JP6801305B2 - インクジェット捺染用インク組成物、インクセット及び記録方法 - Google Patents

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本発明は、インクジェット捺染用インク組成物、該インク組成物を備えるインクセット及び記録方法に関する。
従来、布帛などに画像を印捺する方法として、スクリーン捺染法、ローラー捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が用いられている。しかしながら、画像デザインの変更毎に、高価なスクリーン枠、彫刻ローラー、転写紙等を用意する必要があるため、多品種少量生産にはコスト的に不向きであり、ファッションの多様化に迅速に対応することが困難であった。
こうした従来の捺染方法の欠点を解消するために、スキャナーで見本を読み取り、コンピューターで画像処理を行い、その結果をインクジェット記録方式で印捺する技術(以下、「インクジェット捺染」ともいう。)が開発されている。インクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、その機構が比較的簡便で安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成することができる。このようなインクジェット記録方式を適用すれば、従来の捺染方式で必要とされていた版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できることから、納期の短縮、多品種少量生産への対応等が可能になる。また、インクジェット捺染によれば、画像形成時に必要量のインクのみを使用するため、従来のスクリーン捺染等に比較して、廃液が少ない等の環境的利点も有する。
ところで、インクジェット捺染用インクでは、直接染料、酸性染料、反応性染料等の色素成分が用いられている。これらの中でも反応性染料は、最も歴史の新しい染料種属である。反応性染料は、繊維−染料間の種々の結合の中で最も結合エネルギーが高く安定な共有結合で染着するため、非常に優れた湿潤堅牢度を示す。また、色相面でも鮮明色から濃色まで幅広く染色可能であるため、直接染料や酸性染料に代わりセルロース繊維用染料中最大の消費量の染料となっている。
例えば、セルロース系繊維に対して優れた発色性かつヘッドの目詰まり性に優れるインクジェット捺染用ブラックインクが提案されている(特許文献1参照)。また、布帛を黒色に染色するための反応性染料を含むインクジェット捺染用ブラックインクとしては、C.I.リアクティブブラック39(以下、「RB39」ともいう。)を含むインクジェット捺染用ブラックインクが提案されている(特許文献2〜4参照)。また、黒として良好な色相を有し、記録物に対するブロンズ光沢の抑制に優れるインクジェット記録用染料インクが提案されている(特許文献5参照)。
特開平8−259866号公報 特開2011−84680号公報 特開2015−119297号公報 特開平9−279488号公報 特開2014−198816号公報
しかしながら、特許文献2に開示されているRB39は、黒色というよりはむしろ濃紺色(a<0)の色相を呈しており、黒色としての発色性が低い。そこで、黒色としての発色性を高めるためにRB39の添加量を増やしていくと、ノズルの目詰まりが生じやすく、吐出安定性が低下するという課題があった。また、RB39の添加量を増やしていくと、カートリッジやプリンタ流路器材との接触によってアタック性を引き起こし、異物が発生しやすくなるという課題もあった。
また、黒色としての発色性を高めるためにRB39の添加量を増やしていくと、ODが頭打ちとなったり、黒色相の再現性が悪くなる(彩度cが高くなる)という課題があった。その一方で、市場からは、青味を帯びた黒色や、赤味を帯びた黒色等の調色を実施したいというニーズがあり、容易にa方向の色相調整を可能とする手段が求められていた。
そこで、本発明に係る幾つか態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、布帛に印捺した場合に高発色性が得られ、インクの吐出信頼性(例えば吐出安定性、目詰まり回復性)に優れたインクジェット捺染用インク組成物を提供するものである。
また、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、布帛に印捺した場合に高発色で、黒色相の再現性に優れた黒色が得られるだけでなく、黒色の調色が容易となるインクセット及び記録方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物の一態様は、
下記式(1)で表される化合物と、Liと、Naとを含有することを特徴とする。
Figure 0006801305
適用例1のインクジェット捺染用インク組成物によれば、NaだけでなくLiを含有することにより、上記式(1)で表される化合物の水溶性が大幅に向上する。そのため、インク組成物全体に対する上記式(1)で表される化合物の含有量を増やすことが容易となり、より高い発色性を得ることができる。すなわち綿や麻のセルロース繊維とモノクロトリアジンとの共有結合、または、絹やウールのポリアミド繊維とスルフォン酸基とのイオン結合のいずれの場合も、Na塩のRB39のみを用いた場合に比べ、それぞれの繊維と化合物の結合基との結合確立が向上する為、結果として、高い発色性を得ることができる。
また、適用例1のインクジェット捺染用インク組成物によれば、NaだけでなくLiを含有することにより、水溶解性が向上し、ノズル等に付着した上記式(1)で表される化合物の水に対する再溶解性に優れるようになるため、良好な目詰まり回復性を実現で
きる。さらに、NaだけでなくLiを併用することにより、Liのみの場合と比較して、Li由来の異物発生によるノズルや流路の詰まり(インクの供給不良)を防止し、良好な吐出安定性を確保することもできる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット捺染用インク組成物において、
前記式(1)で表される化合物と前記Liとをモル基準で1:0.4〜1:3.5となる量比で含むことができる。
適用例2のインクジェット捺染用インク組成物によれば、布帛に印捺した場合により高発色性が得られ、インクの吐出信頼性がさらに良好となる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインクジェット捺染用インク組成物において、
前記化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることができる。
Figure 0006801305
(ここで、Mはカウンターイオンを表し、NaもしくはLiのいずれかであるが、5つ存在するMのうち少なくとも1つはLiである。)
適用例3のインクジェット捺染用インク組成物によれば、布帛に印捺した場合により高い発色性が得られ、目詰まり回復性や吐出安定性がさらに良好となる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染用インク組成物において、インク組成物の全質量に対して、前記式(1)で表される化合物又はその塩を10質量%以上含有することができる。
適用例4のインクジェット捺染用インク組成物によれば、黒色インクとして良好な色相を有し、布帛に印捺した場合にさらなる高発色性が得られる。
[適用例5]
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染用インク組成物と、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物とを備えることを特徴とする。
Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物でのみ構成されたインクセットは、各インクの水に対する再溶解性が低いため、付着したインクによってキャップ(吸引経路)が閉塞し、クリーニング時の吸引力が低下し、目詰まり回復性が劣る場合があるが、上記のインクジェット捺染用インク組成物と、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物とを併用するインクセットとすることで、上記のインクジェット捺染用インク組成物の水に対する再溶解性に優れるため、キャップに付着したインクを再溶解でき、キャップの閉塞がなくなり、クリーニング時の吸引力が低下しないので、良好な目詰まり回
復性を実現できる。また、色材含有量の多い傾向にある濃色インクはLiを有し、色材含有量の少ない傾向にある淡色インクはLiを含まなくてもよいことで、各インクによる目詰まり回復性の差を均一化でき、同一キャップ(吸引経路)でのクリーニング手段を用いることが可能となる。
[適用例6]
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染用インク組成物と、前記インク組成物のa方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物とを備えることを特徴とする。
上記のインクジェット捺染用インク組成物と、a方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物と、を併用したコンポジットブラック記録することで、a方向の色域が拡張されるので、綿絹等の布帛の違いによらず、黒色画質(高発色、黒色相)をさらに向上できる。また、このインクセットによれば、赤味を帯びた黒色や青味を帯びた黒色等の黒色の調色を容易に実施することが可能となる。
[適用例7]
適用例6のインクセットにおいて、
前記色材が、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブレッド3:1、C.I.リアクティブレッド24及びC.I.リアクティブレッド245よりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
方向の色相調整する色材が上記のマゼンタ染料であると、コンポジットブラック記録した場合に、綿絹等の布帛の違いによらず、黒色画質(高発色、黒色相)を特に向上できる。
[適用例8]
本発明に係る記録方法の一態様は、
適用例6または適用例7のインクセットを用いる記録方法であって、
黒色の入力に対して、染料固形分換算でa方向の色相調整する色材/ブラック染料=0.2〜0.8の割合で布帛に記録されることを特徴とする。
この記録方法によれば、a方向の色相調整する色材とブラック染料の割合を上記範囲としたコンポジットブラック記録を行うことで、綿絹等の布帛の違いによらず、黒色画質(高発色、黒色相)をさらに向上させることができる。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット捺染用インク組成物
本実施形態に係るインクジェット捺染用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、下記式(1)で表される化合物と、Liと、Naとを含有することを特徴とする。
Figure 0006801305
本実施形態に係るインク組成物は、インクジェット捺染用のブラックインクである。上記式(1)で表される化合物は、濃紺色ないし黒色の色相を呈する反応性染料である。上記式(1)で表される化合物のカウンターイオンが全てNaのものは、C.I.リアクティブブラック39(RB39)として知られている。本発明者らの研究により、このRB39のカウンターイオンの一部をNaからLiに置換することで、RB39の水に対する溶解性が大幅に向上することが明らかとなった。
この作用により、インク組成物全体に対する、上記式(1)で表される化合物の含有量を増やすことが容易となり、より高い発色性を得ることができる。すなわち綿や麻のセルロース繊維とモノクロトリアジンとの共有結合、また、絹やウールのポリアミド繊維とスルフォン酸基とのイオン結合のいずれの場合も染着しやすくなるため、Na塩のRB39のみを用いた場合に比べ、高い発色性を得ることができる。
また、上記式(1)で表される化合物がノズル等に付着することでノズルの目詰まりが生じ得るが、上記式(1)で表される化合物は、そのカウンターイオンの一部がLiを持つことで、水に対する溶解性が大幅に向上するため、上記式(1)で表される化合物の水に対する再溶解性が優れるようになるので、良好な目詰まり回復性を実現できる。さらに、異物発生によるノズルや流路の詰まり(インクの供給不良)を防止し、良好な吐出安定性を確保することもできる。
以下、本実施形態に係るインク組成物に含まれる成分について説明する。
1.1.反応性染料
本実施形態に係るインク組成物は、反応性染料として下記式(1)で表される化合物を含有する。また、本実施形態に係るインク組成物は、Na及びLiを含有する。
Figure 0006801305
本実施形態に係るインク組成物を調製する方法としては、以下の2つの方法(a)及び(b)が挙げられる。
(a)下記一般式(2)で表される化合物をインク組成物に添加する方法
Figure 0006801305
(上記一般式(2)において、Mはカウンターイオンを表し、NaもしくはLiのいずれかであるが、5つ存在するMのうち少なくとも1つはLiである。)
上記一般式(2)で表される化合物をインク組成物中に添加することにより、本実施形態に係るインク組成物を調製することができる。インク組成物に含まれる反応性染料が、5つのMの全てがLiである上記一般式(2)で示される化合物のみである場合には、インク中の成分がカートリッジやプリンタ流路器材との接触によってアタック性を引き起こし、溶出された成分とLiとが反応して不溶化することで、異物が発生しやすい。そのため、この場合にはインク組成物中にRB39またはNa源となる化合物を別途添加する必要がある。Na源となる化合物としては、例えば水酸化ナトリウム;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の水溶性ナトリウム塩;Naを含む他の反応性染料などが挙げられる。
本実施形態に係るインク組成物を最も簡便に調製する方法は、RB39と5つのMの全てがLiである上記一般式(2)で示される化合物とを混合する方法である。この方法によれば、インク組成物中に含まれる上記式(1)で表される化合物、Na及びLiの量比を規定しやすく、Li源となる化合物を別途添加する工程を省くことができる。
(b)RB39を含有するインク組成物にLi源となる化合物を添加する方法
RB39は、インク組成物中で電離して上記式(1)で表される化合物とNaとなる。したがって、インク組成物中にLi源となる化合物を別途添加することにより、本実施形態に係るインク組成物を調製することができる。Li源となる化合物としては、例えば水酸化リチウム;炭酸リチウム、クエン酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、ジスルホン酸二リチウム等の水溶性リチウム塩;Liを含む他の反応性染料などが挙げられる。
本実施形態に係るインク組成物にLi源の1種である水酸化リチウムなどを添加すると、インク組成物がアルカリ性となり、上記式(1)で表される化合物のトリアジン基の塩素が脱離して分解する場合がある。そのため、上記2つの方法のうち、方法(a)の方が好ましい。
本実施形態に係るインク組成物中における上記式(1)で表される化合物又はその塩の含有量は、特に限定されないが、10質量%以上であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、12質量%以上17質量%以下であることが特に好ましい。インク組成物中の上記式(1)で表される化合物又はその塩の含有量が前記範囲であれば、布帛に印捺した場合に高発色の黒色画像を形成することができる。
本実施形態に係るインク組成物中においては、式(1)で表される化合物とLiとをモル基準で、(式(1)で表される化合物:Li=)1:0.4〜1:3.5となる量比で含むことが好ましく、1:0.5〜1:3.2であることがより好ましく、1:0.
7〜1:2であることが特に好ましい。この量比であると、式(1)で表される化合物の水に対する溶解性が大幅に向上する傾向が見られ、布帛に印捺した場合により高い発色性が得られ、インクの目詰まり回復性や吐出安定性といった吐出信頼性がさらに良好となる。
また、本実施形態に係るインク組成物中においては、NaとLiとをモル基準で、(Na:Li=)0.5:1〜15:1となる量比で含むことが好ましく、2:3〜9:1であることがより好ましい。この量比であると、式(1)で表される化合物の水に対する溶解性が大幅に向上する傾向が見られ、布帛に印捺した場合により高い発色性が得られ、インクの目詰まり回復性や吐出安定性といった吐出信頼性がさらに良好となる。なお、本実施形態に係るインク組成物中のNa及びLiの含有量は、イオンクロマトグラフィーにより定量することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、上記式(1)で表される化合物以外の反応性染料をさらに含んでもよい。このような反応性染料としては、具体的には、C.I.リアクティブイエロー2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176;C.I.リアクティブオレンジ1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、99、107;C.I.リアクティブレッド3:1、2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235、245;C.I.リアクティブバイオレット1、2、4、5、6、22、23、33、36、38;C.I.リアクティブブルー2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236;C.I.リアクティブグリーン8、12、15、19、21;C.I.リアクティブブラウン2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46;C.I.リアクティブブラック5、8、13、14、31、34等を挙げることができる。
特に、本実施形態に係るインク組成物に含まれ得る、上記式(1)で表される化合物以外の反応性染料としては、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブレッド3:1、C.I.リアクティブレッド24及びC.I.リアクティブレッド245よりなる群から選択される少なくとも1種の反応性染料であることが好ましい。この場合、補色効果により、布帛に印捺した場合に黒色の発色性がより良好となる。
本実施形態に係るインク組成物中における反応性染料の総含有量は、特に限定されないが、例えば10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、12質量%以上24質量%以下であることがより好ましい。これにより、インク組成物の吐出安定性を確保しつつ、布帛に印捺した場合に黒色の発色性をより良好なものとすることができる。
1.2.水
本実施形態に係るインク組成物は、上記成分の他、水を含んでいてもよい。水は、反応性染料を分散させる分散媒として機能するものである。このように、水を含むことにより、インク組成物の粘度及び表面張力が、好ましい範囲に含まれるように好適に調整することができ、インク組成物のインクジェット方式による吐出性をさらに優れたものとすることができる。また、水は、インクジェット方式による吐出後に容易に除去することのできる成分であるため、捺染物の生産性を高める上でも重要である。また、水は、人体等に対する安全性が極めて高い物質であるため、捺染物の製造において、作業者の安全を確保する上でも重要である。
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。本実施形態に係るインク組成物中における水の含有量は、特に限定されないが、好ましくは50質量%以上90質量%以下、より好ましくは55質量%以上80質量%以下である。
1.3.水溶性溶剤
本実施形態に係るインク組成物は、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルからのインクの連続吐出安定性を向上させる観点から、水溶性溶剤を含んでいてもよい。このような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類等が挙げられる。また、これらの水溶性溶剤は、1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るインク組成物中における水溶性溶剤の含有量は、ノズルの目詰まり防止や滲み防止の観点から、好ましくは5質量%以上20質量%以下、より好ましくは8質量%以上18質量%以下、特に好ましくは10質量%以上15質量%以下である。
1.4.その他の成分
<界面活性剤>
本実施形態に係るインク組成物は、布帛への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点から、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、上記一般式(1)で表される化合物と布帛とがイオン結合により結合するため、その結合の阻害を防ぐ観点から、イオン性界面活性剤よりも非イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコールまたはアセチレンアルコール系界面活性剤が挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤を使用することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることで、さらに滲みが低減された高品質の捺染物を得ることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤の具体例としては、オルフィンE1004、E1010、PD001、PD002W、SPC;サーフィノール104、420、440、465、485、STG(以上、日信化学工業株式会社製);アセチレノールE00、E40、E100、LH(以上、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。本実施形態に係るインク組成物中における界面活性剤の含有量は、通常0.05質量%以上3質量%以下、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
<水分誘導剤>
本実施形態に係るインク組成物は、水分誘導剤を含んでいてもよい。水分誘導剤を含有することにより、後述するスチーム処理の際に布帛への水分導入を向上させることができ、その水分に反応性染料が追随するので、均一で高発色な捺染物を得ることができる。
水分誘導剤としては、尿素及び尿素誘導体が挙げられる。本実施形態に係るインク組成物中の水分誘導剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
<その他の添加剤>
本実施形態に係るインク組成物には、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、緩衝剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の3級アルカノールアミン)、または溶解助剤等のように、インクジェット捺染用インクにおいて通常用いることができる各種添加剤の1種または2種以上を含有させることができる。
1.5.インク組成物の製造及び物性
本実施形態に係るインク組成物は、上記した各成分を、任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。
本実施形態に係るインク組成物は、印捺品質とインクジェット捺染用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が25〜40mN/mであることが好ましく、28〜35mN/mであることがより好ましい。また、同様の観点から、インク組成物の20℃における粘度は、1.5〜10mPa・sであることが好ましく、2〜8mPa・s
であることがより好ましい。表面張力及び粘度を前記範囲内とするには、上述した水溶性溶剤や界面活性剤の種類、及びこれらと水の添加量等を適宜調整すればよい。
2.インクセット
2.1.第1実施形態
第1実施形態に係るインクセットは、上述のインクジェット捺染用インク組成物と、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物とを備えることを特徴とする。Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物でのみ構成されたインクセットは、各インクの水に対する再溶解性が低いため、付着したインクによってキャップ(吸引経路)が閉塞し、クリーニング時の吸引力が低下し、目詰まり回復性が劣る場合があるが、上記のインクジェット捺染用インク組成物と、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物とを併用するインクセットとすることで、上記のインクジェット捺染用インク組成物の水に対する再溶解性に優れるため、キャップに付着したインクを再溶解でき、キャップの閉塞がなくなり、クリーニング時の吸引力が低下しないので、良好な目詰まり回復性を実現できる。
第1実施形態に係るインクセットは、上述のインクジェット捺染用インク組成物の方がLiを含まないインクジェット捺染用インク組成物よりも反応性染料の含有量が多くなるようなインクセットであることが好ましい。すなわち、濃色インクは、発色性の観点で染料を多く含有する傾向にあることから、上述のインクジェット捺染用インク組成物であることが好ましく、淡色インクは、染料を多く含有する必要がないこと、またインク組成設計の自由度を高める観点から、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物が淡色インクであることが好ましい。
式(1)で表される化合物の含有量が多くなるとノズルの目詰まりが生じやすいが、上述のインクジェット捺染用インク組成物は、Liを含有することで、式(1)で表される化合物の水に対する溶解性及び再溶解性が大幅に向上している。そのため、濃色インクであっても良好な目詰まり回復性を実現できる。一方、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物が淡色インクであると、反応性染料の含有量がそもそも少ないのでノズルの目詰まりが起こりにくい。したがって、同一キャップ(吸引経路)でのクリーニング手段からなるインクジェット記録装置では、それぞれのインクによるノズルの目詰まりを略均等に回復させることができる。
Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物は、上記例示した反応性染料のうちLiを含まないものを含有する点以外は、上述のインクジェット捺染用インク組成物と同様である。
2.2.第2実施形態
第2実施形態に係るインクセットは、上述のインクジェット捺染用インク組成物と、前記インク組成物のa方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物とを備えることを特徴とする。上述のインクジェット捺染用インク組成物は、黒色ではあるが、やや青味(a<0)を呈している。そのため、黒色の発色性を向上させるために染料濃度を上げたとしても、ODが頭打ちとなり、黒色相の再現性が悪くなる(彩度cが高くなる)傾向がある。そこで、上述のインクジェット捺染用インク組成物と、前記インク組成物のa方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物と、を併用したコンポジットブラック記録することで、a方向の色域が拡張され、綿絹等の布帛の違いによらず、黒色画質(高発色、黒色相)をさらに向上できる。また、このインクセットによれば、a方向の色相調整が可能となることから、赤味を帯びた黒色や青味を帯びた黒色等の黒色の調色を容易に実施することができる。
方向の色相調整する色材としては、例えばC.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブレッド3:1、C.I.リアクティブレッド24及びC.I.リアクティブレッド245等のマゼンタ染料が挙げられる。これらの中でも、C.I.リアクティブレッド245であることが特に好ましい。a方向の色相調整する色材が上記のマゼンタ染料であると、コンポジットブラック記録した場合に、綿絹等の布帛の違いによらず、黒色画質(高発色、黒色相)を特に向上できる。
方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物は、色材としてa方向の色相調整する色材を含有する点以外は、上述のインクジェット捺染用インク組成物と同様である。
第2実施形態に係るインクセットは、上述のインクジェット捺染用インク組成物と、前記インク組成物のa方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物とを備えていれば特に制限されず、さらにイエローインク組成物、シアンインク組成物、ブルーインク組成物、オレンジインク組成物、レッドインク組成物等のインク組成物を備えていてもよい。
3.インクジェット捺染方法
次に、インクジェット捺染方法について説明する。インクジェット捺染方法では、上述したような本発明のインクジェット捺染用インク組成物を用いて、布帛等の被染色物を染色する。
インクジェット捺染では、例えば、インクジェットプリンターのインクカートリッジに上述したインクジェット捺染用インク組成物を充填し、被染色物にインクジェット捺染用インク組成物を吐出することにより捺染を行う。使用するインクジェットプリンターとしては、特に限定されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターを用いるのが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターには、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があり、いずれの記録方法を採用することもできる。
布帛に対してインクジェット捺染方法を実施する場合には、予め、前処理剤を用いて布帛を前処理しておくことが好ましい。布帛の前処理は、前処理剤中に布帛を浸漬するか、前処理剤を布帛に塗布または噴霧する等の手段を用いて、布帛に前処理剤を付着させた後、布帛を乾燥することにより行われる。布帛の前処理剤としては、水溶性高分子化合物等の糊剤を0.01質量%以上20質量%以下の量とアルカリ発生剤を1質量%以上5質量%以下の量とで含有させた水溶液を用いることができる。
糊剤としては、例えば、トウモロコシ、または小麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセルロース、またはヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系物質;アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、またはタマリンド種子等の多糖類;ゼラチン、またはカゼイン等のタンパク質;タンニン;リグニン等の天然水溶性高分子や、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系化合物、または無水マレイン酸系化合物等の合成水溶性高分子化合物を挙げることができる。上記のアルカリ発生剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。前処理剤には、必要に応じて、尿素、またはチオ尿素等の水分誘導剤、pH調整剤、還元防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、あるいは消泡剤等の各種添加剤を含有させることもできる。
また、インクジェット捺染を実施する場合には、布帛(被染色物)に対してインクジェ
ット捺染用インク組成物を吐出し、文字及び/又は画像を印刷した後に、染料固着処理を行う。染料固着処理方法としては、従来の捺染方法における染料固着処理方法と同様の方法、例えば、常圧スチーム法、高圧スチーム法、またはサーモフィックス法等を挙げることができる。染料固着処理後は、常法通り、布帛を水洗し、乾燥する。必要に応じソーピング処理(未固着の染料を熱石鹸液等で洗い落とす処理)を実施してもよい。
インクジェット捺染において好適に使用される布帛としては、ポリアミド系繊維及び/又はセルロース系繊維からなる布帛(例えば、織物、網物、または不織布)が挙げられる。セルロース系繊維としては、例えば綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、例えば絹、ウール、ナイロンが挙げられる。
上述の第2実施形態に係るインクセットを用いる記録方法では、黒色の入力に対して、染料固形分換算でa方向の色相調整する色材/ブラック染料=0.2〜0.8の割合で布帛に記録されることが好ましい。a方向の色相調整する色材/ブラック染料の割合は、0.24〜0.63であることがより好ましく、0.3〜0.6であることが特に好ましい。この記録方法によれば、a方向の色相調整する色材とブラック染料の割合を上記範囲としたコンポジットブラック記録を行うことで、a方向の色域が拡張され、綿絹等の布帛の違いによらず、黒色画質(高発色、黒色相)をさらに向上させることができる。
なお、一般に補色の場合は、色相調整するための染料が追加されて染料合計量が多くなるので、ノズルの目詰まりや吐出不良のリスクが大きくなる。しかしながら、上述の第2実施形態に係るインクセットを用いた記録方法では、上述のインクジェット捺染用インク組成物を用いるので、ノズル等に付着した上記式(1)で示される化合物の水に対する再溶解性に優れるようになり、ノズルの目詰まりを低減することができる。さらに、異物発生によるノズルや流路の詰まり(インクの供給不良)を防止し、良好な吐出安定性を確保することもできる。
したがって、上述の第2実施形態に係るインクセットを用いた記録方法によれば、目詰まりや吐出不良のリスクを抑えつつ、黒色画質(高発色、黒色相)が向上し、色調の調整も可能となる。
4.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
4.1.インクジェット捺染用インク組成物の評価
4.1.1.インクジェット捺染用インク組成物の調製
下記の表1に示す反応性染料、水溶性溶剤、界面活性剤を加え、さらにイオン交換水、その他の成分を加えて合計100質量%とした。これを十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表1に示す各インク組成物を調製した。
4.1.2.評価方法
<目詰まり回復性>
上記で製造したインク組成物をインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)のヘッド全列に充填し、全列正常に吐出することを確認した。その後、プリントヘッドを待機位置からずらして印字領域にて停止させた状態で、40℃20%RH環境下に3日間放置した。放置後、プリントヘッドを待機位置に戻して、クリーニング動作を行い、吐出が回復するまでにかかったクリーニング回数を数えた。評価基準は
、以下の通りである。その結果を表1に併せて示す。
(評価基準)
A:クリーニング1回以下で全ノズルが回復した。
B:クリーニング2回以上3回以下で全ノズルが回復した。
C:クリーニング4回以上6回以下で全ノズルが回復した。
D:クリーニング6回でも回復せず。
<吐出安定性>
上記で製造したインク組成物をMonna−Lisa(Robustelli社製、インクジェット捺染機)用インクカートリッジに充填し、これを60℃環境にて7日間放置した。この放置後のインクカートリッジを用いて、Monna−Lisa(ML180)にインクを充填し、ベタ印刷(720×720dpi全吐出、ノーマルモード)を実施し、ノズル抜け(不吐出)の有無を観察した。評価基準は、以下の通りである。その結果を表1に併せて示す。
(評価基準)
A:300mまで印字して、抜け無し。
B:300mまで印字して、ノズル抜けが全ノズル数に対して0%超1%以下。
C:300mまで印字して、ノズル抜けが全ノズル数に対して1%超3%以下。
D:300mまで印字して、ノズル抜けが全ノズル数に対して3%超。
また、これらについて、ヘッドを取り外し、ヘッド流路中のインクを純水で洗浄した後で、ノズル部分を光学顕微鏡で目視観察した。評価基準は、以下の通りである。その結果を表1に併せて示す。
(評価基準)
○:異物なし。
×:異物あり。
<発色性>
上記で製造したインク組成物をMonna−Lisa(Robustelli社製、インクジェット捺染機)に充填し、ベタ印刷(720×720dpi全吐出、ノーマルモード)を下記布帛に印字し、下記条件で後処理を行い、印捺布を作成した。この印捺布のOD値(DK)を測色した。その結果を表1に併せて示す。
(印捺布)
・綿:COT−PTR(FOR.TEX社製、反応性インク用綿布、前処理あり)
・絹:SK−PTR(FOR.TEX社製、反応性インク用絹布、前処理あり)
(後処理条件)
・綿:スチーム処理(102℃12分)+熱水洗浄10分+冷水洗浄10分
・絹:スチーム処理(102℃20分)+70℃水洗浄15分+冷水洗浄10分
(測色)
・Spectrolino(X−rite社製、分光濃度計)、光源:D65、ステータス:DIN_NB、視野角:2度、フィルタ:UV
4.1.3.評価結果
上記で製造された各インクジェット捺染用インク組成物の組成及び各評価結果を下表1に示す。下表1中の各インク組成の数値は、質量%を表す。
Figure 0006801305
なお、表1中の成分について以下に補足する。
・C.I.リアクティブブラック39:下記式(3)で表される化合物。上記式(1)で表される化合物のカウンターイオンが全てNaであるもの。
Figure 0006801305
・式(4)の染料:上記式(1)で表される化合物のカウンターイオンが全てLiであるもの。
Figure 0006801305
・式(5)の染料:式(1)で表される化合物のカウンターイオンが全てKであるもの。
Figure 0006801305
・式(6)で表される染料:式(1)で表される化合物のカウンターイオンが全てNH であるもの。
Figure 0006801305
・BES:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸
・オルフィンPD002W:商品名、日信化学工業株式会社製、ノニオン系界面活性剤
実施例1〜7のインク組成物によれば、綿や絹への高発色性が得られるだけでなく、目
詰まり回復性及び吐出安定性に優れていることがわかる。
また、NaだけでなくLiを併用することにより、上記式(1)で示される化合物の水溶性が大幅に向上することから、ノズル等に付着した上記式(1)で示される化合物の水に対する再溶解性に優れるようになるので、良好な目詰まり回復性を実現できたと推察される。さらに、NaだけでなくLiを併用することにより、異物発生によるノズルや流路の詰まり(インクの供給不良)を防止し、良好な吐出安定性を確保することもできた。
一方、Liを含有しない比較例1のインク組成物では、上記式(1)で示される化合物の水溶性が向上しないため、ノズルの目詰まりが回復しにくいことがわかる。Naを含有しない比較例2のインク組成物では、カートリッジやプリンタ流路器材との接触によってアタック性を引き起こすことで、ステアリン酸リチウムの異物が発生し、吐出安定性が不良となった。LiではなくKを含有する比較例3のインク組成物では、上記式(1)で示される化合物の水溶性が向上しないため、ノズルの目詰まりが回復しにくいだけでなく、染料凝集物による異物が発生して吐出安定性が不良となった。LiではなくNH を含有する比較例4のインク組成物では、上記式(1)で示される化合物の水溶性が向上しないため、ノズルの目詰まりが回復しにくいことがわかる。
4.2.インクセットの評価(1)
4.2.1.インクセットの作製
下記の表2に示す反応性染料、水溶性溶剤、界面活性剤を加え、さらにイオン交換水、その他の成分を加えて合計100質量%とした。これを十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表2に示す濃色ブラックインク(K−1、K−2、K−3)、淡色ブラックインク(LK−1、LK−2、LK−3、LK−4)をそれぞれ調製した。次いで、下記の表3に示すように、濃色ブラックインク及び淡色ブラックインクをそれぞれ1種類選択し、それらを組み合わせてインクセット1〜10を作製した。
4.2.2.評価方法
<目詰まり回復性>
インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)を用い、印字列の左から1/3/5/7列目に表3に示す濃色ブラックインクを、2/4/6/8列目に表3に示す淡色ブラックインクをそれぞれ充填した。全列正常に吐出することを確認した後、プリントヘッドを待機位置からずらして印字領域にて停止させた状態で、40℃20%RH環境下に3日間放置した。放置後、プリントヘッドを待機位置に戻して、クリーニング動作を行い、濃色ブラックインクを充填した4列の全ノズルの吐出が回復するまでにかかったクリーニング回数を数えた。また、淡色ブラックインクが充填された4列全てのノズルについても同様に行った。評価基準は、以下の通りである。その結果を表3に併せて示す。
(評価基準)
A:クリーニング1回以下で全ノズルが回復した。
B:クリーニング2回以上3回以下で全ノズルが回復した。
C:クリーニング4回以上6回以下で全ノズルが回復した。
D:クリーニング6回でも回復せず。
4.2.3.評価結果
上記で製造された各濃色ブラックインク及び淡色ブラックインクの組成を下表2に示す。また、上記で製造されたインクセットの組み合わせ及び目詰まり回復性の評価結果を下表3に示す。表2中の各インク組成の数値は質量%を表し、各成分の補足事項については
表1と同様である。
Figure 0006801305
Figure 0006801305
本発明のインクジェット捺染用インク組成物(濃色ブラックインク)と、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物(淡色ブラックインク)とを併用することで、目詰まり回復性を略均等にすることができる。上表3の評価結果をみると、PX−G930のような同一キャップ(吸引経路)でのクリーニング手段からなるインクジェット記録装置において、濃色ブラックインクと淡色ブラックインクによる目詰まり回復性の差が小さくなっていることがわかる。
4.3.インクセットの評価(2)
4.3.1.インクセットの作製
下記の表4に示す反応性染料、水溶性溶剤、界面活性剤を加え、さらにイオン交換水、その他の成分を加えて合計100質量%とした。これを十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表2に示すブラックインク(K−1、K−2)、表4に示すマゼンタインク(M−1、M−2、M−3、M−4、M−5、M−6)をそれぞれ調製した。次いで、表5及び表6に示すように、ブラックインク及びマゼンタインクをそれぞれ1種類選択し、それらを組み合わせてインクセットを作製した。
4.3.2.評価方法
<発色性>
上記で製造したインクセットをMonna−Lisa(Robustelli社製、インクジェット捺染機)にそれぞれ充填し、ブラック色のベタ印刷を実施し、その発色を確認した。なお、印字はブラックインクのみのベタ印刷(720×720dpi/100%
duty、ノーマルモード)する部分と、ブラックインク(720×720dpi/100%duty、ノーマルモード)のベタ印刷部分に重ねて、表5または表6に示すマゼンタインク(720×720dpi/10〜70%duty、ノーマルモード)を印字する部分について、下記条件で後処理を行い、印捺布を作成した。この印捺布のOD値(DK)及び色相a及びbの測色を行い、ΔOD及び彩度cを算出した。評価基準は、以下の通りである。その結果を表5及び表6に併せて示す。
(印捺布)
・綿:COT−PTR(FOR.TEX社製、反応性インク用綿布、前処理あり)
・絹:SK−PTR(FOR.TEX社製、反応性インク用絹布、前処理あり)
(後処理条件)
・綿:スチーム処理(102℃12分)+熱水洗浄10分+冷水洗浄10分
・絹:スチーム処理(102℃20分)+70℃水洗浄15分+冷水洗浄10分
(測色)
・Spectrolino(X−rite社製、分光濃度計)、光源:D65、ステータス:DIN_NB、視野角:2度、フィルタ:UV
・ここでΔODは、ブラックインクのみの場合のOD値との差分である。
・ここで彩度cは、c=((a+(b1/2により求められる。
・a及びbはCIELAB色空間において定義される知覚色度度数を表す。
(評価基準)
A:綿と絹のいずれの布帛においても、ΔODが0.05以上向上し、かつ、cが5以下である。
B:綿と絹のいずれの布帛においても、ΔODが0.03以上向上し、かつ、cが7以下である。
C:綿と絹のいずれの布帛においても、ΔODが0.03以上向上し、かつ、cが10以下である。
D:綿と絹の少なくとも一方の布帛において、ΔODが0.03未満、もしくはcが10を超えている。
4.3.3.評価結果
上記で製造された各ブラックインクの組成を上表2に、各マゼンタインクの組成を下表4に示す。また、上記で製造されたインクセットの組み合わせ、印刷条件及び発色性の評価結果を下表5及び下表6に示す。下表4中の各インク組成の数値は質量%を表し、各成分の補足事項については表1と同様である。
Figure 0006801305
Figure 0006801305
Figure 0006801305
上記で製造されたインクセットの組み合わせの評価結果より、K−1またはK−2のブラックインクに重ねて、a方向の色相調整が可能な色材を含有するマゼンタインクを印字することで、ブラック色のベタ部分の発色性(DK値)を向上できることがわかる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される化合物と、Liと、Naとを含有し、
    前記Naと前記Liとをモル基準で0.7:1〜11:1となる量比で含み、
    インク組成物の全質量に対して、反応性染料の総含有量が10質量%以上である、インクジェット捺染用インク組成物。
    Figure 0006801305
  2. 前記式(1)で表される化合物と前記Liとをモル基準で1:0.4〜1:3.5となる量比で含む、請求項1に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  3. 前記化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
    Figure 0006801305
    (ここで、Mはカウンターイオンを表し、NaもしくはLiのいずれかであるが、5つ存在するMのうち少なくとも1つはLiである。)
  4. インク組成物の全質量に対して、前記式(1)で表される化合物又はその塩を10質量%以上含有する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物と、Liを含まないインクジェット捺染用インク組成物とを備えるインクセット。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物と、前記インク組成物のa方向の色相調整する色材を含有するインクジェット捺染用インク組成物とを備えるインクセット。
  7. 前記色材が、C.I.リアクティブオレンジ12、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブレッド3:1、C.I.リアクティブレッド24及びC.I.リアクティブレッド245よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載のインクセット。
  8. 請求項6または請求項7に記載のインクセットを用いる記録方法であって、黒色の入力に対して、染料固形分換算で前記a方向の色相調整する色材/ブラック染料=0.2〜0.8の割合で布帛に記録される、記録方法。
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