JP2010189460A - インク組成物及びそれを用いた繊維の捺染方法 - Google Patents

インク組成物及びそれを用いた繊維の捺染方法 Download PDF

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慎介 清水
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Abstract

【課題】
高粘度インクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの吐出安定性に優れた、かつインクの保存安定性及びセルロース系繊維への固着性に優れた反応染料インクの開発と提供。
【解決手段】
少なくとも一種類の反応染料、粘度調整剤及び水を含有する溶液のインク組成物であって、25℃における該インク組成物の粘度が10〜20mPa・sの範囲であるインク組成物を用いることにより、工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの吐出安定性、インクの保存安定性及びセルロース系繊維への固着性に優れた高粘度の反応染料インクが得られた。
【選択図】なし

Description

本発明は反応染料インク組成物及びそれを用いたセルロース系繊維の捺染方法に関し、更に詳しくは発色性、加工再現性に優れるインクジェット捺染用の反応染料インク組成物及びそれを用いたセルロース系繊維のインクジェット捺染方法、特に工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタに好適なインク組成物及び該インク組成物を用いる捺染方法に関する。
インクジェットプリンタを用いた繊維材料のインクジェット捺染は、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリー捺染に比べ、
(1)製版工程が不要であり工程が短縮できること、
(2)デジタル化されたデザインを、コンピュータを介してそのままプリントできること、
(3)多品種の製品を少量ずつであっても生産することが可能であること、
(4)染料色糊の廃液などが大幅に削減できること、
などの多くのメリットがあるが、従来の製版捺染に比べ、プリント加工速度が遅いこと、濃色を再現し難いことなどの課題があり、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。
近年、コンピュータの画像処理やプリントヘッド製造の技術的進歩によりインクジェットプリンタのプリント速度が大幅に向上されてきた事、プリントデザインのデジタル化、プリント加工の多様化及び小ロット化が市場で要求されてきたことなどを背景に、インクジェット捺染の普及が進んでいる。
インクジェット捺染用の染料インクとしては、シルク、ナイロン等のポリアミド系繊維用の酸性染料インク;ポリエステル系繊維用の分散染料インク;綿、レーヨンなどのセルロース系繊維用の反応染料インク;等が販売されている。それらのインクジェット捺染用染料インクは水中に染料を溶解あるいは分散させた水性インクが一般的であり、水分蒸発によるインクの乾燥を抑え、かつインクの粘度を調整する目的で、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類やこれらのグリコール類のモノアルキルエーテル等の化合物;グリセリン等のヒドロキシ基を分子内に有する溶剤;及びカルボキシ基を分子内に有する高分子化合物;等よりなる群から選択される添加剤がインク中に添加されている。しかし、反応染料は、その染料分子中に存在する繊維と反応する反応性の基が、繊維中に存在するヒドロキシ基と反応することにより、該繊維に固着する。このため、反応染料を含有するインクに上記の溶剤等を添加すると、インクの保存中や、捺染後に染料の固着の目的で行われる熱による染料の固着工程において、上記の溶剤等が有するヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基等と反応染料とが反応してしまい、染料の繊維への固着率が低下してしまうという問題が生じる。従って、反応染料インク中に添加する溶剤等は、染料との反応性が低いものを選択する必要があり、そのような溶剤等が提案されてきた。その具体例として、従来、チオジグリコール(特許文献1)、プロピレングリコール(特許文献2)、1,3−ブタンジオール(特許文献3)、グリセリンのEO付加物(特許文献4)、ポリプロピレングリコール(特許文献5)などが知られている。
一方、近年では工業用の高耐久性のインクジェットヘッド及びそれらが搭載された高速プリンタが開発され、このような機器で使用するインクの物性としては、特許文献5に記載されているように8〜20mPa・s程度の、通常よりもより高い粘度範囲を有するインクが必要とされる。水性組成物等に使用可能な、従来から知られている粘度調整剤としては、例えば特許文献6乃至12に開示された粘度調整剤が挙げられる。これらの特許文献の中には、水に不溶な顔料等を含有する水性組成物を開示するものも含まれるが、色素として反応染料を用いる例は知られていない。特許文献6には、水分散性改質ポリウレタンの製法が開示されている。
特許文献7には、水性組成物用の濃化剤として特定の合成ポリマー及び、該ポリマーと顔料等を含有するブルーペンインク等が開示されている。
特許文献8には、pH応答性の濃化剤として有用とされる、特定の水性エマルジョン共重合体を含有する液性エマルジョンポリマーが開示されている。
特許文献9には、濃化剤として有用とされる水性組成物が開示されている。
特許文献10には、粘度調製剤として使用できる、水性機能性液体が開示されている。
特許文献11には、添加により系の粘性を変える、水性組成物用レオロジー添加剤として有用な組成物が開示されている。
特許文献12には、特定の樹脂と、水と、実質的に顔料である着色剤と、粘性調整剤等とを含む、インク組成物が開示されている。
特開平5−246132号公報(実施例1) 特開2002−241639号公報(実施例3) 特開2003−306627号公報(実施例2) 特開2001−146561号公報 特表2005−520015号公報 特許第2848563号 米国特許第4226754号 米国特許第4384096号 米国特許第4138381号 米国特許第4668410号 特開平8−225618号公報 特許第3918554号
反応染料インクに添加できることが知られている従来の溶剤を用いたインクでは、高粘度のインクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの吐出安定性、インク中の染料の安定性及び、セルロース系繊維に対する染料の固着性に問題があった。本発明は、工業用プリンタ用途として好適な、吐出安定性に優れ、かつインクの保存安定性及びセルロース系繊維への固着性に優れた反応染料インクの提供を目的とする。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも一種類の反応染料、粘度調整剤及び水を含有し、特定の粘度範囲を有する溶液状のインク組成物が、上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、
1)
少なくとも一種類の反応染料、粘度調整剤及び水を含有する溶液のインク組成物であって、25℃における該インク組成物の粘度が10〜20mPa・sの範囲であるインク組成物、
2)
粘度調整剤が、レオレート204、同205、同208、同210、同212、同216、同244、同255、同266、同278、同288、同300、同310、同350よりなる群から選択される少なくとも1種類の粘度調整剤である上記1)に記載のインク組成物、
3)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記1)又は2)に記載のインク組成物、
4)
インク組成物の総質量において、0.1〜2質量%のpH調整剤をさらに含有する上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
5)
pH調整剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである上記4)に記載のインク組成物、
6)
反応染料がモノクロルトリアジン系の反応染料である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物、
7)
上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物を、インクジェットプリンタを用いてセルロース系繊維に付与する工程と、該工程により付与したインク組成物中の染料を熱により前記セルロース系繊維に反応固着させる工程と、前記セルロース系繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程とを含むセルロース系繊維の捺染方法、
8)
1種類以上の糊材、アルカリ性物質、及びヒドロトロピー剤を含む水溶液を、インク組成物を付与する前の前記セルロース系繊維に含浸させる、繊維の前処理工程をさらに含む上記7)に記載のセルロース系繊維の捺染方法、
に関する。
本発明の反応染料インク組成物、及びこれをインクとして使用するセルロース系繊維の捺染方法により、高粘度インクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの吐出安定性に優れ、かつインクの保存安定性及び、セルロース系繊維への染料の固着性に優れたインク組成物を提供することができた。
本発明のインク組成物は、少なくとも一種類以上の反応染料を色素として含有し、さらに粘度調整剤と水を含有する、溶液の水性インク組成物である。該インク組成物の粘度は、25℃において10〜20mPa・sの範囲であり、特に工業用のインクジェット捺染用インクとして好適な、反応染料インク組成物である。
本発明のインク組成物に用いられる染料は、反応染料であれば特に制限はないが、繊維と反応する反応性の基が、モノクロルトリアジニル基である染料、すなわち、モノクロルトリアジン系の反応染料であることが好ましい。反応染料の具体例としては、例えばC.I.Reactive Yellow 2、3、18、81、84、85、95、99、102等のイエロー系の染料;C.I.Reactive Orange 5、9、12、13、35、45、99等のオレンジ系の染料;C.I.Reactive Brown 2、8、9、17、33等のブラウン系の染料;C.I.Reactive Red 3、3:1、4、13、24、29、31、33、125、151、206、218、226等のレッド系の染料;C.I.Reactive Violet 1、24等のバイオレット系の染料;C.I.Reactive Blue 2、5、10、13、14、15、15:1、49、63、71、72、75、162、176等のブルー系の染料;C.I.Reactive Green 5、8、19等のグリーン系の染料;C.I.Reactive Black 1、8、23、39等のブラック系の染料;等が挙げられる。これらは単独または2種類以上を併用しても良い。
前記染料においてはブルー系染料を主体とし、オレンジ系染料及びレッド系染料を配合した混合染料もブラック系染料として用いることができる。また該ブラック系染料には色調調整の目的で、更に他の色相の反応染料を含んでも良い。
1つ(1色)のインク組成物中に含有する染料の種類としては、通常1乃至7、好ましくは1乃至6、さらに好ましくは1乃至5種類である。
これら反応染料は粉末状あるいは塊状のもの、乾燥されたもの又はウエットケーキのもの等の、種々の形状又は性状のものを使用することができる。市販のこれら反応染料には、工業染色用粉末、捺染用液状品、インクジェット捺染用などの各種の品質があり、製造方法、純度等がそれぞれ異なる。本発明のインク組成物は、保存安定性及びインクジェットプリンタからの吐出精度への悪影響を少なくするため、できるだけ不純物の少ない材料を使用して調製するのが好ましい。一般に、市販されている反応染料には、塩化ナトリウム等の無機塩が混入していることが多い。又、特に精製操作を行わない水等は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含むため、このような水等を該インク組成物の調製時に使用した場合にも、微量ながら該イオン等が混入する。上記の無機塩及び金属イオンを含めて、本明細書においては便宜上、「無機不純物」と以下記載する。これらの無機不純物は、染料のインク等に対する溶解度及び貯蔵安定性を著しく悪くするだけでなく、インクジェットプリンタヘッドの腐食及び磨耗等の原因ともなる。これらの無機不純物を除去するために限外濾過法、逆浸透法、イオン交換法等の公知の方法を利用し、インク組成物中に含有する無機不純物をできるだけ除去することが望ましい。インク組成物の総質量中に含有する無機不純物の量は、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、下限は該不純物の分析機器における検出限界以下、即ち0質量%でよい。そして、無機不純物を除去した後、希釈または濃縮により所望の染料濃度に調整し、インク組成物を得るのがよい。本発明のインク組成物は、その総質量に対して、反応染料を通常0.5〜35質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%含有する。
本発明のインク組成物に含有する粘度調整剤としては、例えば、エレメンティス・ジャパン社製、水性会合型シックナー レオレート(Rheolate)が挙げられる。レオレートは、優れた流動性、レベリング性、塗膜形成性を与えるために、また、塗料、インク、接着剤、シーリング剤など各種のラテックスを含む系においてローラースパッターを最小限に抑えるために使用できることが知られており、複数の製品が市販されている。市販のレオレートとしては、レオレート204、同205、同208、同210、同212、同216、同244、同255、同266、同278、同288、同300、同310、同350等が挙げられ、この群から選択される少なくとも1種類を粘度調整剤として使用する。
本発明のインク組成物は、上記の群から選択される粘度調整剤の複数のものを含有しても良いが、単独で含有するのが好ましく、レオレート212又は同350を含有するのがより好ましい。
本発明のインク組成物において、粘度調整剤の含有量は、インク組成物の総質量に対して、おおよそ0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、7〜18質量%が特に好ましい。
上記粘度調整剤は、本発明のインク組成物の粘度の調整を目的として使用するものである。該調整剤は、本発明のインク組成物に色素として含有する反応染料と反応することなく、該インク組成物の粘度を、高速での吐出応答性等を要求される工業用インクジェットヘッドに適する上記の値の範囲に調整することを可能とする。
本発明のインク組成物は、工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの使用時において、高速での吐出応答性を改善することを目的とし、25℃における粘度がE型粘度計にて測定したときに通常10〜20mPa・s、好ましくは11〜20mPa・s、さらに好ましくは12〜20mPa・sの範囲である。
より詳細には、使用するプリンタの吐出量、応答速度、インク液滴の飛行特性、及び該インクジェットヘッドの特性などを考慮し、おおよそ上記の範囲において、適切な物性値に調整するのがよい。
本発明のインク組成物は水溶性有機溶剤を含有しても良い。該水溶性有機溶剤は、粘度調整剤としての機能を有する場合もあり、各種の工業用インクジェットヘッドに対応するように、個々のインクジェットヘッドに最適な粘度に、本発明のインク組成物の粘度を微調整する目的で使用することができる。また、乾燥防止剤としての機能を有する場合もあり、インクの乾燥による固形物の発生を防止する効果を示すこともあるため、本発明のインク組成物は、水溶性有機溶剤を含有する方が好ましい。該水溶性有機溶剤を含有する場合には、本発明のインクに含有する反応染料の、該インク組成物に対する溶解度を妨げないもの;該反応染料が有する繊維と反応する反応性の基と反応しないもの;及び、該反応性の基の分解を促進しないもの;等の条件を適宜考慮し、水溶性有機溶剤の種類等を選択するのがよい。
水溶性有機溶剤としてはノズルでの目詰まり防止等の目的で湿潤効果の高いものが好ましい。
上記のような水溶性有機溶剤としては多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2〜3個有するC2−C6多価アルコール及び、もしくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2−C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中ではアルコール性水酸基を2〜3個有するC2−C6多価アルコール及びピロリドン類が好ましい。
水溶性有機溶剤の具体例としては、グリセリン、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のアルコール性水酸基を2〜3個有するC2−C6多価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のモノ、ジ又はトリC2−C3アルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリC2−C3アルキレングリコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;等が挙げられる。これらの中ではエチレングリコール、プロピレングリコール及び2−ピロリドンが好ましい。
水溶性有機溶剤は、単独で使用しても併用してもよいが、併用するのが好ましい。
水溶性有機溶剤の使用量は、本発明のインク組成物の総質量に対して、通常0〜50質量%、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
本発明のインク組成物は、pH調整剤をさらに含有するのが好ましい。該pH調整剤は、本発明のインク組成物のpHを、おおよそ7から10の範囲に調整できるものであれば特に限定されない。具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の有機アミン、好ましくは、モノ、ジ、トリ又はトリス(ヒドロキシC1−C4アルキル)アミン等;が挙げられる。これらのうち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが特に好ましい。pH調整剤は、インク組成物の総質量において、通常0.1〜2質量%、好ましくは0.3〜1.5質量%使用するのがよい。
pH調整剤は、本発明のインク組成物が含有する反応染料の、インク組成物中での分解防止等の目的で使用される。
本発明のインク組成物は、上記の水溶性有機溶剤及びpH調整剤以外に、例えば界面活性剤、防腐防黴剤等の他のインク調製剤をさらに含有してもよい。他のインク調製剤を含有する場合、その含有量は合計で、本発明のインク組成物の総質量に対して、0〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。
界面活性剤としては、アニオン、両性、カチオン、及びノニオンの各界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などが挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体などが挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレンアルコール系;他の具体例として、例えば、日信化学社製 商品名サーフィノール104、82、440、465等のサーフィノール系;オルフィンSTG;等が挙げられる。
界面活性剤としてはサーフィノール系が好ましく、サーフィノール440がより好ましい。
防腐防黴剤としては例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ピリジンチオン−1−オキサイドナトリウム、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、アベシア社製プロキセルGXL等が挙げられる。これらのうち、プロキセルGXLが好ましい。
本発明のインク組成物は上記各成分を適宜、攪拌などそれ自体公知の方法で水に混合することによって調製することができる。
本発明のインク組成物は、その総質量において、色素として少なくとも一種類以上の反応染料、粘度調整剤、及び水を含有する。本発明のインク組成物は、これらに加えて水溶性有機溶剤を含有するのが好ましく、さらにpH調整剤を含有するのがより好ましく、必要に応じて他のインク調製剤を含有してもよい。残部は水である。
本発明のインク組成物を調製する方法を以下に記載する。本発明のインク組成物は必要に応じて上記成分を混合し、染料等の固形分が溶解するまで攪拌することにより、溶液として得られる。本発明のインク組成物を製造するにあたり、インク調製剤等の各成分を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物を調製するにあたり、用いる水はイオン交換水又は蒸留水等不純物が少ない物が好ましい。
さらに、必要に応じメンブランフィルター等を用いて精密濾過を行い、インク組成物より夾雑物を除いてもよく、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミクロン〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン〜0.1ミクロンである。
本発明のインクジェット捺染方法は、本発明のインク組成物をインクとして用いてセルロース系繊維に捺染する方法である。その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。セルロース系繊維としては、セルロース系繊維を主体とするものが好ましく、例えば木綿、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生のセルロース繊維、及びこれらを含有する混紡繊維等があげられる。セルロース系繊維は布帛であっても良い。
本発明のインク組成物を用いて、セルロース系繊維に捺染する方法としては、例えば、インクジェットプリンタを用いて該インク組成物中の染料をセルロース系繊維に付与する工程と、該工程により付与したインク組成物中の染料を熱により前記セルロース系繊維に反応固着させる工程と、前記セルロース系繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程とを含む、3工程を順次行う方法等が挙げられる。
さらに、1種類以上の糊材、アルカリ性物質、及びヒドロトロピー剤を含む水溶液を、インク組成物を付与する前のセルロース系繊維に含浸させる、繊維の前処理工程を含むのが好ましい。
前記の前処理工程としては、1種類以上の糊剤、アルカリ性物質、ヒドロトロピー剤を含む前処理剤を水溶液として前処理液とし、セルロース系繊維に含浸させて付与することが好ましい。必要に応じて、さらに還元防止剤を前処理剤として加えてもよい。これらの前処理剤は単独で用いてもよいし、併用してもよいが、併用するのが好ましい。
糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等が挙げられる。好ましくはアルギン酸ソーダ等である。
前記アルカリ性物質としては、例えば無機酸または有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物があげられる。特に無機又は有機酸のアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が適している。好ましくは、ナトリウム化合物及びカリウム化合物である。このような物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、蟻酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
該ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等のアルキル尿素等が挙げられ、好ましくは尿素である。
該還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
前処理液の総質量における前処理剤混合比率は、例えば、いずれも質量基準で、糊剤が0.5〜5%、アルカリ性物質が0.5〜5%、ヒドロトロピー剤が1〜20%、必要に応じて還元防止剤が0〜5%であり、残部が水である。
前処理剤の布帛への付与は、たとえばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
インクジェットプリンタを用いて該インク組成物中の染料をセルロース系繊維に付与する工程としては、本発明のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、これをインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、セルロース系繊維に付着させる通常の方法で捺染すればよい。
染料をセルロース系繊維に反応固着させる工程としては、例えば、インク組成物をセルロース系繊維に付与した後、該繊維を常温〜150℃に0.5〜30分放置し予備乾燥させ、その後、該繊維にスチーミング処理を施す方法等が挙げられる。その条件は、湿度80〜100%、温度95〜105℃の環境に、5〜40分、該繊維を置くことが好ましい。
染料を反応固着させた後、前記セルロース系繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程としては、温水により該繊維を洗浄することが好ましく、該温水中には界面活性剤を含んでもよい。
その後、該繊維を50〜120℃で、5〜30分乾燥することにより捺染物を得ることができる。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。実施例において特に断りがない限り、「部」は重量部を、「%」は質量%をそれぞれ意味する。
また、本発明のインク組成物に含有する粘度調整剤としては、いずれも市販品である前記エレメンティス・ジャパン社製、商品名レオレート350、及び商品名レオレート212を使用した。
実施例1〜8
下記する各実施例に記載の成分を混合し固形分が溶解するまでおおよそ1時間攪拌することにより、それぞれのインク組成物を得た後、0.45μmのメンブランフィルター(商品名、セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより、各実施例のインクを調製した。
実施例1(イエローインク)
C.I. Reactive Yellow 2 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート350 10部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 66.3部
実施例2(マゼンタインク)
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート350 10部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 66.3部
実施例3(シアンインク)
C.I. Reactive Blue 15:1 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート350 10部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 66.3部
実施例4(ブラックインク)
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート350 10部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 66.3部
実施例5(イエローインク)
C.I. Reactive Yellow 2 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート212 15部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 61.3部
実施例6(マゼンタインク)
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート212 15部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 61.3部
実施例7(シアンインク)
C.I. Reactive Blue 15:1 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート212 15部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 61.3部
実施例8(ブラックインク)
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
レオレート212 15部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 61.3部
比較例1〜10
粘度調整剤として、レオレートの代わりに、従来から使用されてきたグリセリン、ポリグリセリン750(平均分子量750のポリグリセリン、阪本薬品工業株式会社製)、ポリプロピレングリコール400、プロピレングリコールを適宜使用する以外は上記の各実施例と同様にして、下記の組成の各比較例のインクをそれぞれ調製した。
比較例1(マゼンタインク)
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
グリセリン 25部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例2(マゼンタインク)
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
ポリグリセリン750 25部
(平均分子量750のポリグリセリン、阪本薬品工業株式会社製)
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例3(マゼンタインク)
以下の成分を混合する以外は、各実施例と同様にしてインク組成物を得ようと試みたが、この組成とした場合には染料が溶解せず、インク組成物を調製することができなかった。
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
ポリプロピレングリコール400 25部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例4(マゼンタインク)
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
プロピレングリコール 35部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例5(マゼンタインク)
以下の成分を混合する以外は、各実施例と同様にしてインク組成物を得ようと試みたが、この組成とした場合には染料が溶解せず、インク組成物を調製することができなかった。
C.I. Reactive Red 31 10部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
プロピレングリコール 70部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 16.3部
比較例6(ブラックインク)
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
グリセリン 25部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例7(ブラックインク)
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
ポリグリセリン750 25部
(平均分子量750のポリグリセリン、阪本薬品工業株式会社製)
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例8(ブラックインク)
以下の成分を混合する以外は、各実施例と同様にしてインク組成物を得ようと試みたが、この組成とした場合には染料が溶解せず、インク組成物を調製することができなかった。
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
ポリプロピレングリコール400 25部
プロピレングリコール 10部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例9(ブラックインク)
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
プロピレングリコール 35部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 51.3部
比較例10(ブラックインク)
以下の成分を混合する以外は、各実施例と同様にしてインク組成物を得ようと試みたが、この組成とした場合には染料が溶解せず、インク組成物を調製することができなかった。
C.I. Reactive Orange12 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Red 3:1 2.5部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
C.I. Reactive Blue 176 5.0部
(日本化薬株式会社製 モノクロルトリアジン系反応性染料)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.5部
プロピレングリコール 70部
2−ピロリドン 3部
サーフィノール440 0.1部
プロキセルGXL 0.1部
イオン交換水 16.3部
上記のようにして得られた実施例1〜8及び比較例1、2、4、6、7及び9のインク又はこれを用いて以下のようにして調製した染布について、下記する評価を行った。なお、上記の通り、比較例3、5、8及び10についてはインクが調製できなかったため、これらについては染布の調製及び評価等を行わなかった。
試験染布の調製
各実施例および比較例のインクはそれぞれ粘度が異なる等の理由により、同一の条件でインクジェットプリンタにより布帛に捺染(印刷)を行った場合、下記表1における吐出性試験結果に示すとおり、比較例のインクにおいては良好に印刷することができないものが認められた。このため均一に印刷された試験染布を調製するため、実施例1によって調製した本発明のインクを用いて下記組成の色糊を調整し、オートスクリーン印刷装置(RSP−510VM型、辻井染機工業株式会社製)を用いて下記色糊のベタ柄を木綿布に印捺し、60〜80℃で中間乾燥後、100〜103℃で10分間スチーミング処理を行った。水洗後、95〜100℃の沸騰水で10分間洗浄し、水洗、乾燥することにより試験染布を得た。この試験染布を「染布1」とする。

色糊の組成
実施例1のインク 10部
5%アルギン酸ナトリウム水溶液 50部
尿素 5部
炭酸水素ナトリウム 2部
イオン交換水 33部

実施例1のインクの代わりに、実施例2〜8のインク、および比較例1、2、4、6、7及び9のインクを用いる以外はそれぞれ上記と同様にして、各実施例のインク及び各比較例のインクを含有する色糊により印捺された各試験染布をそれぞれ得た。これらをそれぞれ「染布2〜8」及び「比較染布1、2、4、6、7及び9」とする。
標準染布の調整
実施例1で調製したインクの代わりに、実施例1と同一かつ同量の染料をイオン交換水に溶解した10%染料濃度の水溶液を用いる以外は染布1の調製と同様にして、標準染布を調製した。この標準染布を「標準染布1」とする。
実施例1と同一かつ同量の染料の代わりに、実施例2〜8及び比較例1、2、4、6、7及び9と同一かつ同量の染料を用いる以外は標準染布1の調製と同様にして、「標準染布2〜8」及び「比較標準染布1、2、4、6、7及び9」をそれぞれ調製した。
各インク及び各染布の評価
(1)固着率
上記のようにして得た各試験染布の染料固着率について評価を行った。該固着率は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて、試験染布等のマクベス反射濃度を測色することにより測定した。
試験終了後、上記の測色機を用いて測色し、各固着率を以下の式で求めた。
固着率=(A/B)×100(%)
A:各染布又は各比較染布の反射濃度。
B:各標準染布又は各比較標準染布の反射濃度。

固着率の試験結果は、以下の基準で評価を行った。
○ :95%以上
△ :90%以上で95%未満
× :90%未満

結果を下記表1に示す。
なお、染料の固着率は、インク中に含有する染料と水以外の他の成分、すなわち水溶性有機溶剤等の種類により影響を受け、変化する場合のあることが知られている。従って、本固着率の評価を行うに当り、他の成分の影響による該固着率の変化を排除するため、各標準染布及び各比較標準染布は他の成分を含有しない染料水溶液を用いることとした。一般に、該染料水溶液を使用して染色した染布の反射濃度は、他の成分をさらに含有するインクを使用して染色した場合と比較して最も大きい値(濃い濃度)を示す。また、該染料水溶液中における染料濃度は、対応する各実施例又は各比較例のインクと同一の染料濃度とするため10%に調製した。
(2)粘度
実施例1〜8、及び比較例1、2、4、6、7及び9のインクの粘度を25℃においてE型粘度計を用いて測定した。結果を下記表2に示す。なお、表中の数値の単位はmP・sである。
(3)吐出性
アルギン酸ナトリウム、尿素、炭酸水素ナトリウム等を含む水溶液を用いてパッド法にて前処理を行った木綿布に、実施例1〜8、及び比較例1、2、4、6、7及び9のインクを使用して工業用インクジェットヘッド(NOVA、フジフィルムダイマティックス社製)を搭載したオンデマンド型インクジェットプリンタ(アポロ2プリンターシステム、フジフィルムダイマティックス社製)にてプリントし、各インクの吐出性を評価した。吐出性は、ITI Web Transport(インクジェット印刷布搬送機、ITI Corporation社製)を用い、7.5cm幅ロール状の木綿布に、上記プリンタの初期設定で印字できる基本パターンで2メートルの長さの連続プリントを行い、得られたプリント画像の状態により、試験結果は以下の基準で評価を行った。
○ :最後まで良好にプリントできる。
△ :最後までプリントはできるが、プリント画像に僅かに散り及びスジ欠けが確認できる。
× :プリント画像の散り、スジ欠けが激しい。
結果を下記表2に示す。
(4)保存安定性
実施例1〜8、及び比較例1、2、4、6、7及び9のインクの保存安定性を評価した。保存安定性は常温で1時間攪拌し、一週間後に色材の沈降の有無及びインクの状態を評価した。試験結果は、以下の基準で評価を行った。
○ :色材の沈降、及びインクのゲル化が確認できない。
△ :色材の沈降が僅かにあるが、インクのゲル化は確認できない。
× :色材の沈降が相当あるか、又はインクのゲル化が確認された。
結果を下記表2に示す。
表1
固着率
染布1 ○
染布2 ○
染布3 ○
染布4 ○
染布5 ○
染布6 ○
染布7 ○
染布8 ○
比較染布1 ×
比較染布2 ×
比較染布4 ○
比較染布6 ×
比較染布7 ×
比較染布9 ○
表2
粘度 吐出性 保存安定性
実施例1 15.2 ○ ○
実施例2 13.0 ○ ○
実施例3 14.7 ○ ○
実施例4 14.6 ○ ○
実施例5 16.1 ○ ○
実施例6 15.1 ○ ○
実施例7 15.0 ○ ○
実施例8 15.6 ○ ○
比較例1 5.4 × ○
比較例2 7.9 △ ○
比較例4 5.6 × ○
比較例6 6.1 × ○
比較例7 9.0 △ ○
比較例9 6.1 × ○
表1の結果から明らかなように、本発明のインク組成物より調製した各染布は、いずれも良好な固着率を示したが、比較染布1、2、6及び7は固着率において大きく劣るものだった。
また各実施例のインクは工業用インクジェットヘッドに好適な10〜20mPa・sの粘度範囲に含まれ、いずれも吐出性が良好であるが、各比較例はmP・sいずれも粘度が不十分であり、吐出性に劣るものであることが判明した。
以上の結果から本発明のインク組成物は吐出安定性、染料の固着性、及び保存安定性のいずれにも優れ、工業用インクジェットヘッドに好適なインク組成物である。
本発明のインク組成物はインクジェット捺染用、特に工業用インクジェットヘッドを使用するインクジェット捺染用のインクとして好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも一種類の反応染料、粘度調整剤及び水を含有する溶液のインク組成物であって、25℃における該インク組成物の粘度が10〜20mPa・sの範囲であるインク組成物。
  2. 粘度調整剤が、レオレート204、同205、同208、同210、同212、同216、同244、同255、同266、同278、同288、同300、同310、同350よりなる群から選択される少なくとも1種類の粘度調整剤である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. インク組成物の総質量において、0.1〜2質量%のpH調整剤をさらに含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. pH調整剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである請求項4に記載のインク組成物。
  6. 反応染料がモノクロルトリアジン系の反応染料である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物を、インクジェットプリンタを用いてセルロース系繊維に付与する工程と、該工程により付与したインク組成物中の染料を熱により前記セルロース系繊維に反応固着させる工程と、前記セルロース系繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程とを含むセルロース系繊維の捺染方法。
  8. 1種類以上の糊材、アルカリ性物質、及びヒドロトロピー剤を含む水溶液を、インク組成物を付与する前の前記セルロース系繊維に含浸させる、繊維の前処理工程をさらに含む請求項7に記載のセルロース系繊維の捺染方法。
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