JP2004067807A - インクジェット捺染用インク、それを用いた捺染方法及び印捺物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、3.5〜7.0重量%の顔料、顔料とカルボキシル基を有する樹脂との比が、顔料/カルボキシル基を有する樹脂=1/0.5〜1/2に相当する量のカルボキシル基を有する樹脂、0.5〜10重量%の水溶性メラミン樹脂、0.5〜10重量%の1,2−アルキレングリコールと水とを含有しているインクジェット捺染用インク。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、布帛への捺染に適するインクジェット捺染用インク、特に、画像の定着性(耐洗濯性等)、インク吐出安定性に優れたインクジェット捺染用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種繊維からなる織布、不織布等の布帛に対する文字及び/又は画像の捺染方法としては、スクリーン捺染法、ローラー捺染法等が一般的であるが、これらの捺染方法は、図柄毎にトレースや製版等の煩雑な作業を要するため、低コスト化が難しく、少量多品種生産には不向きであった。従来の捺染方法のこのような欠点を解消すべく、図柄見本をスキャナー等の画像入力デバイスで読み取り、コンピュータで画像処理を行い、得られた画像情報に基づき布帛に対してインクジェット記録方式により印捺を行う方法(インクジェット捺染)が提案され、実用化されている。このインクジェット記録方式は、インクの液滴を飛翔させ、該液滴を被記録材に付着させて印刷を行う記録方式であり、高画質のフルカラー画像が容易に得られる等の利点により、特に被記録材として紙等を用いる印刷分野で広く普及している。
【0003】
従来、インクジェット記録方式に用いられる顔料を着色材とする水性インク組成物(以下、「水性顔料インク組成物」という)には、顔料の分散安定性、定着性を改善するために水溶性の樹脂が含有されていた。しかし、水性顔料インク組成物は、水分の蒸発により粘度が上昇するため、インクの吐出が不安定になったり、目詰りが生じたりすることがあった。また、水溶性の樹脂を使用しているため、記録物の耐水性、特に、耐洗濯性において十分なものではなかった。
【0004】
インクジェット捺染に使用されるインク組成物としては、特に、耐水性、耐洗濯性において満足すべきものであることが望まれており、そのことを改善する手段として、インク組成物に含有される水溶性の樹脂を架橋する手段が、特開昭62−231787号公報等に提案されている。しかし、顔料の分散性が不安定であることから目詰りを起こし易いというような問題があった。
また、耐水性、耐洗濯性、定着性を改善するインク組成物生物として、特開平5−271598号公報に、分子中にオキサゾリン基を有する化合物と、そのオキサゾリン基と反応しうる基を有する化合物とを含有するインク組成物が提案されている。しかし、このインク組成物も顔料の分散性が不安定であることから目詰りを起こし易いというような問題があった。
【0005】
また、耐水性、耐洗濯性、吐出安定性を改善するインク組成物として、特開平5−271598号公報に、カルボキシ基を有する樹脂と、塩基と、カルボキシ基を有する樹脂と架橋する成分と、を含有するインク組成物が提案されている。しかし、このインク組成物は、綿のような布に対しインクジェット捺染をした場合には、十分に満足すべき耐洗濯性が得らないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、これまで種々のインクジェット捺染用インクが提案されてきているが、従来のインクジェット捺染用インクは、耐水性、耐洗濯性あるいは吐出安定性の点で必ずしも満足すべきものではなかった。
そこで、本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、耐水性があって、綿のような布に対する捺染であっても耐洗濯性に優れた定着性を有し、さらに、吐出安定性にも優れたインクジェット捺染用インクを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インクジェット捺染に用いるインク組成物に、分散剤、定着剤として使用されているカルボキシル基を有する樹脂を含有させた場合のインク組成物の性質の改善について調査・研究をしていたところ、着色剤として顔料を含有するインク組成物に、カルボキシル基を有する樹脂と水溶性メラミン樹脂とを含有させたインク組成物が、インクジェット捺染に用いられた場合、耐水性があり、耐洗濯性にも優れた定着性を有すること、さらに、そのインク組成物に1,2−アルキレングリコールを含有させると、吐出安定性にも優れ、上記の各目的を達成することができることを見いだしたものである。
【0008】
即ち、本発明のインクジェット捺染用インクは、インク組成物中に、少なくとも、顔料、カルボキシル基を有する樹脂、水溶性メラミン樹脂、1,2−アルキレングリコール、水を含有していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のインクジェット捺染用インクは、前記顔料の含有量が、3.5〜7.0重量%であり、前記顔料と前記カルボキシル基を有する樹脂との比が、顔料/カルボキシル基を有する樹脂=1/0.5〜1/2であり、前記水溶性メラミン樹脂の含有量が、0.5〜10重量%であり、前記1,2−アルキレングリコールの含有量が、0.5〜10重量%であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のインクジェット捺染用インクは、前記インク組成物中に、保湿剤、界面活性剤の少なくとも一種を含有していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のインクジェット捺染用インクは、前記保湿剤の含有量が、4〜40重量%であり、前記界面活性剤の含有量が、0.1〜2重量%であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のインクジェット捺染方法は、前記インクジェット捺染用インクを用いてインクジェット記録方式により画像を形成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の印捺物は、前記インクジェット捺染方法により捺染されたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のインクジェット捺染用インク、その好ましい実施の形態について説明する。
本発明のインクジェット捺染用インクは、特に綿に対するインクジェット捺染に好適なインク組成物であって、少なくとも、顔料、カルボキシル基を有する樹脂、水溶性メラミン樹脂、1,2−アルキレングリコール、水を含有していることを特徴とし、その好ましい実施の形態は、前記顔料の含有量が、3.5〜7.0重量%であり、前記顔料と前記カルボキシル基を有する樹脂との比が、顔料/カルボキシル基を有する樹脂=1/0.5〜1/2であり、前記水溶性メラミン樹脂の含有量が、0.5〜10重量%であり、前記1,2−アルキレングリコールの含有量が、0.5〜10重量%であるインク組成物である。より好ましい実施の形態は、さらに、4〜40重量%の保湿剤と、0.1〜2重量%の界面活性剤とを含むものである。
【0015】
本発明において使用されるカルボキシル基を有する樹脂としては、カルボキシル基を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂のように、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のモノマーの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。これらの中では、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂が好ましい。
インク組成物中におけるカルボキシル基を有する樹脂の含有量は、インク組成物中における顔料の含有量によって決まり、その割合は、顔料/カルボキシル基を有する樹脂=1/0.5〜1/2が好ましく、より好ましくは、1/0.6〜1/1.5である。
【0016】
本発明において使用される水溶性メラミン樹脂は、下記の式(1)で表されるものである。
【化1】
[式中、R1は、−CH2OH,−CH2OR又は−Hを表し、R2は、−CH2− 又は−CH2OCH2−を表し、nは、縮合の程度を表す。]
インク組成物中における水溶性メラミン樹脂の含有量は、0.5〜10重量%が好ましい。
【0017】
本発明において使用される1,2−アルキレングリコールとしては、炭素数が3〜6個のアルキレン基を有するものであり、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等を挙げることができる。これらの中では、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオールが好ましい。
インク組成物中における1,2−アルキレングリコールの含有量は、0.5〜10重量%が好ましい。
【0018】
本発明において使用される顔料は、従来からインクジェット記録用インクの組成物に使用されているものを用いることができる。例えば、酸化チタン及び酸化鉄や、カーボンブラックなどの無機顔料を利用することができる。また、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、又は縮合アゾ顔料など)や多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料またはチオインジゴ顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、またはアニリンブラックなどの有機顔料を利用することができる。
【0019】
ブラック用の無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、若しくはチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、或いは酸化鉄顔料等を挙げることができる。
また、ブラック用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料を用いることができる。
イェローインク顔料としては、C.I.ピグメントイェロー1(ハイザイェロー),3(ハイザイェロー10G),12,13,14,17,24(フラバントロンイェロー),34,35,37,53,55,65,73,74,81,83,93,94,95,97,98,99,108(アントラピリミジンイェロー),109,110,113,117(銅錯塩顔料),120,128,133(キノフタロン),138,139(イソインドリノン),147,151,153(ニッケル錯体顔料),154,167,172,180等を挙げることができる。
更に、マゼンタインク用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド1(パラレッド),2,3(トルイジンレッド),5(ITR Red),7,9,10,11,12,17,30,31,38(ピラゾロンレッド),42,88(チオインジゴ),112(ナフトールAS系),114(ナフトールAS系),122(ジメチルキナクリドン),123,144,149,150,166,168(アントアントロンオレンジ),170(ナフトールAS系),171,175,176,177,178,179(ベリレンマルーン),185,187,209(ジクロロキナクリドン),219,224(ベリレン系),245
(ナフトールAS系),又は、C.I.ピグメントバイオレット9(キナクリドン),23(ジオキサジンバイオレット),32,33,36,38,43,50等を挙げることができる。
更にまた、シアンインク用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,16(無金属フタロシアニン),18(アルカリブルートナー),25,60(スレンブルー),65(ビオラントロン),66(インジゴ)等を挙げることができる。
更にまた、マゼンタ、シアン、又はイエローインク以外のカラーインクに用いる有機顔料としては、
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン),10(グリーンゴールド),36,37;
C.I.ピグメントブラウン3,5,25,26;あるいは
C.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16,34,36,38等を挙げることができる。
【0020】
インク組成物中における顔料の含有量は、3.5〜7.0重量%が好ましい。また、顔料の平均粒径は、0.5μm以下が好ましい。
【0021】
本発明のインクジェット捺染用インクにおいては、顔料は、分散剤で水性媒体中に分散された顔料分散液として使用されることが好ましい。顔料分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、一般に顔料分散液を調製するのに用いられている分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を使用することができる。
なお、この顔料分散液に含まれる高分子分散剤の内、カルボキシル基を有する高分子分散剤は、本発明のインクジェット捺染用インクにおいては前記のカルボキシル基を有する樹脂としても機能するであろうし、また、界面活性剤が、本発明のインクジェット捺染用インクにおいて界面活性剤としても機能するであろうことは明かである。
【0022】
本発明のインクジェット捺染用インクにおいては、水溶性有機溶剤を含有させることが好ましい。そのような水溶性有機溶剤(浸透剤)としては、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール類;エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコ−ル−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
インク組成物中における水溶性有機溶剤(浸透剤)の含有量は、2〜15重量%が好ましい。
【0023】
インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることが好ましい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類及びそのエーテル、エステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
インク組成物中における保湿剤の含有量は、4〜40重量%が好ましく、より好ましくは、15〜30重量%である。
【0024】
本発明のインクジェット捺染用インクにおいては、布帛への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点から、浸透剤としても機能する、界面活性剤を含有させることが好ましい。そのような界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
インク組成物中における界面活性剤の含有量は、0.1〜2重量%が好まし
い。
【0025】
本発明のインクジェット捺染用インクには、それぞれ、前記の顔料、カルボキシル基を有する樹脂、水溶性メラミン樹脂、1,2−アルキレングリコールを含有させ、必要に応じて、保湿剤及び界面活性剤を含有させ、バランスとして水を含有させる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
【0026】
本発明のインクジェット捺染用インクには、更に必要に応じて、防黴剤・防腐剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤、溶解助剤等、この種のインクにおいて通常用いられる各種添加剤の1種又は2種以上を含有させることができる。
【0027】
本発明のインクジェット捺染用インクは、印字品質とインクジェット記録用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が20〜40mN/mであることが好ましく、28〜35mN/mであることが更に好ましい。
また、同様の観点から、本発明に係る前記各染料インクの20℃における粘度は、8mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、2〜6mPa・sである。
表面張力及び粘度を前記範囲内とするには、前記顔料の濃度、前記保湿剤の種類、添加量等を調整する等の手段を用いればよい。
【0028】
本発明のインクジェット捺染用インクは、絹、綿、羊毛、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の天然繊維又は合成繊維からなる布帛に対するインクジェット捺染に用いられるもので、通常のインクジェット捺染用のインクと同様、インクジェットプリンタに装填されて使用される。インクジェットプリンタは特に制限されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンタが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンタには、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があるが、いずれの記録方法を採用したものでもよい。
【0029】
本発明のインクジェット捺染用インクを用いて前記布帛に対してインクジェット捺染をするに際しては、通常のインクジェット捺染と同様、予め、前処理剤を用いて前記布帛を前処理しておくことが好ましい。布帛の前処理は、前処理剤中に布帛を浸積する、前処理剤を塗布又は噴霧する等の手段を用いて、布帛に前処理剤を付着させた後、該布帛を乾燥することにより行われる。
【0030】
前記前処理剤としては、水溶性高分子等の糊剤を0.01〜20重量%含有させたものが用いられる。糊剤としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系物質;アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類;ゼラチン、カゼイン等のタンパク質;タンニン;リグニン等の天然水溶性高分子や、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系化合物、無水マレイン酸系化合物等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
前記前処理剤には、必要に応じて、尿素、チオ尿素等の保湿剤、pH調整剤、還元防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤等の各種添加剤を含有させることもできる。
【0031】
また、本発明のインクジェット捺染用インクを用いて前記布帛にインクジェット捺染をする場合、該布帛に対して文字及び/又は画像を印刷した後に、染料固着処理を行う。染料固着処理としては、従来の捺染方法におけるものと同様の方法、例えば、常圧スチーム法、高圧スチーム法、サーモフィックス法等による加熱処理が挙げられる。加熱処理の際の温度は、120〜200℃が好ましく、より好ましくは、140〜180℃である。染料固着処理後は、常法通り、布帛を水洗し、乾燥する。必要に応じソーピング処理(未固着の染料を熱石鹸液等で洗い落とす処理)をしてもよい。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
<インクの調製>
インクの組成
カーボンブラック 5.0重量%
スチレン・アクリル酸樹脂 3.5重量%
水溶性メラミン樹脂(M3:住友化学工業製) 5.0重量%
グリセリン 12.0重量%
エチレングリコール 7.0重量%
1,2−アルキレングリコール 4.0重量%
2−ピロリドン 3.0重量%
トリエタノールアミン 0.5重量%
サーフィノール465(界面活性剤) 1.0重量%
(エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)
イオン交換水 残 量
【0034】
カーボンブラック、スチレン・アクリル酸樹脂、イオン交換水を混合し、ガラスビーズを用い、サンドミルで分散させた。これに上記のインク組成となるように他の成分を加え、攪拌し、5μmのフィルターを用いてろ過してインクを調製した。
【0035】
[比較例1]
前記実施例1におけるインク組成の内のスチレン・アクリル酸樹脂に代えてポリエチレンオキサイド含有分散剤(ジェファーミンM−2000:サンテクノケミカル社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクを調製した。
【0036】
<耐洗濯性試験>
実施例1と比較例1のインクを用いてセイコーエプソン社製のプリンタMC−5000で、綿布、ポリエステル布上にベタパターンを形成した。次いで、160℃で10分間加熱処理を行なった。
手洗い揉みを想定し、水中で手揉みを数十回行なって色落ちを観察した。
実施例1のインクを用いてベタパターンを形成した綿布、ポリエステル布で
は、ともに色落ちはなかった。しかし、比較例1のインクを用いてベタパターンを形成した綿布、ポリエステル布では、ともに若干の色落ちが生じた。
【0037】
<吐出安定性試験>
実施例1と比較例1のインクを用いてセイコーエプソン社製のプリンタMC−5000で、25℃、35℃において、A4の用紙に対し3000枚連続印字を行ない、インク飛行曲がり、ノズル抜け等の印字状況を観察した。
実施例1のインクを用いた場合、25℃、35℃のいずれにおいても、インク飛行曲がりやノズル抜け等の印字不良は発生しなかった。
比較例1のインクを用いた場合、25℃においては、A4の用紙数十枚毎にインク飛行曲がりやノズル抜け等の印字不良が発生し、また、35℃においては、A4の用紙十数枚毎にインク飛行曲がりやノズル抜け等の印字不良が発生した。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上詳記したとおり、顔料を着色材とするインク組成物に、カルボキシル基を有する樹脂と水溶性メラミン樹脂とを含有させることにより、インクジェット捺染インクとして使用した場合に、耐水性で、耐洗濯性等の定着性に優れ、また、さらに1,2−アルキレングリコールを含有させることにより、吐出安定性にも優れるという効果を奏する。
Claims (13)
- インク組成物中に、少なくとも、顔料、カルボキシル基を有する樹脂、水溶性メラミン樹脂、1,2−アルキレングリコール、水を含有していることを特徴とするインクジェット捺染用インク。
- 前記顔料の含有量が、3.5〜7.0重量%であり、前記顔料と前記カルボキシル基を有する樹脂との比が、顔料/カルボキシル基を有する樹脂=1/0.5〜1/2であり、前記水溶性メラミン樹脂の含有量が、0.5〜10重量%であり、前記1,2−アルキレングリコールの含有量が、0.5〜10重量%である、請求項1に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記顔料の平均粒子径が、0.5μm以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記インク組成物中に、保湿剤、界面活性剤の少なくとも一種を含有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記保湿剤の含有量が、4〜40重量%であり、前記界面活性剤の含有量が、0.1〜2重量%である、請求項4に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記保湿剤が、グリセリンである、請求項4又は5に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤である、請求項4〜6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記インク組成物の粘度が、20℃において8.0mPa・s以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク。
- 前記インク組成物の表面張力が、20〜40mN/m以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インクを用いてインクジェット記録方式により布帛に画像を形成することを特徴とするインクジェット捺染方法。
- 前記画像を形成後に、布帛を加熱処理する、請求項10に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記加熱処理の温度が、120〜200℃である、請求項11に記載のインクジェット捺染方法。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法により捺染されたことを特徴とする印捺物。
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