JP2004115508A - 熱傷皮膚組織の機能改善のための医薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱傷皮膚組織の機能改善に有用な医薬を提供する。
【解決手段】 下記式(I):
【化1】

(式中、R1は、水素原子、アリール基、アルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同してアルキレン基を表し;R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルメルカプト基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む熱傷皮膚組織の機能改善のための医薬。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、ピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む熱傷皮膚組織の機能改善のための医薬に関する。
 高熱、高温の生体への作用によりもたされる人体の組織、主に皮膚の損傷を熱傷という。熱傷は、その原因によって火炎に接触することによる火炎熱傷、高温液体に接触することによる熱湯熱傷や湯傷、高温固体に接触することによる接触熱傷、短時間の接触では問題にならない温度に長時間接触することによって起こる低温熱損傷に分類される。熱傷には軽症で局所治療のみで十分なものから、全身反応を惹き起こし集中医療を必要とする極めて重篤なもの、予後不良のものまで種々の段階がある。熱傷の障害の程度は、作用温度と作用時間によって決まり、また、その重篤度の判断は、熱傷の面積と深度によって行われる。
 広範囲熱傷による熱傷性ショックでは、血管透過性亢進が局所のみならず全身に認められる。熱傷性ショックの治療は循環血液量を是正するための輸液療法が中心となる。最近は血管透過性亢進を抑制し輸液量の節減を目的とした研究が行われている。これまでビタミンC大量投与によって毛細血管からの血漿成分の漏出を減少させるという実験結果がでているが、未だ臨床で使用するまでには至っていない。
 一方、下記式(I):
(式中、R1は水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、R2は、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル又はフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)で表されるピラゾロン誘導体については、医薬の用途として、脳機能正常化作用(特許文献1参照)、過酸化脂質生成抑制作用(特許文献2参照)、抗潰瘍作用(特許文献3参照)、及び血糖上昇抑制作用(特許文献4参照)等が知られている。
 また、上記式(I)の化合物のうち、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンを有効成分とする製剤は、2001年6月以来、脳保護剤(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)として上市されている。この「エダラボン」は、活性酸素に対して高い反応性を有することが報告されている(非特許文献1; 非特許文献2参照)。このように、エダラボンは活性酸素をはじめとする種々のフリーラジカルを消去することで、細胞障害などを防ぐ働きをするフリーラジカルスカベンジャーである。しかしながら、これまでエダラボンが熱傷による皮膚損傷や障害に対して有効であるか否かの検討については全く報告がない。
特公平5−31523号公報 特公平5−35128号公報(例1の化合物) 特開平3−215425号公報 特開平3−215426号公報 Kawai, H., et al., J. Phamacol. Exp. Ther., 281(2), 921, 1997 Wu, TW. et al., Life Sci, 67(19), 2387, 2000
 本発明の課題は、熱傷皮膚組織の機能改善に有用な医薬を提供することにある。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物が、ラット熱傷モデルにおいて上昇する不感蒸泄量(ISWL)を有意に低下させ、熱傷皮膚組織の機能を改善できることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
 即ち、本発明によれば、下記式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む熱傷皮膚組織の機能改善のための医薬が提供される。
(式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
 本発明の好ましい態様によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物である上記医薬が提供される。
 本発明のさらに別の局面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、熱傷皮膚組織の治療方法が提供される。本発明のさらに別の側面によれば、上記医薬の製造のための式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用が提供される。
 本発明の医薬は、ラット熱傷モデルにおいて不感蒸泄量(ISWL)の上昇を有意に低下させる作用を有することから、熱傷皮膚組織の機能改善に有用である。
 本発明の熱傷皮膚組織の機能改善のための医薬は、本明細書に定義する式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む。
 本発明で用いる式(I)で示される化合物は、互変異性により、以下の式(I')又は(I”)で示される構造をもとりうる。本明細書の式(I)には、便宜上、互変異性体のうちの1つを示したが、当業者には下記の互変異性体の存在は自明である。本発明の医薬の有効成分としては、下記の式(I')又は(I”)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を用いてもよい。
 式(I)において、R1の定義におけるアリール基は単環性又は多環性アリール基のいずれでもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基などのほか、メチル基、ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子、又は水酸基等の置換基で置換されたフェニル基等が挙げられる。アリール部分を有する他の置換基(アリールオキシ基など)におけるアリール部分についても同様である。
 R1、R2及びR3の定義における炭素数1〜5のアルキル基は直鎖状、分枝鎖状のいずれでもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。アルキル部分を有する他の置換基(アルコキシカルボニルアルキル基)におけるアルキル部分についても同様である。
 R1の定義における総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基等が挙げられる。
 R2の定義におけるアリールオキシ基としては、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられ、アリールメルカプト基としては、フェニルメルカプト基、p−メチルフェニルメルカプト基、p−メトキシフェニルメルカプト基、p−クロロフェニルメルカプト基、p−ヒドロキシフェニルメルカプト基等が挙げられる。
 R2及びR3の定義における炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。R3の定義における炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
 R3の定義において、フェニル基の置換基における炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基としては、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等が挙げられ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
 本発明の医薬の有効成分として好適に用いられる化合物(I)として、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
 3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(4−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(4−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 4−(3−メチル−5−オキソ−2−ピラゾリン−1−イル)安息香酸;
 1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ニトロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−フェニル−3−プロピル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−フェニル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 4−イソブチル−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 4−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−4−フェノキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−4−フェニルメルカプト−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3,3',4,5,6,7−ヘキサヒドロ−2−フェニル−2H−インダゾール−3−オン;
 3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−エチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(2−ヒドロキエチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−ベンジル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(α−ナフチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−メチル−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(3,4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−アミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−メチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−エチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ブチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
 1−(アセトアミドフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;及び
 1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン
 本発明の医薬の有効成分としては、式(I)で表される遊離形態の化合物のほか、生理学的に許容される塩を用いてもよい。生理学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、臭化水素塩、リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸、サリチル酸、ニコチン酸、酒石酸等の有機酸との塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルタミン、L−グルタミン等のアミンとの塩が挙げられる。また、グリシンなどのアミノ酸との塩を用いてもよい。
 本発明の医薬の有効成分としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の水和物、又は上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の溶媒和物を用いてもよい。溶媒和物を形成する有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを例示することができる。また、上記式(I)で表される化合物は、置換基の種類により1以上の不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。本発明の医薬の有効成分としては、純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いてもよい。
 式(I)で表される化合物はいずれも公知の化合物であり、特公平5−31523号公報などに記載された方法により当業者が容易に合成できる。
 本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、有効成分である式(I)で示される化合物の重量として一般に経口投与の場合には一日あたり0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは一日あたり0.5〜50mg/kg体重、であり、非経口投与の場合には一日あたり0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜10mg/kg体重である。上記投与量は1日1回又は2〜3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減してもよい。
 本発明の医薬としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物をそのまま投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記の物質と薬理学的及び製剤学的に許容される添加物を含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。
 薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。
 経口投与に適する医薬組成物には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
 注射あるいは点滴用に適する医薬組成物には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の添加物を用いることができる。
 本発明の医薬の形態は特に限定されず、当業者に利用可能な種々の形態をとることができる。経口投与に適する医薬として、例えば、固体の製剤用添加物を用いて錠剤、散剤、顆粒剤、硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、又はトローチ剤などを調製することができ、液状の製剤用添加物を用いてシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤などを調製することができる。また、非経口投与に適する医薬として、注射剤、点滴剤、吸入剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを調製することができる。なお、上記の式(I)の化合物を有効成分とする脳保護剤(点滴剤)が、すでに臨床において使用されているので(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)、本発明の医薬において上記市販製剤をそのまま用いることができる。
 本発明の医薬は、熱傷皮膚組織の機能改善に有効である。すなわち、本発明の医薬は、熱傷による発赤、水疱、浮腫などの損傷を受けた皮膚組織の発汗機能不全を正常な状態に回復させる治療剤としての作用を有している。
 本明細書において、「熱傷」とは、血管拡張による皮膚の発赤、血管透過性拡張による血漿成分の組織への漏出(浮腫)が認められる病態をいい、特に熱傷深度がI度からII度までの皮膚損傷をいう。熱傷深度は例えば日本熱傷学会に定められる基準を参考にすることができる。具体的にはI度熱傷とは表皮熱傷で受傷部皮膚の発赤のみで瘢痕を残さず治癒するものいい、II度熱傷とは真皮に及ぶ損傷をいい、浅達性II度熱傷(水疱が形成され、水疱底の真皮が赤色を呈している。通常1〜2週間で表皮化し治癒する。一般に肥厚性瘢痕を残さない。)、深達性II度熱傷(水疱が形成され、水疱底の真皮が白色で貧血状を呈している。およそ3〜4週間を要して表皮化し治癒するが、肥厚性瘢痕ならびに瘢痕ケロイドを残す可能性が大きい。)がある。「熱傷」には、発生原因によって火炎熱傷、熱湯熱傷・湯傷、接触熱傷・圧座熱傷、低温熱損傷等がある。本発明にいう「熱傷」はこれらの発生原因により限定はされないが、特には熱湯熱傷・湯傷をいう。
 本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、熱傷を負った患者に対して輸液療法に並行して、症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的として静脈内、動脈内に注射により投与することができる。
 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
 合成例:3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン(以下、エダラボンと称す)の合成
 エタノール50ml中にアセト酢酸エチル13.0g及びフェニルヒドラジン10.8gを加え、3時間還流攪拌した。反応液を放冷後、析出した結晶をろ取し、エタノールより再結晶して、表題の化合物11.3gを無色結晶として得た。
収率 67%
融点 127.5〜128.5℃
 実施例1
(1)実験方法
(1)実験モデル動物作成法
 12週齢の雄性ラット(体重250g程度)を用い、ペントパルビタールによる麻酔下に100℃の熱湯に15秒間浸漬して熱傷モデルを作製した。
 実験動物を4群に分け、A群には生理食塩水5ml、B群にはビタミンC 400mgを含む生理食塩水、C群にはCepharantine(毛細血管拡張剤、脱毛・浸出液・白血球減少抑制剤)1.5mgを含む生理食塩水、D群にはエダラボン1.5mgを含む生理食塩水をそれぞれ熱傷直後に腹腔内投与した。ラットを、熱傷後3,24,及び48時間経過時にペントパルビタールによる麻酔下に放血によって犠牲死させた(各群及び各フェーズにおいてn=4)。
(2)不感蒸泄量(Insensible waterloss:ISWL)、肺乾湿量(lung dry/wet:D/W)の測定
 各試験群のラットは、尿量測定、蓄尿を目的として代謝ケージに収容し、24時間蓄尿を行った。毎日、体重(Bodyweight:Wt)、体温、飲水量(Water Intake:WI)、尿量(Urine volume:UV)、飼料摂取量Food Intake(FI)、排便量(Faces Weight:FW)を測定し、不感蒸泄量(Insensible waterloss:ISWL)(mg/wt(kg)/hr)を下式に従い計算した。
 ISWL=weight loss+WI+FI−UV−FW
ISWLは輸液管理されている患者の水分バランスをみるときの指標で、熱傷皮膚組織の機能改善(発汗機能改善)がおこればISWLが低下する。
 また、ラットを犠牲死後、肝臓を摘出し、重量を測定した(湿重量)。その後、37℃オーブンにて2〜3日から1週間放置し、重量を測定し、さらに1日放置し、重量変化がなくなるまで該操作を繰り返し、そのときの重量を乾重量とした。肺乾湿量(lung dry/wet:D/W)は、上記で得られた乾重量を湿重量で割る(乾重量/湿重量)ことにより求めた。
(2)実験結果
 図1に、熱傷後3,24,及び48時間経過時の各群ラットにおけるISWLの測定結果を示す。ISWLはA群に比べて、D群では低下した(p=0.0036,24時間後)。
 図2は、熱傷後3,24,及び48時間経過時の各群ラットにおける肺乾湿量(lung dry/wet:D/W)の測定結果を示す。lung dry/wet(D/W)はA群に比べB群(p=0.0054,3時間後)、D群(p=0.0299,24時間後)で有意に高かった。
熱傷後3,24,及び48時間経過時の各群ラットにおけるISWLの測定結果を示す。 熱傷後3,24,及び48時間経過時の各群ラットにおける肺乾湿量(lung dry/wet:D/W)の測定結果を示す。

Claims (3)

  1. 下記式(I):
    (式中、R1は、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;R2は、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R1及びR2は、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;R3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
    で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む熱傷皮膚組織の機能改善のための医薬。
  2. 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項1に記載の医薬。
  3. 熱傷が、熱湯熱傷又は湯傷である請求項1又は2に記載の医薬。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102336710A (zh) * 2011-07-11 2012-02-01 宁波大学 一种依达拉奉衍生物的合成方法
CN103319409A (zh) * 2013-07-12 2013-09-25 四川省惠达药业有限公司 一种依达拉奉化合物、其药物组合物及其制备方法

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