JP2015078300A - インクジェット捺染用インク及び繊維の捺染方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はインクジェット捺染に用いるインク及びそれを用いた繊維の捺染方法に関する。
インクジェットプリンタを用いた繊維のインクジェット捺染は、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリー捺染等の捺染方法に比べ、製版工程が不要であり工程が短縮できること;デジタル化されたデザインを、コンピューターを介してそのままプリントできること;多品種の製品を少量ずつであっても生産することが可能であること;色糊の廃液等が大幅に削減できること;等の多くのメリットがある。
一方、インクジェット捺染は、従来の製版捺染に比べ、プリント速度が遅いこと、及び濃色を再現し難いこと等の課題があった。このためインクジェット捺染は、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。
近年、コンピューターの画像処理やプリントヘッド製造の技術的進歩によりインクジェットプリンタのプリント速度が大幅に向上されてきた。これに加え、プリントデザインのデジタル化、プリント加工の多様化・小ロット化が市場で要求されてきたこと等を背景に、インクジェット捺染の普及が進んでいる。
インクジェット捺染に用いるインクとしては、シルク、ナイロン等のポリアミド系繊維用の酸性染料インク;ポリエステル系繊維用の分散染料インク;綿、レーヨン等のセルロース系繊維用の反応性染料(反応染料)インク;等が販売されている。
一方、インクジェット捺染は、従来の製版捺染に比べ、プリント速度が遅いこと、及び濃色を再現し難いこと等の課題があった。このためインクジェット捺染は、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。
近年、コンピューターの画像処理やプリントヘッド製造の技術的進歩によりインクジェットプリンタのプリント速度が大幅に向上されてきた。これに加え、プリントデザインのデジタル化、プリント加工の多様化・小ロット化が市場で要求されてきたこと等を背景に、インクジェット捺染の普及が進んでいる。
インクジェット捺染に用いるインクとしては、シルク、ナイロン等のポリアミド系繊維用の酸性染料インク;ポリエステル系繊維用の分散染料インク;綿、レーヨン等のセルロース系繊維用の反応性染料(反応染料)インク;等が販売されている。
インクジェット捺染においては、通常ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のインクセットが用いられる。インクジェット捺染に用いるインクの性能としては高画質、高堅牢性の染色物の提供が可能で、且つ吐出安定性にも優れることが要望される。これに加えて、混合色の再現範囲を広げる目的として、「特色」等と呼称されるブルー、レッド、オレンジ等のインクが要望され、その開発が行われてきた。
それらのインクの中でも、彩度が高く、耐光性に優れた反応染料を含有するオレンジインクは従来知られていなかったため、その開発が強く望まれてきた。
それらのインクの中でも、彩度が高く、耐光性に優れた反応染料を含有するオレンジインクは従来知られていなかったため、その開発が強く望まれてきた。
特許文献1〜6には、C.I.Reactive Orangeを色素として含有するインク等が開示されている。
本発明は、反応染料を含有し、彩度に優れるインクジェット捺染に用いるオレンジインク、及びそれを用いる繊維の捺染方法の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、色素として下記式(1)で表わされる化合物又はその塩若しくはそれらの混合物と、C.I.Reactive Orangeと、からそれぞれ選択される、少なくとも2種類の色素を含有するインクにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、以下の[1]〜[9]に関する。
[1]
色素、水、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット捺染に用いるインクであって、該インクが色素として、下記式(1)で表わされる化合物又はその塩若しくはそれらの混合物と、C.I.Reactive Orangeと、からそれぞれ選択される、少なくとも2種類の色素を含有するインク。
即ち本発明は、以下の[1]〜[9]に関する。
[1]
色素、水、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット捺染に用いるインクであって、該インクが色素として、下記式(1)で表わされる化合物又はその塩若しくはそれらの混合物と、C.I.Reactive Orangeと、からそれぞれ選択される、少なくとも2種類の色素を含有するインク。
(式(1)中、nは1〜3の整数、Mは水素原子又はナトリウムを表す)。
[2]
C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、アゾ色素である上記[1]に記載のインク。
[3]
C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、C.I.Reactive Orange 1、2、5、6、7、8、12、13、14、15、15:1、16、20、23、24、30、31、32、34、35、37、40、41、44、45、46、48、49、51、52、55、56、57、58、59、60、69、70、72、72:1、73、74、82、83、84、87、91、92、93、94、95、96、99、107、108、111、113、116、119、122、123、124、125、126、130、131、133、134、136、138、139、141及び142よりなる群から選択される色素である上記[1]又は[2]に記載のインク。
[4]
C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、C.I.Reactive Orange 13である上記[1]に記載のインク。
[5]
インクが含有する色素の総質量に対して、式(1)で表わされる化合物の総含有量が、質量基準で50%以上である上記[1]に記載のインク。
[6]
インクの総質量中における色素の総含有量が、質量基準で0.5〜20%である上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のインク。
[7]
上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のインクを用い、少なくとも以下の工程A〜工程Cの3工程を順次行うことを含む、繊維のインクジェット捺染方法。
工程A:該インクの液滴を、記録信号に応じてインクジェットプリンタから吐出させ、繊維に付着させる工程。
工程B:工程Aにより付着させたインクの液滴中の色素を、熱により繊維に固着させる工程。
工程C:繊維に残存する未固着の色素を洗浄する工程。
[8]
上記繊維が、ポリアミド繊維、及びポリアミド繊維を含有する混紡繊維から選択される繊維である上記[7]に記載のインクジェット捺染方法。
[9]
上記[7]又は[8]に記載のインクジェット捺染方法により染色された繊維。
[2]
C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、アゾ色素である上記[1]に記載のインク。
[3]
C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、C.I.Reactive Orange 1、2、5、6、7、8、12、13、14、15、15:1、16、20、23、24、30、31、32、34、35、37、40、41、44、45、46、48、49、51、52、55、56、57、58、59、60、69、70、72、72:1、73、74、82、83、84、87、91、92、93、94、95、96、99、107、108、111、113、116、119、122、123、124、125、126、130、131、133、134、136、138、139、141及び142よりなる群から選択される色素である上記[1]又は[2]に記載のインク。
[4]
C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、C.I.Reactive Orange 13である上記[1]に記載のインク。
[5]
インクが含有する色素の総質量に対して、式(1)で表わされる化合物の総含有量が、質量基準で50%以上である上記[1]に記載のインク。
[6]
インクの総質量中における色素の総含有量が、質量基準で0.5〜20%である上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のインク。
[7]
上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のインクを用い、少なくとも以下の工程A〜工程Cの3工程を順次行うことを含む、繊維のインクジェット捺染方法。
工程A:該インクの液滴を、記録信号に応じてインクジェットプリンタから吐出させ、繊維に付着させる工程。
工程B:工程Aにより付着させたインクの液滴中の色素を、熱により繊維に固着させる工程。
工程C:繊維に残存する未固着の色素を洗浄する工程。
[8]
上記繊維が、ポリアミド繊維、及びポリアミド繊維を含有する混紡繊維から選択される繊維である上記[7]に記載のインクジェット捺染方法。
[9]
上記[7]又は[8]に記載のインクジェット捺染方法により染色された繊維。
本発明により、彩度に優れるインクジェット捺染に用いるオレンジインク、及びそれを用いる繊維の捺染方法を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書においては、実施例等を含めて「%」及び「部」数については、特に断りの無い限り質量基準で記載する。
上記インクジェット捺染に用いるインク(以下「インク」ともいう。)は、色素、水、及び有機溶剤を含有し、該色素として上記式(1)で表わされる化合物又はその塩若しくはそれらの混合物(以下、特に断りの無い限り「式(1)で表される化合物」と記載したとき、「式(1)で表される化合物又はその塩若しくはそれらの混合物」を意味する。)と、C.I.Reactive Orange(以下「ROr」という。)と、からそれぞれ少なくとも1種類ずつ選択される、少なくとも2種類の色素を含有する。
上記インクジェット捺染に用いるインク(以下「インク」ともいう。)は、色素、水、及び有機溶剤を含有し、該色素として上記式(1)で表わされる化合物又はその塩若しくはそれらの混合物(以下、特に断りの無い限り「式(1)で表される化合物」と記載したとき、「式(1)で表される化合物又はその塩若しくはそれらの混合物」を意味する。)と、C.I.Reactive Orange(以下「ROr」という。)と、からそれぞれ少なくとも1種類ずつ選択される、少なくとも2種類の色素を含有する。
上記式(1)で表される化合物は、その塩の形で使用してもよい。塩としては、無機又は有機陽イオンと形成する塩が挙げられる。これらの中では前者の塩が好ましい。
無機陽イオンと形成する塩の具体例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の周期表第1族元素;マグネシウム、カルシウム等の周期表第2族元素;等の陽イオンと形成する塩、又は、アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中では周期表第1族元素の陽イオンと形成する塩、又は、アンモニウム塩が好ましい。
有機陽イオンと形成する塩の具体例としては、下記式(2)で表される有機アンモニウムと形成する塩が挙げられる。
無機陽イオンと形成する塩の具体例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の周期表第1族元素;マグネシウム、カルシウム等の周期表第2族元素;等の陽イオンと形成する塩、又は、アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中では周期表第1族元素の陽イオンと形成する塩、又は、アンモニウム塩が好ましい。
有機陽イオンと形成する塩の具体例としては、下記式(2)で表される有機アンモニウムと形成する塩が挙げられる。
上記式(2)中、Z1乃至Z4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表わし、Z1乃至Z4の少なくともいずれか1つは水素原子以外の基である。
式(2)中、Z1乃至Z4における具体例としては、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−C6アルキル基(好ましくはC1−C4アルキル基);ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール−2−イル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C6アルキル基(好ましくはヒドロキシC1−C4アルキル基);ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシC1−C6アルコキシC1−C6アルキル基(好ましくはヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基);等が挙げられる。
これらの中では、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好ましい。
これらの中では、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好ましい。
上記式(1)で表される化合物の塩は、単一の塩;複数種類の混塩;又は、遊離酸と塩との混合物;等のいずれであってもよい。式(1)で表される化合物は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質;又は、該化合物を含有するインクの性能、特に堅牢性に関する性能;等が変化することもある。このため、塩の種類を選択することも好ましく行われる。
遊離酸から各種の塩を造塩する方法;各種の塩から遊離酸を得る方法;特定の塩から他の塩へ塩を交換する方法;等については、いずれも当業者であれば周知の方法が使用できる。
遊離酸から各種の塩を造塩する方法;各種の塩から遊離酸を得る方法;特定の塩から他の塩へ塩を交換する方法;等については、いずれも当業者であれば周知の方法が使用できる。
上記ROrから選択される少なくとも1種類の色素としては特に制限はなく、ROrとして知られているものであれば、いずれの色素も使用することができる。
ROrの中ではアゾ色素が好ましい。
ROrの中ではアゾ色素が好ましい。
上記アゾ色素としては、分子中にアゾ基を1つ有するモノアゾ色素と、アゾ基を2つ有するジスアゾ色素が好ましく挙げられる。これらの中でも色相の観点からは、モノアゾ色素がより好ましい。
上記モノアゾ色素としては、例えば、ROr 1、2、5、6、7、8、12、13、14、15、15:1、16、20、23、24、30、31、32、34、35、37、40、41、44、45、48、49、51、52、55、56、57、58、59、60、72、72:1、73、74、82、83、87、91、92、93、94、95、96、99、107、108、113、116、119、122、123、124、125、126、127、130、134、及び139等が挙げられる。
これらの中ではROr 1、5、13、16、20、72、122等が好ましく、ROr 13が特に好ましい。
これらの中ではROr 1、5、13、16、20、72、122等が好ましく、ROr 13が特に好ましい。
上記ジスアゾ色素としては、例えば、ROr 46、69、70、84、111、131、133、136、138、141、142等が挙げられる。
上記インクが含有する色素の総質量に対して、上記式(1)で表される化合物の総含有量は、質量基準で50%以上が好ましい。
上記式(1)で表わされる化合物とROrとの配合比率は、質量基準で通常50/50〜99/1、好ましくは50/50〜70/30、より好ましくは50/50〜60/40である。
彩度を向上させる観点からは、上記インクが含有する色素の全てが、上記式(1)で表される化合物と、ROr 13と、であることが好ましい。
また、上記のインクは、上記式(1)で表わされる化合物と、C.I.Reactive Orangeと、からそれぞれ選択される少なくとも1種類の色素以外に、さらにROrよりなる群から選択される少なくとも1種類の色素を加えた、少なくとも3種類の色素を含有することもできる。
上記式(1)で表わされる化合物とROrとの配合比率は、質量基準で通常50/50〜99/1、好ましくは50/50〜70/30、より好ましくは50/50〜60/40である。
彩度を向上させる観点からは、上記インクが含有する色素の全てが、上記式(1)で表される化合物と、ROr 13と、であることが好ましい。
また、上記のインクは、上記式(1)で表わされる化合物と、C.I.Reactive Orangeと、からそれぞれ選択される少なくとも1種類の色素以外に、さらにROrよりなる群から選択される少なくとも1種類の色素を加えた、少なくとも3種類の色素を含有することもできる。
上記インクは、オレンジインクとして使用するのが好ましい。また、フルカラーの捺染を目的として、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各インクを加えた4色;さらに、必要に応じて「特色」等と呼称されるブルー、グリーン、バイオレット等の各インクを加えた、4色以上;等のインクセットとして使用してもよい。それらのインクセットを構成する各インクに含有する色素は公知のものでよく、特に制限されない。
これらのインクが含有する色素としては、顔料よりも染料が好ましく、酸性染料、直接染料及び反応染料よりなる群から選択される染料であることがより好ましく、反応染料から選択される染料であることがさらに好ましい。
上記インクセットとするときは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等の各色のインクに含有する色素は1種類でもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらのインクが含有する色素としては、顔料よりも染料が好ましく、酸性染料、直接染料及び反応染料よりなる群から選択される染料であることがより好ましく、反応染料から選択される染料であることがさらに好ましい。
上記インクセットとするときは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等の各色のインクに含有する色素は1種類でもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記の色素は、粉末状;塊状;又はウェットケーキ;等のいずれの状態のものでも使用することができる。しかし、市販品として入手できる色素は、例えば「工業染色用粉末」、「インクジェット用」等の各種の品質があり、製造方法や純度等がそれぞれ異なり、液状品もある。それらの中には塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩を、総質量中におおよそ10〜40%も含有する製品も存在する。
インクジェット捺染に用いるインクとしては、インクの保存安定性及びインクジェットプリンタからの吐出精度等を良好にするため、できるだけ不純物の少ない色素を使用するのが好ましい。又、特に精製操作を行わない水等は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含むため、このような未精製の水等をインクに使用すると、微量ながらそれらのイオン等がインクに混入する。
このような無機塩及び金属イオンを含めて、本明細書においては便宜上、「無機不純物」と以下記載する。
これらの無機不純物は、インク中の色素の溶解度及びインク自体の貯蔵安定性を著しく悪化し、また、インクジェットプリンタヘッドの腐食・磨耗の原因ともなる。このため無機不純物は、インク中からできるだけ除去することが好ましい。これらの無機不純物を除去する方法としては、例えば限外濾過法、逆浸透法、イオン交換法等の公知の方法が挙げられる。
インクの総質量に対して、無機不純物の含有量の上限は通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。下限は0%、すなわち検出機器の検出限界以下でよい。
インクジェット捺染に用いるインクとしては、インクの保存安定性及びインクジェットプリンタからの吐出精度等を良好にするため、できるだけ不純物の少ない色素を使用するのが好ましい。又、特に精製操作を行わない水等は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含むため、このような未精製の水等をインクに使用すると、微量ながらそれらのイオン等がインクに混入する。
このような無機塩及び金属イオンを含めて、本明細書においては便宜上、「無機不純物」と以下記載する。
これらの無機不純物は、インク中の色素の溶解度及びインク自体の貯蔵安定性を著しく悪化し、また、インクジェットプリンタヘッドの腐食・磨耗の原因ともなる。このため無機不純物は、インク中からできるだけ除去することが好ましい。これらの無機不純物を除去する方法としては、例えば限外濾過法、逆浸透法、イオン交換法等の公知の方法が挙げられる。
インクの総質量に対して、無機不純物の含有量の上限は通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。下限は0%、すなわち検出機器の検出限界以下でよい。
上記の水溶性有機溶剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、グリセリン、1、3−ペンタンジオール、1、5−ペンタンジオール等の多価アルコール(好ましくは、ヒドロキシ基を2つ〜3つ有するC2−C6アルコール);ジグリセリン、ポリグリセリン等のポリグリセリルエーテル;ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル等のポリオキシC2−C3アルキレンポリグリセリルエーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の、モノ、ジ又はトリC2−C3アルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の、繰り返し単位が4以上で、分子量が約20、000以下程度のポリC2−C3アルキレングリコール(好ましくは分子量が約20、000以下程度の液状のポリC2−C3アルキレングリコール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の、多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;等が挙げられる。
ピロリドン類としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;等が挙げられる。
これらの中ではグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルカルビトール、及び2−ピロリドン等が好ましい。
水溶性有機溶剤は、単独で使用しても併用しても良い。
上記インクに含有する水溶性有機溶剤の含有量は、インクの総質量に対して通常1〜60%、好ましくは10〜60%である。
ピロリドン類としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;等が挙げられる。
これらの中ではグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルカルビトール、及び2−ピロリドン等が好ましい。
水溶性有機溶剤は、単独で使用しても併用しても良い。
上記インクに含有する水溶性有機溶剤の含有量は、インクの総質量に対して通常1〜60%、好ましくは10〜60%である。
上記インクは、例えば界面活性剤、pH調整剤、防腐防黴剤等のインク調製剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。インク調製剤は合計で、インクの総質量に対して通常0〜10%、好ましくは0.05〜5%程度である。
界面活性剤としては、アニオン、カチオン、両性、及びノニオンの各界面活性剤が挙げられる。これらの中ではカチオン界面活性剤が好ましい。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオール、3、6−ジメチル−4−オクチン−3、6−ジオール、3、5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレンアルコール系;他の具体例として、例えば、日信化学社製の商品名サーフィノール104、105PG50、82、420、440、465、485、オルフィンSTG;等が挙げられる。
これらの中ではサーフィノールが好ましく、サーフィノール104PG50、サーフィノール440がより好ましい。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオール、3、6−ジメチル−4−オクチン−3、6−ジオール、3、5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレンアルコール系;他の具体例として、例えば、日信化学社製の商品名サーフィノール104、105PG50、82、420、440、465、485、オルフィンSTG;等が挙げられる。
これらの中ではサーフィノールが好ましく、サーフィノール104PG50、サーフィノール440がより好ましい。
pH調整剤としては、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミントリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);又は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;等が挙げられる。
これらの中ではトリエタノールアミンが好ましい。上記インクがpH調整剤を含有するときは、インクの総質量中におけるpH調整剤の含有量は通常0.01〜2%、好ましくは0.05〜1%である。
これらの中ではトリエタノールアミンが好ましい。上記インクがpH調整剤を含有するときは、インクの総質量中におけるpH調整剤の含有量は通常0.01〜2%、好ましくは0.05〜1%である。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、アベシア社製プロクセルGXL等、好ましくはプロクセルGXL;等が挙げられる。
上記インクは、色素、水、及び水溶性有機溶剤と、必要に応じてインク調製剤とを混合し、溶液とすることにより得られる。インクジェット捺染に用いるインクとしては、メンブランフィルター等で得られたインク溶液を濾過することにより、夾雑物を除いたインクとして使用するのが好ましい。メンブランフィルターの孔径は通常0.1μm〜1μm、好ましくは0.1μm〜0.5μmである。
上記インクの25℃における粘度は、E型粘度計にて測定したときに3〜20mPa・s;プレート法にて測定したときに20〜40mN/m;の各範囲内であるのが好ましい。インクの粘度は上記の範囲で、プリンタの吐出量;応答速度;インク液滴の飛行特性;及び、インクジェットヘッドの特性;等を考慮し、適切な値に調整することも好ましく行われる。
上記インクジェット捺染方法は、上記インクを用い、少なくとも以下の工程A〜工程Cの3工程を順次行うことを含む、繊維の捺染方法である。
[工程A]
上記インクの液滴を、記録信号に応じてインクジェットプリンタから吐出させ、繊維に付着させる工程。
[工程B]
上記工程Aにより繊維に付着させたインクの液滴中の色素を、熱により繊維に固着させる工程。
[工程C]
繊維に残存する未固着の色素を洗浄する工程。
[工程A]
上記インクの液滴を、記録信号に応じてインクジェットプリンタから吐出させ、繊維に付着させる工程。
[工程B]
上記工程Aにより繊維に付着させたインクの液滴中の色素を、熱により繊維に固着させる工程。
[工程C]
繊維に残存する未固着の色素を洗浄する工程。
また、上記工程A〜工程Cの3工程に加えて、繊維に対して色素のにじみ防止等を目的とした前処理を施す工程を、上記工程Aの前にさらに含み、4工程とすることも好ましく行われる。
上記のインクジェット捺染方法に用いる繊維としては、ポリアミド繊維、及びポリアミド繊維を含有する混紡繊維が好ましい。ポリアミド繊維としては、例えばシルク、ウール等の天然繊維、ナイロン等の合成ポリアミド繊維が挙げられる。混紡繊維としては、これらのポリアミド繊維を少なくとも含有し、他の繊維と混紡したものが挙げられる。
上記の繊維としては繊維の構造体も含まれ、上記の繊維から成る布帛、織物等が好ましく挙げられる。
上記の繊維としては繊維の構造体も含まれ、上記の繊維から成る布帛、織物等が好ましく挙げられる。
上記工程Aとしては、例えば、上記インクが充填された容器(インクタンク、インクカートリッジ等ともいう)をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、記録信号に応じて該インクの液滴を吐出させて、繊維にインクを付着させる方法が挙げられる。
フルカラーの染色物を得るときは、上記の通り、必要に応じて4色又は4色以上のインクセットを適宜用いることができる。このようなときは、各色のインクは、それぞれの容器に充填され、それらの容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填して使用すればよい。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。上記インクジェット捺染方法は、いかなる方式のプリンタであっても使用が可能である。
フルカラーの染色物を得るときは、上記の通り、必要に応じて4色又は4色以上のインクセットを適宜用いることができる。このようなときは、各色のインクは、それぞれの容器に充填され、それらの容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填して使用すればよい。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。上記インクジェット捺染方法は、いかなる方式のプリンタであっても使用が可能である。
上記工程Bとしては、インクが付着した繊維を室温〜130℃に0.5〜30分程度放置して予備乾燥させた後、スチーミング処理を施して湿熱条件下に該繊維に色素を固着させる方法等が挙げられる。
スチーミング処理としては、湿度80〜100%、温度95〜105℃の環境に、5〜20分置くことが好ましい。
スチーミング処理としては、湿度80〜100%、温度95〜105℃の環境に、5〜20分置くことが好ましい。
上記工程Cとしては、色素を固着させた後の繊維を、水で洗浄することが好ましい。この洗浄に際して、界面活性剤を含有する水で洗浄してもよい。
上記工程Cを行った後、洗浄した繊維を通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することにより、乾燥された染色物を得ることができる。
上記工程Cを行った後、洗浄した繊維を通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することにより、乾燥された染色物を得ることができる。
上記工程Aの前に行う繊維の前処理工程としては、1種類以上の糊材、及び前処理用のpH調整剤の両者を少なくとも含有する水溶液を繊維の処理液とし、予め工程Aを行う前の繊維に付与する工程が挙げられる。該繊維の処理液中には、さらにヒドロトロピー剤を含むのが好ましい。繊維の処理液中に含有する糊剤、前処理用のpH調整剤、及びヒドロトロピー剤等は、「前処理剤」等と呼称されることもある。
繊維の処理液を繊維に付与する方法としては、例えばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
繊維の処理液を繊維に付与する方法としては、例えばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
上記繊維の処理液が含有する糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類;澱粉類;アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類;ペクチン酸等の植物皮類;メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体;カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉;シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム類;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊;等が挙げられる。これらの中ではグアー、ローカストビーン等の天然ガム類;シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム類;等が好ましい。
上記繊維の処理液が含有する前処理用のpH調整剤としては、水溶液とした際に酸性を示すものが好ましい。具体的には硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、及び酢酸アンモニウム等の性のアンモニウム塩が挙げられる。これらの中では、硫酸アンモニウムが好ましい。
上記繊維の処理液が含有するヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等の尿素又はチオ尿素等があげられる。これらの中では尿素が好ましい。
上記前処理剤は、それぞれの1種類を単独で用いてもよいし、それぞれの2種類以上を併用してもよく、後者の方が好ましい。
上記前処理剤は、それぞれの1種類を単独で用いてもよいし、それぞれの2種類以上を併用してもよく、後者の方が好ましい。
上記繊維の処理液に含有する前処理剤の含有量は、例えば混紡繊維を用いるとき、混紡繊維の混紡比率等により一概に決めることは困難である。
その目安としては、繊維の処理液の総質量に対して、いずれも質量基準で糊剤が0.5〜5%、前処理用のpH調整剤が0.5〜5%、残部が水である。ヒドロトロピー剤をさらに含有するときは、同様に1〜20%であり、残部が水である。
また、繊維の処理液は酸性であることが好ましい。そのpHの範囲としては通常7以下、好ましくは5〜7である。
その目安としては、繊維の処理液の総質量に対して、いずれも質量基準で糊剤が0.5〜5%、前処理用のpH調整剤が0.5〜5%、残部が水である。ヒドロトロピー剤をさらに含有するときは、同様に1〜20%であり、残部が水である。
また、繊維の処理液は酸性であることが好ましい。そのpHの範囲としては通常7以下、好ましくは5〜7である。
本発明のインクジェット捺染に用いるインクで染色された繊維は、彩度及び耐光性のバランスに優れ、特に彩度に優れる。また、水堅牢度、洗濯堅牢度等の他の堅牢性試験、染色濃度、色調、色再現域の広さ、色ぶれ等の各種の性能においても優れる。
また、該インクは、高粘度インクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの、周波数値に係らない吐出性能を発揮することも可能である。
さらに、インクジェット捺染後に一定時間プリンタを放置し、再度吐出(捺染)を開始したときの吐出性も良好である。
従って、本発明のインクジェット捺染用インク及びこれを用いる捺染方法は、繊維の染色用途に極めて好適である。
また、該インクは、高粘度インクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの、周波数値に係らない吐出性能を発揮することも可能である。
さらに、インクジェット捺染後に一定時間プリンタを放置し、再度吐出(捺染)を開始したときの吐出性も良好である。
従って、本発明のインクジェット捺染用インク及びこれを用いる捺染方法は、繊維の染色用途に極めて好適である。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明はなんら限定されるものではない。
[インクジェット捺染用インクの調製]
下記表1に示した各成分を混合し、おおよそ1時間攪拌することにより、実施例1及び比較例1〜2のインクをそれぞれ得た。得られたインクを0.45μmのメンブランフィルター(商品名:セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより、試験用のインクを調製した。各インクの調製に用いた「水」はイオン交換水であり、インク溶液のpHがpH8〜9になるように10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、総量100部となるように水を加えて調整した。
下記表1に示した各成分を混合し、おおよそ1時間攪拌することにより、実施例1及び比較例1〜2のインクをそれぞれ得た。得られたインクを0.45μmのメンブランフィルター(商品名:セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより、試験用のインクを調製した。各インクの調製に用いた「水」はイオン交換水であり、インク溶液のpHがpH8〜9になるように10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、総量100部となるように水を加えて調整した。
なお、表1中の「ROr 13」はC.I.リアクティブオレンジ 13を、記号「−」は、その成分を含有しないことを、それぞれ意味する。
[試験染布の調製]
グアー2質量部、硫酸アンモニウム2質量部、尿素5質量部、及び水91質量部を含む繊維の処理液を調製し、パッド法によりナイロン布(ナイロンジャージ)及びシルク布(絹二羽織)に前処理を行った。すなわち、ナイロン布及びシルク布を繊維の処理液に浸漬し、ゴムローラーにて余分な液を絞り落とした後、60℃にて乾燥した。
上記のようにして得たナイロン布に対して、実施例1のインクを使用して、インクジェットプリンタ(商品名:PIXUS ip4100、キヤノン社製)にてオレンジのベタ柄を、それぞれ100%、85%、70%、55%、40%、25%の6段階の階調でインクジェット捺染し、グラデーションの染色物を得た。この染色物を60〜80℃で予備乾燥後、湿度90%以上、100〜103℃で20分間スチーミング処理を行った。得られた染色物を冷水で5分間洗浄した後、乾燥することにより試験染布を調製した。この試験染布を「染布1」とする。
実施例1のインクの代わりに、比較例1及び比較例2のインクを用いる以外は実施例1と同様にして、比較用の試験染布をそれぞれ調製した。これらの比較用の試験染布を、それぞれ「比較染布1」及び「比較染布2」とする。
またナイロン布の代わりに、シルク布を用いる以外は上記の染布1及び各比較染布の調製と同様にして、シルク布の試験染布を調製した。この試験染布をそれぞれ「染布2」、「比較染布3」及び「比較染布4」とする。
グアー2質量部、硫酸アンモニウム2質量部、尿素5質量部、及び水91質量部を含む繊維の処理液を調製し、パッド法によりナイロン布(ナイロンジャージ)及びシルク布(絹二羽織)に前処理を行った。すなわち、ナイロン布及びシルク布を繊維の処理液に浸漬し、ゴムローラーにて余分な液を絞り落とした後、60℃にて乾燥した。
上記のようにして得たナイロン布に対して、実施例1のインクを使用して、インクジェットプリンタ(商品名:PIXUS ip4100、キヤノン社製)にてオレンジのベタ柄を、それぞれ100%、85%、70%、55%、40%、25%の6段階の階調でインクジェット捺染し、グラデーションの染色物を得た。この染色物を60〜80℃で予備乾燥後、湿度90%以上、100〜103℃で20分間スチーミング処理を行った。得られた染色物を冷水で5分間洗浄した後、乾燥することにより試験染布を調製した。この試験染布を「染布1」とする。
実施例1のインクの代わりに、比較例1及び比較例2のインクを用いる以外は実施例1と同様にして、比較用の試験染布をそれぞれ調製した。これらの比較用の試験染布を、それぞれ「比較染布1」及び「比較染布2」とする。
またナイロン布の代わりに、シルク布を用いる以外は上記の染布1及び各比較染布の調製と同様にして、シルク布の試験染布を調製した。この試験染布をそれぞれ「染布2」、「比較染布3」及び「比較染布4」とする。
[色相評価試験]
上記のようにして得た各染布の色相について評価を行った。色相は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて、各試験染布のグラデーションの最も濃い階調部分を測色することにより、CIEのL*、a*、b*を測定した。彩度については、下記式を用いて彩度C*値を、小数点以下1桁を四捨五入して算出した。彩度は、数値の大きい方が優れた結果を表す。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2
各試験染布の彩度の算出結果を下記表2に示す。
上記のようにして得た各染布の色相について評価を行った。色相は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて、各試験染布のグラデーションの最も濃い階調部分を測色することにより、CIEのL*、a*、b*を測定した。彩度については、下記式を用いて彩度C*値を、小数点以下1桁を四捨五入して算出した。彩度は、数値の大きい方が優れた結果を表す。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2
各試験染布の彩度の算出結果を下記表2に示す。
表2の結果より明らかなように、実施例1のインクを用いた各染布は、驚くべきことに彩度において2種類の色素が相乗効果を示した。すなわち、それぞれ単独の色素を含有する各比較染布より明確に高い彩度を示し、極めて優れる結果であった。この効果は、シルクにおいてより一層顕著に観察された。
本発明のインクは、彩度に極めて優れるため、インクジェット捺染に用いるインク及びそれを用いた繊維の捺染方法に極めて有用である。
Claims (9)
- C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、アゾ色素である請求項1に記載のインク。
- C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、C.I.Reactive Orange 1、2、5、6、7、8、12、13、14、15、15:1、16、20、23、24、30、31、32、34、35、37、40、41、44、45、46、48、49、51、52、55、56、57、58、59、60、69、70、72、72:1、73、74、82、83、84、87、91、92、93、94、95、96、99、107、108、111、113、116、119、122、123、124、125、126、130、131、133、134、136、138、139、141及び142よりなる群から選択される色素である請求項1又は2に記載のインク。
- C.I.Reactive Orangeから選択される色素が、C.I.Reactive Orange 13である請求項1に記載のインク。
- インクが含有する色素の総質量に対して、式(1)で表わされる化合物の総含有量が、質量基準で50%以上である請求項1に記載のインク。
- インクの総質量中における色素の総含有量が、質量基準で0.5〜20%である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクを用い、少なくとも以下の工程A〜工程Cの3工程を順次行うことを含む、繊維のインクジェット捺染方法。
工程A:該インクの液滴を、記録信号に応じてインクジェットプリンタから吐出させ、繊維に付着させる工程。
工程B:工程Aにより付着させたインクの液滴中の色素を、熱により繊維に固着させる工程。
工程C:繊維に残存する未固着の色素を洗浄する工程。 - 上記繊維が、ポリアミド繊維、及びポリアミド繊維を含有する混紡繊維から選択される繊維である請求項7に記載のインクジェット捺染方法。
- 請求項7又は8に記載のインクジェット捺染方法により染色された繊維。
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CN105111821A (zh) * | 2015-09-10 | 2015-12-02 | 江南大学 | 一种遮盖型纺织品喷墨印花颜料墨水的制备方法 |
JP2017155108A (ja) * | 2016-03-01 | 2017-09-07 | 日本化薬株式会社 | インク組成物及びそれを用いた繊維の捺染方法 |
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- 2013-10-17 JP JP2013216070A patent/JP2015078300A/ja active Pending
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