JP6809076B2 - インクジェット捺染方法 - Google Patents
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Description
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z
[2] 前記布帛の表面のpHが7以上11以下である、[1]に記載のインクジェット捺染方法。
[3] 前記淡色インクと前記濃色インクの少なくとも一方が、ビニルスルホン基を有する反応染料を含む、[1]又は[2]に記載のインクジェット捺染方法。
[4] 前記濃色インクが、ビニルスルホン基を有する反応染料を含み、且つ
前記淡色インクが、モノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[5] 前記画像を形成する工程は、前記布帛に打滴された濃色インクの液滴の少なくとも一部と重なるように、前記淡色インクを打滴する工程をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[6] 前記画像を定着させる工程では、前記画像が形成された布帛を95℃以上に加熱する、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[7] 前記布帛は、セルロース繊維又は蛋白繊維を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
一方、淡色インクは、反応染料の含有量が少ないことから、反応率が低い。従って、淡色インクのドットが付与された領域の発色濃度は、濃色インクのドットが付与された領域の発色濃度よりも過剰に低くなりやすい(ドットが付与された領域のγ値が上がりやすい)。
このように、従来の濃色インクと淡色インクは、反応率の差が大き過ぎることから、良好なグラデーション(高い階調性)を有する濃淡画像が得られにくかった。
一方、淡色インクは、pHを相対的に高くすることで、反応性が低くなり過ぎないようにしている。それにより、淡色インクのドットが付与された領域では、発色濃度が極端に低下する(γ値が極端に上がる)のを抑制できる。
これらの結果、良好なグラデーション(高い階調性)を有する濃淡画像を得ることができる。
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z
本発明のインクジェット捺染方法に用いられるインクセットは、濃色インクと、淡色インクとを含む。濃色インク及び淡色インクは、それぞれ反応染料と、水溶性有機溶剤と、水とを含み、必要に応じてpH調整剤等のその他の添加剤をさらに含んでもよい。
(反応染料)
濃色インク及び淡色インクに含まれる反応染料は、布帛に付与された親水性樹脂の官能基と反応する1又は2以上の反応性官能基を有する。反応性官能基の例には、ビニルスルホン基やモノクロロトリアジン基が含まれる。高い染着性を有することから、濃色インクと淡色インクの少なくとも一方が、ビニルスルホン基を有する反応染料を含むことが好ましい。
D−SO2−CH2CH2−O−SO3M(1)
⇒ D−SO2CH=CH2+HO−SO3M(1’)
式(1)のMは、1価の金属カチオンを表す。1価の金属カチオンの例には、Naイオンが含まれる。
濃色インク及び淡色インクに含まれる水溶性有機溶剤は、前述の反応染料を溶解できるものであれば、特に制限されない。
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール);
多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール);
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン);
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等);
複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等);
スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が含まれる。
濃色インク及び淡色インクは、pH調整剤、尿素化合物、界面活性剤、防腐剤、防黴剤等のその他の添加剤をさらに含んでもよい。
濃色インク及び淡色インクに含まれるpH調整剤の例には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩酸及び水酸化ナトリウム等であり得る。インクがpH調整剤をさらに含むことで、インクのpHを所望の値に調整できる。
尿素化合物の例には、尿素、チオ尿素、アルキル置換尿素、及びアルキルチオ尿素類等が含まれ、より具体的には、尿素、エチレン尿素、ジメチル尿素、モノメチルチオ尿素、チオ尿素、及びジメチルチオ尿素等が含まれる。中でも、インクの保存安定性を高める点では、エチレン尿素が好ましい。尿素化合物は、反応染料の布帛への染着性を高め得る。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、シリコン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤等が含まれる。中でも、アセチレングリコール系の界面活性剤は、比較的起泡性が低く、インクの表面張力を調整できる。そのため、インクジェット記録ヘッドからのインクの射出性を高めやすい。
防腐剤、防黴剤の例には、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)等が含まれる。防腐剤、防黴剤は、インクの保存安定性を高め得る。
(濃色インクの組成)
インクジェット捺染インクセットにおける濃色インクにおける反応染料(好ましくはビニルスルホン基を有する反応染料)の含有量は、濃色インクの全質量に対して5〜30質量%であることが好ましい。濃色インク中の反応染料の含有量が5質量%以上であると、十分な発色濃度が得られやすく、30質量%以下であると、インクの粘度が上昇し過ぎないので、インクジェット記録ヘッドからのインクの射出性が損なわれにくい。濃色インクにおける反応染料(好ましくはビニルスルホン基を有する反応染料)の含有量は、濃色インクの全質量に対して15〜25質量%であることがより好ましい。
インクジェット捺染インクセットにおける淡色インクの反応染料(好ましくはモノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料)の含有量は、淡色インクの反応染料の含有量/濃色インクの反応染料の含有量(比率)が、0.1以上0.5以下(質量比)を満たすように設定されることが好ましい。
本発明のインクジェット捺染インクセットの濃色インク及び淡色インクは、淡色インクのpHをy、濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(2)を満たすことが好ましい。インクのpHは、25℃で、東亜ディーケーケー社製、HM−20S型を用いて測定することができる。
式(2) :y−1.0>z
式(2)’:y−1.5>z
本発明のインクジェット捺染インクセットの濃色インク及び淡色インクの各インクは、例えば前述の反応染料と、pH調整剤と、水溶性有機溶剤と、水と、必要に応じて他の成分とを混合するステップを経て製造することができる。
次に、本発明のインクジェット捺染方法について説明する。
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z
前処理工程は、布帛に前処理剤を付与して、布帛の表面のpHを上記式(1)を満たすように調整する工程である。式(1)を満たすことで、発色工程における布帛のpHの低下を少なくすることができるので、好ましい発色が行うことができる。布帛の表面のpHは、下記式(1’)を満たすことがより好ましい。式(1’)を満たすことで、インクのpHが低くても、発色工程での布帛のpHが一定以上に保たれるので、好ましい発色を行うことができる。
式(1’):x−1.5>y
インク付与工程は、インクジェット記録ヘッドからインクジェット捺染インクセットの液滴を、前処理剤が付与された布帛に向けて吐出して、発色前の画像を形成する工程である。複数のインクジェット記録ヘッドを搭載するヘッドキャリッジに対して、布帛を相対移動させながら、インクジェット捺染インクセットの液滴を吐出し、布帛に着弾させる。インクの液滴が着弾するときの布帛の表面温度は、特に限定されないが、発色前画像の滲み抑制等の観点から、35〜70℃の範囲で加熱されることが好ましい。
予備乾燥工程は、インク付与後の布帛を乾燥させる工程である。特に限定されないが、予備乾燥は、150℃以下で0.5〜30分間布帛を乾燥させることが好ましい。乾燥方法の例には、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、及び照射方式等が含まれる。具体的には、布帛にインクの付与を行い、その布帛が巻き取られる前に上記の条件及び方法で布帛を乾燥させればよい。
発色工程とは、インク付与後(予備乾燥工程を含むときは予備乾燥後)の布帛を加熱して布帛中へ十分に染着されていない反応染料を布帛中に染着させて、インク本来の色相を発現させる工程である。
洗浄工程は、布帛の発色工程後に布帛へ染着できなかった反応染料や前処理剤を除去する工程である。布帛へ染着できなかった反応染料の除去は、従来公知の洗浄方法を用いることができ、捺染インクや布帛等により適宜選択される。例えば、セルロース繊維は、水洗、湯洗の後に非イオン系洗浄剤を含むソーピング浴で処理後、湯洗、水洗を行なうことが一般的である。未染着の反応染料の除去を行うことで、洗濯堅牢性、耐水堅牢性、耐汗堅牢性等が良好になりやすい。布帛に染着できなかった反応染料があると、洗濯堅牢性、耐水堅牢性、耐汗堅牢性等が得られにくい。
乾燥工程は、前記洗浄工程の後に行われ、洗浄された布帛を乾燥させる工程である。乾燥方法は、特に限定されないが、洗浄された布帛を絞ったり、干したり、乾燥機(ヒートロール、アイロン等)を使用して乾燥させたりする方法であり得る。
以下において、図面を参照しながらインク付与工程と予備乾燥工程とを行う装置について説明するが、インクジェット捺染装置はこれに限定されない。
1規定の水酸化ナトリウム水溶液
1規定の塩酸
<インクセットの調製>
(実施例1)
(濃色インク)
反応染料としてC.I.リアクティブブラック5を12質量部、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールを20質量部、プロピレングリコールを10質量部、グリセリンを5質量部;pH調整剤として適量の1規定の水酸化ナトリウム水溶液を混合した。得られた混合物に全量が100質量部となるようにイオン交換水を加えて、濃色インクを調製した。尚、水酸化ナトリウムは、濃色インクのpH(z)が6.1となる量を添加した。インクのpHは、東亜ディーケーケー社製、HM−20S型を用いて測定した。
反応染料としてC.I.リアクティブブラック39を3質量部、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールを20質量部、プロピレングリコールを10質量部、グリセリンを15質量部;pH調整剤として適量の1規定の水酸化ナトリウム水溶液を混合した。得られた混合物に全量が100質量部となるようにイオン交換水を加えて、淡色インクを調製した。尚、水酸化ナトリウムは、淡色インクのpH(y)が7.2となる量を添加した。
(前処理工程)
100%コットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製)を用意し、下記の前処理剤を絞り率80%で付与した後、乾燥させた。それにより、布帛の表面のpHを8.6に調整した。
(前処理剤)
カルボキシメチルセルロース(樹脂成分):4質量部
尿素(ヒドロトロピー剤):12質量部
炭酸水素ナトリウム(アルカリ剤):5質量部
炭酸ナトリウム(アルカリ剤):1質量部
イオン交換水 80重量部
実施例及び比較例のインクセットをナッセンジャーV(コニカミノルタIJ社製)にそれぞれセットした。主走査540dpi×副走査700dpiにて、画像作成ソフトを用いて、濃色のベタ画像の濃度を100%としたときに、出力濃度を5%から100%の間を5%間隔で20段階に分割し、ウェッジ画像を形成した。画像を調べると、濃色のベタ100%は濃色インクが100%使われ、濃度5%の画像は淡色インクが100%使われており、それらの間は、濃色インクと一部淡色インクの混合で一部ドットが重なって、作成されていた。尚、dpiとは、2.54cm当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。
画像が形成された布帛を、相対湿度100%、温度98℃の条件下で10分間スチーム処理して、染料を定着及び発色させた。
(グラデーション)
ウエッジ画像を目視で観察し、階調性を以下の基準で評価した。
○:階調が良好で、薄い色から濃い色まで連続的に表現できている
○△:階調が少し堅いが、薄い色から濃い色まで連続的に表現できている
△:階調が少し堅く、濃色と淡色の境の濃度差(隣接する各濃度段階間の濃度差)がやや大きい
×:階調が堅く、濃色と淡色の境の濃度差(隣接する各濃度段階間の濃度差)が非常に大きく、濃淡を表現するには不適当である
濃色インクと淡色インクの組成を表1又は2に示されるように変更した以外は実施例1の濃色インク及び淡色インクからなるインクセットと同様にしてインクセットを調製した。
そして、上記調製したインクセットを用いて、布帛の表面のpHと発色条件を表1又は2に示されるように調整した以外は実施例1と同様にしてインクジェット捺染を行い、画像評価を行った。
2 搬送手段
21 粘着性ベルト
22 サポートローラ
23 搬送ローラ
24 ニップローラ
5 ヘッドキャリッジ
6 温風付与手段
6A ファン
6B 発熱体
Claims (7)
- 反応染料と、水溶性有機溶剤と、水とを含み、同色の濃色インク及び淡色インクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記反応染料と反応する官能基を有する親水性樹脂が付与された布帛上に画像を形成する工程と、
前記画像が形成された布帛を加熱して、前記画像を定着させる工程と
含むインクジェット捺染方法であって、
前記濃色インクの反応染料の含有量は、前記濃色インクの全質量に対して5〜30質量%であり、かつ
前記淡色インクの反応染料の含有量と前記濃色インクの反応染料の含有量との比率は、前記淡色インクの反応染料の含有量/前記濃色インクの反応染料の含有量=0.1〜0.5(質量比)であり、
前記画像を形成する工程は、前記布帛の表面のpHをx、前記淡色インクのpHをy、前記濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(1)及び(2)を満たすように行う、
インクジェット捺染方法。
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z - 前記布帛の表面のpHが7以上11以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染方法。 - 前記淡色インクと前記濃色インクの少なくとも一方が、ビニルスルホン基を有する反応染料を含む、
請求項1又は2に記載のインクジェット捺染方法。 - 前記濃色インクが、ビニルスルホン基を有する反応染料を含み、且つ
前記淡色インクが、モノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料を含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。 - 前記画像を形成する工程は、前記布帛に打滴された濃色インクの液滴の少なくとも一部と重なるように、前記淡色インクを打滴する工程をさらに含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。 - 前記画像を定着させる工程では、前記画像が形成された布帛を95℃以上に加熱する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。 - 前記布帛は、セルロース繊維又は蛋白繊維を含む、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
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