影響を与え、本発明のメカニズムが発現されにくくなる。
本発明のインクにおけるノニオン系界面活性剤のインク中における含有量は、具体的には、インク全質量に対して1質量%以上、更には、1〜20質量%とすることが好ましい。1質量%より少ないと、画像形成に於いて、所望とするインクの浸透性や広がり性が得られない場合があり、又、20質量%より多いと、所望とする印字品位のバランス、例えば、画像濃度、画像の定着性、ヒゲ状の滲みであるフェザリングの発生の防止などの各性能の良好なバランスがとれなくなる場合がある。
以上に挙げた要件を具備するノニオン系界面活性剤の中でも、本発明のインクの構成成分とするの特に好ましいものとしては、下記の一般式(I)で示される化合物及び下記(II)〜(VII)に列挙した化合物が挙げられる。
(上記一般式(I)において、A及びBは夫々独立に、CnH2n−1(nは1〜10の整数)を表し、X及びYは、それぞれ開環したエチレンオキサイドユニット及び/又は開環したプロピレンオキサイドユニットを表す。)
又、上記一般式(I)で表されるノニオン系界面活性剤の中でも特に好ましいのは、下記の一般式(VIII)で示される化合物である。
インクの安定性の面から、本発明のインクは、更に、インク中に一価アルコールが併用されているものであることが好ましい。一価アルコールは、目詰り等に影響を与えるカビ等の菌などの増殖、発生を防止する。更に、一価アルコールは、被記録材上にインクを付与した場合に、蒸発や、被記録材中への浸透に対して良好な効果があるため、本発明の効果をより良好に発現させるものとして有効である。一価アルコールの本発明のインク中の含有量としては、インク全質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%である。本発明のインク成分として使用することのできる一価アルコールの具体例としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等が挙げられ、これらは単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインクは、必要に応じて、更に、水溶性有機溶剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー及びpH調整剤等の種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、表面張力が40dyn/cm以下であることが好ましい。先に説明したメカニズムの発現のためには、例えば、液滴が記録後に広がりを有する方が効果を出すのは好ましいからである。又、本発明のインクのpHは、インクの安定性の面から6.5以上であることが好ましい。
更に、本発明のインクは、色材の対イオンとして、複数のアルカリ金属イオンを併用することが好ましい。インクジェット記録に用いた場合、両者が併用されていると、インクの安定性及びインクの吐出性が良好になる。アルカリ金属イオンとしては、Li+、Na+、K+等を挙げることができる。
以上のようにして構成される本発明の水性インクは、通常の文具用のインクとしても用いることができるが、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があるが、特に、熱エネルギーによるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイプのインクジェット記録方法に適用する場合に好適であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導率等)を調整する場合もある。
更に、本発明のインクは普通紙等に記録した場合の印字記録物のインクの耐水性の問題を解決すると同時に、インクジェット用ヘッドに対するマッチングを良好にする面から、インク自体の物性として25℃における表面張力が30〜40dyne/cm、粘度が15cP以下、好ましくは10cP以下、より好ましくは5cP以下に調整されることが望ましい。従って、上記物性にインクを調整し、普通紙における問題を解決するためには、本発明のインク中に含有される水分量としては50質量%以上98質量%以下、好ましくは60質量%以上95質量%以下とするのが好適である。
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な方法及び装置としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる方法及び装置が挙げられる。
先ず、その装置の主要部であるヘッド構成例を、図1、図2及び図3に示す。図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は、図1の2−2線での断面図である。ヘッド13は、インクを通す溝14を有する、ガラス、セラミック又はプラスチック板等と、発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。
インク21は、吐出オリフィス(微細孔)22まで来ており、インク21の圧力によりメニスカス23を形成している。今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出し、インク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録媒体25に向って飛翔する。
図3には、図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドは、マルチ溝26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されたものである。
また、本発明に用いられるインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に更に詳しく説明する。
図4は、本発明のインクジェット記録装置に好適な液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図5〜図7は図4に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、これらの図において電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば図4に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。このような基板934上にインク吐出口を形成するが、その方法としては、レーザー光による形成方法の他、例えば後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(MirrorProjectionAliner)等の露光装置により吐出口を形成する方法も挙げられる。
図4において934は電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931および共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側には、熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に、電気熱変換素子の間隔が、例えば、300dpiで配列されている。又、この基板934上には、インク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
ここで、図4においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を例えばスピンコート等の手法によって基板934上に形成することによりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。ここでは、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
又、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図5に示すように、隣するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図8に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。又、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
図4に示したように、吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は、図6に示したように、概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832b間に交互に配され、且つ、鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図4に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝が形成されている。
図示した例の液体吐出ヘッドにおいては、吐出口部940は、例えばその厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図6に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。
従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。(図6参照)本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μm2となっている。
図7は図6に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
又、本発明のインクジェット記録装置の構成に設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
<実施例1〜13、比較例1〜9>
製造例1
まず、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。このポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。更に、この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して分散液1とした。得られた分散液1は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
製造例2
分散液1で使用したポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して分散液2とした。得られた分散液2は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が5%であった。
製造例3
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量4000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。このポリマー溶液を110g、C.I.ピグメントイエロー128を100g及びイオン交換水を290g混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。次いで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を除去して分散液3とした。得られた分散液3は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が6%であった。
製造例4
まず、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びエトキシエチレングリコールメタクリレートを原料として、定法により、酸価350、数平均分子量5000のABC型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。この50%ポリマー溶液を60g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水を340g混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を除去して分散液4とした。得られた分散液4は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度3.5%であった。
以下に示す各成分を混合し、十分に攪拌して溶解及び/又は分散させた後、ポアサイズ0.1μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工(株)製)にて加圧濾過し、実施例及び比較例のインクを夫々調製した。
(1)実施例1のインク組成:
分散液2:6.7%
分散液3:3.1%
グリセリン:5%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):7%
イソプロピルアルコール:4%
純水:74.2%
(2)実施例2のインク組成:
分散液2:7%
C.I.Direct Violet107:0.5%
グリセリン:5%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):7%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
純水:79.5%
(3)実施例3のインク組成:
分散液1:1%
グリセリン:7%
スクシンイミド(水に可溶な結晶成分):7%
エタノール:1%
純水:84%
(4)実施例4のインク組成:
分散液2:10%
エチレングリコール:7%
ジエチレングリコール:7%
尿素(水に可溶な結晶成分):9%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
純水66%
(5)実施例5のインク組成:
分散液4:11%
グリセリン:7%
エチレングリコール:7%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):9%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
純水:65%
(6)実施例6のインク組成:
分散液1:5%
C.I.アシッドレッド94:0.5%
グリセリン:7%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):9%
ステアリン酸(EO)付加物40:0.05%
セチル(EO)20付加物:1%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
純水76.45%
(7)実施例7のインク組成:
分散液2:6.7%
C.I.アシッドレッド92:0.5%
グリセリン:7%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):9%
ステアリン酸(EO)40付加物:0.05%
セチル(EO)20付加物:1%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
純水:74.75%
(8)実施例8のインク組成:
分散液2:6.7%
C.I.アシッドレッド92:1.0%
グリセリン:7%
ジエチル尿素(水に可溶な結晶成分):8%
ステアリン酸(EO)40付加物:0.05%
セチル(EO)20付加物:1%
純水:76.25%
(9)実施例9のインク組成:
分散液2:8%
C.I.アシッドレッド52:0.5%
グリセリン:7%
尿素(水に可溶な結晶成分):8%
ステアリン酸(EO)40付加物:0.05%
セチル(EO)20付加物:1%
純水:75.45%
(10)実施例10のインク組成:
C.I.PimentRed122顔料の界面活性剤分散体(富士色素製、顔料と界面活性剤の比率1:1):2%
ジグリセリン:5%
1、3ジエチル尿素(水に可溶な結晶成分):9%
ラウリル酸Na:0.5%
イソプロピルアルコール:4%
純水:79.5%
(11)実施例11のインク組成:
cabojet 300(商品名:キャボット製):10.0%
グリセリン:5%
トリメチロールプロパン:5%
エチレングリコール:5%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):9%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
サーフィノール440(エアプロダクト社製):0.2%
純水:68.4%
(12)実施例12のインク組成:
cabojet 300(商品名:キャボット製)10.0%
グリセリン5%
尿素(水に可溶な結晶成分)10%
セチル(EO)20付加物1%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
サーフィノール440(エアプロダクト社製):0.2%
純水72.8%
(13)実施例13のインク組成:
分散液3:12.5%
ジグリセリン:7%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):5%
ラウリル酸Na:0.5%
イソプロピルアルコール:4%
純水:71.0%
(14)比較例1のインク組成
分散液2:6.7%
グリセリン:9%
イソプロピルアルコール:4%
純水:80.3%
(15)比較例2のインク組成
分散液2:6.7%
ジエチレングリコール:9%
イソプロピルアルコール:4%
純水:80.3%
(16)比較例3のインク組成
分散液3:6.6%
ジエチレングリコール:9%
2ピロリドン(水に可溶な結晶成分):9%
純水:75.4%
(17)比較例4のインク組成
分散液3:7%
グリセリン:7%
2ピロリドン(水に可溶な結晶成分):9%
純水:77%
(18)比較例5のインク組成
分散液1:5%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):7%
2ピロリドン(水に可溶な結晶成分):9%
純水:79%
(19)比較例6のインク組成
分散液1:5%
グリセリン:9%
エチレン尿素(水に可溶な結晶成分):5%
純水:81%
(20)比較例7のインク組成
C.I.PimentRed122顔料の界面活性剤分散体(富士色素製、顔料と界面活性剤の比率1:1):2%
ジグリセリン:5%
2ピロリドン(水に可溶な結晶成分):9%
イソプロピルアルコール:4%
純水:80.0%
(21)比較例8のインク組成
IJX266(商品名:キャボット製):2.0%
2ピロリドン(水に可溶な結晶成分):9%
サーフィノール465(エアプロダクト社製):1%
純水:88%
(22)比較例9のインク組成
分散液2:7%
C.I.アシッドレッド52:0.5%
ジエチレングリコール:9%
イソプロピルアルコール:4%
純水:79.5%。
<評価>
(蒸発インク観察評価)
実施例及び比較例の各インクを、ガラスシャーレに15g入れ、50℃環境下に、蓋をせずに1ヶ月放置したインクを、目視で観察後、実態顕微鏡(倍率165倍)で観察し、下記基準で評価した。
◎:インクは、流動性を有し、且つ顕微鏡で観察したところ、インク中に結晶があり、該結晶を核に水分散色材の集合体(図9の様な状態)が多く見られた。
○:インクは、流動性を有し、且つ顕微鏡で観察したところ、インク中に結晶があり、該結晶を核に水分散色材の集合体(図9の様な状態)が僅かに見られた。
△:インクは、流動性を有しているが、顕微鏡で観察したところ、インク中に結晶は見らなかった。
×:インクには、流動性が無かった。また顕微鏡で観察すると、水分散色材の凝集(図10の様な状態)が全体に見られた。
(安定性の評価)
実施例及び比較例の各インクを密閉されたガラス容器に入れ、60℃の環境下に1ヶ月間放置後、インクの状況を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:沈降物及びインク成分の分離は認められなかった。
△:インク界面で分離が見られた。
×:沈降物が多く見られた。
(保存性の評価)
実施例及び比較例の各インクをガラス容器に入れ密閉し、60℃の環境下に1ケ月間放置した後、更に常温環境下に1日放置後、インクを目視で観察し、インクの保存性を下記の基準で評価した。
○:沈降物、浮遊物も見られず、又、インク成分の分離もなかった。
△:沈降物又は浮遊物が僅かに見られた。
×:インクの気液界面に分離が見られた。
××:沈降物が多量に見られた。
(耐固着性の評価)
実施例及び比較例の各インクを、ガラスシャーレに15g入れ、50℃環境下に、蓋をせずに1ヶ月放置したインクを下記基準で評価した。
◎:インクは、良好な流動性を有していた。
○:インクは、粘長性が若干あるが、流動性はあり、全体に液状を有しており実用上問題なかった。
△:インクは、流動性があまり見られず、糸を引くような粘調な状態であり、吐出性に影響があった。
×:インクは、流動性は無かった。
次に、実施例及び比較例の各インクを、市販のオンデマンド式インクジェットプリンターBJF600(商品名:キヤノン(株)製)を用いて、その評価を、下記の方法及び基準で夫々行い、表2にその結果を示した。
(吐出性の評価)
インクをBJF600用のインクタンクに所定量入れ、英数文字を市販の上質紙にインクを使い切るまで記録して、記録後、記録の初めと最後の記録物を比較し、下記の基準で評価した。
○:変わりがなかった。
△:若干品位の乱れが見られる。
×:品位の乱れが多く見られる、又は、不吐出が多く見られる。
(目詰り性の評価)
インクをBJF600のインクタンクに所定量入れ、英数文字を市販の上質紙に記録して、記録後、インクジェットプリンタごと30℃環境下に1ヶ月間、放置した後英数文字を市販の上質紙に記録した。その際、記録初期と最後の記録物を比較し、下記の基準で評価した。
◎:記録初期から初期と同様の記録がなされた。
○:記録初期に、若干の吐出不良が見られたが、その後良好な記録がなされ実用上問題ない。
△:記録の初めから終わりまで吐出不良が見られた。
×:インクが吐出されず、記録ができなかった。
(蛍光性の評価1)
23℃、50%RH環境下で、市販の上質紙にDuty50%のベタを印字し、蛍光強度測定機として、FP−750(日本蛍光(株)製)で、実施例、比較例に用いた色材の蛍光強度を最も測定し易い条件として、励起波長254nm、発光波長600nmで蛍光強度を測定し、下記基準で評価した。
○:蛍光強度≧400
△:400>蛍光強度≧350
×:350>蛍光強度
(蛍光性の評価2)
蛍光性の評価1と同じことを、15℃、10%の低温低湿の環境下で行い、同様の方法及び基準で評価した。
(耐水性の評価)
インクをBJF600のインクタンクに所定量入れ、英数文字を市販のA4上質紙に記録して、記録後、1日間常温環境下に放置後、記録物を水道水に5分間漬け、記録物の変化を書き基準で評価した。
◎:英数文字に大きな乱れはみられなかった。
○:英数文字の周りに若干のにじみがみられたが、文字の判読は可能であった。
△:英数文字の回りにインクのにじみがめだつ、文字の判別が困難であった。
×:英数文字がほとんどながれてしまった。
Claims (9)
- 水性媒体と、該水性媒体中に分散している水分散性色材と、単体で結晶性を呈し且つ結晶化した際に該水分散性色材を周囲に保持する水可溶性物質と、を有することを特徴とする水性インク。
- 上記水可溶性物質は環状構造を有している請求項1に記載の水性インク。
- 上記水性インクは上記水可溶性物質を溶解する有機溶媒を有し、上記水可溶性物質の量は、該有機溶媒の飽和濃度以上の量である請求項1又は請求項2に記載の水性インク。
- 上記水可溶性物質はエチレン尿素である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水性インク。
- 上記水性インクは、さらに、水可溶性の染料を溶解している請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水性インク。
- 上記水性インクは、さらに、蛍光性染料を溶解している請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水性インク。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の水性インクを用いて、繊維系の被記録媒体に形成された記録画像。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の水性インクをインクジェットヘッドからインク液滴として吐出させたのち、被記録媒体に付着させ画像を形成する事を特徴とする画像形成方法。
- 水性媒体と、該水性媒体中に分散している色材と、単体として常温環境下で固体であり且つ水可溶性の結晶性物質とを少なくとも含む水性インクであって、
該インク中に前記色材が分散し、かつ前記物質が溶解している状態から、該水性インク中の水分量の減少に伴い、結晶として析出した該物質を核にして、前記分散状態にある色材が前記核の回りに集合した集合体を形成し得るものであることを特徴とする水性インク。
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