JP6786879B2 - 水系インクおよびインクジェット捺染方法 - Google Patents

水系インクおよびインクジェット捺染方法 Download PDF

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Description

本発明は、水系インクおよびインクジェット捺染方法に関する。
インクジェット法による布帛の捺染(以下、単に「インクジェット捺染」ともいう。)は、インクをインクジェットヘッドから吐出して布帛に着弾させる工程、インクが着弾された布帛に蒸気を付与してインクが含有する染料を布帛の繊維に定着させる工程、および蒸気が付与された布帛を洗浄して定着されなかった染料を除去する工程を含んで行われる。
一方で、インクジェット捺染用のインクでは、種々の目的から、インクに含まれる不純物の量を減らすことが知られている。インクに含まれる不純物の例には、染料を製造するときの材料の残渣や、水、溶媒などに由来する化合物またはイオンなどが含まれる。染料の製造に使用する材料の種類および量は、染料の構造などによってそれぞれ異なるため、染料の種類によって、インクに含まれる不純物の量は異なる。
特許文献1および特許文献2には、染料としてC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid red 249、C.I.Direct Blue 87、C.I.Acid Black 52:1、C.I.Acid orange 95、またはC.I.Acid Blue 112を含有するインクジェット捺染用の水系インクであって、カルシウムイオンの含有量がインクの全質量に対して200ppm以下であるインクが開示されている。特許文献1および特許文献2には、カルシウムイオンの含有量が上記範囲になるようにインクまたは染料を精製することで、染料の純度が高まって染料の溶解性が高まることにより、長期保存時の染料の析出が抑制されると記載されている。
また、近年の用途の拡大に伴って、インクジェット捺染で様々な色の画像を形成できることが要求されている。たとえば、布帛を水着等に用いる場合には、蛍光色の画像を形成することが要求される。蛍光色の画像を多様な布帛に形成するため、蛍光を発光しうる染料(以下、単に「蛍光染料」ともいう。)を用いたインクジェット捺染用の水系インクが開発されている。インクジェット法による画像形成に用いることができる蛍光染料として、クマリン骨格を有する蛍光染料が知られている。クマリン骨格を有する蛍光染料の例には、特許文献3および特許文献4に記載されているC.I.Acid Yellow 184などが含まれる。
特開2015−147848号公報 特開2007−238741号公報 国際公開第2004/074390号 特開平11−158431号公報
本発明者の新たな知見によれば、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有する水系インクでは、他の蛍光染料を含有する水系インクと比較して、保存後にインクの射出安定性が顕著に低下することがあった。しかし、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有する水系インクで保存後にインクの射出安定性が低下する原因は特定されていなかった。
たとえば、特許文献1および特許文献2には、インク中の多価金属イオンなどの不純物の量を減らして染料の純度を高めることで、長期保存時の固形分の析出などが抑制されると記載されている。しかし、これらのインクが含有する染料はクマリン骨格を有さない。また、インク中の不純物が及ぼす影響は、染料の種類によって異なる。そのため、これらのインク中の多価金属イオンの量を減らすことで奏される効果が、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有するインクでも同様に奏されるかは不明であった。
前記の事情に鑑みて、本発明は、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有するインクジェット捺染用の水系インクにおいて、インクの保存による射出安定性の低下が生じにくいインク、およびそのようなインクを用いたインクジェット捺染方法を提供することをその目的とする。
本発明の上記課題は、以下に示すインクジェット捺染用の水系インクおよびインクジェット捺染方法によって解決される。
[1]水と、クマリン骨格を有する蛍光染料とを含有するインクジェット捺染用の水系インクであって、カルシウムイオンの濃度または鉄(II)イオンの濃度が7ppm以上150ppm以下であることを特徴とする、水系インク。
[2]カルシウムイオンおよび鉄(II)イオンの合計の濃度が7ppm以上150ppm以下であることを特徴とする、[1]に記載の水系インク。
[3]前記蛍光染料は、酸性染料であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の水系インク。
[4]前記蛍光染料は、C.I.Acid Yellow 184であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の水系インク。
[5]pHは6.5以上7.5以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の水系インク。
[6]インクの全質量に対して10質量%以上の、誘電率が33以下の有機溶剤を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の水系インク。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の水系インクで布帛に画像を形成することを特徴とする、インクジェット捺染方法。
本発明によれば、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有するインクジェット捺染用の水系インクにおいて、インクの保存による射出安定性の低下が生じにくいインク、およびそのようなインクを用いたインクジェット捺染方法を提供が提供される。
図1は、本発明のインクジェット捺染方法の画像形成工程を行うことができるインクジェット捺染装置の構成の一部を概略的に示す図である。
本発明者らは、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有する水系インクで、保存後にインクの射出安定性が低下する原因を研究した結果、クマリン骨格を有する蛍光染料は、保存中の加水分解によってクマリン構造がカルボキシル基を有する構造に変化することを見出した。カルボキシル基を有する化合物は、インク中のカルシウムイオンおよび鉄(II)イオンの濃度などとキレートを形成して不溶化し、ノズルをつまらせたりしてインクの正常な射出を阻害することがある。
本発明は、上記知見に基づき、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有する水系インクにおいて、インクまたは染料を精製してカルシウムイオンの濃度または鉄(II)イオンの濃度を低くすることにより、加水分解によって生成するカルボキシル基を有する化合物とカルシウムイオンおよび鉄(II)イオンなどとによるキレートを形成させにくくし、上記インクの射出安定性の低下を抑制するものである。
なお、上記保存後のインクの射出安定性の低下、およびカルシウムイオンの濃度または鉄(II)イオンの濃度を低くすることによる射出安定性の低下の抑制は、クマリン骨格を有する蛍光染料において特に顕著に見られるが、他の蛍光染料にはさほど見られない。これは、蛍光染料のうち、加水分解するのはクマリン骨格を有する蛍光染料のみであり、そのため、上記キレートの形成およびカルシウムイオン濃度または鉄(II)イオンの濃度の限定によるキレート形成の阻害は、クマリン骨格を有する蛍光染料に特有の現象であるためと考えられる。
また、引用文献1および引用文献2には、酸性染料は溶解性が低いため、精製して不純物を除去することで酸性染料の溶解性が高まり、染料の析出などの問題が生じにくくなると記載されている。しかし、インク中のカルシウムイオンの量が析出に及ぼす影響は、染料の種類によって大きく異なる。たとえば、本発明者の知見によれば、クマリン骨格を有さない蛍光染料であり、かつ酸性染料もであるC.I.Acid Yellew 23などを含有するインクでは、カルシウムイオンの量が150ppmより多くても、クマリン骨格を有する染料を含有するインクと比較して、保存後の射出安定性の低下が生じにくい。
また、インクまたは染料の精製には時間的および金銭的なコストが発生する。そのため、上記C.I.Acid Yellew 23などを含有するインクのように、クマリン骨格を有する染料を含有するインクと比較してインク中の不純物の量がさほど問題にならないような場合では、カルシウムイオンの量を低下させるために過剰な精製を施すと不要なコストが発生するため、インクの生産性が低下してしまう。
そのため、本発明とは異なる染料を含有するインクに関する引用文献1および引用文献2に記載の精製が、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有するインクにおいても有用か否かは、本願出願前には当業者には判明していなかった。
1.インクジェット捺染用の水系インク
本発明に係るインクジェット捺染用水系インク(以下、単に「本発明のインク」ともいう。)は、水と、クマリン骨格を有する蛍光染料とを含有し、カルシウムイオン濃度または鉄(II)イオンの濃度が7ppm以上150ppm以下である水系インクである。本発明のインクは、さらに、水溶性有機溶剤および防腐剤または防黴剤を含むその他の成分を含有してもよい。
水系インクとは、溶媒として水を含有するインクであり、具体的には、水の含有量が20質量%以上100質量%未満、好ましくは30質量%以上80質量%未満、より好ましくは40質量%以上65質量%未満であるインクを意味する。
1−1.クマリン骨格を有する蛍光染料
クマリン骨格を有する蛍光染料は、クマリン骨格および酸性基を有する染料であって、光(電磁波)の照射によって蛍光を発する染料である。
クマリン骨格とは、下記式(1)で表される構造を意味する。
Figure 0006786879
クマリン骨格は、水中で加水分解し、下記式(2)で表されるシス−o−ヒドロキシケイヒ酸となる。また、シス−o−ヒドロキシケイヒ酸は、光異性化によって、下記式(3)で表されるトランス−o−ヒドロキシケイヒ酸となる。これらの化合物は、カルボキシル基によってカルシウムイオンまたは鉄(II)イオンとキレートを形成して不溶化し、インクの射出安定性を低下させると考えられる。
Figure 0006786879
Figure 0006786879
蛍光を発するとは、染料の吸収スペクトルのピーク波長におけるモル吸光係数が10,000以上であり、蛍光量子収率が0.05以上であることをいう。
吸収スペクトルのピーク波長におけるモル吸光係数は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、濃度1モル/Lの染料溶液を調製し、セル長(光路長)が1cmのセルを用いて吸光度計によって測定した吸光度として得られるものであり、蛍光量子収率(Φ)は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、濃度1モル/Lの染料溶液を調製し、セル長(光路長)が1cmのセル、蛍光光度計(日立ハイテク社製)を用いて、吸収スペクトルのピーク波長で励起した際のスペクトル面積について、蛍光量子収率が既知の基準物質「フルオレセイン」と比較したときの相対値として算出されるものである。
羊毛、絹またはナイロンへの染色性を高める観点からは、上記クマリン骨格を有する蛍光染料は、酸性基を有する酸性染料であることが好ましい。上記酸性基の例には、スルホン酸基およびカルボキシ基が含まれる。クマリン骨格を有する酸性染料の例には、C.I.Acid Yellow 184がある。
発色をより明瞭にする観点からは、上記クマリン骨格を有する蛍光染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明のインクは、捺染した布帛が所望の色調の蛍光を発し得る限りにおいて、上記以外の染料を含有してもよい。
1−2.カルシウムイオン濃度または鉄(II)イオン濃度
本発明のインクのカルシウムイオン濃度または鉄(II)イオン濃度は、7ppm以上150ppm以下である。上記カルシウムイオン濃度または鉄(II)イオン濃度が7ppm以上であると、精製にかかるコストが過剰に高くならず、実用的である。上記カルシウムイオン濃度または鉄(II)イオン濃度が150ppm以下であると、インク保存中の上記キレート形成を抑制してインクの射出安定性の低下を抑制することができる。
上記カルシウムイオン濃度および鉄(II)イオン濃度は、たとえば、公知のイオンクロマトグラフィで測定して得られる値とすることができる。
なお、上記クマリンの加水分解によって生成するカルボキシル基を有する化合物は、カルシウムイオンまたは鉄(II)イオン濃度以外の多価金属イオン、特には二価の金属イオン、ともキレートを形成し、同様に射出安定性を低下させると考えられる。そのため、上記インクの射出安定性の低下をより抑制する観点からは、多価金属イオンの合計の濃度がより低いことが好ましい。なお、後述するインクの調製方法に記載の精製法によれば、カルシウムイオンまたは鉄(II)イオンのみならず、様々な多価金属イオンを除去することが可能である。そのため、カルシウムイオン濃度または鉄(II)イオン濃度が7ppm以上150ppm以下であれば、その他の多価金属イオンの濃度も十分に低下しており、そのためにインクの射出安定性の低下が抑制されたと考えられる。つまり、上記カルシウムイオン濃度または鉄(II)イオン濃度は、インク中の多価金属イオンの濃度の指標として用いることができる。ただし、射出安定性に影響を与える多価金属イオンの濃度が低下していることをより確実にする観点からは、カルシウムイオンおよび鉄(II)イオンの合計の濃度、好ましくは二価金属イオンの合計の濃度、さらに好ましくは多価金属イオンの合計の濃度が、7ppm以上150ppm以下であることが好ましい。
1−3.その他の成分
本発明のインクは、本発明の効果が奏される範囲において、水溶性有機溶剤、防腐剤もしくは防黴剤、または界面活性剤を含有してもよい。これらの成分は、本発明のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
1−3−1.水溶性有機溶剤
水溶性有機溶剤の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールおよびt−ブタノールを含むアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、式(4)で表される化合物その他のグリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ヘプタンジオールを含む多価アルコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびテトラメチルプロピレンジアミンを含むアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドを含むアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含む複素環化合物、ジメチルスルホキシドを含むスルホキシド、ならびにジエチレングリコールのアルキルエーテル、トリエチレングリコールのアルキルエーテルおよびジプロピレングリコールのアルキルエーテルを含むグリコールエーテルが含まれる。
Figure 0006786879
式(4)中、R11はいずれもエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を表し、x、yおよびzはいずれも正の整数であり、x+y+z=3〜30である。
前記蛍光染料の布帛の繊維構造への浸透を調整して、布帛の表裏の色調差をより小さくする観点からは、水溶性有機溶剤は、分子量400以上1000以下のポリエチレングリコール、分子量400以上1000以下のポリプロピレングリコール、および式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、上記観点からは、分子量400以上1000以下のポリエチレングリコールであることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体の質量に対して35質量%以上60質量%以下とすることができる。水溶性有機溶剤の含有量をインク全体の質量に対して35質量%以上とすることで、前記蛍光染料をインクの液体成分に溶解しやすくし、ノズルへの前記蛍光染料の析出による吐出安定性の低下を抑制することができる。特に上記式(4)で表される化合物は水に溶解しにくい。そのため、上記量の水溶性有機溶媒をインクがさらに含有することで吐出安定性の低下が抑制される効果は、上記式(4)で表される化合物を含有する本発明のインクにおいて、特に顕著にみられる。水溶性有機溶剤の含有量をインク全体の質量に対して60質量%以下とすることで、水溶性有機溶媒の含有によるインクの乾燥性の低下を抑制し、濃度むらや滲みをより生じにくくすることができる。
また、インクを充填したインクジェット捺染装置のノズルを開放系で放置した後に、ノズル欠を発生しにくくする観点からは、本発明のインクは、インクの全質量に対して10質量%以上の、誘電率が33以下の有機溶剤を含有することが好ましい。これは、誘電率が33以下の有機溶剤は比較的疎水性であり、このような有機溶剤は、インクの乾燥によりインク中の水分が少なくなって溶解度が低下した化合物を、溶解状態で保持できるためと考えられる。
上記誘電率が33以下の有機溶剤の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールが含まれる。
1−3−2.防腐剤または防黴剤
防腐剤または防黴剤の例には、芳香族ハロゲン化合物、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばロンザ社製、プロキセルGXL(「プロキセル」はアーチ ユーケイ バイオサイズ リミテッド社の登録商標))が含まれる。
1−3−3.界面活性剤
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類を含むアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類を含むノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類を含むカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
これらのうち、布帛の線維構造に前記蛍光染料をより浸透しやすくして、前記蛍光染料の定着不良による濃度むらをより生じにくくする観点からは、アニオン性界面活性剤が好ましい。好ましいアニオン性界面活性剤の例には、ジ−2−エチルヘキシルスルホこはく酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが含まれる。
1−4.本発明のインクの物性
保存後のインクの射出安定性をより低下しにくくする観点からは、本発明のインクのpHは、6.5以上7.5以下であることが好ましい。本発明のインクのpHが上記範囲であると、おそらくは上記クマリンの加水分解がさほど促進されないため、保存後のインクの射出安定性がより低下しにくくなると考えられる。
インクの射出安定性をより高める観点から、本発明のインクの25℃における粘度は、1mPa・s以上40mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上40mPa・s以下であることがより好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの粘度は、E型粘度計(たとえば、V−25、東機産業株式会社製)により、25℃、20rpmで測定することができる。
本発明のインクの25℃における表面張力は、25mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。表面張力が25mN/m以上であると、画像の滲みがより生じにくい。表面張力が50mN/m以下であると、本発明のインクがより布帛により浸透しやすい。インクの粘度は、たとえば、CBVP−Z、協和界面科学株式会社製により測定することができる。
1−5.インクの調製
本発明のインクは、(1)前記蛍光染料および水、ならびに任意に含有される前記その他の成分を公知の方法で混合する工程、および(2)インクのカルシウムイオン濃度または鉄(II)イオンの濃度を調整する工程、を含む方法によって調製することができる。
(2)工程におけるカルシウムイオン濃度の調整は、前記蛍光染料を精製して染料が含有するカルシウムイオンの量を減少させる方法によってもよいし、(1)工程で混合して得られた組成物を精製して上記組成物が含有するカルシウムイオンの量を減少させる方法によってもよい。上記蛍光染料の精製は、(1)工程の前に行う。上記組成物の精製は、(1)工程の後に行う。
上記蛍光染料の精製は、前記蛍光染料を有機溶媒に溶解させて溶解液を得て、上記溶解液から公知の方法でカルシウムイオンを除去する方法によって行うことができる。また、上記組成物の精製は、液体組成物から公知の方法でカルシウムイオンを除去する方法によって行うことができる。上記除去は、たとえば、上記溶解液または上記組成物に吸着剤、キレート樹脂またはイオン交換樹脂を投入して混合および撹拌し、その後、上記吸着剤、キレート樹脂またはイオン交換樹脂を濾別する方法によってもよいし、吸着剤、キレート樹脂またはイオン交換樹脂が充填されたカラム内に上記溶解液または上記組成物を通過させる方法によってもよいし、限外濾過装置によって上記溶解液または上記組成物からカルシウムイオンその他の多価金属イオンを含む塩を濾過する方法によってもよい。上記吸着剤の例には、活性炭、ゼオライトおよびケイソウ土が含まれる。上記キレート樹脂の例には、カルシウムイオンを捕捉可能な公知のキレート樹脂が含まれる。上記イオン交換樹脂の例には、カルシウムイオンを交換可能な公知の陰イオン交換樹脂が含まれる。これらの除去方法は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組みあわせてもよい。
蛍光染料を精製するときの上記除去は、前記蛍光染料が含有するカルシウムイオンの量が所定量以下になるまで繰り返し行うことが好ましい。上記所定量とは、前記蛍光染料が含有するカルシウムイオンの量の測定値に、本発明のインクに含有させる前記蛍光染料の量を乗じて得られる、インクのカルシウムイオン濃度として予測される値が、7ppm以上150ppm以下となる値である。上記蛍光染料が含有するカルシウムイオンの量の測定値は、公知のイオンクロマトグラフィで上記除去後の上記溶解液を測定して、得ることができる。
上記組成物を精製するときの上記除去は、上記組成物が含有するカルシウムイオンの量が7ppm以上150ppm以下となるまで繰り返し行う。上記組成物が含有するカルシウムイオンの量は、公知のイオンクロマトグラフィで上記除去後の上記組成物を測定して、得ることができる。
また、上記蛍光染料の精製と上記インクの精製とは、組みあわせて用いられてもよい。このとき、カルシウムイオンの量が上記所定量以下になるまで上記蛍光染料の精製を行う必要はないが、上記組成物の精製は、カルシウムイオンの量が7ppm以上150ppm以下となるまで行う必要がある。
2.インクジェット捺染方法
本発明のインクジェット捺染方法は、上記したインクで布帛に画像を形成することを特徴とするインクジェット捺染方法である。本発明のインクジェット捺染方法は、前述した本発明のインクをインクジェット捺染インクとする以外は、公知のインクジェット捺染方法と同様に行い得る。
たとえば、本発明のインクジェット捺染方法は、本発明のインクの液滴を記録ヘッドから布帛に向けて吐出する工程(画像形成工程)と、インクが着弾した布帛に高温の蒸気を付与して、本発明のインクに含有される前記蛍光染料を布帛の繊維に定着させる工程(発色工程)と、前記蛍光染料が繊維に定着した布帛を洗浄して繊維に定着できなかった前記蛍光染料を除去する工程(洗浄工程)とを含む。本発明のインクジェット捺染方法は、必要に応じて、布帛に前処理剤を付与する工程(前処理工程)または洗浄された布帛を乾燥する工程(乾燥工程)をさらに含んでもよい。
2−1.画像形成工程
画像形成工程は、本発明のインクジェットインクの液滴を記録ヘッドから布帛に向けて吐出して、発色前の画像を形成する工程である。たとえば、複数の記録ヘッドを搭載するヘッドキャリッジに対して布帛を相対移動させながら、インクの液滴を記録ヘッドから吐出して、布帛に着弾させることで、発色前の画像を形成することができる。なお、本発明のインクを含む複数の色のインクを用いて画像を形成する場合、各色のインク液滴は、別々に吐出しても、同時に吐出してもよい。発色前画像の滲みを抑制する観点から、必要に応じて布帛を加熱して本工程を行ってもよい。
2−2.発色工程
発色工程は、発色前の画像が形成された布帛に高温の蒸気を付与して、前記蛍光染料を布帛の繊維に定着させる工程である。発色工程によって、インク本来の色相が発現する。前記蛍光染料を布帛の繊維に定着させる方法の例には、スチーミング法、HTスチーミング法、HPスチーミング法、サーモフィクス法、アルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム法、アルカリショック法、およびアルカリコールドフィックス法が含まれる。HTスチーマーで高温の蒸気を当てる場合は160℃以上180℃以下で5分以上20分以下の間処理されることが好ましく、HPスチーマーで高圧の蒸気の当てる場合は130℃以上140℃以下で約30分間処理されることが好ましい。
2−3.洗浄工程
洗浄工程は、前記発色工程後に布帛を洗浄して、布帛の繊維に定着できなかった前記蛍光染料および前処理剤を除去する工程である。本工程は、前記蛍光染料および前処理剤を除去することができればよく、水で前記布帛を洗浄してもよいし、ソーピング液で前記布帛を洗浄してもよい。ソーピング液の例には、苛性ソーダ、界面活性剤およびハイドロサルファイトの混合液が含まれる。
2−4.前処理工程
本発明の方法は、布帛上でのインクの滲みを防止して鮮明な画像を得るために、画像形成工程の前に前処理工程を設けて、糊剤としての水溶性高分子を含有する前処理剤を布帛に予め付与してもよい。前処理剤を付与する方法の例には、パッド法、コーティング法およびスプレー法が含まれる。前処理剤の付与量(絞り率)は、布帛の種類やその用途にもよるが、布帛の全質量に対して例えば0.2質量%以上90質量%以下としうる。
前記水溶性高分子の例には、天然水溶性高分子および合成水溶性高分子が含まれる。天然水溶性高分子の例には、トウモロコシおよび小麦を含むデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよびヒドロキシエチセルロースを含むセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガムおよびアラビアゴムを含む多糖類、ならびにゼラチン、カゼインおよびケラチンを含む蛋白質物質が含まれる。合成水溶性高分子の例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびアクリル酸系ポリマーが含まれる。
前処理剤は、pH調整剤をさらに含むことが好ましい。より高濃度で鮮明な画像を形成する観点から、pH調整剤は酸であることがより好ましい。酸であるpH調整剤の例には、クエン酸、リンゴ酸および酒石酸が含まれる。
前処理剤は、必要に応じて還元防止剤、キレート剤および防腐剤を含む任意成分をさらに含有してもよい。還元防止剤の例には、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。キレート剤の例には、アミノポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸およびジエチレントリアミン五酢酸が含まれる。防腐剤の例には、N−(3−クロロフェニル)カルバミン酸イソプロピルを含む芳香族ハロゲン化合物、メチレンジチオシアナートおよび1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが含まれる。
2−5.乾燥工程
乾燥工程は、前記洗浄された布帛を乾燥させる工程である。乾燥方法の例には、洗浄された布帛を絞るかまたは干すことによる非機械的乾燥、および乾燥機(ヒートロールまたはアイロン)による機械的乾燥が含まれる。
2−6.布帛
布帛は、本発明のインクで捺染可能であれば限定されないが、木綿、麻、羊毛、絹、ビスコスレーヨン、キュプラレーヨン、ポリノジック、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、レーヨンポリウレタン、ポリエステルおよびアセテートを含む繊維を含むものであることが好ましい。前記蛍光染料を良好に発色させる観点からは、布帛は羊毛、絹またはナイロン系の繊維で構成される部分を含み、この部分に画像を形成することが好ましい。前記蛍光染料の定着性をより高める観点からは、繊維の半径は10d以上100d以下であることが好ましい。
2−7.インクジェット捺染装置
前記画像形成工程は、従来公知のインクジェット捺染装置に本発明のインクを搭載することによって実施することができる。
図1は、インクジェット記録装置の構成の一例を示す部分概略図である。インクジェット記録装置は、布帛Pを搬送する搬送機構2と、布帛Pにインクジェットインクを吐出する複数の記録ヘッド(不図示)を搭載するヘッドキャリッジ5と、布帛Pに温風を吹き付ける温風機構6と、本発明のインクを貯蔵することができるインクタンク7と、蒸気を付与する蒸気機構8とを有する。
搬送機構2は、粘着性ベルト21と、サポートローラ22と、搬送ローラ23と、ニップローラ24とを備えている。粘着性ベルト21は、サポートローラ22と搬送ローラ23とに保持され、サポートローラ22と搬送ローラ23との間を周回している。ニップローラ24は、粘着性ベルト21を介して、搬送ローラ23に対向して配置されている。
ヘッドキャリッジ5とインクタンク7とは、連通しており、インクタンク7に貯蔵された本発明のインクは、捺染する際に、インクタンク7からヘッドキャリッジ5に送液される。
ヘッドキャリッジ5、蒸気機構8および温風機構6は、布帛Pの上方に配置される。ヘッドキャリッジ5に搭載される記録ヘッドは、特に制限はなく、サーマル型、ピエゾ型のいずれであってもよい。記録ヘッドのノズル径は、10μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。ノズル径が10μm未満の場合は不溶物によるノズル目詰まりが生じやすいためである。一方、100μm超の場合は、形成画像の鮮鋭性が低くなるためである。また、吐出するインク液滴サイズは、4pl以上150pl以下であることが好ましく、5pl以上80pl以下であることがより好ましい。インク液滴サイズが4pl未満の場合は、吐出されたインク液滴がヘッド近傍の気流の影響を受けやすいためである。一方、150pl超の場合は、形成画像の粒状感が目立つためである。蒸気機構8は、形成すべき画像にあわせて蒸気を付与することができるスチーマーである。温風機構6は、内部にファン6Aおよび発熱体6Bを備えており、温度制御できるようになっている。
本発明に適用可能なインクジェット記録装置は、設定された画像形成条件に従って、各色インクの吐出を制御するインク制御部(不図示)を備えていてもよい。
搬送ローラ23が駆動すると、粘着性ベルト21の上面に配置された布帛Pがニップローラ24下面に搬送される。布帛Pは、粘着性ベルト21とニップローラ24により加圧されて、粘着性ベルト21に固定される。粘着性ベルト21に固定された布帛Pは、ヘッドキャリッジ5の下方に搬送される。ヘッドキャリッジ5に搭載される複数の記録ヘッドは、インクタンク7から送液された本発明のインクのインク液滴を吐出し、前処理剤が付与された布帛の一定領域(着弾可能領域)に着弾させ、画像を形成する。次いで、温風機構6から温度制御可能な風または温風を吹き付けて、布帛Pに形成された画像を乾燥させる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらの記載によって本発明の範囲は限定して解釈されない。
[実施例1]
1.インクの調製
クマリン骨格を有する蛍光染料として、C.I.Acid Yellow 184を用意した。5質量%の上記染料と、20質量%のエチレングリコールと、10質量%のプロピレングリコールと、10質量%のグリセリンと、0.02質量%の防黴剤(ロンザ社製、プロキセルGXL)と、残部のイオン交換水とを、合計が100質量%となるように配合して混合し、撹拌して均一に混合した後、1μmメッシュのフィルターでろ過して、イエローインクを得た。なお、それぞれのインクには、pH添加剤を加えてpHを7に調整した。
2.カルシウムイオンの除去
上記イエローインクにキレート樹脂(三菱化学株式会社製、ダイヤイオン CR−11)を添加して、下記方法で測定されるカルシウムイオン濃度が200ppm、100ppm、20ppm、10ppm、または5ppmであるイエローインク1〜イエローインク5をそれぞれ得た。
染料を、クマリン骨格を有さない蛍光染料であり、かつ酸性染料もであるC.I.Acid Yellow 23とした以外はイエローインク1と同様にして、イエローインク6を得た。
[カルシウムイオン濃度の測定]
イエローインク1〜イエローインク6のカルシウムイオン濃度を、イオンクロマトグラフィーで測定した。
(イオンクロマトグラフィーの条件)
装置:ダイオネクス製 DX−500 イオンクロマトグラフ
カラム:ダイオネクス製 IonPac AS11(4×250mm)
3.鉄(II)イオンの除去
上記イエローインクにキレート樹脂(三菱化学株式会社製、ダイヤイオン CR−11)を添加して、上記カルシウムイオン濃度の測定方法と同様の方法で測定される鉄(II)イオン濃度が200ppm、100ppm、20ppm、10ppm、または5ppmであるイエローインク7〜イエローインク11をそれぞれ得た。
染料をC.I.Acid Yellow 23とした以外はイエローインク7と同様にして、イエローインク12を得た。
イエローインク7〜イエローインク12の鉄(II)イオン濃度は、上記カルシウムイオン濃度の測定と同様にして測定した。
4.評価
4−1.保存前の射出安定性
インクジェットプリンタNassenger−V(コニカミノルタ株式会社製、「Nassenger」はコニカミノルタIJ株式会社 の登録商標)にイエローインク1〜イエローインク12をそれぞれ装填し、全ノズルから連続60分間射出し、その後60分間休止した。この作業を1日に12回繰り返して行い、12回の射出の後に、上記インクジェットプリンタにクリーニング操作を行わせた。前記出射およびクリーニングを連続して7日間行った。
上記の動作を連続7日間行った後に、ノズル面を目視で観察して、ノズル面に付着物が見られるか否かを判定した。また、記録ヘッド(1024ノズル)からそれぞれのインクを吐出したとき、ノズル欠を起こしているか否か(インクが吐出されないノズルか発生しているか否か)を観察し、得られた結果をもとに、下記の基準でそれぞれのインクの保存前の射出安定性を評価した。
◎: ノズル面がきれいでノズル欠は発生していない
○: ノズル面にわずかに付着物がみられるがノズル欠は発生していない
△: 1個以上5個未満のノズル欠が発生している
×: 5個以上のノズル欠が発生している
4−2.保存後の射出安定性
イエローインク1〜イエローインク12と、イエローインク1〜イエローインク12を60℃で1ヶ月保存したものとを用いて、上記インクジェットプリンタにて、それぞれ、540dpi×720dpi、100% Dutyの印字率で、前処理を施したナイロン繊維に15cm×15cmの矩形の画像を形成した。
印字されたナイロン繊維は、HTスチーマーで103℃、30分スチーミングを行い、ソーピング剤(センカ株式会社社製、センカノールTCコンクおよびセンカノールCMN)とソーダ灰で洗浄し、150℃で1分乾燥させた。乾燥後に、蛍光分光光度計(日立社製、F−4500)を用いて、形成された矩形の画像の蛍光ピーク強度を測定した。得られたピーク強度から、蛍光強度を得た。このとき、蛍光強度測定時の励起光源の波長は254nmとし、最大蛍光波長での蛍光強度を測定した。60℃での保存を行っていないインクを用いた上記処理によって得られた画像の蛍光強度値を100としたときの、上記60℃での保存を行ったインクを用いた上記処理によって得られた測定蛍光強度値を算出した。上記算出された値をもとに、下記の基準でそれぞれのインクの保存後の射出安定性を評価した。
◎: 上記算出された値が95以上である
○: 上記算出された値が90以上95未満である
△: 上記算出された値が80以上90未満である
×: 上記算出された値が70以上80未満である
××:上記算出された値が70未満である
4−3.精製コスト
上記精製を行うために用いたキレート樹脂の量をもとに、下記の基準でイエローインク1〜イエローインク12の精製コストを評価した。
○:キレート樹脂による多価イオン除去工程は不要だった
△:染料のおよそ半量のキレート樹脂を使用した
×:染料と同量のキレート樹脂を使用した
イエローインク1〜イエローインク6のそれぞれについての上記評価の結果を、測定されたイエローインク1〜イエローインク6のカルシウムイオン濃度(各数字の単位はppm)とともに、表1に示す。
Figure 0006786879
イエローインク7〜イエローインク12のそれぞれについての上記評価の結果を、測定されたイエローインク7〜イエローインク12の鉄(II)イオン濃度(各数字の単位はppm)とともに、表2に示す。
Figure 0006786879
クマリン骨格を有さない酸性染料を含有するイエローインク6およびイエローインク12は、1ヶ月の保存前後で射出安定性に大きな変化はなかったが、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有するイエローインク1およびイエローインク7は、1ヶ月の保存後に射出安定性が劣化していた。
これに対し、カルシウムイオンの濃度または鉄(II)イオンの濃度を7ppm以上150ppmとしたイエローインク2〜イエローインク4およびイエローインク8〜イエローインク10は、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有するにもかかわらず、1ヶ月の保存前後で射出安定性に大きな変化はなかった。また、カルシウムイオンの濃度濃度または鉄(II)イオンの濃度を7ppm以上150ppmとしたイエローインク2〜イエローインク4およびイエローインク8〜イエローインク10は、精製コストも大きくならなかった。
一方で、クマリン骨格を有する蛍光染料を含有し、かつ、カルシウムイオンの量が7ppm未満であるイエローインク5およびおよびイエローインク11は、1ヶ月の保存前後で射出安定性に大きな変化はなかったものの、精製コストが大きくなった。
[実施例2]
実施例1のpH調整において、pHが7以下の場合には、クエン酸/クエン酸3ナトリウムを用いて、pHが7以上の場合は、炭酸水素ナトリウム/塩酸を用いて、pHを表3に記載の数値にした以外はイエローインク2と同様にして、イエローインク13〜イエローインク19を作成した。
イエローインク13〜イエローインク19の保存後の射出安定性を実施例1と同様に評価した。
イエローインク13〜イエローインク19のそれぞれについての上記評価の結果を、測定されたイエローインク13〜イエローインク19のカルシウムイオン濃度(各数字の単位はppm)およびpHとともに、表3に示す。
Figure 0006786879
イエローインクのpHを6.5以上7.5以下とすると、1ヶ月の保存後でもインクを射出安定性は高かった(イエローインク15〜イエローインク17)が、pHが6.5未満または7.5より大きいと、1ヶ月の保存後にインクの射出安定性が少し低下する傾向がみられた(イエローインク13、14、18、19)。
[実施例3]
実施例1のイエローインクの調製において、使用する有機溶剤のうちプロピレングリコールをジエチレングリコールに変更した以外はイエローインク2と同様にして、イエローインク20を調製した。同様に、プロピレングリコールをトリエチレングリコールに変更した以外はイエローインク2と同様にして、イエローインク21を調製した。同様に、プロピレングリコールを用いず、エチレングリコールの量を30質量%に変更した以外はイエローインク2と同様にして、イエローインク22を調製した。
このとき使用したそれぞれの有機溶媒の誘電率を表4に示す。
Figure 0006786879
インクジェットプリンタNassenger−Vにイエローインク2およびイエローインク20〜イエローインク22をそれぞれ装填し、装置を開放系にしたまま、24時間放置した。その後、記録ヘッド(1024ノズル)からそれぞれのインクを吐出したとき、ノズル欠を起こしているか否かを観察して、それぞれのインクのオープンタイム後の射出安定性を評価した。
イエローインク2およびイエローインク20〜イエローインク22のそれぞれについての上記オープンタイム後の射出安定性(表5では単に「射出安定性」とする。)、測定されたイエローインク2およびイエローインク20〜イエローインク22のカルシウムイオン濃度(各数字の単位はppm)、ならびにイエローインク2およびイエローインク20〜イエローインク22のそれぞれを調製するために使用した有機溶剤の種類および量(各数字の単位は質量%)を表5に示す。なお、表5において、「EG」はエチレングリコールを、「Gly」はグリセリンを、「PG」はプロピレングリコールを、「DEG」はジエチレングリコールを、「TEG」はトリエチレングリコールを、それぞれ表す。
Figure 0006786879
イエローインクが、誘電率が33以下の有機溶剤を10質量%以上含有すると、開放系での保存後でもインクを射出安定性は高かった(イエローインク2、20、21)が、誘電率が33以下の有機溶剤の含有量が10質量%未満だと、開放系での保存後にインクの射出安定性が少し低下する傾向がみられた(イエローインク22)。
本発明のインクは、インクジェット捺染装置から吐出することで、布帛の染色、特には蛍光イエローの染色に好適に用いることができる。
P 布帛
2 搬送機構
5 ヘッドキャリッジ
6 温風機構
6A ファン
6B 発熱体
7 インクタンク
8 蒸気機構
21 粘着性ベルト
22 サポートローラ
23 搬送ローラ
24 ニップローラ

Claims (5)

  1. 水と、クマリン骨格を有する蛍光染料とを含有するインクジェット捺染用の水系インクであって、
    前記蛍光染料は、C.I.Acid Yellow 184であり、
    カルシウムイオンの濃度または鉄(II)イオンの濃度が7ppm以上20ppm以下であることを特徴とする、水系インク。
  2. カルシウムイオンおよび鉄(II)イオンの合計の濃度が7ppm以上20ppm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の水系インク。
  3. pHは6.5以上7.5以下である、請求項1または2に記載の水系インク
  4. インクの全質量に対して10質量%以上の、誘電率が33以下の有機溶剤を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の水系インク。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水系インクで布帛に画像を形成することを特徴とする、インクジェット捺染方法。
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