JP2005002247A - インクジェット記録用顔料インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用顔料インク及びインクジェット記録方法 Download PDF

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祥司 小池
Atsushi Aoki
淳 青木
Kinu Shirota
衣 城田
Mariko Suzuki
真理子 鈴木
Toshiaki Kaneko
敏明 金子
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Abstract

【課題】インクジェット記録に用いた場合に、良好なスタートアップ特性が保たれ、ノズル先端で生じる色素の固着に対する耐性に優れ、目詰まりのない安定した吐出が可能で、かつ、印字耐久性にすぐれ、さらに格段の保存性が得られる水性顔料インク及びその製造方法、インクカートリッジ、及びインクユニット、これらを用いるインクジェット記録方法、記録装置を提供することにある。
【解決手段】インクジェット記録に用いた場合に、良好なスタートアップ特性が保たれ、ノズル先端で生じる色素の耐固着性に優れ、目詰まりのない安定した吐出が可能で、かつ格段のインクの保存性、印字耐久性を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法、とりわけサーマル方式のインクジェット記録方法に適し、長期の保存にたいしても記録ヘッドに吐出安定性及び高いヘッド耐久性を与えるインクジェット記録用顔料インク(以下「顔料インク」と略す)、インクカートリッジ、及び記録ユニットとこれらを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置、インクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクに対してエネルギーを付与してインクの小滴をノズルから飛翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を行う方法である。
【0003】
近年、銀塩写真と同程度の、極めて高品位なインクジェット記録画像に対する要求に対応する為に、単一のノズルから吐出させるインクの液滴のサイズが小さくなってきており、現在では、インクの液滴量が約10pI(ピコリットル)以下のインクジェットプリンタが市販されている。また、記録速度に関しても、より一層の高速化を求められてきており、それに伴ってより高い駆動周波数への対応が急務である。ところで、最近では、インクジェット記録画像に対しては、その高精細さばかりでなく、より優れた堅牢性(耐光性など)が求められてきており、その為に、色材として水不溶性の色材、例えば顔料の採用が進みつつある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、水不溶性色材を含むインクを、高精細で、高速な画像形成に対応させる為の検討は、未だ十分になされていないのが実状である。
【0005】
このような状況の下で、本発明者らは、水不溶性色材として顔料を、樹脂分散剤を用いて水性媒体に分散させたインクをサーマルインクジェット記録に適用したときの、高精細なインクジェット画像の高速記録の可能性について検討を重ねてきている。その過程で、サーマルインクジェットヘッドの駆動周波数の上昇にインクが追随できず、吐出が不安定になる場合があるとの知見を得た。このような知見について、更に検討を重ねたところ、サーマルインクジェットヘッドのヒータによってインクが加熱されたときに、顔料と、該顔料に物理吸着している樹脂分散剤とが分離し、一時的に分散安定性が破壊されてしまっているのではないかと推察した。駆動周波数が低い場合には、一時的な分散破壊が生じたとしても、顔料への樹脂分散剤の再吸着などによって分散安定性が回復するのに対し、駆動周波数が高くなると、分散安定性の回復が不十分となり、その結果としてインクの吐出安定性が低下するものと考えられる。また優れた吐出性能を有していても、長期にわたって様々な環境に保存されると、インク製造直後は,本願の課題に対して良好な性能を示しても、保存後は性能が劣化する場合が多く認められる。本発明者らは、上記したように今後の技術トレンドを背景とした課題に対し、インクジェット記録用のインクとしての基本特性、具体的には、長期の保存を経てもスタートアップ性(インク吐出を一時的にサスペンドしたノズルからのインクの再吐出性)や、ノズルの耐目詰まり性などを高いレベルで維持しつつ、高精細な画像のより高速な記録に対応し得るインクジェット記録用プリンタ、特にはサーマルインクジェット記録用のインクについての精力的な検討を行い、特定の組成のインクが、上記目的を極めて高いレベルで達成できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
本発明の目的は、保存安定性が極めて優れ、記録速度のより一層の高速化、吐出液滴のサイズのより一層の減少に対応することのできる、水不溶性色材を樹脂分散剤で水性媒体に分散させてなるインクジェット用のインク及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
また本発明は、高品位な画像を、高速で、かつ安定に形成することのできるインクジェット記録方法を提供することを他の目的とする。
【0008】
更に本発明は、上記インクジェット記録方法に適用することのできるインクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
1.スタートアップ特性
オンデマンド方式において液滴形成が一定時間行われないと、ノズル先端でのインク中の水分の蒸発による相対的な色素濃度の増加が起こり、ノズル先端部分のインク粘度が上昇し、インクの吐出が正常に行われなくなる。その結果、ドットプレスメントが正確でなくなったり書き始めの部分でドット径が小さくなったりする、所謂スタートアップ特性の低下が生じる。そして、このような現象は、インクのノズル先端からの蒸発が促進される低湿環境下や、インク全体の粘度が上昇する低温環境下で特に顕著になる。
【0010】
従来はこの問題に、例えば、記録ヘッドが被記録面に対峙している時間が連続して5秒未満である場合は、印字領域外でのインクの吐出を行い、ノズル内のインクの置換を行ってきた。また、一般には、プリント動作をストップし、インクの吸引、加圧による回復操作を頻繁に入れることによって対応してきたが、例えば、大判プリンタの場合、1スキャンの距離が長いため、従来と同等以上の性能が要求されている。
【0011】
2.耐固着性(ノズル目詰まり性)
また、ノズル先端で生じるインクの水分蒸発によって生じる別の問題としては、プリンターがある期間使用されないで放置されたとき、或いは、インクタンクとプリントヘッドが一体型の場合において、プリントヘッド自体がプリンターから外された状態で放置されたとき、或いは、インクタンクとプリントヘッドが分離可能な形態では、インクタンクがプリンターから外された状態で放置されたとき等、水分蒸発によってノズル先端で生じる色材の固着による目詰まりの発生が挙げられる。水分蒸発すると,顔料濃度が相対的に増大し、顔料間のネットワーク形成が進み目詰まり性の劣化が加速される。水分蒸発しない場合でも分散が不良であると顔料間の凝集が進み、この場合は、インクの製造直後より、目詰まり性悪い場合が多い。
【0012】
3.印字耐久性
大判ポスターでは、記録面積等も大きく、不吐出による画像の欠損を押さえる等の要求も多いことから、従来のオフィスプリンタ以上にヘッドの保証寿命まで、不吐出が発生しないことはもちろん、インク液滴体積が変動することなく使用できることが要求される。
【0013】
4.保存性
低温及び高温に放置されても凝集、増粘等の物性変化が無く、いつも安定した吐出が得られることも重要である。インクの液滴量が10pI以下のプリンタに使用されるインクでは,わずかの凝集、増粘等の影響が諸特性に対して大きくなるので格段の保存性能の向上が求められている。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−220545号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、特に、インクジェット記録用水性顔料インクにおいて生じていた上記に挙げた問題点を解決するためになされたものである。
【0016】
とりわけ性能劣化しない保存性については、格段の向上が得られる。即ち、本発明の目的は、インクジェット記録に用いた場合に、良好なスタートアップ特性が保たれ、ノズル先端で生じる色素の固着に対する耐性(以下、単に耐固着性と呼ぶ)に優れ、目詰まりのない安定した吐出が可能で、かつ、印字耐久性にすぐれ、さら格段の保存性が得られる水性顔料インク及びその製造方法、インクカートリッジ、及びインクユニット、これらを用いるインクジェット記録方法、記録装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を含み、該水不溶性色材の平均粒経が、50−200nmであり、加圧力 0.5Kg/平方cmにおける孔径400nmのフィルタでのフィルタ1平方cmあたりの濾過速度が当初の30秒間において、インク製造直後及び60℃、200時間経過後とも0.1g/秒以上であることを特徴とする顔料インク及びその製造方法を提供する。
【0018】
上記本発明の水不溶性色材含有インクは、水性媒体中にグリセリンを含むこと;水不溶性色材が分子中にハロゲンを有するものであること;樹脂分散剤がブロック共重合体であること;更にエチレンオキサイド付加化合物を含む場合に発明の効果がより顕著である。
【0019】
また、本発明は、上記何れかの水不溶性色材含有インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。該方法は、サーマル方式であることが特に好ましい。
【0020】
サーマルインクジェット記録方式は、ヒーターによる熱エネルギーでインクを発泡させ、その圧力でインクを飛翔させるものであるが、発泡時にインクは高温且つ高圧にさらされるため、高度に分散された顔料といえども、発泡のたびに、その量は定かではないが、分散を破壊された顔料分散体が若干発生すると考えられる。これらの分散破壊物は水に対して難溶性であるため、ヒーター上のコゲの原因となり、更には発泡不良や吐出量の低下を引き起こし、ヘッドの寿命を短くする。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明は、インクの製造直後及び60℃200時間保存後の濾過速度を規定しているが、濾過速度に影響を与える水不溶性色材の凝集については、フロキュレート(flocculates)、アグリゲート(aggregates)、アグロメレート(agglomerates)の三種が挙げられる。フロキュレートとは、一旦水性媒体中に樹脂分散剤によって分散された水不溶性色材が、再凝集したもので、経時的に成長して、ネットワークを形成するものである。凝集力は、比較的弱い。一方、アグリゲートやアグロメレートは、分散工程での不具合より生ずる凝集であり、一次粒子まで分散しきれていない分散不良物や過分散による微小粒子の再凝集物である。経時的というより、むしろインク製造直後より、インクジェットインクでの小液滴化、高周波対応では、問題の原因となる場合が多い。したがってアグリゲートやアグロメレートについては、インク製造時の遠心分離工程の導入や、濾過の条件を厳しくすることで、ある程度対応可能である。しかしながら、フロキュレートへの対応は、インク製造時には問題とならないため、工程付加では対応できないものである。フロキュレートの発生は、顔料、樹脂分散剤、水性媒体、分散条件、インク製造工程の各因子が関わっており、更なる対応が必要であり本発明に至ったものである。
【0022】
本発明のインクを構成する水性媒体についてまず、説明する。
【0023】
まず、本発明のインク中の水の含有量は、インク全重量に対して、50質量%以上であることが好ましく、また、95質量%以下であることが好ましい。
【0024】
水性媒体中で水と併用される構成材料としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、エチレン尿素、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0025】
中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレン尿素、トリメチロールプロパンを用いることが好ましく、特にグリセリンは、最も好適である。
【0026】
本発明の顔料インク中の水性媒体構成物の含有量は特に限定されないが、インク全重量に対して、3質量%以上であることが好ましく、また、50質量%以下であることが好ましい。
【0027】
次に本願において、より優れた印字耐久性を得るためには、水性媒体中にエチレンオキサイド付加化合物を併用することが好ましい。中でもノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのノニオン系界面活性剤のHLBは、10以上、好ましくは13以上、より好ましくは15以上である。
【0028】
これらの併用されるエチレンオキサイド付加物の含有量は、インク中に0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2.5質量%、より好ましくは0.3〜2質量%である。
【0029】
また、本発明の顔料インクは、所望の物性値を有するインクとするために、上記した成分の他に必要に応じて、添加剤として、例えば、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤等を添加することができる。添加剤の選択はインクの表面張力が25mN/m以上、好ましくは30mN/m以上になるようにすることが好ましい。
【0030】
本発明で使用する顔料の例としては、黒色インクに使用される顔料としてはカーボンブラックが好適に使用される。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料であり、一次粒子径が15〜40nm、BET法による比表面積が50〜300m/2g、DBP吸油量が40〜150mI/100g、揮発分が0.5〜10%の特性をもつものが好ましく用いられる。
【0031】
カラーインクに使用される顔料としては有機顔料が好適に使用される。具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等の顔料が例示できる。
また、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。上記のような顔料以外でも使用することができるが、特に、これらの顔料の中でも、本願の効果をより顕著に具現化できるのは、C.I.ピグメントレッド122や分子中にハロゲンを有するC.I.ピグメントイエロー13、17、55、93、97、98、110、128、138、154である。
【0032】
これらの顔料のインク中への添加量は、この範囲に限定されるものではないが、0.1〜10%の範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜8%、更に好ましくは、0.3〜6%である。
【0033】
これらの顔料を分散する樹脂分散剤としては、水溶性であれば特に制約はないが、具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。中でも、本発明を実施する上で特に好ましい分散剤は、ブロック共重合体である。
【0034】
ブロック共重合体は、AB、BAB、及びABC型等で示される構造である。疎水性のブロックと親水性のブロックとを有し、また、分散安定性に貢献する均衡のとれたブロックサイズを有するブロック共重合体は、本発明を実施する上で特に有利である。官能基を疎水性ブロック(着色剤が結合するブロック)に組み込むことができ、それによって分散安定性を改善するために分散剤と着色剤との間の特異的相互作用をよりいっそう強化される。さらに熱エネルギーを利用したインクジェット記録方式、特に小液滴(0.1〜20pI、より好ましくは、0.1〜15pI、更に好ましくは、0.1〜10pI)対応のインクジェット記録ヘッドに使用した場合、そのレオロジー適性により、より好ましいものである。インク中の重合体の量は、該重合体の構造、分子量、および他の特性、さらにインク組成物の他の成分に依存する。本発明を実施する上で選択される重合体の重量平均分子量は、30,000未満、好ましくは20,000未満、より好ましくは2,000〜10,000の範囲内である。また、これらの重合体はJ.MACROMOL.SCI.−CHEM.,A24(11),pp.1315−1332(1987),J.MACROMOL.SCI.−CHEM.,A21(8&9),pp.961−977(1984),Makromol.Chem.187,2187−2199(1988)あるいは、特開平06−136311号公報、特開平07−053841号公報などに記載されている方法によって製造することができる。
【0035】
ブロック共重合体に用いることができる代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMAまたはNBMA)、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレートおよびソルビルアクリレートなどである。好ましい疎水モノマーはベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートであり、これらから製造されたホモポリマーおよびコポリマー、例えばメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとのコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
【0036】
また、ブロック共重合体に用いることができる代表的な親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第3−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドおよびジメチルアクリルアミド等が挙げられる。メタクリル酸、アクリル酸またはジメチルアミノエチルメタアクリレートのホモポリマーまたはコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
【0037】
酸を含有するポリマーは直接製造されるかまたは重合後除去されるブロッキング基を有するブロックされたモノマーから製造される。ブロッキング基の除去後に、アクリル酸またはメタクリル酸を生ずるブロックされたモノマーの例としては、トリメチルシリルメタクリレート(TMS−MAA)、トリメチルシリルアクリレート、1−ブトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、2−テトラヒドロピラニルアクリレートおよび2−テトラヒドロピラニルメタクリレートが挙げられる。
【0038】
特に熱エネルギーを用いたヘッドにて、高周波数、例えば、5KHz以上で駆動させた場合に、これらブロック共重合体を本発明に用いることにより、吐出性の向上効果はより顕著になる。
【0039】
また、好ましいインク中の樹脂分散剤量は0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは、1〜6質量%の範囲である。もし、重合分散剤の含有量がこの範囲よりも高い場合、所望のインク粘度を維持するのが困難となる。
【0040】
以上が本願のインクを構成する材料の説明であるが、本願の顔料分散体の平均粒経は、50−200nmの範囲である。50nm以下の分散物は、主に保存後に生ずるフロキュレート形成物の除去が難しい。これは、小液滴、高周波対応インクジェットインクの場合、インク粘度の制約から含有する樹脂分散剤量の制約があり、50nm以下の平均粒径の場合、顔料の表面積が大きくなり、顔料の単位重量あたりの付着樹脂量を増やす必要があるが粘度制約から対応できないため、その結果として樹脂による被覆率が低下し、良好な分散が達成できないことが原因と推定される。
【0041】
一方、200nm以上の場合は、前述した、アグリゲート、アグロメレートによる不都合が生ずる場合が多く、本発明の効果が当初より発現できない。
【0042】
平均粒径の測定方法としては、レーザ光の散乱を利用した、ELS−8000(大塚電子製)、マイクロトラックUPA 150(日機装製)等を使用して、測定できる。
【0043】
次にインクの製造直後及び保存後に吐出の諸性能に悪影響を与える各凝集物の影響を見極める方法について述べる。とりわけフロキュレート物の存在を確認する手段としては、フロキュレート物は、インク製造直後は問題とならず、経時的に成長していくため、保存したインクを評価する必要がある。本願の濾過速度を求める一例を挙げると、インク製造直後のインクとインクを60℃200時間保存したインク各18gを加圧力(0.5kg/平方cm)で孔径400nmのフィルタ(FR−40 直径25mm 富士写真フィルム製)で濾過し、濾過に要する時間を測定し換算した値を用いる。60℃200時間という保存温度及び時間設定は、温度が低いとフロキュレーション物の成長が遅いことや、高いとフロキュレーション物が成長しても再分散してしまう場合があり、これらを考慮して設定した。
【0044】
本願のインクを達成するためのインク製造方法の一例を示すが本発明は、本方法に限定されるものではない。本来、顔料が一次粒子まで分散され、適切量の樹脂分散剤によって顔料表面が被覆されていれば、アグリゲートやアグロメレートによる吐出性能に対する不都合も生じないし、フロキュレートによる問題も、極めて発生しにくいが、実際の工程では、理想的な分散は難しく、インク製造時に平均粒子経の制御工程(遠心分離や濾過工程の強化)を導入しても、経時的にネットワークを拡げてしまうフロキュレートまでは対応できていないのが実状である。本発明のインクの製造は、予め40−80℃の最適範囲で充分な攪拌を実施し、800nm以下の孔径のフィルタで濾過することで達成される。水性媒体の構成、顔料の種/量、分散樹脂種/量等によって、最適な製造条件は、異なるので上記条件の範囲内で60℃200時間の保存前後の濾過性を測定することで、処理温度及び時間、濾過孔径を決定する。本方法によればインク製造時にアグリゲートやアグロメレートの凝集物を除去し、フロキュレートとして、経時的にネットワークを拡げ本発明技術課題に不都合を与える、凝集物をも除去してしまうので本手段を経たものは、本発明の課題を達成できる。
【0045】
次に、本発明のインクジェット記録装置につき、インクジェットプリンターを具体例として説明する。図1は、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【0046】
図1においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図中に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0047】
上記搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。かかる構成により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、それぞれのローラユニット1022a及び1022bと、ローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、矢印P方向に間欠送りで搬送されることとなる。移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、及び、プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016、ローラユニット1022a、及び、ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0048】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0049】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0050】
図2は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
【0051】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(不図示)へと導かれるようになっている。図2に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0052】
なお、インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェットカートリッジが記録ユニットである。
【0053】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0054】
(実施例1)
分散液1の作製
まず、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。
【0055】
上記のポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントイエロー128)を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザー(MFIC社製)を使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
【0056】
更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して分散液1とした。得られた分散液1は、その顔料濃度が15質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
【0057】
インクの作製
インクの作製は、上記分散液1を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、70℃4時間でこれらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ700nmのミクロフィルター(FR−70 富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4.5質量%、分散剤濃度3質量%のインクAを調製した。
上記分散液1 30部
グリセリン 5部
エチレン尿素 10部
ポリオキシエチレンセチルエーテル(EO30、HLB19.5) 0.5部
イオン交換水 54.5部。
【0058】
(実施例2)
実施例1におけるインク作成の攪拌条件、70℃4時間を60℃4時間にする以外は、実施例1と同様な操作を行い、実施例2のインクBを調整した。
【0059】
(実施例3)
実施例1における分散液の調整中、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸のAB型ブロックポリマーをランダムポリマーに置きかえる以外は、実施例1と同様な操作を行い、実施例3のインクCを調整した。
【0060】
(実施例4)
(1)分散液2の作製
まず、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びエトキシエチレングリコールメタクリレートを原料として、常法により、酸価350、数平均分子量5000のABC型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。
【0061】
上記の50%ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300g混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi((約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を除去して分散液2とした。得られた分散液2は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度5%であった。
【0062】
(2)インクの作製
インクの作製は、上記分散液2を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を30℃3時間攪拌後、さらに70℃1時間撹拌した後、ポアサイズ700nmのミクロフィルター(FR−70 富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度3%、分散剤濃度1.5%のインクDを調製した。
上記分散液2 30部
グリセリン 3部
エチレン尿素 6部
トリエチレングリコール 6部
2−ピロリドン 1.5部
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(EO 20、HLB16.5) 1.5部
セチレングリコールEO付加物(商品名:アセチレノールEH、川研ファインケミカル製) 0.5部
イオン交換水 51.5部。
【0063】
(実施例5)
実施例4における分散液の調整中、C.I.ピグメントレッド122をカーボンブラックに置きかえる以外は、実施例4と同様な操作を行い、実施例5のインクEを調整した。
【0064】
次に、本発明の比較例で使用するインクを下記の方法で作製した。
【0065】
(比較例1)
実施例1インク作成の攪拌条件、70℃4時間を30℃4時間にする以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較例1のインクFを調整した。
【0066】
(比較例2)
実施例1における分散液の調整中、相互作用チャンバ内に5回通すことを2回に、インク作成の濾過条件のフィルタ孔経700nmを1000nm(FR−100 富士フイルム製)にする以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較例2のインクGを調整した。
【0067】
(比較例3)
実施例1における分散液の調整中、相互作用チャンバ内に5回通すことを10回に、インク作成の濾過条件のフィルタ孔経700nmを2500nm(FR−250 富士フイルム製)にする以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較例3のインクHを調整した。
【0068】
(比較例4)
実施例4におけるインク作成の攪拌条件中、70℃ 1時間の攪拌を除外する以外は、実施例4と同様な操作を行い、比較例4のインクIを調整した。
【0069】
(比較例5)
実施例5におけるインク作成の攪拌条件中、70℃ 1時間の攪拌を除外する以外は、実施例5と同様な操作を行い、比較例5のインクJを調整した。
【0070】
上記実施例(1)〜(5)、比較例(1)〜(5)インクの平均粒経、濾過性の結果を表1にまとめた。
【0071】
平均粒経は、インクを純水で1000倍に希釈し超音波処理を3分間した後、3mm石英セルを用いて、ELS−8000(大塚電子製)にて、25℃で測定した。
【0072】
濾過速度は、容量20mIの濾過機にインクの製造直後及び60℃200時間保存後の各インク18gを投入し、次いで加圧力(0.5Kg/平方cm)で孔径400nmのフィルタ(FR−40 直径25mm 富士写真フィルム製)で濾過し、全量の濾過に要する時間を測定し換算した値を用いた。
【0073】
実施例及び比較例で得られたインクを、記録信号に応じた熱エネルギーを付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型記録ヘッドを複数個有するインクジェットカラー記録装置カラーバブルジェット(登録商標)大判プリンタ(商品名:BJ−W9000、キヤノン製)のインクタンクにインクを充填後プリンタに搭載し、下記の評価を行った。
【0074】
[評価項目]
(1)スタートアップ特性
25℃、湿度10%環境下でプリンタの電源をOFF状態で放置した後、更に、常温常湿下で2時間放置した後に電源を入れ、最初の印字状態を確かめた。評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
〇:放置前の印字状態と差異がない。
△:放置前の印字状態と多少差異がある。
×:明らかに放置前の印字状態と差異がある。
【0075】
(2)耐固着性
35℃、湿度10%環境下でプリンタに搭載しているヘッドを本体からはずして1週間放置した後、プリンタに装着して、通常の回復動作で印字が回復可能か否かをチェックした。評価基準は以下の通りである。
〇:1回の本体回復動作で回復する。
△:数回の本体回復動作で回復する。
×:本体回復動作で回復しない。
【0076】
(3)印字耐久性
プリンタを用いて、20ノズルについて、駆動周波数7.5KHzで3×10パルス連続吐出させ、その後、未耐久ノズルと耐久後ノズルでベタパターンを印字し、その濃度の差を目視で評価した。
〇:未耐久ノズルと耐久ノズルで濃度の差が見られない。
△:未耐久ノズルと耐久ノズルで濃度の差が若干見られる。
×:未耐久ノズルと耐久ノズルで濃度の差が明らかに見られる。
【0077】
(4)インク保存性
耐熱性のガラス瓶に100gづつ入れ、密栓して、0℃の恒温層に3日間保存後、60℃の恒温層に3日間保存後、このサイクルを更に2回繰り返し、上記(3)の印字耐久性の試験を行った。評価は、同様の基準とした。
【0078】
上記評価項目(1)〜(4)の結果を表2にまとめた。
【0079】
【表1】
Figure 2005002247
【0080】
【表2】
Figure 2005002247
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を含み、該水不溶性色材の平均粒経が、50−200nmであり、加圧力 0.5Kg/平方cmにおける孔径400nmのフィルタでのフィルタ1平方cmあたりの濾過速度が当初の30秒間において、インク製造直後及び60℃、200時間経過後とも0.1g/秒以上であることを特徴とするインクジェット記録用顔料インクをインクジェット記録に用いた場合に、良好なスタートアップ特性が保たれ、ノズル先端で生じる色素の耐固着性に優れ、目詰まりのない安定した吐出が可能で、かつ格段のインクの保存性、印字耐久性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図2】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
100 インクジェット記録ヘッド
832 吐出口
1001 液体タンク
1006 移動駆動部
1008 ケーシング
1010 記録部
1010a キャリッジ部材
1012 カートリッジ
1012Y,M,C,B インクジェットカートリッジ
1014 ガイド軸
1016 ベルト
1018 モータ
1020 駆動部
1022a、1022b ローラユニット
1024a、1024b ローラユニット
1026 回復ユニット
1026a、1026b プーリ
1028 用紙
1030 搬送装置
P 用紙の搬送方向
R ベルトの回転方向
S 用紙の搬送方向と略直交する方向

Claims (14)

  1. 水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を含み、該水不溶性色材の平均粒経が、50−200nmであり、加圧力0.5Kg/平方cmにおける孔径400nmのフィルタでのフィルタ1平方cmあたりの濾過速度が当初の30秒間において、インク製造直後及び60℃、200時間経過後とも0.1g/秒以上であることを特徴とするインクジェット記録用顔料インク。
  2. 該水性媒体中にグリセリンを含む請求項1に記載のインクジェット記録用顔料インク。
  3. 該水不溶性色材が、分子中にハロゲンを有するものである請求項1に記載のインクジェット記録用顔料インク。
  4. 該樹脂分散剤が、ブロック共重合体である請求項1に記載のインクジェット記録用顔料インク。
  5. 更にエチレンオキサイド付加化合物を含む請求項1に記載のインクジェット記録用顔料インク。
  6. インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクを収容したインク収容部、および該インクを吐出させるためのヘッド部を同時に備えた記録ユニットにおいて該インクが請求項1〜5のいずれか1項に記載であることを特徴とする記録ユニット。
  8. インクに熱エネルギーを印加することによってオリフィスから該インクを吐出させる方式の記録ヘッドを備えている請求項7に記載の記録ユニット。
  9. 水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を含み、該水不溶性色材の平均粒経が、50−200nmであり、加圧力0.5Kg/平方cmにおける孔径400nmのフィルタでのフィルタ1平方cmあたりの濾過速度が当初の30秒間において、インク製造直後及び60℃、200時間経過後とも0.1g/秒以上であるインクジェット用顔料インクを用いたインクジェット記録方法。
  10. 印加するエネルギーが熱エネルギーである請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 該インクジェット記録方法に使用するインクジェットヘッドの吐出量が0.1〜10pIである請求項10に記載の記録方法。
  12. 該インクジェット記録方法における駆動周波数が5KHz以上である請求項10に記載の記録方法。
  13. 請求項7〜8に記載のインクユニットを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  14. 水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を含み、該水不溶性色材の平均粒経が、50−200nmである分散体を40−80℃で加温し、
    孔径800nm以下のフィルタで濾過することを特徴とするインクジェット記録用顔料インクの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006199888A (ja) * 2005-01-24 2006-08-03 Seiko Epson Corp 水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに記録物
JP2019077873A (ja) * 2014-10-21 2019-05-23 株式会社Screenホールディングス 顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物

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