JP2018048414A - インクジェット捺染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】同色の濃色インクと淡色インクを用いて、グラデーションの良好な(階調性が高い)画像を形成できるインクジェット捺染方法を提供する。【解決手段】反応染料と、水溶性有機溶剤と、水とを含み、同色の濃色インク及び淡色インクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記反応染料と反応する官能基を有する親水性樹脂が付与された布帛上に画像を形成する工程と、前記画像が形成された布帛を加熱して、前記画像を定着させる工程と含むインクジェット捺染方法であって、前記画像を形成する工程は、前記布帛の表面のpHをx、前記淡色インクのpHをy、前記濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(1)及び(2)を満たすように行う、インクジェット捺染方法。式(1):x−0.5>y式(2):y−1.0>z【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染方法に関する。
従来では、捺染方法として、版を用いるスクリーン捺染やローラ捺染が行われていたが、これらの捺染では、染色に先立って版を作製する必要があるため、生産効率が低かった。近年では、版を作製する必要がなく、生産効率が高いことから、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより吐出させ、布帛等の記録媒体に着弾させて画像形成を行う、所謂、インクジェット捺染が広く行われている。
インクジェット捺染では、一般に、布帛に樹脂成分やアルカリ成分を付与する前処理工程と、インクジェット法で捺染インクを吐出して布帛に着弾させる工程、着弾させたインク中の染料を加熱処理等で定着・発色させる工程、及び布帛中の余剰な捺染インクや前処理剤成分を除去する洗浄工程等が行われる。
インクジェット捺染で使用されるインクに含まれる色材の種類には、酸性染料、分散染料、反応染料及び顔料が含まれる。セルロースを主成分とする布帛への画像形成には、通常、反応染料が用いられる。
一方で、インクジェット捺染インクに含まれる反応染料は、前処理剤に含まれるアルカリ成分の影響により分解されたり、布帛との結合が切断されたりし、それにより画像の濃度や色調がばらつくことがあった。そのような画像の濃度や色調のばらつきを低減する方法として、例えばビニルスルホン系反応染料と緩衝剤とを含有するシアンインクと、モノクロロトリアジン系反応染料と緩衝剤とを含むシアンインク以外のインクとを含むインクセットであって、シアンインクのpHが2.5〜5.5であり、シアンインク以外のインクのpHが7〜9であるインクセットを用いたインクジェット捺染方法が提案されている(例えば特許文献1)。また、ビニルスルホン基を有する反応染料と、酸性域にpKaを有する緩衝剤とを含む濃色インクと淡色インクとを含み、濃色インクのpHが淡色インクのpHよりも0.6以上高いインクセットが提案されている(例えば特許文献2)。
特開2013−224498号公報 国際公開第2014/017082号
しかしながら、特許文献1は、異なる色相のインクの染着性を揃えると共に、反応染料の分解を抑制するために、シアンインクのpHをそれ以外のインクのpHよりも低くするものである。従って、同色の濃色インクと淡色インクとを用いてグラデーションが良好な(階調性が高い)画像を形成することは検討されていない。
また、特許文献2は、同色の濃色インクと淡色インクを用いて画像を形成するものであるが、布帛に淡色インクで淡色画像を形成したときの、布帛中に残留するアルカリ成分に起因する淡色画像の発色濃度の低下を抑制するために、予め淡色インクを酸性にしておくものである。従って、グラデーションが良好な(階調性の高い)画像を形成することは必ずしも検討されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同色の濃色インクと淡色インクを用いて、グラデーションの良好な(階調性が高い)画像を形成できるインクジェット捺染方法を提供することを目的とする。
[1] 反応染料と、水溶性有機溶剤と、水とを含み、同色の濃色インク及び淡色インクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記反応染料と反応する官能基を有する親水性樹脂が付与された布帛上に画像を形成する工程と、前記画像が形成された布帛を加熱して、前記画像を定着させる工程と含むインクジェット捺染方法であって、前記画像を形成する工程は、前記布帛の表面のpHをx、前記淡色インクのpHをy、前記濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(1)及び(2)を満たすように行う、インクジェット捺染方法。
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z
[2] 前記布帛の表面のpHが7以上11以下である、[1]に記載のインクジェット捺染方法。
[3] 前記淡色インクと前記濃色インクの少なくとも一方が、ビニルスルホン基を有する反応染料を含む、[1]又は[2]に記載のインクジェット捺染方法。
[4] 前記濃色インクが、ビニルスルホン基を有する反応染料を含み、且つ
前記淡色インクが、モノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[5] 前記画像を形成する工程は、前記布帛に打滴された濃色インクの液滴の少なくとも一部と重なるように、前記淡色インクを打滴する工程をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[6] 前記画像を定着させる工程では、前記画像が形成された布帛を95℃以上に加熱する、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
[7] 前記布帛は、セルロース繊維又は蛋白繊維を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット捺染方法。
本発明によれば、同色の濃色インクと淡色インクを用いて、グラデーションの良好な(階調性が高い)画像を形成できるインクジェット捺染方法を提供することができる。
インクジェット捺染装置の構成の一例を示す部分概略図である。
従来、濃色インクは、反応染料の含有量が多いことから、反応率が高い。従って、濃色インクのドットが付与された領域では、ドットの集中度が高い部分ほど発色濃度が過剰に高まりやすく、発色濃度がばらつきやすい。
一方、淡色インクは、反応染料の含有量が少ないことから、反応率が低い。従って、淡色インクのドットが付与された領域の発色濃度は、濃色インクのドットが付与された領域の発色濃度よりも過剰に低くなりやすい(ドットが付与された領域のγ値が上がりやすい)。
このように、従来の濃色インクと淡色インクは、反応率の差が大き過ぎることから、良好なグラデーション(高い階調性)を有する濃淡画像が得られにくかった。
特に、特許文献2では、濃色インクのpHが、淡色インクのpHよりも高いことから、特に反応染料としてビニルスルホン基を有する反応染料を用いた場合、濃色インクの反応率はより高くなり、淡色インクの反応率はより低くなりやすい。その結果、濃色インクと淡色インクとの間の反応率の差がより大きくなりやすく、良好なグラデーションを有する濃淡画像がさらに得られにくい可能性があった。
これに対して本発明では、濃色インクのpHを、淡色インクのpHよりも低くすることで、濃色インクと淡色インクの反応率の差を適度に小さくすることができる。具体的には、濃色インクは、pHを相対的に低くすることで反応性が高まり過ぎないようにしている。それにより、濃色インクのドットが付与された領域では、ドットの集中度によって発色濃度のムラが生じるのを抑制できる。
一方、淡色インクは、pHを相対的に高くすることで、反応性が低くなり過ぎないようにしている。それにより、淡色インクのドットが付与された領域では、発色濃度が極端に低下する(γ値が極端に上がる)のを抑制できる。
これらの結果、良好なグラデーション(高い階調性)を有する濃淡画像を得ることができる。
具体的には、濃色インクと淡色インクを用いて布帛上に画像を形成する工程において、布帛の表面のpHをx、淡色インクのpHをy、濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(1)及び(2)を満たすように行うことが好ましい。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z
まず、本発明のインクジェット捺染方法に用いられるインクセットについて説明する。
1.インクセットについて
本発明のインクジェット捺染方法に用いられるインクセットは、濃色インクと、淡色インクとを含む。濃色インク及び淡色インクは、それぞれ反応染料と、水溶性有機溶剤と、水とを含み、必要に応じてpH調整剤等のその他の添加剤をさらに含んでもよい。
<インクに含まれる成分>
(反応染料)
濃色インク及び淡色インクに含まれる反応染料は、布帛に付与された親水性樹脂の官能基と反応する1又は2以上の反応性官能基を有する。反応性官能基の例には、ビニルスルホン基やモノクロロトリアジン基が含まれる。高い染着性を有することから、濃色インクと淡色インクの少なくとも一方が、ビニルスルホン基を有する反応染料を含むことが好ましい。
ビニルスルホン基を有する反応染料は、アルカリ存在下では、以下の反応が生じる。
D−SO−CHCH−O−SOM(1)
⇒ D−SOCH=CH+HO−SOM(1’)
式(1)及び(1’)のDは、色素母体を表す。色素母体の例には、ピラゾロンアゾ系、γ酸アゾ系、H酸アゾ系、アントラキノン系及びH酸ジスアゾ系等が含まれる。
式(1)のMは、1価の金属カチオンを表す。1価の金属カチオンの例には、Naイオンが含まれる。
ビニルスルホン基を有する反応染料は、ビニルスルホン基を有する反応染料のビニル基が布帛のヒドロキシル基に求核付加反応し、布帛と反応する。
ビニルスルホン基を有する反応染料は、布帛に対する染着性を高める観点から、布帛に付与された親水性樹脂の官能基と反応する反応性官能基を2以上有していてもよく、そのうち1つ以上が、ビニルスルホン基であればよい。例えば、2つの反応性官能基を有する二官能反応染料には、1分子中に2つのビニルスルホン基を有する反応染料(以下、ビニルスルホン系同種二官能反応染料ともいう)と、1分子中に1つのビニルスルホン基と1つのモノクロロトリアジン基とを有する反応染料(以下、異種二官能反応染料ともいう)とが含まれる。
反応染料に異種二官能反応染料を用いる場合、反応染料と布帛との反応は、上記の求核付加反応だけではなく、求核置換反応も生じうる。これは、異種二官能反応染料の有するモノクロロ置換1,3,5−トリアジン−2−イル骨格のクロロ基が、布帛のヒドロキシル基に求核置換反応することによって生じる。
濃色インクと淡色インクに含まれる反応染料は、それぞれ一種類であってもよいし、二種類以上であってもよい。
本発明では、高い染着性と堅牢性とを両立しやすい観点から、濃色インクが、ビニルスルホン基を有する反応染料を含み;且つ淡色インクが、モノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料を含むことが好ましい。
ビニルスルホン基を有する反応染料の例には、C.I.リアクティブイエロー15、37、42;C.I.リアクティブオレンジ16、74、107;C.I.リアクティブレッド23、35、106、180;C.I.リアクティブバイオレット5、C.I.リアクティブブルー19、21、38、222、229;C.I.リアクティブブラウン18;C.I.リアクティブブラック5、14、31等が含まれる。
モノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料の例には、C.I.リアクティブイエロー3、6、12、18、95、99;C.I.リアクティブオレンジ2、5、9、12、13、20;C.I.リアクティブレッド3、4、7、15、16、24、29、31、32、33、43、45、46、58、59、226、245;C.I.リアクティブバイオレット1、2;C.I.リアクティブブルー2、3、5、7、13、14、15、25、26、39、40、41、46、49、176;C.I.リアクティブグリーン5、8;C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、14;C.I.リアクティブブラック1、3、8、10、12、13、39等が含まれる。
(水溶性有機溶剤)
濃色インク及び淡色インクに含まれる水溶性有機溶剤は、前述の反応染料を溶解できるものであれば、特に制限されない。
水溶性有機溶剤の例には、
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール);
多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール);
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン);
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等);
複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等);
スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が含まれる。
(その他の添加剤)
濃色インク及び淡色インクは、pH調整剤、尿素化合物、界面活性剤、防腐剤、防黴剤等のその他の添加剤をさらに含んでもよい。
(pH調整剤)
濃色インク及び淡色インクに含まれるpH調整剤の例には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩酸及び水酸化ナトリウム等であり得る。インクがpH調整剤をさらに含むことで、インクのpHを所望の値に調整できる。
(尿素化合物)
尿素化合物の例には、尿素、チオ尿素、アルキル置換尿素、及びアルキルチオ尿素類等が含まれ、より具体的には、尿素、エチレン尿素、ジメチル尿素、モノメチルチオ尿素、チオ尿素、及びジメチルチオ尿素等が含まれる。中でも、インクの保存安定性を高める点では、エチレン尿素が好ましい。尿素化合物は、反応染料の布帛への染着性を高め得る。
(界面活性剤)
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、シリコン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤等が含まれる。中でも、アセチレングリコール系の界面活性剤は、比較的起泡性が低く、インクの表面張力を調整できる。そのため、インクジェット記録ヘッドからのインクの射出性を高めやすい。
(防腐剤、防黴剤)
防腐剤、防黴剤の例には、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)等が含まれる。防腐剤、防黴剤は、インクの保存安定性を高め得る。
<濃色インク及び淡色インクについて>
(濃色インクの組成)
インクジェット捺染インクセットにおける濃色インクにおける反応染料(好ましくはビニルスルホン基を有する反応染料)の含有量は、濃色インクの全質量に対して5〜30質量%であることが好ましい。濃色インク中の反応染料の含有量が5質量%以上であると、十分な発色濃度が得られやすく、30質量%以下であると、インクの粘度が上昇し過ぎないので、インクジェット記録ヘッドからのインクの射出性が損なわれにくい。濃色インクにおける反応染料(好ましくはビニルスルホン基を有する反応染料)の含有量は、濃色インクの全質量に対して15〜25質量%であることがより好ましい。
濃色インクにおけるpH調整剤の含有量は、濃色インクのpHが後述する関係を満たすように調整されればよく、濃色インクの全質量に対して例えば2質量%以下、好ましくは0.05〜2質量%とし得る。
濃色インクにおける水溶性有機溶剤の含有量は、濃色インクの全質量に対して、5〜50質量%であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量を前記の範囲内とすることで、インクジェット記録ヘッドのノズル面に付着したインクが乾燥することで生じるノズル詰まりなどを抑制できる。
濃色インクにおける尿素化合物の含有量は、濃色インクの全量に対して10質量%以下であることが好ましく;界面活性剤の含有量は、濃色インクの表面張力を30〜60mN/mとするように調整されることが好ましく、具体的には、濃色インクの全質量に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
(淡色インクの組成)
インクジェット捺染インクセットにおける淡色インクの反応染料(好ましくはモノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料)の含有量は、淡色インクの反応染料の含有量/濃色インクの反応染料の含有量(比率)が、0.1以上0.5以下(質量比)を満たすように設定されることが好ましい。
インクジェットでは、画像の濃度は、面積階調で表現する。そのため、上記比率が0.1以上0.5以下であると;即ち、濃色インクに比べて淡色インクの反応染料の含有量が一定以上であると、インクジェットプリントでの淡色インクによる画像から、濃色インクによる画像へと面積階調を伴いながら移行する際に、画像の濃度の移り変わりをスムーズにすることができる。さらに、上記比率が0.5以下であるときに。式(2)の関係を満たすことで、反応率の差に起因するグラデーションの低下を抑制できる。淡色インクの反応染料の含有量/濃色インクの反応染料の含有量(比率)は、0.15以上0.3以下(質量比)であることがより好ましい。
淡色インクにおけるpH調整剤の含有量は、淡色インクのpHが後述する関係を満たすように調整されればよく、淡色インクの全質量に対して例えば2質量%以下、好ましくは0.05〜2質量%とし得る。
淡色インクにおける水溶性有機溶剤やその他の添加剤(尿素化合物や界面活性剤等)の含有量は、濃色インクにおける水溶性有機溶剤やその他の添加剤(尿素化合物や界面活性剤等)の含有量とそれぞれ同様とし得る。
(濃色インク及び淡色インクの物性)
本発明のインクジェット捺染インクセットの濃色インク及び淡色インクは、淡色インクのpHをy、濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(2)を満たすことが好ましい。インクのpHは、25℃で、東亜ディーケーケー社製、HM−20S型を用いて測定することができる。
式(2) :y−1.0>z
式(2)を満たすことで、濃色インクは、pHが相対的に低いので、反応性が高まり過ぎない。それにより、濃色インクのドットが付与された領域では、ドットの集中度によって発色濃度がばらつきにくい。一方、淡色インクは、pHが相対的に高いので、反応性が低くなり過ぎない。それにより、淡色インクのドットが付与された領域では、発色濃度が低くなりすぎず、γ値が過剰には上がりにくい。これらの結果、良好なグラデーション(高い階調性)を有する濃淡画像を得ることができる。本発明のインクジェット捺染インクセットの濃色インク及び淡色インクは、下記式(2)’を満たすことがより好ましい。
式(2)’:y−1.5>z
濃色インクのpH(z)と淡色インクのpH(y)は、種々の方法で調整され得るが、例えばpH調整剤の種類や含有量によって調整することができる。例えば、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用いる場合、濃色インクに含まれるpH調整剤の含有量は、淡色インクに含まれるpH調整剤の含有量よりも少なくすればよい。pH調整剤として塩酸を用いる場合、濃色インクに含まれるpH調整剤の含有量は、淡色インクに含まれるpH調整剤の含有量よりも多くすればよい。
濃淡画像を形成しやすくする観点から、濃色インクと淡色インクは、同色であることが必要である。ここで、同色とは、濃色インクと淡色インクの波長400〜700nmにおける分光吸収スペクトルを、分光光度計(UV−VIS SPECTROPHOTOMETER V−550、日本分光社製)でそれぞれ測定したときに;得られるスペクトルの最大吸光度を示す波長の差が30nm以下であることをいう。
本発明のインクジェット捺染インクセットの濃色インク及び淡色インクは、インクジェット記録ヘッドからの射出性の観点から、25℃におけるインク粘度が1〜40mPa・sであることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、5〜20mPa・sであることがさらに好ましい。
25℃におけるインクの表面張力は、濃色インク及び淡色インクのともに30〜60mN/mであることが好ましい。インクの表面張力が30mN/m以上であると、布帛に対するインクの濡れ性が高くなり過ぎないので、画像の滲みを一層抑制しやすい。一方、表面張力が60mN/m以下であると、布帛に対するインクの濡れ性が低すぎないので、インクの浸透力が損なわれにくい。
<濃色インク及び淡色インクの調製>
本発明のインクジェット捺染インクセットの濃色インク及び淡色インクの各インクは、例えば前述の反応染料と、pH調整剤と、水溶性有機溶剤と、水と、必要に応じて他の成分とを混合するステップを経て製造することができる。
2.インクジェット捺染方法
次に、本発明のインクジェット捺染方法について説明する。
本発明のインクジェット捺染方法は、前述の通り、濃色インクと淡色インクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、反応染料と反応する官能基を有する親水性樹脂が付与された布帛上に画像を形成する工程と;画像が形成された布帛を加熱して、画像を定着させる工程と含む。
そして、画像を形成する工程は、布帛の表面のpHをx、淡色インクのpHをy、濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(1)及び(2)を満たすように行うことが好ましい。
式(1):x−0.5>y
式(2):y−1.0>z
画像を形成する工程で用いられる濃色インクと淡色インクは、前述のインクセットにおける濃色インクと淡色インクとし得る。布帛の表面のpHは、後述する前処理工程で調整することができる。
具体的には、本発明のインクジェット捺染方法は、(1)布帛に前処理剤を付与する工程(前処理工程)と、(2)前処理剤が付与された布帛に、前述のインクセットの濃色インクと淡色インクの液滴を吐出して画像を形成する工程(インク付与工程)と、(3)布帛に着弾した染料を繊維に定着させる工程(発色工程)とを含み、必要に応じて(4)インク付与後の布帛を乾燥させる工程(予備乾燥工程)と、(5)布帛へ染着できなかった染料や前処理剤を除去する工程(洗浄工程)と、(6)洗浄された布帛を乾燥する工程(乾燥工程)とをさらに含んでもよい。
(前処理工程)
前処理工程は、布帛に前処理剤を付与して、布帛の表面のpHを上記式(1)を満たすように調整する工程である。式(1)を満たすことで、発色工程における布帛のpHの低下を少なくすることができるので、好ましい発色が行うことができる。布帛の表面のpHは、下記式(1’)を満たすことがより好ましい。式(1’)を満たすことで、インクのpHが低くても、発色工程での布帛のpHが一定以上に保たれるので、好ましい発色を行うことができる。
式(1’):x−1.5>y
布帛に前処理剤を付与する方法の例には、パッド法、コーティング法、スプレー法、及びインクジェット法等が含まれる。これらの方法によって、前処理剤を布帛上に付与できる。前処理剤が付与された布帛の例には、特開昭62−53492号公報に記載のインク受容層を有する布帛類、及び特公平3−46589号公報に記載の還元防止剤やアルカリ剤を含有させた布帛等が含まれる。
均一な画像を得る観点から、布帛に前処理剤を塗布する前に、布帛繊維に付着した天然不純物(油脂、ロウ、ペクチン質、天然色素等)、布帛製造過程で用いた薬剤の残留物(のり剤等)、又は布帛に付着した汚れ等を洗浄しておくことが好ましい。布帛を洗浄する洗浄剤には、水酸化ナトリウム、若しくは炭酸ナトリウム等のアルカリ剤、陰イオン性若しくは非イオン性の界面活性剤、又は酵素等が含まれる。
前処理剤は、少なくとも、樹脂成分、アルカリ剤、及びヒドロトロピー剤を含有することが好ましく、その他に還元防止剤、防腐剤、又はキレート剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
樹脂成分は、濃色インクや淡色インクに含まれる反応染料と反応する官能基(好ましくはヒドロキシ基)を有する親水性樹脂を含むことが好ましい。ヒドロキシ基を有する親水性樹脂の例には、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ナトリウム、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等が含まれる。
アルカリ剤の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、モノ,ジ,トリエタノールアミン等のアミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)等の炭酸若しくは重炭酸アルカリ金属塩等、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等の有機酸金属塩やアンモニア及びアンモニア化合物等、スチーミング又は乾熱下でアルカリ剤となるトリクロロ酢酸ナトリウム等が含まれる。これらの中でも、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。アルカリ剤の付与量は、布帛の全質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。適度なアルカリ剤が布帛に存在することで、反応染料を含む濃色インクや淡色インクを確実に染着させることができる。そのため、布帛にアルカリ剤をあらかじめ含有させることが好ましい。
ヒドロトロピー剤の例には、尿素、エチレン尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等のアルキル尿素等が含まれる。ヒドロトロピー剤の添加により、画像濃度が向上するためである。
前処理剤は、必要に応じて還元防止剤、防腐剤、又はキレート剤をさらに含んでもよい。還元防止剤は、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム等であればよい。防腐剤は、濃色インクや淡色インクの防腐剤として例示した防腐剤であってもよく、また同一であってもよい。キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、又はメタリン酸塩等であればよい。
布帛に付与された前処理剤は、温風、ホットプレート、又はヒートローラー等を用いて加熱乾燥させることもできる。
前処理剤の付与量(絞り率)は、布帛の表面のpHが少なくとも上記式(1)を満たすように設定されればよい。布帛の表面のpHを高くするためには、例えば(アルカリ剤を含む)前処理剤の付与量を多くしたり;pHの高いアルカリ剤を含む前処理剤を付与したりすればよい。
布帛の表面のpHは、発色工程における布帛のpHの低下を少なくする観点から、7〜11であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。
布帛を構成する繊維素材は、(前処理剤として)ヒドロキシ基を有する親水性樹脂が付与される限り、特に制限はないが、染着性を高める点では、反応染料で染色可能な繊維;即ち、ヒドロキシ基を有する繊維を含むことが好ましい。ヒドロキシ基を有する繊維の例には、綿等のセルロース繊維、及び絹等の蛋白繊維が含まれる。布帛は、これらの繊維を、織布、不織布、編布等、いずれの形態にしたものであってもよい。また、本発明で使用しうる布帛は、反応染料で染色可能な繊維のみから構成されてもよいが、レーヨン、ポリウレタン、ポリエステル、若しくはアクリル等との混紡織布又は混紡不織布等であってもよい。また、布帛を構成する繊維の太さは、10〜100dの範囲内であることが好ましい。
(インク付与工程)
インク付与工程は、インクジェット記録ヘッドからインクジェット捺染インクセットの液滴を、前処理剤が付与された布帛に向けて吐出して、発色前の画像を形成する工程である。複数のインクジェット記録ヘッドを搭載するヘッドキャリッジに対して、布帛を相対移動させながら、インクジェット捺染インクセットの液滴を吐出し、布帛に着弾させる。インクの液滴が着弾するときの布帛の表面温度は、特に限定されないが、発色前画像の滲み抑制等の観点から、35〜70℃の範囲で加熱されることが好ましい。
また、インク付与工程では、布帛に打滴された濃色インクの液滴の少なくとも一部と重なるように、淡色インクを打滴する工程をさらに含むことが好ましい。それにより、先に浸透したpHの低い濃色インクの液滴の少なくとも一部に、淡色インクの液滴が重なるので、当該重なった部分のpHは、濃色インクと淡色インクの中間になる。その結果、反応率も中間になり、中間調が再現できる。
(予備乾燥工程)
予備乾燥工程は、インク付与後の布帛を乾燥させる工程である。特に限定されないが、予備乾燥は、150℃以下で0.5〜30分間布帛を乾燥させることが好ましい。乾燥方法の例には、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、及び照射方式等が含まれる。具体的には、布帛にインクの付与を行い、その布帛が巻き取られる前に上記の条件及び方法で布帛を乾燥させればよい。
(発色工程)
発色工程とは、インク付与後(予備乾燥工程を含むときは予備乾燥後)の布帛を加熱して布帛中へ十分に染着されていない反応染料を布帛中に染着させて、インク本来の色相を発現させる工程である。
発色温度(加熱温度)は、発色方法(加熱方法)にもよるが、布帛への反応染料の染着を強固にする観点では、95℃以上220℃未満であることが好ましく、95℃以上190℃以下であることがより好ましく、100℃以上180℃以下であることがさらに好ましい。
発色方法(加熱方法)は、従来公知の方法でよく、捺染インクや布帛等により適宜選択される。例えば、蒸気によるスチーミング;乾熱によるベーキング、サーモゾル;過熱蒸気によるHTスチーマー等が含まれる。中でも、高熱の蒸気によりインク中の反応染料を定着させる方式(スチーミング方式)と乾熱方式(ベーキング方式)が好ましい。
高温蒸気を用いるスチーミング方式では、加熱温度が低すぎると、液体の水が多く存在するため、濃色インクや淡色インクに含まれる反応染料は、布帛以外に液体の水と水素結合しやすくなるため、水と共に流されやすくなり、十分には染着できない場合がある。従って、布帛への反応染料の染着を強固にする観点から、加熱温度は、95℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。例えばセルロース系繊維は、95〜105℃で、5〜15分間処理されることが好ましく;絹や羊毛等のアミド系繊維は、95〜105℃で、20〜40分間処理されることが好ましい。また、インクが付与された布帛は直ちに発色させてもよく、時間が経過してから発色させてもよい。
乾熱によるベーキング方式では、十分な染着性が得られやすく、且つ染料の分解を抑制しやすくする観点から、加熱温度は、150℃以上220℃未満であることが好ましく、150℃以上190℃以下であることがより好ましく、150℃以上180℃以下であることがより好ましい。
(洗浄工程)
洗浄工程は、布帛の発色工程後に布帛へ染着できなかった反応染料や前処理剤を除去する工程である。布帛へ染着できなかった反応染料の除去は、従来公知の洗浄方法を用いることができ、捺染インクや布帛等により適宜選択される。例えば、セルロース繊維は、水洗、湯洗の後に非イオン系洗浄剤を含むソーピング浴で処理後、湯洗、水洗を行なうことが一般的である。未染着の反応染料の除去を行うことで、洗濯堅牢性、耐水堅牢性、耐汗堅牢性等が良好になりやすい。布帛に染着できなかった反応染料があると、洗濯堅牢性、耐水堅牢性、耐汗堅牢性等が得られにくい。
(乾燥工程)
乾燥工程は、前記洗浄工程の後に行われ、洗浄された布帛を乾燥させる工程である。乾燥方法は、特に限定されないが、洗浄された布帛を絞ったり、干したり、乾燥機(ヒートロール、アイロン等)を使用して乾燥させたりする方法であり得る。
2−2.インクジェット捺染装置
以下において、図面を参照しながらインク付与工程と予備乾燥工程とを行う装置について説明するが、インクジェット捺染装置はこれに限定されない。
図1は、インクジェット捺染装置の構成の一例を示す部分概略図である。インクジェット捺染装置は、布帛Pを搬送する搬送手段2と、布帛Pにインクジェット捺染インクセットの液滴を吐出する複数のインクジェット記録ヘッド(不図示)を搭載するヘッドキャリッジ5と、布帛Pに温風を付与する温風付与手段6とを有する。
搬送手段2は、粘着性ベルト21と、サポートローラ22と、搬送ローラ23と、ニップローラ24と、を備えている。粘着性ベルト21は、サポートローラ22と搬送ローラ23とに保持され、サポートローラ22と搬送ローラ23との間を周回している。ニップローラ24は、粘着性ベルト21を介して、搬送ローラ23に対向して配置されている。
温風付与手段6及びヘッドキャリッジ5は、布帛Pの上方に配置される。温風付与手段6は、内部に布帛に風を吹きつけるファン6Aと温度制御ができる発熱体6Bとを備えている。一方、ヘッドキャリッジ5は、インクジェット記録ヘッドを備えている。インクジェット記録ヘッドの種類は、特に制限されず、サーマル型、ピエゾ型のいずれであってもよい。インクジェット記録ヘッドのノズル径は、10〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。ノズル径が10μm以上であると、不溶物によるノズル目詰まりが生じにくく、100μm以下であると、形成画像の鮮鋭性が低くなりにくいからである。また、吐出するインクの液滴サイズは、4〜150plであることが好ましく、5〜80plであることがより好ましい。インクの液滴サイズが4pl以上であると、吐出されたインクの液滴がヘッド近傍の気流の影響を受けにくく、150pl以下であると、形成画像の粒状感が目立ちにくいからである。
搬送ローラ23が駆動すると、粘着性ベルト21の上面に配置された布帛Pがニップローラ24下面に搬送される。布帛Pは粘着性ベルト21とニップローラ24により加圧されて、粘着性ベルト21に固定される。粘着性ベルト21に固定された布帛Pは、ヘッドキャリッジ5の下方に搬送される。ヘッドキャリッジ5に搭載される複数のインクジェット記録ヘッドは、インクジェット捺染インクセットの液滴を吐出し、前処理剤が付与された布帛の一定領域(着弾可能領域)に着弾させ、画像を形成する。次いで、温風付与手段6から温度制御された風又は温風を吹き付けて、布帛Pに形成された画像を乾燥させる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.インク材料
(反応染料)
《ビニルスルホン基を有し、且つモノクロロトリアジン基を有しない反応染料VS》
Figure 2018048414
Figure 2018048414
Figure 2018048414
《モノクロロトリアジン基を有する反応染料MCT》
Figure 2018048414
Figure 2018048414
Figure 2018048414
(pH調整剤)
1規定の水酸化ナトリウム水溶液
1規定の塩酸
2.インクセットの調製・評価
<インクセットの調製>
(実施例1)
(濃色インク)
反応染料としてC.I.リアクティブブラック5を12質量部、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールを20質量部、プロピレングリコールを10質量部、グリセリンを5質量部;pH調整剤として適量の1規定の水酸化ナトリウム水溶液を混合した。得られた混合物に全量が100質量部となるようにイオン交換水を加えて、濃色インクを調製した。尚、水酸化ナトリウムは、濃色インクのpH(z)が6.1となる量を添加した。インクのpHは、東亜ディーケーケー社製、HM−20S型を用いて測定した。
(淡色インク)
反応染料としてC.I.リアクティブブラック39を3質量部、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールを20質量部、プロピレングリコールを10質量部、グリセリンを15質量部;pH調整剤として適量の1規定の水酸化ナトリウム水溶液を混合した。得られた混合物に全量が100質量部となるようにイオン交換水を加えて、淡色インクを調製した。尚、水酸化ナトリウムは、淡色インクのpH(y)が7.2となる量を添加した。
濃色インクと淡色インクの分光吸収スペクトルを、分光光度計(UV−VIS SPECTROPHOTOMETER V−550、日本分光社製)でそれぞれ測定した。得られたスペクトルの最大吸光度を示す波長の差は12nmであった。
上記調製したインクセットを用いて、以下の手順でインクジェット捺染方法により画像を形成した。
<インクジェット捺染方法>
(前処理工程)
100%コットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製)を用意し、下記の前処理剤を絞り率80%で付与した後、乾燥させた。それにより、布帛の表面のpHを8.6に調整した。
(前処理剤)
カルボキシメチルセルロース(樹脂成分):4質量部
尿素(ヒドロトロピー剤):12質量部
炭酸水素ナトリウム(アルカリ剤):5質量部
炭酸ナトリウム(アルカリ剤):1質量部
イオン交換水 80重量部
(インク付与工程)
実施例及び比較例のインクセットをナッセンジャーV(コニカミノルタIJ社製)にそれぞれセットした。主走査540dpi×副走査700dpiにて、画像作成ソフトを用いて、濃色のベタ画像の濃度を100%としたときに、出力濃度を5%から100%の間を5%間隔で20段階に分割し、ウェッジ画像を形成した。画像を調べると、濃色のベタ100%は濃色インクが100%使われ、濃度5%の画像は淡色インクが100%使われており、それらの間は、濃色インクと一部淡色インクの混合で一部ドットが重なって、作成されていた。尚、dpiとは、2.54cm当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。
(発色工程)
画像が形成された布帛を、相対湿度100%、温度98℃の条件下で10分間スチーム処理して、染料を定着及び発色させた。
そして、得られた画像のグラデーションを以下の方法で評価した。
<画像評価>
(グラデーション)
ウエッジ画像を目視で観察し、階調性を以下の基準で評価した。
○:階調が良好で、薄い色から濃い色まで連続的に表現できている
○△:階調が少し堅いが、薄い色から濃い色まで連続的に表現できている
△:階調が少し堅く、濃色と淡色の境の濃度差(隣接する各濃度段階間の濃度差)がやや大きい
×:階調が堅く、濃色と淡色の境の濃度差(隣接する各濃度段階間の濃度差)が非常に大きく、濃淡を表現するには不適当である
(実施例2〜8、比較例1〜5)
濃色インクと淡色インクの組成を表1又は2に示されるように変更した以外は実施例1の濃色インク及び淡色インクからなるインクセットと同様にしてインクセットを調製した。
そして、上記調製したインクセットを用いて、布帛の表面のpHと発色条件を表1又は2に示されるように調整した以外は実施例1と同様にしてインクジェット捺染を行い、画像評価を行った。
尚、実施例1〜8及び比較例1〜5において、濃色インクと淡色インクのpHの調整は、主にpH調整剤の種類と添加量にて行った。布帛のpHの調整は、前処理剤の組成(アルカリ剤の組成と量)により行った。発色条件の調整は、スチームの有無と加熱温度により行った。
実施例1〜4及び比較例1〜2の評価結果を表1に示し;実施例5〜8及び比較例3〜5の評価結果を表2に示す。
Figure 2018048414
Figure 2018048414
表1に示されるように、式(1)(布帛pH(x)−淡色インクpH(y)が0.5以上)と、式(2)(淡色インクpH(y)−濃色インクpH(z)が1.0以上)の両方を満たす実施例1〜8では、得られる画像のグラデーションが高いことがわかる。
特に、式(2)(淡色インクpH(y)−濃色インクpH(z)が1.5以上)である実施例2及び3では、1.5未満である実施例1よりもグラデーションが良好であることが示される。
特に、布帛のpHが7以上である実施例1では、pHが7未満である実施例4よりもグラデーションが良好であることが示される。
特に、濃色インクとしてビニルスルホン基を有する反応染料を含み、淡色インクとしてモノクロロトリアジン反応染料を含む実施例5及び7では、濃色インクと淡色インクの両方がビニルスルホン基を有する反応染料である実施例8よりもグラデーションが良好であることが示される。
これに対して、上記式(2)を満たさない比較例1〜3及び式(1)を満たさない比較例4及び5では、いずれも得られる画像のグラデーションが低いことがわかる。
本発明によれば、同色の濃色インクと淡色インクを用いて、グラデーションの良好な(階調性が高い)画像を形成できるインクジェット捺染方法を提供することができる。
P 布帛
2 搬送手段
21 粘着性ベルト
22 サポートローラ
23 搬送ローラ
24 ニップローラ
5 ヘッドキャリッジ
6 温風付与手段
6A ファン
6B 発熱体

Claims (7)

  1. 反応染料と、水溶性有機溶剤と、水とを含み、同色の濃色インク及び淡色インクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記反応染料と反応する官能基を有する親水性樹脂が付与された布帛上に画像を形成する工程と、
    前記画像が形成された布帛を加熱して、前記画像を定着させる工程と
    含むインクジェット捺染方法であって、
    前記画像を形成する工程は、前記布帛の表面のpHをx、前記淡色インクのpHをy、前記濃色インクのpHをzとしたとき、下記式(1)及び(2)を満たすように行う、インクジェット捺染方法。
    式(1):x−0.5>y
    式(2):y−1.0>z
  2. 前記布帛の表面のpHが7以上11以下である、請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
  3. 前記淡色インクと前記濃色インクの少なくとも一方が、ビニルスルホン基を有する反応染料を含む、請求項1又は2に記載のインクジェット捺染方法。
  4. 前記濃色インクが、ビニルスルホン基を有する反応染料を含み、且つ
    前記淡色インクが、モノクロロトリアジン基を有し、且つビニルスルホン基を有しない反応染料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
  5. 前記画像を形成する工程は、前記布帛に打滴された濃色インクの液滴の少なくとも一部と重なるように、前記淡色インクを打滴する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
  6. 前記画像を定着させる工程では、前記画像が形成された布帛を95℃以上に加熱する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
  7. 前記布帛は、セルロース繊維又は蛋白繊維を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
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