JPWO2004022543A1 - 炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することである。本発明によれば、下記式(I):(式中、R1は、水素原子、アリール基、アルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同してアルキレン基を表し;R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルメルカプト基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬が提供される。
Description
本発明は、ピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬、腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、並びにミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤に関する。
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)やクローン病(Crohn Disease:CD)などの炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)の原因は細菌感染説、自己免疫異常説などの諸説があるものの、現在のところその原因は不明である。しかし文明の発達に比例してその発生率が上昇していることから、ストレスなどの環境因子の関与が示唆されている。その治療に関し、現在のところ潰瘍性大腸炎に対してはサラゾスルファピリジン(Salazosulfapyridine)や5−アミノサリチル酸などのアミノサリチル酸を有効成分とする薬剤の内服、副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)の内服、注腸、座薬が中心である。また、時にアザチオプリン(azathioprine)や6−メルカプトプリン(6−mercaptopurine:6−MP)などの免疫抑制剤が試みられる。一方、クローン病に対しては栄養療法(成分栄養剤と中心静脈栄養)が主であり、時に副腎皮質ホルモンの内服、サラゾスルファピリジンの内服を追加する。しかし、潰瘍性大腸炎、クローン病ともに治療抵抗性の症例があり、治療薬の副作用の問題もある。これらの難治例、重症例に対しては手術療法が選択されるのが現状である。
デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎(以下、DSS誘発大腸炎という)はヒト潰瘍性大腸炎モデルとして大腸炎発生メカニズムの研究や大腸炎の治療薬開発に盛んに用いられている。DSS誘発大腸炎発生の機序は明確ではないが、主にデキストラン硫酸ナトリウム自身の毒性によるものと考えられている。最近、DSS誘発大腸炎の進展においてフリーラジカルが重要な役割を担っていることが判明した。例えば、Dykensらは浸潤した白血球ミエロパーオキシダーゼ(myeloperoxidase(MPO))由来のフリーラジカルがDSS誘発大腸炎の進展に関与することを示した(Dykens,JA.,et al.,Scand J Gastroenterol,33,628−636,1998)。またHori(Hori,Y.,et al.,Jpn J Pharmacol,74,99−103,1997)及びNaito(Naito,Y.,et al.,Antioxid Redox Signal,4,195−206,2002)らはそれぞれsuperoxide dismutase(SOD)やスピントラップ剤がDSS誘発大腸炎に対して治療効果を示すことを見いだし、同じくフリーラジカルがDSS誘発大腸炎の進展に関与することを示した。更にBlackburn(Blackburn,AC.,et al.,Free Radic Biol Med,25,305−313,1998)らはDSS誘発大腸炎におけるフリーラジカル発生を高速液体クロマトグラフィーにて証明した。一方KorenagraらはDSS誘発大腸炎では、フリーラジカル発生だけでなく腸管粘膜のフリーラジカルに対する抵抗性が低下することを見いだしている(Korenaga,D.,et al.,J Surg Res,144−149,102,2002)。
一方、下記式(I):
(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル又はフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)で表されるピラゾロン誘導体については、医薬の用途として、脳機能正常化作用(特公平5−31523号公報)、過酸化脂質生成抑制作用(特公平5−35128号公報)、抗潰瘍作用(特開平3−215425号公報)、及び血糖上昇抑制作用(特開平3−215426号公報)等が知られている。
また、上記式(I)の化合物のうち、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンを有効成分とする製剤は、2001年6月以来、脳保護剤(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)として上市されている。この「エダラボン」は、活性酸素に対して高い反応性を有することが報告されている(Kawai,H.,et al.,J.Phamacol.Exp.Ther.,281(2),921,1997;及びWu,TW.et al.,Life Sci,67(19),2387,2000)。このように、エダラボンは活性酸素をはじめとする種々のフリーラジカルを消去することで、細胞障害などを防ぐ働きをするフリーラジカルスカベンジャーである。上述したように、潰瘍性大腸炎の進展にはマクロファージや白血球由来のスーパーオキサイドアニオン、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などのフリーラジカルの関与が示唆されるものの、エダラボンが炎症性腸疾患に対して有効であるか否かの検討については従来全く報告がない。
デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎(以下、DSS誘発大腸炎という)はヒト潰瘍性大腸炎モデルとして大腸炎発生メカニズムの研究や大腸炎の治療薬開発に盛んに用いられている。DSS誘発大腸炎発生の機序は明確ではないが、主にデキストラン硫酸ナトリウム自身の毒性によるものと考えられている。最近、DSS誘発大腸炎の進展においてフリーラジカルが重要な役割を担っていることが判明した。例えば、Dykensらは浸潤した白血球ミエロパーオキシダーゼ(myeloperoxidase(MPO))由来のフリーラジカルがDSS誘発大腸炎の進展に関与することを示した(Dykens,JA.,et al.,Scand J Gastroenterol,33,628−636,1998)。またHori(Hori,Y.,et al.,Jpn J Pharmacol,74,99−103,1997)及びNaito(Naito,Y.,et al.,Antioxid Redox Signal,4,195−206,2002)らはそれぞれsuperoxide dismutase(SOD)やスピントラップ剤がDSS誘発大腸炎に対して治療効果を示すことを見いだし、同じくフリーラジカルがDSS誘発大腸炎の進展に関与することを示した。更にBlackburn(Blackburn,AC.,et al.,Free Radic Biol Med,25,305−313,1998)らはDSS誘発大腸炎におけるフリーラジカル発生を高速液体クロマトグラフィーにて証明した。一方KorenagraらはDSS誘発大腸炎では、フリーラジカル発生だけでなく腸管粘膜のフリーラジカルに対する抵抗性が低下することを見いだしている(Korenaga,D.,et al.,J Surg Res,144−149,102,2002)。
一方、下記式(I):
(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル又はフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)で表されるピラゾロン誘導体については、医薬の用途として、脳機能正常化作用(特公平5−31523号公報)、過酸化脂質生成抑制作用(特公平5−35128号公報)、抗潰瘍作用(特開平3−215425号公報)、及び血糖上昇抑制作用(特開平3−215426号公報)等が知られている。
また、上記式(I)の化合物のうち、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンを有効成分とする製剤は、2001年6月以来、脳保護剤(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)として上市されている。この「エダラボン」は、活性酸素に対して高い反応性を有することが報告されている(Kawai,H.,et al.,J.Phamacol.Exp.Ther.,281(2),921,1997;及びWu,TW.et al.,Life Sci,67(19),2387,2000)。このように、エダラボンは活性酸素をはじめとする種々のフリーラジカルを消去することで、細胞障害などを防ぐ働きをするフリーラジカルスカベンジャーである。上述したように、潰瘍性大腸炎の進展にはマクロファージや白血球由来のスーパーオキサイドアニオン、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などのフリーラジカルの関与が示唆されるものの、エダラボンが炎症性腸疾患に対して有効であるか否かの検討については従来全く報告がない。
本発明の課題は、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療に有用な医薬、腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、並びにミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物が、デキストラン硫酸ナトリウム大腸炎モデルにおいて大腸炎による粘膜障害面積、あるいは浮腫の程度を示す大腸湿重量を顕著に減少させ、強力な抗大腸炎作用を有することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
即ち、本発明によれば、下記式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬が提供される。
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
本発明の好ましい態様によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物である上記医薬が提供される。
本発明の別の局面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、並びにミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療方法、腸粘膜保護方法、好中球の活性化抑制方法、並びに、ミエロパーオキシダーゼ活性の抑制方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬、腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、又はミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤の製造のための式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用が提供される。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物が、デキストラン硫酸ナトリウム大腸炎モデルにおいて大腸炎による粘膜障害面積、あるいは浮腫の程度を示す大腸湿重量を顕著に減少させ、強力な抗大腸炎作用を有することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
即ち、本発明によれば、下記式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬が提供される。
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
本発明の好ましい態様によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物である上記医薬が提供される。
本発明の別の局面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、並びにミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療方法、腸粘膜保護方法、好中球の活性化抑制方法、並びに、ミエロパーオキシダーゼ活性の抑制方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬、腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、又はミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤の製造のための式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用が提供される。
図1(A)は各投与群別の大腸湿重量を示す。図1(B)は各投与群別の障害粘膜面積を示す。
図2は、各投与群別の大腸組織の像((A)コントロール群(×40)、(B)エダラボン1mg/kg投与群(×40)、(C)エダラボン5mg/kg投与群(×40)、(D)エダラボン20mg/kg投与群(×40))を示す。
図3(A)は各投与群別のダメージスコアを示す。図3(B)は、各投与群別の大腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ活性を示す。
図4(A)は各投与群別の大腸粘膜MDA、4−HNE濃度を示す。図4(B)は、各投与群別の血漿中IL−6を示す。
図2は、各投与群別の大腸組織の像((A)コントロール群(×40)、(B)エダラボン1mg/kg投与群(×40)、(C)エダラボン5mg/kg投与群(×40)、(D)エダラボン20mg/kg投与群(×40))を示す。
図3(A)は各投与群別のダメージスコアを示す。図3(B)は、各投与群別の大腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ活性を示す。
図4(A)は各投与群別の大腸粘膜MDA、4−HNE濃度を示す。図4(B)は、各投与群別の血漿中IL−6を示す。
本発明の炎症性腸疾患の予防及び/又は治療に有用な医薬、腸粘膜保護剤、好中球の活性化抑制剤、並びにミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤(以下、これらを総称して本発明の医薬という)は、本明細書に定義する式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む。
本発明で用いる式(I)で示される化合物は、互変異性により、以下の式(I’)又は(I”)で示される構造をもとりうる。本明細書の式(I)には、便宜上、互変異性体のうちの1つを示したが、当業者には下記の互変異性体の存在は自明である。本発明の医薬の有効成分としては、下記の式(I’)又は(I”)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を用いてもよい。
式(I)において、R1の定義におけるアリール基は単環性又は多環性アリール基のいずれでもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基などのほか、メチル基、ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子、又は水酸基等の置換基で置換されたフェニル基等が挙げられる。アリール部分を有する他の置換基(アリールオキシ基など)におけるアリール部分についても同様である。
R1、R2及びR3の定義における炭素数1〜5のアルキル基は直鎖状、分枝鎖状のいずれでもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。アルキル部分を有する他の置換基(アルコキシカルボニルアルキル基)におけるアルキル部分についても同様である。
R1の定義における総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基等が挙げられる。
R2の定義におけるアリールオキシ基としては、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられ、アリールメルカプト基としては、フェニルメルカプト基、p−メチルフェニルメルカプト基、p−メトキシフェニルメルカプト基、p−クロロフェニルメルカプト基、p−ヒドロキシフェニルメルカプト基等が挙げられる。
R2及びR3の定義における炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。R3の定義における炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
R3の定義において、フェニル基の置換基における炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基としては、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等が挙げられ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
本発明の医薬の有効成分として好適に用いられる化合物(I)として、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−(3−メチル−5−オキソ−2−ピラゾリン−1−イル)安息香酸;
1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ニトロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−フェニル−3−プロピル−2−ピラゾリン−5−オン;
1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−フェニル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−イソブチル−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−4−フェノキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−4−フェニルメルカプト−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3,3’,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−2−フェニル−2H−インダゾール−3−オン;
3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−エチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−ヒドロキエチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−ベンジル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(α−ナフチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−メチル−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−アミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(アセトアミドフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;及び
1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン
本発明の医薬の有効成分としては、式(I)で表される遊離形態の化合物のほか、生理学的に許容される塩を用いてもよい。生理学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、臭化水素塩、リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸、サリチル酸、ニコチン酸、酒石酸等の有機酸との塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルタミン、L−グルタミン等のアミンとの塩が挙げられる。また、グリシンなどのアミノ酸との塩を用いてもよい。
本発明の医薬の有効成分としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の水和物、又は上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の溶媒和物を用いてもよい。溶媒和物を形成する有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを例示することができる。また、上記式(I)で表される化合物は、置換基の種類により1以上の不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。本発明の医薬の有効成分としては、純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いてもよい。
式(I)で表される化合物はいずれも公知の化合物であり、特公平5−31523号公報などに記載された方法により当業者が容易に合成できる。
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、有効成分である式(I)で示される化合物の重量として一般に経口投与の場合には一日あたり0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは一日あたり0.5〜50mg/kg体重、であり、非経口投与の場合には一日あたり0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜10mg/kg体重である。上記投与量は1日1回又は2〜3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減してもよい。
本発明の医薬としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物をそのまま投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記の物質と薬理学的及び製剤学的に許容される添加物を含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。
経口投与に適する医薬組成物には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
注射あるいは点滴用に適する医薬組成物には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の添加物を用いることができる。
本発明の医薬の形態は特に限定されず、当業者に利用可能な種々の形態をとることができる。経口投与に適する医薬として、例えば、固体の製剤用添加物を用いて錠剤、散剤、顆粒剤、硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、又はトローチ剤などを調製することができ、液状の製剤用添加物を用いてシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤などを調製することができる。また、非経口投与に適する医薬として、注射剤、点滴剤、吸入剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを調製することができる。なお、上記の式(I)の化合物を有効成分とする脳保護剤(点滴剤)が、すでに臨床において使用されているので(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)、本発明の医薬において上記市販製剤をそのまま用いることができる。
本発明の医薬は、炎症性腸疾患に有効である。すなわち、本発明の医薬は、炎症性腸疾患を防止する予防剤としての作用、及び/又は炎症性腸疾患を正常な状態に回復させる治療剤としての作用を有している。また、本発明の医薬はヒト潰瘍性大腸炎モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸において大腸炎による粘膜障害面積を有意に減少させたことから、腸粘膜保護剤として使用することができる。さらに本発明の医薬は、大腸粘膜内の炎症の指標であるミエロパーオキシダーゼ活性を抑制することができることから、ミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤として使用することができる。さらに、ミエロパーオキシダーゼは好中球活性化のマーカーとして知られていることから(Med Sci Sports Exerc.2003 Feb;35(2):348−55)、ミエロパーオキシダーゼの活性化を抑制する本発明の医薬は好中球の活性化抑制剤として使用することもできる。
本明細書において、炎症性腸疾患とは、大腸や小腸などの消化管粘膜の表層の細胞に炎症が生じ、粘膜が欠損した結果、潰瘍やびらんを引き起こす原因不明の疾患をいい、具体的には、潰瘍性大腸炎、クローン病などが挙げられる。また、本明細書における潰瘍性大腸炎としては、特には難治性潰瘍性大腸炎、劇症性潰瘍性大腸炎が挙げられる。
また本明細書において、好中球の活性化抑制には好中球の浸潤抑制を含んでいる。
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、上記各疾患の治療に先立って予防的に本発明の医薬を経口投与しておくことができ、注射若しくは点滴などの非経口的投与によって手術中又はその前後に予防的に投与することもできる。また、上記各疾患の患者に対しては、症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的として、静脈内、動脈内に注射により投与することもできる。
本発明で用いる式(I)で示される化合物は、互変異性により、以下の式(I’)又は(I”)で示される構造をもとりうる。本明細書の式(I)には、便宜上、互変異性体のうちの1つを示したが、当業者には下記の互変異性体の存在は自明である。本発明の医薬の有効成分としては、下記の式(I’)又は(I”)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を用いてもよい。
式(I)において、R1の定義におけるアリール基は単環性又は多環性アリール基のいずれでもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基などのほか、メチル基、ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子、又は水酸基等の置換基で置換されたフェニル基等が挙げられる。アリール部分を有する他の置換基(アリールオキシ基など)におけるアリール部分についても同様である。
R1、R2及びR3の定義における炭素数1〜5のアルキル基は直鎖状、分枝鎖状のいずれでもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。アルキル部分を有する他の置換基(アルコキシカルボニルアルキル基)におけるアルキル部分についても同様である。
R1の定義における総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基等が挙げられる。
R2の定義におけるアリールオキシ基としては、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられ、アリールメルカプト基としては、フェニルメルカプト基、p−メチルフェニルメルカプト基、p−メトキシフェニルメルカプト基、p−クロロフェニルメルカプト基、p−ヒドロキシフェニルメルカプト基等が挙げられる。
R2及びR3の定義における炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。R3の定義における炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
R3の定義において、フェニル基の置換基における炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基としては、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等が挙げられ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
本発明の医薬の有効成分として好適に用いられる化合物(I)として、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−(3−メチル−5−オキソ−2−ピラゾリン−1−イル)安息香酸;
1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ニトロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−フェニル−3−プロピル−2−ピラゾリン−5−オン;
1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−フェニル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−イソブチル−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−4−フェノキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−4−フェニルメルカプト−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3,3’,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−2−フェニル−2H−インダゾール−3−オン;
3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−エチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−ヒドロキエチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−ベンジル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(α−ナフチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−メチル−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−アミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(アセトアミドフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;及び
1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン
本発明の医薬の有効成分としては、式(I)で表される遊離形態の化合物のほか、生理学的に許容される塩を用いてもよい。生理学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、臭化水素塩、リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸、サリチル酸、ニコチン酸、酒石酸等の有機酸との塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルタミン、L−グルタミン等のアミンとの塩が挙げられる。また、グリシンなどのアミノ酸との塩を用いてもよい。
本発明の医薬の有効成分としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の水和物、又は上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の溶媒和物を用いてもよい。溶媒和物を形成する有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを例示することができる。また、上記式(I)で表される化合物は、置換基の種類により1以上の不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。本発明の医薬の有効成分としては、純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いてもよい。
式(I)で表される化合物はいずれも公知の化合物であり、特公平5−31523号公報などに記載された方法により当業者が容易に合成できる。
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、有効成分である式(I)で示される化合物の重量として一般に経口投与の場合には一日あたり0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは一日あたり0.5〜50mg/kg体重、であり、非経口投与の場合には一日あたり0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜10mg/kg体重である。上記投与量は1日1回又は2〜3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減してもよい。
本発明の医薬としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物をそのまま投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記の物質と薬理学的及び製剤学的に許容される添加物を含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。
経口投与に適する医薬組成物には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
注射あるいは点滴用に適する医薬組成物には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の添加物を用いることができる。
本発明の医薬の形態は特に限定されず、当業者に利用可能な種々の形態をとることができる。経口投与に適する医薬として、例えば、固体の製剤用添加物を用いて錠剤、散剤、顆粒剤、硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、又はトローチ剤などを調製することができ、液状の製剤用添加物を用いてシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤などを調製することができる。また、非経口投与に適する医薬として、注射剤、点滴剤、吸入剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを調製することができる。なお、上記の式(I)の化合物を有効成分とする脳保護剤(点滴剤)が、すでに臨床において使用されているので(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)、本発明の医薬において上記市販製剤をそのまま用いることができる。
本発明の医薬は、炎症性腸疾患に有効である。すなわち、本発明の医薬は、炎症性腸疾患を防止する予防剤としての作用、及び/又は炎症性腸疾患を正常な状態に回復させる治療剤としての作用を有している。また、本発明の医薬はヒト潰瘍性大腸炎モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸において大腸炎による粘膜障害面積を有意に減少させたことから、腸粘膜保護剤として使用することができる。さらに本発明の医薬は、大腸粘膜内の炎症の指標であるミエロパーオキシダーゼ活性を抑制することができることから、ミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤として使用することができる。さらに、ミエロパーオキシダーゼは好中球活性化のマーカーとして知られていることから(Med Sci Sports Exerc.2003 Feb;35(2):348−55)、ミエロパーオキシダーゼの活性化を抑制する本発明の医薬は好中球の活性化抑制剤として使用することもできる。
本明細書において、炎症性腸疾患とは、大腸や小腸などの消化管粘膜の表層の細胞に炎症が生じ、粘膜が欠損した結果、潰瘍やびらんを引き起こす原因不明の疾患をいい、具体的には、潰瘍性大腸炎、クローン病などが挙げられる。また、本明細書における潰瘍性大腸炎としては、特には難治性潰瘍性大腸炎、劇症性潰瘍性大腸炎が挙げられる。
また本明細書において、好中球の活性化抑制には好中球の浸潤抑制を含んでいる。
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、上記各疾患の治療に先立って予防的に本発明の医薬を経口投与しておくことができ、注射若しくは点滴などの非経口的投与によって手術中又はその前後に予防的に投与することもできる。また、上記各疾患の患者に対しては、症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的として、静脈内、動脈内に注射により投与することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
合成例:3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン(以下、エダラボンと称す)の合成
エタノール50ml中にアセト酢酸エチル13.0g及びフェニルヒドラジン10.8gを加え、3時間還流攪拌した。反応液を放冷後、析出した結晶をろ取し、エタノールより再結晶して、表題の化合物11.3gを無色結晶として得た。
収率 67%
融点 127.5〜128.5℃
合成例:3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン(以下、エダラボンと称す)の合成
エタノール50ml中にアセト酢酸エチル13.0g及びフェニルヒドラジン10.8gを加え、3時間還流攪拌した。反応液を放冷後、析出した結晶をろ取し、エタノールより再結晶して、表題の化合物11.3gを無色結晶として得た。
収率 67%
融点 127.5〜128.5℃
(1)実験方法
▲1▼材料
上記のようにして合成したエダラボンは少量の1N水酸化ナトリウム溶液に溶解後、pHを中性付近に調整した。
▲2▼デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎作製法
6週齢Sprague−Dawley系雄性ラット(日本クレア株式会社)を用い、既報の方法に準じ(Araki,Y.,et al.,Scand J Gastroentero,35,1060−1067,2000)、以下のようにして大腸炎を惹起させた。すなわち粉形食MF(オリエンタル酵母工業株式会社)に4%(w/w)のデキストラン硫酸ナトリウム(Dextran sulfate sodium、DSS:分子量5000、和光純薬工業株式会社、大阪)を加え30g/日/匹の量で8日間摂取させた。DSS投与開始直後よりエダラボン投与群はそれぞれ1mg/kg/日、5mg/kg/日、20mg/kg/日のエダラボンを朝夕に分け背部皮下注射した。コントロール群は生理食塩水を同様に背部皮下注射した。
▲3▼肉眼的大腸炎評価法
8日後解剖を行った。心腔採血後、大腸(結腸および直腸)を摘出し、湿重量を測定した。肉眼的大腸粘膜の障害の程度を既報の方法にて評価した(Araki,Y.,et al.,Scand J Gastroentero,35,1060−1067,2000)。すなわち粘膜の色調変化(発赤)、血塊付着、粘膜雛壁の崩れ、浮腫、びらんを示す部分を面積測定した。
▲4▼組織学的大腸炎評価法
肛門側より5mmの部位の粘膜をカルノア液で3時間固定後、パラフィン包埋を行った。その後5μm厚の組織切片を作製しヘマトキシリン−エオジン染色を行った。大腸炎のスコア化は、既報の方法に従った(Araki,Y.,et al.,Scand J Gastroentero,35,1060−1067,2000)。すなわち、(i)粘膜上皮の欠損、(ii)クリプトの変形、(iii)炎症細胞浸潤の程度の3項目についてそれぞれその程度及び広がりに応じて、無し:0、軽度且つ限局:1、中等度且つ限局:2、中等度且つ広範囲:3、強度且つ広範囲:4と点数化した。この3項目の点数を合計しそのラットの組織学的大腸炎スコア(ダメージスコア)とした。
▲5▼大腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ活性
大腸粘膜内の炎症の指標として、ミエロパーオキシダーゼ活性を既報の方法にて測定した(Araki,Y.,et al.,Clin Exp Immunol,119,264−269,2000)。すなわち肛門側より10mmの部位の粘膜をホモジネートし、その活性をH2O2とo−dianisidinの反応による460mmにおける吸光度の変化として観察した。
▲6▼大腸粘膜malondialdehyde(MDA)、4−hydroxy−2(E)−nonenal(4−HNE)濃度
脂質過酸化は組織障害の重要な機序の一つである。MDA並びに4−HNEは組織内の多価不飽和脂肪酸の過酸化により産生される。よって大腸粘膜内のMDA及び4−HNE濃度を測定し、組織内reactive oxygen species(ROS)の状態の指標とした(Matsumura,N.,et al.,Pancreas,22,53−7,2001)。すなわち、大腸粘膜を9倍量の0.5%のTritonX−100を含む50mmol/lのTris−buffer(pH8.0)でホモジネートし、アッセイキットLipid peroxidation assay kit(Calbiochem,La Jolla,CA,U.S.A.)を用いて測定した。尚、ミエロパーオキシダーゼ活性、ならびにMDA及び4−HNE濃度測定用のホモジネート中の蛋白量はBio−Rad Protein Assay(Bio−Rad laboratories,CA)を用いて測定した。
▲7▼血漿中interleukin−6(IL−6)濃度測定方法
全身的な炎症反応の指標として血漿中interleukin−6濃度を測定した。すなわち血液を10000rpmで遠心後、その血漿中のinterleukin−6濃度をELISA法にて測定した(Rat IL−6 ELISA KIT,BioSource Europe,S,A.,Belgium)。
▲8▼統計処理
結果はmean±SEMで表した。群間比較はFisher’s PLSD testで行った。ノンパラメトリックなデータの比較はKruskal−Wallis testとDunn’s Procedure As A Multiple Comparison Procedureで行った。p値が0.05未満を有意差ありとした。
(2)実験結果
▲1▼肉眼的大腸炎評価
8日間のDSS投与によりエダラボン投与群、コントロール群ともに大腸炎が惹起された。しかし、エダラボン投与群(1mg/kg投与群、5mg/kg投与群、20mg/kg投与群)はいずれもコントロール群に比べて大腸湿重量が有意に低値を示した(図1(A))。同様に、エダラボン投与群ではいずれもコントロール群に比べて障害粘膜面積が有意に低値を示した(図1(B))。
▲2▼組織学的大腸炎評価
図2に大腸組織の像を示す。(A)コントロール群(×40)、(B)エダラボン1mg/kg投与群(×40)、(C)エダラボン5mg/kg投与群(×40)、(D)エダラボン20mg/kg投与群(×40)である。コントロール群において、粘膜下層の著しい浮腫と炎症細胞浸潤を認めた。しかしエダラボン1mg/kg、5mg/kg、20mg/kg投与群においてはこれらの変化は抑制された。
障害の程度をスコア化すると、エダラボン投与群のダメージスコアは、いずれもコントロール群のダメージスコアに比べて低値を示した。特に、20mg/kg投与群のダメージスコアはコントロール群に比べて有意に低値を示した(図3(A))。
▲3▼大腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ活性
エダラボン投与群の大腸粘膜内のミエロパーオキシダーゼ活性はいずれもコントロール群のミエロパーオキシダーゼ活性に比べて低値を示した。特に、20mg/kg投与群のミエロパーオキシダーゼ活性はコントロール群に比べて有意に低値を示した(図3(B))。
▲4▼大腸粘膜MDA、4−HNE濃度
エダラボン投与群の大腸粘膜内MDA、4−HNE濃度は、いずれもコントロール群のMDA、4−HNE濃度に比べて低値を示した。しかし投与群間に有意差は認められなかった(図4(A))。
▲5▼血漿中IL−6濃度
エダラボン投与群の血漿中IL−6濃度は、いずれもコントロール群のIL−6活性に比べて低値を示した。特に、20mg/kg投与群のIL−6濃度はコントロール群に比べて有意に低値を示した(図4(B))。
▲1▼材料
上記のようにして合成したエダラボンは少量の1N水酸化ナトリウム溶液に溶解後、pHを中性付近に調整した。
▲2▼デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎作製法
6週齢Sprague−Dawley系雄性ラット(日本クレア株式会社)を用い、既報の方法に準じ(Araki,Y.,et al.,Scand J Gastroentero,35,1060−1067,2000)、以下のようにして大腸炎を惹起させた。すなわち粉形食MF(オリエンタル酵母工業株式会社)に4%(w/w)のデキストラン硫酸ナトリウム(Dextran sulfate sodium、DSS:分子量5000、和光純薬工業株式会社、大阪)を加え30g/日/匹の量で8日間摂取させた。DSS投与開始直後よりエダラボン投与群はそれぞれ1mg/kg/日、5mg/kg/日、20mg/kg/日のエダラボンを朝夕に分け背部皮下注射した。コントロール群は生理食塩水を同様に背部皮下注射した。
▲3▼肉眼的大腸炎評価法
8日後解剖を行った。心腔採血後、大腸(結腸および直腸)を摘出し、湿重量を測定した。肉眼的大腸粘膜の障害の程度を既報の方法にて評価した(Araki,Y.,et al.,Scand J Gastroentero,35,1060−1067,2000)。すなわち粘膜の色調変化(発赤)、血塊付着、粘膜雛壁の崩れ、浮腫、びらんを示す部分を面積測定した。
▲4▼組織学的大腸炎評価法
肛門側より5mmの部位の粘膜をカルノア液で3時間固定後、パラフィン包埋を行った。その後5μm厚の組織切片を作製しヘマトキシリン−エオジン染色を行った。大腸炎のスコア化は、既報の方法に従った(Araki,Y.,et al.,Scand J Gastroentero,35,1060−1067,2000)。すなわち、(i)粘膜上皮の欠損、(ii)クリプトの変形、(iii)炎症細胞浸潤の程度の3項目についてそれぞれその程度及び広がりに応じて、無し:0、軽度且つ限局:1、中等度且つ限局:2、中等度且つ広範囲:3、強度且つ広範囲:4と点数化した。この3項目の点数を合計しそのラットの組織学的大腸炎スコア(ダメージスコア)とした。
▲5▼大腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ活性
大腸粘膜内の炎症の指標として、ミエロパーオキシダーゼ活性を既報の方法にて測定した(Araki,Y.,et al.,Clin Exp Immunol,119,264−269,2000)。すなわち肛門側より10mmの部位の粘膜をホモジネートし、その活性をH2O2とo−dianisidinの反応による460mmにおける吸光度の変化として観察した。
▲6▼大腸粘膜malondialdehyde(MDA)、4−hydroxy−2(E)−nonenal(4−HNE)濃度
脂質過酸化は組織障害の重要な機序の一つである。MDA並びに4−HNEは組織内の多価不飽和脂肪酸の過酸化により産生される。よって大腸粘膜内のMDA及び4−HNE濃度を測定し、組織内reactive oxygen species(ROS)の状態の指標とした(Matsumura,N.,et al.,Pancreas,22,53−7,2001)。すなわち、大腸粘膜を9倍量の0.5%のTritonX−100を含む50mmol/lのTris−buffer(pH8.0)でホモジネートし、アッセイキットLipid peroxidation assay kit(Calbiochem,La Jolla,CA,U.S.A.)を用いて測定した。尚、ミエロパーオキシダーゼ活性、ならびにMDA及び4−HNE濃度測定用のホモジネート中の蛋白量はBio−Rad Protein Assay(Bio−Rad laboratories,CA)を用いて測定した。
▲7▼血漿中interleukin−6(IL−6)濃度測定方法
全身的な炎症反応の指標として血漿中interleukin−6濃度を測定した。すなわち血液を10000rpmで遠心後、その血漿中のinterleukin−6濃度をELISA法にて測定した(Rat IL−6 ELISA KIT,BioSource Europe,S,A.,Belgium)。
▲8▼統計処理
結果はmean±SEMで表した。群間比較はFisher’s PLSD testで行った。ノンパラメトリックなデータの比較はKruskal−Wallis testとDunn’s Procedure As A Multiple Comparison Procedureで行った。p値が0.05未満を有意差ありとした。
(2)実験結果
▲1▼肉眼的大腸炎評価
8日間のDSS投与によりエダラボン投与群、コントロール群ともに大腸炎が惹起された。しかし、エダラボン投与群(1mg/kg投与群、5mg/kg投与群、20mg/kg投与群)はいずれもコントロール群に比べて大腸湿重量が有意に低値を示した(図1(A))。同様に、エダラボン投与群ではいずれもコントロール群に比べて障害粘膜面積が有意に低値を示した(図1(B))。
▲2▼組織学的大腸炎評価
図2に大腸組織の像を示す。(A)コントロール群(×40)、(B)エダラボン1mg/kg投与群(×40)、(C)エダラボン5mg/kg投与群(×40)、(D)エダラボン20mg/kg投与群(×40)である。コントロール群において、粘膜下層の著しい浮腫と炎症細胞浸潤を認めた。しかしエダラボン1mg/kg、5mg/kg、20mg/kg投与群においてはこれらの変化は抑制された。
障害の程度をスコア化すると、エダラボン投与群のダメージスコアは、いずれもコントロール群のダメージスコアに比べて低値を示した。特に、20mg/kg投与群のダメージスコアはコントロール群に比べて有意に低値を示した(図3(A))。
▲3▼大腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ活性
エダラボン投与群の大腸粘膜内のミエロパーオキシダーゼ活性はいずれもコントロール群のミエロパーオキシダーゼ活性に比べて低値を示した。特に、20mg/kg投与群のミエロパーオキシダーゼ活性はコントロール群に比べて有意に低値を示した(図3(B))。
▲4▼大腸粘膜MDA、4−HNE濃度
エダラボン投与群の大腸粘膜内MDA、4−HNE濃度は、いずれもコントロール群のMDA、4−HNE濃度に比べて低値を示した。しかし投与群間に有意差は認められなかった(図4(A))。
▲5▼血漿中IL−6濃度
エダラボン投与群の血漿中IL−6濃度は、いずれもコントロール群のIL−6活性に比べて低値を示した。特に、20mg/kg投与群のIL−6濃度はコントロール群に比べて有意に低値を示した(図4(B))。
本発明の医薬は炎症性腸疾患の予防及び/又は治療に有用である。特に、本発明の医薬はヒト潰瘍性大腸炎モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸において大腸炎による粘膜障害面積を有意に減少させたことから、潰瘍性大腸炎患者一般、更には既存の薬剤に反応のない難治性や劇症の潰瘍性大腸炎患者に対する新たな治療薬として有用である。
本出願が主張する優先権の基礎となる出願である特願2002−262324の明細書に記載の内容は全て、本明細書の開示の一部として本明細書中に引用により取り込むものとする。
本出願が主張する優先権の基礎となる出願である特願2002−262324の明細書に記載の内容は全て、本明細書の開示の一部として本明細書中に引用により取り込むものとする。
Claims (33)
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項1に記載の医薬。
- 炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である請求項1又は2に記載の医薬。
- 潰瘍性大腸炎が、難治性潰瘍性大腸炎又は劇症性潰瘍性大腸炎である請求項3に記載の医薬。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む腸粘膜保護剤。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項5に記載の腸粘膜保護剤。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、好中球の活性化抑制剤。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項7に記載の好中球の活性化抑制剤。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、ミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項9に記載のミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤。
- ミエロパーオキシダーゼが大腸粘膜のミエロパーオキシダーゼである、請求項9又は10に記載のミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療方法。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項12に記載の方法。
- 炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である請求項12又は13に記載の方法。
- 潰瘍性大腸炎が、難治性潰瘍性大腸炎又は劇症性潰瘍性大腸炎である請求項14に記載の方法。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、腸粘膜保護方法。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである、請求項16に記載の方法。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、好中球の活性化抑制方法。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項18に記載の方法。
- 下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、ミエロパーオキシダーゼ活性の抑制方法。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項20に記載の方法。
- ミエロパーオキシダーゼが大腸粘膜のミエロパーオキシダーゼである、請求項20又は21に記載の方法。
- 炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のための医薬の製造のための下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項23に記載の使用。
- 炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である請求項23又は24に記載の使用。
- 潰瘍性大腸炎が、難治性潰瘍性大腸炎又は劇症性潰瘍性大腸炎である請求項25に記載の使用。
- 腸粘膜保護剤の製造のための下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項27に記載の使用。
- 好中球の活性化抑制剤の製造のための下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項29に記載の使用。
- ミエロパーオキシダーゼ活性抑制剤の製造のための下記式(I):
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。 - 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項31に記載の使用。
- ミエロパーオキシダーゼが大腸粘膜のミエロパーオキシダーゼである、請求項31又は32に記載の使用。
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