JP6776624B2 - インクジェット捺染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット捺染方法に関する。
インクジェット記録方式による布帛の捺染(以下、単に「インクジェット捺染」ともいう。)は、インクをインクジェットヘッドから吐出して布帛に着弾させる工程、インクが着弾された布帛に蒸気を付与してインクが含有する染料を布帛の繊維に定着させる工程、および蒸気が付与された布帛を洗浄して定着されなかった染料を除去する工程などを含んで行われる。
イエローインク、マゼンタインクおよびシアンインクを組み合わせてインクジェット捺染を行うことで、フルカラーの画像を布帛に形成することができるが、このとき、所望の色調を得るために染料の組み合わせを調整することは従来から行われている。たとえば、特許文献1には、C.I.Direct Blue 87などを含む特定の酸性染料を組み合わせて捺染すれば、ナイロンなどの布帛に形成される画像の色再現域を広げることが記載されている。
また、近年、インクジェット捺染の用途は拡大しており、たとえば水着等に用いる布帛の捺染なども可能となっている。水着等に用いるナイロンなどの布帛を捺染する場合などには、インクジェット捺染で蛍光色の画像を形成することが要求される。
インクジェット記録方式に用いるインクに、蛍光を発光しうる酸性染料(以下、単に「蛍光酸性染料」ともいう。)を含有させれば、蛍光色の画像を形成できることが知られている。たとえば、特許文献2〜4には、蛍光酸性染料を用いて紙などの記録媒体に画像を形成する方法が記載されている。
国際公開第2004/096928号 国際公開第2006/049305号 特開2015−147848号公報 国際公開第2004/074390号
特許文献2〜4に記載の技術は、いずれも、蛍光酸性染料を用いて紙(上質紙など)に画像を形成することを目的としている。しかし、これらの蛍光酸性染料を用いてインクジェット捺染を行えば、蛍光色の画像をナイロンに形成できると考えられる。
ここで、蛍光染料を用いてナイロンに画像を形成する場合にも、色再現域をより広げることが求められる。特許文献1には、いずれも蛍光を発光しない特定の酸性染料の組み合わせにより、ナイロンに形成される画像の色再現域を広げることができると記載されている。しかし、捺染による発色の程度は染料の種類や組み合わせによって異なるため、特許文献4に記載の特定の酸性染料のうちいずれかを蛍光酸性染料としたときに、同様の広い色再現域が実現できるか否かは不明である。
また、本発明者の知見によれば、特許文献4に記載の組み合わせでナイロンにインクジェット捺染を行うと、形成された画像は、画像端部からの色の滲みが発生しやすかった。
前記の事情に鑑みて、本発明は、蛍光酸性染料を含有するインクジェット捺染用の水系インクを用いてナイロンに画像を形成するインクジェット捺染方法において、色再現域が広く、かつ色の滲みが生じにくいような方法を提供することをその目的とする。
本発明は、以下に示すインクジェット捺染方法に関する。
[1]画像を形成すべき領域の末端アミン量が10mmol/m以下であるナイロンを、35mmol/m以上のカチオンが前記画像を形成すべき領域に発生するように前処理する工程と、互いに異なる色材を含有する複数種の水系インクの液滴を、それぞれ、インクジェットヘッドのノズルから吐出してナイロンの前記画像を形成すべき領域に着弾させる工程であって、前記複数種の水系インクは、前記色材としてイエローの蛍光酸性染料を含有するイエローインクと、前記色材としてマゼンタの蛍光酸性染料を含有するマゼンタインクと、前記色材として、銅フタロシアニン構造を有し、かつ、3個以上のアニオン性の官能基を分子内に有するシアン染料を含有するシアンインクと、を含む工程と、を含む、インクジェット捺染方法。
[2]前記イエローの蛍光酸性染料は、クマリン構造を有する酸性染料であることを特徴とする、[1]に記載のインクジェット捺染方法。
[3]前記クマリン構造を有する酸性染料は、C.I.Acid Yellow 184であることを特徴とする、[2]に記載のインクジェット捺染方法。
[4]前記マゼンタの蛍光酸性染料は、キサンテン構造を有する酸性染料であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[5]前記キサンテン構造を有する酸性染料は、C.I.Acid Red 52であることを特徴とする、[4]に記載のインクジェット捺染方法。
[6]前記シアン染料は、C.I.Direct Blue 87であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[7]前記画像を形成すべき領域のナイロンは、末端アミン量が5mmol/m以下であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[8]前記前処理する工程は、前処理剤中のカチオン量が300mmol/l以上950mmol/l以下となる量の酸発生剤を含有する前処理剤を、前記ナイロンに付与する工程である、[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[9]前記前処理する工程は、前処理剤中のカチオン量が300mmol/l以上475mmol/l以下となる量の酸発生剤を含有する前処理剤を、前記ナイロンに付与する工程である、[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
本発明によれば、蛍光酸性染料を含有するインクジェット捺染用の水系インクを用いてナイロンに画像を形成するインクジェット捺染方法において、色再現域が広く、かつ発色時の滲みが生じにくいような方法が提供される。
インクジェット捺染では、イエロー、マゼンタおよびシアンなどの色を呈する色材を含有する複数種のインクを組み合わせて、所望の色を布帛に再現していく。本発明では、上記イエローを呈する色材としてイエローの蛍光酸性染料を、上記マゼンタを呈する色材としてマゼンタの蛍光酸性染料を、上記シアンを呈する色材として銅フタロシアニン構造を有し、かつ、3個以上のアニオン性の官能基を分子内に有するシアン染料(以下、単に「長波長シアン染料」ともいう。)を用いる。本発明者の新たな知見によれば、上記シアン染料は、極大吸収が長波長よりに存在するため、より鮮やかで、蛍光感のある緑色を再現できる。そのため、上記シアン染料と上記イエローの蛍光酸性染料および上記マゼンタの蛍光酸性染料とを組み合わせると、再現される蛍光色の画像の色再現域を広げやすい。
ただし、本発明者の新たな知見によれば、上記長波長シアン染料を含有するインクを用いて捺染をすると、画像端部からの色の滲みが生じやすい。この理由は必ずしも明らかではないが、おそらくは以下の作用によると考えられる。つまり、上記長波長シアン染料が有するアニオン性の官能基は、布帛であるナイロンの末端アミンやアミド結合部位に存在するカチオンサイトを封鎖してしまい、上記蛍光酸性染料や長波長シアン染料が有するアニオン性の官能基と上記カチオンサイトとの間で生じるイオン結合を生じにくくして、これらの染料をナイロン繊維に付着しにくくしてしまうことがある。ナイロン繊維に付着しなかった染料は、着弾した部位から移動して、画像に滲みを生じさせてしまう。特に、上記長波長シアン染料はアニオン性の官能基を多く有するため、他の染料よりも上記カチオンサイトの封鎖を生じやすい。また、上記蛍光酸性染料は分子量が比較的小さいため、付着しなかった場合に着弾した部位から移動しやすく、他の染料よりも滲みが発生しやすい。また、本発明者の知見によれば、上記滲みは、末端アミンの量が10mmol/m以下であるナイロンで特に生じやすい。
これに対し、本発明者は、ナイロンの画像を形成すべき領域(インクの液滴が着弾する領域)を、35mmol/m以上のカチオンが付与されるように前処理することで、おそらくは上記カチオンと上記各染料が有するアニオン性の官能基との間のクーロン力によって、上記各染料をナイロン繊維に十分に付着させることができることを見出した。このようにすることで、長波長シアン染料および蛍光酸性染料を用いてナイロンに捺染する場合でも、それぞれの染料をナイロン繊維に十分に付着させることができ、滲みの発生を抑制することができる。
上記知見に基づく、本発明のインクジェット捺染方法は、前述した複数種のインクで、上記前処理をされたナイロンに画像を形成することを特徴とするインクジェット捺染方法である。
本発明のインクジェット捺染方法は、ナイロンに前処理剤を付与する工程(前処理工程)と、上記複数種のインクの液滴を記録ヘッドから上記前処理されたナイロンに向けて吐出する工程(画像形成工程)とを含む。本発明のインクジェット捺染方法は、インクが着弾したナイロンに高温の蒸気を付与して、本発明のインクに含有される色材をナイロン繊維に定着させる工程(発色工程)、前記色材が繊維に定着したナイロンを洗浄して繊維に定着できなかった前記色材を除去する工程(洗浄工程)、および洗浄されたナイロンを乾燥する工程(乾燥工程)をさらに含んでもよい。
1.前処理工程
本工程は、画像を形成すべき領域の末端アミン量が10mmol/m以下であるナイロンに、35mmol/m以上のカチオンが付与されるように前処理剤を付与する工程である。前処理剤を付与する方法の例には、パッド法、コーティング法およびスプレー法が含まれる。前処理剤の付与量(ピックアップ率)は、前処理剤が含有するカチオン量と前処理剤の付与量とを乗算して得られる、ナイロンの画像を形成すべき領域に付着するカチオンの量が、35mmol/m以上となる量であればよい。たとえば、上記前処理剤の付与量は、前処理剤が含有するカチオン量にもよるが、たとえば、ナイロンの全質量に対して例えば0.2質量%以上90質量%以下としうる。
上記末端アミン量は、公知の滴定法もしくは逆滴定法または核磁気共鳴法(NMR)によって測定することができる。
ナイロンに対して長波長シアン染料を用いて捺染すると、おそらくは長波長シアン染料が有するアニオン性の官能基がナイロンのカチオンサイトを封鎖することによって、ナイロンへの染料の付着力が低下し、画像に滲みが生じやすい。特に、上記末端アミン量が10mmol/m以下であるナイロンにおいて、このような現象による滲みの影響が大きい。
これに対し、上記ナイロンを、35mmol/m以上のカチオンが付与されるように前処理することで、おそらくは上記カチオンと各染料が有するアニオン性の官能基との間のクーロン力によって、各染料をナイロン繊維に十分に付着させることができる。付与されるカチオンの量の上限は特に限定されないが、たとえば、酸による布帛の変性等を抑制する観点からは、120mmol/m以下とすることができる。滲みを十分に抑制しつつ、酸による布帛の変性をより抑制する観点からは、付与されるカチオン量は35mmol/m以上60mmol/m以下とすることができる。
また、末端アミン量が5mmol/m以下であるナイロンでは、おそらくは分子量が小さい蛍光酸性染料が付着しにくく、かつ、上記カチオンサイトの封鎖による影響が大きいため、上記滲みが特に生じやすいが、本発明によれば、このようなナイロンにおいても、滲みの発生を抑制することができる。
上記付与されるカチオンの量は、前処理剤が含有する酸発生剤の種類もしくは量、または前処理剤のピックアップ率などを変更することで、調整できる。
上記カチオンサイトを形成するカチオンは、前処理剤によって付加できるものであればよく、たとえば、リチウムイオン、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンを含むアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンを含むアルカリ土類金属イオン、鉄イオンおよび銀イオンを含む遷移金属イオン、ならびに1級〜3級アミンおよび4級アンモニウムイオンとすることができる。これらのうち、ナイロンの性状変化を抑制する観点からは、ナトリウムイオンおよび4級アンモニウムイオンが好ましい。
前処理剤は、たとえば、糊剤としての水溶性高分子、定着剤としての酸発生剤、およびヒドロトロピー剤としての尿素などを含む水溶液とすることができる。このとき、酸発生剤の量をおよびピックアップ率を調整することで、画像を形成すべき領域に付与されるカチオンの量を所望の範囲にすることができる。なお、画像を形成すべき領域に付与されるカチオンの量は、前処理剤が含有する酸発生剤の量、ピックアップ率および酸発生剤が有するカチオンの価数を乗算して得られる値とすることができる。
上記水溶性高分子の例には、天然水溶性高分子および合成水溶性高分子が含まれる。天然水溶性高分子の例には、トウモロコシおよび小麦を含むデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよびヒドロキシエチセルロースを含むセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガムおよびアラビアゴムを含む多糖類、ならびにゼラチン、カゼインおよびケラチンを含む蛋白質物質が含まれる。合成水溶性高分子の例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびアクリル酸系ポリマーが含まれる。前処理剤が含有する上記水溶性高分子の量は、前処理剤の全重量に対して、1質量%以上10重量%以下とすることができ、3質量%以上5重量%以下とすることが好ましい。
上記酸発生剤の例には、硫酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸および酒石酸などのアルカリ塩が含まれる。上記酸発生剤の具体例には、硫酸アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸トリアンモニウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ジアンモニウム、、第二リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどが含まれる。酒石酸ジアンモニウムなどの多塩基酸のアンモニウム塩では、1molあたり、2molのアンモニアを含み、加熱によりアンモニアを蒸発させることで、2molの酸を発生することができる。前処理剤が含有する上記酸発生剤の量は、前処理剤中のカチオン量が300mmol/l以上950mmol/l以下になる量とすることができ、300mmol/l以上475mmol/l以下になる量とすることが好ましい。酸発生剤の含有量は、たとえば、1価のカチオンを有する酸発生剤を含有する前処理剤でナイロンを前処理するときは、前処理剤の全重量に対して、2.5質量%以上9.0重量%以下とすることができ、2.5質量%以上4.5重量%以下とすることが好ましい。通常の前処理剤が含有する酸発生剤の量は1質量%〜2質量%程度であるが、本発明では、酸発生剤の量を多くして上記範囲とすることで、ナイロンに十分なカチオンが付与され、滲みが発生しにくくなると考えられる。
上記ヒドロトロピー剤の例には、尿素、ならびに、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素およびジメチルチオ尿素などのアルキル尿素が含まれる。前処理剤が含有する上記ヒドロトロピー剤の量は、前処理剤の全重量に対して、1質量%以上10重量%以下とすることができ、3質量%以上5重量%以下とすることが好ましい。
前処理剤は、必要に応じて還元防止剤、キレート剤および防腐剤を含む任意成分をさらに含有してもよい。還元防止剤の例には、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。キレート剤の例には、アミノポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸およびジエチレントリアミン五酢酸が含まれる。防腐剤の例には、N−(3−クロロフェニル)カルバミン酸イソプロピルを含む芳香族ハロゲン化合物、メチレンジチオシアナートおよび1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが含まれる。
2.画像形成工程
本工程は、互いに異なる色材を含有する複数種の水系インクの液滴を、それぞれ、インクジェットヘッドのノズルから吐出してナイロンの前記画像を形成すべき領域に着弾させる工程である。
上記複数種のインクには、上記色材としてイエローの蛍光酸性染料を含有するイエローインクと、上記色材としてマゼンタの蛍光酸性染料を含有するマゼンタインクと、前記色材として長波長シアン染料を含有するシアンインクと、が含まれる。
形成される画像の色調をさらに微調整しやすくする観点からは、上記複数種のインクは、イエロー、マゼンタ、シアン以外の色を呈する色材を含有するインクをさらに含んでいてもよい。上記イエロー、マゼンタ、シアン以外の色を呈する色材は、染料でも顔料でもよいが、染料が好ましい。また、上記イエロー、マゼンタ、シアン以外の色を呈する色材は、蛍光を発する色材でも蛍光を発しない色材でもよい。
本工程では、上記複数種のインクの液滴を、それぞれ、インクジェットヘッドのノズルから吐出して前処理がなされたナイロンの画像を形成すべき領域に着弾させる。たとえば、複数の記録ヘッドを搭載するヘッドキャリッジに対して上記前処理がなされたナイロンを相対移動させながら、インクの液滴を記録ヘッドから吐出して、上記ナイロンに着弾させることで、発色前の画像を形成することができる。なお、上記複数種のインクの液滴は、別々に吐出しても、同時に吐出してもよい。発色前画像の滲みを抑制する観点から、必要に応じてナイロンを加熱して本工程を行ってもよい。画像を形成すべき領域に着弾させるインクの組み合わせは、呈すべき色調を出すことができる色材を有する1種または複数種のインクが上記領域の各所に着弾するように定めることができる。
2−1.蛍光酸性染料を含有する、イエローインクおよびマゼンタインク
上記イエローの蛍光酸性染料を含有するイエローインクおよび上記マゼンタの蛍光酸性染料を含有するマゼンタインクは、色材として蛍光酸性染料を含有するほかは、インクジェット捺染用の通常の水系インクと同様のインクとしうる。
蛍光酸性染料は、光(電磁波)の照射によって蛍光を発する、分子内にアニオン性の官能基を有する染料である。
蛍光を発するとは、染料の吸収スペクトルのピーク波長におけるモル吸光係数が10,000以上であり、蛍光量子収率が0.05以上であることをいう。
吸収スペクトルのピーク波長におけるモル吸光係数は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、濃度1モル/Lの染料溶液を調製し、セル長(光路長)が1cmのセルを用いて吸光度計によって測定した吸光度として得られるものであり、蛍光量子収率(Φ)は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、濃度1モル/Lの染料溶液を調製し、セル長(光路長)が1cmのセル、蛍光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、F−7000)を用いて、吸収スペクトルのピーク波長で励起した際のスペクトル面積について、既知の基準物質「フルオレセイン」と比較したときの相対値として算出されるものである。
蛍光酸性染料が有する上記アニオン性の官能基の例には、スルホ基およびカルボキシ基が含まれる。
より明瞭な蛍光発色を得る観点からは、上記イエローの蛍光酸性染料は、クマリン構造を有する蛍光酸性染料であることが好ましい。クマリン構造を有する蛍光酸性染料の例には、C.I.Acid Yellow 184がある。
より明瞭な蛍光発色を得る観点からは、上記マゼンタの蛍光酸性染料は、キサンテン構造を有する蛍光酸性染料であることが好ましい。キサンテン構造を有する蛍光酸性染料の例には、C.I.Acid Red 52、289が含まれる。これらのうち、発色をより明瞭にする観点からは、上記蛍光酸性染料はC.I.Acid Red 52であることが好ましい。
色再現性を高める観点からは、クマリン構造を有するイエローの蛍光酸性染料を含有するイエローインクとキサンテン構造を有するマゼンタの蛍光酸性染料を含有するマゼンタインクとを組み合わせて捺染することが好ましく、C.I.Acid Yellow 184を含有するイエローインクとC.I.Acid Red 52を含有するマゼンタインクとを組み合わせて捺染することがより好ましい。
発色をより明瞭にする観点からは、イエローインクおよびマゼンタインク中の上記蛍光酸性染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.5質量%以下であることがより好ましい。
上記イエローインクおよび上記マゼンタインクは、捺染したナイロンが所望の色調の蛍光を発し得る限りにおいて、上記蛍光酸性染料以外の色材を含有してもよい。
上記蛍光酸性染料以外の色材の例には、C.I.Acid Yellow 7:1、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、および同142を含む、イエロー染料、C.I.Acid Red 8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同57、同82、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、および同276を含むマゼンタ染料、C.I.Acid Violet15、同17、および同48を含むバイオレット染料、C.I.Acid Blue 1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、 同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、および同158を含むブルー染料、C.I.Acid Green 3、同9、同16、同25、および同27を含むグリーン染料、C.I.Acid Black 1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、および同154を含むブラック染料などが含まれる。
上記イエローインクおよび上記マゼンタインクは、色材のほかに、水を含有し、任意に水溶性有機溶剤、界面活性剤、または防腐剤もしくは防黴剤などを含有してもよい。これらの成分は、上記イエローインクおよび上記マゼンタインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
上記水の含有量は、20質量%以上100質量%未満であることが好ましく、30質量%以上80質量%未満であることがより好ましく、40質量%以上65質量%未満であることがさらに好ましい。
上記水溶性有機溶剤の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールおよびt−ブタノールを含むアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、式(1)で表される化合物その他のグリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ヘプタンジオールを含む多価アルコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびテトラメチルプロピレンジアミンを含むアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドを含むアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含む複素環化合物、ジメチルスルホキシドを含むスルホキシド、ならびにジエチレングリコールのアルキルエーテル、トリエチレングリコールのアルキルエーテルおよびジプロピレングリコールのアルキルエーテルを含むグリコールエーテルが含まれる。
Figure 0006776624
式(1)中、R11はいずれもエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を表し、x、yおよびzはいずれも正の整数であり、x+y+z=3〜30である。
蛍光酸性染料のナイロンの繊維構造への浸透を調整して、布帛の表裏の色調差をより小さくする観点からは、水溶性有機溶剤は、分子量400以上1000以下のポリエチレングリコール、分子量400以上1000以下のポリプロピレングリコール、および式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、上記観点からは、分子量400以上1000以下のポリエチレングリコールであることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体の質量に対して35質量%以上60質量%以下とすることができる。水溶性有機溶剤の含有量をインク全体の質量に対して35質量%以上とすることで、前記蛍光酸性染料をインクの液体成分に溶解しやすくし、ノズルへの前記蛍光酸性染料の析出による吐出安定性の低下を抑制することができる。水溶性有機溶剤の含有量をインク全体の質量に対して60質量%以下とすることで、水溶性有機溶媒の含有によるインクの乾燥性の低下を抑制し、濃度むらや滲みをより生じにくくすることができる。
上記界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類を含むアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類を含むノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類を含むカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
これらのうち、ナイロンの線維構造に上記蛍光酸性染料をより浸透しやすくして、上記蛍光酸性染料の定着不良による濃度むらをより生じにくくする観点からは、アニオン性界面活性剤が好ましい。好ましいアニオン性界面活性剤の例には、ジ−2−エチルヘキシルスルホこはく酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが含まれる。
上記防腐剤または防黴剤の例には、芳香族ハロゲン化合物、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばプロキセルGXL(アーチ ケミカル社製、プロキセルは同社の登録商標))が含まれる。
インクの射出性をより高める観点から、上記イエローインクおよび上記マゼンタインクの25℃における粘度は、1mPa・s以上40mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上40mPa・s以下であることがより好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの粘度は、E型粘度計(たとえば、V−25、東機産業株式会社製)により、25℃、20rpmで測定することができる。
上記イエローインクおよび上記マゼンタインクの25℃における表面張力は、25mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。表面張力が25mN/m以上であると、画像の滲みがより生じにくい。表面張力が50mN/m以下であると、本発明のインクがよりナイロンにより浸透しやすい。インクの粘度は、たとえば、CBVP−Z、協和界面科学株式会社製により測定することができる。
上記イエローインクおよび上記マゼンタインクは、たとえば、前記蛍光酸性染料および水、ならびに任意に含有される前記その他の成分を公知の方法で混合して調製することができる。
2−2.長波長シアン染料を含有するシアンインク
上記長波長シアン染料を含有するシアンインクは、色材として長波長シアン染料を含有するほかは、インクジェット捺染用の通常の水系インクと同様のインクとしうる。
長波長シアン染料は、銅フタロシアニン構造を有し、かつ、3個以上のアニオン性の官能基を分子内に有するシアン染料である。長波長シアン染料は、長波長の波長域に極大吸収を有するため、より鮮やかで蛍光感のある緑色を再現できる。そのため、上記イエローインクおよびマゼンタインクが含有する上記蛍光酸性染料と長波長シアン染料とを組み合わせて捺染すると、再現される蛍光色の画像の色再現域を広げることができる。
長波長シアン染料が有する上記アニオン性の官能基の例には、スルホ基およびカルボキシ基が含まれる。上記アニオン性の官能基は、銅フタロシアニン構造に直接付加されていてもよいし、炭化水素基などを介して付加されていてもよい。
銅フタロシアニン構造とは、フタロシアニンと銅とが錯形成した構造を意味する。上記錯形成したフタロシアニンは、スルホ基などのアニオン性の官能基を有する誘導体とすることで、極大吸収を長波長域に有する染料とすることができる。錯形成したフタロシアニンが有する上記アニオン性の官能基の数の上限は、ナイロンへの染着が可能である限り特に限定されないが、7個程度であることが好ましい。
長波長シアン染料の例には、C.I.Direct Blue 87がある。
より明瞭な発色を得る観点からは、シアンインク中の上記長波長シアン染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.5質量%以下であることがより好ましい。
上記長波長シアン染料を含有するインクは、捺染したナイロンが所望の色調の蛍光を発し得る限りにおいて、上記イエローインクおよびマゼンタインクについて例示した色材などの、上記長波長シアン染料以外の色材を含有してもよい。
上記長波長シアン染料を含有するインクは、色材のほかに、水を含有し、任意に水溶性有機溶剤、界面活性剤、または防腐剤もしくは防黴剤などを含有してもよい。これらの成分は、上記長波長シアン染料を含有するインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。これらの成分としては、上記イエローインクおよびマゼンタインクについて例示したものと同様の化合物を用いることができる。
なお、上記イエローインク、マゼンタインクおよびシアンインクの、色材以外の成分の組成は、同一でもよく、異なっていてもよい。
また、上記長波長シアン染料を含有するインクの物性および調製方法も、上記イエローインクおよび上記マゼンタインクについて例示したものと同様とすることができる。
3.発色工程
発色工程は、発色前の画像が形成されたナイロンに高温の蒸気を付与して、前記蛍光酸性染料をナイロン繊維に定着させる工程である。発色工程によって、インク本来の色相が発現する。前記蛍光酸性染料および長波長シアン染料をナイロンの繊維に定着させる方法の例には、スチーミング法、HTスチーミング法、HPスチーミング法、サーモフィクス法、アルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム法、アルカリショック法、およびアルカリコールドフィックス法が含まれる。HTスチーマーで高温の蒸気を当てる場合は160℃以上180℃以下で5分以上20分以下の間処理されることが好ましく、HPスチーマーで高圧の蒸気の当てる場合は130℃以上140℃以下で約30分間処理されることが好ましい。
4.洗浄工程
洗浄工程は、前記発色工程後にナイロンを洗浄して、ナイロンの繊維に定着できなかった前記蛍光酸性染料および前処理剤を除去する工程である。本工程は、前記蛍光酸性染料および前処理剤を除去することができればよく、水で前記ナイロンを洗浄してもよいし、ソーピング液で前記ナイロンを洗浄してもよい。ソーピング液の例には、苛性ソーダ、界面活性剤およびハイドロサルファイトの混合液が含まれる。
5.乾燥工程
乾燥工程は、前記洗浄されたナイロンを乾燥させる工程である。乾燥方法の例には、洗浄されたナイロンを絞るかまたは干すことによる非機械的乾燥、および乾燥機(ヒートロールまたはアイロン)による機械的乾燥が含まれる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらの記載によって本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.インクの調製
[染料]
以下の染料を用意した。
染料1: C.I. Acid Yellow 184(クマリン構造を有するイエローの蛍光酸性染料)
染料2: C.I. Acid Red 52(キサンテン構造を有するマゼンタの蛍光酸性染料)
染料3: C.I.Direct Blue 86(2個のスルホ基を有する銅フタロシアニン誘導体)
染料4: C.I.Direct Blue 87(3個のスルホ基を有する銅フタロシアニン誘導体)
[インクの調製]
上記精製した染料および以下の材料を表1に記載の質量比で混合し、撹拌して均一に混合した後、1μmメッシュのフィルターでろ過して、インク1〜インク4を得た。なお、それぞれのインクには、pH添加剤を加えてpHを7に調整した。
(水溶性有機溶媒)
EG: エチレングリコール
DEG: ジエチレングリコール
Gly: グリセリン
(界面活性剤)
界面活性剤1: 日信化学工業株式会社製、オルフィン E1010 (ノニオン性の界面活性剤(ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)、「オルフィン」は同社の登録商標)
(その他)
防黴剤: アーチケミカル社製、製品名 プロキセルGXL
pH調整剤(1N塩酸): 和光純薬工業社製
イオン交換水
表1に、インク1〜インク4の組成(各数字の単位は質量%)を示す。
Figure 0006776624
2.前処理剤の調製
以下の材料を撹拌および混合して、前処理剤1を作製した。
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.50重量%
ポリアクリル酸ナトリウム 1.00重量%
酒石酸ジアンモニウム 4.30重量%
尿素 5.00重量%
水 88.20重量%
以下の材料を撹拌および混合して、前処理剤2を作製した。
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.50重量%
ポリアクリル酸ナトリウム 1.00重量%
酒石酸ジアンモニウム 2.9量%
尿素 5.00重量%
水 89.6重量%
以下の材料を撹拌および混合して、前処理剤3を作製した。
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.50重量%
ポリアクリル酸ナトリウム 1.00重量%
酒石酸ジアンモニウム 2.15重量%
尿素 5.00重量%
水 90.35重量%
3.捺染
以下のナイロンに、以下の手順で捺染を行った。
[ナイロン]
ナイロン1: ナイロンスパンデックス(末端アミン量:9.0mmol/m
ナイロン2: 薄手ナイロン(末端アミン量:4.5mmol/m
ナイロン3: 極厚ナイロン編物(末端アミン量:13.5mmol/m
なお、それぞれのナイロンの末端アミン量は、NMRを用いた末端基定量法により求めた。
ナイロン1を前処理剤1に十分に浸漬させた後、ピックアップ率が60%となるようにマングルでナイロンを絞った。その後、120℃のオーブンでナイロンを乾燥させた。同様に、ナイロン1を前処理剤2または前処理剤3で前処理した。同様に、ナイロン2を前処理剤1または前処理剤2で前処理した。また、同様に、ナイロン3を前処理剤2で前処理した。
前処理剤1で前処理したときの、ナイロンに付与されたカチオンの量は、56mmol/mであった。前処理剤2で前処理したときの、ナイロンに付与されたカチオンの量は、37mmol/mであった。前処理剤3で前処理したときの、ナイロンに付与されたカチオンの量は、28mmol/mであった。
インク1〜インク4を表2に示すように組み合わせて、インクジェットプリンタNassenger−V(コニカミノルタ株式会社製、「Nassenger」はコニカミノルタIJ株式会社 の登録商標)にて、540dpi×720dpiで、イエロー50%、シアン50%とし、合計100% Dutyの印字率で、前処理を施したナイロン1、ナイロン2またはナイロン3に、15cm×15cmの黒色の矩形の画像1を形成した。また、同様にイエロー25%、マゼンタ25%、シアン25%、ブラック25%とし、合計100% Dutyの印字率で、前処理を施したナイロン1、ナイロン2またはナイロン3に、15cm×15cmの黒色の矩形の画像2を形成した。その後、それぞれのナイロンを、HTスチーマーで103℃、60分スチーミングを行い、ソーピング液剤(センカ株式会社社製、センカノールTCコンク、センカノールCMN)とソーダ灰で洗浄し、150℃で1分乾燥させた。
4.評価
上記手順で形成された画像を、下記の基準で評価した。
4−1.色再現域
画像の色相を、下記の基準で目視評価した。
○ より鮮やかで蛍光感がある
× 蛍光感に劣る
4−2.滲み
形成された画像の端部に滲みが発生しているか否かを、下記の基準で目視評価した。
◎:画像の端部にエッジに滲みが全くない
○:画像の端部ににごくわずかに滲みがあるがほとんどわからない
×:画像の端部にの滲みが大きく、許容できない
4−3.結果
上記評価の結果を表2に示す。
Figure 0006776624
末端アミン量が10mmol/m以下であるナイロンに、35mmol/m以上のカチオンが発生するように前処理して、イエローの蛍光酸性染料を含有するイエローインク、マゼンタの蛍光酸性染料を含有するマゼンタインク、および長波長シアン染料を含有するシアンインクを組み合わせて捺染すると、色再現域が拡大され、かつ、滲みも発生しにくかった(実験2〜3および実験6。)。
これに対し、長波長シアン染料以外のシアン染料を含有するシアンインクを上記イエローインクおよびマゼンタインクと組み合わせて捺染しても、色再現域は拡大されなかった(実験1)。また、長波長シアン染料を含有するシアンインクを上記イエローインクおよびマゼンタインクと組み合わせて捺染すると、色再現域は各段されるものの、前処理によって発生するカチオンの量が35mmol/m未満だと、滲みがより多く発生した(実験4)。また、ナイロンの末端アミン量が10mmol/m未満であるナイロンに、同様に前処理して、同様のインクの組み合わせで捺染しても、滲みがより多く発生した(実験5)。
一方で、ナイロンの末端アミン量が10mmol/mより大きい場合には、ナイロンが含有するカチオンの量を増やさなくても、滲みの発生は問題にならなかった(実験7)。
本発明のインクは、インクジェット捺染装置から吐出することで、ナイロンの染色、特にはナイロンの蛍光染色に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 画像を形成すべき領域の末端アミン量が10mmol/m以下であるナイロンを、35mmol/m以上のカチオンが前記画像を形成すべき領域に付与されるように前処理する工程と、
    互いに異なる色材を含有する複数種の水系インクの液滴を、それぞれ、インクジェットヘッドのノズルから吐出してナイロンの前記画像を形成すべき領域に着弾させる工程であって、
    前記前処理する工程は、前処理剤中のカチオン量が351mmol/l以上950mmol/l以下となる量の酸発生剤を含有する前処理剤を、前記ナイロンに付与する工程であり、
    前記複数種の水系インクは、
    前記色材としてイエローの蛍光酸性染料を含有するイエローインクと、
    前記色材としてマゼンタの蛍光酸性染料を含有するマゼンタインクと、
    前記色材として、銅フタロシアニン構造を有し、かつ、3個以上のアニオン性の官能基を分子内に有するシアン染料を含有するシアンインクと、を含む工程と、
    を含む、インクジェット捺染方法。
  2. 前記イエローの蛍光酸性染料は、クマリン構造を有する酸性染料であることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
  3. 前記クマリン構造を有する酸性染料は、C.I.Acid Yellow 184であることを特徴とする、請求項2に記載のインクジェット捺染方法。
  4. 前記マゼンタの蛍光酸性染料は、キサンテン構造を有する酸性染料であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  5. 前記キサンテン構造を有する酸性染料は、C.I.Acid Red 52であることを特徴とする、請求項4に記載のインクジェット捺染方法。
  6. 前記シアン染料は、C.I.Direct Blue 87であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  7. 前記画像を形成すべき領域のナイロンは、末端アミン量が5mmol/m以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  8. 前記前処理する工程は、前処理剤中のカチオン量が351mmol/l以上475mmol/l以下となる量の酸発生剤を含有する前処理剤を、前記ナイロンに付与する工程である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
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