JP2009249441A - インクジェット記録用インク、記録方法及び製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク、記録方法及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録方法に適し、長期間にわたって保存安定性が良好に維持でき、例えば10pl以下の液滴量の小液滴化に対応したヘッドに使用しても良好で安定した応答性を維持できるインクの提供。特に、サーマルインクジェット方式のヘッドに対しても様々な駆動条件に対応できるインク、該インクを用いることで安定した印字を可能とする記録方法の提供。
【解決手段】分散剤により顔料を水系媒体に分散させたインクにおいて、純水にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(w)が100nm以下であり、かつ、該平均粒径値r(w)と、HLB13以上18以下のノニオン界面活性剤の0.1%水溶液にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(s)との比が、0.90≦r(w)/r(s)≦1.10の範囲であることを特徴とするインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク(以下「インク」と略す)、該インクを用いた記録方法及び該インクを得るためのインクジェット記録用インクの製造方法に関する。さらに詳しくは、長期間にわたる保存安定性が良好であり、インクジェット記録技術において著しい小液滴化に対応したヘッドに使用しても安定した応答性を維持でき、サーマル方式のヘッドに対しても様々な駆動条件に対応できるインクに関する。
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙などの記録媒体に付着させて記録を行うものである。中でも、吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させるサーマル方式によれば、下記のような効果が得られる。すなわち、サーマル方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘッドの高密度マルチノズル化が容易に実現でき、高解像度、高品質の画像を高速で記録できるとされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
近年、銀塩写真レベルの極めて高品位なインクジェット記録画像に対応するために、単一のノズルから吐出させるインク液滴のサイズが小さくなってきている。現在では、インクの液滴量が約10pl(ピコリットル)以下のインクジェットプリンタが市販されている。また、記録速度に関しても、より一層の高速化を求められてきており、それに伴って吐出時におけるより高い駆動周波数への対応が急務である。
さらに、インクジェット記録画像の堅牢性に関してもより一層の向上が望まれており、それに伴ってインクを構成する色材に顔料を採用することの検討が活発となってきている。顔料をインクジェット用の水性インクの色材として用いる場合には、水性媒体中に顔料を安定して分散させることが肝要である。一般に、顔料を水性媒体中に均一に分散させるためには、分散剤を用いる方法や、顔料表面を改質して親水化して、顔料に自己分散性を付与する方法などが知られており、種々の工夫がなされている。例えば、分散剤を用いる方法には、水性媒体に対して顔料を安定に分散させるための親水基と、疎水性である顔料表面に物理的に吸着するための疎水部とを有する樹脂分散剤を用いる方法(例えば、特許文献4参照)がある。また、顔料表面を改質する方法としては、酸化反応などにより顔料表面を親水化処理する方法(例えば、特許文献5参照)などがある。
顔料表面を酸化反応などにより親水化処理する方法によって得られた顔料を用いた形態のインクによれば、普通紙などの記録媒体に印字した場合、樹脂分散剤を用いる方法によって得られた形態のインクに比べ、印字濃度の高い記録物を得ることができる。しかし、この形態のインクを用いて得られた画像は、耐擦過性や蛍光マーカーペンによる耐マーカー性は十分でないことがあった。また、光沢紙への印刷物の場合には、光沢性に支障があった。
一方、樹脂分散剤によって顔料を分散してなる形態のインクを用いると、上記で問題となっている耐擦過性、光沢性の比較的良好な画像が得られる場合もある。しかし、この形態のインクの場合は、とりわけ10pl以下といった微小液滴量のインクジェット装置に適用し、長期保存インクを大容量で連続印字すると、インク供給経路や印字ヘッド直付けフィルタにインクの凝集物が堆積し、吐出不良となる場合がある。また、この形態のインクを用いた場合には、微小のインク液滴を飛翔させるサーマルジェット方式のインクジェット記録装置に長期保存インクを用いると、吐出特性の劣化が見られる場合も多い。本発明者らは、特に、分散剤によって顔料を分散してなる形態のインクにおいて生じる問題を解決することを目的に検討を行った。
上記の問題に関連して、出射性のよいインクジェット記録用水系インクの製造方法の提案がある(例えば、特許文献6参照)。しかし、特許文献6に記載されているメディア型分散機の制御条件では一定の効果は認められるものの、この方法によって得られたインクでも、本発明の高い要求性能を満たすことは困難であり、より一層の分散工程の制御が求められる。
また、特許文献7には、ポリアルケニルエーテルを主鎖構造とするブロックポリマーを用いたフェザリング(インクの染み出し)防止を目的とした顔料インク組成物が提案されている。特許文献7では、平均粒径が80nm以下であることと、インク中における分散度指数を0.15以下とする規定がなされている。しかし、こうした粒径データでは、顔料の1次粒子の表面状態に関する詳細な知見は得られず、このようなインクを用いても、本発明が要求している長期保存インクを大容量で吐出不良なく連続使用することに関しては、必ずしも満足する性能が得られない。
本発明者らは、上記したような今後の技術トレンドを背景とした課題に対し、特に10pl以下といった微小のインク液滴で使用される水系顔料インクに求められる基本特性を満足し得るインクの開発が重要であると認識するに至った。具体的には、長期保存した場合における顔料インクの分散安定性、吐出安定性を確保しつつ、サーマルジェット方式のヘッドに対しても安定した応答性を維持できる優れた特性のインクを開発することにある。その際における根本的な問題は、インク中における顔料の分散状態を、保存中や使用中にいかに良好な状態に維持できるかである。本発明が目的とする各課題の概要を以下に示す。
1.保存性
インク液滴量が10pl以下の小液滴プリンタに使用されるインクでは、わずかな分散不良が諸特性に対して大きく影響するので、格段の保存性能の向上が求められている。本発明者らの検討によれば、このような高い性能は、顔料の分散性を判定するために行われている通常の方法で測定した、顔料の平均粒径値や分布測定データだけからでは、見出しにくいものである。すなわち、下記のような場合においては、上記したデータで分散性が良好であると判断されたインクを使用したとしても、保存後のインクで大容量の記録を継続して行うと、インク流通経路中のフィルタにインクの凝集物が堆積され、吐出不良となることがある。例えば、プリンタが長期間にわたって使用されないで放置されていた場合、或いは、インクタンクとプリントヘッドが一体型の場合において、プリントヘッド自体がプリンタから外された状態で放置されていた場合などに、吐出不良が生じることがある。また、インクタンクとプリントヘッドが分離可能な形態では、インクタンクがプリンタから外された状態で放置された場合などにおいて、吐出不良となることがある。このような場合に生じる吐出不良の現象は、特に10pl以下のインク液滴を吐出させるプリンタの場合、従来のプリンタに比して、流路中のフィルタの目が細かくなっているため生じやすく、深刻な問題となる。近年、開発が行われている、5pl以下、2pl以下、1pl以下のインク液滴量のプリンタでは、さらに細かなフィルタとなっており、インクの保存性を向上させることは、今後の技術において極めて重要な課題である。上記したフィルタの目詰まりの発生の理由は、インクの製造直後は、問題がなくとも、保存により悪くなる場合が多いことから、保存により、インク中の顔料間のネットワーク形成が進み、目詰まり性の劣化が加速されたためであると考えられる。
2.吐出安定性
顔料インクを、記録ヘッド微細孔(オリフィス)からエネルギー作用によってインクを飛翔させて記録を行う方式のインクジェット記録装置に使用した場合、特に下記のような問題があった。すなわち、使用するインク中の顔料の分散安定性がよくないと、吐出安定性に著しい障害を起こし、印字不良を発生することがある。特に、サーマルインクジェット方式により、インク液滴を吐出させて記録を行った際に、従来の水性顔料インクを使用した場合に、下記のような問題を生じる場合があった。インクにパルスを印加すると、ある駆動電圧時においてはその熱により薄膜抵抗体上に堆積物ができ、インクの発泡が不完全でインク液滴の吐出が印加パルスに応答できないで、不吐出が発生する場合がある。中でも、液滴量が10pl以下の微小液滴のプリンタに用いたインクの場合は、この問題が生ずることが多い。この問題は、前記したような状況の保存インクでは、さらに深刻である。
特公昭61−59911号公報 特公昭61−59912号公報 特公昭61−59914号公報 特開平9−241564号公報 特開平8−3498号公報 特開2002−3758公報 特開2005−281619公報
したがって、本発明の目的は、インクジェット記録方法に適し、長期間にわたって保存安定性が良好に維持でき、例えば10pl以下のインク液滴量の小液滴化に対応したヘッドに使用しても良好で安定した応答性を維持できるインクを提供することにある。本発明の目的は、特に、サーマルインクジェット方式のヘッドに対しても様々な駆動条件に対応できるインク、該インクを用いることで安定した印字を可能とする記録方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、上記した特性を有するインクを得るためのインクの製造方法を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、分散剤により顔料を水系媒体に分散させたインクにおいて、純水にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(w)が100nm以下であり、かつ、該平均粒径値r(w)と、HLB13以上18以下のノニオン界面活性剤の0.1%水溶液にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(s)との比が、0.90≦r(w)/r(s)≦1.10の範囲であることを特徴とするインクである。
上記本発明のインクのより好ましい形態は、上記r(w)が80nm以下であること、上記r(w)/r(s)が0.95≦r(w)/r(s)≦1.05の範囲であることが挙げられる。また、分散剤が、両親媒性のブロック構造を有するポリマーであること、或いは、分散剤が、疎水性モノマー、非イオン性親水性モノマー、イオン性親水性モノマーの3成分を重合してなるブロック構造を有するポリマーであることが挙げられる。上記本発明のインクは、特に、サーマルインクジェット方式用である場合に発明の効果がより顕著である。
さらに、本発明の別の実施形態は、インクジェット記録ヘッドを用いて、10pl以下のインク液滴を付与して記録を行うインクジェット記録方法において、インクが、上記いずれかのインクであることを特徴とするインクジェット記録方法である。このような場合に、本発明のインクを特定の構成とした効果がより顕著に得られる。
さらに、本発明の別の実施形態は、上記いずれかのインクを得るための製造方法であって、ビーズミル分散機を用いて、周速6m/秒以下の条件で分散する工程を有することを特徴とするインクジェット記録用インクの製造方法である。このような、構成とすることで、顔料の平均粒径値を100nm以下に調整しつつ、いわゆる分散工程における過分散を極限まで抑えることが可能となり、本発明の効果がより顕著に得られるインクの製造が可能となる。
本発明によれば、インクジェット記録方法に適し、長期間にわたって保存安定性が良好に維持でき、例えば10pl以下の液滴量の小液滴化に対応したヘッドに使用しても良好で安定した応答性を維持できるインクが提供される。本発明によれば、特に、サーマルインクジェット方式のヘッドに対しても様々な駆動条件に対応できるインクが提供される。本発明によれば、上記インクを用いることで、良好な状態での安定した記録が可能なインクジェット記録方法が提供される。さらに、本発明によれば、上記した優れた特性のインクが容易に得られるインクの製造方法が提供される。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、従来技術の課題を解決すべく精力的な検討を行った結果、インクを設計する場合に使用する、インク中の顔料の平均粒径値のデータを下記のようにすることで本発明の目的の達成が可能となることを見出し、本発明を為すに至った。すなわち、インクの設計の際に使用する顔料の平均粒径値のデータとして、通常用いられている純水に希釈して測定した平均粒径値r(w)のみではなく、該r(w)と、特定の界面活性剤の0.1%水溶液で希釈して測定した平均粒径値r(s)とを使用する。具体的には、上記r(w)を100nm以下とし、かつ、該r(w)と、HLB13以上18以下のノニオン界面活性剤の0.1%水溶液で希釈して測定した平均粒径値r(s)との比が、0.90≦r(w)/r(s)≦1.10の範囲となるようにインクを設計する。このように構成することで、本発明の目的を極めて高いレベルで達成することができる。本発明のインクは、分散剤により顔料を水系媒体に分散させてなるが、以下、これらの成分について説明する。
(顔料)
本発明のインクに含まれる顔料については、特に限定されず、従来よりインクジェット記録用に用いられているカーボンブラックや有機顔料を、いずれも用いることができる。色材の具体例については、後述する。インク中における顔料の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、下記のようにすることが好ましい。すなわち、インク全量に対して混合物としての合計量で0.1質量%以上15質量%以下、好ましくは0.2質量%以上12質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上10質量%以下である。
黒色を有する顔料としては、カーボンブラックを用いることが好適である。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック顔料が挙げられる。中でも、一次粒子径が15nm以上40nm以下、BET法による比表面積が50m2/g以上400m2/g以下、DBP吸油量が40ml/100g以上200ml/100g以下、揮発分が0.5質量%以上10質量%以下の特性を持つものが好ましい。
カラーインクに使用される顔料としては、主として有機顔料を用いることが好適である。具体的には、下記に挙げるようなものが使用できる。トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー。ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ。ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなどの顔料が例示できる。
また、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、下記に挙げるようなものが使用できる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185。C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71。C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272。C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50。C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64。C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26などが例示できる。
中でも好適な顔料としては、それぞれ下記のものが挙げられる。イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185である。シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4である。マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19である。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
(分散剤)
顔料の分散剤としては、分散機能を有するものであればいずれのものも使用できるが、中でも水溶性ポリマーを利用したものがよく、ランダム構造よりも両親媒性のブロック構造を有するポリマーであることがより好ましい。この理由は、吸着できなかったポリマー分散剤が、ブロック構造の場合、自己ミセルを形成し、保存時においても分散に悪影響を与えないためと考えられる。これらのポリマーについての製造方法は、下記に開示されている。特開平05−179183号公報、特開平06−136311号公報、特開平07−053841号公報、特開平10−87768号公報、特開平11−043639号公報、特開平11−236502号公報、特開平11−269418号公報が挙げられる。
ブロックポリマーに用いることができる代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMA又はNBMA)、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレート及びソルビルアクリレートなどである。好ましい疎水性モノマーはベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートであり、これらから製造されたホモポリマー及びコポリマー、例えばメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとのコポリマーを用いてブロックポリマーを製造することが好ましい。
また、ブロックポリマーに用いることができる代表的な親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第3−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミド及びジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。メタクリル酸、アクリル酸又はジメチルアミノエチルメタアクリレートのホモポリマー又はコポリマーを用いてブロックポリマーを製造することが好ましい。
酸を含有するポリマーは直接製造されるか又は重合後除去されるブロッキング基を有するブロックされたモノマーから製造される。ブロッキング基の除去後に、アクリル酸又はメタクリル酸を生ずるブロックされたモノマーの例としては、トリメチルシリルメタクリレート(TMS−MAA)、トリメチルシリルアクリレート、1−ブトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、2−テトラヒドロピラニルアクリレート及び2−テトラヒドロピラニルメタクリレートが挙げられる。
さらに好適なものとしては、少なくとも、疎水性モノマー、非イオン性親水性モノマー及びイオン性親水性モノマーの3成分を重合してなるブロック構造を有するポリマーが挙げられる。この場合におけるブロック構造とは、少なくとも上記の3成分で形成されるユニットによるブロック構造を有しているものを意味する。さらに、ポリマーが、ポリビニルエーテル構造を繰り返し単位としてなるユニットによってブロック構造を有しているものは、特に本発明のインクにおいて好適である。モノマーを重合し、上記したような構造のポリマーを得るために好ましく用いられる具体的な合成方法としては、下記に挙げる方法がある。すなわち、ポリマーブレタン誌15巻(1986年、417頁)、特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報などに記載されている青島らによるカチオンリビング重合による方法である。
本発明で使用するポリマーを形成するための親水性のモノマーの具体的な構造としては、下記の一般式(1)で表される構造のものが挙げられる。本発明では、このようなモノマーを重合してなるユニットによるブロック構造を有するポリマーを、分散剤として使用することが好ましい。勿論、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2009249441
(式中、R0は、−X−(COOH)r、−X−(COO−M)rを表わす。−X−は、炭素数1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は−(CH(R5)−CH(R6)−O)p−(CH2)m−CH3-r−若しくは−(CH2)m−(O)n−(CH2)q−CH3-r−、又は、それらのメチレン基の少なくとも一つがカルボニル基又は芳香環構造で置換された構造を表わす。上記rは1又は2を表わす。pは、1から18までの整数を表わす。mは0から35までの整数を表わす。nは1又は0を表わす。qは0から17の整数を表わす。Mは一価又は多価のカチオンを表わす。R5、R6はアルキル基を表わす。R5、R6は同じでも又は異なっていてもよい。)
上記一般式(1)で表される親水性のモノマーの具体例を以下に挙げる。これらの式中にあるM1は、水素、リチウム、ナトリウム、カリウムから選ばれ、Phは、フェニレン基を表わす。
Figure 2009249441
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本発明で好適に使用できるポリマーを形成するための疎水性モノマー或いは非イオン性親水性モノマーの具体的な構造としては、下記の一般式(2)で表される構造のものが挙げられる。また、本発明では、このようなモノマーを重合してなるユニットによるブロック構造を有するポリマーを、分散剤として使用することが好ましい。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 2009249441
(式中、−R1は、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−(CH(R5)−CH(R6)−O)p−R7及び−(CH2)m−(O)n−R7から選ばれる。芳香環であるPh又はPyr中の水素原子は、炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基と、また、芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換していてもよい。上記pは1から18の整数、mは1から36の整数、nは0又は1である。R5、R6はそれぞれ独立に水素原子若しくは−CH3である。−R7は、水素原子、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2COOR8からなる。R7が水素原子以外である場合、R7中の炭素原子に結合している水素原子は、炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は−F、−Cl、−Brと、また芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換することができる。R8は、水素原子又は炭素数1から5のアルキル基である。Phはフェニル基、Pyrはピリジル基を表わす。)
上記一般式(2)で表される疎水性のモノマーの具体例を以下に挙げる。なお、これらの式中にあるPhはフェニレン基であり、C108はナフタレン基を表わす。
Figure 2009249441
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上記一般式(2)で表される非イオン性親水性モノマーの具体例を以下に挙げる。
Figure 2009249441
Figure 2009249441
Figure 2009249441
Figure 2009249441
なお、インク中における分散剤の含有量は、インク全量に対して0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。さらには、0.3質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。インク中における分散剤の含有量がこの範囲よりも高いと、インクジェット記録用として所望されるインク粘度を維持するのが困難となる。また、顔料と分散剤の比は1:5乃至10:1であることが好ましい。顔料と分散剤の比がこの範囲から外れると、保存をしない製造直後のインクであっても、吐出性、とりわけサーマル方式での吐出性が悪くなるか、耐マーカー性・耐擦過性が悪くなる場合がある。
以下、本発明を特徴づける顔料インク中における顔料の平均粒径値について説明する。本発明のインクの第1の特徴は、純水にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(w)が100nm以下とした点にある。第2の特徴は、この顔料の平均粒径値r(w)と、HLB13以上18以下のノニオン界面活性剤の0.1%水溶液にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(s)との比が0.90≦r(w)/r(s)≦1.10の範囲内になるようにした点にある。さらに、本発明のインクの好ましい形態としては、上記r(w)が80nm以下であること、上記r(w)/r(s)の比が、0.95≦r(w)/r(s)≦1.05の範囲であることが挙げられる。以下、r(w)を純水希釈の平均粒径値或いは純水希釈値、r(s)を、界面活性剤水溶液希釈平均粒径値或いは界面活性剤水溶液希釈値と、それぞれ呼ぶことがある。
本発明者らの検討によれば、顔料がナノレベルの微粒子であっても、純水希釈の平均粒径値r(w)が100nmを超える場合は、比較的マイルドな条件で分散可能な場合があり、純水希釈値と界面活性剤水溶液希釈値とで、平均粒径値に差が出ない場合も多い。しかし、r(w)が100nm以下になるように顔料を分散させるとなると、分散機として、ビーズミル、ディスクミル、ロールミルなどの高せん断エネルギーのものを使用せざるを得ない。このため、どうしても顔料が過分散になりやすい。そして、過分散された状態となると、顔料の一次粒子表面がエネルギー的に活性となり、顔料が再凝集することが多い。この過分散して再凝集した顔料の2次粒子と、過分散されていない過分散なしの顔料の2次粒子とでは、インクに用いた場合に、長期保存時に生じる凝集や、サーマルジェット方式での吐出性能に大きな差がある。しかし、本発明者らの検討によれば、従来より行われている、純水による単一の希釈液によるインク中の顔料の粒径測定方法だけでは、その顔料が過分散されたものであるか否かを区別することは、難しい。
本発明者らの検討によれば、本発明が目的とする長期保存インクにおける先に列挙した各種の課題を解決するためには、この過分散がないか、或いは、過分散が生じることを極力低減した分散インクを得ることが必須である。本発明者らは鋭意検討した結果、下記に述べるような簡単な判別方法を見出し、本発明に至ったものである。先ず、本発明者らの検討によれば、顔料が過分散なしの場合は、測定時の希釈液の種類の影響を受け難い。これに対し、インク中の顔料が過分散された状態であると、特定の界面活性剤水溶液で希釈して測定した場合に、凝集物の再分散或いは凝集構成の再編が起こり、純水希釈した場合に比して、平均粒径値が小さくなる場合と大きくなる場合がある。さらに、その違いは感度よく見られることを見出し、このことを利用することで、本発明で要求する優れた性能を満足し得る構成のインクを得た。インク中の顔料の平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザ光の散乱を利用した、FPAR−1000(大塚電子製)などを使用して測定できる。上記した手法を用いて設計されてなる本発明のインクは、平均粒径値r(w)が100nm以下でありながら、顔料が過分散されておらず、長期保存時に生じる凝集がなく、インクの保存性に優れ、さらに、サーマルジェット方式での吐出性能にも優れる。過分散のない状態で顔料を分散させるインクを得る方法としては、例えば、ビーズミル分散機を用いる場合であれば、周速6m/秒以下の条件で分散した顔料分散体を用いることが挙げられる。
本発明で用いるインク中の顔料の平均粒径値を測定する際の希釈液に含有される界面活性剤は、イオン性や両性のものは好ましくない。本発明者らの検討によれば、インクの特性との兼ね合いで良好な結果を得るためには、HLB13以上18以下のノニオン界面活性剤を用いることが好ましい。本発明で用いる界面活性剤は、その構造的な限定はないが、中でもポリオキシエチレンのアルキルエーテル型の構造のものが特に好ましい。
(水系媒体)
本発明のインクは、水を必須成分とするが、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、また、95質量%以下であることが好ましい。また、水と水溶性溶剤が併用された水系媒体を使用することも好ましい。水と併用される構成材料としては、下記のものが挙げられる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノールなどの炭素数1乃至5のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのオキシエチレン又はオキシプロピレン重合体。エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類。1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテルなどのグリコールの低級アルキルエーテル類。トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類。モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類。スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、エチレン尿素、ビスヒドロキシエチルスルフォン、ジグリセリン、トリグリセリンなど。しかし、本発明は、これらに限定されるものではない。上記した中でも特に良好なものとしては、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、エチレン尿素、トリメチロールプロパンが挙げられる。水と併用される水溶性溶剤の含有量も特に限定されないが、インク全量に対して、例えば、3質量%以上であることが好ましく、また、60質量%以下であることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明のインクにおいて、よりバランスのよい吐出安定性を得るためには、インク中に界面活性剤をさらに含有することが好ましい。中でもノニオン界面活性剤を併用することが好適である。ノニオン界面活性剤の中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。これらのノニオン界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値は、10以上である。こうして併用される界面活性剤の含有量は、インク全量に対して、0.01質量%以上5質量%以下、好ましくは0.05質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下である。
(その他の添加剤)
また、本発明のインクは、所望の物性値を有するインクとするために、上記した成分の他に必要に応じて、添加剤として、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤などを添加することができる。添加剤の選択は、インクの表面張力が25mN/m以上、好ましくは28mN/m以上になるようにすることが好ましい。
次に、本発明のインクジェット記録装置について、インクジェットプリンタを具体例として説明する。本具体例は、サーマルインクジェット方式用のプリンタであるが、本発明のインクは、サーマルインクジェット方式のプリンタ用インクとした場合に、より効果的である。サーマルインクジェット方式の場合、駆動源である発熱ヒータ上にインク構成成分に起因する不溶物が堆積され、不吐出を引き起こす。この現象は、染料インクの場合には、あまり発生しない現象であるが、顔料インクの場合は、問題となることが多いからである。
図1は、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いる液体吐出装置であるインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。図1において、インクジェットプリンタは、搬送装置1030と、記録部1010と、該記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。搬送装置1030は、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図中に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送するように構成されている。また、記録部1010は、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行に往復運動せしめられるように構成されている。
上記搬送装置1030は、下記の構造を有し、これにより下記のように駆動する。搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。これらの構造により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、それぞれのローラユニット1022a及び1022bと、ローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、矢印P方向に間欠送りで搬送される。
上記移動駆動部1006は、下記の構造を有し、これにより下記のように駆動する。移動駆動部1006は、プーリ1026aと、該プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022aと、上記ベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。上記プーリ1026aは、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されている。そして、プーリ1026aに巻きかけられるベルト1016は、ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されている。これらの構造を有することで、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動される。
さらに、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
また、記録部1010には、インクジェットカートリッジ1012Y、1012M、1012C及び1012Bが、それぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。インクジェットカートリッジ1012Y、1012M、1012C及び1012Bには、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色インクがそれぞれに収容され、これにより各色の記録をする。
図2は、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。図示した例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インクを収容するインクタンク1001とで主要部が構成されている。
インクジェット記録ヘッド100には、インクを吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インクは、インクタンク1001から図示しないインク供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(不図示)へと導かれるようになっている。図2に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100とインクタンク1001とを一体的に形成し、必要に応じてインクタンク1001内に液体を補給できる構造のものである。しかし、これに限定されず、この液体吐出ヘッド100に対し、インクタンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。なお、インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェットカートリッジが記録ユニットである。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載で「部」、及び「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。また、以下の記載で残部とは全体を100部とし、各成分を差し引いた残りをいう。
<樹脂1の調製例>
先ず、表1に示したABCの各モノマーをポリマー原料として、カチオンリビング重合法(特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報記載)により、分散剤として使用する樹脂1を調製した。ABC各モノマーを用いて得られた樹脂1は、重合比A:B:C=48:24:12、数平均分子量Mn=16,300、数平均分子量と重量平均分子量の比Mn/Mw=1.1のABC型ブロックポリマーである。さらに、分散剤として良好に機能させるようにするために、下記のように処理してC成分がフリーのカルボン酸になったトリブロックポリマーを得た。すなわち、上記で得られたABC型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質なポリマー水溶液を得、さらに、この水分散液中に塩酸を加えて中和した。なお、化合物の同定はNMR及びGPCを用いて行った。
Figure 2009249441
<顔料分散液(16種)の転相法による調製例>
上記で得たABC型のトリブロックポリマーと、カーボンブラックとを用い、下記のようにして顔料濃度6%の顔料分散液1〜16を得た。カーボンブラックには、比表面積220m2/g、一次粒径16nm、吸油量105ml/100gのものを使用した。そして、上記ブロックポリマー15部と、上記カーボンブラック15部とをTHF250gに共溶解し、蒸留水500gを用いて水相へ変換した。その後、ビーズミル(商品名:スターミル MINICERアシザワファインテック製)を用いて、それぞれ表2に示した周速とパス数にて分散処理(0.1mmジルコニアビーズ、充填率85%)を行った。その後、THFを常温、減圧にて除去し、さらに、得られた各顔料分散液を水分除去により濃度調整を行って、顔料濃度6%の、分散条件のみが異なる顔料分散液1〜16を得た。
Figure 2009249441
<実施例インク1〜6と比較例インク1〜10の調製>
各インクの調製は、上記で得た16種の顔料分散液1〜16をそれぞれに使用し、下記のようにして行った。下記の処方で各成分を加えて所定の濃度(合計100部)にし、これらを十分に混合撹拌し、水酸化カリウムでpHを9.0に調整した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過してインクを調製した。得られたインクのr(w)とr(s)の測定値とr(w)/r(s)の値を、表3に示した。
〔インク組成〕
・各種顔料分散液 60部
・ジグリセリン 15部
・ポリエチレングリコール(分子量=400) 5部
・ポリオキシエチレンセチルエーテル
(エチレンオキサイド付加数20、HLB17.5) 0.5部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH 川研ファインケミカル製)0.5部
・水 残部
<測定及び評価>
(1)平均粒径値r(w)の測定
測定対象のインクを純水にて1,000倍希釈して測定試料とした。測定は、FPAR−1000(大塚電子製)を用いて行った。測定結果を表3に示した。
(2)平均粒径値r(s)の測定
測定対象のインクを、ポリオキシエチレンセチルエーテル(エチレンオキサイド付加数20、HLB17)の0.1%水溶液にて1,000倍希釈して、測定試料とした。測定は、FPAR−1000(大塚電子製)を用いて行った。測定結果を表3に示した。
(3)r(w)/r(s)の算出値による分散性評価
分散性評価は、希釈水性媒体の影響を受けない指針であるr(w)/r(s)の値によった。結果を表3に示した。
A:0.95≦r(w)/r(s)≦1.05
B:0.90≦r(w)/r(s)<0.95、又は、
1.05<r(w)/r(s)≦1.10
C:r(w)/r(s)<0.9、又は、
1.10<r(w)/r(s)
Figure 2009249441
表3に示した実施例のインク1〜6、比較例のインク1〜10の各インクについて、インクの保存安定性及びインクジェット吐出性を、下記のようにして、それぞれ評価した。結果を表4に併記した。
(4)保存安定性
実施例インク1〜6、比較例インク1〜10の各インクをテフロン(登録商標)製の容器に入れ密封し、60℃で2ヶ月間保存した。このようにして保存した後のインクをインクタンク(BJF900用)に10g注入し、サーマルインクジェット方式のプリンタ、キヤノン製BJF900(吐出インク液滴量4.5pl)を用いて、駆動周波数1kHzで2パス全ベタの条件で、連続印字させた。そして、印字後に、プリンタインク流路中のインク詰まりによる印字状況を観察した。印字は、インクタンクを交換しつつ、最大3タンク分、連続して実施した。連続して安定したインク吐出ができたか否かを下記の基準で評価して、インクの保存安定性の評価とした。得られた評価結果を表4に示した。
A:3タンク分、印字してもインク吐出不良発生なし
B:第2タンク又は第3タンクで印字中に、インク吐出不良発生
C:1タンクで印字中に、インク吐出不良発生
(5)インクジェット吐出性
実施例インク1〜6、比較例インク1〜10の各インクをテフロン(登録商標)製の容器に入れ密封し、60℃で2ヶ月間保存した。このようにして保存した後のインクをサーマルインクジェット方式のプリンタ、キヤノン製BJF900搭載のインクジェット記録用ヘッドを用いて、駆動周波数10kHzにて、駆動電圧を標準電圧及び標準電圧の1.1倍の2条件で吐出させた。液滴の吐出速度を標準電圧とした以外は同様にして吐出させた。そして、両者を比較して、インクジェット吐出性を下記の基準で評価した。評価結果を表4に示した。
S:標準電圧の1.1倍の吐出速度の低下が10%未満
A:標準電圧の1.1倍の吐出速度の低下が10%以上20%以下
B:標準電圧の1.1倍の吐出速度の低下が20%を超える
C:不吐出となる
Figure 2009249441
上記表4の評価結果より、実施例1〜6における本発明のインクはいずれも、長期保存しても、良好な保存性とインクジェット吐出適性とを備えた優れたものであることが確認された。
液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。 液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。

Claims (8)

  1. 分散剤により顔料を水系媒体に分散させたインクジェット記録用インクにおいて、純水にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(w)が100nm以下であり、かつ、該平均粒径値r(w)と、HLB13以上18以下のノニオン界面活性剤の0.1%水溶液にてインクを希釈して測定した顔料の平均粒径値r(s)との比が、0.90≦r(w)/r(s)≦1.10の範囲であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 前記顔料の平均粒径値r(w)が、80nm以下である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 前記平均粒径値r(w)と平均粒径値r(s)との比が、0.95≦r(w)/r(s)≦1.05の範囲である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記分散剤が、両親媒性のブロック構造を有するポリマーである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
  5. 前記分散剤が、疎水性モノマー、非イオン性親水性モノマー、イオン性親水性モノマーの3成分を重合してなるブロック構造を有するポリマーである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
  6. サーマルインクジェット方式用である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
  7. インクジェット記録ヘッドを用いて、10pl以下のインク液滴を付与して記録を行うインクジェット記録方法において、上記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクを得るためのインクジェット記録用インクの製造方法であって、ビーズミル分散機を用いて、周速6m/秒以下の条件で分散する工程を有することを特徴とするインクジェット記録用インクの製造方法。
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